特許第5939802号(P5939802)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5939802レンズ駆動装置およびレンズ駆動装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939802
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置およびレンズ駆動装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   G02B7/04 D
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-3875(P2012-3875)
(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公開番号】特開2013-142848(P2013-142848A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】新宮 祐二
【審査官】 井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−058732(JP,A)
【文献】 特開2006−227100(JP,A)
【文献】 特開2008−122643(JP,A)
【文献】 特開2010−097016(JP,A)
【文献】 特開2008−083541(JP,A)
【文献】 特開2010−217665(JP,A)
【文献】 特開2009−080329(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/040250(WO,A1)
【文献】 特開2011−085667(JP,A)
【文献】 特開2010−276850(JP,A)
【文献】 国際公開第02/052624(WO,A1)
【文献】 登録実用新案第3118255(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、前記可動体を前記光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、前記可動体と前記固定体とを繋ぐバネ部材とを備え、
前記バネ部材は、前記可動体に固定される可動体固定部と、前記固定体に固定される固定体固定部と、前記可動体固定部と前記固定体固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えるとともに、前記光軸方向における前記可動体の基準位置に向かって前記可動体を付勢し、
前記可動体は、前記可動体固定部が固定される可動側バネ固定部を備え、
前記固定体は、前記固定体固定部が固定される固定側バネ固定部を備え、
前記可動側バネ固定部に、前記可動体固定部に向かって突出し前記可動体固定部に当接する可動側突起部が形成されるとともに、前記可動体固定部と前記可動側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって前記可動側突起部と前記可動体固定部とが接着固定されていること、および/または、前記固定側バネ固定部に、前記固定体固定部に向かって突出し前記固定体固定部に当接する固定側突起部が形成されるとともに、前記固定体固定部と前記固定側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって前記固定側突起部と前記固定体固定部とが接着固定されていることを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記可動側突起部および/または前記固定側突起部は、略柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記可動側突起部および/または前記固定側突起部は、略円柱状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記可動側バネ固定部に、複数の前記可動側突起部が形成され、
複数の前記可動側突起部のそれぞれは、前記可動体固定部の、前記腕部との連結部である可動側連結部のそれぞれに当接するように、または、前記可動側連結部のそれぞれの近傍に当接するように配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記可動体固定部は、略円環状に形成され、
前記可動側バネ固定部は、前記可動体の外周側に略円環状に形成され、
前記可動側バネ固定部に、前記可動側突起部が形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記固定側バネ固定部に、複数の前記固定側突起部が形成され、
複数の前記固定側突起部のそれぞれは、前記固定体固定部の、前記腕部との連結部である固定側連結部のそれぞれに当接するように、または、前記固定側連結部のそれぞれの近傍に当接するように配置されていることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、
前記固定側バネ固定部および前記固定体固定部は、前記レンズ駆動装置の四隅のそれぞれに配置され、
前記固定側バネ固定部に、前記固定側突起部が形成されていることを特徴とする請求項請求項1からのいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のレンズ駆動装置の製造方法であって、
前記可動側突起部および/または前記固定側突起部は、加熱または加圧されて潰されていることを特徴とするレンズ駆動装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるレンズ駆動装置に関する。また、本発明は、かかるレンズ駆動装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等に搭載されるカメラの撮影用レンズを駆動するレンズ駆動装置として、レンズを保持して光軸方向へ移動する移動体と、移動体を光軸方向へ移動可能に保持する支持体と、移動体を光軸方向へ駆動するための駆動用コイルおよび駆動用磁石とを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、移動体に駆動用コイルが取り付けられ、支持体に駆動用磁石が取り付けられている。
【0003】
また、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、移動体の光軸方向の両端側に配置される板バネによって、移動体と支持体とが繋がれている。移動体の光軸方向の両端側に配置される板バネのうち、被写体側に配置される板バネは、移動体に固定される円環状の第1固定部と、支持体に固定される4個の第2固定部と、第1固定部と第2固定部とを繋ぐ4本の腕部とを備えている。移動体の、第1固定部が固定される部分と、第1固定部との間には、円環状の磁性部材が配置されている。被写体側に配置される板バネは、その腕部が撓んだ状態で、移動体および支持体に固定されており、この板バネの付勢力によって、移動体は、光軸方向における移動体の基準位置に向かって付勢されている。
【0004】
なお、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、移動体の、第1固定部が固定される部分と第1固定部との間に配置される磁性部材と、支持体に固定される駆動用磁石との間に、磁気的な吸引力が作用しており、被写体側に配置される板バネの付勢力に加え、この磁気的な吸引力によっても、光軸方向における移動体の基準位置に向かって移動体が付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−275952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、被写体側に配置される板バネの腕部が撓んだ状態でこの板バネが移動体および支持体に固定されているため、光軸方向における移動体の基準位置に向かって移動体が付勢されている。ここで、被写体側に配置される板バネのバネ特性がばらついて、板バネによる移動体の付勢力がばらついた場合、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、移動体の、第1固定部が固定される部分と第1固定部との間に磁性部材が配置されているため、この磁性部材の厚みを調整することで、板バネによる移動体の付勢力を調整して、移動体の付勢力のばらつきを抑制することが可能である。しかしながら、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、磁性部材がないと、板バネによる移動体の付勢力を調整することができず、その結果、移動体の付勢力のばらつきを抑制することができない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、可動体と固定体とを繋ぐバネ部材のバネ特性がばらついても、簡易な構成で、バネ部材による可動体の付勢力を調整して、バネ部材による可動体の付勢力のばらつきを抑制することが可能なレンズ駆動装置を提供することにある。また、本発明の課題は、かかるレンズ駆動装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ駆動装置は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、可動体と固定体とを繋ぐバネ部材とを備え、バネ部材は、可動体に固定される可動体固定部と、固定体に固定される固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ複数の腕部とを備えるとともに、光軸方向における可動体の基準位置に向かって可動体を付勢し、可動体は、可動体固定部が固定される可動側バネ固定部を備え、固定体は、固定体固定部が固定される固定側バネ固定部を備え、可動側バネ固定部に、可動体固定部に向かって突出し可動体固定部に当接する可動側突起部が形成されるとともに、可動体固定部と可動側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって可動側突起部と可動体固定部とが接着固定されていること、および/または、固定側バネ固定部に、固定体固定部に向かって突出し固定体固定部に当接する固定側突起部が形成されるとともに、固定体固定部と固定側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって固定側突起部と固定体固定部とが接着固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のレンズ駆動装置では、可動体は、可動体と固定体とを繋ぐ板バネの可動体固定部が固定される可動側バネ固定部を備え、固定体は、板バネの固定体固定部が固定される固定側バネ固定部を備えている。また、本発明では、可動体固定部に当接する可動側突起部が可動側バネ固定部に形成されるか、または、固定体固定部に当接する固定側突起部が固定側バネ固定部に形成されている。あるいは、可動側バネ固定部に可動側突起部が形成されるとともに、固定側バネ固定部に固定側突起部が形成されている。
【0010】
そのため、本発明では、バネ部材のバネ特性がばらついても、可動側突起部および/または固定側突起部の突出量を調整することで(すなわち、可動体および/または固定体の一部を利用して)、バネ部材による可動体の付勢力を調整することが可能になる。したがって、本発明では、特許文献1に記載のレンズ駆動装置のように、磁性部材を備えていなくても、バネ部材による可動体の付勢力を調整して、バネ部材による可動体の付勢力のばらつきを抑制することが可能になる。すなわち、本発明では、可動体と固定体とを繋ぐバネ部材のバネ特性がばらついても、可動体や固定体の一部を利用するといった簡易な構成で、バネ部材による可動体の付勢力を調整して、バネ部材による可動体の付勢力のばらつきを抑制することが可能になる。また、本発明では、可動体固定部と可動側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって可動側突起部と可動体固定部とが接着固定されているか、または、固定体固定部と固定側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって固定側突起部と固定体固定部とが接着固定されている。あるいは、可動体固定部と可動側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって可動側突起部と可動体固定部とが接着固定されるとともに、固定体固定部と固定側バネ固定部との間に塗布された接着剤によって固定側突起部と固定体固定部とが接着固定されている。そのため、可動側突起部と可動体固定部とを確実に当接させることが可能になる。したがって、可動側突起部の突出量を調整することで、腕部の撓み量を適切に調整することが可能になり、その結果、バネ部材による可動体の付勢力を適切に調整することが可能になる。あるいは、固定側突起部と固定体固定部とを確実に当接させることが可能になる。したがって、固定側突起部の突出量を調整することで、バネ部材の付勢力を適切に調整することが可能になる。
【0011】
本発明において、可動側突起部および/または固定側突起部は、略柱状に形成されていることが好ましい。たとえば、可動側突起部および/または固定側突起部は、略円柱状に形成されていることが好ましい。このように構成すると、可動側突起部や固定側突起部の突出量の調整作業が容易になる。
【0013】
本発明において、可動側バネ固定部に、複数の可動側突起部が形成され、複数の可動側突起部のそれぞれは、可動体固定部の、腕部との連結部である可動側連結部のそれぞれに当接するように、または、可動側連結部のそれぞれの近傍に当接するように配置されていることが好ましい。このように構成すると、バネ部材の付勢力を発生させる腕部との連結部である可動体固定部の可動側連結部、または、可動側連結部の近傍に、バネ部材の付勢力を調整するための可動側突起部を当接させることができる。したがって、可動側突起部が可動側連結部から離れた位置に当接している場合と比較して、バネ部材による可動体の付勢力の調整が容易になる。
【0014】
本発明において、可動体固定部は、略円環状に形成され、可動側バネ固定部は、可動体の外周側に略円環状に形成され、可動側バネ固定部に、可動側突起部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、光軸方向に直交する方向において、可動側バネ固定部と可動体固定部とを容易に位置決めすることが可能になり、その結果、可動側突起部と可動体固定部とを容易に位置決めすることが可能になる。
【0016】
本発明において、固定側バネ固定部に、複数の固定側突起部が形成され、複数の固定側突起部のそれぞれは、固定体固定部の、腕部との連結部である固定側連結部のそれぞれに当接するように、または、固定側連結部のそれぞれの近傍に当接するように配置されていることが好ましい。このように構成すると、バネ部材の付勢力を発生させる腕部との連結部である固定体固定部の固定側連結部、または、固定側連結部の近傍に、バネ部材の付勢力を調整するための固定側突起部を当接させることができる。したがって、固定側突起部が固定側連結部から離れた位置に当接している場合と比較して、バネ部材の付勢力の調整が容易になる。
【0017】
本発明において、レンズ駆動装置は、光軸方向から見たときの形状が略四角形状となるように形成され、固定側バネ固定部および固定体固定部は、レンズ駆動装置の四隅のそれぞれに配置され、固定側バネ固定部に、固定側突起部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、比較的広いスペースを確保することが可能なレンズ駆動装置の四隅に固定側突起部を配置することができるため、固定側バネ固定部に複数の固定側突起部を形成したり、様々な形状の固定側突起部を形成したりすることが可能になる。
【0018】
本発明のレンズ駆動装置の製造方法では、可動側突起部および/または固定側突起部は、たとえば、加熱または加圧されて潰されている。この場合には、加熱または加圧によって、可動側突起部や固定側突起部の突出量を微調整して、バネ部材による可動体の付勢力を微調整することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明のレンズ駆動装置では、可動体と固定体とを繋ぐバネ部材のバネ特性がばらついても、簡易な構成で、バネ部材による可動体の付勢力を調整して、バネ部材による可動体の付勢力のばらつきを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置の斜視図である。
図2図1のE−E断面の断面図である。
図3図1に示すレンズ駆動装置の分解斜視図である。
図4図3に示す板バネの平面図である。
図5図3に示すスペーサを反被写体側から示す斜視図である。
図6図3に示すスリーブの斜視図である。
図7図2のF部の構成を説明するための拡大図である。
図8】本発明の他の実施の形態にかかるスペーサを反被写体側から示す斜視図である。
図9図8に示すスペーサを用いたときの図2のF部に相当する構成を説明するための拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(レンズ駆動装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の斜視図である。図2は、図1のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。なお、以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0023】
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、図1に示すように、全体として略四角柱状に形成されている。具体的には、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0024】
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態のレンズ駆動装置1が搭載されるカメラでは、下側に図示を省略する撮像素子が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0025】
レンズ駆動装置1は、図1図2に示すように、撮影用のレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体2と、可動体2を光軸方向へ移動可能に保持する固定体3と、可動体2を光軸方向へ駆動するための駆動機構4とを備えている。また、レンズ駆動装置1は、図2図3に示すように、可動体2と固定体3とを繋ぐ板バネ5、6を備えている。すなわち、可動体2は、板バネ5、6を介して固定体3に移動可能に保持されている。本形態では、板バネ5が可動体2の上端側に配置され、板バネ6が可動体2の下端側に配置されている。
【0026】
可動体2は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ7を保持するスリーブ8を備えている。固定体3は、レンズ駆動装置1の側面の上端側部分を構成するカバー部材10と、レンズ駆動装置1の側面の下端側部分およびレンズ駆動装置1の下端面を構成するベース部材11と、板バネ5の一部が固定されるスペーサ12とを備えている。ベース部材11には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル20へ電流を供給するための一対の給電端子13、14が固定されている。なお、図3では、レンズホルダ7の図示を省略している。
【0027】
レンズホルダ7は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ7の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ8は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ8は、光軸方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、光軸方向から見たときの外周面の形状が略四角形状となる略筒状に形成されている。このスリーブ8は、その内周側でレンズホルダ7を保持している。スリーブ8の下端には、ベース部材11に形成される後述の基準面11bに当接して、光軸方向における可動体2の基準位置を決める突起部8aが下方向へ突出するように形成されている。突起部8aは、光軸Lを略中心とする90°ピッチで4箇所に形成されている。また、スリーブ8には、板バネ5を構成する後述の可動体固定部5aが固定されている。スリーブ8の、可動体固定部5aが固定される部分の構成については後述する。
【0028】
カバー部材10は、磁性を有する金属材料で形成されている。また、カバー部材10は、底部10aと筒部10bとを有する底付きの略四角筒状に形成されている。上側に配置される底部10aの中心には、貫通孔10cが形成されている。このカバー部材10は、可動体2および駆動機構4の外周側を覆っている。
【0029】
ベース部材11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。また、ベース部材11は、光軸方向から見たときの形状が略正方形となるブロック状に形成されている。このベース部材11は、カバー部材10の下端側に取り付けられている。ベース部材11の中心には、貫通孔11aが形成されている。また、ベース部材11の上面には、光軸方向における可動体2の基準位置を決めるための基準面11bが、光軸方向に直交する平面状に形成されている。基準面11bは、光軸Lを略中心とする90°ピッチで4箇所に形成されている。本形態では、スリーブ8の突起部8aの下端面が基準面11bに当接しているときに、可動体2は、光軸方向の基準位置にある。
【0030】
スペーサ12は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略正方形の扁平なブロック状に形成されている。また、スペーサ12は、枠状に形成されており、その中心には、貫通孔が形成されている。このスペーサ12は、カバー部材10の底部10aの下面に固定されている。スペーサ12には、板バネ5を構成する後述の固定体固定部5bが固定されている。スペーサ12の、固定体固定部5bが固定される部分の構成については後述する。
【0031】
板バネ5は、金属材料によって板状に形成されている。この板バネ5は、スリーブ8の上端側に固定される可動体固定部5aと、スペーサ12に固定される4個の固定体固定部5bと、可動体固定部5aと固定体固定部5bとを繋ぐ4本の腕部5cとを備えている。板バネ5の詳細な構成については後述する。なお、本形態の板バネ5は、可動体2と固定体3とを繋ぐバネ部材である。
【0032】
板バネ6は、互いに電気的に分離された2個のバネ片15、16によって構成されている。バネ片15、16は、導電性を有する金属材料によって板状に形成されている。バネ片15、16は、スリーブ8の下端側に固定される可動体固定部と、ベース部材11に固定される2個の固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ2本の腕部とを備えている。バネ片15、16には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル20の端部が電気的に接続されている。バネ片15、16は、その厚み方向と光軸方向とが略一致するように、スリーブ8およびベース部材11に固定されている。また、バネ片15、16は、後述の駆動用コイル20に電流が供給されていないときに、バネ片15、16による可動体2の付勢力が生じないように、スリーブ8およびベース部材11に固定されている。
【0033】
給電端子13、14は、導電性を有する金属材料によって形成されている。給電端子13には、バネ片15が電気的に接続され、給電端子14には、バネ片16が電気的に接続されている。給電端子13、14は、ベース部材11の前面側に固定されている。
【0034】
駆動機構4は、スリーブ8の外周側に巻回される2個の駆動用コイル20と、レンズ駆動装置1の4つの側面のそれぞれに沿って配置される駆動用磁石21とを備えている。2個の駆動用コイル20は、光軸方向に所定の間隔をあけた状態で、スリーブ8の外周面に巻回されている。本形態では、1本の導線がスリーブ8の外周面に巻回されることで2個の駆動用コイル20が形成されている。駆動用磁石21は、略矩形の板状に形成されている。駆動用磁石21は、駆動用コイル20の外周面に対向するようにカバー部材10の筒部10bの内側面に固定されている。本形態のカバー部材10は、磁気回路を形成するためのヨークの機能を果たしている。
【0035】
(板バネ、スリーブおよびスペーサの構成)
図4は、図3に示す板バネ5の平面図である。図5は、図3に示すスペーサ12を反被写体側から示す斜視図である。図6は、図3に示すスリーブ8の斜視図である。図7は、図2のF部の構成を説明するための拡大図である。
【0036】
板バネ5は、上述のように、可動体固定部5aと4個の固定体固定部5bと4本の腕部5cとを備えている。可動体固定部5aは、円環状に形成されている。固定体固定部5bは、略長方形状に形成されている。4個の固定体固定部5bは、可動体固定部5aよりも外周側に配置されている。また、4個の固定体固定部5bのそれぞれは、レンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに配置されている。固定体固定部5bには、板バネ5を位置決めするための丸孔状の位置決め孔5dが固定体固定部5bを貫通するように形成されている。腕部5cは、板バネ5の所望のバネ特性を得ることができるように形成されている。具体的には、腕部5cは、略1/4円弧状に形成されている。
【0037】
図4に示すように、右前の隅に配置される固定体固定部5bには、その略後ろ側で腕部5cが連結されており、右前の隅に配置される固定体固定部5bの略後ろ側に、腕部5cとの連結部である固定側連結部5eが形成されている。右後ろの隅に配置される固定体固定部5bには、その略左側で腕部5cが連結されており、右後ろの隅に配置される固定体固定部5bの略左側に、腕部5cとの連結部である固定側連結部5fが形成されている。左後ろの隅に配置される固定体固定部5bには、その略前側で腕部5cが連結されており、左後ろの隅に配置される固定体固定部5bの略前側に、腕部5cとの連結部である固定側連結部5gが形成されている。左前の隅に配置される固定体固定部5bには、その略右側で腕部5cが連結されており、左前の隅に配置される固定体固定部5bの右側に、腕部5cとの連結部である固定側連結部5hが形成されている。
【0038】
また、可動体固定部5aの、腕部5cとの連結部である可動側連結部5kは、固定側連結部5eの後ろ側、固定側連結部5fの左側、固定側連結部5gの前側、および、固定側連結部5hの右側の4箇所に形成されている。また、4個の可動側連結部5kは、光軸Lを略中心とする90°ピッチで可動体固定部5aに形成されている。
【0039】
スペーサ12は、上述のように、略正方形の扁平なブロック状に形成されている。スペーサ12の四隅のそれぞれには、板バネ5の固定体固定部5bが固定される固定側バネ固定部としてのバネ固定部12aが形成されている。バネ固定部12aは、レンズ駆動装置1の四隅のそれぞれに配置されている。バネ固定部12aの下面側には、図5に示すように、固定体固定部5bの上面が固定されるバネ固定面12bが形成されている。バネ固定面12bは、光軸方向に略直交する平面状に形成されている。
【0040】
バネ固定面12bには、固定体固定部5bの上面が当接しており、固定体固定部5bは、バネ固定面12bの下側に配置されている。また、バネ固定面12bには、固定体固定部5bの位置決め孔5dに挿入される位置決め用突起部12cが下方向へ突出するように形成されている。位置決め用突起部12cは、扁平な略円柱状に形成されている。固定体固定部5bは、バネ固定面12bに固定されている。具体的には、固定体固定部5bは、バネ固定面12bに接着固定されている。
【0041】
スリーブ8の上端側には、板バネ5の可動体固定部5aが固定される可動側バネ固定部としてのバネ固定部8bが形成されている。バネ固定部8bは、スリーブ8の上端側部分の外周側に形成されている。すなわち、バネ固定部8bは、可動体2の上端側部分の外周側に形成されている。また、バネ固定部8bは、略円環状に形成されている。バネ固定部8bの上面8cは、光軸方向に略直交する平面状に形成されている。可動体固定部5aは、バネ固定部8bの上面8cの上側に配置されている。なお、スリーブ8の円周方向における所定の範囲には、スリーブ8の上端から下端側に向かって切り欠かれた切欠き部8dが形成されており、この切欠き部8dによって、スリーブ8の円周方向におけるバネ固定部8bの所定の範囲も切り欠かれている。
【0042】
バネ固定部8bの上面8cには、上方向へ突出する可動側突起部としての突起部8eが形成されている。すなわち、上面8cには、可動体固定部5aに向かって突出する突起部8eが形成されている。突起部8eは、略柱状に形成されている。具体的には、突起部8eは、略円柱状に形成されている。また、突起部8eは、光軸Lを略中心とする90°ピッチで4箇所に形成されている。
【0043】
可動体固定部5aは、バネ固定部8bの上面8c側に固定されている。具体的には、可動体固定部5aは、その下面に突起部8eの上端(先端)が当接した状態で、突起部8eに固定されている。また、可動体固定部5aは、突起部8eの上端に当接する可動体固定部5aの下面とバネ固定部8bの上面8cとの間に塗布される接着剤によって、突起部8eに接着固定されている。また、4個の突起部8eの上端のそれぞれは、可動体固定部5aの4個の可動側連結部5kのそれぞれの下面に当接している(図4の破線参照)。
【0044】
図7に示すように、スペーサ12のバネ固定面12bは、可動体2の可動範囲において、常時、突起部8eの上端よりも下側に配置されており、板バネ5は、腕部5cが常時、撓んでいる状態で、スリーブ8およびスペーサ12に固定されている。そのため、可動体2は、板バネ5の付勢力によって、常時、下方向へ付勢されている。すなわち、可動体2は、駆動用コイル20に電流が供給されていないときであっても、板バネ5の付勢力によって、スリーブ8の突起部8aの下端面がベース部材11の基準面11bに当接する可動体2の光軸方向の基準位置に向かって付勢されている。
【0045】
本形態では、板バネ5のバネ特性のばらつきが生じても、板バネ5による可動体2の付勢力を調整して、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制するため、レンズ駆動装置1の組立時に、突起部8eの高さ(すなわち、上面8cからの突起部8eの突出量)が調整されている。具体的には、レンズ駆動装置1の組立時に、突起部8eを加熱または加圧して潰すことで、突起部8eの高さが調整されている。たとえば、レンズ駆動装置1の組立時に、突起部8eは数十μm程度潰される。
【0046】
同じ生産ロットで生産された板バネ5のバネ特性はある程度、安定していると推定される。そのため、本形態では、ある板バネ5が用いられるレンズ駆動装置1の可動体2の付勢力を測定して、突起部8eの高さの調整量(すなわち、突起部8eの潰し量)を決定するとともに、この板バネ5と生産ロットが同じ板バネ5が用いられるレンズ駆動装置1では、決定された潰し量と同じ潰し量で突起部8eが潰される。なお、レンズ駆動装置1ごとに板バネ5による可動体2の付勢力を測定して、レンズ駆動装置1ごとに突起部8eの潰し量を決定しても良い。
【0047】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、スリーブ8のバネ固定部8bに、板バネ5の可動体固定部5aに当接する突起部8eが形成されている。また、本形態では、板バネ5のバネ特性のばらつきが生じても、板バネ5による可動体2の付勢力を調整して、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制するため、レンズ駆動装置1の組立時に、突起部8eの高さが調整されている。したがって、本形態では、特許文献1に記載のレンズ駆動装置のように、磁性部材を備えていなくても、突起部8eの高さを調整することで、板バネ5による可動体2の付勢力を調整して、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制することが可能になる。すなわち、本形態では、板バネ5のバネ特性がばらついても、スリーブ8の一部を利用するといった簡易な構成で、板バネ5による可動体2の付勢力を調整して、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制することが可能になる。その結果、本形態では、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制することが可能であっても、レンズ駆動装置1の部品点数を削減して、レンズ駆動装置1のコストを削減することが可能になる。
【0048】
なお、特許文献1に記載のレンズ駆動装置で使用される磁性部材は、非常に薄い部品であるため、この磁性部材を用いて、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制しようとすると、レンズ駆動装置1の組立時に、磁性部材が変形したり損傷するといった問題が生じるが、本形態では、かかる問題の発生を防止することができる。
【0049】
本形態では、突起部8eは、略円柱状に形成されている。そのため、たとえば、略円環状に形成されるバネ固定部8bの全周に亘って略円環状の突起部8eが形成されている場合と比較して、突起部8eを潰しやすくなる。すなわち、本形態では、突起部8eの高さの調整作業が容易になる。また、本形態では、突起部8eは、加熱または加圧されて潰されているため、加熱または加圧によって、突起部8eの高さを微調整して、板バネ5による可動体2の付勢力を微調整することが可能になる。
【0050】
本形態では、突起部8eの上端は、可動体固定部5aの可動側連結部5kの下面に当接している。すなわち、本形態では、板バネ5の付勢力を調整するための突起部8eの上端が、板バネ5の付勢力を発生させる腕部5cとの連結部である可動体固定部5aの可動側連結部5kの下面に当接している。そのため、本形態では、突起部8eの上端が可動側連結部5kから離れた位置に当接している場合と比較して、板バネ5による可動体2の付勢力の調整が容易になる。
【0051】
本形態では、板バネ5の可動体固定部5aは、円環状に形成され、スリーブ8のバネ固定部8bは、スリーブ8の外周側に略円環状に形成されている。そのため、本形態では、前後左右方向において、バネ固定部8bと可動体固定部5aとを容易に位置決めすることが可能になり、その結果、突起部8eと可動体固定部5aとを容易に位置決めすることが可能になる。
【0052】
本形態では、突起部8eと可動体固定部5aとが接着固定されている。そのため、板バネ5の付勢力を調整するための突起部8eと可動体固定部5aとを確実に当接させることが可能になる。したがって、本形態では、突起部8eの高さを調整することで、腕部5cの撓み量を適切に調整することが可能になり、その結果、板バネ5による可動体2の付勢力を適切に調整することが可能になる。
【0053】
(スリーブおよびスペーサの変形例)
図8は、本発明の他の実施の形態にかかるスペーサ12を反被写体側から示す斜視図である。図9は、図8に示すスペーサ12を用いたときの図2のF部に相当する構成を説明するための拡大図である。
【0054】
上述した形態では、バネ固定部8bの上面8cに突起部8eが形成されている。この他にもたとえば、バネ固定部8bの上面8cに突起部8eが形成されずに、図8に示すように、スペーサ12のバネ固定面12bに下方向へ突出する(すなわち、固定体固定部5bに向かって突出する)固定側突起部としての突起部12eが形成されても良い。この場合には、たとえば、突起部12eは、略柱状に形成されている。具体的には、突起部12eは、略円柱状に形成されている。
【0055】
また、突起部12eは、4個のバネ固定面12bのそれぞれの2箇所に形成されている。固定体固定部5bは、図9に示すように、その下面に突起部12eの下端(先端)が当接した状態で、突起部12eに固定されている。また、固定体固定部5bは、突起部12eの下端に当接する固定体固定部5bの下面とバネ固定面12bとの間に塗布される接着剤によって、突起部12eに接着固定されている。また、1個のバネ固定面12bに形成される2個の突起部12eの下端は、板バネ5の周方向において、固定側連結部5e〜5hを挟んだ状態で、固定側連結部5e〜5hの下面の近傍に当接している(図4の破線参照)。なお、この場合には、可動体固定部5aは、その下面がバネ固定部8bの上面8cに当接した状態で、バネ固定部8bの上面8cに接着固定されている。
【0056】
この場合には、板バネ5のバネ特性のばらつきが生じても、板バネ5による可動体2の付勢力を調整して、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制するため、レンズ駆動装置1の組立時に、突起部12eの高さ(すなわち、バネ固定面12bからの突起部12eの突出量)が調整されている。具体的には、レンズ駆動装置1の組立時に、突起部12eを加熱または加圧して潰すことで、突起部12eの高さが調整されている。
【0057】
このように、バネ固定部8bの上面8cに突起部8eが形成されずに、スペーサ12のバネ固定面12bに突起部12eが形成される場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、この場合には、特許文献1に記載のレンズ駆動装置のように、磁性部材を備えていなくても、突起部12eの高さを調整することで、板バネ5による可動体2の付勢力を調整して、板バネ5による可動体2の付勢力のばらつきを抑制することが可能になる。また、突起部12eが略円柱状に形成されているため、たとえば、光軸方向から見たときの形状が略円弧状となるように突起部12eが形成されている場合と比較して、突起部12eを潰しやすくなる。
【0058】
また、突起部12eが加熱または加圧されて潰されているため、加熱または加圧によって、突起部12eの高さを微調整して、板バネ5による可動体2の付勢力を微調整することが可能になる。さらに、板バネ5の付勢力を調整するための突起部12eの下端が、板バネ5の付勢力を発生させる腕部5cとの連結部である固定体固定部5bの固定側連結部5e〜5hの下面の近傍に当接しているため、突起部12eの下端が固定側連結部5e〜5hから離れた位置に当接している場合と比較して、板バネ5による可動体2の付勢力の調整が容易になる。また、突起部12eと固定体固定部5bとが接着固定されているため、板バネ5の付勢力を調整するための突起部12eと固定体固定部5bとを確実に当接させることが可能になり、その結果、突起部12eの高さを調整することで、腕部5cの撓み量を適切に調整することが可能になり、板バネ5による可動体2の付勢力を適切に調整することが可能になる。
【0059】
また、バネ固定部8bの上面8cに突起部8eが形成されずに、スペーサ12のバネ固定面12bに突起部12eが形成される場合には、以下の効果を得ることができる。すなわち、比較的広いスペースを確保することが可能なレンズ駆動装置1の四隅のそれぞれにバネ固定面12bおよび固定体固定部5bが配置されているため、バネ固定面12bに複数の突起部12eを形成したり、様々な形状の突起部12eを形成したりすることが可能になる。
【0060】
なお、バネ固定部8bの上面8cに突起部8eが形成されるとともに、バネ固定面12bに突起部12eが形成されても良い。この場合には、突起部8eまたは突起部12eのいずれかを潰すことで、板バネ5による可動体2の付勢力を調整しても良いし、突起部8eおよび突起部12eの両者を潰すことで、板バネ5による可動体2の付勢力を調整しても良い。
【0061】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0062】
上述した形態では、板バネ5は、4本の腕部5cを備えている。この他にもたとえば、板バネ5は、2本または3本の腕部5cを備えていても良いし、5本以上の腕部5cを備えていても良い。
【0063】
上述した形態では、突起部8eの上端は、可動体固定部5aの可動側連結部5kの下面に当接している。この他にもたとえば、突起部8eの上端は、可動側連結部5kの下面の近傍に当接しても良い。また、突起部8eの上端は、可動体固定部5aの、可動側連結部5kから離れた箇所の下面に当接しても良い。
【0064】
上述した形態では、バネ固定部8bの上面8cに4個の突起部8eが形成されているが、バネ固定部8bの上面8cに形成される突起部8eの数は、2個または3個であっても良いし、5個以上であっても良い。たとえば、板バネ5が3本の腕部5cを備えている場合には、バネ固定部8bの上面8cに形成される突起部8eの数は、3個であっても良い。この場合には、たとえば、3個の突起部8eのそれぞれの上端は、可動体固定部5aの3個の可動側連結部5kのそれぞれの下面、または、3個の可動側連結部5kのそれぞれの下面の近傍に当接する。なお、バネ固定部8bの上面8cに形成される突起部8eの数が板バネ5の腕部5cの本数よりも多い場合にも、突起部8eの上端は、板バネ5の可動側連結部5kの下面、または、可動側連結部5kの下面の近傍に当接していることが好ましい。
【0065】
また、上述した形態では、突起部8eは、略円柱状に形成されているが、突起部8eは、略四角柱状等の多角柱状に形成されても良いし、略楕円柱状に形成されても良い。また、突起部8eは、光軸方向から見たときの形状が略円弧状になるように形成されても良いし、バネ固定部8bの全周に亘って円環状に形成されても良い。
【0066】
上述したスリーブ8およびスペーサ12の変形例では、突起部12eの下端は、固定側連結部5e〜5hの下面の近傍に当接している。この他にもたとえば、突起部12eの下端は、固定側連結部5e〜5hの下面に当接しても良いし、固定体固定部5bの、固定側連結部5e〜5hから離れた箇所の下面に当接しても良い。また、突起部12eは、略円柱状に形成されているが、突起部12eは、略四角柱状等の多角柱状に形成されても良いし、略楕円柱状に形成されても良い。また、突起部12eは、光軸方向から見たときの形状が略円弧状や略矩形状になるように形成されても良い。
【0067】
上述したスリーブ8およびスペーサ12の変形例では、1個のバネ固定面12bに2個の突起部12eが形成されているが、1個のバネ固定面12bに形成される突起部12eの数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。たとえば、突起部12eの下端が固定側連結部5e〜5hのそれぞれの下面に当接するように、1個の突起部12eが1個のバネ固定面12bに形成されても良い。
【0068】
上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状等の多角形状となるように形成されても良いし、略円形状や略楕円形状となるように形成されても良い。
【符号の説明】
【0069】
1 レンズ駆動装置
2 可動体
3 固定体
5 板バネ(バネ部材)
5a 可動体固定部
5b 固定体固定部
5c 腕部
5e〜5h 固定側連結部
5k 可動側連結部
8b バネ固定部(可動側バネ固定部)
8e 突起部(可動側突起部)
12a バネ固定部(固定側バネ固定部)
12e 突起部(固定側突起部)
L 光軸
Z 光軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9