(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940215
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】粉末プラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/08 20060101AFI20160616BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
B01J19/08 K
H05H1/24
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-520081(P2015-520081)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公表番号】特表2015-527188(P2015-527188A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】KR2013011273
(87)【国際公開番号】WO2014092395
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0142764
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514036645
【氏名又は名称】コリア ベーシック サイエンス インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソク ドンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヨンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヒョンヨン
【審査官】
関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−032940(JP,A)
【文献】
特開2011−098313(JP,A)
【文献】
特開2011−249014(JP,A)
【文献】
特開昭58−221203(JP,A)
【文献】
特開2005−135736(JP,A)
【文献】
特開平04−108534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/08
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形面放電プラズマモジュールの粉末プラズマ処理装置であって、
前記円筒形面放電プラズマモジュールの外面は基板型電極層であり、
前記基板型電極層の内面側に絶縁層があり、
前記絶縁層上に複数のバー形状のプラズマ発生電極が位置し、
前記円筒形面放電プラズマモジュールは回転し、
前記プラズマ発生電極と前記基板型電極層に交流電圧が印加されて前記プラズマ発生電極周囲にプラズマが発生され、
プラズマ処理のための粉末は、前記円筒形面放電プラズマモジュール内で前記プラズマにより処理され、
前記円筒形面放電プラズマモジュールが水平に載置された状態で前記円筒形面放電プラズマモジュールを回転させるように構成される駆動部を含み、
前記プラズマ発生電極は、前記絶縁層の上で、前記面放電プラズマモジュールの円周方向に沿って間隔をなして複数配列され、前記バー形状が面放電プラズマモジュールの長手方向に沿って延長されている、粉末プラズマ処理装置。
【請求項2】
前記基板型電極層には、高電圧が印加され、
前記プラズマ発生電極が接地電極である、請求項1に記載の粉末プラズマ処理装置。
【請求項3】
前記プラズマ発生電極には、高電圧が印加され、
前記基板型電極層が接地電極である、請求項1に記載の粉末プラズマ処理装置。
【請求項4】
前記駆動部は回転速度制御部を含み、
前記回転速度制御部が、前記駆動部が前記円筒形面放電プラズマモジュールを回転させる速度を制御するように構成される、請求項1に記載の粉末プラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末プラズマ処理装置に関し、特に円筒形面放電モジュールを用いて粉末を均一に処理する粉末プラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ(plasma)とはイオン化されたガスを意味し、原子や分子からなるガスにエネルギーを用いて励起させると、電子、イオン、分解されたガス、及び光子(photon)などからなるプラズマが形成される。このようなプラズマは被処理物(例えば、基板など)の表面処理に広く用いられる。
【0003】
プラズマを生成する技術として、パルスコロナ放電(pulsed corona discharge)と誘電膜放電が公開されている。パルスコロナ放電は、高電圧のパルス電源を利用してプラズマを生成する技術であり、誘電膜放電は2つの電極のうちの少なくとも1つに誘電体を形なして、2つの電極に数十Hz〜数MHzの周波数を有した電源を印加してプラズマを生成する技術である。
【0004】
誘電膜放電技術としては、代表的にDBD(Dielectric Barrier Discharge)放電技術が用いられる。DBD放電技術を利用したプラズマ処理装置は、平板電極との間に被処理対象物を置き、不活性気体を使用して誘電膜放電を起こすと、プラズマが発生され、プラズマを被処理対象物の表面に接触させることで、被処理対象物の表面を処理するものである。
【0005】
しかし、このようなプラズマ処理装置は、放電が起きる平板電極との間に処理対象物が配置されるので、基板のような板状部材である場合は片面または両面を処理するのに特に困難のないものの、被処理対象物が粉末である場合は、被処理対象物の全体面積を処理することが難しくなる。したがって、被処理対象物が粉末である場合はその被処理対象物を処理するためのプラズマ処理装置が必要となる。
【0006】
被処理対象物が粉末である場合、その被処理対象物を処理するためのプラズマ処理装置に対する従来技術としては、本発明者による大韓民国特許出願公開公報第10−2012−0078234の管型プラズマ表面処理装置がある。この特許は、プラズマを用いて粉末の表面処理が可能であるが、粉末の均一な処理が困難であった。
【0007】
それで、本発明者は、従来技術の問題点を認識して研究を行った結果、次のような構成を取り入れることで、従来のプラズマ処理装置の問題点を解決し、さらに被処理対象物がプラズマとの接触時間を制御し、均一な粉末処理に効率的な方法を提供することができる、粉末プラズマ処理装置を開発することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国特許出願公開公報第10−2012−0078234号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、円筒形面放電プラズマモジュールの粉末プラズマ処理装置であって、前記円筒形面放電プラズマモジュールの外面は基板型電極層であり、前記基板型電極層の内面側に絶縁層があり、前記絶縁層上にプラズマ発生電極が位置し、前記円筒形面放電プラズマモジュールは回転し、前記プラズマ発生電極と前記基板型電極に交流電圧が印加されて前記プラズマ発生電極周囲にプラズマが発生され、プラズマ処理のための粉末が前記円筒形面放電プラズマモジュール内で前記プラズマにより処理される、粉末プラズマ処理装置が提供される。
【0010】
一例として、前記プラズマ発生電極は、前記絶縁層の上において、前記面放電プラズマモジュールの円周方向に沿って間隔をなして複数配列され、前記面放電プラズマモジュールの長手方向に沿って延長されている。
【0011】
他の例として、前記プラズマ発生電極は、前記絶縁層の上において、前記面放電プラズマモジュールの長手方向に沿って間隔をなして複数配列され、前記面放電プラズマモジュールの円周方向に沿って延長されている。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記基板型電極層には高電圧が印加され、前記プラズマ発生電極は接地電極である。
【0013】
本発明の他の実施形態において、前記プラズマ発生電極には高電圧が印加され、前記基板型電極層は接地電極である。
【0014】
前記装置は駆動部を含む。前記駆動部は、前記円筒形面放電プラズマモジュールが水平に載置された状態で前記円筒形面放電プラズマモジュールを回転させるように構成される。円筒形面放電プラズマモジュールを回転させるための特定方式は本発明の特徴ではなく、円筒形面放電プラズマモジュールを回転させることができる、多様な方式が本発明に用いられるものと認識すべきである。
【0015】
前記駆動部は回転速度制御部を含む。前記回転速度制御部は、前記駆動部が前記円筒形面放電プラズマモジュールの回転速度が制御できるように構成される。駆動部が円筒形面放電プラズマモジュールの回転速度を制御することができる多様な方式が本発明に用いられるものと認識すべきである。
【0016】
本発明による粉末プラズマ処理装置は、粉末が均一に処理されることができ、かつ粉末がプラズマに接触する時間を制御し、効率的な粉末処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による粉末プラズマ処理装置の面放電プラズマモジュールを示す斜視図である。
【
図3】本発明による粉末プラズマ処理装置の接地電極が配列される形態の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係る粉末プラズマ処理装置について詳しく説明する。本発明は、多様な変更が加えられ、様々な実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、本明細書に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる、すべての変更、均等物、または代替物を含むものと理解すべきである。各図面を説明において、構造物の寸法は本発明の明確性を期するために実際より拡大して示すものである。
【0019】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いられるが、前記構成要素は前記用語により限定されてはいけない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ用いられる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱せずに、第1構成要素は第2構成要素と命名され、同様に、第2構成要素も第1構成要素と命名される。
【0020】
本出願で使用する用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであって、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は文脈上明白に違わない限り複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在していることを指定するものであって、1つ又はその以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又は、これらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解すべきである。
【0021】
その他に定義しない限り、技術的かつ科学的な用語を含み、ここに用いられるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解しているものと同一の意味を有する。一般的に用いられる、かつ事前に定義されるものと同一の用語は、関連技術の文脈上に有する意味と同一意味を有するものと解釈すべきで、本出願に明白に定義しない限り、理想的かつ過度に形式的な意味として解釈してはいけない。
【0022】
図1は、本発明による粉末プラズマ処理装置の面放電プラズマモジュールを示す斜視図であり、
図2は、
図1の側面図である。
【0023】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る粉末プラズマ処理装置は、円筒状の面放電プラズマモジュール110が用いられる。面放電プラズマモジュール110は、基板型電極層111、絶縁層112、プラズマ発生電極113を含む。
【0024】
基板型電極層111は、円筒状の面放電プラズマモジュール110の外面を形成する。
【0025】
絶縁層112は基板型電極層111とプラズマ発生電極113とを互いに絶縁し、絶縁層112は基板型電極層111の内面側に形成される。一例として、絶縁層112の素材としては、MgO、MgF
2、LiF、CaF
2、アルミナ、ガラス、セラミックス、酸化マグネシウムなどが用いられる。
【0026】
プラズマ発生電極113は絶縁層112上に複数配列され、プラズマ発生電極113の周辺にプラズマが発生される。例えば、プラズマ発生電極113はバー状とすることができ、絶縁層112で突き出されることができる。プラズマ発生電極113の配列された形態は、一例として、円筒状の面放電プラズマモジュール110の円周方向に沿って間隔をなして複数配列される形態とすることができ、プラズマ発生電極113は面放電プラズマモジュール110の長手方向に沿って延長された形態とすることができる。他の例として、
図3を参照すると、プラズマ発生電極113は円筒状の面放電プラズマモジュール110の長手方向に沿って間隔をなして複数配列される形態とすることができ、プラズマ発生電極113は面放電プラズマモジュール110の円周方向に沿って延長された形態とすることができる。
【0027】
本発明の一実施形態において、基板型電極層111には高電圧が印加され、プラズマ発生電極113は接地電極とすることができる。
【0028】
本発明の他の実施形態において、基板型電極層111が接地電極であり、プラズマ発生電極113には高電圧が印加される。
【0029】
このような面放電プラズマモジュール110は、プラズマ電源装置120から複数のプラズマ発生電極113及び基板型電極層111に交流電圧が印加され、プラズマ反応ガスが注入されることで、複数のプラズマ発生電極113周囲にプラズマが発生される。プラズマ反応ガスは、例えば、O
2、N
2Oなど酸素成分を含むガス、CF
4、SF
6などのフッ素成分を含むガス、Cl
2、BCl
3などの塩素成分を含むガス、Ar、N
2などの不活性ガスを単独、または混合して用いることができる。
【0030】
また、面放電プラズマモジュール110は長手方向の両側面が開口され、前記開口を介して粉末の供給及び引出することができる。そして面放電プラズマモジュール110は回転しながらプラズマによる粉末の表面処理が行える。
【0031】
本発明は面放電プラズマモジュール110の回転のための駆動部を含む。図示しないが、駆動部は面放電プラズマモジュール110を回転させることができる、例えば駆動モータなどの動力手段が面放電プラズマモジュール110に形態とすることができる。駆動部は面放電プラズマモジュール110を回転させることができる形態であれば十分であり、これに特に制限はない。
【0032】
前記駆動部は回転速度制御部を含む。回転速度制御部は、駆動部が円筒形の面放電プラズマモジュール110を回転させる速度が制御できるように構成される。図示しないが、例えば回転速度制御部はコントロールボックス形態とすることができ、PLC(programmable logic controller)形態とすることができる。回転速度制御部の構成に特別な制限はない。面放電プラズマモジュール110の回転速度を調節することで、粉末がプラズマに接触される回数または時間が調節される。
【0033】
以下に、本発明による粉末プラズマ処理装置を用いて粉末が処理される過程を簡略に説明する。
【0034】
粉末が面放電プラズマモジュール110の内部に投入される。
【0035】
プラズマ電源装置120から基板型電極層111及び複数のプラズマ発生電極113に交流電圧を印加し、反応ガスを注入してプラズマ発生電極113の周囲にプラズマを発生する。
【0036】
駆動部により面放電プラズマモジュール110が回転される。
【0037】
面放電プラズマモジュール110が回転すると、面放電プラズマモジュール110内部の粉末は回転する面放電プラズマモジュール110の回転方向に沿って昇降したのち落下される。この過程が面放電プラズマモジュール110の回転中に繰り返される。この場合に粉末はプラズマに接触される。
【0038】
必要に応じて、面放電プラズマモジュール110の回転速度が調節される。
【0039】
本発明の実施形態に係る粉末プラズマ処理装置を利用することで、面放電プラズマモジュール110が円筒形に構成され、円筒形面放電プラズマモジュール110を回転駆動しながら粉末処理が行われ、粉末が均一に処理されることができる。
【0040】
また円筒形面放電プラズマモジュールの回転速度を調節することで、粉末がプラズマに接触する時間を制御することができる。
【符号の説明】
【0041】
110 面放電プラズマモジュール
111 基板型電極層
112 絶縁層
113 プラズマ発生電極
120 プラズマ電源装置