【実施例1】
【0012】
図1〜
図8は、この実施例およびその変形例を示すものである。
ここで、図面の概要について説明する。
図1〜
図3は、斜め後方から見た全体斜視図である。このうち、
図1は連結前、
図2は連結中、
図3は連結解除後の状態をそれぞれ示している。
また、
図4〜
図6は、横方向から見た部分斜視図である。このうち、
図4は連結前、
図5は連結中、
図6は連結解除後の状態をそれぞれ示している。
そして、
図7、
図8は、連結装置周辺の部分拡大斜視図である。このうち、
図7は連結中、
図8は連結解除後(または解除途中)に相当する状態をそれぞれ示している。
【0013】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0014】
以下、主に、連結中の状態を示す
図2(全体図)、
図5(部分図)、
図7(部分拡大図)を参照しつつ(主に
図2を参照)、必要に応じて、他の図を参照するものとする。
【0015】
この実施例の「無人搬送車の連結装置」は、無人搬送車1の後部に取付けられた連結機器2によって台車3を連結するようにしたものとされる。
【0016】
ここで、上記についての補足説明を行う。なお、補足説明については、必要に応じて参照すれば良い。
【0017】
上記した「無人搬送車1」は、上記したように、工場の床面を自走可能な移動装置であり、少なくとも、前進、後退、停止、左右への方向転換、などの各種の走行形態を、自動的に行わせ得るようにしたものなどとされる。
【0018】
この無人搬送車1は、特に詳細には図示しないが、方向転換を行うための操舵輪と、走行駆動力を発生する駆動輪と、この駆動輪に駆動力を与えるためのモータなどの駆動装置と、を備えたものとされる。また、無人搬送車1は、上記駆動装置に電力を供給するための電源供給装置と、無人搬送車1の走行経路や上記した走行形態などを設定したり制御したりするためのコンピュータなどの制御装置とを備えたものとされる。
なお、操舵輪と駆動輪とは、同じものであっても良い。即ち、操舵輪に対して駆動力を伝達することにより操舵駆動輪となるようにしても良い。または、複数の駆動輪の駆動速度を異ならせることにより操舵を行わせるようにしても良い。
【0019】
この場合、無人搬送車1は、平面視ほぼ矩形状をした搬送車本体1aの後部に、持手などとなる門型のフレーム部1bを有する、手押車タイプのものとされている。この搬送車本体1aの上面は、上記した部品などの荷物を搭載することが可能なように、平坦な荷台部などとされている。
また、フレーム部1bには、前進、後退、停止、などの操作を手動で行い得るようにするための手動操作ボタン1cと、緊急時に非常停止させるための非常停止ボタン1dとを有するコントロールボックス1eなどが取付けられている。但し、無人搬送車1の構成については、これに限るものではない。
【0020】
上記した「連結機器2」は、台車3を連結して牽引するために、無人搬送車1の後部に取付けられる機器である。なお、連結機器2の詳細については、後述する。
【0021】
上記した「台車3」は、上記したように、工場内での製品の生産に使用する部品やその他の物品などを搭載することができるものであり、例えば、台枠部3aに車輪部3bを取付けたものなどとされる。
この場合、台枠部3aは、矩形枠状をしたものとされている。また、車輪部3bは、台枠部3aの各コーナー部の下面側に対して、合計4個取付けられている。この車輪部3bは、水平方向に対して360度回転自在なキャスタ輪(従動輪)などとされている。但し、台車3の構成や、台枠部3aの形状や、台枠部3aに対する車輪部3bの取付位置や取付個数などについては、これに限るものではない。
【0022】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0023】
(構成1)
即ち、
図7の部分拡大図に示すように、上記連結機器2が、上記無人搬送車1の後部に対し、(車両)前後方向11へ傾動自在に一方の辺部を垂下支持された上部プレート12と、
この上部プレート12の他方の辺部に対し、前後方向11へ傾動自在にその一方の辺部を垂下支持された下部プレート13と、を備えたものとされる。
そして、上記した上部プレート12の後方へ向いた面と上記した下部プレート13の後方へ向いた面とが、通常時に、側方から見て180度より小さい角度15を有した状態で、上記した下部プレート13の他方の辺部が上記した上部プレート12の無人搬送車1の後部に対する取付位置よりも後方の位置に接地されるように構成される。
更に、上記した上部プレート12の傾動により昇降動されて、上記台車3を下側から係止可能な上向きのフック部14が備えられる。
【0024】
(補足説明1)
ここで、上記した「連結機器2」は、主に、上記した上部プレート12と、下部プレート13と、連結具としてのフック部14とによって、無人搬送車1の僅かな後退を利用して機械的且つ自動的に連結状態を解除させるようにした自動連結解除機構を構成するものとされる。この連結機器2は、無人搬送車1の幅方向16のほぼ中央の位置に設置される。また、連結機器2は、台車3の連結に最適な高さとなる位置に設置される。
【0025】
上記した「上部プレート12」は、幅方向16へ延びると共に前後方向11に対してほぼ垂直な面を有する横長の板状部材によって主に構成されている。そして、上部プレート12の一方の辺部(上辺部)またはその周辺が、無人搬送車1の後部(の下部などに設けられた取付部)に対し、無人搬送車1の幅方向16へ延びる揺動中心軸17を用いて軸支されている。
この揺動中心軸17による軸支には、例えば、ヒンジ部材が用いられている。このヒンジ部材による軸支取付けによって、上部プレート12は、ほぼ鉛直下方へ向けて垂下された状態となる。なお、上部プレート12の他方の辺部(下辺部)は、一方の辺部(上辺部)とほぼ平行な対辺のことである。
【0026】
この場合、上部プレート12は、その一方の辺部の位置に後方へ向けて屈曲された屈曲部12aを有する側面視L字状の金属板によって構成されている。上記したヒンジ部材は、上部プレート12の屈曲部12aを利用して無人搬送車1の後部に取付けられている。但し、上部プレート12は、側面視L字状のものに限るものではない。
【0027】
上記した「下部プレート13」は、幅方向16へ延びると共に前後方向11に対して概略垂直となる面(後述するように前傾される面)を有する横長の板状部材によって主に構成されている。そして、下部プレート13の一方の辺部(上辺部)またはその周辺が、上部プレート12の他方の辺部(下辺部)またはその周辺に対し、上記幅方向16へ延びる揺動中心軸19を用いて軸支されている。
この揺動中心軸19による軸支には、例えば、ヒンジ部材が用いられている。このヒンジ部材による軸支取付けによって、下部プレート13は、ほぼ下方へ垂下された状態となる。この時、下部プレート13は、他方の辺部(下辺部)またはその周辺が床面に接地されることにより、他方の辺部による接地部を中心として全体が前傾されることになる。なお、下部プレート13の他方の辺部(下辺部)は、一方の辺部(上辺部)と平行な対辺のことである。
【0028】
この場合、下部プレート13は、その他方の辺部の位置にほぼ後方へ向けて屈曲された屈曲部13aを有する側面視L字状の金属板によって構成されている。この金属板には、例えば、上部プレート12と同じものを上下反転させて使用することができる。但し、下部プレート13は、側面視L字状のものに限るものではない。また、上部プレート12と下部プレート13とは、必ずしも同じである必要はない。
上記したヒンジ部材は、上部プレート12と下部プレート13との間を接続するように設置されている。このヒンジ部材には、例えば、ヒンジ軸部にスプリングを取付けて、スプリングによってヒンジ片を開方向へ付勢させるようにしたスプリングヒンジなどを用いても良い。
【0029】
また、上部プレート12と下部プレート13とを軸支する揺動中心軸19の位置には、上部プレート12と下部プレート13との側方から見た角度15が180度よりも大きくならないように規制するための(角度規制用)ストッパー20(
図6参照)などを設けても良い。
【0030】
そして、上記した「上部プレート12の後方へ向いた面と下部プレート13の後方へ向いた面とが、側方から見て180度より小さい角度15」となるようにするために、以下のようにする。即ち、上部プレート12と下部プレート13とは、180度に延ばして真っ直ぐ吊り下げた時の全体の上下方向の長さL(図示せず)が、上部プレート12の上部(揺動中心軸17)の取付位置(揺動中心軸17の位置)から床面までの高さH(図示せず)よりも長くなるように寸法が設定される(L>H)。
【0031】
この場合、上部プレート12と下部プレート13とは、部品の共通化や角度設定の単純化などを目的として、ほぼ上下方向の辺の長さが、ほぼ同じになる(1/2L)ようにしている。但し、上部プレート12と下部プレート13との上記した辺の長さは、異なるようにしても良い。
【0032】
上記した「下部プレート13の他方の辺部が、上部プレート12の無人搬送車1の後部に対する取付部分よりも後方の位置に接地される」ようにするために、以下のようにする。即ち、下部プレート13は、上部プレート12に対して、揺動中心軸19を中心に後側へ屈折させた状態で配置させるようにする。
【0033】
上記した「フック部14」は、上部プレート12の傾動により昇降動されるようになっていれば、どのように取付けられても良い。フック部14については、後述する。
【0034】
(構成2)
上記した下部プレート13の他方の辺部による接地部分に、滑り止め部31を設けるようにする。
【0035】
(補足説明2)
ここで、上記した「滑り止め部31」は、下部プレート13の他方の辺部に取付けられたゴムやゴム系材料などの滑り止め部材としても良い。この場合、滑り止め部31は、側面視L字状をした下部プレート13の他方の辺部における屈曲部13aを含むコーナー部分周辺に設けられている。但し、滑り止め部31の設置範囲は、これに限るものではない。
【0036】
(構成3)
上記した無人搬送車1が、上記した台車3を牽引するものとされると共に、
上記したフック部14が、上記した上部プレート12から後方へ延びるように設けられて、上記した台車3の前部または前部周辺を(上下傾動により)下側から係止可能なものとされる。
【0037】
(補足説明3)
ここで、上記した「牽引」は、無人搬送車1が、台車3を引張りながら前へ進むことである。
上記した「フック部14」は、上部プレート12に対して取付けられる。これにより、フック部14は、上部プレート12の傾動に伴って、上下方向に傾動(上下傾動)されることになる。
より具体的には、フック部14は、無人搬送車1の後部から垂下された上部プレート12の後方へ向いた面に対して取付けられる。このフック部14は、少なくとも、台車3(の台枠部3a)の前部(前辺部)などを下側から直接係止可能なものとされている(特に図示せず)。
【0038】
そのために、フック部14は、ほぼ水平なベース板21の上面に、台車3の台枠部3a(の前辺部)を直接挟持または挟着状態で保持可能な、一対の突設部22(第一の連結部)を有するものとされている。この一対の突設部22は、前後方向11に対し台車3の台枠部3a(の前辺部の幅寸法)と同じかそれよりも若干広い間隔を有して、上記幅方向16へ平行に延びるものとされている。
【0039】
この場合、突設部22は、上方へ延びる一対の脚部の上端間に連結プレートを架設連結して成る、ほぼギリシャ文字のΠ字状のものとされている。但し、突設部22の構成はこれに限るものではない。
【0040】
そして、フック部14の、少なくとも後側の突設部22については、ベース板21に対して、台車3の台枠部3a(の前辺部)を係止可能な高さに設定される。しかも、突設部22は、フック部14が下方へ傾動した時に、台車3の台枠部3a(の前辺部)に対する係止状態を解除可能な高さを有するように寸法設定される。
【0041】
また、フック部14は、後述するように、台車3の前部または前部周辺を、後述するような牽引アーム25(
図5参照)を介して、間接的に係止可能なものとすることができる。そのために、後側の突設部22(の連結プレート)の前縁部に、牽引アーム25先端部に設けた係止用突出部26を、幅方向16に対し安定して係止保持させるようにするための、V字状などの凹形状をした切欠部27を設けるようにしている。
上記した「台車3の前部または前部周辺」は、台車3の前部およびその周辺を広く含む意味である。また、台車3の前部または前部周辺に対する連結機器2の連結は、直接的な連結と、牽引アーム25などによる間接的な連結との両方を含むものとする。
【0042】
(構成4)
図5に示すように、上記した台車3の前部または前部周辺に、上記フック部14によって係止されるようにした上記牽引アーム25を水平回動可能に取付ける。
そして、この牽引アーム25が、その先端部に上方へ延びるガイド部材41を備えるようにする。
更に、上記無人搬送車1が、その後部に、上記ガイド部材41を上記フック部14の上方へと導く連結ガイド42を有するものとされる。
【0043】
(補足説明4)
ここで、上記した「牽引アーム25」は、その先端部に、フック部14によって係止し得るようにするための上記した係止用突出部26(
図6参照)が、下方へ向けて突設されている。この係止用突出部26は、上記したフック部14におけるV字状の切欠部27に係止されるものである。
【0044】
また、牽引アーム25の基端部(台車3に対する付根部)は、上下方向へ延びる回動中心軸部44(図示せず)によって水平方向へ回動可能に軸支されている(水平回動機構)。
この回動中心軸部44には、牽引アーム25を自動的に台車3の幅方向16(右回動または左回動の一方または両方)へ向けさせるようにするための図示しない回動付勢機構を設けるようにしても良い。このように回動付勢機構を設けることにより、牽引アーム25を使用しない時には、牽引アーム25を自動的に台車3の前部に沿ってしまわせておくことが可能となる(
図3、
図6参照)。
【0045】
上記した牽引アーム25は、無人搬送車1の前部における、幅方向16の中央部に取付けるようにするのが好ましい。
この場合には、牽引アーム25を、無人搬送車1の前部の幅方向16の長さ(W、図示せず)の半分の長さ(1/2W)よりも若干長くする(1/2W+α)。そして、牽引アーム25を無人搬送車1の前部に沿って幅方向16へ向けた時に、牽引アーム25の先端部(のガイド部材41)が無人搬送車1の側部から僅かにハミ出るようにする。これにより、連結ガイド42でガイド部材41を引っ掛け易くなる(
図1、
図4参照)。
【0046】
上記した「ガイド部材41」は、文字通り、連結ガイド42によってガイドされるものである。ガイド部材41は、ピン状や板状などとされている。なお、このガイド部材41には、上記したもの以外に、ガイド機能を有する各種のガイド体が広く含まれる。このガイド部材41には、更に、倣いローラ41aなどの転動部材を取付けるようにしても良い。
【0047】
上記した「連結ガイド42」は、無人搬送車1の後部にほぼ沿って延びるものとされる。また、連結ガイド42は、ガイド部材41を、無人搬送車1の左右のどちらからでも引っ掛けることができるようにするために、左右一対設けることができる。
【0048】
また、無人搬送車1と各連結ガイド42との間には、ガイド部材41を案内するために必要な隙間45が形成される。この隙間45は、少なくとも、ガイド部材41の直径または幅寸法、あるいは、倣いローラ41aの直径よりも大きなものとされる。そのために、連結ガイド42は、上記隙間45の各部の大きさに応じた長さを有するスペーサ46a,46bや、このスペーサ46bを連結ガイド42に対して取付けるための取付部材46cなどを介して、無人搬送車1に取付けられる。
【0049】
これらのスペーサ46a,46bなどは、連結ガイド42の上側の部分に取付けられる。これにより、ガイド部材41を、スペーサ46a,46bなどと干渉することなく、連結ガイド42の下側の部分に沿って案内させることができるようにしている。
【0050】
また、連結ガイド42の下縁部については、台車3の台枠部3aの上縁部よりも若干高くなるようにして、両者が干渉しないようにする。なお、上記した取付部材46cは、左右の連結ガイド42の後端部を同時に無人搬送車1の後部へ固定するものとして設けられている。
【0051】
そして、連結ガイド42は、無人搬送車1の側面に沿って延びる前後方向延設部42aと、無人搬送車1の後面にほぼ沿って設けられる傾斜部42bとを有するものとされる。この場合、上記した前後方向延設部42aは、無人搬送車1の側面と平行なものとされている。また、傾斜部42bは、無人搬送車1の幅方向16の中央部へ進むに従い、車両後方へ向かう緩い傾斜を有するものとされる。
【0052】
そして、この連結ガイド42と、上記した牽引アーム25のガイド部材41とによって、自動連結用ガイド機構が構成される。この自動連結用ガイド機構は、上記した連結ガイド42における前後方向延設部42aの前端部に、無人搬送車1の側面との間の上記隙間45へガイド部材41を導入するための導入部45aを有している。
また、自動連結用ガイド機構は、連結ガイド42における傾斜部42bの後端部に、フック部14の上方にて、無人搬送車1の後面との間の上記隙間45から、ガイド部材41を解放するための解放部45bが形成される。この解放部45bは、左右の連結ガイド42の後端部間に、ガイド部材41が通る間隙を形成するものともなっている。
【0053】
(構成5)
図7に示すように、上記フック部14が、上記した上部プレート12に対して、水平回動可能に取付けられるようにする。
【0054】
(補足説明5)
ここで、上記したフック部14と上部プレート12とは、上下方向へ延びる回動中心軸部51を介して水平回動可能に連結される(水平回動機構)。この回動中心軸部51は、フック部14におけるベース板21と前側の突設部22(の連結プレート)との間に介装されている。そして、上部プレート12は、その屈曲部12aから後方へ向けて突設された突出部(特に図示せず)が、回動中心軸部51によって回動可能に軸支されている。但し、水平回動機構の構成は、これに限るものではない。
【0055】
また、上記以外の構成として、必要に応じ、無人搬送車1の後部に、台車3や牽引アーム25などとの干渉を防止するためのダンパー機構を設けることができる。このダンパー機構は、上部プレート12の後方へ向いた面に対し後方へ向けて取付けられた一対の伸縮動可能なダンパーロッド53の後端部間に、ダンパープレート54を架設連結したものとされる。
【0056】
このダンパープレート54は、後から見てほぼ門型(あるいは逆U字状)をしている。そして、その内側に上記したフック部14や、上部プレート12の屈曲部12aから後方へ向けて突設された図示しない突出部(回動中心軸部51に対する軸支部分)が通るよう構成されている。このダンパー機構は、一対のダンパーロッド53がそれぞれ伸縮動することによって、フック部14が水平回動可能する際に、これに合わせて、ダンパープレート54を、左右方向へ僅かに傾動されることができるようになっている。
【0057】
(その他の構成)
更に、その他の構成として、
図7(または
図8)に示すように、フック部14におけるベース板21の後端部に、上方へ向けて屈曲する屈曲部21aを設けても良い。そして、この屈曲部21aと、後側の突設部22との間に、上記した台車3や、上記した台車3とは異なる形状や大きさの台車(図示せず)の前辺部を直接挟持または挟着状態で保持可能な、第二の連結部を設けるようにしても良い。
この場合、屈曲部21aと後側の突設部22との間の間隔を、前後の突設部22(第一の連結部)間の間隔よりも狭くすることによって、上記した台車3よりも小型の台車などを連結し得るようにしている。
【0058】
このように第二の連結部を設けた場合に、上記した屈曲部21aの部分に、図示しないバネによって開方向(この場合には、上方でかつ後方)へ付勢されるようにしたヒンジ部材55を、ヒンジ部材55の一方のヒンジ片が屈曲部21aの上縁部よりも上方へ突出し、他方のヒンジ片がベース板21に対して平行に固定されるように設置しても良い。これによって、上記した小型の台車の連結を容易化すると共に離脱し難くするための戻り止め機構を設けることができる。
【0059】
更に、ベース板21の後端部に屈曲部21aやヒンジ部材55を取付けた場合には、
図5に示すように、上記した牽引アーム25の先端部の下側に、上記したヒンジ部材55との干渉を防止するための切欠部25aを設けるようにしても良い。
【0060】
<作用効果>以下、この実施例の作用効果について説明する。
(作用効果1)
図2(
図5、
図7)に示すように、無人搬送車1と台車3とが、無人搬送車1の後部に取付けられた連結機器2によって連結され、無人搬送車1によって台車3が移動される。これにより、例えば、台車3に搭載された部品などを、設定された走行経路に沿って工場内の各所に搬送することができる。
【0061】
上記した連結機器2と台車3との間は、以下のようにして、自動的に連結され、あるいは、自動的に切離される。
【0062】
まず、連結機器2は、それぞれ前後方向11へ傾動自在な上部プレート12および下部プレート13と、上部プレート12の傾動により昇降動される上向きのフック部14とを有するように構成されている。
【0063】
(通常時の状態について)
無人搬送車1は、通常時(停止時および前進時)には、フック部14が上側へ張出して、台車3を下側から直接または間接的に係止できる状態となっている。
【0064】
また、下部プレート13は、その他方の辺部が上部プレート12の無人搬送車1の後部に対する取付位置よりも後方の位置に接地されている。そして、上部プレート12の後方へ向いた面と下部プレート13の後方へ向いた面とが、側方から見て180度より小さい角度15を有して、下部プレート13が上部プレート12に対し後方へ屈折された状態となっている。
この状態では、上部プレート12は自重によって無人搬送車1の後部からほぼ鉛直下方へ垂下され、下部プレート13は、上部プレート12の他方の辺部から垂下されると共に、その他方の辺部が接地されて、前傾状態で無人搬送車1によって床面上を引き連られるようになっている。
【0065】
(切離時の作動について)
上記した状態(台車3を連結して停止した状態)で、無人搬送車1を僅かに後退させると、
図3(
図6、
図8)に示すように、下部プレート13が、接地している他方の辺部(下辺部)の位置を中心として上方でかつ後方へ傾動されることになる。この下部プレート13の傾動により、上部プレート12が、無人搬送車1の後部に取付けられている一方の辺部(上辺部)の位置を中心として前方でかつ上方へ傾動される。よって、上部プレート12のこの傾動により、フック部14が下降動され、台車3を切離すことができるようになる。
【0066】
この際、上部プレート12と下部プレート13とは、後方へ向いた面どうしの成す角度15が、必要に応じて変化される(角度が小さくなる)ことにより、上記した傾動による影響を吸収することができる。この場合には、例えば、下部プレート13がほぼ鉛直上方へ向く程度にまで立上がり、上部プレート12が後傾した状態となることなどによって、フック部14は、後端部が接地するくらいまで大きく下方傾動され得るように構成されている。
【0067】
これにより、専用の動力源を用いることなく、無人搬送車1が僅かに後退する動作(切離動作)を利用して、台車3の切離しを自動的に行わせることが可能となる。なお、台車3の切離しのための後退動作は僅かであるため、台車3の停止位置に影響を与えることはほとんどない。
【0068】
(連結時の作動について)
また、フック部14が下降動した状態で、フック部14の上方に台車3を位置させ、無人搬送車1を前進させることにより、上記とは反対に、下部プレート13が、接地している他方の辺部の位置(下辺部)を中心として下方でかつ前方へ傾動されることになる。
この下部プレート13の傾動により、上部プレート12が、無人搬送車1の後部に対する取付位置(一方の辺部または上辺部)を中心として後方でかつ下方へ傾動される。よって、上部プレート12のこの傾動により、フック部14が上昇動されて元の上側へ張出した状態に復帰され(
図2、
図5、
図7参照)、台車3を係止することができるようになる。
【0069】
これにより、専用の動力源を用いることなく、無人搬送車1が僅かに前進する動作(連結動作)を利用して、台車3の連結を自動的に行わせることが可能となる。
【0070】
以上により、連結および切離しの動作を、専用の動力源を用いずに行わせることができるようになり、その分、設備コストを抑えることができるようになる。
【0071】
(作用効果2)
下部プレート13の他方の辺部による床面などへの接地部分に、滑り止め部31を設けた。
これにより、無人搬送車1の後退時に、滑り止め部31が、下部プレート13の接地した他方の辺部を床面などに対して滑り難くするので、無人搬送車1の後退による牽引アーム25の切離し動作を、確実に行わせることができる。
【0072】
(作用効果3)
無人搬送車1が、台車3を牽引するものとされると共に、フック部14が、上部プレート12から後方へ延びるように設けられて、台車3の前部または前部周辺を(上下傾動により)下側から係止可能なものとされた。
これにより、台車3の前方に位置された無人搬送車1は、上部プレート12の傾動によってフック部14を昇降動(上下傾動)させることで、台車3の前部または前部周辺を下側から直接または間接的に係止したり、または、係止解除したりして、台車3の連結や切離しを行わせることができる。以って、台車3の牽引に適した構造とすることができる。
【0073】
(作用効果4)
上記した台車3の前部または前部周辺に取付けた牽引アーム25の先端部に、上方へ延びるガイド部材41を設け、無人搬送車1の後部に、ガイド部材41をフック部14の上方へ導く連結ガイド42を設けた。
そして、
図1(
図4)示すように、無人搬送車1の走行経路の近くに台車3を配置して、台車3の近くを無人搬送車1が通った時に、無人搬送車1の連結ガイド42によって台車3の前部または前部周辺に取付けた牽引アーム25のガイド部材41を引っ掛けさせるようにする。
すると、無人搬送車1が走行経路に沿って移動するだけで、連結ガイド42が台車3の(牽引アーム25先端部に設けられた)ガイド部材41を自然にフック部14の上方へと導いてフック部14に係止させることができるようになる。以って、自動的に台車3を連結させることが可能となる。
また、台車3の前部または前部周辺に対して牽引アーム25を水平回動可能に取付けた。これにより、無人搬送車1の連結ガイド42によって台車3のガイド部材41を引っ掛けることができる範囲を拡大することができるので、連結のために台車3を待機させておく場所や台車3の待機時の向きなどに対する自由度を増やすことができる。
【0074】
(作用効果5)
フック部14が、上部プレート12に対して、水平回動可能に取付けられた。
これにより、例えば、無人搬送車1に台車3を直接連結しているような場合に、カーブやコーナー部などで台車3を滑らかに案内することができる。
【実施例2】
【0075】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
図9〜
図15は、この実施例を示すものである。なお、上記した構成1、構成2などについては、この実施例のものもほぼ同様に備えている。また、上記した実施例と同一の構成については、同一の符号を付すものとし、この実施例で説明がない場合には、上記した実施例の記載を以ってその説明とする。
【0076】
(構成6)
この実施例では、
図9、
図10に示すように、上記した無人搬送車1が、上記した台車3の下側に潜り込むものとされる。
そして、上記したフック部14が、無人搬送車1に昇降可能に取付けられて、上記した台車3の後部を(昇降動により)下側から係止可能なものとされる。
【0077】
(補足説明6)
ここで、上記した「下側に潜り込む」は、無人搬送車1が、台車3の下側へ入り込んで、両者が上下方向に重なることである。そのために、無人搬送車1は、上記実施例のものに対して、持手などとなる門型のフレーム部1bを有さないものとされる。それ以外の構成は上記実施例のものとほぼ同じである。
また、台車3は、その下側に、無人搬送車1が入り込める程度のスペース61(潜入スペース)を有するものとされる。この場合、台車3の台枠部3aは、例えば、キャスタ輪を有する少なくとも4本の脚部と、単数枚または複数枚の棚板3cとで構成されたラック状(棚状)のものなどとされている。台車3の最下段の棚板3cの下部に、上記したスペース61が形成される。
この台車3の幅寸法は、無人搬送車1の幅寸法とほぼ同じか、または、それよりも若干広めに設定されている。この台車3(の棚板3c)の長さ寸法は、無人搬送車1の長さ寸法とほぼ同じか、または、それよりも若干短めに設定されている。
【0078】
上記した「フック部14」は、上昇動した時に、台車3(の最下段の棚板3c)の後部に対し、後方から係止するものとされる。フック部14は、
図11、
図12に示すように、無人搬送車1の後部に昇降ガイド62を介して昇降可能に取付けられる。この昇降ガイド62は、特に図示しないが、上下方向へ延びる昇降ガイドと、この昇降ガイドに昇降可能に取付けられた昇降ガイド体とを有するものとされる。そして、昇降ガイドは無人搬送車1に取付けられ、昇降ガイド体にはフック部14が取付けられる。
【0079】
そして、このフック部14を、上記した上部プレート12によって昇降動されるようにする。そのために、フック部14を、無人搬送車1の後面と平行な板状またはアーム状のものなどとして、フック部14の上端部が、無人搬送車1の上面に対して、上方へ突出収納されるようにすると共に、フック部14の下端部が、上部プレート12の屈曲部12aの上面に当接されるようにする。
この際、フック部14は、台車3の後部に係止する部分が左右一対設けられるようにする。また、フック部14の昇降量が大きくなるように、上部プレート12の屈曲部12aを後方へ所要量延長して、揺動中心軸17からの距離が大きくなるようにする。そして、フック部14の下端部分に後方迂回部14aを形成して、下端部が揺動中心軸17から離れた屈曲部12aの後端部またはその近傍によって下方から押動されるようにする。
【0080】
(構成7)
上記したフック部14の上端部に、切離した上記台車3の連れ運びを防止可能な連れ運び防止部材71を取付ける。
【0081】
(補足説明7)
上記した「連れ運び(つれはこび)」は、無人搬送車1と台車3との連結が解除されている状態で、フック部14の上端部が台車3に当るまたは引掛るなどにより、無人搬送車1と共に台車3が連れて行かれてしまうことである。
【0082】
上記した「連れ運び防止部材71」には、摩擦低減部材や、摺動部材や、転動部材や、引掛防止部材などの部材を用いることができる。この場合には、フック部14の上端部に後方へ屈曲する上部屈曲部を形成すると共に、この上部屈曲部にボールローラなどの転動部材を僅かに上方へ突出した状態で取付けるようにしている。但し、連れ運び防止部材71は、ボールローラに限るものではなく、例えば、半球状の摺動部材などを取付けるようにしても良い。
【0083】
(構成8)
図13(〜
図15)に示すように、上記した無人搬送車1の前部に、連結のために走行経路上に待機している上記した台車3との間の位置ズレを、台車3を押し動かすことで修正可能な位置修正部材81を取付ける。
【0084】
(補足説明8)
上記した「位置ズレ」は、無人搬送車1が、台車3の下側へ入り込むのに最適な位置や角度から若干外れていることである。このような位置ズレには、無人搬送車1の走行精度が低い場合や、台車3の待機位置精度が低い場合や、両方の精度が低い場合などがある。
なお、無人搬送車1は、予め設定された走行経路に沿って自動的に走行するように構成されている。無人搬送車1の走行精度は設定次第である。また、台車3は、手動操作で無人搬送車1の走行経路上に置かれることになる。待機位置精度は、作業員の置き方次第である。
【0085】
上記した「位置修正部材81」は、上記した位置ズレが生じている場合に、無人搬送車1に先行して台車3と軽く干渉することによって無人搬送車1に対する台車3の相対的な位置関係や向きなどを物理的に変えることができるようなもの(干渉部材)とされる。更に、位置修正部材81は、干渉によって台車3に損傷を与えることがなく、しかも、台車3の位置や方向を微妙に調整できるような当たりの柔らかい物(例えば、弾性部材)などが使われる。
この位置修正部材81は、台車3の前側両側部に対し、台車3よりも若干前方へ張り出すように取付けられる。この位置修正部材81は、無人搬送車1と台車3との状況などに応じて、トライアンドエラーなどを繰り返すことによって、最適な状態となるように具体的に設定・調整しながら設置するのが好ましい。
この場合には、位置修正部材81は、弦巻バネなどの弾性部材を円弧状に屈曲して取付けたものなどとされている。但し、位置修正部材81は、弦巻バネを曲げたものに限るものではなく、例えば、金属製や樹脂製の板バネなどを使用することができる。
【0086】
(構成9)
図9、
図10に示すように、上記した無人搬送車1の前部に、後退方向の一方に対してのみ上記した台車3の前部を係止可能な一方向係止機構91を取付ける。
【0087】
(補足説明9)
ここで、上記した「無人搬送車1の前部」は、無人搬送車1の前辺部分の上部となっている。一方向係止機構91は、無人搬送車1の前部に、左右一対設けられている。
上記した「後退方向」は、無人搬送車1の後退方向のことである。
【0088】
上記した「一方向係止機構91」は、後退方向に対しては台車3の係止を行うが、前進方向に対しては台車3の係止を行わないような不可逆機構とされる。一方向係止機構91は、台車3(の最下段の棚板3c)の前部に対し、前方から係止するものとされる。この一方向係止機構91と上記したフック部14との前進方向の間隔は、台車3(の棚板3cの前進方向の長さ)と同じか、または、それよりも若干大きいものなどとされる。
この場合、一方向係止機構91には、ヒンジ部のヒンジ軸部にスプリングを取付けて、一方のヒンジ片をスプリングによって上斜め後ろ方向へ突出させるように付勢したスプリングヒンジなどを用いるようにしている。但し、一方向係止機構91は、スプリングヒンジに限るものではない。
【0089】
(構成10)
上記した無人搬送車1の上部と上記した台車3の下部との間に、上記した台車3の下部へ潜り込んでいる無人搬送車1を案内するガイド部101を設ける。
【0090】
(補足説明10)
上記した「ガイド部101」は、台車3の下部へ潜り込んでいる最中に、無人搬送車1の幅中心線と、台車3の幅中心線とが一致するように、両者を機械的に案内するもの(潜り込みガイド)である。
この場合には、主に、台車3の下面に取付けられたガイドレール部102と、このガイドレール部102の両側部を挟むように無人搬送車1の上面に取付けられた一対のガイド体103とを有するものとされる。
ガイドレール部102は、例えば、ハット型をした金属製の部材などとされて、台車3の下面に対し、台車3の幅中心線に沿うように前後方向ほぼ全域に亘って取付けられている。
また、一対のガイド体103は、例えば、滑り性の良い樹脂製のものとされて、その先端部が、無人搬送車1の前縁部よりも若干前方に突出するように設けられている。一対のガイド体103の入側(先端側の内側辺部)には、前広がりの導入テーパ部104が設けられている。ガイド体103は、台車3の長手方向に対し、全長に亘って設けるようにしても良いが、少なくとも一部に対して設けるようにすれば良い。または、ガイド体103の位置に沿ってベアリングなどの転動式ガイド部材105を所要の間隔を有して前後方向に適宜配設するようにしても良い。ガイド体103と転動式ガイド部材105とは、組み合わせて設けるようにしても良い。
【0091】
なお、上記の変形例として、上記したガイドレール部102および一対のガイド体103(転動式ガイド部材105を含んでも良い)は、上記とは反対に設けるようにしても良い。即ち、ガイドレール部102を無人搬送車1の上面の側に取付け、一対のガイド体103などを台車3の下面の側に取付けるようにしても良い。この場合には、一対のガイド体103は、台車3の後方へ突出させるようにする。また、導入テーパ部104も、一対のガイド体103の後端側の内側辺部に対して後広がりに設けるようにする。
【0092】
また、他の例として、ガイド部101は、ガイドレール部102と一対のガイド体103との組合せに替えて、ガイド溝と、このガイド溝に沿って案内されるガイドピンとを有するものなどとしても良い。
【0093】
そして、このガイド部101や上記した位置修正部材81などによって、自動連結用ガイド機構が構成される。
【0094】
(その他の構成)
無人搬送車1の前方下部には、バンパプレート111が、前後方向へ揺動可能に垂下支持されている。このバンパプレート111には、停止スイッチが取付けられており、バンパプレート111が何らかの障害物に当たった時に、無人搬送車1が自動的に停止されるようになっている。なお、このバンパプレート111や停止スイッチは、上記実施例1の無人搬送車1に設けるようにしても良い。
【0095】
また、無人搬送車1の上部には、台車3の有無を検知するための上方検知部が設けられている。更に、無人搬送車1の前部には、前方に台車3が有るかどうかを検知するための前方検知部が設けられている。そして、上方検知部からの検知信号によって無人搬送車1の上部に台車3が有ることが検知されている状態で、前方検知部からの検知信号によって前方に別の台車3が存在すること検知した時に、無人搬送車1が自動的に停止されるようになっている。なお、この前方検知部については、上記実施例1の無人搬送車1に設けて、前方に別の台車3が存在すること検知した時に、無人搬送車1が自動的に停止されるようにしても良い。
【0096】
<作用効果>以下、この実施例の作用効果について説明する。
無人搬送車1の停止時や前進時などの通常時には、フック部14が上昇されて、台車3の後部を下方から係止可能な状態となっている。そして、無人搬送車1を後退させることによって、フック部14が下降されて、上記係止状態が解除されることになる。このことは、上記した実施例と同じである。
【0097】
(作用効果6)
この実施例では、上記した無人搬送車1が、上記した台車3の下側に潜り込むものとされた。そして、上記したフック部14が、無人搬送車1に昇降可能に取付けられて、上記した台車3の後部を(昇降動により)下側から係止可能なものとされた。
これにより、無人搬送車1が台車3の下側に潜り込み、台車3の下側に潜り込んだ無人搬送車1は、上部プレート12の傾動によってフック部14を昇降動させることで、台車3の下部を下側から直接または間接的に係止したり、または、係止解除したりして、台車3の連結や切離しを行わせることができる。以って、台車3の下側に潜り込んで移動させるのに適した構造とすることができる。
また、無人搬送車1を台車3の下側に潜り込ませるようにすることにより、無人搬送車1を小型化し、自動連結のための構造(上記した自動連結用ガイド機構)を簡略化すると共に、無人搬送車1と台車3とを連結した時の平面形状(連結形状)を小さくすることができる。
【0098】
(作用効果7)
上記したフック部14の上端部に、切離した上記台車3の連れ運びを防止可能な連れ運び防止部材71を取付けた。
これにより、台車3の切離し後に、無人搬送車1が前進して台車3の前側へ抜け出る際に、フック部14が上昇動されて上端部が台車3の下部に当ったり引掛ったりするようなことが生じても、連れ運び防止部材71によって、台車3が連れ運びされるのを防止することができる。以って、台車3をスムーズ且つ確実に切離すことができる。この場合には、無人搬送車1との当接部分でボールローラが転動することによって台車3の連れ運びを防止するようにしている。
【0099】
(作用効果8)
上記した無人搬送車1の前部に、連結のために走行経路上に待機している台車3との間の位置ズレを、台車3を押し動かすことで修正可能な位置修正部材81を取付けた。
これにより、無人搬送車1の走行経路の上に置かれた台車3と走行中の無人搬送車1との間に多少の位置ズレが有ったとしても、
図13〜
図15に順に示すように、無人搬送車1が台車3の下側に潜り込む前に、位置修正部材81が台車3を直接押し動かすことで、両者間の位置ズレが強制的に修正されることになる。以って、無人搬送車1を台車3の下部にうまく潜り込ませることができるようになる。
その結果、無人搬送車1の走行精度や、台車3の待機位置精度が低くても、無人搬送車1を支障なく台車3の下側に潜り込ませて確実に自動連結させることができる。また、無人搬送車1に自動連結のための特別な位置制御などを行わせることなく、無人搬送車1を単純に直進させるだけで、自動連結のための位置修正を機械的に行わせることができる。
【0100】
(作用効果9)
上記した無人搬送車1の前部に、後退方向の一方にのみ上記した台車3の前部を係止可能な一方向係止機構91を取付けた。
これにより、無人搬送車1が台車3の下部へ潜り込んで行く際に、一方向係止機構91が台車3に引っ掛ることなく台車3の前部を越えて、台車3の前部に係止できるようにすることができる。
また、無人搬送車1の前進時には、一方向係止機構91とフック部14とによって、台車3を前後から挟んだ状態で安定して台車3を移動させることができる。よって、例えば、フック部14に押された台車3が惰性により勝手に無人搬送車1から(前進方向へ)離れて行ってしまうような不具合や、坂道で台車3が無人搬送車1よりも先に転がり落ちて行ってしまうような不具合などの発生を防止することができる。
【0101】
(作用効果10)
上記した無人搬送車1の上部と上記した台車3の下部との間に、上記した台車3の下部へ潜り込んでいる無人搬送車1を案内するガイド部101を設けた。
これにより、無人搬送車1が台車3の下部へ潜り込みながら進んで行く際中に、ガイド部101によって、両者の位置関係を適宜修正させるようにすることができ、両者を適正な位置関係を保持して連結させることができる。このガイド部101は、無人搬送車1の幅中心線と、台車3の幅中心線とがズレた状態で潜り込みが開始されたような場合などに特に有効である。
【0102】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。