特許第5939892号(P5939892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939892
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】印判
(51)【国際特許分類】
   B41K 1/50 20060101AFI20160609BHJP
   B41K 1/02 20060101ALI20160609BHJP
   B41K 1/58 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B41K1/50 J
   B41K1/02 T
   B41K1/58 H
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-126924(P2012-126924)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-248855(P2013-248855A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大竹 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 元一
(72)【発明者】
【氏名】神山 武之
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−173919(JP,A)
【文献】 特開2001−353942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 1/50
B41K 1/02
B41K 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、
該外筒に内装され、復帰ばねの弾発力によって昇降動自在な内筒と、
前記内筒に内装されるとともに前記外筒に嵌合する印判本体と、
該印判本体に脱着可能に装着する印字カートリッジと、
該印字カートリッジ下端に多孔性印字部を取り付ける留め具と、
外筒内で内筒を上方位置で固定するロックとからなる印判において、
前記内筒の外側面に、内部方向へ移動可能な突起部を設けるとともに、前記外筒の内側面に、係合部及び内部方向へ移動可能な押込部を設け、
前記ロックは、前記内筒の下端開口が前記留め具上方まで押し上げられた位置で、前記突起部が前記係合部に嵌り込むことにより内筒の昇降動が固定されるとともに、前記押込部を内部方向へ移動させると、前記固定が解除されることを特徴とする印判。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被捺印部材の所定の位置に正確に捺印を行うことができる多孔性印材を用いた印判に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のような印判としては、不使用時に印面が露呈されて他物を汚さないようにするため、外筒内に装着した印判本体の印字部の周囲を、印判本体と外筒との間に昇降動自在に介在させた内筒で覆ったり、印判本体の印字部を開閉自在な蓋で覆うようにしたものが一般的であり、例えば、特許文献1には、ロック機構を解除する捺印操作により内筒が後退するとともに蓋の開放が行われて印面が被捺印面に接触して捺印を行えるようにした開閉式の蓋付き印鑑が記載されている。
【特許文献1】特許第3864010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の開閉式の蓋付き印鑑は、捺印操作を行って蓋が開かれるとともに内筒が後退しても、印判本体の印字部が内筒の先端より突出しないため、捺印者が印面位置の正確な確認ができず、このため、被捺印面の所定の位置に正確に捺印を行うことが難しいという問題があった。
そこで本発明は、通常のこの種の印判と同様の捺印を行えることは勿論のこと、捺印者が印面位置を正確に確認できるようにしたため、限定された位置に精度の高い捺印を行うことのできる印判の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記の課題を解決するために完成された本発明の印判は、外筒と、該外筒に内装され、復帰ばねの弾発力によって昇降動自在な内筒と、前記内筒に内装されるとともに前記外筒に嵌合する印判本体と、該印判本体に脱着可能に装着する印字カートリッジと、該印字カートリッジ下端に多孔性印字部を取り付ける留め具と、外筒内で内筒を上方位置で固定するロックとからなる印判において、前記内筒の外側面に、内部方向へ移動可能な突起部を設けるとともに、前記外筒の内側面に、係合部及び内部方向へ移動可能な押込部を設け、前記ロックは、前記内筒の下端開口が前記留め具上方まで押し上げられた位置で、前記突起部が前記係合部に嵌り込むことにより内筒の昇降動が固定されるとともに、前記押込部を内部方向へ移動させると、前記固定が解除されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は前記したように、外筒と該外筒の内部に設けられている印判本体の上方部との間に、復帰ばねの弾発力によって下端開口が常時は印判本体の多孔性印字部の印面より下方に位置する昇降動自在な内筒を介在させた印判であるから、常時は印判本体の印字部の周囲を覆うように外筒との間に介在されている内筒により、印面が外部に露呈されて他物を汚すことがないうえ、通常の捺印は従来のこの種の印判と同様内筒を被捺印面の捺印したい箇所に当てて外筒を下に押す通常の捺印操作を行えばよい。
そして、前記内筒の下端開口が印判本体の多孔性印字部の印面より上方位置まで押上げられた位置で内筒の側面に内部方向へ移動可能に設けた突起部が外筒の側面に設けた係合部に嵌り込むことにより内筒の昇降動がロックされるものであるから、簡単な操作で印面が露出した状態を保持し、限定された位置に精度の高い捺印を行うことができる。また、外筒の側面に設けた押込部を内部方向へ移動させると、相対する前記突起部も内部方向へ移動し前記ロックが解除されるものであるから、簡単な操作で印面が露出した状態を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施例の分解斜視図
図2】実施例の横断面図
図3】実施例の縦断面図
図4】実施例の作動説明図
図5】実施例のロック作動説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の印判にかかる実施例について、図1図5を参照しながら具体的に説明する。
本発明の印判は、外筒1と、内筒2と、カートリッジ式の印判本体3と、内筒2を復帰スライドさせる1個の復帰ばね5とからなる。
前記外筒1は上端を閉じ下端を開口した有底筒体からなり、前記内筒2は上端・下端がともに開口した筒体からなる。
前記内筒2は一部品の筒体でもよいし、携行時、不用意にインキを衣服等に付着させることを的確に防止できるように、図2図3に示すように内筒2の下端開口に印判本体3の出没により開閉されるシャッタ機構23を組み込んだものでもよい。シャッタ機構23を組み込んだ場合は、印判本体3が下降してシャッタ羽根に当接することにより、弾性により強制的にシャッタ羽根を開いて印面42を外部に露呈させる。また印字体3が後退すれば弾性によりシャッタ羽根は自動的に元の状態に復帰する。
【0008】
前記印判本体3は、外筒1の天井部に設けた突起と嵌合する筒状の小径部31と、該小径部31の下部にこれよりやや大径の受筒部32を続かせてその内部に印字カートリッジ4を装着している。そして、前記外筒1の天井部と前記受筒部32の上方部との間には復帰ばね5を介して内筒2が昇降動自在に装着されている。
【0009】
復帰ばね5は、通常捺印時、後退スライドした内筒2を元の位置にスライド復帰させるとともに、多孔性印字部41の印面42より上方位置まで押上げられロック状態にある内筒2のロックが解除された際、内筒2を元の位置にスライド復帰させるものである。
【0010】
印字カートリッジ4は、印判本体3に係止させる外鍔44aを先方部に形成した筒状体44の上端にインキ補充用のキャップ43を嵌着するとともに、筒状体44の先方部内面に形成した拡径凹部44bにインキ吸蔵体45を嵌合係止し、該インキ吸蔵体45と当接させた多孔性印字部41を金属製留め具46で筒状体44の下端に取付けたものである。なお、クリップ14は外筒1の上部に形成された携行用のものである。
【0011】
内筒2の側面には、一端を側面に接続し接続部分以外の周囲に切り込みを入れて弾性力を持たせた舌片の先端に突起部22を設けてある。
外筒1の側面のうち、前記突起部22と対応する位置に、一端を側面に接続し接続部分以外の周囲に切り込みを入れて弾性力を持たせた舌片の先端に押込部13を設けてある。切り込みの下端部は突起部22が嵌り込む係合部11をなしており、該係合部11の下方には突起部22が乗り越える乗越部12を設けてある。前記押込部13及び乗越部12は外筒1内壁面より内側に突出するため、対応する内筒2外壁面の対応する箇所を内側に後退させて溝状にし、前記押込部13及び乗越部12と内筒2外壁面との緩衝を防ぐ構成とすることが好ましい。
ここで、前記突起部22と押込部13及び係合部11は一組だけでなく複数組設けることができる。また前記舌片の形状は、円形、楕円形、三角形・四角形等の多角形などを適宜採用可能である。
【0012】
本実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
このように構成されたものは、通常捺印の際には、図2図3に示される状態で外筒1を把持し、内筒2の下端を捺印面に押し当てれば、内筒2は復帰ばね5の付勢力に抗して後退し、図4に示される状態となり印字カートリッジ4の下端にある印面42は被捺印面に接触して通常の捺印が行われるが、多孔性印字部41はその周囲が内筒2により覆われているので、捺印位置を正確に位置決めすることができない。
このため、印面42を正確に被捺印面に合わせる必要がある場合は、内筒2の下端開口21が多孔性印字部41の印面42より上方位置になるよう内筒2を押上げていく。すると、弾性力を持たせた内筒2の突起部22が乗越部12に一旦衝突するが、内筒2の突起部22は弾性力を持たせてあるので内部方向にたわみながら乗越部12を乗り越え、さらに内筒2を押上げると、突起部22は外筒1の係合部11に嵌まり込み、内筒2と外筒1は固定され図5に示されるロック状態となる。
このように内筒2の下端開口21より多孔性印字部41の印面42が突出することにより、印面42と被捺印面とを確認して捺印位置を正確に位置決めすることができるので、限定された位置に正確に捺印を行うことができる。
また、このロック状態では、先方があらわになった印字カートリッジ3を容易に取り外すことができるため、印字カートリッジ3を新しいものと交換する際や、印字カートリッジ3にインキを補充するときに有用である。
【0013】
前記ロック状態を解除するには、外筒1の押込部13を押し込んで内部方向へ移動させると、相対している突起部22も内部方向へ移動し、係合部11と突起部22の嵌合が外れると同時に、復帰ばね5の弾発力によって前記工程の全て逆をたどって、元の状態に戻る。
【0014】
本発明の印判の組立ては、印判本体3に印字カートリッジ4を嵌着し、内筒2に前記印判本体3を内装したのち、該内筒2の上面に復帰ばね5を設置した状態で外筒1に内筒2を装着することで簡単に組み付けることができる。
また、本実施例は筒状の印判で説明をしてきたが、直方体や立方体等の箱状の印判でも勿論実施可能である。
【0015】
以上、現時点において最も実践的でありかつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う印判もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0016】
1 外筒
11 係合部
12 乗越部
13 押込部
14 クリップ
2 内筒
21 下端開口
22 突起部
23 シャッタ機構
3 印判本体
31 小径部
32 受筒部
4 印字カートリッジ
41 多孔性印字部
42 印面
43 キャップ
44 筒状体
44a外鍔
44b拡径凹部
45 インキ吸収体
46 金属製留め具
5 復帰ばね
図1
図2
図3
図4
図5