(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5939927
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】充電コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20160609BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20160609BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20160609BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20160609BHJP
B60K 1/04 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
H01R13/52 DZHV
H01R13/639 Z
H02K5/22
B60R16/02 621A
B60K1/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-173857(P2012-173857)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-32905(P2014-32905A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
(72)【発明者】
【氏名】澤田 敦
(72)【発明者】
【氏名】塚本 節
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−238535(JP,A)
【文献】
特開2011−187322(JP,A)
【文献】
特開2012−009387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/56 − 13/72
H02K 5/22
B60K 1/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電側コネクタの受電端子に接続される給電端子を収容し、前記受電側コネクタに嵌合するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングを収容するコネクタケースと、
前記コネクタケース内に設けられ、前記受電側コネクタに係合するロック位置と、前記受電側コネクタとの係合が解除される解除位置との間で揺動支点を中心に揺動自在に設けられるロックアームと、
前記コネクタケースの内面と前記ロックアームとの間に介在して前記揺動支点よりも前記受電側コネクタ側に設けられ、前記ロックアームを前記ロック位置に向けて付勢するコイルバネと
を備える充電コネクタであって、
前記ロックアームには、前記ロックアームの上面に開口され、前記コイルバネの周囲を閉塞した状態で前記コイルバネを収容するバネ収容室が形成され、
前記バネ収容室の底部には、前記ロックアームを貫通する貫通穴が形成されることを特徴とする充電コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の充電コネクタであって、
前記バネ収容室の底部には、前記コイルバネの内側に挿入される凸部が設けられ、
前記凸部の側面には、エッジ部が形成されることを特徴とする充電コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の充電コネクタであって、
前記ロックアームには、前記ロックアームの長手方向に沿った肉抜き溝が形成され、
前記貫通穴は、前記肉抜き溝に連通することを特徴とする充電コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド電気自動車等の車両に搭載されるバッテリーを充電する際に用いられる充電コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等の車両に搭載されたバッテリーを充電するために、充電コネクタが用いられている(特許文献1,2参照)。この種の充電コネクタの一例について、
図4を参照しながら説明する。
【0003】
図4に示すように、充電コネクタ100は、受電端子が設けられた受電側コネクタ(不図示)に嵌合可能に構成されるものである。具体的には、充電コネクタ100は、給電端子(不図示)と、コネクタハウジング110と、コネクタケース120と、ロックアーム130と、コイルバネ140とによって大略構成されている。
【0004】
コネクタハウジング110は、受電側コネクタの受電端子に接続される給電端子を収容し、受電側コネクタに嵌合するようになっている。
【0005】
コネクタケース120は、コネクタハウジング110を収容している。コネクタケース120は、コネクタハウジング110を収容するハウジング収容部121と、給電端子に接続された電線Wを収容する電線収容部122と、電線収容部122に連結されて作業者が把持するハンドル部123とを有している。給電端子に接続されている電線Wは、ハウジング収容部121から電線収容部122及びハンドル部123を通って外部に引き出されている。
【0006】
ロックアーム130は、受電側コネクタとコネクタハウジング110との嵌合状態で、受電側コネクタとコネクタハウジング110との離脱を阻止する。ロックアーム130は、コネクタハウジング110とコネクタケース120との間に位置し、受電側コネクタとコネクタケース120との嵌合方向に沿って設けられている。
【0007】
ロックアーム130は、一端に設けられたロック爪131と、他端に設けられたロック操作部132とを備える。ロック爪131及びロック操作部132は、コネクタケース120の外部に露出されている。ロック操作部132は、受電側コネクタとコネクタハウジング110との嵌合状態を電気的に検知するマイクロスイッチMを押圧するようになっている。
【0008】
このようなロックアーム130は、受電側コネクタにロック爪131が係合するロック位置と、受電側コネクタとロック爪131との係合が解除される解除位置との間で揺動支点133を中心に揺動自在に設けられる。
【0009】
コイルバネ140は、揺動支点133よりもロック操作部132側に設けられている。コイルバネ140は、ロックアーム130をロック位置に向けて付勢している。すなわち、コイルバネ140は、ロックアーム130のロック操作部132側を上方に向けて付勢している。コイルバネ140は、バネ受部141に形成された突起部142により支持されている。
【0010】
このような充電コネクタ100を受電側コネクタへ嵌合する場合、作業者がハンドル部123を握って充電コネクタ100を受電側コネクタ側に移動する。すると、受電側コネクタにロック爪131が当接して、ロックアーム130がロック位置から解除位置に揺動し、ロック操作部132の押圧によりマイクロスイッチMがオフ状態となる。
【0011】
充電コネクタ100が受電側コネクタへ完全に嵌合されると、受電側コネクタにロック爪131が係合し、ロックアーム130が解除位置からロック位置に揺動する。このとき、マイクロスイッチMがオン状態となり、バッテリーの充電が開始可能となる。そして、バッテリーへの充電中において、ロック爪131が受電側コネクタに係合することによって、給電端子と受電端子との接続が不意に切断されることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−275653号公報
【特許文献2】特開2011−244590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、近年においては、充電コネクタ100の軽量化に伴ってコネクタケース120の小型化が望まれており、特に、電線収容部122の小型化が求められている。このため、揺動支点133よりもロック爪131側にコイルバネ140を配置して、電線収容部122を小さくすることが考えられる。この場合、ロックアーム130をロック位置に向けて付勢するために、コネクタケース120の内面とロックアーム130の上面との間(例えば、
図4のAの位置)にコイルバネ140を介在させる必要がある。
【0014】
加えて、コネクタケース120の小型化を維持した状態で、コイルバネ140の伸縮スペースを確保するためには、ロックアーム130の上面に開口したバネ収容室(不図示)を設けざるを得ない。その上、ロックアーム130の強度を確保するためには、バネ収容室にコイルバネ140の周囲が閉塞する周壁を設ける必要がある。
【0015】
しかしながら、バネ収容室がロックアーム130の上面に開口されていると、ロック爪131やロック操作部132近傍からコネクタケース120内に雨水が進入してしまう。このコネクタケース120内に進入した雨水やコネクタケース120内で生じた結露などの水分は、ロックアーム130を伝わってバネ収容室内に滞留してしまう。
【0016】
特に、冬期においては、バネ収容室内に滞留した水分が凍結してしまうことが想定され、コイルバネ140の伸縮性が悪化し、ロックアーム130の揺動性能が悪化することが懸念される。
【0017】
そこで、本発明は、コネクタケースの小型化を維持した状態でコイルバネの伸縮スペースやロックアームの強度を確保し、バネ収容室内に水分が進入してもロックアームの揺動性能の悪化を防止できる充電コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、受電側コネクタの受電端子に接続される給電端子を収容し、前記受電側コネクタに嵌合するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングを収容するコネクタケースと、前記コネクタケース内に設けられ、前記受電側コネクタに係合するロック位置と、前記受電側コネクタとの係合が解除される解除位置との間で揺動支点を中心に揺動自在に設けられるロックアームと、前記コネクタケースの内面と前記ロックアームとの間に介在して前記揺動支点よりも前記受電側コネクタ側に設けられ、前記ロックアームを前記ロック位置に向けて付勢するコイルバネとを備える充電コネクタであって、前記ロックアームには、前記ロックアームの上面に開口され、前記コイルバネの周囲を閉塞した状態で前記コイルバネを収容するバネ収容室が形成され、前記バネ収容室の底部には、前記ロックアームを貫通する貫通穴が形成されることを要旨とする。
【0019】
かかる特徴によれば、バネ収容室の底部には、ロックアームを貫通する貫通穴が形成される。これにより、コネクタケース内に進入した雨水やコネクタケース内で生じた結露などの水分が進入しても、この水分は、バネ収容室の底部に形成された貫通穴から放出される。このため、バネ収容室内に水分が滞留することを防止できる。従って、バネ収容室内で水分が凍結することなく、コイルバネの伸縮性の悪化を防止でき、ロックアームの揺動性能の悪化を防止できる。
【0020】
加えて、バネ収容室がロックアームの上面に開口されていることによって、ロックアームの上面に単にコイルバネを設ける場合と比較して、コイルバネの伸縮スペースを確保できる。その上、バネ収容室がコイルバネの周囲を閉塞した状態でコイルバネを収容することによって、ロックアームの強度をも確保できる。
【0021】
本発明の第2の特徴は、本発明の第1の特徴に係る充電コネクタであって、前記バネ収容室の底部には、前記コイルバネの内側に挿入される凸部が設けられ、前記凸部の側面には、エッジ部が形成されることを要旨とする。
【0022】
かかる特徴によれば、バネ収容室の底部に形成された凸部の側面は、エッジ部が形成される。これにより、バネ収容室内に進入した水分の表面張力による凸部の側面への密着を防止でき、バネ収容室内に水分が滞留することをより確実に防止できる。
【0023】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1又は第2の特徴に係る充電コネクタであって、前記ロックアームには、前記ロックアームの長手方向に沿った肉抜き溝が形成され、前記貫通穴は、前記肉抜き溝に連通することを要旨とする。
【0024】
ところで、充電コネクタの軽量化に伴ってロックアームを軽量化するために、ロックアームに肉抜き溝が形成されている。この肉抜き溝を連通するようにバネ収容室の底部に貫通穴を形成することで、貫通穴の加工が容易になる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の特徴によれば、コネクタケースの小型化を維持した状態でコイルバネの伸縮スペースやロックアームの強度を確保し、バネ収容室内に雨水が進入してもロックアームの揺動性能の悪化を防止できる充電コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る充電コネクタの内部を示す縦断面図である。
【
図2】
図2(a)は、本実施形態に係るロックアームの上面側から見た斜視図であり、
図2(b)は、本実施形態に係るロックアームの底面側から見た斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、本実施形態に係るロックアーム一部断面図であり、
図3(b)は、本実施形態に係るロックアーム一部平面図である。
【
図4】
図4は、背景技術に係る充電コネクタ100の内部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明に係る充電コネクタの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0028】
(充電コネクタの構成)
まず、本実施形態に係る充電コネクタ1の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る充電コネクタ1の内部を示す縦断面図である。
【0029】
図1に示すように、充電コネクタ1(いわゆる、給電側コネクタ)は、受電端子が設けられた充電インレット装置としての受電側コネクタ(不図示)に嵌合可能に構成されている。充電コネクタ1は、給電端子(不図示)と、コネクタハウジング10と、コネクタケース20と、ロックアーム30と、コイルバネ40とによって大略構成されている。
【0030】
コネクタハウジング10は、略円筒状をなしており、絶縁性を有している。コネクタハウジング10は、受電端子に接続される給電端子を収容し、受電側コネクタ(受電側コネクタのハウジング(不図示))に嵌合するようになっている。
【0031】
コネクタケース20は、絶縁性を有しており、コネクタハウジング10や電線Wなどを収容している。コネクタケース20は、一対のケース体によって互いに略鏡像対称に形成されている。一対のケース体は、互いの端縁同士が付き合わされてボルトやナットなどによって組み立てられる。なお、
図1では、コネクタケース20として、一対のケース体の一方のみを示している。
【0032】
コネクタケース20は、コネクタハウジング10を収容するハウジング収容部21と、給電端子に接続された電線Wを収容する電線収容部22と、電線収容部22に連結されて作業者が把持するハンドル部23とによって構成される。給電端子に接続されている電線Wは、電線収容部22から電線収容部22及びハンドル部23を通って外部に引き出されている。
【0033】
ロックアーム30は、受電側コネクタとコネクタハウジング10との嵌合状態で、受電側コネクタとコネクタハウジング10との離脱を阻止する。ロックアーム30は、揺動支点31を中心に揺動自在に設けられる。なお、ロックアーム30の詳細については、後述する。
【0034】
コイルバネ40は、コネクタケース20の内面とロックアーム30との間に介在して揺動支点31よりも受電側コネクタ側に設けられている。コイルバネ40は、ロックアーム30をロック位置(
図1の実線)に向けて付勢している。
【0035】
(ロックアームの構成)
次に、上述したロックアーム30の構成について、図面を参照しながら説明する。
図2(a)は、本実施形態に係るロックアーム30の上面側から見た斜視図であり、
図2(b)は、本実施形態に係るロックアーム30の底面側から見た斜視図である。
図3(a)は、本実施形態に係るロックアーム30の一部断面図であり、
図3(b)は、本実施形態に係るロックアーム30の一部平面図である。
【0036】
図1及び
図2に示すように、ロックアーム30は、受電側コネクタとコネクタハウジング10との嵌合方向に沿って設けられている。ロックアーム30は、コネクタケース20内(具体的には、コネクタハウジング10とコネクタケース20との間)に設けられている。ロックアーム30は、受電側コネクタにロック爪32が係合するロック位置(
図1の実線)と、受電側コネクタとロック爪32との係合が解除される解除位置(
図1の二点鎖線)との間で揺動支点31を中心に揺動自在に設けられる。
【0037】
図2に示すように、ロックアーム30は、一端に設けられたロック爪32と、他端に設けられたロック操作部33とを備えている。ロック爪32及びロック操作部33は、コネクタケース20の外部に露出される。ロック爪32は、ロックアーム30のロック位置(
図1の実線)の状態で受電側コネクタ(不図示)に係合し、ロックアーム30の解除位置(
図1の二点鎖線)の状態で受電側コネクタ(不図示)との係合が解除される。ロック操作部33は、受電側コネクタとコネクタハウジング10との嵌合状態を電気的に検知するマイクロスイッチMを押圧するようになっている。なお、マイクロスイッチMは、ロックアーム30のロック位置では充電可能状態(オン状態)となり、ロックアーム30の解除位置では充電不能状態(オフ状態)となる。
【0038】
また、ロックアーム30には、ロック爪32及びロック操作部33の間に設けられたバネ収容室34と、ロックアーム30の下面に開口されてロックアーム30の長手方向に沿った複数の肉抜き溝35とが形成されている。
【0039】
バネ収容室34は、ロックアーム30の上面に開口され、揺動支点31よりも受電側コネクタ側に設けられている。バネ収容室34は、コイルバネ40の周囲を閉塞した状態でコイルバネ40を収容している。すなわち、バネ収容室34は、底面34Aと、周壁34Bとによって構成されている。バネ収容室34の底部には、ロックアーム30を貫通する貫通穴36と、コイルバネ40の内側に挿入される凸部37とが形成されている。なお、バネ収容室34の底部とは、バネ収容室34の底面34A及び周壁34Bの一部(底面34A寄り)によって構成される。
【0040】
図2及び
図3に示すように、貫通穴36は、バネ収容室34の底面34A及び周壁34Bに開口され、肉抜き溝35にも連通している。凸部37の側面には、複数(本実施形態では4つ)のエッジ部37Eが形成されている。エッジ部37Eは、少なくとも2つが貫通穴36に対向した位置に設けられており、平面視において鋭角状に形成されている(
図3(b)参照)。
【0041】
(充電コネクタの嵌合・離脱)
次に、上述した充電コネクタ1の受電側コネクタへの嵌合・離脱について、簡単に説明する。
【0042】
充電コネクタ1を受電側コネクタへ嵌合する場合、作業者がハンドル部23を握って充電コネクタ1を受電側コネクタ側に移動させる。すると、受電側コネクタにロック爪32が当接して、ロックアーム30がロック位置(
図1の実線)から解除位置(
図1の二点鎖線)に揺動し、マイクロスイッチMがオフ状態となる。
【0043】
そして、充電コネクタ1が受電側コネクタへ完全に嵌合されると、コイルバネ40の付勢により受電側コネクタにロック爪32が係合し、ロックアーム30が解除位置(
図1の二点鎖線)からロック位置(
図1の実線)に揺動する。このとき、マイクロスイッチMがオン状態となり、バッテリーへの充電が開始可能となる。つまり、充電コネクタ1を受電側コネクタへ嵌合する過程では(完全に嵌合するまでは)、バッテリーへの充電が開始されないため、アーク放電が生じない。
【0044】
一方、充電コネクタ1を受電側コネクタから離脱する場合、受電側コネクタとロック爪32との係合を解除するために、作業者がロック操作部33を押圧する。すると、ロックアーム30がロック位置(
図1の実線)から解除位置(
図1の二点鎖線)に揺動し、マイクロスイッチMがオフ状態となり、バッテリーへの充電が停止する。
【0045】
その後、ロックアーム30が解除位置(
図1の二点鎖線)の状態で、充電コネクタ1を受電側コネクタから離れる方向へ移動させることによって、充電コネクタ1が受電側コネクタから完全に離脱される。つまり、充電コネクタ1を受電側コネクタから離脱する過程では、バッテリーへの充電が停止しているため、アーク放電が生じない。
【0046】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態では、バネ収容室34の底部には、ロックアーム30を貫通する貫通穴36が形成される。これにより、コネクタケース20内に進入した雨水やコネクタケース20内で生じた結露などの水分が進入しても、この水分は、バネ収容室34の底部に形成された貫通穴36から放出される。このため、バネ収容室34内に水分が滞留することを防止できる。従って、バネ収容室34内で水分が凍結することなく、コイルバネ140の伸縮性の悪化を防止でき、ロックアーム30の揺動性能の悪化を防止できる。
【0047】
加えて、バネ収容室34がロックアーム30の上面に開口されていることによって、ロックアーム30の上面に単にコイルバネ140を設ける場合と比較して、コイルバネ140の伸縮スペースを確保できる。その上、バネ収容室34がコイルバネ140の周囲を閉塞した状態でコイルバネ140を収容することによって、ロックアーム30の強度をも確保できる。
【0048】
実施形態では、バネ収容室34の底面34Aに形成された凸部37の側面には、エッジ部37Eが形成される。これにより、バネ収容室34内に進入した水分の表面張力による凸部37の側面への密着を防止でき、バネ収容室34内に水分が滞留することをより確実に防止できる。
【0049】
ところで、充電コネクタ1の軽量化に伴ってロックアーム30を軽量化するために、ロックアーム30に肉抜き溝35が形成されている。この肉抜き溝35を連通するようにバネ収容室34の底部(底面34A及び周壁34B)に貫通穴36を形成することで、貫通穴36の加工が容易になる。
【0050】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0051】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、充電コネクタ1は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等の車両に搭載されるバッテリー(不図示)を充電するものとして説明したが、これに限定されるものではなく、その他のバッテリーに充電されるものであってもよい。なお、充電コネクタ1の各種構成は、実施形態で説明したものに限定されるものではなく、実施可能な構成であればよいことは勿論である。
【0052】
例えば、バネ収容室34の底面34Aには、凸部37が形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、凸部37が形成されていなくてもよい。また、凸部37は、必ずしもエッジ部37Eを有している必要はなく、例えば、円筒状に形成されていてもよい。
【0053】
また、ロックアーム30には、肉抜き溝35が形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、肉抜き溝35が形成されていなくてもよい。この場合、貫通穴36は、バネ収容室34の底面34Aからロックアーム30の底面に開口されていてもよく、バネ収容室34の底面34A寄りの周壁34Bからロックアーム30の底面に開口されていてもよい。
【0054】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0055】
1…充電コネクタ
10…コネクタハウジング
20…コネクタケース
21…ハウジング収容部
22…電線収容部
23…ハンドル部
30…ロックアーム
31…揺動支点
32…ロック爪
33…ロック操作部
34…バネ収容室
34A…底面
34B…周壁
35…肉抜き溝
36…貫通穴
37…凸部
37E…エッジ部
40…コイルバネ
M…マイクロスイッチ
W…電線