特許第5939785号(P5939785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939785
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】液体食品用加熱滅菌装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/22 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   A23L3/22
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-276549(P2011-276549)
(22)【出願日】2011年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-30360(P2014-30360A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-54882(P2011-54882)
(32)【優先日】2011年3月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229232
【氏名又は名称】日本テトラパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(74)【代理人】
【識別番号】100088111
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 正三
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉男
【審査官】 柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−257451(JP,A)
【文献】 特開平11−103834(JP,A)
【文献】 特開平05−292925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
還元される前の濃縮液体食品を送出する液体食品用ポンプと、
入口、出口、該入口及び該出口間を液密的に流す管状交換壁からなる流路を備えるコイル型管状加熱用熱交換器と、
入口、出口、該入口及び該出口間を液密的に流す交換壁からなる流路を備える冷却用熱交換器と、
冷却されて還元された該液体食品製品を一時的に貯留する製品液体食品用貯留槽と、
除菌/滅菌された冷却希釈水を送出する希釈水用ポンプと、
該液体食品用ポンプの吐出口と該加熱用熱交換器の入口とを液密的に連通させる第1流路と、
該加熱用熱交換器の出口と該冷却用熱交換器の入口とを液密的に連通させる第2流路と、
該冷却用熱交換器の出口と該貯留槽の入口とを液密的に連通させる第3流路と、
該希釈水用ポンプの吐出口と該第2流路の合流点とを液密的に連通させる第4流路とを備え、
該希釈水用ポンプからの冷却希釈水が該第4流路を介して該第2流路に供給される
ことを特徴とする液体食品用加熱滅菌装置。
【請求項2】
該冷却用熱交換器が、管状交換壁からなる流路を備えるコイル型管状加熱用熱交換器である、請求項1記載の液体食品用加熱滅菌装置。
【請求項3】
該希釈水用ポンプの吐出口と該第1流路の合流点とを液密的に連通させる第5流路とを備える、請求項1記載の液体食品用加熱滅菌装置。
【請求項4】
還元される前の濃縮液体食品と、除菌/滅菌された冷却希釈水とを準備するステップと、
該濃縮液体食品を液体食品用ポンプに送入して吐出口から送出するステップと、
第1流路を介して、該濃縮液体食品を該液体食品用ポンプの吐出口から加熱用熱交換器の入口に液密的に流すステップと、
該濃縮液体食品を、コイル型管状加熱用熱交換器の入口から送入し、該入口から出口まで管状交換壁からなる流路内を介して、液密的に流して加熱するステップと、
第2流路を介して、加熱された該濃縮液体食品を該加熱用熱交換器の出口から冷却用熱交換器の入口に液密的に流すステップと、
希釈水用ポンプを介して、除菌/滅菌された冷却希釈水を送出するステップと、
第4流路を介して、該希釈水用ポンプの吐出口から該第2流路の合流点に該冷却希釈水を液密的に流して混合するステップと、
該液体食品を、冷却用熱交換器の入口から送入し、入口から出口まで交換壁からなる流路内を介して、液密的に流して冷却するステップと、
第3流路を介して、冷却された該液体食品を、該冷却用熱交換器の出口から製品液体食品用貯留槽の入口に液密的に流すステップと、
製品液体食品用貯留槽で、冷却されて還元された液体食品製品を一時的に貯留するステップ
を含むことを特徴とする液体食品用加熱滅菌方法。
【請求項5】
該冷却用熱交換器が、管状交換壁からなる流路を備えるコイル型管状加熱用熱交換器である、請求項4記載の液体食品用加熱滅菌方法。
【請求項6】
第5流路を介して、該希釈水用ポンプの吐出口から第1流路の合流点に該冷却希釈水を液密的に流すステップを含む、請求項4記載の液体食品用加熱滅菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮還元する飲料及び液体食品を製造するシステムにおける液体食品用加熱滅菌装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加工乳製品、果汁/野菜ジュース、ミネラルウォーター及びその他飲料、粘性の高いスープやソース、トマトペースト、カスタード・デザート、フルーツ加工品、野菜ピューレ、ベビーフードなど流動食品、並びに、濃縮還元された飲料は、製造工程中で、熱処理などによって、殺菌若しくは滅菌される。
【0003】
殺菌/滅菌のための熱処理では、例えば、直接に食品中に高熱のスチーム、火炎などを吹き込んで行う直接滅菌と、熱交換器に食品を装填し器壁を介して食品を熱媒体で加熱する間接滅菌とがある。
間接滅菌に利用される熱交換器には、器壁がプレート状であるプレート式装置(特許文献1参照)や、器壁が管状である管式装置などがあり、それそれの用途に応じて用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−103834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
直接滅菌では、直接に液体食品中に高熱のスチームなどを吹き込まれるので、高温の熱媒体に触れた食品がダメージを受け、例えばこげ臭がつく恐れがある。これに対して、比較的に広い接触面積を持つ間接滅菌では、上記の直接滅菌の不都合を低減することができる。通常、熱に敏感な液体食品は、間接滅菌で熱処理される。
濃縮還元する飲料及び液体食品を製造するシステムにおいて、濃縮された飲料及び液体食品は、例えば、果汁飲料で、容量500%の希釈水で所定の濃度まで希釈され、600%に容量が増加する。還元希釈する前の液体食品と比較して、6倍に容量が増加しているので、間接滅菌により熱交換器で加熱殺菌して熱回収/冷却すると、概算で、6倍の投入エネルギーが必要である。また、容量が6倍になるので、加熱及び冷却の熱交換に要する時間も長時間になり、食品が高温域に留まる時間も長くなる。そのために、高温による食品の品質へのダメージ(製品熱負荷)も大きくなるという不都合がある。
【0006】
本発明は、上記の必要性、切望に応えるものであり、高温の熱媒体に直接に触れることによる食品ダメージを避けることができ、熱交換に要する時間を短くすることができて食品が高温域に留まる時間も短くすることができ、高温による食品の品質へのダメージ低減できる液体食品用加熱滅菌装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決する本発明の液体食品用加熱滅菌装置は、還元される前の濃縮液体食品を送出する液体食品用ポンプと、入口、出口、この入口及び出口間を液密的に流す管状交換壁からなる流路を備えるコイル型管状加熱用熱交換器と、入口、出口、この入口及び出口間を液密的に流す交換壁からなる流路を備える冷却用熱交換器と、冷却されて還元された液体食品製品を一時的に貯留する製品液体食品用貯留槽と、除菌/滅菌された冷却希釈水を送出する希釈水用ポンプと、液体食品用ポンプの吐出口と加熱用熱交換器の入口とを液密的に連通させる第1流路と、加熱用熱交換器の出口と冷却用熱交換器の入口とを液密的に連通させる第2流路と、冷却用熱交換器の出口と貯留槽の入口とを液密的に連通させる第3流路と、希釈水用ポンプの吐出口と第2流路の合流点とを液密的に連通させる第4流路とを備える、
ことを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様にいて、冷却用熱交換器が、管状交換壁からなる流路を備えるコイル型管状加熱用熱交換器である。
【0009】
この発明の好ましい態様にいて、希釈水用ポンプの吐出口と第1流路の合流点とを液密的に連通させる第5流路とを備える。
【0010】
この課題を解決する本発明の液体食品用加熱滅菌方法は、次のステップを含むことを特徴とする:
還元される前の濃縮液体食品と、除菌/滅菌された冷却希釈水とを準備するステップと、
濃縮液体食品を液体食品用ポンプに送入して吐出口から送出するステップと、
第1流路を介して、濃縮液体食品を液体食品用ポンプの吐出口から加熱用熱交換器の入口に液密的に流すステップと、
濃縮液体食品を、コイル型管状加熱用熱交換器の入口から送入し、入口から出口まで管状交換壁からなる流路内を介して、液密的に流して加熱するステップと、
第2流路を介して、加熱された濃縮液体食品を加熱用熱交換器の出口から冷却用熱交換器の入口に液密的に流すステップと、
希釈水用ポンプを介して、除菌/滅菌された冷却希釈水を送出するステップと、
第4流路を介して、希釈水用ポンプの吐出口から第2流路の合流点に冷却希釈水を液密的に流すステップと、
液体食品を、冷却用熱交換器の入口から送入し、入口から出口まで交換壁からなる流路内を介して、液密的に流して冷却するステップと、
第3流路を介して、冷却された液体食品を、冷却用熱交換器の出口から貯留槽の入口に液密的に流すステップと、
製品液体食品用貯留槽で、冷却されて還元された液体食品製品を一時的に貯留するステップ。
【0011】
この発明の好ましい態様にいて、冷却用熱交換器が、管状交換壁からなる流路を備えるコイル型管状加熱用熱交換器である。
【0012】
この発明の好ましい態様にいて、第5流路を介して、希釈水用ポンプの吐出口から第1流路の合流点に冷却希釈水を液密的に流すステップを含む。
【発明の効果】
【0013】
上記構成の本発明によれば、以下の作用機能を発揮し、有利な効果が得られる。
本発明の液体食品用加熱滅菌では、まず、還元される前の濃縮液体食品と、除菌/滅菌された冷却希釈水と、を準備する。
液体食品には、加工乳製品、さのう、パルプなどの固形入り果汁/野菜ジュース、ミネラルウォーター、スープ、ソース、トマトペースト、カスタード・デザート、フルーツ加工品、野菜ピューレ、ベビーフードなどがある。
除菌/滅菌された冷却希釈水は、水道水、井戸水、湧き水などを水処理して除菌膜などでロ過除菌して得た水、若しくは、同様に水処理してUVなどで殺菌し得た水である。
濃縮液体食品と冷却希釈水とを準備することによって、液体食品用加熱滅菌のステップへ、進めることができる。
【0014】
本発明の加熱滅菌では、濃縮液体食品を液体食品用ポンプに送入して吐出口から送出する。
液体食品用ポンプが、所定の吐出圧力で、例えば定量的に、濃縮液体食品を加熱滅菌システム系内に送入し、熱処理することができる。
【0015】
本発明の加熱滅菌では、第1流路を介して、濃縮液体食品を液体食品用ポンプの吐出口から加熱用熱交換器の入口に液密的に流す。
例えば定量的に、濃縮液体食品を、液体食品用ポンプの吐出圧力によって、加熱用熱交換器に液密的に搬送することができる。
【0016】
本発明の加熱滅菌では、濃縮液体食品を、コイル型管状加熱用熱交換器の入口から送入し、入口から出口まで管状交換壁からなる流路内を介して、液密的に流して加熱する。
間接加熱の熱交換器では、交換壁を挟んで、熱(冷却)媒体と被熱処理物(液体食品)とが熱エネルギーを授受する。この発明では、螺旋状になった管状交換壁の入口から出口までを、液体食品が移動する間に液体食品を加熱することができる。
間接加熱であるので、高温の熱媒体に直接に触れることによる食品ダメージを避けることができる。
交換壁が螺旋状かつ管状であるので、粘度の高い食品、固形物を含む食品でも、詰まることなく、器壁に付着することなくスムーズに移動して均一に熱処理することができる。
【0017】
本発明の加熱滅菌では、第2流路を介して、加熱された濃縮液体食品を加熱用熱交換器の出口から冷却用熱交換器の入口に液密的に流す。
加熱された濃縮液体食品を、液体食品用ポンプの吐出圧力によって、冷却用熱交換器に液密的に搬送することができる。
【0018】
本発明の加熱滅菌では、希釈水用ポンプを介して、除菌/滅菌された冷却希釈水を送出し、第4流路を介して、希釈水用ポンプの吐出口から第2流路の合流点に冷却希釈水を液密的に流す。
冷却希釈水を、希釈水用ポンプの吐出圧力によって、第4流路を介して、第2流路の合流点に液密的に搬送することができる。第2流路の合流点で、冷却希釈水は、第2流路を介した加熱濃縮液体食品と混合し、この混合によって、直接的に冷却されることができる。
直接冷却によって、熱交換に要する時間を短くすることができ、食品が高温域に留まる時間も短くすることができ、高温による食品の品質へのダメージを低減することができる。
【0019】
本発明の加熱滅菌では、液体食品を、冷却用熱交換器の入口から送入し、入口から出口まで交換壁からなる流路内を介して、液密的に流して冷却する。
間接冷却の熱交換器では、交換壁を挟んで、冷却媒体と被熱処理物(液体食品)とが熱エネルギーを授受する。この発明の好ましい態様では、螺旋状になった管状交換壁の入口から出口までを、液体食品が移動する間に液体食品を冷却することができる。
前のステップで、冷却希釈水と液体食品とが混合し、この混合によって、概ね冷却するが、冷却用熱交換器では、更に、細かく制御して所定の冷却をおこなうことができる。
好ましい態様において、交換壁が螺旋状かつ管状であるので、粘度の高い食品、固形物を含む食品でも、詰まることなく、器壁に付着することなくスムーズに移動して均一に冷却することができる。
【0020】
本発明の加熱滅菌では、第3流路を介して、冷却された液体食品を、冷却用熱交換器の出口から貯留槽の入口に液密的に流し、製品液体食品用貯留槽で、冷却されて還元された液体食品製品を一時的に貯留する。
所定の温度に冷却され、所定の濃度に還元された製品の液体食品は、製品液体食品用貯留槽(製品タンク)に、一時的に貯留し、容器に充填する準備を整えることができる。
【0021】
本発明の加熱滅菌の好ましい態様において、第5流路を介して、希釈水用ポンプの吐出口から第1流路の合流点に冷却希釈水を液密的に流す。
本発明の加熱滅菌では、第1流路を介して、濃縮液体食品を、液体食品用ポンプの吐出圧力によって、加熱用熱交換器に液密的に搬送し、その途中で、粘度を低下させるために、部分的希釈することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明による液体食品用加熱滅菌装置を概略的に示す概略図である。
図2】この発明による一実施例の液体食品用加熱滅菌方法(A)と比較例の方法(B)との工程を概略的に示す概略プロセス図である。
図3】この発明による一実施例の液体食品用加熱滅菌方法と、直接加熱滅菌法と、従来の間接加熱滅菌法とによる、製品の熱履歴(時間ー製品温度の関係)を概略的に示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示す態様の液体食品用加熱滅菌装置は、還元される前の濃縮液体食品1を送出する液体食品用ポンプ2と、入口3、出口4、この入口3及び出口4間を液密的に流す管状交換壁5からなる流路6を備えるコイル型管状加熱用熱交換器7と、入口8、出口9、この入口8及び出口9間を液密的に流す交換壁10からなる流路11を備える冷却用熱交換器12と、冷却されて還元された液体食品製品13を一時的に貯留する製品液体食品用貯留槽14と、除菌/滅菌された冷却希釈水15を送出する希釈水用ポンプ16と、液体食品用ポンプの吐出口17と加熱用熱交換器7の入口3とを液密的に連通させる第1流路18と、加熱用熱交換器7の出口4と冷却用熱交換器12の入口8とを液密的に連通させる第2流路19と、冷却用熱交換器12の出口9と貯留槽14の入口20とを液密的に連通させる第3流路21と、希釈水用ポンプ16の吐出口22と第2流路19の合流点23とを液密的に連通させる第4流路24とを備える。
【0024】
図1に示す態様の液体食品用加熱滅菌装置は、以下のように、動作する。
この態様の液体食品用加熱滅菌では、まず、還元される前の濃縮液体食品1と、除菌/滅菌された冷却希釈水15とを準備する。
この態様の液体食品は、例えば、コーヒ、加工乳製品、さのうやパルプなどの固形入り果汁/野菜ジュース、ミネラルウォーター、スープ、ソース、トマトペースト、カスタード・デザート、フルーツ加工品、野菜ピューレ、ベビーフードなどがある。
この態様の除菌/滅菌された冷却希釈水は、水道水、井戸水、湧き水などを水処理して除菌膜などでロ過除菌して得た水、若しくは、同様に水処理してUVなどで殺菌し得た水である。冷却希釈水の温度は、適宜変更できるが、例えば、2〜3℃である。
【0025】
この態様の加熱滅菌では、濃縮液体食品1を液体食品用ポンプ2に送入して吐出口17から送出する。
液体食品用アセプテック定量ポンプ2が、所定の吐出圧力で、例えば所定時間に容量100で、濃縮液体食品を加熱滅菌システム系内に送入し、熱処理に供する。
【0026】
この態様の加熱滅菌では、第1流路18を介して、濃縮液体食品1を液体食品用ポンプ2の吐出口17から加熱用熱交換器7の入口3に液密的に流す。
例えば所定時間に容量100で、濃縮液体食品1を、液体食品用ポンプ2の吐出圧力によって、加熱用熱交換器7に液密的に搬送する。
【0027】
この態様の加熱滅菌では、濃縮液体食品1を、コイル型管状加熱用熱交換器7の入口3から送入し、入口3から出口4まで管状交換壁5からなる流路6内を介して、液密的に流して加熱する。
この熱交換器7では、交換壁5を挟んで、熱媒体26と被熱処理物(液体食品1)とが熱エネルギーを授受する。螺旋状になった管状交換壁5の入口から出口までを、液体食品が移動する間に液体食品を加熱する。この態様では、液体食品1は95.5℃に加熱される。回収された熱媒体26は、高温の蒸気27で再び加熱される。
間接加熱であるので、高温の熱媒体に直接に触れることによる食品ダメージを避ける。また、交換壁5が螺旋状かつ管状であるので、粘度の高い食品、固形物を含む食品でも、詰まることなく、器壁に付着することなくスムーズに移動して均一に熱処理する。
【0028】
この態様の加熱滅菌では、第2流路19を介して、加熱された濃縮液体食品1を加熱用熱交換器7の出口4から冷却用熱交換器12の入口8に液密的に流す。
加熱された濃縮液体食品1を、液体食品用ポンプの吐出圧力によって、冷却用熱交換器12に液密的に搬送する。
【0029】
この態様の加熱滅菌では、希釈水用ポンプ16を介して、除菌/滅菌された冷却希釈水15を送出し、第4流路24を介して、希釈水用ポンプ16の吐出口22から第2流路19の合流点23に冷却希釈水15を液密的に流す。
冷却希釈水15を、希釈水用ポンプ16の吐出圧力によって、第4流路24を介して、第2流路19の合流点23に液密的に搬送する。第2流路の合流点23で、冷却希釈水15は、第2流路19を介した加熱濃縮液体食品1と混合し、この混合によって、直接的に冷却される。
冷却希釈水15の温度は、この態様では、2〜3℃である。また、液体食品1の温度は95.5℃である。冷却希釈水15の容量は、所定時間に容量400であり、液体食品1の容量は、上述のように、所定時間に容量100である。従って、混合後の容量は500(=100+400)であり、温度は20℃となる。
この直接冷却によって、熱交換に要する時間を短くすることができ、食品が高温域に留まる時間も短くし、高温による食品の品質へのダメージを低減する。
【0030】
この態様の加熱滅菌では、液体食品1を、冷却用熱交換器12の入口8から送入し、入口8から出口9まで交換壁10からなる流路11内を介して、液密的に流して冷却する。
この熱交換器12では、交換壁10を挟んで、冷却媒体と被熱処理物(液体食品1)とが熱エネルギーを授受する。この態様では、螺旋状になった管状交換壁の入口から出口までを、液体食品が移動する間に液体食品を冷却する。
前のステップの交流点23で、低温の冷却希釈水15と高温の液体食品1とが混合し、この混合によって、概ね冷却する。この冷却用熱交換器12では、更に、細かく制御して所望の冷却をおこなう。
【0031】
この態様の加熱滅菌では、第3流路21を介して、冷却された液体食品1を、冷却用熱交換器12の出口9から貯留槽14の入口20に液密的に流し、製品液体食品用貯留槽14で、冷却されて還元された液体食品製品1を一時的に貯留する。
所定の温度に冷却され、所定の濃度に還元された製品の液体食品は、製品液体食品用貯留槽(製品タンク)に、一時的に貯留し、容器に充填する準備を整える。
【0032】
この態様の加熱滅菌の態様において、第5流路28を介して、希釈水用ポンプ16の吐出口22から第1流路18の合流点29に冷却希釈水を液密的に流す。
この態様の加熱滅菌では、第1流路18を介して、濃縮液体食品1を、液体食品用ポンプの吐出圧力によって、加熱用熱交換器7に液密的に搬送し、その途中で熱回収後に、粘度を低下させるために、部分的希釈する。
【0033】
図2に、一実施例の液体食品用加熱滅菌方法(A)と比較例の方法(B)との工程を概略的なプロセスに示す。
この実施例では、還元される前の濃縮液体食品100容量と、除菌/滅菌された冷却希釈水400容量とを準備する。濃縮液体食品100容量を、コイル型管状加熱用熱交換器で加熱する。濃縮液体食品100容量を、除菌/滅菌された冷却希釈水400容量で希釈する。希釈液体食品500容量を、冷却する。冷却されて還元された液体食品製品を一時的に貯留する。
比較例では、還元される前の濃縮液体食品100容量と、希釈水400容量で希釈する。希釈液体食品500容量を、加熱用熱交換器で加熱する。加熱還元液体食品500容量を、冷却する。冷却されて還元された液体食品製品を一時的に貯留する。
比較例では、大容量(500)を、加熱し、冷却するので、長時間液体食品が熱にさらされ、熱負荷が高い。熱負荷が高いので品質に悪影響し、例えば、異臭が生じる恐れがある。
実施例では、濃縮液体食品のみを加熱するので、熱負荷が低く、加熱に要するエネルギーの使用量が少ない。急速に加熱し急速に冷却するので、熱負荷が低く、高品質を維持できる。
【0034】
図3に熱履歴(時間ー製品温度の関係)を概略的に示す。実施例の液体食品用加熱滅菌方法では、図3に示すように、a−e−f−h−iの熱履歴(時間ー製品温度の関係)を示す。直接加熱滅菌法では、図3に示すように、a−b−c−d−g−h−iの熱履歴(時間ー製品温度の関係)を示す。従来の間接加熱滅菌法では、図3に示すように、a−e−f−iの熱履歴(時間ー製品温度の関係)を示す。
直接加熱滅菌方法では、熱履歴が短い。従来の間接加熱滅菌方法では、熱回収/冷却を熱交換器で行なうので、冷却に時間を要し、熱履歴が長い。
この発明による間接加熱滅菌方法では、加熱後に直接に殺菌水で冷却するので、従来の間接加熱滅菌方法に比べて、熱履歴を短縮することができる。
【0035】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明は、液体食品の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ・・ 液体食品
2 ・・ 液体食品用ポンプ
3 ・・ 入口
4 ・・ 出口
5 ・・ 管状交換壁
6 ・・ 流路
7 ・・ コイル型管状加熱用熱交換器
8 ・・ 入口
12 ・・ 冷却用熱交換器
13 ・・ 液体食品製品
14 ・・ 製品液体食品用貯留槽
15 ・・ 冷却希釈水
16 ・・ 希釈水用ポンプ
23 ・・ 合流点
図1
図2
図3