(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940218
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ワーク部分を取り出す方法及び工作機械
(51)【国際特許分類】
B21D 45/00 20060101AFI20160616BHJP
B21D 45/04 20060101ALI20160616BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20160616BHJP
B21D 28/04 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
B21D45/00 E
B21D45/00 A
B21D45/04 H
B21D43/00 W
B21D43/00 K
B21D28/04 Z
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-525747(P2015-525747)
(86)(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公表番号】特表2015-524355(P2015-524355A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】EP2012065326
(87)【国際公開番号】WO2014023323
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン ベロン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ベヒトルト
【審査官】
細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−12075(JP,A)
【文献】
特開2002−263981(JP,A)
【文献】
特開2000−351034(JP,A)
【文献】
特開平9−220629(JP,A)
【文献】
特開平11−10246(JP,A)
【文献】
特開平6−71363(JP,A)
【文献】
米国特許第5884542(US,A)
【文献】
特開平9−30649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00−28/04
B21D 28/36
B21D 43/00
B21D 45/00−45/08
B23K 26/00−26/70
B26D 5/00
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(11)のワーク台(16)上にある板状のワーク(12)における分離加工により形成されたワーク部分(36)をワーク残部(37)から取り出す方法であって、
ワーク(12)が、加工のために保持装置(17)により固定され、ワーク(12)のX−Y平面内で少なくともX方向又はY方向に沿って移動可能であり、
ワーク残部(37)からワーク部分(36)を分離する前又は後に、グリッパ装置(27)を有するハンドリング装置(26)をワーク部分(36)に対して取り出し位置(32)にて位置決めし、
前記グリッパ装置(27)を作動させ、ワーク部分(36)を前記ワーク台(16)上にある位置にて把持する、
ワーク部分(36)を取り出す方法において、
アンロード監視装置(44)を用いてワーク部分(36)がワーク残部(37)に引っ掛かっていることを確認すると、自動化されたワーク取り出しのための少なくとも1つの解除ストラテジを開始し、前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の互いに相対的な、X−Y平面内の少なくとも1つの運動成分を有する少なくとも1つの所定の移動区間(48,49,53)での少なくとも1つの移動を実行することを特徴とする、ワーク部分を取り出す方法。
【請求項2】
ワーク残部(37)とのワーク部分(36)の引っ掛かりを、ワーク残部(37)からワーク部分(36)を持ち上げる際に、力センサによってか、又は前記グリッパ装置(27)からワーク部分(36)が解離することによって検出する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記グリッパ装置(27)からのワーク部分(36)の解離を前記アンロード監視装置(44)により検出する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
引っ掛かりを光学式に前記アンロード監視装置(44)によりワーク部分(36)を俯瞰して検出する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の移動を、始点(47)で開始し、該始点(47)上に位置する終点(51)で終了する少なくとも1つの移動区間(48,49,53)により構成するか、又は
少なくとも1つの移動区間(48,49,53)での前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の移動を、始点(47)で開始し、該始点(47)から離れて位置する終点(51)で終了する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
始点(47)から離れて位置する終点(51)は、ワーク部分(36)とワーク残部(37)との間の分断部(39)の幅より小さい間隔を有する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の移動を、軌道が円形、楕円形又は円弧状に延びる始点(47)と終点(51)との間の少なくとも1つの移動区間(48,49,53)で実行するか、又は
前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の移動を、始点(47)から少なくとも1つの中間点(52)に至る少なくとも1つの第1の移動区間(48)と、該少なくとも1つの中間点(52)から終点(51)に至る少なくとも1つの別の移動区間(48,49,53)とで実行するか、又は
少なくとも1つの第1の移動区間(48)をワーク(12)のX−Y平面内で直線又は円弧に沿って実行し、少なくとも第2の移動区間(48,49,53)を円弧又は直線に沿って実行するか、又は
少なくとも1つの第1の移動区間(48)をワーク(12)のX方向若しくはY方向又はX−Y平面内で直線に沿って実行し、少なくとも1つの第2の移動区間(49,53)を前記第1の移動区間(48)とは逆向きに実行するか、又は
少なくとも1つの第1の移動区間(48)を、少なくとも1つの第2の移動区間(49,53)とは異なる円軌道により実行する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第1の移動区間(48)をらせん状の軌道に沿って実行する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の移動は、少なくとも2つの中間点(52)を有する少なくとも3つの移動区間(48,49,53)を有し、該移動区間(48,49,53)のうちの1つを円弧として実行する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記移動区間(48,49,53)のうちの1つを閉じた円弧として実行する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の少なくとも1つの移動に、Z軸の移動方向に沿った運動成分を少なくとも部分的に重ねる、請求項1記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの移動区間(48,49,53)での移動は、脈動状の往復運動又は脈動状の回転運動を有するか、又は少なくとも1つの移動区間(48,49,53)での移動に、脈動状の往復運動又は脈動状の回転運動を重ねる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの移動区間(48,49,53)での前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方の移動に、前記ワーク台(16)の少なくとも1つの構成要素の上昇運動又は下降運動を重ねる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
自動化されたワーク取り出しのための解除ストラテジの実行中、引っ掛かりの解消を前記アンロード監視装置(44)により監視し、ワーク部分(36)がワーク残部(37)から解放されたことを確認すると、解除ストラテジを終了する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
解除ストラテジの終了後、ワーク残部(37)内のワーク部分(36)の位置を前記アンロード監視装置(44)により検査し、さらに引っ掛かりがあれば、少なくとも1回解除ストラテジを繰り返し、引っ掛かりが続くときは、前記工作機械(11)を停止し、引っ掛かりが解消されたときは、アンロード工程を続ける、請求項1記載の方法。
【請求項16】
板状のワーク(12)を分離加工する工作機械であって、
板状のワーク(12)を収容するワーク台(16)と、
ワーク(12)をワーク部分(36)とワーク残部(37)とに分離する定置の加工装置(14,15)と、
ワーク(12)を固定し、前記ワーク台(16)上にあるワーク(12)のX−Y平面内で少なくともX方向又はY方向で移動可能とする保持装置(17)と、
ワーク部分(36)をアンロードするグリッパ装置(27)を有するハンドリング装置(26)と、
を備える工作機械において、
前記保持装置(17)は、ワーク残部(37)及びワーク部分(36)とともに、ワーク部分(36)をワーク残部(37)から前記グリッパ装置(27)により取り出すことが可能な取り出し位置(32)に配置可能であり、かつ
前記取り出し位置(32)で、前記保持装置(17)及び前記グリッパ装置(27)の一方又は両方は、ワーク部分(36)及びワーク残部(37)の一方又は両方の引っ掛かり時の解除ストラテジのために、X−Y平面内の少なくとも1つの運動成分を有する少なくとも1つの移動区間(48,49,53)に沿った移動により移動可能である、
ことを特徴とする工作機械。
【請求項17】
金属薄板が分離加工される、請求項16記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械のワーク台上にある板状のワークにおける分離加工により形成されたワーク部分をワーク残部から取り出す方法に関する。さらに本発明は、板状のワークを置くワーク台と、ワークをワーク部分とワーク残部とに分離する定置の加工装置とを備える工作機械に関する。
【0002】
板状のワークの分離加工(trennendes Bearbeiten)時、特にパンチング又は(レーザ)切断時、ワーク部分は、ワーク残部からの打ち抜き又は切り抜きより形成される。その際、一般に幅5mm未満の分断部が生じる。このワーク部分をアンロードするために、ハンドリング装置が使用される。ハンドリング装置は、ワーク部分を把持し、ワーク残部から持ち上げ、そして除去する。極めて小さな分断部に基づいて、及び場合によってはワーク残部が、打ち抜かれたあるいは切り抜かれたワーク部分とともにワーク台上を取り出し位置に移動されることにより、ワーク部分がワーク残部に噛んだり、引っ掛かったりしてしまう場合がある。このようなワーク部分の自動化された取り出しの際には、アンロード監視装置を介して、取り出したいワーク部分がワーク残部に引っ掛かっているか否かの検査が実施される。引っ掛かっているならば、ハンドリング装置が下降され、ワーク部分が把持され、次に持ち上げられることにより、取り出し試行が開始される。引っ掛かりが解消しなければ、自動化された取り出しプロセスの中断がなされ、工作機械は停止される。
【0003】
欧州特許出願公開第2177293号明細書において提案されるワーク残部からワーク部分を自動的に取り出す方法では、取り出したいワーク部分の少なくとも1つの縁部領域をワーク残部より上の取り出し位置に移行させる少なくとも1つの高さ調節可能な台要素を用いて、ワーク部分を下側から持ち上げている。その際、真空式のサッカとして形成されるハンドリング装置のサクションフレームが、ワーク上に載置され、サクションフレームにより吸着している。ワークは、ダイ及びサクションフレームと一緒に上方に移動するので、ワーク部分は、ワーク残部より上の平面内に配置されている。このような取り出し位置で、ワーク部分は、サクションフレームを介して持ち上げられ、アンロード領域に下ろされる。
【0004】
本発明の根底にある課題は、ワーク残部からのワーク部分の信頼性の高い取り出しプロセスを簡単に可能にするワーク部分を取り出す方法及び工作機械を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明に係る方法であって、アンロード監視装置を用いてワーク部分がワーク残部に引っ掛かっていることを確認すると、自動化されたワーク部分取り出しのための少なくとも1つの解除ストラテジを開始し、ワーク残部を有する保持装置の、ワーク部分に対して相対的な、又はワーク部分を有するグリッパ装置の、ワーク残部に対して相対的な、又は保持装置及びグリッパ装置の互いに相対的な、X−Y平面内の少なくとも1つの運動成分を有する少なくとも1つの所定の移動区間に沿った少なくとも1つの移動を実施する方法により解決される。これにより、ワーク部分とワーク残部との間の引っ掛かりは、その多くがそれらに付着した加工残渣又は小さなバリ形成により発生するものであるため、大抵の場合解消し得る。引っ掛かりは、ワーク部分とワーク残部との間の最後の分断後に解消する、ワーク部分内の動的な変形、例えば熱変形により発生する場合もあれば、ワーク部分上にハンドリング装置を載せたときにも引き起こされる場合もある。
【0006】
方法の好ましい態様では、引っ掛かりを、ワーク残部からワーク部分を持ち上げる際に、力センサによってか、又はグリッパ装置からワーク部分が解離することによって検出し、好ましくはグリッパ装置からのワーク部分の解離を好ましくはアンロード監視装置により検出する。例示的な両態様により、プロセスの自動化の枠内で、ワーク残部とのワーク部分の引っ掛かりが認識可能であり、これにより次に解除ストラテジを開始することが可能である。
【0007】
方法の別の態様では、引っ掛かりをアンロード監視装置によりワーク部分を俯瞰して検出する。取り出したいワーク部分の輪郭のこのような光学的な検出あるいは照合を用いても、引っ掛かりは、信頼性の高いプロセスで検出可能である。
【0008】
方法の好ましい態様では、保持装置及び/又はグリッパ装置の移動を、始点で開始し、始点上に位置する終点で終了する、所定の軌道を形成する少なくとも1つの移動区間から構成する。これにより、解除ストラテジは、解除ストラテジと同様に取り出し位置から開始される従来の自動的なアンロードプロセスに簡単に組み込み可能である。
【0009】
自動化されたワーク部分取り出しの別の態様では、保持装置及び/又はグリッパ装置の移動を、始点で開始し、かつ始点から離れて位置し、好ましくはワーク部分とワーク残部との間の分断部の幅より小さい間隔を置いて位置する終点で終了する。この別の態様は、解消することが難しい引っ掛かりの場合に、ワーク残部からのワーク部分の解離を達成すると同時に、ワーク部分を再びワーク残部内の切り抜かれた領域内に後続の取り出しのために位置決めするのに好適な場合がある。
【0010】
移動の第1の態様では、始点と終点との間で、円形、楕円形又は円弧状の軌道の延びを有する移動区間が実行される。これにより、平面の各方向で、ワークとワーク残部との間の少なくとも微小な連続的な相対運動が達成可能であり、これにより、引っ掛かりを解消し、次にワーク残部内の切り抜き面内へのワーク部分の引っ掛かりのない運動を可能にすることができる。
【0011】
移動の別の態様において、ハンドリング装置及び/又はグリッパ装置は、始点から少なくとも1つの中間点に至る少なくとも1つの第1の移動区間と、少なくとも1つの中間点から終点に至る少なくとも1つの別の移動区間とを通るように制御される。このような解除ストラテジは、移動区間内の連続的な移動を伴う前述の移動とは異なり、第1の移動区間と少なくとも1つの第2の移動区間との間での中断を可能にする。その結果、第1の移動区間に対して方向及び/又は速度の変更が可能である。これにより、さらなる特別な解除ストラテジの規定が可能である。
【0012】
少なくとも1つの中間点により分けられた少なくとも2つの移動区間の移動を行う別の態様では、好ましくは、少なくとも1つの第1の移動区間を、ワーク台上にあるワークのX−Y平面内で直線又は円軌道に沿って実行し、少なくとも1つの第2の移動区間を円軌道又は直線に沿って実行する。例えば少なくとも1つの移動区間をまず直線に沿って実施する態様では、引っ掛かりの簡単な解消が達成可能であり、直線に沿った移動区間に続く円軌道に沿った少なくとも1つの移動区間で、ワーク部分と(格子状の)ワーク残部との間の、特にそれぞれのエッジにおける引っ掛かり領域の周りを周回する。その結果、ワーク残部からのワーク部分の簡単な解離が提供されている。
【0013】
移動のさらに別の態様では、少なくとも1つの第1の移動区間をワーク台のX方向若しくはY方向又はX−Y平面内で直線に沿って実行し、少なくとも1つの第2の移動区間を第1の移動区間とは逆向きに実行する。この解除ストラテジは、ハンドリング装置及び/又はワーク台の一軸のみが往復運動のために制御される、保持装置及び/又はグリッパ装置の簡単な制御をなしている。択一的には、2軸の制御がなされてもよく、X方向及びY方向の重畳を形成し、これによりX−Y平面内の移動を実施する。
【0014】
移動のさらに別の態様では、保持装置及び/又はグリッパ装置の少なくとも1つの第1の移動区間を、保持装置及び/又はグリッパ装置の少なくとも1つの第2の移動区間とは異なる円軌道により実行する。これにより、さらに別の解除ストラテジを形成可能である。
【0015】
保持装置及び/又はグリッパ装置の移動の別の好ましい態様において、少なくとも1つの第1の移動区間はらせん状の軌道に沿って延びる。これにより、例えばワーク残部が静止しているとき、らせん状の軌道を辿る際の、移動区間の少なくとも1回の360°の回転により、特にワーク残部に対してワーク部分の角隅が引っ掛かっているとき、引っ掛かりの解除が達成され得る。同様のことは、ワーク部分が静止し、ワーク残部が動かされる場合にも当てはまる。
【0016】
さらに好ましくは、少なくとも1つの中間点を有する少なくとも1つの移動区間、好ましくは3つの移動区間を有する移動が、好ましくは閉じた円軌道に沿って実行される別の移動区間を有する。これにより、まず、往復運動又は部分的に円弧セグメント状、円形状若しくはらせん状の移動区間により、円軌道、特に閉じた円軌道の通走による付加的な解除運動が後置され得る。その結果、解除ストラテジのための様々な移動区間が互いに組み合わされる。
【0017】
方法の別の好ましい態様では、上述のような移動に、Z方向の移動方向に沿った別の運動成分を少なくとも部分的に重ねる。特にワークの角隅領域がワーク台とワーク残部との間に存在する場合、ワーク部分又はワーク残部の持ち上げが僅かにすぎなくても、引っ掛かりの簡単な解除が達成可能である。
【0018】
解除ストラテジの少なくとも1つの移動は、保持装置及び/又はグリッパ装置の脈動状あるいはジャーク状の往復運動又は回転運動を有している。この脈動状の往復運動又は回転運動は、前述の移動とは分離されて実施されても、補足的に実施されてもよい。
【0019】
方法の別の好ましい態様では、少なくとも1つの移動に、ワーク台の少なくとも1つの構成要素又はワーク台内の少なくとも1つの構成要素の上昇運動又は下降運動を重ねる。例えば、ワーク台に、取り出し用フラップ、特にレーザ取り出し用フラップが設けられている場合がある。取り出し用フラップは、下降可能である。その結果、ワーク部分とワーク残部との分離が可能となる。
【0020】
方法の別の好ましい態様では、解除ストラテジの実行中、ワーク部分とワーク残部との間の引っ掛かりの解消をアンロード監視装置により監視し、引っ掛かりの解消を確認すると、解除ストラテジを終了する。この態様は、場合によっては引っ掛かりが早期に解消したことが、解除ストラテジを完全に遂行する前に、認識され、ワーク部分を直後に取り出すことができ、これによりプロセスに要する時間を短縮することができるという利点を有している。
【0021】
自動的なワーク部分取り出しあるいは解除ストラテジの実行後、ワーク残部内のワーク部分の位置をアンロード監視装置により検査し、引き続き引っ掛かりが確認されれば、少なくとも1回解除ストラテジを繰り返し、引っ掛かりが続くときは、工作機械を停止し、引っ掛かりの解消が確認されたときは、ワーク部分のためのアンロード工程を続ける。
【0022】
さらに本発明の根底にある課題は、工作機械であって、保持装置が、ワーク残部及びワーク部分とともに、ワークをワーク残部からグリッパ装置により取り出すことが可能な取り出し位置に配置可能であり、かつこの取り出し位置で、保持装置及び/又はグリッパ装置は、ワーク部分がワーク残部に引っ掛かったときの、自動化されたワーク取り出しのための解除ストラテジのために、X−Y平面内の少なくとも1つの運動成分を有する少なくとも1つの移動区間に沿った移動により移動可能となった工作機械により解決される。これにより、自動化された取り出し位置のための移動の高いフレキシビリティが可能である。
【0023】
以下に、本発明及び好ましい実施の形態及び変化態様について、図示の例を参照しながら詳細に説明する。明細書及び図面に看取可能な特徴は、個別にも、複数の特徴の任意の組み合わせでも本発明にとって本質的なものとして適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】ワーク部分がワーク残部内にある
図1の工作機械の概略拡大図である。
【
図3】ハンドリング装置が取り出し位置にある
図1の工作機械の概略拡大図である。
【
図4】
図4a,4bは、ワーク残部に引っ掛かったワーク部分の概略図である。
【
図5】
図5a,5bは、解除ストラテジの移動の第1の態様の概略図である。
【
図6】
図6a,6bは、移動の第2の態様の概略図である。
【
図7】
図7a,7bは、移動の別の態様の概略図である。
【0025】
図1には、斜視図で本発明に係る工作機械11を示してある。工作機械11は、例えばレーザ・パンチングマシンとして形成されている。板状のワーク(被加工材)12、例えば金属薄板の形態のワーク12を分離加工するために、図示しないパンチを有するパンチングヘッド14と、レーザ加工ヘッド15とが設けられている。加工すべきワーク12は、ワーク加工中、ワーク台16に載置されている。ワーク12は、ワーク加工中、好ましくはクランプ18を有する保持装置17により保持され、パンチングヘッド14及びレーザ加工ヘッド15に対してワーク平面(X−Y平面)のX方向で、矢印により略示した従来慣用のリニア駆動装置19により移動可能である。ワーク平面のY方向でワーク12は、ワーク台16が保持装置17とともに、ワーク台16を支持している台架24に対して相対的に、矢印により略示した従来慣用のリニア駆動装置20により移動されることで移動可能である。
【0026】
ワーク12は、こうしてX方向及びY方向でパンチングヘッド14及びレーザ加工ヘッド15に対して移動可能である。その結果、ワーク12の、その都度加工したい領域は、パンチングヘッド14の定置の加工領域21あるいはレーザ加工ヘッド15の定置の加工領域22内で位置決め可能である。加工領域21,22は、ワーク台16の同じ領域に位置している。台架24に対してワーク台16が移動することで、それぞれの加工領域21又は22を占めることができる。
【0027】
パンチングヘッド14の加工領域21には、好ましくは交換可能なパンチングダイ23(
図2)が位置決めされている。相応に、レーザ加工ヘッド15の定置の加工領域22には、図示しないレーザダイが配置されている。
【0028】
工作機械11のワーク台16の一方の端面には、ハンドリング装置26が配設されている。ハンドリング装置26は、グリッパ装置27を有し、グリッパ装置27は、少なくとも1つのリニア軸28に沿ってロード・アンロード位置29,30から取り出し位置32(
図3)に移動可能である。グリッパ装置27は、例えば磁石式のサッカ、真空式のサッカ、電気接着(Elektroadhaesion)式のサッカ又は機械式のグリッパとして形成可能である。本実施の形態では、真空式のサッカを略示してある。真空式のサッカは、複数のサッカが配置されているサクションフレーム34を有している。サクションフレーム34及び/又は個々のサッカは、付加的に少なくとも1つの別の軸でX−Y−Z座標系に沿って少なくとも1つのリニア駆動装置により駆動され、移動可能である。
【0029】
図2は、
図1に示した工作機械11の一部の概略拡大図である。ワーク台16には、ワーク12が載置されている。分断によるワーク12の分離加工により、ワーク部分36は、ワーク残部37内で切り抜かれている。切り抜き面38内に残されたワーク部分36を有するワーク残部37は、保持装置17により加工領域21,22から取り出し位置32へと移動可能である。この取り出し位置32には、ワーク残部37からワーク部分36を自動的に取り出すために、
図3に看取可能であるように、グリッパ装置27が位置決めされる。サクションフレーム34は、下降され、その結果、ワーク部分36の把持後、ワーク部分36は、持ち上げられ、ワーク残部37から解放される。これにより、引き続きワーク部分36は、グリッパ装置27のリニア軸28に沿った移動によりアンロード位置30に移送され、マガジン43又はパイルに下ろされることができる。
【0030】
ワーク残部37からワーク部分36を切り抜く間若しくは打ち抜く間に、又はワーク残部37からワーク部分36を切り抜いた後若しくは打ち抜いた後に、ワーク部分36がワーク残部37に引っ掛かった状態となってしまう場合がある。
図4a及び
図4bには、このような引っ掛かりの例を示してある。ワーク部分36の角隅領域41は、例えばワーク残部37の角隅領域42の下にある。その結果、これまでのZ方向でのワーク部分36の持ち上げにより実施されていたワーク部分36の取り出しでは、ワーク残部37からワーク部分36を解離することは不可能である。
【0031】
自動化された取り出しプロセス時、好ましくはワーク残部37からのワーク部分36の取り出し前に、アンロード監視装置44により、ワーク部分36がワーク残部37に引っ掛かっているか否かの検査が実施される。引っ掛かりが確認されなければ、取り出しプロセスが実施される。ワーク部分36とワーク残部37との間に引っ掛かりがあれば、引っ掛かりを解消するために解除ストラテジが開始される。
【0032】
アンロード監視装置44は例えば、
図2に示すように、光学式の監視装置として形成可能である。光学式の監視装置は、ワーク台16と、ワーク台16上にあるワーク12あるいはワーク残部37及びワーク部分36とを光学式に走査、好ましくは扇形の光を用いてスキャンする。これにより、特にグリッパ装置27を用いてワーク部分36を持ち上げる際に、ワーク部分36がグリッパ装置27から解離してしまうか否かが、認識可能である。解離してしまう場合、このことは、引っ掛かりに起因する可能性があるので、続いて解除ストラテジが開始される。アンロード監視装置44は、複数の構成要素からなっていてもよい。付加的に、光学式以外の別の検出センサが使用されてもよい。このアンロード監視装置44は、ワーク台16を俯瞰するように作業するものであってもよい。このことは、工作機械11や、そのリニア軸の設計、並びにパンチングヘッド14及び/又はレーザ加工ヘッド15のワーク台16に対する位置決めによる。
【0033】
次の
図5a乃至
図10には、様々な解除ストラテジを示してある。これらの解除ストラテジは、それぞれ単独で観察されて実施されても、互いに組み合わされてかつ/又は互いに重ね合わされて実施されてもよい。
【0034】
図5aには、第1の解除ストラテジを示してある。この解除ストラテジの出発点は、始点47である。始点47は、
図3に示した配置に相当し、保持装置17と、グリッパ装置27を有するハンドリング装置26とは、取り出し位置32に配置されているとともに、グリッパ装置27は、ワーク部分36に作用しており、ワーク残部37は、保持装置17により把持されてワーク台16に載置されている。この初期状態は、後述するその他の解除ストラテジにも当てはまる。
【0035】
この始点47から出発して、例えば保持装置17は、X−Y平面内の運動成分を有して移動区間48に沿って動かされる。この移動区間48は、終点51で終了する。終点51は、
図5aに示した実施の形態では始点47と一致している。この場合、移動区間48は、円軌道を描く。この円軌道とは異なり、始点47と終点51との間に位置する別の曲線経路又は円軌道類似の移動区間が設けられていてもよい。
【0036】
この解除ストラテジの場合、第1の態様では、ワーク部分36が定置に保持される。代わりに、ワーク残部37が定置に保持装置17によりワーク台16に対して保持され、グリッパ装置27が移動区間48を通走するようになっていてもよいし、保持装置17及びグリッパ装置27の双方が動かされ、この移動区間48が形成されるようになっていてもよい。
【0037】
図5bには、
図5aに示した解除ストラテジに対する別の実施の形態を示してある。本実施の形態は、始点47と終点51とが一致しておらず、終点51が始点47の隣接位置にある点で、
図5aに示した実施の形態とは相違している。それ以外の点については、
図5aに示した実施の形態及びその変化態様が当てはまる。
【0038】
図6aには、別の態様の解除ストラテジを示してある。この解除ストラテジは、例えば互いに異なる2つの移動区間48,49を有している。始点47から出発して、例えば保持装置17が、第1の移動区間48に沿って中間点52に動かされる。この中間点52から、やはり始点47と一致している終点51に至る別の移動区間49が実行される。移動区間48,49は、逆向きであり、速度及び/又は移動距離については同じであってもよい。
【0039】
図6bは、
図6aとは、終点51が始点47の隣接位置にある点でのみ相違する。
【0040】
図6a及び
図6bに示すように、移動区間48,49は、軽微な弧を描いて形成されている。移動区間48,49は、これを直線に沿ったものとし、その結果、例えば一軸、つまりX軸又はY軸に沿った一運動成分のみを往復運動のために有していてもよい。これとは異なり、移動区間は、X方向及びY方向の重畳を有していてもよい。さらに移動区間は、X方向又はY方向の運動成分と、Z方向の運動成分とを有していてもよく、その結果、解除ストラテジは、X−Z平面又はY−Z平面内の移動方向で実行される。
【0041】
図7a及び
図7bには、
図6a及び
図6bに対する別の実施の形態を示してある。
図7aに示した解除ストラテジは、
図6aに示した解除ストラテジとは、第1及び第2の移動区間48,49が移動距離及び/又は移動速度に関して互いに異なっている点で相違している。同じことは、
図6bとの比較において
図7bにも当てはまる。
【0042】
図8には、解除ストラテジのさらに別の実施の形態を示してある。この場合、一種のL字形の解除ストラテジが遂行可能である。始点47から出発して、第1の軸に沿って例えば保持装置17又はグリッパ装置27が、第1の中間点52まで動かされる。次に、長さ及び方向が第1の移動区間48とは異なる、第2の中間点52′までの第2の移動区間49が実施される。次に方向転換あるいは折り返しがなされる。特に第3の移動区間は、単に第2の移動区間49とは逆向きに、保持装置17が第3の中間点52″に到達するまで延びている。次に第4の移動区間が、終点51まで実行される。第4の移動区間は、第1の移動区間48の方向転換あるいは折り返しに相当する。終点51は、始点47上にあっても、始点47の隣接位置にあってもよい。これとは異なり、保持装置17及びグリッパ装置27が同時に制御されてもよい。
【0043】
本実施の形態では、移動が保持装置17とグリッパ装置27とで分担されてもよい。例えば保持装置17は、第1及び第4の移動区間を通走可能である。これに対して、グリッパ装置27は、第2及び第3の移動区間を通走する。逆の配置も可能である。また、並び順を変えることも可能である。さらに、例えば長方形又は三角形に沿った異なる経路を経ることも可能である。
【0044】
さらに、これとは異なり、始点47から中間点52までの第1の移動区間48しか設けられていなくてもよい。この場合、中間点52は終点51を形成する。また、始点47から第1の移動区間48及び第2の移動区間49が実施され、その結果、例えば終点51が、
図8に示した第2の中間点52′にあってもよい。移動区間48,49は、一方向でしか通走されない。つまり、移動区間48,49の往復運動は必須ではなく、一方向でしか実施されない互いに連なる移動区間48,49のうちの1つの移動区間又は複数の移動区間が通走されるようになっていてもよい。
【0045】
図9には、さらに別の解除ストラテジを示してある。始点47から出発して、らせん状の移動区間48が実行される。この場合、移動区間48は、単数又は複数の渦巻き数を有していてもよい。この渦巻きは、反時計回りに延びていても、時計回りに延びていてもよい。らせん状の移動区間48が通走され、中間点52に到達した後、第2の移動区間49が実行される。この第2の移動区間49は、円弧に相当し、その結果、第2の移動区間49の終端は、やはり中間点52に位置する。そこから第3の移動区間53が実行される。この第3の移動区間53は、例えば始点47上に位置する終点51に至る。この解除ストラテジがやはり保持装置17及び/又はグリッパ装置27により遂行されることは、自明である。
【0046】
図10には、さらに別の解除ストラテジを示してある。中央の始点47から出発して、まず直線に沿って第1の移動区間48が、半径方向外向きに中間点52に向かって延びる。次に、逆方向に第2の移動区間49が実行される。この場合、第2の中間点は、始点47上に位置する。次に、両移動区間が1回又は複数回繰り返される。その結果、移動区間の星形の配置が生じる。星形の移動区間の終了後、
図9と同様の形で、閉じた円弧が通走され、最後の移動区間により、好ましくは始点47に相当する終点51に戻ることができる。
【0047】
上述の解除ストラテジは、ワーク12のX−Y平面内に位置する移動区間48,49,53を有している。付加的に、Z方向の移動区間の重畳がなされてもよい。さらに付加的に、単数又は複数の移動区間の開始時、最中又は終了時に、引っ掛かりの解除を達成するために、脈動動作が重畳されてもよい。