【実施例】
【0030】
実施例1:酸性かつシステイン豊富な分泌タンパク質(SPARC)の免疫阻害:
抗原の調製:
70±10gの平均体重および5〜6インチ(12.7〜15.24cm)の平均長を有する合計48匹のチャイロマルハタを対照群および実験群として使用し、試験期間は5ヶ月であった。プライマー1(配列番号:3)およびプライマー2(配列番号:4)を用いてsparc遺伝子を増幅することによって抗原を調製した。
【0031】
50Lの発酵タンクでエピトープを含めた大腸菌(E. coli)BL21(DE3)株を培養するために、35Lの発酵培養プロセスを確立した。4本の試験官に入った、37℃でLB/アンピシリン培地を用いて一晩培養した5mlの細菌株を、それぞれ、0.2LのLB/アンピシリン培地に接種し、合計1Lを37℃においてOD
600が0.3になるまで振とう培養し、次いで、35Lの培養培地に加え、サンプルを採取して毎時のOD
600を決定し、成長曲線の変化をモニタした。成長曲線に従って適切な時点をさらに選択し、0.1mMの最終濃度を有するIPTGを加え、大腸菌が融合タンパク質を高濃度で発現するように誘発し、37℃で3時間、振とう培養し、遠心分離して細菌を回収した。融合タンパク質の発現をSDS−PAGEおよびウェスタンブロット法によって決定し、最適な35Lの発酵条件を決定した。
【0032】
バイオカプセル化したアルテミア・サリナ(Altemia salina L.)の経口ワクチンの調製
アルテミア・サリナの培養:
4gのアルテミア・サリナの乾燥卵の重量を測定し、250mlのビーカーに入れ、150mlの淡水を加えて0.5時間浸漬した。アルテミア・サリナの残った卵をスクリーンでろ過し、適量の淡水で洗浄した。アルテミア・サリナの残りの卵を5Lの培養液に加えて均一に分散させた。エアストーンを設置して空気の送入を開始し、空気の取り込み量を約500cm
3/分に調整した(溶存酸素が2ppmを超えるように維持)。照明装置を点灯し、室温および水温を26〜28℃に保った。24時間後、空気の送入を停止し、照明装置を容器の底部に移し、走光性を利用してアルテミア・サリナの幼生を容器の底部に引き寄せ、5分間そのままにした。この時点で、非培養の卵および培養後の空になった卵の殻を水面に浮かせて、浮いた卵の殻をサイフォンの原理または水を吸い込むことができる他の手段を利用して除去した。培養した初齢の幼生をスクリーンで穏やかにろ過し(細孔120μm)、海水で穏やかに洗浄し、2Lの新鮮な培養液に加えた。孵化液を穏やかに攪拌し、アルテミア・サリナの幼生を均一に分散させた。1mlの培養液を吸引し、1mlの格子状のカウンタプレートに滴下した。幼生の摂動を防ぐため、50℃の熱板上に10分間、幼生を置くことによって死滅させて、カウントを容易にしてもよい。カウント時には、カウンタプレートを、観察のため、60〜100倍の倍率の解剖顕微鏡下に置いた。カウンタプレートを1000格子になるように切断し、カウント方法は、10×10格子(0.1mlあたりの幼生の数)を無作為に選択して幼生の数を数え、プレート上の他の位置の数も同様にカウントし、平均し、10を乗じて、1mlあたりの幼生の数、またはプレート上の幼生の合計数を得ることによってカウントしてもよい。カウント結果に従って、アルテミア・サリナの密度を、1mlあたり500個の幼生になるように調整した。エアストーンを設置し、空気の送入を開始し、空気の取り込み量が約300〜400cm
3/分になるように調整した(溶存酸素が2ppmを超えるように維持)。室温および水温を26〜28℃に保った。12〜18時間の培養後、アルテミア・サリナは最初の脱皮を経て、2齢の幼生になった。この時点で、バイオカプセル化工程が行われる。
【0033】
バイオカプセル化:大腸菌を遠心分離して1000×gで沈降させた。余った培地をデカンテーションし、細菌を等量のPBSで再懸濁し、細菌上の余剰培地を洗い流した。1000×gで再び遠心分離を行い、細菌を適量のPBSに再懸濁して、1×10
10cfu/mLの濃度の細菌液を調製した。滅菌法は加熱滅菌であり、細菌液を10分間、65℃の水浴に入れ、次に、滅菌液を10分間、氷上に置いた。2齢の幼生のアルテミア・サリナを所望の容量にパッケージし、大腸菌の最終濃度が約1×10
10cfu/mLになるように、調製した細菌液を加え、空気を適切に2時間送入した。
【0034】
カプセル化の結果の判定:
サンプリングの前に空気の送入を停止し、2mlのカプセル化したアルテミア・サリナ溶液を小さいスクリーン上に吸引し、大量の淡水で洗浄した。アルテミア・サリナの幼生を遠心分離管に吸引した。マイクロ遠心分離管を−20℃の冷凍庫に10分間入れて、 アルテミア・サリナの幼生を凍結して死滅させ、死滅したアルテミア・サリナの幼生を9cmの培養皿に注ぎ、少量の滅菌水を加えてアルテミア・サリナの幼生を均一に分散させ、つぎに、2齢の幼生500個をピペットマンを用いてマイクロ遠心分離管に吸引し、300rpmで遠心分離して幼生を遠心分離管の底部に集め、遠心分離管内の水を除去し、100μLの滅菌水に置き換えた。アルテミア・サリナの幼生を、マイクロ遠心分離管内で微小粉砕用の棒を用いて注意深く粉砕した。サンプルをSDS−PAGEおよびウェスタンブロット法に供した。
【0035】
アルテミア・サリナを含む飼料の調製
ろ過したまたは未ろ過の2齢のアルテミア・サリナの水を可能な限り除去し、凍結乾燥機を用いて凍結乾燥して粉末化した。アルテミア・サリナの粉末を、通常の粉砕した飼料と1:1000の比で混合し、再び粒化した。
【0036】
食品組成物の調製:
細菌液を濃縮し、凍結乾燥機を用いて凍結乾燥して粉末化した。細菌粉末を1gの飼料に対して3.3×10
9cfuの大腸菌粉末の比で粉砕した飼料と混合し、再び粒化した。
【0037】
動物実験
アルテミア・サリナ群:実験動物を4群:実験群のPEIa−エピトープ群、および、それぞれ、通常の飼料 、アルテミア・サリナ含有飼料およびPEIaフラグメントを用いてカプセル化したアルテミア・サリナを含む飼料を与えた、3つの対照群に分けた。約52.36gの平均体重および5〜6インチ(12.7〜15.24cm)の平均長を有する合計80尾のチャイロマルハタを使用し、実験期間は約12週間であった。動物には、毎月曜日、火曜日、水曜日に抗原を含む飼料を与え、毎木曜日、金曜日、土曜日に通常の飼料を与え、日曜日には絶食させ、魚の体液を免疫付与前および免疫付与後2週間の時点で採取し、これを20〜40分間放置した後に固化し、遠心分離し、ELISA用の血液の上清成分のサンプルを取り、血中の内因性タンパク質に対する抗体力価を決定した。
【0038】
酵素結合免疫吸着法(ELISA)
抗原−抗体の特異的結合を利用して、1μg(100μl)のSPARC−His組み換えタンパク・フラグメントを、初めにコーティングバッファーと均質に混合し、その混合物を96ウェルNunc−Immuno(商標)プレート(NUNC(商標))の底部に加え、4℃で一晩静置し、タンパク質を底部に結合させた。プレートをPBSTで3回洗浄し、5%のスキムミルクを含む100μlのTBST溶液を加えて室温で1時間反応させ、再び、PBSTで少なくとも3回洗浄した。PBSTで希釈した試験用血清を一次抗体として使用し、ウェルに加え、室温で約2〜3時間静置した。プレートPBSTで少なくとも3回洗浄し、次に、二次抗体として、100μlのマウスの非ハタ科血清を室温で1時間静置し、PBSTで少なくとも3回洗浄した。最後に、後部にアルカリ・ホスファターゼを連結させた100μlのヤギの非マウス血清を三次抗体として加え、室温で1時間静置し、プレートをPBSTで洗浄した。最後に、50μlの基質溶液p−ニトロフェニルリン酸塩の錠剤を各ウェルに加え、室温で30分間静置し(色調の顕在化に応じて)、細胞酵素分析装置でOD
405における吸収度を測定した。
【0039】
結果
アルテミア・サリナ群
最初にハタ科の魚の血液を採取し、血清を分離し、酸性かつシステイン豊富な分泌タンパク質のエピトープを含む組み換え融合タンパク質の給餌後の各段階において、ELISA法で、組み換えしたハタ科の魚の酸性かつシステイン豊富な分泌タンパク質の、酸性かつシステイン豊富な分泌タンパク質エピトープについて、ハタ科の魚の血清の抗体力価を決定した。免疫付与後10週間の時点における抗体力価を決定したところ、12週間に至るまで、継続的に上昇しており、PEIa−エピトープ群の抗体力価は、通常の飼料、アルテミア・サリナを含む飼料およびPEIaフラグメントでカプセル化したアルテミア・サリナを含む飼料を与えた3つの対照群の力価に比べて高く、抗体力価は約395に至った(
図1参照)。
【0040】
12週間の動物実験における飼料の合計消費量および飼料要求率を計算した。統計データから、12週間におけるPEIa−エピトープ実験群および他の3つの対照群の飼料の合計消費量はほぼ等量であり、平均飼料要求率はPEIa−エピトープ実験群では1.46、通常の飼料 、アルテミア・サリナを含む飼料およびPEIaフラグメントでカプセル化したアルテミア・サリナを含む飼料を与えた3つの対照群では2.67、2.58、および2.81であり、言い換えれば、酸性かつシステイン豊富な分泌タンパク質のエピトープを与えた実験群は、他に比べて、市場に出す前に消費した飼料の量が少なく、肉量の多いハタ科の魚が得られたことが判明した(表1参照)。
【表1】
【0041】
実施例2:ミオスタチンの免疫阻害:
ミオスタチン・エピトープ組み換えタンパク発現大腸菌(E. coli)の調製
50Lの発酵タンクでエピトープを含んだ大腸菌BL21(DE3)株を培養するため、35Lの発酵培養プロセスを確立した。4本の試験官に入った、37℃でLB/アンピシリン培地を用いて一晩培養した5mlの細菌株を、それぞれ、0.2LのLB/アンピシリン培地に接種し、合計1Lを37℃においてOD
600が0.3になるまで振とう培養し、次いで、35Lの培養培地に加え、サンプルを採取して2時間毎のOD
600を決定し、成長曲線の変化をモニタした。成長曲線に従って適切な時点をさらに選択し、0.1mMの最終濃度を有するIPTGを加え、大腸菌が融合タンパク質を高濃度で発現するように誘発し、37℃で3時間、振とう培養し、遠心分離して細菌を回収した。融合タンパク質の発現をSDS−PAGEおよびウェスタンブロット法によって決定し、最適な35Lの発行条件を決定した。
【0042】
バイオカプセル化したアルテミア・サリナの経口ワクチンの調製
4gのアルテミア・サリナの乾燥卵の重量を測定し、250mlのビーカーに入れ、150mlの淡水を加えて0.5時間浸漬した。アルテミア・サリナの残った卵をスクリーンでろ過し、適量の淡水で洗浄した。アルテミア・サリナの残りの卵を5Lの培養液に加えて均一に分散させた。エアストーンを設置して空気の送入を開始し、空気の取り込み量を約500cm
3/分に調整した(溶存酸素が2ppmを超えるように維持)。照明装置を点灯し、室温および水温を26〜28℃に保った。24時間後、空気の送入を停止し、照明装置を容器の底部に移し、走光性を利用してアルテミア・サリナの幼生を容器の底部に引き寄せ、5分間そのままにした。この時点で、非培養の卵および培養後の空になった卵の殻を水面に浮かせて、浮いた卵の殻をサイフォンの原理または水を吸い込むことができる他の手段を利用して除去した。培養した初齢の幼生をスクリーンで穏やかにろ過し(細孔120μm)、海水で穏やかに洗浄し、2Lの新鮮な培養液に加えた。孵化液を穏やかに攪拌し、アルテミア・サリナの幼生を均一に分散させた。1mlの培養液を吸引し、1mlの格子状のカウンタプレートに滴下した。幼生の摂動を防ぐため、50℃の熱板上に10分間、幼生を置くことによって死滅させて、カウントを容易にしてもよい。カウント時には、カウンタプレートを、観察のため、60〜100倍の倍率の解剖顕微鏡下に置いた。カウンタプレートを1000格子になるように切断し、カウント方法は、10×10格子(0.1mlあたりの幼生の数)を無作為に選択して幼生の数を数え、プレート上の他の位置の数も同様にカウントし、平均し、10を乗じて、1mlあたりの幼生の数、またはプレート上の幼生の合計数を得ることによってカウントしてもよい。カウント結果に従って、アルテミア・サリナの密度を、1mlあたり500個の幼生になるように調整した。エアストーンを設置し、空気の送入を開始し、空気の取り込み量が約300〜400cm
3/分になるように調整した(溶存酸素が2ppmを超えるように維持)。室温および水温を26〜28℃に保った。12〜18時間の培養後、アルテミア・サリナは最初の脱皮を経て、2齢の幼生になった。この時点で、バイオカプセル化工程が行われる。
【0043】
バイオカプセル化:大腸菌を遠心分離して1000×gで沈降させた。余った培地をデカンテーションし、細菌を等量のPBSで再懸濁し、細菌上の余剰培地を洗い流した。1000×gで再び遠心分離を行い、細菌を適量のPBSに再懸濁して、1×10
10cfu/mLの濃度の細菌液を調製した。滅菌法は加熱滅菌であり、細菌液を10分間、65℃の水浴に入れ、次に、滅菌液を10分間、氷上に置いた。2齢の幼生のアルテミア・サリナを所望の容量にパッケージし、大腸菌の最終濃度が約1×10
10cfu/mLになるように、調製した細菌液を加え、空気を適切に2時間送入した。
【0044】
カプセル化の結果の判定:サンプリングの前に空気の送入を停止し、2mlのカプセル化したアルテミア・サリナ溶液を小さいスクリーン上に吸引し、大量の淡水で洗浄した。アルテミア・サリナの幼生を遠心分離管に吸引した。マイクロ遠心分離管を−20℃の冷凍庫に10分間入れて、 アルテミア・サリナの幼生を凍結して死滅させ、死滅したアルテミア・サリナの幼生を9cmの培養皿に注ぎ、少量の滅菌水を加えてアルテミア・サリナの幼生を均一に分散させ、つぎに、2齢の幼生500個をピペットマンを用いてマイクロ遠心分離管に吸引し、300rpmで遠心分離して幼生を遠心分離管の底部に集め、遠心分離管内の水を除去し、100μLの滅菌水に置き換えた。アルテミア・サリナの幼生を、マイクロ遠心分離管内で微小粉砕用の棒を用いて注意深く粉砕した。サンプルをSDS−PAGEおよびウェスタンブロット法に供した。
【0045】
動物実験
アルテミア・サリナ群:実験動物を4群:実験群のPEIa−エピトープ群、および、それぞれ、通常の飼料 、アルテミア・サリナ含有飼料およびPEIaフラグメントを用いてカプセル化したアルテミア・サリナを含む飼料を与えた、3つの対照群に分けた。約157gの平均体重および5〜6インチ(12.7〜15.24cm)の平均長を有する合計40尾のチャイロマルハタを使用し、実験期間は約4ヶ月であった。動物には、毎月曜日、火曜日、水曜日に抗原を含む飼料を与え、毎木曜日、金曜日、土曜日に通常の飼料を与え、日曜日には絶食させ、魚の体液を免疫付与前および免疫付与後2週間の時点で採取し、これを20〜40分間放置した後に固化し、遠心分離し、ELISA用の血液の上清成分のサンプルを取り、血中の内因性タンパク質に対する抗体力価を決定した。
【0046】
アルテミア・サリナを含む飼料の調製:
ろ過したまたは未ろ過の2齢のアルテミア・サリナの水を可能な限り除去し、凍結乾燥機を用いて凍結乾燥して粉末化した。アルテミア・サリナの粉末を、通常の粉砕した飼料と1:1000の比で混合し、再び粒化した。
【0047】
食品組成物の調製:
細菌液を濃縮し、凍結乾燥機を用いて凍結乾燥して粉末化した。細菌粉末を1gの飼料に対して3.3×10
9cfuの大腸菌粉末の比で粉砕した飼料と混合し、再び粒化した。
【0048】
結果
アルテミア・サリナ群
最初にハタ科の魚の血液を採取し、血清を分離し、ミオスタチンエピトープを含めた組み換えエピトープ を含む組み換え融合タンパク質の給餌後の各段階において、ELISA法で、組み換えしたハタ科の魚のミオスタチンのC末端エピトープについて、ハタ科の魚の血清の抗体力価を決定した。免疫付与後10週間の時点における抗体力価を決定したところ、16週間に至るまで、継続的に上昇しており、PEIa−エピトープ群の抗体力価は、通常の飼料、アルテミア・サリナを含む飼料およびPEIaフラグメントでカプセル化したアルテミア・サリナを含む飼料を与えた3つの対照群の力価に比べて高く、抗体力価は約920に至った(
図3参照)。
【0049】
4ヶ月の動物実験における飼料の合計消費量および飼料要求率を計算した。統計データから、4ヶ月におけるPEIa−エピトープ実験群および他の3つの対照群の飼料の合計消費量はほぼ等量であり、平均飼料要求率はPEIa−エピトープ実験群では1.35、通常の飼料 、アルテミア・サリナを含む飼料およびPEIaフラグメントでカプセル化したアルテミア・サリナを含む飼料を与えた3つの対照群では1.72、1.76、および1.82であり、言い換えれば、ミオスタチンのエピトープを与えた実験群は、他に比べて、市場に出す前に消費した飼料の量が少なく、肉量の多いハタ科の魚が得られたことが判明した(表2参照)。
【表2】
【0050】
本発明の実施の形態について例証し、説明してきたが、当業者によるさまざまな変更および改善が可能である。本発明は例証される特定の形態に限定されず、本発明の精神および範囲から逸脱していないすべての変更は添付の特許請求の範囲に定義される範囲内にあることが意図されている。