(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を利用して、対象空間の空気の除湿を行うことができる除湿装置と、を備える熱電併給システムの運転方法であって、
前記対象空間で冷房運転が行われているか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記対象空間で冷房運転が行われていると判定したとき、前記除湿装置を運転させる除湿運転工程とを有し、
前記熱電併給システムが、前記熱電併給装置で発生された熱を蓄える蓄熱装置を備え、
前記除湿運転工程において、前記判定工程において前記対象空間で冷房運転が行われていると判定し、且つ、所定期間内に給湯用途で利用されると予測される必要熱量が、前記蓄熱装置で既に蓄えられている又は前記必要熱量の予測発生タイミングに関連して決定される将来の所定時刻までに蓄えることができると判定したとき、前記除湿装置を運転させる熱電併給システムの運転方法。
前記判定工程において、前記対象空間の冷房運転を行うことができる冷房装置から情報通信回線を介して得られる前記冷房装置の運転状態に関する情報に基づいて、前記対象空間で冷房運転が行われているか否かを判定する請求項1〜4の何れか一項に記載の熱電併給システムの運転方法。
前記判定工程において、前記対象空間の冷房運転を行うことができる冷房装置から前記対象空間へ空気が吹き出される吹出口の近傍での空気の温度に基づいて、前記対象空間で冷房運転が行われているか否かを判定する請求項1〜4の何れか一項に記載の熱電併給システムの運転方法。
前記判定工程において、前記対象空間の温度と外気温度との温度差、及び、前記対象空間の湿度と外気湿度との湿度差、の少なくとも何れか一方に基づいて、前記対象空間で冷房運転が行われているか否かを判定する請求項1〜4の何れか一項に記載の熱電併給システムの運転方法。
前記除湿運転工程において、前記判定工程において前記対象空間で冷房運転が行われていると判定し、且つ、前記熱電併給装置の出力電力が設定電力以上であると判定したとき、前記除湿装置を運転させる請求項1〜7の何れか一項に記載の熱電併給システムの運転方法。
熱と電力とを併せて発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を利用して、対象空間の空気の除湿を行うことができる除湿装置と、前記除湿装置の運転を制御する制御装置と、前記熱電併給装置で発生された熱を蓄える蓄熱装置とを備える熱電併給システムであって、
前記対象空間で冷房運転が行われているか否かを検出する運転検出手段を備え、
前記制御装置は、前記運転検出手段の検出結果に基づいて前記対象空間で冷房運転が行われていると判定し、且つ、所定期間内に給湯用途で利用されると予測される必要熱量が、前記蓄熱装置で既に蓄えられている又は前記必要熱量の予測発生タイミングに関連して決定される将来の所定時刻までに蓄えることができると判定したとき、前記除湿装置を運転させるように構成されている熱電併給システム。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態の熱電併給システムの運転方法について説明する。
図1は、熱電併給システムの構成を示す図である。
図1に示すように、熱電併給システムは、熱と電力とを併せて発生する燃料電池1(本発明の熱電併給装置の一例)と、燃料電池1で発生された熱を利用して、対象空間16の空気の除湿を行うことができる除湿換気装置20(本発明の除湿装置の一例)とを備える。燃料電池1の動作は制御装置Cが制御する。
【0027】
本実施形態において、燃料電池1で発生した熱(排熱)は、熱交換器3に供給されて回収される。例えば、燃料電池1のセル(図示せず)を冷却すると共にセルから熱を回収する冷却水が熱交換器3に供給される。尚、熱交換器3で回収される熱は、燃料電池1の冷却水によって回収する熱のみに限らない。例えば、燃料電池1に併設される燃料改質装置が備える燃焼器で発生される熱や、燃料電池1の酸素極から排出されるガスが保有している熱などを、熱交換器3で回収するように構成してもよい。
【0028】
燃料電池1の排熱が供給される熱交換器3には、熱回収路L1を流れる湯水が流入する。この熱回収路L1は、湯水が熱交換器3と貯湯タンク2とを順に通流するように構成されている。その結果、燃料電池1から回収した排熱を、熱回収路L1を流れる湯水を用いて貯湯タンク2へ蓄えることができる。熱回収路L1における湯水の流量は、熱回収路L1の途中に設けられるポンプP1によって調整される。このポンプP1の動作は制御装置Cが制御する。
また、熱回収路L1の途中には、熱回収路L1を流れる湯水の熱を外部に放出するラジエーター装置18が設けられている。ラジエーター装置18を放熱作動させるか否かは制御装置Cが制御する。
【0029】
熱交換器3と貯湯タンク2との間の熱回収路L1には、三方弁6が設けられている。そして、三方弁6から熱供給路L2が分岐する。熱供給路L2は、貯湯タンク2を迂回するように熱回収路L1に対して接続されている。熱供給路L2の途中には熱交換器4が設けられている。熱交換器4では、熱供給路L2を流れる湯水と、熱媒循環路L4を流れる熱媒との間での熱交換が行われる。三方弁6の動作は制御装置Cが制御する。
以上のように、熱電併給システムでは、熱交換器3で回収された燃料電池1の排熱が、熱回収路L1を通って貯湯タンク2で蓄えられるような運転状態(後述する「蓄熱運転」)と、熱供給路L2及び熱交換器4を通って熱媒循環路L4を流れる熱媒へ供給される運転状態(後述する「熱供給運転」)との何れかの運転が可能である。
【0030】
熱媒循環路L4は、熱媒が熱交換器4と、熱交換器5と、暖房装置15又は除湿換気装置20とを順に通流するように構成されている。熱媒循環路L4における熱媒の流量は、熱媒循環路L4の途中に設けられるポンプP2によって調整される。ポンプP2の動作は制御装置Cが制御する。また、熱媒循環路L4の途中に設けてある弁30を開放すると暖房装置15へ熱媒を供給することができ、弁30を閉止すると暖房装置15への熱媒の供給を中止させることができる。同様に、熱媒循環路L4の途中に設けてある弁31を開放すると除湿換気装置20へ熱媒を供給することができ、弁31を閉止すると除湿換気装置20への熱媒の供給を中止させることができる。尚、これら弁30及び弁31は、暖房装置15及び除湿換気装置20の内部に設けられている弁であってもよい。また、図示するように、暖房装置15及び除湿換気装置20は、熱交換器4及び熱交換器5から見て並列に設けられている。暖房装置15は、熱媒循環路L4を流れる熱媒の熱を利用して暖房運転を行うことができる床暖房装置などの装置である。除湿換気装置20は、熱媒循環路L4を流れる熱媒の熱を利用して対象空間16の空気に対する除湿運転及び換気運転を行うことができる装置である。
【0031】
熱媒循環路L4の途中に設けられている熱交換器5では、熱媒循環路L4を流れる熱媒と湯水循環路L3を流れる湯水との熱交換が行われる。湯水循環路L3は、湯水が補助熱源機19と熱交換器5とを順に通流するように構成されている。湯水循環路L3における湯水の流量は、湯水循環路L3の途中に設けられるポンプP3によって調整される。このポンプP3の動作は制御装置Cが制御する。また、湯水循環路L3の補助熱源機19の下流側からは、給湯用途及び風呂湯張り用途などへ湯水を供給するための湯水供給路L6が分岐している。湯水循環路L3は貯湯タンク2と接続されており、湯水循環路L3から湯水供給路L6へと湯水が排出されると、湯水循環路L3には貯湯タンク2から湯水が補充される。また、貯湯タンク2へは給水路L5から水が補充される。
【0032】
〔蓄熱運転〕
図1には、熱交換器3で回収された燃料電池1の排熱が、熱回収路L1を通って貯湯タンク2で蓄えられるような運転を行う場合の例を示す。
図1では、熱回収路L1、熱供給路L2、湯水循環路L3、熱媒循環路L4のうち、太線で描いている部分を湯水又は熱媒が通流する。具体的には、燃料電池1から熱を回収した湯水は、その全てが熱回収路L1を通って貯湯タンク2に流入する。つまり、この例では、貯湯タンク2への蓄熱運転が行われている。
尚、
図1に示した蓄熱運転の形態では、燃料電池1から熱を回収した湯水は全て貯湯タンク2へと供給され、熱交換器4には供給されていない。つまり、燃料電池1の排熱は熱媒循環路L4には供給されず、そのままでは暖房装置15及び除湿換気装置20に対して熱を供給することはできない。そのため、本実施形態では、制御装置Cは、暖房装置15及び除湿換気装置20での熱負荷が発生した場合、ポンプP3を動作させ、及び、補助熱源機19を動作させることで、高温の湯水を湯水循環路L3で循環させる。その結果、熱交換器5において、湯水循環路L3を流れる高温の湯水の熱を、熱媒循環路L4に流れる熱媒に対して供給することができ、その結果、暖房装置15及び除湿換気装置20に対して熱を供給することができる。例えば、制御装置Cは、熱交換器5の下流側の熱媒循環路L4に設けている温度センサT1で検出される熱媒の温度が所定温度となるようにポンプP3及び補助熱源機19を動作させる。また、給湯用途で湯水が必要になる場合には、湯水循環路L3から分岐する湯水供給路L6を介して給湯用途へ湯水が供給される。
【0033】
制御装置Cは、貯湯タンク2に貯えられている湯水の温度を監視して、その監視結果に基づいて、貯湯タンク2における蓄熱量を導出できる。具体的には、本実施形態では、貯湯タンク2の上部に貯えられている湯水の温度を検出する温度センサT2、貯湯タンク2の中間部に貯えられている湯水の温度を検出する温度センサT3、貯湯タンク2の下部に貯えられている湯水の温度を検出する温度センサT4を貯湯タンク2に設けている。貯湯タンク2には、その上部に相対的に高温の湯水が貯えられ、下部にいくにつれて相対的に低温の湯水が貯えられる。そのため、制御装置Cは、温度センサT2〜T4の検出結果に基づいて、貯湯タンク2にどれだけの熱量が蓄えられているのかを導出することができる。
また、制御装置Cは、この蓄熱運転を、暖房装置15及び除湿換気装置20での熱負荷が発生していない間は継続して行う。制御装置Cは、貯湯タンク2の蓄熱量が満杯になり、且つ、暖房装置15及び除湿換気装置20での熱負荷が発生していない場合、ラジエーター装置18を放熱作動させることができる。
【0034】
〔熱供給運転〕
図2には、熱交換器3で回収された燃料電池1の排熱が、熱供給路L2及び熱交換器4を通って熱媒循環路L4を流れる熱媒へ供給される熱供給運転を行う場合の例を示す。
図2では、熱回収路L1、熱供給路L2、湯水循環路L3、熱媒循環路L4のうち、太線で描いている部分を湯水又は熱媒が通流する。具体的には、燃料電池1から熱を回収した湯水は、その全てが貯湯タンク2を迂回して熱供給路L2の熱交換器4に流入する。つまり、貯湯タンク2への蓄熱運転は行われておらず、熱媒循環路L4の途中に設けられる熱交換器4に対して燃料電池1の全ての排熱が供給され、その熱交換器4において熱媒循環路L4を流れる熱媒へと熱が引き渡される。そして、熱媒循環路L4を流れる熱媒が暖房装置15及び除湿換気装置20へ供給されることで、暖房装置15及び除湿換気装置20に対して熱を供給することができる。
【0035】
次に、熱電併給システムで取り扱われる電力について説明する。
本実施形態において、燃料電池1で発生した電力は、インバータ装置11を介して蓄電装置12、冷房装置13、電力消費装置14、除湿換気装置20に供給される。蓄電装置12は、電力の充電及び放電が可能な装置である。例えば、蓄電装置12として、蓄電池(例えば、化学電池)や電気二重層キャパシタなどの装置を利用できる。冷房装置13は、対象空間16の空気の冷房を行うことができる装置である。電力消費装置14は、例えば、電力を消費して動作する照明装置などの他の機器である。尚、蓄電装置12、冷房装置13、電力消費装置14には、電力会社などの外部電力系統10からも電力を供給可能である。つまり、蓄電装置12、冷房装置13、電力消費装置14で要求される電力が、燃料電池1からインバータ装置11を介して供給される電力よりも大きい場合には、その不足電力が外部電力系統10から供給される。
【0036】
冷房装置13の詳細な構成に関する説明は省略するが、対象空間16から吸込口13aを通して装置内部に吸い込んだ空気を冷却して、その冷却後の空気を吹出口13bを通して対象空間16に供給する。その結果、冷房装置13を冷房運転することで、対象空間16の空気の温度を低下させることができる。
【0037】
次に、
図3及び
図4を参照して、除湿換気装置20の構成について説明する。
図3及び
図4は、除湿換気装置20の構成を示す図である。特に、
図3は、除湿換気装置20をデシカント除湿換気運転させている状態を説明する図であり、
図4は、除湿換気装置20を顕熱交換換気運転させている状態を説明する図である。
【0038】
図3及び
図4に示すように、除湿換気装置20は、筐体21の内部に、対象空間16の吹出口20bへ供給する空気が通流する第1通気風路28と、対象空間16の吸込口20aから外部へ排出する空気が通流する第2通気風路29とが形成され、対象空間16の外部から筐体21の内部に吸い込んだ空気を第1通気風路28を介して対象空間16に供給し且つ対象空間16から筐体21の内部に吸い込んだ空気を第2通気風路29を介して対象空間16の外部に排出する換気運転を行うことができる装置である。除湿換気装置20は例えば住宅の居室及び廊下の天井裏等に配置される。つまり、本発明における対象空間16は、一つの居室で区切られた範囲に限定される訳ではなく、居室とその居室に隣接する(即ち、居室との間で空気が流動可能な)廊下等とで構成される場合や、複数の居室とそれらの居室に隣接する廊下等とで構成される場合など、様々な形態がある。
【0039】
除湿換気装置20は、筐体21の内部に、給気ファン22と、排気ファン23と、熱交換器24と、調湿ローター25と、加熱手段26とを有する。
【0040】
給気ファン22は、筐体21の内部に吸い込んだ外気を対象空間16の吹出口20bへ供給するための空気の流れを筐体21の内部に形成する。給気ファン22によって筐体21の内部に形成される空気の流れの経路が第1通気風路28となる。排気ファン23は、対象空間16の吸込口20aから筐体21の内部に吸い込んだ対象空間16の空気を室外へ排気するための空気の流れを筐体21の内部に形成する。排気ファン23によって筐体21の内部に形成される空気の流れの経路が第2通気風路29となる。
【0041】
熱交換器24の内部には、第1通気風路28を通る空気が流れる領域と、第2通気風路29を通る空気が流れる領域とが各別に形成されており、両者を混合することなく熱交換させる。
【0042】
調湿ローター25は、通過する空気を調湿する調湿体25a、及び、その調湿体25aを回転させる回転駆動手段25bを有する。具体的には、調湿体25aは、円盤状でその軸心方向に通気自在なハニカム状の基材に吸湿材(デシカント:例えばシリカゲルや塩化リチウム等)を保持させて構成している。調湿体25aを軸心周りで回転させる回転駆動手段25bとしては例えば電動モータがある。調湿ローター25は、調湿体25aの一部の領域を第1通気風路28の途中に位置させ、且つ、他の領域を第2通気風路29の途中に位置させるように配置され、並びに、調湿体25aにおける第1通気風路28に位置させる部分及び第2通気風路29に位置させる部分が調湿体25aの回転に伴って変更するように回転駆動手段25bによって運転される。
【0043】
加熱手段26は、加熱作動させることで第2通気風路29を通流する空気を加熱可能である。この加熱手段26は、熱媒循環路L4を介して供給される熱媒を通流させる熱媒流通管を蛇行状に曲げて形成される。その結果、蛇行状部分の近傍を通流する空気が加熱される。加熱手段26を加熱作動させる(加熱作用状態)か、又は、加熱作動させない(加熱停止状態)かは、加熱手段26に熱媒を通流させるか、又は、通流させないかで切り替えられる。加熱手段26における熱媒の通流状態は、制御装置Cが、熱媒の通流を遮断可能な弁(図示せず)を切り替えて制御する。加熱手段26が設けられる位置は、熱交換器24と調湿ローター25との間である。
【0044】
筐体21の内部の第1通気風路28は、筐体21の外部から取り込んだ空気が、調湿体25aの一部の領域、及び、熱交換器24を順に通流して、対象空間16の吹出口20bから対象空間16の内部へ供給されるように、筐体21の内部で区画形成される。第2通気風路29は、対象空間16の吸込口20aを介して対象空間16から吸い込んだ空気が、熱交換器24、加熱手段26、及び、調湿体25aの上記一部の領域とは別の他の領域を順に通流して室外に排出されるように、筐体21の内部で区画形成される。具体的には、筐体21の内部は固定隔壁27を用いて仕切られている。
【0045】
<デシカント除湿換気運転>
図3は、除湿換気装置20をデシカント除湿換気運転させている状態を説明する図である。
図3では、加熱作用状態にある加熱手段26と熱交換実施状態にある熱交換器24とに色を付けて図示している。
【0046】
外気が筐体21の内部に吸い込まれたとき、その外気は、そのままの温度及び湿度で調湿体25aを通過する。このとき、外気が保持している水分は調湿体25aによって吸着された上で(即ち、外気が除湿された上で)熱交換器24に至る。熱交換器24では、第1通気風路28を通流する外気と、対象空間16の吸込口20aから吸い込まれて第2通気風路29を通流する内気とが熱交換して、外気の温度が内気の温度に近づく。その後、熱交換器24の外に出た外気(第1通気風路28を流れる空気)は、対象空間16の吹出口20bを介して対象空間16の内部に供給される。従って、対象空間16の内部に供給される空気は、調湿ローター25において除湿され、及び、熱交換器24において内気との温度差が小さくされた空気である。
【0047】
また、熱交換器24の外に出た内気(第2通気風路29を流れる空気)は、加熱作用状態にある加熱手段26で加熱された後、調湿体25aを通過して、室外に排気される。このとき、調湿ローター25の第2通気風路29に位置させる部分は、加熱手段26で加熱された内気によって乾燥させられる(即ち、調湿体25aが保持していた水分が第2通気風路29を通流する空気に対して放出される)。更に、調湿ローター25は、調湿体25aにおける第1通気風路28に位置させる部分及び第2通気風路29に位置させる部分が調湿体25aの回転に伴って変更するように回転駆動手段25bによって運転されているため、加熱手段26で加熱されて乾燥させられる部分は、次に、調湿体25aにおける第1通気風路28に位置させる部分へと移動して、筐体21の内部に吸い込まれた外気(第1通気風路28を流れる空気)に対する除湿性能を発揮できる。このように、調湿ローター25では、調湿体25aの回転に伴って、第1通気風路28を通流する空気からの水分の除去と、第2通気風路29を通流する空気への水分の放出とが繰り返し行われる。
【0048】
<顕熱交換換気運転>
図4は、除湿換気装置20を顕熱交換換気運転させている状態を説明する図である。
図4では、熱交換実施状態にある熱交換器24に色を付け、加熱停止状態にある加熱手段26には色を付けていない。
【0049】
加熱手段26が加熱停止状態であるため、調湿体25aにおいて水分の吸着及び放出はほとんど行われない。そのため、筐体21の内部に吸い込まれた外気に対する除湿はほとんど行われない。但し、筐体21の内部に吸い込まれた外気(第1通気風路28を流れる空気)は熱交換器24を通流し、及び、筐体21の内部に吸い込まれた内気(第2通気風路29を流れる空気)は熱交換器24を通流するため、筐体21の内部に吸い込まれた外気は、その温度が内気の温度に近づけられた上で対象空間16の吹出口20bから対象空間16に供給される。そのため、内気と大きな温度差の無い空気で、内気の換気を行うことができる。
【0050】
次に、本発明に係る熱電併給システムの運転方法について説明する。
制御装置Cは、所定のタイミングで、対象空間16で冷房運転が行われているか否かを判定する(判定工程)。本実施形態では、対象空間16の冷房運転を行うことができる冷房装置13から対象空間16へ空気が吹き出される吹出口13bの近傍での空気の温度を検出する温度センサ17を設けている。つまり、温度センサ17は、対象空間16で冷房運転が行われているか否かを検出する運転検出手段として機能する。そして、制御装置Cは、温度センサ17の検出結果に基づいて、例えば、温度センサ17で検出される空気の温度が所定温度未満であれば、対象空間16で冷房装置13による冷房運転が行われていると判定する。
【0051】
次に、制御装置Cは、対象空間16で冷房装置13による冷房運転が行われていると判定したとき、除湿換気装置20を除湿運転(即ち、上述した「デシカント除湿換気運転」)させる(除湿運転工程)。燃料電池1が運転されている場合、その燃料電池1の排熱は、
図1に示した蓄熱運転によって貯湯タンク2に蓄熱されているか、又は、
図2に示した熱供給運転によって熱媒循環路L4を流れる熱媒へと渡されているか、の何れかである。
制御装置Cは、燃料電池1の排熱が、
図2に示した熱供給運転によって熱媒循環路L4を流れる熱媒に渡されている場合、弁31を開作動させることで、除湿換気装置20に高温の熱媒を供給して上記デシカント除湿換気運転させることができる。
また、制御装置Cは、燃料電池1の排熱が、
図1に示した蓄熱運転によって貯湯タンク2に蓄熱されている場合、補助熱源機19を作動させて熱交換器5で熱媒循環路L4を流れる熱媒を昇温するとともに、弁31を開作動させることで、除湿換気装置20に高温の熱媒を供給して上記デシカント除湿換気運転させることができる。
【0052】
このように、燃料電池1の排熱が、
図1に示した蓄熱運転によって貯湯タンク2に蓄熱されている場合、及び、
図2に示した熱供給運転によって熱媒循環路L4を流れる熱媒へと渡されている場合の何れであっても、除湿換気装置20に対して高温の熱媒を供給して上記デシカント除湿換気運転させることができる。但し、燃料電池1で発生された熱の有効利用を図るという目的のためには、燃料電池1の排熱を
図2に示した熱供給運転によって熱媒循環路L4を流れる熱媒へと渡しつつ、その高温の熱媒を除湿換気装置20に対して供給して上記デシカント除湿換気運転させる方が好ましい。
【0053】
そこで、本実施形態では、制御装置Cは、燃料電池1の排熱を
図1に示した蓄熱運転によって貯湯タンク2に蓄熱している場合であっても、上記判定工程において対象空間16で冷房運転が行われていると判定し、且つ、所定期間内に給湯用途で利用されると予測される必要熱量が、貯湯タンク2で既に蓄えられている又は必要熱量の予測発生タイミングに関連して決定される将来の所定時刻までに蓄えることができると判定したとき、燃料電池1の排熱を
図2に示した熱供給運転によって熱媒循環路L4を流れる熱媒へと渡してその高温の熱媒を除湿換気装置20に対して供給して上記デシカント除湿換気運転させる。
【0054】
具体的には、制御装置Cは、過去の給湯用途での熱需要量に基づいて、例えば1日という所定期間内に給湯用途で利用されると予測される必要熱量(即ち、予測熱需要量)を導出して、記憶装置(図示せず)に記憶しておく。また、制御装置Cは、貯湯タンク2に設けられている温度センサT2〜T4の検出結果に基づいて、貯湯タンク2に実際に蓄えられている熱量を随時導出する。そして、制御装置Cは、貯湯タンク2に実際に蓄えられている熱量が予測熱需要量以上になると、その1日という所定期間内に給湯用途で利用されると予測される必要熱量が貯湯タンク2で既に蓄えられていると判定する。
また、貯湯タンク2に実際に蓄えられている熱量が予測熱需要量以上になっていなくても、制御装置Cは、現在の貯湯タンク2に実際に蓄えられている熱量と、今後に燃料電池1の排熱を
図2に示した熱供給運転によって貯湯タンク2に蓄えることができる予測熱量とを考慮して、所定期間内に給湯用途で利用されると予測される必要熱量を、必要熱量の予測発生タイミングに関連して決定される将来の所定時刻(例えば、風呂湯張りの予約がされている場合にはその予約時刻、或いは、過去の風呂湯張りが実施された時刻から導出できる予測風呂湯張り時刻)までに蓄えることができるか否かを判定する。
【0055】
以上のようにして、制御装置Cは、対象空間16で冷房装置13による冷房運転が行われていると判定した場合に、燃料電池1の排熱を
図2に示した熱供給運転によって熱媒循環路L4を流れる熱媒へと渡しつつ、その高温の熱媒を除湿換気装置20に対して供給して上記デシカント除湿換気運転させることができる。
【0056】
図5及び
図6は、顕熱交換換気運転及びデシカント除湿換気運転の何れか一方と冷房運転とを併用した場合の効果を示す図である。
図5及び
図6の何れの場合も、冷房装置13は、対象空間16の空気の温度が26℃となるような運転を行った。
【0057】
図5において、横軸は外気絶対湿度であり、縦軸は対象空間16の室内絶対湿度である。
図5から明らかなように、デシカント除湿換気運転と冷房運転とを併用した場合の方が、顕熱交換換気運転と冷房運転とを併用した場合よりも、室内絶対湿度を10%程度低減させることができている。
また、
図6において、横軸は室内外のエンタルピー差であり、縦軸は冷房装置13の消費電力である。
図6から明らかなように、デシカント除湿換気運転と冷房運転とを併用した場合の方が、顕熱交換換気運転と冷房運転とを併用した場合よりも、冷房装置13の消費電力は30W程度低減させることができている。
【0058】
以上のように、対象空間16では、冷房装置13は、除湿換気装置20によって湿度が低下された空気に対して冷房運転を行うことになる。その結果、湿度が低下されていない対象空間16に対して冷房装置13が冷房運転する場合に比べて、冷房装置13が消費するエネルギーが小さくなる。更に、対象空間16の絶対湿度もより低くさせることができる。加えて、除湿換気装置20は、燃料電池1で発生された熱を利用して対象空間16の空気の除湿を行うので、例えば、夏季にラジエーター装置18で廃棄されていた熱の有効利用、即ち、燃料電池1で発生された熱の有効利用を図ることができる。また、本実施形態のように、対象空間16で冷房運転が行われていること、即ち、その対象空間16が利用されていることを条件として除湿換気装置20の運転が行われるので、例えば、利用されていない部屋に対して除湿運転が行われるといった無駄が生じないようにできる。
【0059】
<第2実施形態>
第2実施形態の熱電併給システムの運転方法は、除湿運転工程において行われる、除湿装置を運転させるか否かの判定手法が上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の熱電併給システムの運転方法について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0060】
本実施形態において、制御装置Cは、対象空間16で冷房装置13による冷房運転が行われていると判定し、且つ、燃料電池1の出力電力が設定電力以上であると判定したとき(判定工程)、除湿換気装置20を除湿運転(即ち、上述した「デシカント除湿換気運転」)させる(除湿運転工程)。
除湿換気装置20による対象空間16の空気に対する除湿効果を高めるためには、除湿換気装置20の調湿体25aの再生(即ち、乾燥)が効果的に行われる必要がある。つまり、調湿体25aの再生が、調湿ローター25の第2通気風路29に位置させる部分に供給される空気(即ち、加熱手段26で加熱された内気)によって行われることを考慮すると、加熱手段26に供給される熱媒の温度が高いほど、除湿換気装置20による対象空間16の空気に対する除湿効果を高めることができると言える。例えば、除湿換気装置20の調湿体25aの再生を効果的に行うためには、加熱手段26で加熱後の第2通気風路29を通流する空気の温度を約50℃以上にすることが好ましい。
【0061】
このように、除湿換気装置20は燃料電池1で発生された熱を利用して対象空間16の空気の除湿を行うため、燃料電池1の排熱量が大きい程、除湿換気装置20で利用可能な熱量が大きくなり、その結果、除湿換気装置20による除湿能力を高く発揮させることができる。つまり、燃料電池1の出力電力が設定電力以上であることを条件として除湿換気装置20を除湿運転させるということは、燃料電池1の出力電力の増大に伴って燃料電池1の排熱量が増大した状態、即ち、除湿換気装置20による除湿能力が相対的に高く発揮される状態で除湿換気装置20を除湿運転させることになる。
【0062】
尚、燃料電池1の出力電力は、インバータ装置11を介して供給される蓄電装置12及び冷房装置13及び電力消費装置14の需要電力に応じて変化する。つまり、制御装置Cが、除湿運転工程において、燃料電池1で発生された電力を冷房装置13で消費させつつ除湿換気装置20を運転させることで、燃料電池1の排熱量が大きくなり、その結果、除湿換気装置20による対象空間16の空気に対する除湿効果を高めることができる。同様に、制御装置Cが、除湿運転工程において、燃料電池1で発生された電力を蓄電装置12で蓄えつつ除湿換気装置20を運転させることで、燃料電池1の排熱量が大きくなり、その結果、除湿換気装置20による対象空間16の空気に対する除湿効果を高めることができる。特に、蓄電装置12への供給電力(即ち、蓄電電力)は増減させることができるので、制御装置Cは、蓄電装置12への供給電力を変化させて燃料電池1の出力電力を設定電力以上にするという制御を行うこともできる。
【0063】
ここで、除湿換気装置20の除湿運転の許否にあたっての条件となる「設定電力」の値は、燃料電池1の特性や、燃料電池1から除湿換気装置20までの熱伝達の行われ方などによって適宜設定可能である。例えば、燃料電池1の出力電力が相対的に小さくても排熱量が相対的に大きい場合には、燃料電池1の出力電力が小さくても除湿換気装置20は除湿能力を発揮させるのに要する熱量を得ることができる。従って、「設定電力」の値は相対的に小さくてもよい。例えば、本願で例示した熱電併給システムでは、燃料電池1から熱媒循環路L4を介して、第2通気風路29を通流する空気の温度を約50℃以上にできるだけの熱量を除湿換気装置20の加熱手段26に供給するためには、燃料電池1の出力電力を約400W以上(上記「設定電力以上」の一例)にする必要があった。従って、制御装置Cは、燃料電池1の出力電力が400W以上のときに除湿換気装置20を除湿運転をさせる、或いは、燃料電池1で発生された電力を蓄電装置12に供給することで燃料電池1の出力電力を400W以上にした上で除湿換気装置20を除湿運転をさせるなどの制御を行えばよい。
【0064】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態において、熱電併給システムの構成や運転状態を具体例を挙げて説明したが、熱電併給システムの構成や運転状態は適宜変更可能である。例えば、熱電併給システム内での湯水や熱媒の流路について具体的に説明したが、他の構成に改変してもよい。
また、熱電併給システムが備える熱電併給装置として燃料電池1を例示したが、他の装置を用いてもよい。例えば、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とで構成される熱電併給装置を用いてもよい。この場合、エンジンから排熱を回収することができ、発電機から電力の供給を受けることができる。
他にも、上記実施形態では、蓄電装置12が蓄電池や電気二重層キャパシタを用いて構成できることを説明したが、例えば電気自動車など、蓄電装置を含む様々な装置を利用して上記蓄電装置12が実現されてもよい。
更に、除湿換気装置20の構成を
図3及び
図4を参照して具体的に説明したが、この除湿換気装置20に要求される要件は、熱源となる熱媒の供給を受けて除湿作動可能なことであり、その要件を満たすのであれば他の構成に改変してもよい。
【0065】
<2>
上記実施形態において、対象空間16で冷房運転が行われているか否かを検出する運転検出手段が、冷房装置13から対象空間16へ空気が吹き出される吹出口の近傍での空気の温度を検出可能な温度センサ17である例を説明したが、他の運転検出手段を用いてもよい。例えば、制御装置Cが、冷房装置13から情報通信回線を介して冷房装置13の運転状態に関する情報を受けることによって上記運転検出手段を実現することもできる。この場合、制御装置Cが、冷房装置13から情報通信回線を介して受け付けた冷房装置13の運転状態に関する情報に基づいて、対象空間16で冷房運転が行われているか否かを判定することができる。
【0066】
他にも、
図7に示すように、対象空間16の空気の温度及び湿度を検出する室内温度センサ33及び室内湿度センサ34と、外気(即ち、空調が行われていない建物の外の空気)の温度及び湿度を検出する外気温度センサ35及び外気湿度センサ36とによって上記運転検出手段を実現することもできる。この場合、制御装置Cは、これらのセンサ33〜36の検出結果から、対象空間16で冷房運転が行われることにより対象空間16の温度が低下して外気温度との温度差が大きくなっている状態、及び、対象空間16で冷房運転が行われることにより対象空間16の湿度が低下して外気湿度との湿度差が大きくなっている状態を検出できる。尚、室内温度センサ33、室内湿度センサ34、外気温度センサ35、及び、外気湿度センサ36の全てを設けなくてもよい。例えば、室内温度センサ33及び外気温度センサ35のみを設け、制御装置Cが、室内温度センサ33が検出した対象空間16の温度と外気温度センサ35が検出した外気温度の温度差から、対象空間16で冷房運転が行われているか否かを判定してもよい。同様に、室内湿度センサ34及び外気湿度センサ36のみを設け、制御装置Cが、室内湿度センサ34が検出した対象空間16の湿度及び外気湿度センサ36が検出した外気湿度との湿度差から、対象空間16で冷房運転が行われているか否か判定してもよい。つまり、制御装置Cは、上記判定工程において、対象空間16の温度と外気温度との温度差、及び、対象空間16の湿度と外気湿度との湿度差、の少なくとも何れか一方に基づいて、対象空間16で冷房運転が行われているか否かを判定することができる。
【0067】
尚、
図7では、室内温度センサ33及び室内湿度センサ34を対象空間16の内部に設置し、外気温度センサ35及び外気湿度センサ36を対象空間16の外部に設置した状態を例示したが、検出対象とする各空気の温度及び湿度を検出可能であればそれらの設置場所は適宜変更可能である。例えば、除湿換気装置20の内部に室内温度センサ33、室内湿度センサ34、外気温度センサ35、及び、外気湿度センサ36を設置してもよい。具体的には、
図3及び
図4に例示したように、除湿換気装置20の内部には対象空間16の空気及び外気の両方が取り込まれるので、それらの空気の流路に室内温度センサ33、室内湿度センサ34、外気温度センサ35、及び、外気湿度センサ36の夫々を設ければよい。