【実施例1】
【0026】
図1に、本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法について
図1〜
図6を用いて説明する。
【0027】
図1は本発明の第1実施例であるガスタービン燃焼器2を示しており、ガスタービン燃焼器2の本体と、このガスタービン燃焼器2の本体に燃料を供給するガスタービンの燃料系統を示している。
【0028】
図1に示した本実施例のガスタービン燃焼器2において、ガスタービン装置は、大気から空気101を吸い込んで圧縮する圧縮機1と、吸い込んだ空気101を圧縮機1で圧縮した燃焼空気102と燃料ガスとを混合して燃焼して燃焼ガスを生成するガスタービン燃焼器2と、このガスタービン燃焼器2で生成した燃焼ガスによって駆動されるタービン3と、タービン3の回転によって駆動され発電する発電機4を備えている。また、タービン3の回転によって圧縮機1も駆動される。
【0029】
前記のガスタービン装置において、まず、圧縮機1によって大気から吸込んだ空気101を圧縮し、圧縮機1で空気101を圧縮した燃焼空気102をガスタービン燃焼器2に供給する。
【0030】
ガスタービン燃焼器2に供給される燃料ガスは、製鉄プラントの高炉から供給される低カロリーガスである高炉ガス60を約90%、製鉄プラントのコークス炉から供給される発熱量が高いコークス炉ガス80を約10%の割合で混合させた増熱ガス70を、燃料ガスとして燃料供給系統を通じてガスタービン装置のガスタービン燃焼器2に供給される。
【0031】
次に、ガスタービン燃焼器2では、圧縮機1で圧縮した燃焼空気102と、燃料ガスの高炉ガス60と、コークス炉ガス80とを混合した増熱ガス70を、ガスタービン燃焼器の着火〜部分負荷範囲まで供給して燃焼し、高温の燃焼ガス140を発生させる。
【0032】
前記ガスタービン燃焼器2で発生した高温の燃焼ガス140はガスタービン燃焼器2からタービン3に供給され、タービン3では燃焼ガス140の供給によって回転動力が与えられ、タービン3の回転動力が圧縮機1及び発電機4にそれぞれ伝達される。
【0033】
タービン3から前記圧縮機1に伝えられた回転動力は空気101を燃焼空気102に圧縮する圧縮動力に用いられ、タービン3から発電機4に伝えられた回転動力は電気エネルギーに変換される。
【0034】
前記ガスタービン燃焼器2は、圧力容器である円筒形状の外筒10と、外筒10の内周側に、内部に燃焼室12を形成する円筒状のライナ13と、外筒10とライナ13との間に配置され、燃焼室12を冷却する冷却空気を供給するフロースリーブ11を備えている。
【0035】
また、ガスタービン燃焼器2の頭部となる燃焼室12の上流側には、燃焼室12に燃料と空気を噴出し火炎を形成するためのバーナ300を配置している。
【0036】
圧縮機1からガスタービン燃焼器2に供給された燃焼空気102は、フロースリーブ11とライナ13との海田に形成される空間内を流れ、この燃焼空気102の一部は、ライナ13を冷却しながらライナ13の側壁に設けた冷却孔から燃焼室12内に供給され、また、この燃焼空気102の他の一部は、ガスタービン燃焼器2の頭部の設置したバーナ300に設けた空気噴孔402(
図2A、
図2B参照)を通じて燃焼室12内に供給される。
【0037】
図2A及び
図2Bにガスタービン燃焼器2の頭部に設置したバーナ300の拡大断面図および正面図をそれぞれ示す。バーナ300は、内周側に設置した内周スワラ201と、この内周スワラ201の外周側に設置した外周スワラ202とで構成する2重旋回構造を採用している。
【0038】
図2A及び
図2Bに示したように、ガスタービン燃焼器2の頭部に設置したバーナ300を構成する内周スワラ201には、複数個のガス噴孔401と複数個の空気噴孔402を交互に環状に配置し、内周スワラ201の外側側に設けた外周スワラ202には、複数個のガス噴孔403を相互に離間させて環状に配置している。
【0039】
これらのガス噴孔401、空気噴孔402、及びガス噴孔403のそれぞれの噴孔には旋回角を設けることで、低速となる保炎領域(循環ガス領域)をバーナ300の半径方向中心部近傍に形成し、燃焼安定性を強化するように構成している。
【0040】
また、ガスタービン燃焼器2のバーナ300を構成する内周スワラ201において、ガス噴孔401と空気噴孔402を交互に配置しているため、燃料ガスである高炉ガス60を分岐したガス燃料201fと燃焼空気102を別々の流路より供給する拡散燃焼により、低カロリーガスの前記高炉ガス60を安定に燃焼できる。
【0041】
一方、ガスタービン燃焼器2のバーナ300を構成する外周スワラ202においては、複数個のガス噴孔403より高炉ガス60を分岐したガス燃料202fが供給される。前記ガス燃料202fは内周スワラ201の空気噴口402から供給される燃焼空気102や、ライナ13に供給されるバーナ300近傍の燃焼空気102と混合して、内周スワラ201によって燃焼室12内の軸心側に形成される内周火炎501を基点に、外周スワラ202によって外周火炎502が燃焼室12内の前記内周火炎501の外周側に形成される。
【0042】
燃焼室12内に前記外周火炎502を形成することによって、前記内周火炎501の周囲の温度が高くなるため、保炎を強化できる。
【0043】
また、
図1に示すように、ガスタービン燃焼器2に供給する高炉ガス60およびコークス炉ガス80は、高炉ガス燃料系統601およびコークス炉ガス燃料系統602からそれぞれ供給される。
【0044】
高炉ガス燃料系統601は流量調節弁603を備え、ガスタービンの運転状態に応じた流量を流量調節弁603によって調節して高炉ガス60をガスタービン燃焼器2に供給する。
【0045】
コークス炉ガス燃料系統602は流量調節弁604を備え、ガスタービン燃焼器2の着火から部分負荷条件において流量調節弁604によって流量を調節してコークス炉ガス80をガスタービン燃焼器2に供給する。
【0046】
そして、これらの高炉ガス燃料系統601とコークス炉ガス燃料系統602は流量調節弁603、604の下流側で合流し、高炉ガス60の流量が約90%、コークス炉ガス80の流量が約10%の割合で混合した増熱ガス70を形成して、燃料ガス供給系統605を通じてこの増熱ガス70がガスタービン燃焼器2に燃料ガスとして供給されることになる。
【0047】
前記燃料ガス供給系統605には、この増熱ガス70のCO
2濃度を計測するCO
2濃度計701と、増熱ガス70の圧力を調節する圧力調整弁606とをそれぞれ備えている。
【0048】
前記燃料ガス供給系統605は圧力調整弁606の下流側で分岐して、分岐した一方は前記ガスタービン燃焼器2のバーナ300の内周側に設置した内周スワラ201に増熱ガス70の一部である内周燃料201fを供給する第1の燃料系統607と、分岐した他方はバーナ300の外周側に設置した外周スワラ202に増熱ガス70の一部である外周燃料202fを供給する第2の燃料系統608とそれぞれ接続している。
【0049】
CO
2濃度計701は、増熱ガス70中のCO
2濃度を計測し、その計測した増熱ガス70中のCO
2濃度を制御装置700に伝達している。
【0050】
前記第1の燃料系統607及び第2の燃料系統608には供給する増熱ガス70の流量を調節する流量調節弁609及び610がそれぞれ備えられており、CO
2濃度計701により計測された増熱ガス70中のCO
2濃度の計測値に基づいて制御装置700で演算され、出力される指令信号によって増熱ガス70の流量を調節する流量調節弁609及び610を操作することで、第1の燃料系統607を通じてガスタービン燃焼器2のバーナ300の内周スワラ201に供給する内周燃料201f、および第2の燃料系統608を通じてガスタービン燃焼器2のバーナ300の外周スワラ202に供給する外周燃料202fの燃料流量の調節がそれぞれ可能となる。
【0051】
上記したガスタービン燃焼器2の燃料を制御する制御装置及び燃料制御方法について、
図1、
図2をもとに更に説明する。
【0052】
図1及び
図2において、ガスタービン装置の起動時には、起動用モータ(図示せず)などの外部動力によってガスタービン装置を駆動し、ガスタービン燃焼器2の着火に必要な燃焼空気102をガスタービン燃焼器2に供給する。
【0053】
高炉ガス60とコークス炉ガス80とを混合させた増熱ガス70の燃料ガスの一部を、第1の燃料系統607を通じてガスタービン燃焼器2のバーナ300に設置した内周スワラ201に内周燃料201fを供給し、この高炉ガス60とコークス炉ガス80とを混合させた増熱ガス70の燃料ガスの他の一部を、第2の燃料系統608を通じてガスタービン燃焼器2のバーナ300に設置した外周スワラ202に外周燃料202fをそれぞれ供給し、点火栓(図示せず)により着火してガスタービン燃焼器2内に火炎を形成する。
【0054】
ガスタービン燃焼器2の着火後、燃焼室12内で形成された燃焼ガス140がタービン3に供給され、前記燃料ガスの流量増加とともにタービン3が昇速し、起動用モータの離脱によりガスタービン装置が自立運転に入り、無負荷定格回転数に到達する。
【0055】
ガスタービン装置が無負荷定格回転数に到達後は、発電機4の併入、さらには燃料ガスの流量増加によりタービン3の入口ガス温度が上昇し、負荷が上昇する。
【0056】
ガスタービン装置の負荷の上昇に伴い、ガスタービン燃焼器2の出口燃焼ガス温度が高くなり、燃焼安定性が増加するため、増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に混合させるコークス炉ガス80の供給を停止することが可能となる。
【0057】
ガスタービン燃焼器2のバーナ300においては、内周スワラ201によって
図2に示すガスタービン燃焼器2の燃焼室12内に形成される内周火炎501と、外周スワラ202によって燃焼室12内の前記内周火炎501の外周側に形成される外周火炎502の相互作用によって、燃料ガスとして低カロリーガスである高炉ガス60の専焼条件であってもガスタービン燃焼器2の燃焼室12に形成する火炎を安定に保持できる。
【0058】
次に、本実施例のガスタービン燃焼器における燃料の制御装置及びその燃料の制御方法について、
図3に示すガスタービン燃焼器における燃料の制御装置及び
図4に示すガスタービン燃焼器における燃料の制御方法のフローチャートを用いて説明する。
【0059】
図3に示したガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700は、本実施例のガスタービン燃焼器2における制御装置700を構成する各演算器を示すものである。
【0060】
また
図4に示したフローチャートは、本実施例のガスタービン燃焼器2における制御装置700で演算する各演算プロセスを示すものである。
【0061】
図3に示したガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700には、ガス燃料の組成である増熱ガス70中のCO
2濃度を計測するCO
2濃度計701で計測したCO
2濃度の計測値に基づいてガスタービン燃焼器2のバーナ300における内周燃料比率を演算する内周燃料比率演算器710と、前記内周燃料比率演算器710で演算した内周燃料比率に基づいて外周燃料の圧力比を演算すると共に、この外周燃料の圧力比と制限値760で設定した圧力比の制限値と比較して外周燃料の圧力比が前記制限値760で設定した制限値の範囲内であるか否かの判定の演算を行う外周燃料の圧力比演算器730が備えられている。
【0062】
そして前記圧力比演算器730の演算で外周燃料の圧力比が制限値760で設定した制限値の範囲内(外周燃料の圧力比≦制限値)と判断された場合に、燃料流量演算器750によって前記内周燃料比率演算器710で演算した内周燃料比率となるように、第1の燃料系統607に設置した流量調節弁609及び第2の燃料系統608に設置した流量調節弁610に制御信号を出力して前記流量調節弁609及び610の開度をそれぞれ調節し、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に設置した内周スワラ201に該第1の燃料系統607を通じて供給する燃料である内周燃料201fの燃料供給量と、外周スワラ202に該第2の燃料系統608を通じて供給する燃料である外周燃料202fの燃料供給量を制御する。
【0063】
そして前記圧力比演算器730の演算で外周燃料の圧力比が制限値760で設定した制限値の範囲外(外周燃料の圧力比>制限値)と判断された場合には、コークス炉ガス流量演算器740の演算に基づいてコークス炉ガス燃料系統602に設置した流量調節弁604の開度を開いて該コークス炉ガス燃料系統602を通じて増熱ガス70として供給されるコークス炉ガス80の流量を増加させ、燃料ガス中のCO
2濃度を低減させる。
【0064】
そして、前記圧力比演算器730の演算で外周燃料の圧力比が制限値760で設定した制限値の範囲内(外周燃料の圧力比≦制限値)となるまで、再度、前記内周燃料比率演算器710による演算によってCO
2濃度計701で計測した増熱ガス70中のCO
2濃度の計測値に基づいて内周燃料比率を演算するプロセスを繰り返すように構成されている。
【0065】
次に、本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700の演算プロセスについて、
図3に示した燃料の制御装置700と、
図4に示した燃料の制御方法のフローチャートの各ステップとを関連付けて説明する。
【0066】
図3及び
図4において、最初に、高炉ガス組成変化のステップ801で、ガス燃料が当初計画した燃料組成に対して実測した燃料組成が変化すると、CO
2濃度検出のステップ802に進んで、
図3に示したCO
2濃度計701によってガス燃料である増熱ガス70中のCO
2濃度を検出して燃料の制御装置700に入力させる。
【0067】
次に、内周燃料比率計算のステップ804に進んで、CO
2濃度計701で計測したガス燃料中のCO
2濃度に基づき、前記制御装置700を構成する内周燃料比率演算器710の演算によって、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に設置した内周スワラ201に供給する燃料である内周燃料201fと、外周スワラ202に供給する燃料である外周燃料202fとの比率(内周燃料比率)を算出する。
【0068】
次に、外周燃料202の圧力比が制限値範囲内か否かを判断するステップ807に進んで、前記内周燃料比率演算器710で演算した内周燃料比率に基づいて、前記制御装置700を構成する外周燃料の圧力比演算器730の演算によって外周燃料の圧力比を演算すると共に、この外周燃料の圧力比と制限値760で設定した圧力比の制限値と比較して外周燃料の圧力比が前記制限値760で設定した制限値の範囲内であるか否かの判定の演算を行なって、外周燃料202fの圧力比が制限値の範囲内(外周燃料の圧力比≦制限値)にあるか否かを判断する。
【0069】
そして、前記圧力比演算器730の演算によって、外周燃料202fの圧力比が前記制限値760で設定した制限値の制限範囲内の場合(YESの場合:外周燃料の圧力比≦制限値)に、次に燃料流量調節弁制御のステップ808に進んで、制御装置700を構成する燃料流量演算器750によって前記内周燃料比率演算器710で演算した内周燃料比率となるように、第1の燃料系統607に設置した流量調節弁609及び第2の燃料系統608に設置した流量調節弁610に制御信号を出力して前記流量調節弁609及び610の開度をそれぞれ調節し、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に設置した内周スワラ201に該第1の燃料系統607を通じて供給する燃料である内周燃料201fの燃料供給量と、外周スワラ202に該第2の燃料系統608を通じて供給する燃料である外周燃料202fの燃料供給量を制御する。
【0070】
また、前記圧力比演算器730の演算によって、外周燃料202fの圧力比が制限範囲外となる場合(NOの場合:外周燃料の圧力比>制限値)には、次に、コークス炉ガス流量増加のステップ809に進んで、制御装置700を構成するコークス炉ガス流量演算器740による演算によってコークス炉ガス燃料系統602に設置した流量調節弁604を操作して、コークス炉ガス80を供給する流量を増加し、燃料ガス中のCO
2濃度を低減させる。
【0071】
そして、再度、CO
2濃度検出のステップ802、及び内周燃料比率計算のステップ804を経由して、再度、燃料流量調節弁制御のステップ808に進んで、制御装置700の圧力比演算器730の演算によって外周燃料の圧力比を演算すると共に、この外周燃料の圧力比と制限値とを比較して外周燃料の圧力比が制限値の範囲内であるか否かの判定の演算を行ない、外周燃料202fの圧力比が制限値の範囲内にあるか否かを判断する。
【0072】
そして、前記圧力比演算器730の演算で外周燃料の圧力比が制限値760で設定した制限値の範囲内(外周燃料の圧力比≦制限値)となるまで、再度、前記内周燃料比率演算器710による演算によってCO
2濃度計701で計測した高炉ガス60中のCO
2濃度の計測値に基づいて内周燃料比率を演算するプロセスを繰り返すように構成されている。
【0073】
上述した本実施例のガスタービン燃焼器の燃料制御においては、前記した内周燃料比率は、
図2Aに示すガスタービン燃焼器2の燃焼室12内の軸心側に形成される内周火炎501の温度が安定燃焼可能な温度以上となるように制御される。
【0074】
図5に、本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置によって制御される燃料ガス中のCO
2濃度とガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する燃料おける内周燃料比率の概念図を示す。
【0075】
図5に示した実線の直線は、燃料ガス中のCO
2濃度が変化した時に、ガスタービン燃焼器2の燃焼室12内に形成される内周火炎501の温度が安定燃焼可能な温度となる内周燃料比率を示した直線であり、この直線よりも上の領域で安定燃焼可能となる。
【0076】
ここで、
図5に示したように、横軸の燃料ガス中のCO
2濃度を計測すると、縦軸の安定燃焼可能な内周燃料比率の下限値φ
minを決定できる。このため、内周燃料比率の設定値φには、式(1)の関係が成立する必要がある。
【0077】
φ≧φ
min ・・・(1)
尚、式(1)の演算式を演算する演算器は、
図3の制御装置700の内周燃料比率演算器710に組み込まれている。
【0078】
燃料ガス中のCO
2濃度が増加すると、ガスタービン燃焼器2の燃焼室12内に形成される内周火炎501の温度が低下し、燃焼安定性が損なわれる可能性がある。
【0079】
このため、内周燃料比率を高くして、内周火炎501の温度を安定燃焼可能な温度以上に制御する必要がある。
【0080】
制御装置700の内周燃料比率演算器710に、あらかじめガスタービンの着火から定格負荷におけるCO
2濃度と内周燃料比率の関係を設定データとして入力して保管しておき、この保管した設定データからCO
2濃度と内周燃料比率の関係を読みだして、ガスタービンの運転条件および燃料ガスである増熱ガス70中のCO
2濃度に基づいて前記内周燃料比率演算器710によって適切な内周燃料比率の値を選択するように設定する。
【0081】
また、ガスタービン燃焼器2のバーナ300の内周スワラ201に第1の燃料系統607を通じて供給する内周燃料201fと、外周スワラ202に第2の燃料系統608を通じて供給する外周燃料202fは、共に上流側の燃料ガス燃料系統605から燃料ガスを供給されているため、ガスタービン燃焼器2のバーナ300における内周燃料比率が決まると、外周燃料流量および外周燃料圧力比(外周燃料供給圧力/燃焼器圧力)がそれぞれ算出される。
【0082】
この外周燃料流量および外周燃料圧力比(外周燃料供給圧力/燃焼器圧力)を演算する演算器は、
図3の制御装置700の外周燃料の圧力比演算器730に組み込まれている。
【0083】
図6に、本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置によって制御されるガスタービン燃焼器2のバーナ300の内周燃料比率と外周燃料圧力比の関係を示す概念図を示す。
【0084】
図6に示したように、内周燃料比率の増加にともない外周燃料流量は低減し、外周燃料圧力比も徐々に低減する。この
図6において、外周燃料圧力比には下限値P
1および上限値P
2がある。
【0085】
そして外周燃料圧力比が下限値P
1以下の条件では、
図2A及び
図2Bに示したガスタービン燃焼器2のバーナ300における外周スワラ202のガス噴孔403から燃料を供給する時の差圧が低くなり、ガス噴孔403から燃料を均一に供給できなくなる。
【0086】
このため、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に設置した外周スワラ202に供給する外周燃料202fに偏差が生じ、
図2Aに示したガスタービン燃焼器2の燃焼室12内の内周火炎501の外周側に形成される外周火炎502の安定性が損なわれる可能性がある。
【0087】
また、外周燃料圧力比が高くなると、前記外周スワラ202のガス噴孔403から流入する外周燃料202fの流速が増大する。
【0088】
本実施例で示したガスタービン燃焼器2のバーナ300では、内周火炎501を基点としてその外周側に外周火炎502を形成するため、外周燃料202fの流速が増大すると外周火炎502が不安定化する可能性がある。
【0089】
以上から、本実施例のガスタービン燃焼器2のバーナ300における外周燃料圧力比を、P
1以上で、且つ、P
2以下とするためには、ガスタービン燃焼器2のバーナ300における内周燃料比率の設定値φは、式(2)の関係が成立する必要がある。
【0090】
φ
P2≦φ≦φ
P1 ・・・(2)
尚、式(2)の演算式を演算する演算器は、
図3の制御装置700の内周燃料比率演算器710に組み込まれている。
【0091】
また、式(1)及び式(2)により、本実施例のガスタービン燃焼器2のバーナ300における内周燃料比率の設定値φは、式(3)の範囲で制御する必要がある。
【0092】
max(φ
min 、φ
P2)≦φ≦φ
P1 ・・・(3)
尚、式(3)の演算式を演算する演算器は、
図3の制御装置700の内周燃料比率演算器710に組み込まれている。
【0093】
この場合、本実施例のガスタービン燃焼器2のバーナ300における内周燃料比率の設定値φは以下の式(4)となるように制御することが望ましい。
【0094】
このように、本実施例のガスタービン燃焼器2のバーナ300の内周燃料比率を制御することで、内周燃料比率の上下限値に対して裕度を確保でき、CO
2濃度以外の組成変化に対するガスタービン燃焼器の信頼性を向上することができる。
【0095】
φ=( max(φ
min 、φ
P2)+φ
P1)/2 ・・・(4)
尚、式(4)の演算式を演算する演算器は、
図3の制御装置700の内周燃料比率演算器710に組み込まれている。
【0096】
本実施例では、高炉ガス60とコークス炉ガス80とを混合させて形成した増熱ガス70を、ガスタービン燃焼器2に供給する燃料系統にCO
2濃度計701を設置し、増熱ガス70中のCO
2濃度に応じてガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する燃料の内周燃料比率、および増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に混合するコークス炉ガス80の混合量を制御することにある。
【0097】
このように構成することで高炉ガス60の燃料組成が変化してもガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する増熱ガス70の内周燃料比率を制御することで、ガスタービン燃焼器2の火炎の安定性を維持することができる。
【0098】
また、増熱ガス70の内周燃料比率の調節だけでガスタービン燃焼器2の安定性を維持できない場合に限り、増熱ガス70に混合するコークス炉ガス80の流量を増加するため、増熱ガス70として高炉ガス60の燃料流量に対して一定の比率でコークス炉ガス80を供給する場合よりもコークス炉ガス80の使用量を低減することができる。
【0099】
また、本実施例では、増熱ガス70を形成する高炉ガス60の成分を計測する燃料組成はCO
2濃度だけであり、必要な計測装置はCO
2濃度計701となる。
【0100】
このため、高炉ガス60の成分をガスクロマトグラフにより分析する場合と比べ、燃料系統に必要なコストを低減できる。
【0101】
また、赤外線式のCO
2濃度計701はガスクロマトグラフと比べて応答速度が速く、増熱ガス70を形成する高炉ガス60の燃料組成が変動した時に迅速に燃料制御に反映できる。このため、燃料組成の変動に対してより安定性を確保することができる。
【0102】
本実施例によれば、発熱量が低く燃えにくい低カロリーガスを燃料ガスとして燃焼させる際に、燃料ガスの組成が変動した場合でもCO排出濃度の増加を抑制して安定燃焼を可能にしたガスタービン燃焼器が実現できる。
【実施例2】
【0103】
次に本発明の第2実施例であるガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法について
図7〜
図12を用いて説明する。
【0104】
本実施例のガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法は、
図1〜
図6に示した第1実施例のガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器の燃料制御方法と基本的な構成及び内容は共通しているので、両者に共通した説明は省略し、相違する部分についてのみ以下に説明する。
【0105】
図7に本発明の第2実施例としてガスタービン燃焼器とその燃料系統を示す。本実施例のガスタービン燃焼器2においては、前記第1実施例のガスタービン燃焼器2の構成に加えて、燃料ガス供給系統605に増熱ガス70に含まれるガス成分のH
2濃度を測定するH
2濃度計703を設置している。
【0106】
本実施例のガスタービン燃焼器2のバーナ300に使用される低カロリー燃料は、高炉ガス60とコークス炉ガス80とを混合させた増熱ガス70であるが、これらの高炉ガス60とコークス炉ガス80の双方共にH
2を含む燃料である。
【0107】
H
2は単位体積当たりの発熱量が高く燃焼速度が速いため燃えやすい燃料であり、燃料中のH
2濃度が高くなると燃焼安定性が高くなる。
【0108】
このため、増熱ガス70中のCO
2濃度が高くても、H
2濃度が高ければ、ガスタービン燃焼器2のバーナ300で燃焼させる燃料として、増熱ガス70を形成する高炉ガス60の専焼で安定燃焼が可能性となる。
【0109】
本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700の演算プロセスについて、
図8に示した燃料の制御装置700と、
図9に示した燃料の制御方法のフローチャートの各ステップとを関連付けて説明する。
【0110】
図8及び
図9において、本実施例のガスタービン燃焼器2の燃料制御装置及び燃料制御方法では、CO
2・H
2濃度検出のステップ803で、高炉ガス60等の低カロリーガス燃料と、コークス炉ガス80の高カロリーガス燃料とを混合させて形成した増熱ガス70の組成である増熱ガス70中のCO
2濃度およびH
2濃度をCO
2濃度計701及びH
2濃度計703で計測する。
【0111】
図8に示した本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700には、ガス燃料の組成である増熱ガス70中のCO
2濃度を計測するCO
2濃度計701で計測したCO
2濃度に加えて、増熱ガス70中のH
2濃度を計測するH
2濃度計703で計測したH
2濃度の計測値が、ガスタービン燃焼器の増熱ガス70の内周燃料比率を演算する内周燃料比率演算器710及び内周燃料比率補正演算器770に入力される。
【0112】
そして、まず最初に、内周燃料比率計算のステップ804で、CO
2濃度計701で計測した増熱ガス70中のCO
2濃度に基づいて燃料の制御装置700における内周燃料比率演算器710によってガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する増熱ガス70の燃料ガスの内周燃料比率を演算する。
【0113】
次に、内周燃料比率補正のステップ805に進んで、前記内周燃料比率演算器710で算出した前記内周燃料比率に対し、H
2濃度計703で計測した増熱ガス70中のH
2濃度の計測値に基づいて、増熱ガス70の燃料ガス中のH
2濃度の補正を内周燃料比率補正演算器770による演算によって行う。
【0114】
この内周燃料比率補正演算器770では、あらかじめ増熱ガス70中のH
2濃度と内周燃料比率の関係を設定データとして入力して保管しておき、この保管した設定データから
H
2濃度と内周燃料比率の関係を読みだして、ガスタービンの運転条件および増熱ガス70中のH
2濃度に基づいて前記内周燃料比率補正演算器770によって適切な内周燃料比率の補正値を選択するように設定する。
【0115】
次に、外周燃料202の圧力比が制限値範囲内か否かを判断するステップ807に進んで、前記内周燃料比率補正演算器770で演算した内周燃料比率の補正値に基づいて外周燃料の圧力比演算器730によって演算を行ない、外周燃料の圧力比を演算すると共に、この外周燃料の圧力比と制限値760で設定した圧力比の制限値と比較して外周燃料の圧力比が前記制限値760で設定した制限値の範囲内であるか否かの判定の演算を行なって、外周燃料202fの圧力比が制限値の範囲内(外周燃料の圧力比≦制限値)にあるか否かを判断する。
【0116】
そして、前記圧力比演算器730の演算によって、外周燃料202fの圧力比が前記制限値760で設定した制限値の制限範囲内の場合(YESの場合:外周燃料の圧力比≦制限値)に、次に燃料流量調節弁制御のステップ808に進んで、制御装置700を構成する燃料流量演算器750によって前記内周燃料比率演算器710で演算した内周燃料比率となるように、第1の燃料系統607に設置した流量調節弁609及び第2の燃料系統608に設置した流量調節弁610に制御信号を出力して前記流量調節弁609及び610の開度をそれぞれ調節し、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に設置した内周スワラ201に該第1の燃料系統607を通じて供給する増熱ガス70の燃料である内周燃料201fの燃料供給量と、外周スワラ202に該第2の燃料系統608を通じて供給する増熱ガス70の燃料である外周燃料202fの燃料供給量を制御する。
【0117】
そして前記内周燃料比率補正演算器770の演算によって補正した後のガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する増熱ガス70の燃料の内周燃料比率に基づいて、外周燃料202fの圧力比が制限値範囲内で算出した内周燃料比率となるように流量調節弁を制御する。
【0118】
前記圧力比演算器730の演算によって、外周燃料202fの圧力比が制限範囲外となる場合(NOの場合:外周燃料の圧力比>制限値)には、次に、コークス炉ガス流量増加のステップ809に進んで、制御装置700を構成するコークス炉ガス流量演算器740による演算によってコークス炉ガス燃料系統602に設置した流量調節弁604を操作して、増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に混合するコークス炉ガス80を供給する流量を増加し、燃料ガス中のCO
2濃度を低減させる。
【0119】
そして、再度、CO
2・H
2濃度検出のステップ803、内周燃料比率計算のステップ804、及び内周燃料比率補正のステップ805を経由して、再度、燃料流量調節弁制御のステップ808に進んで、制御装置700の圧力比演算器730の演算によって外周燃料の圧力比を演算すると共に、この外周燃料の圧力比と制限値とを比較して外周燃料の圧力比が制限値の範囲内であるか否かの判定の演算を行ない、外周燃料202fの圧力比が制限値の範囲内にあるか否かを判断する。
【0120】
そして、前記圧力比演算器730の演算で外周燃料の圧力比が制限値760で設定した制限値の範囲内(外周燃料の圧力比≦制限値)となるまで、再度、前記内周燃料比率演算器710による演算によってCO
2濃度計701で計測した増熱ガス70中のCO
2濃度の計測値に基づいて内周燃料比率を演算するプロセスを繰り返すように構成されている。
【0121】
図10に、燃料の計画組成よりもH
2濃度が高い燃料ガスである増熱ガス70におけるCO
2濃度と内周燃料比率の関係の概念図を示す。
【0122】
図10中の細い実線は第1実施例の場合の
図5に示した内周燃料比率と同様に、燃料中のCO
2濃度をもとにガスタービン燃焼器2の燃焼室12内に形成される内周火炎501の温度が安定燃焼可能な温度となる内周燃料比率を示した直線であり、太い実線はその直線に対してH
2濃度の影響を補正した直線である。
【0123】
計画組成よりもH
2濃度が高い燃料ガスである増熱ガス70は、燃料ガス中のCO
2濃度が高い条件でも安定燃焼しやすいため、内周燃料比率の下限は低くなる。
【0124】
これに対し、計画組成よりもH
2濃度が低い増熱ガス70では、安定燃焼するためにより内周燃料比率を高くする必要があり、内周燃料比率の下限は高くなる。
【0125】
図10に太い実線で示したH
2濃度補正後の内周燃料比率の下限値φ
minAは、H
2濃度補正前の内周燃料比率の下限値φ
minに対して式(5)の関係となる。
【0126】
φ
minA≦φ
min (H
2−H
2’≧0), φ
minA>φ
min (H
2−H
2’<0)・・(5)
H
2:水素濃度計測値 H
2’:水素濃度基準値
尚、式(5)の演算式を演算する演算器は、
図8の制御装置700の内周燃料比率補正演算器770に組み込まれている。
【0127】
図11に、本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700によって制御されるガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する増熱ガス70が、燃料の計画組成よりもCO
2濃度及びH
2濃度が共に高い燃料である場合における、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する内周燃料比率と外周燃料圧力比の概念図を示す。
【0128】
増熱ガス70中のCO
2濃度が高い場合には、
図2Aに示すガスタービン燃焼器2の燃焼室12内の軸心側に形成される内周火炎501の温度を高く設定する必要があり、
図11に示す内周燃料比率の下限値φ
min(安定燃焼のための最低内周燃料比率)が外周燃料圧力比から決まる内周燃料比率の上限値φ
P1(ガスタービン燃焼器2のバーナ300における外周スワラ202のガス噴孔403から燃料を均一に供給するための内周燃料比率上限)を上回る可能性がある。
【0129】
この場合、本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700においては、
図9に示したコークス炉ガス流量増加のステップ809に進み、
図8に示したコークス炉ガス流量演算器740による演算操作により、ガスタービン燃焼器2の燃焼安定性を高めるために、増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に混合するコークス炉ガス80の流量を増加させれば良い。
【0130】
これに対し、増熱ガス70中のH
2濃度が高い場合には、H
2濃度の影響を考慮して算出した内周燃料比率φ
minAは、内周燃料比率の下限値φ
minよりも低くなり、内周燃料比率の上限値φ
P1以下となる可能性がある。
【0131】
そこで、この場合には、増熱ガス70中のH
2濃度の影響を考慮して、増熱ガス70を形成する燃料ガスとして高炉ガス60を専焼してガスタービン燃焼器2を燃焼するように制御すれば、コークス炉ガス80の消費を抑えることができる。
【0132】
図12に、本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700によって制御されるガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する増熱ガス70が、燃料の計画組成よりもH
2濃度が低い燃料である場合における、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する燃料の内周燃料比率と外周燃料圧力比の概念図を示す。
【0133】
そこで
図12に示すように、増熱ガス70中のH
2濃度が低い場合、火炎の安定性を高めるために、ガスタービン燃焼器2の燃焼室12内の軸心側に形成される内周火炎501の温度を高く設定すれば良い。
【0134】
この結果、増熱ガス70中のH
2濃度の影響を考慮して算出したガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する燃料における内周燃料比率φ
minAは、内周燃料比率の下限値φ
minよりも高くなり、前記した式(4)から算出される内周燃料比率も、H
2濃度の影響を考慮して内周燃料比率補正値として算出した内周燃料比率φ’は、H
2濃度の影響を考慮しないで演算した場合の内周燃料比率φよりも高くなる。
【0135】
そこで、増熱ガス70中のH
2濃度の影響を考慮して
図9に示した内周燃料比率補正のステップ805にて、
図8に示した内周燃料比率補正演算器770による演算により内周燃料比率を補正する。
【0136】
この結果、増熱ガス70中のH
2濃度が想定よりも低下して燃えにくい燃料組成となった場合に、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する燃料の内周燃料比率を高く設定して、増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に合流させるコークス炉ガス80の流量を増加させて、ガスタービン燃焼器2の燃焼安定性を確保することができる。
【0137】
本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700の要点は、高炉ガス60とコークス炉ガス80とを混合して形成した増熱ガス70をガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する燃料ガス供給系統605に、CO
2濃度計701に加えてH
2濃度計703を設置し、ガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700に、内周燃料比率演算器710で演算した内周燃料比率の値を、増熱ガス70中のH
2濃度に応じて燃料の内周燃料比率を補正するように内周燃料比率補正演算器770を設置するように構成したことにある。
【0138】
このように本実施例のガスタービン燃焼器2における燃料の制御装置700を構成することで、増熱ガス70中のH
2濃度が高い場合には、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する増熱ガス70の燃料の内周燃料比率を低くなるように制御して、増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に混合させるコークス炉ガス80の流量を低減することができる。
【0139】
また、増熱ガス70中のH
2濃度が低い場合には、ガスタービン燃焼器2のバーナ300に供給する増熱ガス70の燃料の内周燃料比率を高くなるように制御して、増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に混合させるコークス炉ガス80の流量を増加させることで、ガスタービン燃焼器2の燃焼安定性を確保することができる。
【0140】
また、本実施例では増熱ガス70を形成するために高炉ガス60に合流させるコークス炉ガス80を例に説明したが、コークス炉ガス80以外にも、転炉ガス、転炉ガスとコークス炉ガスの混合ガス、LNG、LPGなどの高カロリーガスを用いた場合も同様の効果が得られる。
【0141】
本実施例によれば、発熱量が低く燃えにくい低カロリーガスを燃料ガスとして燃焼させる際に、燃料ガスの組成が変動した場合でもCO排出濃度の増加を抑制して安定燃焼を可能にしたガスタービン燃焼器が実現できる。