(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンの吸気マニホールド設置側に、排気ガス再循環装置と、コモンレールを配置すると共に、前記エンジンの排気マニホールド設置側に排気ガス浄化装置を配置し、前記エンジンの底部にオイルパンを配置したエンジン装置において、前記オイルパンに前記排気ガス浄化装置を連結する支持体を備え、前記オイルパンに前記支持体を介して前記排気ガス浄化装置を支持させるように構成し、
上部オイルパンと下部オイルパンとの、上下二分割状に前記オイルパンを構成した構造であって、前記エンジンの側面のうちこのシリンダブロックの側面から外向きに突出させた前記上部オイルパンの側面に支持体取付け部を形成し、前記支持体取付け部に前記支持体を着脱可能に締結するように構成したことを特徴とするエンジン装置。
前記エンジンが設置されるエンジンルームの上部に燃料フィルタを配置させ、前記エンジンの燃料ポンプに燃料フィルタを接続させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のエンジン装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はコンテナに搭載したディーゼルエンジンの正面図、
図2はコンテナに搭載したディーゼルエンジンの側面図、
図3はディーゼルエンジンの正面図、
図4はディーゼルエンジンの背面図、
図5はディーゼルエンジンの吸気マニホールド設置側の側面図、
図6はディーゼルエンジンの排気マニホールド設置側の側面図、
図7はディーゼルエンジンの平面図、
図8はディーゼルエンジンの底面図である。
図1乃至
図8を参照しながら、ディーゼルエンジン1の全体構造について説明する。なお、以下の説明では、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド設置側を単にディーゼルエンジン1の右側と称し、同じくディーゼルエンジン1の排気マニホールド設置側を単にディーゼルエンジン1の左側と称する。
【0022】
図3乃至
図6に示す如く、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2の右側面には吸気マニホールド3が配置されている。シリンダヘッド2は、エンジン出力軸4(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック5に上載されている。シリンダヘッド2の左側面に排気マニホールド6が配置されている。シリンダブロック5の前面と後面からエンジン出力軸4の前端と後端を突出させている。
【0023】
図4乃至
図6に示す如く、シリンダブロック5の後面にフライホイールハウジング8を固着している。フライホイールハウジング8内にフライホイール9を設ける。エンジン出力軸4の後端側にフライホイール9を軸支させている。また、空気調和機器としての冷媒圧縮用のコンプレッサ7を備える。フライホイールハウジング8にコンプレッサ7を固着する。コンプレッサ7に、フライホイール9を介してディーゼルエンジン1の動力を取り出すように構成している。
【0024】
さらに、シリンダブロック5の下面にはオイルパン11が配置されている。シリンダブロック5の平坦な底面積よりも、オイルパン11の平坦な上面積を大きく形成している。即ち、シリンダブロック5の左右側面よりも外側方にオイルパン11の左右側部を突出し、シリンダブロック5の前面よりも前方にオイルパン11の前部を突出し、オイルパン11のオイル貯蔵容積を大きく形成し、オイルパン11に多量のエンジンオイル(図示省略)を貯留して、ディーゼルエンジン1の長時間の連続運転において、そのエンジンオイルが不足するのを防止するように構成している。
【0025】
図4乃至
図6に示すように、吸気マニホールド3には、再循環用の排気ガスを取込む排気ガス再循環装置(EGR)15を配置する。吸気マニホールド3にエアクリーナ16を連結する。エアクリーナ16にて除塵・浄化された外部空気は、吸気マニホールド3に送られ、4気筒ディーゼルエンジン1の各気筒に供給されるように構成している。
【0026】
また、排気ガス再循環装置15は、ディーゼルエンジン1の再循環排気ガス(排気マニホールド6からのEGRガス)と新気(エアクリーナ16からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド3に供給するEGR本体ケース(コレクタ)17と、排気マニホールド6に再循環用の排気ガス冷却手段としてのEGRクーラ18を介して接続する再循環用継手体としての再循環排気ガス管19と、前記再循環排気ガスの吸込み量を調節するEGRバルブ20とを有する。なお、EGR本体ケース17には、前記新気の吸込み量を調節する吸気スロットルバルブ(図示省略)が内蔵されている。
【0027】
上記の構成により、再循環排気ガス管19にEGRバルブ20を介してEGR本体ケース17を連通させ、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド6に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド3からディーゼルエンジン1に還流されることによって、ディーゼルエンジン1の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン1からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、かつディーゼルエンジン1の燃費が向上される。
【0028】
なお、シリンダブロック5内とラジエータ(図示省略)に冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を備える。ディーゼルエンジン1の前面に冷却水ポンプ21を配置する。エンジン出力軸4の前端部にVベルト22などを介して冷却水ポンプ21を連結し、冷却水ポンプ21を駆動する。一方、冷却水ポンプ21に冷却水パイプ23を介してEGRクーラ18を接続する。冷却水ポンプ21から、EGRクーラ18を介して、シリンダブロック5内に冷却水を送込むように構成している。
【0029】
図3、
図4、
図6に示す如く、前記ディーゼルエンジン1の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置(酸化触媒、スートフィルタ)31を備える。ディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド6に排出された排気ガスは、排気ガス浄化装置31等を経由して、排気管32から外部に放出される。排気ガス浄化装置31によって、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、粒子状物質(PM)を低減するように構成している。
【0030】
排気ガス浄化装置31は、DPFケース33を備える。平面視でディーゼルエンジン1の出力軸(クランク軸)4と平行に前後方向に長く延びた略円筒形状にDPFケース33を構成している。DPFケース33の前後両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れる排気ガス入口管34と、排気ガスを排出する排気ガス出口管35とを設けている。
【0031】
また、排気マニホールド6の後端部に排気継手体6aをダイキャスト加工にて一体的に形成する。排気継手体6aに、ベローズ状伸縮管36及びエルボ管37を介して、排気ガス入口管34を接続する。即ち、排気継手体6aの下面側から伸縮管36を下向きに延設し、伸縮管36の下端側からエルボ鋼管37を前向きに延設し、エルボ鋼管37の前端側に排気ガス入口管34の後端側開口部を締結している。ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6に排気ガス入口管34を連通させ、ディーゼルエンジン1の排気ガスをDPFケース33内に導入するように構成している。
【0032】
さらに、DPFケース33の前面側に排気ガス出口管35の後端側を連結している。排気ガス出口管35前端側の出口に、排気管32を介して、消音器38とテールパイプ39を接続させる(
図1参照)。DPFケース33の内部に、例えば白金等のディーゼル酸化触媒40を収容した構造である(
図14、
図15参照)。上記の構成により、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)の含有量や、排気ガス中の粒状物質(PM)が低減される。
【0033】
上記の通り、前記排気ガス浄化装置31は、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス中の炭素物質または窒素酸化物を酸化するディーゼル酸化触媒40のみにて形成されている。したがって、排気ガス中の粒状物質を積極的に捕集するハニカムフィルタを設ける構造に比べ、排気ガス浄化装置31の外形状をコンパクトに構成できる。また、特定の回転速度にてディーゼルエンジン1を連続的に運転するように構成しているから、排気ガス中の粒状物質を積極的に捕集するハニカムフィルタなどを設けることなく、ディーゼル酸化触媒40によって排気ガス中の有害物質を充分低減できる。
【0034】
なお、
図14、
図19に示す如く、排気ガス出口管35の出口には、排気管32が金属製締結バンド29にて着脱可能に連結される。
図1に示す如く、冷凍輸送コンテナ52の前側にエンジンルーム56が形成された場合、メンテナンス用ドア57と反対側のコンテナ52外壁側に排気ガス浄化装置31が配置されることになる。また、エンジンルーム56内にディーゼルエンジン1を設置した後、コンテナ52外壁と排気ガス浄化装置31間の狭小空間で、排気ガス出口管35の出口に排気管32を連結させる作業を行う必要がある。しかしながら、ボルト締結用のスパナなどの工具を使用することなく、締結バンド29にて排気ガス出口管35に排気管32を簡単に連結できるから、前記狭小空間での排気管32連結作業を円滑に実行できる。
【0035】
次に、
図5、
図7を参照して、ディーゼルエンジン1の燃料系統構造を説明する。
図5、
図7に示す如く、ディーゼルエンジン1に設けられた四気筒分の各インジェクタ41に、燃料ポンプ42とコモンレール43とを介して、燃料タンク(図示省略)を接続する。各インジェクタ41は、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する。シリンダヘッド2の右側面にコモンレール43を固着し、吸気マニホールド3の下方側に近接させてコモンレール43を配置し、吸気マニホールド3及び排気ガス再循環装置15に近接させてコモンレール43を設けている。
【0036】
図5、
図7に示す如く、燃料ポンプ42の吸入側には、燃料フィルタ44及び低圧管45を介して図示しない燃料タンクが接続される。前記燃料タンク内の燃料が燃料フィルタ44及び低圧管45を介して燃料ポンプ42に吸込まれる。一方、燃料ポンプ42の吐出側には、高圧管46を介してコモンレール43が接続される。円筒状のコモンレール43の長手方向の中間に高圧管46を連結している。また、コモンレール43には、4本の燃料噴射管47を介して四気筒分の各インジェクタ41がそれぞれ接続されている。円筒状のコモンレール43の長手方向に四気筒分の燃料噴射管47の端部をそれぞれ連結している。
【0037】
上記の構成により、前記燃料タンクの燃料が燃料ポンプ42によってコモンレール43に圧送され、高圧の燃料がコモンレール43に蓄えられる。各インジェクタ41の燃料噴射バルブがそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール43内の高圧の燃料が各インジェクタ41からディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。即ち、各インジェクタ41の燃料噴射バルブを電子制御することによって、各インジェクタ41から供給される燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。ディーゼルエンジン1の騒音振動を低減できる。
【0038】
なお、燃料ポンプ42は、エンジン出力軸4にて駆動される。前記燃料タンクに燃料戻り管を介して燃料ポンプ42を接続する。円筒状のコモンレール43の長手方向の端部に、コモンレール43内の燃料の圧力を制限する戻り管コネクタを介して、コモンレール戻り管を接続する。即ち、燃料ポンプ42の余剰燃料とコモンレール43の余剰燃料が、燃料戻り管とコモンレール戻り管を介して、燃料タンクに回収される。
【0039】
次に、
図1〜
図2を参照して、ディーゼルエンジン1の使用例を説明する。
図1〜
図2に示す如く、トラクタ(図示省略)にて牽引するトレーラ車体51に、冷凍貨物などを輸送する四角箱型の貨物輸送用の冷凍輸送コンテナ52を搭載する。トレーラ車体51は、収納可能な前部支脚体53と、後車輪54にて水平に支持されて、一定場所に保管される一方、前部支脚体53を収納して、トラクタの後部にトレーラ車体51の前部を連結し、トラクタにてトレーラ車体51を牽引するように構成している。
【0040】
また、貨物輸送用コンテナ52の前面部に空気調和機器用の空調ハウジング55を設け
る。該コンテナ52内の温度をコントロールする空気調和機器(図示省略)が空調ハウジング55に内設される。空調ハウジング55の下方にエンジンルーム56を形成する。ディーゼルエンジン1と、前記空気調和機器の一部であるコンプレッサ7を、エンジンルーム56内に設置する。ディーゼルエンジン1によってコンプレッサ7を作動し、コンプレッサ7にて空気調和機器の冷媒を圧縮することにより、貨物輸送用コンテナ52内の温度を、冷凍貨物の保存に適した保冷温度(−20℃など)に保持するように構成する。なお、
図1に示す如く、燃料フィルタ44は、ディーゼルエンジン1が設置される空調ハウジング55の機枠58側に燃料フィルタ44を配置させ、エンジンルーム56の上部に燃料フィルタ44を支持させ、ディーゼルエンジン1の燃料ポンプ42に燃料フィルタ44を接続させるように構成している。
【0041】
なお、
図20はエンジン1のトルクTと回転速度Nの関係を示す出力特性マップMにて求められるエンジン1固有のトルクカーブTmxを表したもので、
図20に示す如く、エンジン1の回転速度Nを2種類の回転速度N#1,N#2のみに限定するように、エンジン1の回転速度Nが制御される。エンジン1の回転速度Nが、低速側の中間回転速度N#1または高速側の定格回転速度N#2のいずれかに維持されるように初期設定されている。貨物輸送用コンテナ52にて冷凍貨物を輸送する場合、貨物輸送用コンテナ52内の温度が保冷温度に降下するまでの間は、ディーゼルエンジン1を定格回転速度N#2にて高速一定回転させ、貨物輸送用コンテナ52内の温度を短時間で保冷温度まで降下させる一方、貨物輸送用コンテナ52内の温度が保冷温度まで降下したとき、ディーゼルエンジン1を中間回転速度N#1にて低速一定回転させ、貨物輸送用コンテナ52内の温度を保冷温度に維持するように構成している。ディーゼルエンジン1を中間回転速度N#1にて運転した場合、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)の含有量や、排気ガス中の粒状物質(PM)が、ディーゼル酸化触媒40にて低減される。
【0042】
図1〜
図2、
図12、
図18に示す如く、前記エンジンルーム56の前面部にメンテナンス用ドア57を開閉可能に設ける。ドア57を開放作動させることによって、前記エンジンルーム56の前面が前方に向けて開放されるように構成する。また、貨物輸送用コンテナ52の左側方向にディーゼルエンジン1の正面を向け、貨物輸送用コンテナ52の正面に向かってエンジンルーム56の右側にディーゼルエンジン1を配置し、エンジンルーム56の左側にコンプレッサ7を配置する。即ち、前記エンジンルーム56の前面開口に、ディーゼルエンジン1の右側面とコンプレッサ7の右側面を対向させるように構成する。
【0043】
さらに、
図1〜
図2、
図12、
図18に示す如く、ディーゼルエンジン1の右側には吸気マニホールド3が配置されている。ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側に、排気ガス再循環バルブとしてのEGRバルブ20と、コモンレール43を配置すると共に、吸気マニホールド3設置側に隣接するディーゼルエンジン1の側面に、再循環用排気ガスを冷却するための排気ガス冷却手段としてのEGRクーラ18を設け、ディーゼルエンジン1が内設されたエンジンルーム56のメンテナンス用ドア57に、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側を対面させている。
【0044】
また、
図12、
図18に示す如く、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側において、オイルパン11上面の給油口を閉塞するエンジンオイル用給油蓋61と、エンジンオイル濾過用のフィルタ62と、ディーゼルエンジン1始動用のスタータ63と、前記燃料ポンプ42を設ける。一方、ディーゼルエンジン1の上面のうち、前記エンジン1の吸気マニホールド3設置側に近い上面に、インジェクタ41を配置している。なお、オイルパン11の側面のうち、吸気マニホールド3設置側の側面の下部に、オイルパン11内のオイルを抜取るためのドレンキャップ64を設けている。
【0045】
上記の構成により、EGRバルブ20と、コモンレール43と、EGRクーラ18の保守点検作業などが、トレーラ車体51前部の作業者によって、エンジンルーム56の前面開口側から実行できる。一方、給油蓋61を開閉する給油口へのエンジンオイル給油作業、エンジンオイル用フィルタ62の交換作業、スタータ63または燃料ポンプ42またはインジェクタ41などの保守点検作業が、前記と同様に、エンジンルーム56の前面開口側から実行できる。
【0046】
図1、
図2、
図12、
図18に示す如く、貨物輸送用コンテナ52に搭載した空気調和機器(コンプレッサ7)などをディーゼルエンジン1によって駆動するコンテナ搭載用のエンジン装置において、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側に、排気ガス再循環バルブ(EGRバルブ20)と、コモンレール43を配置すると共に、吸気マニホールド3設置側に隣接するディーゼルエンジン1の側面に、再循環用排気ガスを冷却するための排気ガス冷却手段(EGRクーラ18)を設け、ディーゼルエンジン1が内設されたエンジンルーム56のメンテナンス用ドア57に、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側を対面させるように構成している。したがって、メンテナンス用ドア57を開放することにより、EGRバルブ20と、コモンレール43と、EGRクーラ18を、一方向からの作業にてメンテナンスできる。ディーゼルエンジン1を保守点検するときに、エンジンルーム56を多方向に大きく開放する必要がないから、ディーゼルエンジン1を狭小空間にコンパクトに設置でき、かつディーゼルエンジン1各部のメンテナンス忘れ等を防止できる。一側方向からのメンテナンス作業にてディーゼルエンジン1の保守点検作業性を向上できる。
【0047】
図1、
図2、
図12、
図18に示す如く、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側に、エンジンオイル用給油蓋61と、エンジンオイル用フィルタ62と、スタータ63と、燃料ポンプ42を設ける一方、ディーゼルエンジン1の上面のうち、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側に近い上面に、インジェクタ41を配置している。したがって、エンジンオイル給油作業性、またはエンジンオイル用フィルタ62の交換作業性、またはスタータ63または燃料ポンプ42またはインジェクタ41等のメンテナンス作業性なども向上できるものでありながら、ディーゼルエンジン1の保守点検作業のときにそれらの作業を忘れるのを防止できる。ディーゼルエンジン1の保守点検作業性をさらに向上できる。
【0048】
次に、
図9、
図10、
図13〜
図15を参照して、排気ガス浄化装置31の取付け構造を説明する。
図9、
図10、
図13〜
図15に示す如く、前記ディーゼルエンジン1の排気径路中に排気ガス浄化装置31を設ける。ディーゼルエンジン1の底部にオイルパン11を配置する。ディーゼルエンジン1の側面のうちこのシリンダブロック5の側面から外向きにオイルパン11の側面を突出させている。シリンダブロック5の側面とオイルパン11の上面に隣接させて排気ガス浄化装置31を配置している。即ち、シリンダブロック5の側面とオイルパン11の上面との連結部(角隅部)に排気ガス浄化装置31を設置する。
【0049】
ディーゼルエンジン1を形成するシリンダブロック5の側面部に設ける第1ブラケット71と、オイルパン11の側面部に設ける第2ブラケット72とを備える。シリンダブロック5に排気ガス浄化装置31を連結する支持体として第1ブラケット71を設ける。シリンダブロック5に排気ガス浄化装置31の排気ガス入口管34を支持するように構成している。シリンダブロック5の側面部に第1ブラケット71をボルト73にて締結する。排気ガス入口管34の排気ガス入口側の端部にフランジ体74を一体的に設け、ボルト75及びナット76にて第1ブラケット71にフランジ体74の一側部を締結する。
【0050】
また、
図13〜
図14に示す如く、伸縮管36が一端側に連結されたエルボ鋼管37の他端側を、フランジ体74にボルト77にて締結している。即ち、フランジ体74を兼用して、排気ガス入口管34(DPFケース33)をシリンダブロック5に連結すると共に、排気ガス入口管34にエルボ鋼管37を連結している。したがって、シリンダブロック5と、DPFケース33と、エルボ鋼管37を、少ない部品数で高剛性に連結できる。
【0051】
さらに、
図13、
図15に示す如く、オイルパン11に排気ガス浄化装置31を連結する支持体として第2ブラケット72を設ける。オイルパン11に排気ガス浄化装置31のDPFケース33を支持するように構成している。DPFケース33の下面に補強板体81を介して受け枠体82を溶接固定する。オイルパン11の外側面に第2ブラケット72の垂直部をボルト83にて締結すると共に、受け枠体82の下面に第2ブラケット72の水平部をボルト84及びナット85にて締結している。
【0052】
即ち、第1ブラケット71と第2ブラケット72とに排気ガス浄化装置31を連結すると共に、前記エンジン1の排気マニホールド6に伸縮管36を介して排気ガス浄化装置31を接続している。排気ガス浄化装置31の側面部のうち、排気ガス入口側端部の側面部に第1ブラケット71を締結すると共に、排気ガス浄化装置31の底面部に第2ブラケット72を締結している。なお、排気ガス浄化装置31の側面部のうち、排気ガス出口側端部の側面部に支持体(第1ブラケット71)を締結してもよい。
【0053】
図1、
図9、
図10、
図13〜
図15に示す如く、貨物輸送用コンテナ52に搭載した空気調和機器(コンプレッサ7)などをディーゼルエンジン1によって駆動するコンテナ搭載用のエンジン装置において、ディーゼルエンジン1の排気径路中に排気ガス浄化装置31を設ける一方、ディーゼルエンジン1の底部にオイルパン11を配置する構造であって、オイルパン11に排気ガス浄化装置31を連結する支持体としての第2ブラケット72を設け、オイルパン11に排気ガス浄化装置31を支持するように構成している。したがって、ディーゼルエンジン1に近接させて排気ガス浄化装置31をコンパクトに組付けることができる。ディーゼルエンジン1の設置幅寸法(高さ、左右幅寸法、前後幅寸法)を殆ど拡大することなく、排気ガス浄化装置31を設置できる。即ち、コンテナ52の冷凍貨物搭載容積を簡単に確保できるものでありながら、コンテナ52にディーゼルエンジン1をコンパクトに搭載できる。
【0054】
図9、
図10に示す如く、ディーゼルエンジン1の側面のうちこのシリンダブロック5の側面から外向きにオイルパン11の側面を突出させ、シリンダブロック5の側面と前記オイルパン11の上面に隣接させて排気ガス浄化装置31を配置している。したがって、シリンダブロック5からの熱伝動により、排気ガス浄化装置31の排気ガス浄化温度を、排気ガスの浄化に必要な温度以上に簡単に維持できる。特に、低速回転(
図20の中間回転速度N#1)にて長時間に渡ってディーゼルエンジン1を連続的に運転し、貨物輸送用コンテナ52の内部温度を一定に保つ場合であっても、ディーゼルエンジン1の排気ガス浄化性能を容易に維持できる。
【0055】
図9、
図10、
図13〜
図15に示す如く、ディーゼルエンジン1を形成するシリンダブロック5の側面部に設ける第1ブラケット71と、オイルパン11の側面部に設ける第2ブラケット72とを備え、第2ブラケット72にて前記支持体を形成し、第1ブラケット71と第2ブラケット72とに排気ガス浄化装置31を連結すると共に、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6に伸縮管36を介して排気ガス浄化装置31を接続している。したがって、側面固定用の第1ブラケット71と下面固定用の第2ブラケット72の2点支持にて、排気ガス浄化装置31を簡単に組付け作業できる。ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2に設ける前記排気マニホールド6に対して、排気ガス浄化装置31の取付け位置を簡単に調節できる。伸縮管36の変形にて排気ガス浄化装置31の取付け誤
差を吸収できる。
【0056】
図13〜
図15に示す如く、排気ガス浄化装置31の側面部のうち、排気ガス入口側端部または排気ガス出口側端部の少なくともいずれか一方の側面部に第1ブラケット71を締結すると共に、排気ガス浄化装置31の底面部に第2ブラケット72を締結している。したがって、排気ガス浄化装置31の組付け位置のうち排気ガスの移動方向の組付け位置が第1ブラケット71にて規制される。排気ガス浄化装置31の上下方向の組付け位置が第2ブラケット72にて規制される。即ち、シリンダブロック5の側面部とオイルパン11の側面部に排気ガス浄化装置31を簡単に着脱できる。排気ガス浄化装置31の組付け作業性を向上できる。
【0057】
次に、
図4、
図7、
図10、
図12、
図17〜
図19を参照して、排気ガス再循環装置15と排気ガス冷却手段としてのEGRクーラ18の取付け構造を説明する。
図9、
図10、
図13〜
図15に示す如く、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3に排気ガス再循環装置15を付設する一方、ディーゼルエンジン1に配置したフライホィールハウジング8の上面側に、再循環用排気ガスを冷却するためのEGRクーラ18(排気ガス冷却手段)を配置している。
【0058】
図4、
図7、
図10、
図12、
図17〜
図19に示す如く、ディーゼルエンジン1の外側面のうち、吸気マニホールド3設置面と前記フライホィールハウジング8設置面とのコーナー部(シリンダヘッド2の背面一側部)に、排気ガス再循環装置15とEGRクーラ18を連通する再循環用継手体86をボルト締結している。再循環用継手体86を介してEGRクーラ18に再循環排気ガス管19を設側し、EGRクーラ18の排気ガスが再循環用継手体86から再循環排気ガス管19を介してEGRバルブ20に供給されるように構成している。
【0059】
また、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6に排気ガス浄化装置31を付設する構造であって、ディーゼルエンジン1の外側面のうち、排気マニホールド6設置面とフライホィールハウジング8設置面とのコーナー部(排気マニホールド6の後端部)に、EGRクーラ18または排気ガス浄化装置31に排気マニホールド6を連通する排気継手体6aを設けている。
【0060】
吸気マニホールド3設置側(エンジン1の右側)またはフライホィールハウジング8設置側(エンジン1の後側)から螺着操作可能な排気継手用ボルト87によって、排気継手体6aにEGRクーラ18の排気ガス入口側端部を締結している。排気マニホールド6からのディーゼルエンジン1の排気ガスが排気継手体6aにて分岐され、排気継手体6aからEGRクーラ18または排気ガス浄化装置31に排気ガスが送出されるように構成している。
【0061】
さらに、
図17〜
図19に示す如く、ディーゼルエンジン1の冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を備え、ディーゼルエンジン1の側面のうち対向する側面(前側面と後側面)に振分けて、冷却水ポンプ21とEGRクーラ18とをそれぞれ配置している。冷却水ポンプ21の冷却水出口にEGRクーラ18の冷却水入口を接続する冷却水パイプ23を備える。ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6の上面側に冷却水パイプ23の中間部を延設している。
【0062】
即ち、冷却水パイプ23に複数の冷却水パイプ支持板体91の一端側を溶接固定する。各冷却水パイプ支持板体91の他端側を、排気マニホールド6の上面にボルト92にて締結する。図示しないラジエータの冷却水を、冷却水パイプ23からEGRクーラ18の排気ガス出口部に供給し、EGRクーラ18の排気ガスを前記冷却水にて冷却するように構
成する。なお、EGRクーラ18の排気ガス入口部に出口パイプ93を接続し、EGRクーラ18から出口パイプ93を介してシリンダブロック5に冷却水を送出させ、シリンダブロック5を前記冷却水にて冷却するように構成している。
【0063】
図1、
図4、
図7、
図10、
図12に示す如く、貨物輸送用コンテナ52に搭載した空気調和機器(コンプレッサ7)などをディーゼルエンジン1によって駆動するコンテナ搭載用のエンジン装置において、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3に排気ガス再循環装置15を付設する一方、ディーゼルエンジン1にフライホィールハウジング8を配置する構造であって、フライホィールハウジング8の上面側に、再循環用排気ガスを冷却するための排気ガス冷却手段としてのEGRクーラ18を配置している。したがって、フライホィールハウジング8の上面側スペースを利用して、EGRクーラ18をコンパクトに配置できる。ディーゼルエンジン1の設置幅寸法(高さ、左右幅寸法、前後幅寸法)を殆ど拡大することなく、EGRクーラ18を設置できる。即ち、コンテナ52の貨物搭載容積を簡単に確保できるものでありながら、コンテナ52にディーゼルエンジン1をコンパクトに搭載できる。
【0064】
図4、
図7、
図10、
図12、
図17〜
図19に示す如く、ディーゼルエンジン1の外側面のうち、吸気マニホールド3設置面とフライホィールハウジング8設置面とのコーナー部に、排気ガス再循環装置15とEGRクーラ18を連通する再循環用継手体としての再循環排気ガス管19を設けている。したがって、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置面とフライホィールハウジング8設置面を利用して、排気ガス再循環装置15とEGRクーラ18をコンパクトに配置できるものでありながら、EGRクーラ18から排気ガス再循環装置15に向けて排気ガスを少ない抵抗で移動させることができる。ディーゼルエンジン1の負荷を増大させることなく、排気ガス中の窒素酸化物を低減させる等の排気ガス浄化機能を向上できる。
【0065】
また、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6に排気ガス浄化装置31を付設する構造であって、ディーゼルエンジン1の外側面のうち、排気マニホールド6設置面とフライホィールハウジング8設置面とのコーナー部に、EGRクーラ18または排気ガス浄化装置31に排気マニホールド6を連通する排気継手体6aを設けている。したがって、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6設置面とフライホィールハウジング8設置面を利用して、EGRクーラ18と排気ガス浄化装置31をコンパクトに配置できるものでありながら、EGRクーラ18と排気ガス浄化装置31に排気マニホールド6から排気ガスを少ない抵抗で移動させることができる。ディーゼルエンジン1の負荷を増大させることなく、排気ガス浄化機能を向上できる。
【0066】
図14、
図17に示す如く、吸気マニホールド3設置側またはフライホィールハウジング8設置側から螺着操作可能な排気継手用ボルト87によって、排気継手体6aにEGRクーラ18の排気ガス入口側端部を締結している。したがって、ディーゼルエンジン1の同一側方(吸気マニホールド3設置側またはフライホィールハウジング8設置側)から、排気ガス再循環装置15とEGRクーラ18の両方をそれぞれ着脱でき、EGRクーラ18の組立作業性またはメンテナンス作業性を向上できる。
【0067】
図4、
図7、
図10、
図12、
図17〜
図19に示す如く、ディーゼルエンジン1の外側面のうち、排気マニホールド6設置面とフライホィールハウジング8設置面とのコーナー部に、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6にEGRクーラ18を連通する排気継手体6aを設け、吸気マニホールド3設置側から、EGRクーラ18の上面側または下面側を介して、排気継手体6aにEGRクーラ18を締結操作可能に構成している。したがって、フライホィールハウジング8設置側のエンジンルーム56側面を解放することなく、排気継手体6aに対してEGRクーラ18を着脱操作でき、EGRクーラ18や、E
GRクーラ18などによって形成する排気ガス再循環装置の組付け作業性や保守点検作業性などを向上できる。
【0068】
図17〜
図19に示す如く、ディーゼルエンジン1の冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を備える構造であって、ディーゼルエンジン1の側面のうち対向する側面に振分けて、冷却水ポンプ21とEGRクーラ18とをそれぞれ配置すると共に、冷却水ポンプ21の冷却水出口にEGRクーラ18の冷却水入口を接続する冷却水パイプ23を備え、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6の上面側に冷却水パイプ23の中間部を延設している。したがって、ディーゼルエンジン1各部の保守点検作業を阻害しない場所に、高剛性の前記排気マニホールド6を利用して、冷却水パイプ23をコンパクトに組付けることができる。ディーゼルエンジン1各部を保守点検作業する側と反対の前記エンジン1側面に冷却水パイプ23が支持されるから、ディーゼルエンジン1各部を保守点検作業するときに、工具などの当接によって、冷却水パイプ23が損傷するのを防止できる。
【0069】
次に、
図21〜
図25を参照して、
図1〜
図19に示した第1実施形態のディーゼルエンジン1のオイルパン11構造を説明する。
図21〜
図25に示す如く、オイルパン11は、上部オイルパン111と下部オイルパン112とを上下に組み合わせて構成される。なお、上部オイルパン111と下部オイルパン112は、ゴムや合成樹脂等よりなるパッキン(図示省略)を介して分離可能に四角箱形に合体される。
【0070】
図21〜
図25に示す如く、上部オイルパン111の上面に機関取付座としての閉曲線状のシリンダブロック取付座113を形成する。前記シリンダブロック5の底面に対して、パッキン114を介してシリンダブロック取付座113を当接し、シリンダブロック5に対して、19本の短尺ボルト115と9本の長尺ボルト116にてシリンダブロック取付座113を締結する。上部オイルパン111の下面側から上面側に19本の短尺ボルト115を貫通させる。即ち、19本の短尺ボルト115は、上部オイルパン111のみをシリンダブロック5に螺止している。一方、下部オイルパン112の下面側から上部オイルパン111の上面側に9本の長尺ボルト116を貫通させる。即ち、9本の長尺ボルト116は、上部オイルパン111と下部オイルパン112の両方をシリンダブロック5に螺止している。9本の長尺ボルト116と、各長尺ボルト116が貫通される上部オイルパン111と下部オイルパン112のボス部にて、シリンダブロック5からの垂直荷重を受けて剛性を高めることができると共に、取付けボルト本数を低減できる。
【0071】
上部オイルパン111の上面のうち、シリンダブロック取付座113にて囲まれた上面に、橋渡し状の連結壁117を介して、4気筒のディーゼルエンジン1の気筒数と同数の4か所のオイル受入開口118を一列状に形成し、シリンダブロック5下面に各オイル受入開口117を対設させている。シリンダブロック5の4気筒の各シリンダから下方に落下するエンジンオイルが、各オイル受入開口117を介してオイルパン11内部に流入するように構成している。なお、上部オイルパン111の一側面にハウジング取付面119を形成し、ハウジング取付面119にフライホイールハウジング8をボルト締結し、上部オイルパン111の上面をシリンダブロック5に螺止し、上部オイルパン111の一側面をフライホイールハウジング8に螺止して、ディーゼルエンジン1とオイルパン11の取付剛性を向上させている。
【0072】
また、ハウジング取付面119が形成された上部オイルパン111の一側面に隣接した側面のうち、下部オイルパン112の一方の側面に、オイルパン11内のオイルを抜取るドレン孔121を形成する。ドレン孔121は、ドレンキャップ122にて開閉可能に閉塞すると共に、上部オイルパン111と下部オイルパン112の一方の側面のうち、ドレン孔121に隣接した部位に、オイルフィルタ取付け凹部123を形成し、オイルフィルタ取付け凹部123にエンジンオイル用フィルタ62の下方側を内設している。
【0073】
一方、上部オイルパン111の上面のうち、前記ドレン孔121上方の上面に、オイルゲージ124を設けたエンジンオイル用給油蓋61を開閉可能に固着すると共に、下部オイルパン112の側面のうち、ドレン孔121などの形成側面に対向した側面に、支持体取付け部としての支持体取付面127を形成する。即ち、ディーゼルエンジン1の側面のうちこのシリンダブロック5の側面から外向きに突出させた上部オイルパン111の側面に支持体取付面127を形成する。支持体取付面127に第2ブラケット72を着脱可能にボルト83締結し、上部オイルパン111に第2ブラケット72を介してDPFケース33下面側の受け枠体82を連結している。
【0074】
図21、
図26に示す如く、シリンダブロック5の側面のうち機関脚取付け部12が形成された側面に対向させて排気ガス浄化装置31を配置している。即ち、シリンダブロック5の側面に機関脚取付け部12を形成し、機関脚取付け部12に機関脚(図示省略)を固着し、エンジンルーム56のフレームに前記機関脚を介してディーゼルエンジン1を防振支持する。また、機関脚取付け部12が形成されたシリンダブロック5側面に対応した上部オイルパン111の側面に支持体取付面127が形成されている。機関脚取付け部12に締結されるディーゼルエンジン1の機関脚に近接させて排気ガス浄化装置31を支持させるように構成している。
【0075】
また、ドレン孔121が形成されるオイルパン11の一側部にオイルフィルタ取付け凹部123を形成し、オイルパン11の他側部に第2ブラケット72を配置させる一方、シリンダブロック5を挟んでオイルパン11の両側方に、第2ブラケット72とオイルゲージ124を振分けて配置させ、エンジンオイル用フィルタ62とオイルゲージ124を近接させて配置し、フィルタ62の交換作業またはオイルゲージ124の点検作業などのメンテナンス作業性を向上している。
【0076】
加えて、上部オイルパン111底面の合わせ面に、パッキン(図示省略)を介して、下部オイルパン112上面の合わせ面を接合すると共に、下部オイルパン112の底面側から下部オイルパン112に複数本の合体用ボルト125を貫通させ、上部オイルパン111に各合体用ボルト125を螺着させる。即ち、シリンダブロック5に上部オイルパン111を締結させた状態で、上部オイルパン111に下部オイルパン112をボルト125締結させ、ディーゼルエンジン1とオイルパン11を一体的に合体させる。
【0077】
一方、
図24に示す如く、上面が開放された四角箱形の下部オイルパン112内部の底面に、複数の補強リブ126を突設している。複数の補強リブ126は、側面視三角形状で、側面視傾斜する垂直板状に形成されている。なお、下部オイルパン112の中心部付近には、
図15に示すサクションフィルタ128が配設されるが、各補強リブ126の側面視形状を、内側端を鋭角とする三角形状に形成し、ドレン孔121に向けて各補強リブ126の内側端を傾斜させている。そのため、各補強リブ126内側端の高さが低くなり、前記サクションフィルタと干渉するのを防止できる。また、下部オイルパン112の底面は、ドレン孔121の穿設側に下方傾斜させている。従って、下部オイルパン112底面のエンジンオイルが、補強リブ126と下部オイルパン112の側面との間に溜まらず、補強リブ126に沿って、ドレン孔121穿設側に流れることになる。その結果、水平方向にエンジン1及びオイルパン11を配設しても、または、ドレン孔121配設側と反対の方向に若干下方傾斜したとしても、オイルパン11底面のエンジンオイルは、ドレン孔121穿設側に流れるので、ドレン孔121よりドレンキャップ122を抜いた時に、オイルパン11内のエンジンオイルを速やかに排出できる。
【0078】
図21〜
図25に示す如く、上部オイルパン111と下部オイルパン112との、上下二分割状にオイルパン11を構成した構造であって、下部オイルパン112の底部に、ド
レン孔121に向けて側面視傾斜する垂直板状の補強リブ126を設けると共に、前記ドレン孔121が形成されるオイルパン11の一側部にオイルフィルタ取付け凹部123を形成し、オイルパン11の他側部に第2ブラケット(支持体)72を配置させるように構成している。したがって、ディーゼルエンジン1底部の両側方にオイルパン11の対向側部を突出させて、排気ガス浄化装置31とオイルフィルタ62の各設置空間を確保でき、大容量のオイルパン11の成形コストを低減できるものでありながら、オイルパン11などの剛性を充分に確保でき、かつディーゼルエンジン1の振動が伝導しにくい構造にバランスよく構成できる。
【0079】
図21〜
図25に示す如く、上部オイルパン111上面のシリンダブロック取付座(機関取付座)113に、ディーゼルエンジン1の気筒数と同数のオイル受入開口118を形成し、ディーゼルエンジン1のシリンダブロック5下面に各オイル受入開口118を対設させると共に、上部オイルパン111の上面のうち、ドレン孔121上方の上面にオイルゲージ124を設け、シリンダブロック5を挟んでオイルパン11の両側方に、第2ブラケット(支持体)72とオイルゲージ124を振分けて配置している。したがって、メンテナンス頻度が高いオイルゲージ124またはオイルフィルタ62などをディーゼルエンジン1の一側に片寄らせて支持できると共に、メンテナンス作業場所から離間したディーゼルエンジン1の他側に排気ガス浄化装置31を支持でき、オイルゲージ124またはオイルフィルタ62などを点検交換する作業者が、高温になりやすい排気ガス浄化装置31に接触するのを簡単に防止できる。
【0080】
図3、
図5〜
図7、
図9、
図10、
図15に示す如く、ディーゼルエンジン1の吸気マニホールド3設置側に、排気ガス再循環装置15と、コモンレール43を配置すると共に、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド6設置側に排気ガス浄化装置31を配置し、ディーゼルエンジン1の底部にオイルパン11を配置したエンジン装置において、オイルパン11に排気ガス浄化装置31を連結する支持体としての第2ブラケット72を備え、オイルパン11に第2ブラケット72を介して排気ガス浄化装置31を支持させるように構成している。したがって、例えば鋳造加工にて高剛性に構成する大型のオイルパン11を利用して、ディーゼルエンジン1に近接させて排気ガス浄化装置31を高剛性に組付けることができる。また、ディーゼルエンジン1の設置幅寸法(高さ、左右幅寸法、前後幅寸法)を殆ど拡大することなく、大型のオイルパン11と排気ガス浄化装置31をコンパクトに設置できる。即ち、例えば冷凍輸送コンテナ52などにディーゼルエンジン1をコンパクトに搭載できる。
【0081】
図21〜
図25に示す如く、上部オイルパン111と下部オイルパン112との、上下二分割状に前記オイルパン11を構成した構造であって、ディーゼルエンジン1の側面のうちこのシリンダブロック5の側面から外向きに突出させた上部オイルパン111の側面に支持体取付面127(支持体取付け部)を形成し、支持体取付面127に第2ブラケット72を着脱可能に締結するように構成している。したがって、ディーゼルエンジン1底部の側方にオイルパン11の側部を突出させて、排気ガス浄化装置31の設置空間を確保でき、長時間に渡りディーゼルエンジン1の連続運転が可能な大容量のオイルパン11を活用して、排気ガス浄化装置31の支持構造を簡略化できるものでありながら、排気ガス浄化装置31の支持剛性を充分に確保できる。
【0082】
図1、
図5に示す如く、ディーゼルエンジン1が設置される機枠58側に燃料フィルタ44を配置させ、ディーゼルエンジン1の燃料ポンプ42に燃料フィルタ44を接続させるように構成している。したがって、メンテナンス作業が容易な場所に燃料フィルタ44を組付けることができると共に、ディーゼルエンジン1の設置幅寸法(高さ、左右幅寸法、前後幅寸法)などが、燃料フィルタ44にて規制される不具合をなくすことができ、各種機器にディーゼルエンジン1をコンパクトに搭載できる。
【0083】
図21、
図26に示す如く、シリンダブロック5の側面のうち機関脚取付け部12が形成された側面に対向させて排気ガス浄化装置31を配置している。したがって、機関脚取付け部12に締結されるディーゼルエンジン1の機関脚(図示省略)に近接させて排気ガス浄化装置31を支持できる。前記機関脚に作用する排気ガス浄化装置31の振動負荷を低減できる。例えば、前記機関脚に対して離間させて排気ガス浄化装置31を支持する構造に比べ、前記機関脚に作用する排気ガス浄化装置31の振動負荷を小さくすることができ、ディーゼルエンジン1の振動に伴う排気ガス浄化装置31の揺振を抑制して、排気ガス浄化装置31の支持に必要な前記機関脚の耐荷重を低減できるから、ディーゼルエンジン1の取付け防振構造を簡略化できる。