(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939805
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】製本用折丁束作製装置
(51)【国際特許分類】
B42C 19/02 20060101AFI20160609BHJP
B42C 19/08 20060101ALI20160609BHJP
B42C 1/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
B42C19/02
B42C19/08
B42C1/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-8026(P2012-8026)
(22)【出願日】2012年1月18日
(65)【公開番号】特開2013-146896(P2013-146896A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113403
【氏名又は名称】ホリゾン・インターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103791
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 勝弘
(74)【代理人】
【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
(72)【発明者】
【氏名】山本 宏生
(72)【発明者】
【氏名】堀井 良行
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−185798(JP,A)
【文献】
特開2004−001380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42C 19/02
B42C 1/00
B42C 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向に折丁を作製する原紙束を載置する頁目毎の複数の給紙段を備え、各給紙段に載置した前記原紙を1枚ごと頁目順に搬出する縦型の丁合機と、前記縦型の丁合機から搬出された原紙を搬入し、搬送過程で所定回数折り畳んで折丁を形成して搬出する紙折機と、前記紙折機から搬出された折丁を搬入し、冊子毎区分けして集積し、集積した冊子毎の折丁束を無線綴じ製本機へ搬出する区分けスタッカとを備えた製本用折丁束作製装置であって、前記縦型の丁合機から搬出された原紙を前記紙折機に搬送する搬送路に前記原紙の折位置識別用カメラと搬送される原紙の先端を検出する原紙先端検出器とを設け、前記折位置識別用カメラと前記原紙先端検出器の検出で求めた前記原紙の折り位置に前記紙折機の折り位置を設定してなることを特徴とする製本用折丁束作製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製本用折丁束作製装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線綴じ製本の本身(本の中身)は菊全判(洋紙の原紙規格寸法の名、636mm×939mmでA判よりやや大きい。)や菊半裁のオフセット印刷物(以下、原紙という。)を16頁折り(折り数3、両面印刷本として16頁分)や8頁折り(折り数2、両面印刷本として8頁分)した折丁を原紙の頁順に並ぶように丁合を行い、1冊分毎の折丁束、すなわち製本用折丁束(本身)として無線綴じ製本機へ自動または手動で供給される。
【0003】
たとえば16頁折丁12枚で構成される冊子を1000冊作製する際には、1頁目の原紙1000枚、2頁目の原紙1000枚・・・12頁目の原紙1000枚と各頁目毎にオフセット印刷し、1000冊分のオフセット印刷を終え印刷インクの乾燥後、1頁目の原紙1000枚から1枚毎紙折機に給紙して16頁目の折丁12000枚を作製し、1000冊全頁分の折丁の作製を終えた後、各頁目毎の折丁束をそれぞれ丁合い機の12台の各給紙棚に載置し、丁合い機の駆動で各頁目毎の折丁を1枚毎頁順に合わせて12枚1冊分の折丁束を作製し、これを無線綴じ製本へ給紙するようにしている。つまり、従来の製本用折丁束は、印刷工程、折り工程、丁合い工程の3工程を経て作製されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「製本―知っておきたい基礎知識―」平成5年9月20日(株)日本製本紙工新聞社発行 第19頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、CTPの発達により印刷機を大きくする傾向にあり、そのため、印刷速度や効率を高めるために、多面付けして大版で印刷する傾向が強くなっている。このように多面付けした印刷紙では、折り工程の前工程として断裁工程が必ず必要となり、この場合の製本用折丁束を作成する工程は、印刷・断裁・折り・丁合の4工程という多工程となっており、各工程間の移動や工程管理に要する手間が増加している。
【0006】
また、以上のような製本用折丁束の作製では、折丁の丁合いに適する大型で高速の万力型(分離された折丁をグリッパーで挟んで引き出す型)丁合機を使用しているが、このような万力型丁合機は、高価であるとともに給紙装置の給紙台に積み重ねる折丁の数が少なく、折丁作製工程から丁合い工程間の移動を迅速頻繁に行う必要がある。さらに、全頁分の折丁が作製された(上記の例では12000枚)後に丁合を開始するため、全頁分の折丁を作製している間丁合機による丁合を開始することができず、丁合機の稼動効率が悪い。これらの工程間の移動や工程管理に要する手間や丁合機の稼動効率は、製本用折丁束を作成する部数が少なくなるほど悪くなる傾向にある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、製本用折丁束作製時における各工程間の移動や工程管理に要する手間を削減するとともに、特に小部数の製本用折丁束の作製を低コストで効率的に行えるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、
製本用折丁束作製装置において、縦方向に折丁を作製する原紙束を載置する頁目毎の複数の給紙段を備え、各給紙段に載置した前記原紙を1枚ごと頁目順に搬出する縦型の丁合機と、前記縦型の丁合機から搬出された原紙を搬入し、搬送過程で所定回数折り畳んで折丁を形成して搬出する紙折機と、前記紙折機から搬出された折丁を搬入し、冊子毎区分けして集積し、集積した冊子毎の折丁束を
無線綴じ製本機へ搬出する区分けスタッカとを備えた製本用折丁束作製装置
であって、前記縦型の丁合機から搬出された原紙を前記紙折機に搬送する搬送路に前記原紙の折位置識別用カメラと搬送される原紙の先端を検出する原紙先端検出器とを設け、前記折位置識別用カメラと前記原紙先端検出器の検出で求めた前記原紙の折り位置に前記紙折機の折り位置を設定してなる構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、原紙を頁目順に1枚ごと搬出する手段として縦型の丁合
機を使用
し、その縦型の丁合機から搬出された原紙を紙折機に搬送する搬送路に、その原紙の折位置識別用カメラと搬送される原紙の先端を検出する原紙先端検出器とを設け、その折位置識別用カメラと原紙先端検出器の検出で求めた、その原紙の折り位置に前記紙折機の折り位置を設定するので、全冊分のオフセット印刷を終えた時点から間断なく
(丁合前の断裁処理工程などがなく)一度により多くの製本用折丁束が作製でき、これにより製本用折丁束を作製する各工程間の移動や工程管理に要する手間を大幅に削減することができ
、特に小部数の製本用折丁束の作製を低コストで効率的に行えるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係る製本用折丁束作製装置の平面図(a)と原紙の流れ図(b)である。
【
図2】
図1(a)に示す製本用折丁束作製装置の側面図である。
【実施例】
【0011】
以下、本発明の実施例に係る製本用折丁束作製装置について、
図1および
図2を参照して説明する。なお、以下は菊半裁のオフセット印刷物(原紙)を16頁折りした折丁12枚で構成される冊子を500冊作製する場合を例として説明するものである。
図1および
図2において、Aは頁順に1枚ごと原紙を搬出する給紙部、Bは紙折り部、Cは折丁区分け集積部である。
図1(b)に示すP1、P2、・・・P12は原紙を並べる頁順を示している。すなわち、原紙P1の折丁、P2の折丁、・・・P12の折丁を1枚づつ重ねると1冊分の製本用折丁束Hが作製される。なお、
図1(b)において、dは1枚ごとの折り位置を示すバーコード、fは折り位置を示す線、eは一冊分の区切りマーク、P
1−1は1回目折畳んだ状態、P
1−2は2回目折畳んだ状態、P
1−3は3回目折畳んだ状態を示している。
【0012】
給紙部Aには、
図2に示すように縦型の丁合機1が本実施例では2台前後に連結配置されている。2台の縦型の丁合機1は、それぞれ縦方向に8段の給紙段S1〜S8を具え(8段は各給紙段の棚に500枚のペラ用紙(折畳みの無い平らな用紙)が載せられる設定)、各給紙段の前方(搬出側をいう。)には上から下へ移動する搬送ベルト1aが配置され、下部に搬送ベルト1aの駆動を兼ねた搬出ローラ1bが配置されている。前方に位置する縦型の丁合機1の最下段の給紙段S8の下部に後方に位置する縦型の丁合機1から搬出された用紙を前方に位置する縦型の丁合機1の搬出ローラ1bへ搬送する搬送ベルト1cが設置されている。
【0013】
縦型の丁合機1は、通常、各頁ごとのペラ用紙からなる用紙束を頁目順にそれぞれ給紙段S1〜S8の棚(ビン)にセットし、所定のタイミングで搬送ベルト1aへ各給紙段S1〜S8から1枚ごと給紙する。つまり、給紙段S1から1頁目の用紙1枚をタイミングで搬送ベルト1aへ給紙し、その1頁目の用紙1枚の上に給紙段S2から2頁目の用紙1枚を重ね、1頁目の用紙と2頁目の用紙を重ねた上に給紙段S3から3頁目の用紙1枚を重ねと順次重ねて行き、給紙段S8の下方から8頁目分の用紙を頁目順に重ねた用紙束が搬出ローラ1bにより搬出される。すなわちペラ用紙を丁合いする丁合機として使用されている。
【0014】
本発明においては、この縦型の丁合機1では、各給紙段に折丁を積み重ねる場合よりも嵩高くならずに多くのペラ用紙である原紙を積み重ねることができる点と、この縦型の丁合機1の各給紙段S1〜S8から頁順に1枚ごと供給する丁合機能を生かし、各給紙段S1〜S8から供給される1枚ごとの原紙をそのまま搬出ローラ1bにより搬出するようにしたものである。これにより頁目順に1枚ごとの原紙が搬出ローラ1bにより搬出されることになる。本実施例では2台の縦型の丁合機1を搬送ベルト1cにより連結しているので、最大16頁分の原紙を頁目順に搬出することができる。
【0015】
16頁折丁12枚で構成される冊子を500冊作製する場合は、前方に位置する縦型の丁合機1の給紙段S1〜S8の棚(菊半裁の原紙の広さに設定している。)にそれぞれ1頁目の原紙P1、500枚の束から順に8頁目の原紙P8、500枚の束をセットし、後方に位置する縦型の丁合機1の給紙段S1〜S4の棚にそれぞれ9頁目の原紙P9、500枚の束から順に12頁目の原紙P12、500枚の束をセットする。このセットを終え丁合を開始すると、縦型の丁合機1から原紙P1から原紙P12の順に1枚ごと搬送路L1へ搬出され、原紙P12の搬出につづいて次の原紙P1から原紙P12の順に1枚ごと搬送路L1へ搬出され、この順の搬出が500冊分繰り返し行われることとなる。
【0016】
搬送路L1の搬送先に紙折り部Bが設置されている。紙折り部Bには搬送路L1での原紙の搬送方向と同方向にバックル型紙折機2と第1のナイフ折機3が設置され、その搬送方向に対し直角となる方向に第2のナイフ折機4が設けられている。この紙折機2、3、4の配列によりバックル型紙折機2のバックル2aと折りローラ2bで1回目を折り畳み(
図1(b)に示すP
1−1)、原紙の搬送方向を変えることなく第1のナイフ折機3へ送り出して位置決めし、第1のナイフ折機3の折りナイフ3aと折ローラ3bで2回目を折り畳む(
図1(b)に示すP
1−2)。
【0017】
第1のナイフ折機3で折り畳み出した前方に第2のナイフ折機4があるので第1のナイフ折機3で折り畳み出し、そのまま第2のナイフ折機4に位置決めして第2のナイフ折機4の折りナイフ4aと折ローラ4bで3回目を折り畳む(
図1(b)に示すP
1−3)。つまり、バックル型紙折機2に搬入する原紙の第1のナイフ折機3で折り畳む折り位置を第1のナイフ折機3の折りナイフ3aの位置に合わせておけば、第1のナイフ折機3および第2のナイフ折機4の原紙の位置決め機構が簡単化される。
【0018】
そして、各原紙の折り位置情報は、印刷機から取得し図示しない制御装置の記憶部に格納されており、この記憶部に格納された位置情報にしたがい、たとえばバックル型紙折機2のストッパ2cの位置(1回目の折り位置を決めるために必要)、第1のナイフ折機3のストッパ3dの位置(第2のナイフ折機4の折りナイフ4aに合わせる必要がある。)、搬送路L1のガイド6の位置(第1のナイフ折機3の折りナイフ3aに2回目の折り位置合わせるために必要)が決められている。
【0019】
なお、各原紙の折り位置情報はバーコードdに盛り込まれている。また、ガイド6はステッピングモータ7の回転で回転する調整ねじ8と螺合し、調整ねじ8を回転させることによりガイド6の位置は設定され、搬送路L1へ搬出された原紙は搬送ベルト5によりガイド6に沿ってバックル型紙折機2へ搬送される。
【0020】
ところで、各原紙の実際の印刷において、記憶部やバーコードdに格納された位置情報と僅かながらずれている場合がある。そのずれを放置すると体裁の悪い折丁が作製されてしまうので、そのずれによる折乱れを修正する必要がある。そのために搬送路L1には、折位置識別用カメラ9とバーコードdを読み取るバーコードリーダ10および搬送される原紙の先端を検出する原紙先端検出器11を設け、順序とおりに搬出された原紙の折線の位置が設定とおりであるか否かを検出し、予め記憶部に格納された位置情報と対比し印刷された折線の位置がずれている場合にそのずれ量を自動的に修正するようにしている。
【0021】
原紙の先端からの折り位置、たとえば
図1(b)の原紙P1の1回目で折る縦の谷折り線f1の位置がずれていればバックル型紙折機2のストッパ2cの位置を調整し、
図1(b)の原紙P1の2回目で折る横の谷折り線f2の位置がずれていれば、搬送路L1のガイド6の位置をステッピングモータ7の回転で調整する。この検出や調整は搬送路L1を搬送する全ての原紙に対して逐次行う。
【0022】
第2のナイフ折機4で3日目の折り畳みを完成した原紙(
図1(b)に示すP
1−3)すなわち折丁は折丁区分け集積部Cに搬送される。折丁区分け集積部Cには区切りマーク検出器13を設置した集積装置12に搬送される。ここで第2のナイフ折機4から順次搬送されて来る折丁を、その順にしたがい積み重ね、折丁に記された一冊分の区切りマークe(原紙P12に印刷されている。)を区切りマーク検出器13で検出する度、それまで集積した折丁束H(頁目順に積み重ねた一冊分の折丁束H)を区分けスタッカ14へ送る。区分けスタッカ14へ送られた一冊分の折丁束は一冊ごと区分けして集積し、所定のタイミングで一冊ごとプッシャにより搬送路L3へ押し出す。搬送路L3は無線綴じ製本機に連結され、搬送路L3で搬送された一冊分の折丁束(本身)Hは無線綴じ製本機のクランパに挿入される。なお、区切りマークを検出して一冊分を区切っているが、折丁数をカウントすることで区切るようにしてもよい。
【0023】
以上の実施例では、原紙を16頁折りする場合を例として説明するものであるが、本発明は16頁折りに限らず8頁折り(折り機を1台減らす)や32頁折り(折り機を1台増加するか、バックル型紙折機の使用するバックルを増加する)に適用することができる。また、縦型の丁合機を2台連結しているが、冊子を構成する折丁の数に応じて縦型の丁合機を1台または3台としてもよい。さらに、縦型の丁合機の給紙段を8段に限定されるものではなく、作製する冊子数がより少ない場合には、給紙段の給紙棚に載置する原紙の枚数が少なくなるので、給紙段を増加してもよい。なお、縦型の丁合機の高さは、給紙段の給紙棚に用紙束を載置する作業の容易性などから制限されている。
【符号の説明】
【0024】
A 給紙部
B 紙折り部
C 折丁区分け集積部
1 縦型の丁合機
2 バックル型紙折機
2a バックル(ポケット)
2b 折ローラ
2c ストッパ
3 第1のナイフ紙折機
3a 折ナイフ
3b 折ローラ
4 第2のナイフ紙折機
4a 折ナイフ
4b 折ローラ
5 搬送ベルト
6 ガイド
7 ステッピングモータ
8 調整ねじ
9 折位置識別用カメラ
10 バーコードリーダ
11 原紙先端位置検出器
12 集積装置
13 区切りマーク検出器
14 区分けスタッカ