特許第5940151号(P5940151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940151
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20160616BHJP
   A61F 13/56 20060101ALI20160616BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   A41B13/02 H
   A41B13/02 T
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-518500(P2014-518500)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公表番号】特表2014-518132(P2014-518132A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】SE2012050742
(87)【国際公開番号】WO2013006130
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】201110189269.5
(32)【優先日】2011年7月1日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・リュンベルク
(72)【発明者】
【氏名】ケネス・ストランネマルム
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05971970(US,A)
【文献】 特開2007−175302(JP,A)
【文献】 特開2005−046225(JP,A)
【文献】 特表2007−511326(JP,A)
【文献】 特表2008−538984(JP,A)
【文献】 特開平11−019129(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0157028(US,A1)
【文献】 特開平03−136652(JP,A)
【文献】 特表2001−513670(JP,A)
【文献】 特表2008−521458(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/43672(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/00
A61F 13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性パッド、及び着用者のウエストの周囲に配置されるように構成され、前記吸収性パッドが着脱可能に取り付けられる別個のベルトを備える吸収性物品であって、前記パッドが液体透過性表面シート、液体不透過性裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間の吸収性コアを有するシャーシを備え、前記吸収性パッドが前部分、後部分、及び前記前部分と前記後部分との間の長手方向に沿った股部分に区分され、前記吸収性パッドが、該パッドの前記前部分及び前記後部分の各コーナに設けられた取付装置を使用して着用者から離れるように配向された前記ベルトの表面にそれぞれ該吸収性パッドの長手方向端部で着脱可能に取り付けられ、前記取付装置がフック及びループ連結の形態である、吸収性物品において、
前記前及び後の部分の少なくとも1つに長手方向中心線の両側に対称に配置され前記取付装置の間で前記パッドの横方向に延びるウエストゴムが設けられ、前記ウエストゴムが前記前及び後の部分の少なくとも1つの前記長手方向端部に設けられ、前記表面シート及び/または裏面シートがひだ状になる収縮した状態と前記表面シート及び/または裏面シートのひだが完全に広げられた完全に伸長された状態の間で可動であり、前記ウエストゴムが前記完全に伸長された状態にある場合の前記ウエストゴムと前記吸収性パッドとの間のせん断力が2Nから7Nの範囲内であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記ウエストゴムが完全に伸長された状態にある場合の前記ウエストゴムと前記吸収性パッドとの間のせん断力が2.7Nから7Nの範囲内である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウエストゴムが完全に伸長された状態にある場合の前記ウエストゴムと前記吸収性パッドとの間のせん断力が3.6Nから7Nの範囲内である、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記取付装置が、フック及びループ連結の形態であり、前記パッドの前記コーナ上に設けられたフック要素及び前記ベルト上のループ要素によって形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記取付装置が、フック及びループ連結の形態であり、前記パッドの前記コーナ上に設けられたループ要素及び前記ベルト上のフック要素によって形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ベルトが少なくとも2つの層によって形成された積層ベルトであり、前記ベルトの最外層が、前記ループ要素を提供する不織布層を構成し、前記最内層が、前記外層を支持する支持層を形成している、請求項4に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記ベルトの前記最外層がカード系の不織布層である、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記最内層がスパンボンドの支持層である、請求項6または7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記フック要素が成形フックである、請求項4から8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記ウエストゴムが前記吸収性パッドと一体化されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記ウエストゴムが前記パッドに前記パッドの縁部に設けられた前記取付装置で取り付けられている別個の要素である、請求項1から9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性パッド及び別個のベルトを有する吸収性物品に関し、詳細には、パッドのウエスト部分に設けられたウエストゴム(waist elastics)を有する吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、おむつ、パンツ型おむつ、または失禁保護製品の形態の吸収性物品は、一般に、血液、尿、汗、及び大便等身体浸出物を吸収するために乳児及び失禁症の大人に使用されている。こうした吸収性物品の一部には、物品の着脱を容易にするために、着用者のウエストの周りに配置されるベルトが設けられる。
【0003】
2種類のベルトがある。1つのタイプのベルトは、パッドと一体であり、廃棄物品と共に廃棄される。例えば、特許文献1を参照されたい。ベルトは、パッドに永久的に取り付けられた完全なベルトでもよい。あるいは、ベルトは、パッドのウエスト部分の両側から横方向に延びる2つの半分の形態でもよい。
【0004】
他のタイプのベルトは、パッドに着脱可能に取り付けられた別個のベルトに関連し、例えば、特許文献2〜特許文献6を参照されたい。ベルトの端部には、ベルトが着用者のウエストの周りに配置された場合に、互いに取り付けられる取付要素が設けられる。物品を着用者が着用するために、パッドの端部の1つがベルトに着脱可能に取り付けられる(ベルトがパッドと一体である場合は、このステップが省略される)。次いで、パッドを着用者の脚の間に通過させる。最後に、パッドの他方の自由端部がベルトに着脱可能に取り付けられる。ベルトの2つの端部の間の取り付け、並びにベルトとパッドとの間の取り付けは、一般に、当業者に周知のフック及びループ連結(hook & loop connections)によって得られる。任意選択で、接着結合(adhesive bonding)等他の締結手段を使用することもできる。再使用可能な別個のベルトの提供も材料の節約に有利である。
【0005】
しかし、上記の物品は、パッドのウエスト部分にゴムがなく、平坦である。パッドをベルトに取り付ける場合、特許文献7等では、取付面積が小さいために、パッドは横方向にオフセットされて不正確に位置付けられる傾向がある。
【0006】
このことを考慮して、一部のベルトには、パッドを取り付けるべき場所を示す取付表示が設けられている。一部のパッドには、パッドとベルトの取付位置を調整するための伸縮性ウエスト部分が設けられている。
【0007】
特許文献8には、吸収性パッド及び別個のベルトを有する衣服システムが開示されている。パッドの長手方向端部に、ベルトのループ要素、またはベルト自体に取り付けられるフック要素ストリップが設けられる。更に、快適さを考慮して、ベルトに非取付ゾーンが設けられ、その長さは、快適さ及び正確な位置付けが得られるように、パッドのウエスト部分上の2つのフック要素の間の距離よりも長くないように画定される。特に、特許文献8の図7には、フック取付領域、及び各物品の各端部内のフック取り付け領域の間のウエストゴム15を備える吸収性衣服が示されている。
【0008】
ウエストゴムを提供する目的として、特許文献8には、「正確にシャーシを取り付けるには、ストリップ6’がゾーン7の長さxよりも長い分離yを有するまで、ストリップ6’が互いに離れるように延長させるだけでよい」と記載されている。
【0009】
特許文献8には、ベルトが取り付けを強化するための不織布材料を含むこと、及びウエストゴムからのせん断力と、フック要素とループ要素を分離させるのに必要とされる剥離力との関係だけが記載されている。剥離力が過剰に小さいと、パッドがベルトから望ましくない方法で取り外されて、漏れ及び汚染になる。一方、過剰に強い剥離力は、必要な場合にパッドをベルトから取り外すのが難しくなり、従って、再使用可能なベルトの場合は、ベルトの望ましくない損傷を招く恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1142547号明細書
【特許文献2】国際公開第99/21522号パンフレット
【特許文献3】国際公開第94/26224号パンフレット
【特許文献4】国際公開第94/26222号パンフレット
【特許文献5】国際公開第94/26225号パンフレット
【特許文献6】米国特許第4964960号明細書
【特許文献7】米国特許第4964860号明細書
【特許文献8】米国特許第5971970号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
存在する吸収性物品に関する上記の問題を考慮して、本発明は、パッドとベルトの良好に制御されたフック−ループ連結強度を有する吸収性物品を提供する。
【0012】
より具体的には、本発明は、フック要素がパッドのコーナに配置され、フック要素がベルト上のループ要素に取り付けられる、吸収性パッド及び別個のベルトを備える吸収性物品を提供する。パッドの少なくとも1つの長手方向端部は、フック要素の間のウエストゴムを備える。パッドの第1の端部がベルトに取り付けられ、反力、すなわちウエストゴムからのせん断力がフック及びループ連結に加えられると、前記ウエストゴムが伸長される。反力は、フック−ループ連結の剥離力を増強する働きをして、フックとループが容易に不慮に分離しないようにする。
【0013】
過剰に小さい反力はフック及びループ連結の剥離力を増強することができず、過剰に大きい反力はそれ自体のせん断力によってフック及びループ連結の取り付けを損なう。
【0014】
従って、本発明の目的は、望ましい範囲内のウエストゴムからのせん断力を有する吸収性物品を提供することである。
【0015】
この目的を達成するために、本発明は、吸収性パッド、及び着用者のウエストの周囲に配置されることが意図され、前記吸収性パッドが着脱可能に取り付けられる別個のベルトを備える吸収性物品であって、前記パッドが液体透過性表面シート、液体不透過性裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートとの間の吸収性コアを有するシャーシを備え、前記吸収性パッドが、前部分、後部分、及び前記前部分と後部分との間にパッドの長手方向に沿って設けられた股部分に区分され前記パッドの前記前部分及び前記後部分の各コーナに設けられた取付装置(締結手段)を使用して着用者から離れるように配向された前記ベルトの表面に各長手方向端部で着脱可能に取り付けられることが意図された、吸収性物品において、前記前及び後の部分の少なくとも1つに長手方向中心線の両側に対称に配置され前記取付装置の間で前記パッドの横方向に延びるウエストゴムが設けられ、前記ウエストゴムが前記前及び後の部分の少なくとも1つの前記ウエスト部分に設けられ、前記表面シート及び/または裏面シートがひだ状になる収縮した状態と前記表面シート及び/または裏面シートのひだが完全に広げられた完全に伸長された状態との間で可動であり、前記ゴムが前記完全に伸長された状態にある場合の前記ウエストゴムからの弾性力が2Nから7Nの範囲内であることを特徴とする吸収性物品に関する。
【0016】
特定の一実施形態では、ゴムが完全に伸長された状態にある場合、ウエストゴムからの弾性力は2.7Nから7Nの範囲内であり、より具体的には、3.6Nから7Nの範囲内である。
【0017】
具体的には、パッド上の取付装置は、パッドのコーナ上のフック要素(フック材料)及びベルト上のループ要素(ループ材料)によって形成されたフック及びループ締結手段の形態である。別法として、ループ要素をパッドのコーナ上に、フック要素をベルト上に設けることもできる。
【0018】
パッドのコーナにフック要素が設けられる場合、ベルトは少なくとも2つの層によって形成された積層ベルトでもよく、その最外層は不織布層を構成し、最内層は外層を支持する支持層を形成する。具体的には、ベルトの外層はカード系の不織布層でもよい。更に、ベルトの最内層はスパンボンド支持層であってよい
【0019】
具体的には、フック要素は成形フックである。
【0020】
一実施形態では、ウエストゴムは吸収性パッドに一体化される。
【0021】
一代替実施形態では、ウエストゴムは、パッドの縁部に設けられた前記取付装置でパッドに取り付けられている別個の要素である
【0022】
信頼性及び利便性を向上させるために、本発明の吸収性物品は、物品が着用者に着用された場合に、フック要素とループ要素が分離しないことが保証されるように、十分に強いフック及びループ連結を提供する。
【0023】
次に幾つかの非限定的な実施形態を参照し、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態による吸収性物品の吸収性パッドを示す図である。
図2図1で示した吸収性物品と共に使用される別個のベルトを示す図である。
図3】幾つかの測定値に基づく、ウエストゴムからのせん断力と、フック及びループの連結を分離するのに必要とされる剥離力との関係を示す図である。
図4】フック材料を担体材料に取り付けるステップを示す図である。
図5】ループ材料をフック材料に取り付けるステップを示す図である。
図6a】フック及びループ連結の試料に圧力を加えるステップを示す図である。
図6b図6aの線A−Aに沿って切り取られた断面図である。
図7a】フック及びループ連結の試料にせん断力を垂直に加えるステップを示す図である。
図7b図7aで示したフック及びループ連結の試料を示す側面図である。
図8】フック及びループ連結の試料に剥離力を加えるステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を図面を参照して以下に記載する。本発明の吸収性物品は、図1で示した吸収性パッド2、及びパッドに着脱可能に取り付けられる図2で示した別個のベルト1を備える。ベルト1は、物品を使用するときに、着用者のウエストの周囲に配置される。ベルト1の端部は、従来のフック及びループ連結タイプのフック要素及びループ要素等、取付要素6によって連結されて、パッド2とベルト1の連結及び取り外しが容易になされる。
【0026】
吸収性パッド2は、長手方向X及び横方向Yに沿って拡張される。具体的には、吸収性パッドは、長手方向中心線及び横方向中心線に沿って対称であり、吸収性パッドをベルトにベルトの長手方向端部のどこにでも取り付けられるようになされる。
【0027】
吸収性パッド2は、前部分3、後部分4、及びその間に長手方向Xに沿って設けられた股部分7を備える。前部分3及び後部分4の長手方向端部10、9をベルト1に着脱可能に取り付けることができる。従って、前部分3及び後部分4の長手方向端部の各コーナにベルト1に取り付けるべき取付要素6’、6”が設けられる。
【0028】
図1で示したように、吸収性パッド2は、液体透過性表面シート、液体不透過性裏面シート、及びその間に位置付けられた吸収性コアを備える。
【0029】
吸収性パッド2の表面シートは、パッドが使用されるときに、着用者の身体と接触状態に位置する層である。従って、表面シートは、皮膚に対して軟らかく、非刺激性で、快適であり、体液が妨害されずに表面シートを通過することができなくてはならない。表面シートは、例えば、スパンボンド、メルトブローン、カード式、水流交絡、湿式等不織布材料からなるものでもよい。適した不織布材料は、木材パルプ、あるいは綿繊維等天然繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ビスコース等人造繊維、または天然と人造の繊維の混合からなるものでもよい。更に、表面シートは、結合パターンで互いに結合することができる2つの繊維からなるものでもよい。表面シートに適した材料の更なる例は、多孔質発泡体、有孔プラスチックフィルム等である。
【0030】
吸収性パッドの裏面シートは、パッドが使用されるときに、着用者の身体から最も離れたところに位置する層である。着用者の衣服を汚れから保護するために、裏面シートは液体不透過性であるが、気体透過性(すなわち通気性)であり、空気及び蒸気がパッドの内外に通過することができ、パッド内に生じる可能性がある温かい湿った状態の危険性が低減されるようになされる。通常、裏面シートは、例えば、ポリエチレン、またはポリプロピレンのフィルム等薄いプラスチックフィルム、液体不透過性材料がコーティングされた不織布材料、液体の透過に耐える疎水性不織布材料、またはプラスチックフィルム及び不織布材料を含む積層等液体不透過性材料である。通気性裏面シート材料の例は、多孔質高分子フィルム、スパンボンドとメルトブローン層からの不織布積層、多孔質高分子フィルムと不織布からの積層である。
【0031】
パッドの吸収性コアは、液体及び他の身体浸出物を受け、保持する働きをし、任意の従来の種類のものでもよい。従って、吸収性コアは、通常、吸収性材料を含む。一般に存在する吸収性材料の例は、セルロース系のフラッフパルプ、薄織物層、高吸収性ポリマー(いわゆる超吸収材(superabsorbents))、吸収性発泡材料、吸収性不織布材料等である。セルロース系のフラッフパルプと超吸収材が吸収性本体内に組み合わされるのが一般的である。また、液体を受ける容量、液体を分配する能力、及び貯蔵容量に関して様々な特性を有する様々な材料の層からなる吸収性コアを有することも一般的である。薄い吸収性コアは、例えば、乳児用おむつ及び失禁ガードで一般的であるが、セルロース系のフラッフパルプと超吸収材の圧縮混合または層の構造を含むことが多い。
【0032】
吸収性コアは、身体排泄物の処理を向上させるように設計された1つまたは複数の層を含むことができる。こうした層は、大量の液体を短時間で受け、それを分配するように設計される。層は、いわゆる移動、分配、急増、または獲得層を含むことができ、通常、表面シートと吸収性コアとの間に位置付けられる。
【0033】
表面シート及び裏面シートは、概して、パッドの平面内に同様の延長部を有し、吸収性コアは概して幾らか小さい延長部を有する。表面シート及び裏面シートは、吸収性コアの周囲で互いに接合されて、コアが表面シート及び裏面シートによって形成された囲いの中に包まれるようになされる。吸収性コアは、少なくともパッドの股部分7に配置され、前部分3及び後部分4内に幾らか延びることができる。表面シートと裏面シートを、例えば、超音波溶接、熱溶接、または接着等、当技術分野で通常の任意の手段によって互いに接合することができる。
【0034】
用語「吸収性パッド」は、おむつ、男性または女性用失禁ガード、パンツ型おむつ等からなるグループから選択される物品を指すことを理解されたい。こうしたパッドは、血液、尿、汗、及び大便等身体浸出物の吸収に使用される。
【0035】
具体的には、前部分3及び後部分4の長手方向端部9、10上の取付要素6’、6”は、それぞれ従来のフック及びループ連結タイプのフック要素でもよく、ベルト1にループ要素が設けられる。
【0036】
別法として、ベルト1を不織布材料から形成し、それによって前記ループ材料を形成することができる。従って、ベルト自体が前記ループ要素を提供する。
【0037】
別法として、ベルトは少なくとも2つの層によって形成された積層でもよい。ベルトの着用者に面する層は、「支持層」とも呼ばれ、皮膚に対して軟らかく、非刺激的であり、快適でなければならない。ベルトの衣服に面する層、すなわち最外層は、不織布材料である。最外層自体は、一体型ループ要素として使用され、超音波溶接、熱溶接、接着結合等当技術分野で周知の任意の手段によって支持層に結合される。
【0038】
パッド2のウエスト部分は、ウエスト領域の中心部でフック要素6’、6’または6”、6”の間で延びる「ウエストゴム」とも呼ばれる拡張可能な弾性要素15を備える。ウエストゴム15は、ウエストゴムが弛緩したときに表面シート及び裏面シートがひだ状になるように、縫製、接着、熱溶接等によって吸収性パッドの表面シートと裏面シートを挿入する弾性ワイヤ、コード、ストリップ、糸等でもよい。別法として、ウエストゴムは、伸長された、あるいはネック付きの伸縮性のある非弾性不織布材料でもよく、または弾性層と非弾性層の積層によって形成された弾性積層でもよい。
【0039】
ウエストゴム15は、図1では、表面シートと裏面シートとの間の吸収性パッドの一体部として示されているが、別々に作製され、次いで縫製、熱溶接等当技術分野で周知の手段によって、別個のウエストゴムの2つの端部に設けられた2つの取付要素で、パッドの2つの長手方向端部9、10に取り付けられた細長いウエストゴムでもよい。
【0040】
本発明の特定の実施形態を、フック要素及びループ要素によって設けられたベルトとパッドとの間のフック及びループ連結を参照して、例によって説明する。理解されるように、フック及びループ連結は、単に例示のためであり、本発明を限定しないものとする。実際、フック要素を接着性ストリップと置き換え、対応するループ要素を接着性ストリップに取り付け可能な接着面と置き換えることができる。ベルト上のフック要素とパッド上のループ要素の位置付けを交換することもできる。
【0041】
パッド上のフック要素及びループ要素として使用されるベルト自体を有するフック及びループ連結を参照して、吸収性物品を着用するステップを詳細に記載する。
【0042】
先ず、パッドの第1の端部(例えば、長手方向端部9)がベルトに取り付けられる。
【0043】
具体的には、ウエストゴムは横方向Yに手で幾らか伸長され、次いでフック要素がベルトに取り付けられる。すなわちフック要素がベルトに押し付けられる。しかし、パッドを着用者に取り付ける人は、着用者の身体をあまり強く押し付けないように注意しなければならない。
【0044】
パッドの第1の端部をベルトに取り付ける人は、自分の手をパッドから解放し、伸長されたゴムが収縮し、それによってフック要素に反力が生じ、すなわち各フック要素にせん断力が生じる。この力は、フック及びループ連結の取り付け(剥離力)を強化する。
【0045】
次いで、パッドの第2の端部または自由端部(例えば、長手方向端部10)が着用者の脚の間に通される。このステップを行う場合、取り付けられた第1の端部のフック及びループ連結には、ウエストゴムからのせん断力以外に作用する力が存在しない。
【0046】
このウエストゴムからのせん断力が過剰に小さい場合、フック及びループ連結を取り付ける力が過剰に小さくなり、特に剥離力が加えられると、取り外される危険がある。
【0047】
剥離力は、パッドの自由端部が着用者の脚の間に通されるときに、フック及びループ連結に容易に加えられる。更に、物品が使用される際に、浸出物の吸収によって生じる重量及び着用者の動きもフック要素をループ要素から分離させる傾向がある。
【0048】
一方、ウエストゴムが過剰に強く、過剰に伸長された場合、フック及びループ連結への反力が過剰に大きく、ウエストゴム自体によって生じる反力によって取り外しが起こる。
【0049】
最後に、パッドの第2の端部(自由端部)がベルトに取り付けられる。
【0050】
パッドの第2の端部も各コーナのフック要素、及び間のウエストゴムを備える。この端部の取り付けは、第1の端部がベルトに取り付けられる場合と同様に行われ、すなわち、フック要素がループ材料に取り付けられる前に、ウエストゴムが手で伸長される。第1の端部と同様に、フック及びループ連結に作用するウエストゴムによって生じる反力がこうしたフック及びループ連結を強化する。
【0051】
具体的には、必ずしも必要ではないが、フック材料は、Velcro(登録商標)からの「Moulded Hook Faster」のタイプ(http://www.fasteningsystems.com/ultra_mate_hth_hook.htmlを参照)でもよい。このフックは、「ヤシ形状」を有する(http://www.velcro.com/index.php?page=business-products-all-ultra-mateを参照)。フックの密度は140±14hooks/cmである。供給業者はVelcro(登録商標)であり、物品コードは「ULTRA−MATE HTH847(登録商標)」である。
【0052】
ベルト材料(ループ材料)は、ループ層及び支持層を含む積層でもよい。ループ層、フック及びループ連結の観点から重要な層は、この場合ベルトの外側に配向された表面を構成する。
【0053】
例えば、ループ層は、30g/mのカード系の不織布(2.2dtex、100%PP繊維)であり、カード系ループ層がTrie Tracパターンで結合される。
【0054】
着用者に配向され向かって配向されるのは、例えば、50g/mの表面重量を有するスパンボンド、100%PP繊維で作製された支持層である。積層を構成する2つの層は、この場合、約4mmの点間で超音波点結合される。積層の供給業者はFiberweb Tenotexである。
【0055】
ウエストゴムからのせん断力とフック及びループ連結の剥離力の関係を得るための試験方法を図4図8を参照して詳細に記載する。
【0056】
図4で示したように、第1のステップで、一片のフック材料21が担体材料22に取り付けられる。
【0057】
担体材料22は、十分に強い、PEフィルム、不織布、薄織物等でもよい。フック材料21は、フック材料のロールから25×20mmの寸法を有する一片を切断することによって用意される。ただし寸法25mmは機械方向MDにおいてである。次いで、フック材料21が担体材料22に、接着によって、両面テープ(Avery Dennison FT324)等を使用することによって、フック材料21の機械方向が図4で示した方向に向けられるように、フック材料21が担体材料22上で方向付けられるように取り付けられる。
【0058】
次いで、ループ材料23が、ループ材料のロールからの切断によって用意される。ループ材料23は、ループ材料23がループ材料23の横方向及び機械方向(CD及びMD)が図5で示した方向に向けられるように、フック材料21上に配置される。
【0059】
従って、フック及びループ連結の試料が完成する。
【0060】
次のステップで、図6で示したように、フック及びループ連結の試料に、95mmの径φ及び50mmの長さwを有する2kgの円筒形分銅24によって圧力が加えられる。分銅24の表面はショアーA80の硬さを有するゴムで作製される。
【0061】
円筒形分銅24は、フック及びループ連結上で回転速度300mm/minで前方向に1回転され、次いで試料上で後方向に1回転されて、しっかりしたフック及びループ連結が得られる。
【0062】
図6bは、図6aの線A−Aに沿って切り取られた断面図である。図6bで分かるように、フック材料21(幅20mm)は一定の高さHを有する。これは、円筒形分銅24がフック材料21上で回転すると、円筒形分銅の全重量(2kg)が幅20mmのフック材料21上に集中することを指す。
【0063】
上記の方法で、様々なウエストゴムの力を示す様々な試料を用意することができる。
【0064】
図7a及び図7bで示したように、次のステップで、せん断力が上記のように用意されたフック及びループ連結の試料上に加えられる。
【0065】
せん断力は、2つのクランプによってフック及びループ連結の試料に垂直に加えられる。第1のクランプ25は担体材料22に上から連結され、第2のクランプ26はループ材料23に下から連結される。分銅27が、第2のクランプ26に60秒間に渡り垂直に使用される。様々な分銅が様々なウエストゴムの力を示す様々な試料に使用される。ここでは、試料は5つのグループで用意される。各グループの試料に垂直に使用される分銅は、ここでは、それぞれ0g、200g、300g、600g、及び1000gである。
【0066】
最後に、フック及びループ連結の試料が一定のせん断力を受けている間に、試料に剥離力が加えられる。次いで、フック要素とループ材料を分離するのに必要とされる力F(試料の剥離力)が測定され、記録される。剥離力試験では、Instron,Lloyd引張り試験機が使用される。クロスヘッド速度は300mm/minである。
【0067】
前記5つのグループの得られた剥離力がそれぞれ表1〜表5に記載されている。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
上記で得られたデータに基づいて、本発明者らは、ウエストゴムからのせん断力とフック及びループ連結からの剥離力の関係を要約し、それが図3に示されている。図3から分かるように、過剰に大きいせん断力は、ウエストゴムの力自体によってフック及びループ連結が損なわれる危険があることを示す。本発明によれば、せん断力は、ウエストゴムが完全に伸長された場合に、2Nから7Nの範囲内、具体的には、3.6Nから7N等、2.7Nから7Nの範囲内に制限される。この範囲のせん断力では、フック要素がループ材料から不慮に分離したり、またはパッドをベルトから分離するときにベルトを損傷したりしない。
【0074】
本発明によれば、せん断力の制御は、吸収性パッドの製造中に行われる。ウエストゴムを形成するときに、弾性ワイヤ、コード、糸、あるいはストリップ、または積層ゴムが伸長されて、約2Nから7Nの引張力が得られ、次いで平坦な表面シート及び/または裏面シートに前記2Nから7Nの伸長された状態で結合されて、完成したウエストゴム15が形成される。ウエストゴム15が弛緩されると、表面シート及び/または裏面シートはひだ状形状をとる。パッドのウエスト部分を引っ張り、表面シート及び/または裏面シートを再び広げて平坦にする、すなわちウエストゴムが更に伸長されないようにすると、ウエストゴムからのせん断力は2Nから7Nの範囲内である。
【0075】
本発明の特定の実施形態を上述したが、理解されるように、これらは、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を決して限定しないものである。
【符号の説明】
【0076】
1 ベルト
2 吸収性パッド
3 前部分
4 後部分
6、6’、6” 取付要素
7 股部分
9、10 長手方向の端部
15 ウエストゴム
21 フック材料
22 担体材料
23 ループ材料
24 分銅
25 第1のクランプ
26 第2のクランプ
27 分銅
図1
図2
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図3