特許第5939853号(P5939853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939853
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】非接触給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20160609BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20160609BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160609BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20160609BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160609BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20160609BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20160609BHJP
   B60G 17/052 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J50/90
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 S
   B60L5/00 B
   B60L11/18 C
   B60L3/00 H
   B60R16/03 V
   B60G17/052
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-66447(P2012-66447)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-198379(P2013-198379A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121234
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 利明
(72)【発明者】
【氏名】藤野 知之
【審査官】 大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−246348(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/041318(WO,A1)
【文献】 特表2012−504387(JP,A)
【文献】 特開2006−345588(JP,A)
【文献】 特開2011−193617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00−25/00、
B60L 1/00−13/00、15/00−15/42、
B60R 16/03、
H01M 10/42−10/48、
H02J 7/00− 7/12、 7/34− 7/36、
50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上(11)側に配設される給電側コイル(14)からの非接触給電により交流電力を生じる受電側コイル(22)と、
前記受電側コイル(22)を昇降可能に支持し前記受電側コイル(22)を降下させて前記給電側コイル(14)に接近させ前記受電側コイル(22)を上昇させて前記給電側コイル(14)から離間させるコイル昇降装置(26)と、
前記受電側コイル(22)に生じる交流電力を直流に変換してバッテリ(21)へ供給する整流平滑化回路(31)と、
給電中の異常を検出する異常検出手段(24)と、
前記異常検出手段(24)が異常を検出した時に前記整流平滑化回路(31)と前記バッテリ(21)の間の給電回路を切断する回路切断手段(32)と
を備えた非接触給電装置において、
前記回路切断手段(32)が前記給電回路を切断する異常時に前記コイル昇降装置(26)が前記受電側コイル(22)を上昇させるように構成された
ことを特徴とする非接触給電装置。
【請求項2】
圧縮エアの給排により車高を調整可能なエアサスペンション装置が車両(20)に設けられ、受電側コイル(22)が車両(20)に固定して設けられ、コイル昇降装置(26)が前記車両(20)を前記受電側コイル(22)と共に昇降させる前記エアサスペンション装置である請求項1記載の非接触給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車やハイブリッド車両などに搭載されるバッテリを充電するための非接触給電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン等を燃料として動力を発生するエンジンによって走行する従来の自動車に対し、低公害、省資源の促進を目的として、エンジンに加えてバッテリからの電力で動力を発生するモータを搭載したハイブリッド自動車や、エンジンを搭載せずに電動モータのみで走行する電気自動車が開発されている。
【0003】
この電気自動車やハイブリッド車両では、それらの車両に搭載されたバッテリの電力が消費されると、市街地や自宅の車庫等に設けられた充電設備を利用して充電する必要がある。このような車両に搭載されたバッテリを充電する方法の一つとして、電磁誘導の相互誘電作用や磁気共鳴作用を利用して、地上(充電スタンド等)に設けた1次側(給電側)の給電側(送電側)コイルから、車両側に設けた2次側(受電側)の受電側コイルへ、非接触で電力を供給する非接触給電装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
そして、1次側の給電側コイルと、2次側の受電側コイルは所定の隙間を持って対峙させることが好ましいことから、その受電側コイルを昇降可能に支持するコイル昇降装置を車両に設けることを本出願人は提案した(例えば、特許文献3参照。)。このコイル昇降装置を備えた車両では、充電時には受電側コイルを降下させてその受電側コイルを地上側に配置された給電側コイルに接近させる。その一方で、非充電時には受電側コイルを上昇させてその受電側コイルを地上における給電側コイルから離間させて、車両の走行に支障を生じさせないようにするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−74868号公報
【特許文献2】特開2010−246348号公報
【特許文献3】特開2011−193617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、このような非接触給電装置では、給電側コイルから非接触で供給された電力により受電側コイルに交流電力を生じさせ、その受電側コイルに生じた交流電力によりバッテリを充電するものであるけれども、バッテリは直流のものであるので、受電側コイルとバッテリの間には、受電側コイルに生じる交流電力を直流に変換する整流平滑化回路が設けられる。また、その給電時に例えば、車両のバッテリに異常が生じたときには、他の機器を保護する観点からも、そのバッテリへの給電を直ちに停止する必要がある。そのためには、給電中の異常を検出する異常検出手段を車両に設け、整流平滑化回路とバッテリの間の給電回路にその回路を切断可能なリレースイッチ等の回路切断手段を設けることが行われる。そして、異常検出手段が異常を検出した時に、その回路切断手段により整流平滑化回路とバッテリの間の給電回路を切断してバッテリの充電を停止することが考えられる。
【0007】
しかし、受電側コイルに交流電力が生じているにもかかわらず、整流平滑化回路とバッテリの間の給電回路を切断すると、受電側コイルに生じている交流電力が整流平滑化回路に負荷を生じさせ、その整流平滑化回路に被害を生じさせるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、異常時に、受電側コイルとバッテリの間に設けられる整流平滑化回路の被害を最小限にして、バッテリへの給電を速やかに停止し得る非接触給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、地上側に配設される給電側コイルからの非接触給電により交流電力を生じる受電側コイルと、受電側コイルを昇降可能に支持し受電側コイルを降下させて給電側コイルに接近させ受電側コイルを上昇させて給電側コイルから離間させるコイル昇降装置と、受電側コイルに生じる交流電力を直流に変換してバッテリへ供給する整流平滑化回路と、給電中の異常を検出する異常検出手段と、異常検出手段が異常を検出した時に整流平滑化回路とバッテリの間の給電回路を切断する回路切断手段とを備えた非接触給電装置である。
【0010】
その特徴ある構成は、回路切断手段が給電回路を切断する異常時にコイル昇降装置が受電側コイルを上昇させるように構成されたところにある。
【0011】
圧縮エアの給排により車高を調整可能なエアサスペンション装置が車両に設けられている場合、受電側コイルを車両に固定して設け、車両を受電側コイルと共に昇降させるエアサスペンション装置をコイル昇降装置として代用することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の非接触給電装置では、整流平滑化回路とバッテリの間の給電回路を切断しなければならないような異常時に、コイル昇降装置により受電側コイルを上昇させるので、その異常時に、受電側コイルは給電側コイルから離間することになる。ここで、給電側コイルから受電側コイルが離間すると、給電側コイルから電力が供給されていても、その受電側コイルに生じる交流電力は減少する。このため、バッテリへの給電を停止するために、整流平滑化回路とバッテリの間の給電回路を回路切断手段により切断しても、そのような異常時では、受電側コイルに生じる交流電力は減少するので、その交流電力が受電側コイルとバッテリの間に設けられる整流平滑化回路に生じさせる負荷は減少する。よって、給電回路を切断しても、その整流平滑化回路に被害が生じるようなリスクを回避することができる。従って、本発明では、整流平滑化回路の被害を最小限にして、異常時にバッテリへの給電を速やかに停止することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明実施形態の非接触給電装置を有する車両の前面図である。
図2】そのコイル間の間隔と受電側コイルに生じる電力との関係を示す図である。
図3】そのコイル昇降装置の構造を示す図である。
図4】その非接触給電装置の異常時の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明における非接触給電装置10は、給電側コイル14から非接触で供給された電力により交流電力を生じる受電側コイル22を備える。給電側コイル14は、地上11に設けられた給電ステーション12の一部を構成するものであり、この給電側コイル14は地上11に配設される。この実施の形態における給電ステーション12は、その給電側コイル14を介する電磁誘導により、車両20に設けられたバッテリ21を充電するための電力をその車両20と非接触で供給するものを示す。従って、この給電ステーション12は、給電側コイル14と別に給電装置本体13が地上11に設けられ、その給電装置本体13には、ノイズフィルタ、整流・力率改善回路、共振型コンバータ等によって構成される給電のための装置が内蔵される。また、この給電装置本体13には、更に、車両20との通信を制御する通信装置15が備えられる。そして、この給電装置本体13に内蔵された装置は、ノイズフィルタを介して入力される商用の交流電源を、充電用駐車スペースに設置された給電側コイル14を介して車両20に設けられた受電側コイル22に電力を供給するように構成される。
【0016】
この実施の形態における車両20は、電気モータにより走行するバスであって、その電気モータに電力を供給するバッテリ21が、その屋根の上に設けられる場合を示す。この車両20には、図示しないが、マイクロコンピュータ及び各種インターフェースや周辺回路等を備えて構成される電子制御装置(以下「ECU24」と言う。)が備えられる。図示しないが、この車両20では、ECU24を中心として、バッテリ21及びそのバッテリ21からの直流電圧を交流電圧に変換して車両20を走行させる電気モータに供給するインバータ等を備える。そして、このECU24には、バッテリ21への給電情報を車両20の外部に設けられた給電ステーション12における通信装置15と双方向通信可能な通信手段としての通信モジュール23が設けられる。
【0017】
ECU24は、図示しないインバータを介して走行用の電気モータを制御するとともに、このECU24は、バッテリ21への給電状態で示される残存容量やバッテリ21の劣化度等によるバッテリ21状態を把握するように構成される。そして、このECU24は、バッテリ21の状態を把握した上で、そのバッテリ21の冷却、給電ステーション12における給電状態の監視、その給電時の異常検出及び異常検出時の保護動作等を行うように構成される。よって、このECUは、給電中の異常を検出する異常検出手段としても機能するように構成される。
【0018】
車両20に設けられる受電側コイル22は、給電ステーション12の給電側コイル14に対向されて絶縁変圧器を構成するものであり、シャシフレーム20a(図3)の下部にコイル昇降装置26を介して昇降可能に設けられる。図3に示すように、この実施の形態におけるコイル昇降装置26は、互いの一端が枢支された一対のリンク片27,28と、その一方のリンク片27を回転させるアクチュエータ29を有する。一対のリンク片27,28は一方のリンク片27の他端が車両20下部におけるシャシフレーム20aに枢支され、他方のリンク片28の他端が受電側コイル22に枢支される。
【0019】
受電側コイル22はこれら一対のリンク片27,28により、車両20の前後方向又は幅方向における両側が支持されて車両20のフレームに吊り下げられるようにして設けられる。そして、実線で示すように、一対のリンク片27,28の交差角度が減少すると、受電側コイル22は上昇して、車両20のフレームに密着して受電側コイル22の収容状態(退避状態(車両20走行中における状態))となる。その一方で、一点鎖線で示すように、一対のリンク片27,28の交差角度が増加すると、受電側コイル22は降下して突出状態(給電可能な状態)となる。このように、受電側コイル22は、コイル昇降装置26を介して、収容状態と突出状態の間で移動可能に、車両20のシャシフレーム20aの下側に取付けられる。
【0020】
また、一方のリンク片27を回転させる本実施の形態におけるアクチュエータ29は、空気圧や油圧等の流体圧を利用した流体圧シリンダ29であって、シリンダ本体29aから出没するシャフト29bの先端が一方のリンク片27の中間に枢支される。そして、そのシャフト29bを出没させることにより、一方のリンク片27をシャシフレーム20aに枢支された回動支点廻りに回転させるように、アクチュエータ29がシャシフレーム20aに配設される。なお、図3では、アクチュエータ29として、流体圧を利用した流体圧シリンダ29を採用した場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、電動モータ等を利用することも可能である。従って、本実施の形態では、図3に実線で示す収容状態(退避状態)から、アクチュエータである流体圧シリンダ29に空気圧(油圧)を供給することで、そのシリンダ本体29aからシャフト29bを伸長させて、リンク片を回転させることにより、一点鎖線で示す突出状態へと移行させることが可能に構成される。ここで、図4における符号22aは、突出状態の受電側コイル22と給電側コイル14の間に介在して、その受電側コイル22と給電側コイル14の間に所定の隙間を形成するブッシュ22aである。
【0021】
図1に戻って、給電側コイル14は地上11に設けられているので、その給電側コイル14の上方に受電側コイル22が位置するように車両20を停車させ、その車両20に設けられたコイル昇降装置26は、その状態で受電側コイル22を降下させると、その受電側コイル22を地上11に設けられた給電側コイル14に接近させ、非接触給電の準備が成されることになる。即ち、シャシフレーム20a下部に受電側コイル22を配設した車両20を、給電ステーション12の予め規定された充電用駐車スペースに駐車すると、車両20の受電側コイル22と地上11への給電用駐車スペースに配置された給電側コイル14とが対向配置され、電磁誘導による非接触でのバッテリ21への給電が可能となるものである。
【0022】
そして、バッテリ21への給電に際して、ECU24は、通信モジュール23を介して給電ステーション12との通信を行い、バッテリ21の電圧、残存容量、フェール情報等のバッテリ21情報を給電ステーション12へ送信する。給電ステーション12では、車両20に設けられたECU24からのバッテリ21情報と給電ステーション12内に蓄積された情報とに基づいて最適な充電スケジュールを設定し、ユーザ側からの指示に応じて給電ステーション12における充電開始や充電終了を行って、車両20におけるバッテリ21への給電を制御するように構成される。
【0023】
ここで、このような非接触給電装置10では、給電側コイル14から非接触で供給された電力により受電側コイル22に交流電力を生じさせ、その受電側コイル22に生じた交流電力によりバッテリ21を充電するものであるけれども、バッテリ21は直流のものであるので、車両20には、電磁誘導による非接触の給電方式に対応して、受電側コイル22からの交流電力を直流に変換して平滑化し、バッテリ21へ供給する整流平滑化回路31が備えられる。また、その整流平滑化回路31とバッテリ21の間の給電回路には、その給電回路を切断可能な回路切断手段32が設けられる。この実施の形態における回路切断手段はリレースイッチ32である場合を示す。そして、この回路切断手段であるリレースイッチ32は異常検出手段として機能するECU24により制御され、この異常検出手段として機能するECU24は、充電時に異常を検出した時に、そのリレースイッチ32を制御して、整流平滑化回路31とバッテリ21の間の給電回路を切断するように構成される。
【0024】
そして、本発明における非接触給電装置10の特徴ある構成は、その異常検出手段として機能するECU24が、回路切断手段であるリレースイッチ32が給電回路を切断する異常時に、コイル昇降装置26を制御して、受電側コイル22を上昇させるように構成されたところにある。図3に示すように、一対のリンク片27,28を有するこの実施の形態におけるコイル昇降装置26では、具体的にアクチュエータである流体圧シリンダ29のシリンダ本体29aにシャフト29bを没入させることにより、その受電側コイル22を実線で示すように上昇させる。このように受電側コイル22を上昇させると、地上11に設けられた給電側コイル14からその受電側コイル22は離間し、最終的にシャシフレーム20aに密着する収容状態になる。
【0025】
次に、このように構成された非接触給電装置の動作を説明する。
【0026】
バッテリ21が充電されている状態でこの車両20は走行するけれども、この走行はECU24により、図示しない走行用のインバータを制御して走行用のモータを駆動させることにより行われる。具体的に、ECU24は、図示しないアクセルペダルの踏込み量を検出するセンサからの信号に基づいてドライバーの要求する駆動力を算出し、走行用のモータの回転数や電圧・電流等の情報に基づいて、そのモータの出力をドライバーの要求駆動力に一致させるべく、そのモータを駆動させる図示しないインバータを制御する。これにより車両20は走行するけれども、本発明の非接触給電装置10にあっては、受電側コイル22を上昇させて、その受電側コイル22を収容状態として、その受電側コイル22が車両20の走行に支障を生じさせないようにする。
【0027】
車両20が走行すると、バッテリ21に蓄えられた電力は消費されるので、その残量が少なくなると充電を行う。図4にバッテリ21への給電の流れを示す。この図4に示すように、バッテリ21への給電を行うためには、先ずその給電準備(S01)として、車両20を給電ステーション12まで走行させ、その地上11に設けられた給電側コイル14の上方に受電側コイル22が位置するような状態で車両20を停止させる。そして、コイル昇降装置26により、その車両20の下部に設けられた受電側コイル22を降下させ、その受電側コイル22を地上11に設けられた給電側コイル14に接近させてその受電側コイル22を突出状態とし、ブッシュ22aにより受電側コイル22と給電側コイル14の間に所望の隙間を形成する。
【0028】
この状態で給電が開始されるけれども(S02)、この給電の開始にあっては、先ず車両20に設けられたECU24は、通信モジュール23及び15を介して給電ステーション12との通信を行う。そして、給電ステーション12では、そのECU24からのバッテリ21に関する情報と給電ステーション12内に蓄積された情報、及びユーザ側からの指示に応じて充電条件を設定し、充電を開始する。即ち、給電ステーション12における給電装置本体13は、商用の交流電源を高周波の交流に変換して給電側コイル14に供給する。そして、受電側コイル22の中に発生する磁束により、その受電側コイル22に交流電力を生じさせる。その交流電力を整流平滑化回路31により直流に変換させてバッテリ21に給電する。
【0029】
この給電中にあって、ECU24は、給電状態の監視、その給電時の異常検出を行う(S03,S04)。そして、異常が無ければ給電を続行する。その一方、その給電中にバッテリ異常等の車両20側の異常が発生したならば、給電中の異常を検出する異常検出手段として機能するこのECU24は、通信モジュール23及び15を介して給電ステーション12に、給電を停止する通信を行う(S05)。給電ステーション12では、車両20側に設けられた通信モジュール23から発せられた給電停止を内容とする無線通信が正常に受信できたならば(S10)、直ちに給電を停止し(S11)、他の機器の保護を図る。一方、給電ステーション12では、その給電停止を内容とする無線通信が正常に受信できなかった場合であっても、給電開始時に設定された時間が経過した後に、タイムアウトとしてその給電を停止する(S12)。
【0030】
車両20側の異常が発生したならば、上述した給電を停止する通信を行う(S05)と共に、このECU24は、コイル昇降装置26を制御して、受電側コイル22を上昇させて、その受電側コイル22を収容状態とする(S06)。このようにして、受電側コイル22を給電側コイル14から離間させる。ここで、図2に示すように、給電側コイル14から受電側コイル22が離間すると、その受電側コイル22に生じる交流電力は減少する。このため、この異常時に受電側コイル22を上昇させると(S06)、給電側コイル14からその受電側コイル22が離間し、給電側コイル14から電力が供給されていても、その受電側コイル22に生じる交流電力を減少させることができる。
【0031】
そして、受電側コイル22が上昇して格納状態になったことを検知した(S07)後に、ECU24はリレースイッチ32により、整流平滑化回路31とバッテリ21の間の給電回路を切断する(S08)。これにより、バッテリ21への給電が継続することに起因する他の機器への損傷を回避する。この給電回路が切断されると、受電側コイル22に交流電力が生じていると、その交流電力が整流平滑化回路31に負荷を生じさせることになるけれども、本発明では、予め受電側コイル22を上昇させて(S06)、その受電側コイル22に生じる交流電力を減少させているので、受電側コイル22に生じる交流電力が整流平滑化回路31に生じさせる負荷は減少する。このため、リレースイッチ32により、整流平滑化回路31とバッテリ21の間の給電回路を切断しても(S08)、その整流平滑化回路31に被害が及ぶようなリスクは回避される。よって、本発明では、整流平滑化回路31の被害を最小限にして、異常時にバッテリ21への給電を速やかに停止することができるものとなる。
【0032】
そして、給電回路を切断した後には、ECU24及び他への給電に関する機器の終了処理が成され(S09)、その後終了される。
【0033】
なお、上述した実施の形態では、互いの一端が枢支された一対のリンク片27,28と、その一方のリンク片27を回転させるアクチュエータ29を有するコイル昇降装置26を用いて説明したけれども、このコイル昇降装置26は、この構造のものに限定されるものではなく、受電側コイル22を昇降可能に支持し得る限り、他の形式の装置であっても良い。例えば、車両20が、圧縮エアの給排により車高を調整可能なエアサスペンション装置を備えるようなものであれば、受電側コイル22を車両20に固定して設け、その車両20を受電側コイル22と共に昇降させるエアサスペンション装置そのものをコイル昇降装置26としても良い。このようなコイル昇降装置26では、車両20におけるシャシフレーム20aに対して受電側コイル22を昇降させるような機構を設けることを不要にすることができる。
【0034】
また、上述した実施の形態では、電磁誘導の相互誘電作用を利用して、非接触で電力を供給する非接触給電装置10を用いて説明したけれども、本発明の非接触給電装置10は、磁気共鳴作用を利用して、地上に設けた給電側コイルから、車両側に設けた受電側コイルへ、非接触で電力を供給するものであっても良い。
【0035】
更に、上述した実施の形態では、回路切断手段としてリレースイッチ32を用いて説明したけれども、この回路切断手段は、異常検出手段24が異常を検出した時に整流平滑化回路31とバッテリ21の間の給電回路を切断し得るものである限り、リレースイッチ32以外のものであっても良い。
【符号の説明】
【0036】
10 非接触給電装置
11 地上
14 給電側コイル
20 車両
22 受電側コイル
24 ECU(異常検出手段)
26 コイル昇降装置
31 整流平滑化回路
32 リレースイッチ(回路切断手段)
図1
図2
図3
図4