特許第5940223号(P5940223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5940223デジタル伝送システム及び遅延時間算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940223
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】デジタル伝送システム及び遅延時間算出方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 17/00 20060101AFI20160616BHJP
   H04L 1/00 20060101ALI20160616BHJP
   H04N 19/65 20140101ALI20160616BHJP
   H04N 19/89 20140101ALI20160616BHJP
【FI】
   H04N17/00 A
   H04L1/00 A
   H04N19/65
   H04N19/89
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-530724(P2015-530724)
(86)(22)【出願日】2014年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2014059241
(87)【国際公開番号】WO2015019663
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-164014(P2013-164014)
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】藤倉 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】後藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】小山 准
【審査官】 佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−214296(JP,A)
【文献】 特開2002−208953(JP,A)
【文献】 特開2010−183624(JP,A)
【文献】 特開2004−221764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 17/00
H04L 1/00
H04N 19/65
H04N 19/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号及び音声信号を圧縮し伝送路符号化を施しデジタル変調して送信する送信側装置と、前記送信側装置から受信した信号をデジタル復調して複合化及び伸長して映像信号及び音声信号を再生する受信側装置からなるデジタル伝送システムにおいて、絶対時間を生成する機能を送信側と受信側に有し、
送信側にて、所定の間隔にてタイミングパルスを生成する手段と、当該タイミングパルスに同期した時刻で特異パターンを持ったテスト音声信号を生成する手段と、入力映像信号および前記生成したテスト音声信号を圧縮しTS信号を生成する手段と、当該TS信号に対してリード・ソロモン符号化、ターボ符号または低密度パリティ検査符号の誤り訂正符号化を行う前または後にて前記所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてエラーまたはユニークコードを挿入し、デジタル変調して伝送する手段と、
受信側にて、受信した信号をデジタル復調しリード・ソロモン復号化、ターボ復号または低密度パリティ検査復号の誤り訂正復号化し元のTS信号に戻す前または後にて前記所定間隔にて挿入されたエラーまたはユニークコードを検出する手段と、前記復号化したTS信号を伸長し、前記映像信号及び前記テスト音声信号を出力する手段と、当該伸長した前記テスト音声信号に含まれる前記特異パターンを検出する手段と、前記リード・ソロモン復号化、ターボ復号または低密度パリティ検査復号の誤り訂正復号化の前または後にてエラーまたはユニークコードを検出した時刻と当該伸長した前記テスト音声信号に含まれる特異パターンの検出時刻との検出時間差分情報を算出する手段と、
当該検出した検出時間差分情報と伝送路符号化及びデジタル変調伝送における既知の遅延時間とを加算した値を、前記映像信号および前記テスト音声信号の送信側における入力時刻から受信側における出力時刻までの遅延時間として算出する手段と、を具備することを特徴としたデジタル伝送システム。
【請求項2】
請求項1のデジタル伝送システムにおいて、前記送信側にて生成されるテスト音声信号の特異パターンは、前記所定間隔のタイミングパルスに同期して振幅レベルが変化する、あるいは周波数が変化する、特異パターンであるテスト音声信号発生手段を具備することを特徴としたデジタル伝送システム。
【請求項3】
映像信号及び音声信号を圧縮し伝送路符号化を施しデジタル変調して送信する送信側装置と、前記送信側装置から受信した信号をデジタル復調して複合化及び伸長して映像信号及び音声信号を再生する受信側装置からなるデジタル伝送システムにおける遅延時間算出方法において、絶対時間を生成する機能を送信側と受信側に有し、
送信側にて、所定の間隔にてタイミングパルスを生成し、当該タイミングパルスに同期した時刻で特異パターンを持ったテスト音声信号を生成し、本線信号である入力映像信号および前記生成したテスト音声信号を圧縮しTS信号を生成し、当該TS信号に対してリード・ソロモン符号化、ターボ符号または低密度パリティ検査符号等の誤り訂正符号化を行い、前記所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてエラーまたはユニークコードを挿入し、デジタル変調して伝送し、
受信側にて、受信した信号をデジタル復調しリード・ソロモン復号化、ターボ復号または低密度パリティ検査復号等の誤り訂正復号化し、前記所定間隔にて挿入されたエラーまたはユニークコードを検出し、前記復号化したTS信号を伸長し、前記映像信号及び前記テスト音声信号を出力し、当該伸長した前記テスト音声信号に含まれる前記特異パターンを検出し、前記エラーまたはユニークコードを検出した時刻と当該伸長した前記テスト音声信号に含まれる特異パターンの検出時刻との検出時間差分情報を算出し、
当該検出した検出時間差分情報と伝送路符号化及びデジタル変調伝送における既知の遅延時間とを加算した値を、前記映像信号および前記テスト音声信号の送信側における入力時刻から受信側における出力時刻までの遅延時間として算出することを特徴とした遅延時間算出方法。
【請求項4】
請求項3のデジタル伝送システムにおける遅延時間算出方法において、前記送信側にて生成されるテスト音声信号の特異パターンは、前記所定間隔のタイミングパルスに同期して振幅レベルが変化する、あるいは周波数が変化する、特異パターンであることを特徴とした遅延時間算出方法。
【請求項5】
映像信号及び音声信号を圧縮し伝送路符号化を施しデジタル変調して送信する送信側装置と、前記送信側装置から受信した信号をデジタル復調して複合化及び伸長して映像信号及び音声信号を再生する受信側装置からなるデジタル伝送システムにおいて、絶対時間を生成する機能を送信側と受信側に有し、固定遅延時間の変調/復調と伝送路符号化/復号化を用い送信時の映像信号に挿入した送信側の絶対時間のタイムコードを受信側の絶対時間と比較しENC/DECと変調/復調と伝送路符号化/復号化の固定遅延時間を減算するか、TMCCに絶対時間のタイムコードを重畳し受信絶対時間と比較するかにより、遅延時間を算出する手段とを具備することを特徴としたデジタル伝送システム。
【請求項6】
請求項5のデジタル伝送システムにおいて、送信機に絶対時間を生成する機能を有し、映像信号あるいはTMCCに絶対時間のタイムコードを挿入する手段とを具備するか、または、送信機に入力する映像信号を生成する撮像装置あるいは記録再生装置に絶対時間を生成する機能と映像信号に絶対時間のタイムコードを挿入する機能を有し、送信機に映像信号から絶対時間のタイムコードを抽出し抽出した絶対時間のタイムコードをTMCCに挿入する手段とを具備することを特徴としたデジタル伝送システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像信号及び音声信号を圧縮しデジタル変調して伝送するデジタル伝送システムに関するもので、特に映像信号及び音声信号の遅延時間の算出に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像や音声信号の無線伝送には、数年前はアナログFMによる方法で映像や音声を伝送していたが、近年、デジタル変復調技術の発展に伴い、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式やOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式などによるデジタル伝送方式が用いられるようになっている(非特許文献1、非特許文献2参照)。このとき、伝送対象となるデータは、映像や音声信号をMPEG(Moving Picture Experts Group)処理により圧縮したTS(Transport Stream)などの伝送信号であるが、従来のアナログFM方法では殆ど生じなかった、圧縮・伸張処理による遅延時間が生じる。特に放送業務の運用において、生中継の現場とスタジオ間の会話では違和感のないかけ合い、いわゆる遅延時間が短いことが強く要求されている。
【0003】
このような背景のもと、近年では圧縮・伸張処理を構成するコーデックデバイスの処理能力の向上により遅延時間の低減が可能となっている。特に従来ではMPEG方式が主流であり本方式によれば約15フレーム(約500ms)程度の遅延時間が生じていたが、近年、より圧縮効率が良く且つ低遅延での処理が可能なH.264方式が採用されつつあり、本方式によれば、1フレーム(約33ms)以下の遅延時間が実現可能となっている。
また、上記QAM方式やOFDM方式と言ったデジタル伝送方式においても遅延時間を伴い、主なものとして、インタリーブ処理による遅延時間がある。インタリーブとはデジタル伝送における誤り訂正符合の特性が十分に得られるようにデータを送る順序を並び替える方法のことで、伝送路で誤りが発生しても受信側でデータを元の順序に戻すことで、誤りが分散され、誤り訂正が効果的になるものである。特にOFDM方式においては、最大で約756ms(23フレーム相当)の遅延時間が発生する。QAM方式においては約1.3msとなる。
【0004】
放送業務においては、運用する形態に応じて以上述べた遅延時間の要因となるパラメータが変化する。例えば、マラソン中継等の移動中継では周波数選択性フェージングやマルチパスの影響により伝送路状況が悪い場合が考えられるため、OFDM方式で運用し前記インタリーブ時間もより長い時間を用いる。また、誤り訂正符号化率を高める為、本線信号の伝送レートが低く抑えられ、結果、コーデックは遅延時間よりも圧縮効率が重視される。一方、固定回線等の見通しの良い伝送路状況では、QAM方式で運用することで本線信号の伝送レートも高く出来るため、より低遅延伝送での運用が可能となる。しかるに、運用者は運用する形態に応じて変化する遅延時間を予め把握しておく必要がある。
【0005】
図13に従来技術における遅延時間算出方法のシステム構成例を示し説明する。入力映像信号A1、入力音声信号A2は送信装置1に入力される。送信装置1では、前記入力映像信号A1、入力音声信号A2をエンコーダ部1−1で圧縮し多重化してTS信号Bが生成されて伝送路符号化部1−2へ供給される。伝送路符号化部1−2にて、リードドロソロモン符号化、インタリーブ、畳み込み符号化等の誤り訂正符号化処理が行われ、符号化信号Cが生成される。デジタル変調部1−3では、前記伝送路符号化信号Cを64QAM、32QAM、16QAM、QPSKといったマッピング処理を施した後、QAM変調又はOFDM変調方式にてデジタル変調した後、130MHzのIF信号Dを生成し送信高周波部1−4へ供給される。
送信高周波部1−4に入力されたIF信号Dは、増幅され、7GHz、10GHzといったマイクロ波帯に周波数アップコンバートされ、高周波信号Eが生成されフィールドに出力される。
【0006】
図14に、伝送路符号化部1−2の具体的な構成の一例を示し、簡単に説明する。B8h置換部1−2−1、エネルギー拡散部1−2−2、リード・ソロモン(RS)符号化部1−2−3、外インタリーブ部1−2−4、畳み込み符号化部1−2−5、内インタリーブ部1−2−6より構成される。
図14において、入力されるTS信号Bは、B8h置換部1−2−1で先頭ワード47hがB8hに置換され、エネルギー拡散部1−2−2でエネルギー拡散処理され、RS符号化部1−2−3でエラー訂正用パリティ情報を16ワード付加され(リード・ソロモン符号化され)る。なお、この処理により、TS信号は204ワード構成となる。そして、外インタリーブ部1−2−4でエラー訂正を効果的に行わせるためのデータ順序並べ替えであるインタリーブ処理が行われる。前述のエネルギー拡散処理は、204ワード×8個を周期とするため、その基準として、TS信号の先頭ワード47hを8TS周期に1回、B8hに変換する。その後、畳み込み符号化部1−2−5にて、QAM方式の場合はトレリス符号化処理が、OFDM方式の場合は畳み込み符号化処理を行い(内符号化)、内インタリーブ部1−2−6にて前記外インタリーブ処理よりも長い期間のデータ順序並べ替えであるインタリーブ処理が行われる。このインタリーブ処理は、QAM方式の場合は時間軸方向にデータ順序並べ替えを行う畳み込み時間インタリーブのみが施され、OFDM方式は、キャリア単位のバースト誤りの影響を軽減する目的為のビットインタリーブ、フェージングやマルチパス妨害による特定の周波数の落ち込み(ディップ)による誤りの影響を軽減する目的の周波数インタリーブ、更にQAM方式同様の畳み込み時間インタリーブが施される。図13に戻り、受信装置2について説明する。受信された送信装置1からの高周波信号Eは受信高周波部2−1へ供給される。受信高周波部2−1では、受信した7GHz、10GHzといったマイクロ波帯の高周波信号Eを周波数ダウンコンバートし、130MHzのIF信号Fに周波数変換されてデジタル復調部2−2へ供給される。
デジタル復調部2−2では、IF信号Fが入力され、QAM方式又はOFDM方式にてデジタル復調処理を施した後、デマッピング処理し、元の符号化信号Gを生成する。伝送路復号化部2−3では、デインタリーブ、ビタビ復号化、リード・ソロモン復号化等の誤り訂正処理が行われ、元のTS信号Hとしてデコーダ部2−4へ供給される。デコーダ部2−4においては、前記TS信号より映像信号及び音声信号がそれぞれ伸張され再び元の出力映像信号I1、出力音声信号I2として出力される。
【0007】
図15にて、伝送路復号化部2−3の具体的な構成の一例を示し、簡単に説明する。図15は、従来の伝送路復号化部2−3の構成の一例を示す構成図であり、前記伝送路符号化部1−2と逆の処理が施される。 図15において、入力された符号化信号Gは、内デインタリーブ部2−3−1にて前記内インタリーブ部1−2−6にて行ったデータ順序並べ替えを元に戻す逆インタリーブ処理された後、ビタビ復号化処理部2−3−2にて前記畳み込み符号化部1−2−5にて付加された情報を元に誤り訂正処理される。その後、外デインタリーブ部2−3−3でデータ順序並べ替えを元に戻す逆インタリーブ処理され、RS復号化部2−3−4でリード・ソロモン誤り訂正され、エネルギー逆拡散部2−3−5でエネルギー逆拡散の処理が行われ、B8h置換部2−3−6で8TS周期に1回、B8hに変換された先頭ワードを47hに置換し直すことで、元のTS信号Hとなる。
なお、ここで行うリード・ソロモン(RS)誤り訂正は、付加パリティ数(16ワード)の半分の8ワードまでのエラーであれば、元の正しいワードに訂正できる。しかし、誤りワード数が9ワード以上の場合、訂正不能となり、エラーは残留する。
【0008】
再び図13に戻り、測定器3について説明する。送信装置1へ入力映像信号A1、入力音声信号A2及び受信装置2より出力の復号化された出力映像信号I1、出力音声信号I2とを比較し、例えば映像信号の変化する特異点をオシロスコープ等で検出し、当該特異点が検出されると前記入力映像信号A1、入力音声信号A2と復号化された出力映像信号I1、出力音声信号I2との時間差を求めることで遅延時間Jの算出が可能となる。
【0009】
以上の述べた従来技術における遅延時間の測定方法は、送信装置と受信装置が近距離にある場合に限り、送信側の入力映像信号と受信側の出力映像信号をそれぞれ1台の測定器にケーブル類で接続して遅延時間を測定することが可能な方法であった。ところが、実際の運用では送信装置と 受信装置が遠距離(数km〜数十km)にあり、前記同様の接続で測定する方法は困難である。
また、前述の通り、遅延時間は運用する形態に応じて変化するため、その都度、遅延時間を上記方法で測定するのは作業効率の面からも非常に手間のかかる作業であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形マイクロ波帯デジタル無線伝送システム」ARIB STD−B11、社団法人電波産業会
【非特許文献1】「テレビジョン放送番組素材伝送用可搬形OFDM方式デジタル無線伝送システム」ARIB STD−B33、社団法人電波産業会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これらの欠点を除去し送信装置と受信装置が遠距離にあっても、運用形態によって遅延時間がその都度変化しても、測定器を必要とせず遅延時間を自動的に検出することが可能となる遅延時間算出を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するために、映像信号及び音声信号を圧縮し伝送路符号化を施しデジタル変調して送信する送信側装置と、前記送信側装置から受信した信号をデジタル復調して複合化及び伸長して映像信号及び音声信号を再生する受信側装置からなるデジタル伝送システムにおいて、(GPS信号、準天頂衛星信号、地上デジタル放送信号または原子時計情報信号等の時刻情報信号を受信するか原子時計を有することで)絶対時間を生成する機能を送信側と受信側に有し、送信側にて、所定の間隔にてタイミングパルスを生成する手段と、当該タイミングパルスに同期した時刻で特異パターンを持ったテスト音声信号を生成する手段と、入力映像信号および前記生成したテスト音声信号を圧縮しTS(Tra nsport Stream)信号を生成する手段と、当該TS信号に対してリード・ソロモン符号化、ターボ符号または低密度パリティ検査符号の誤り訂正符号化を行う前(実施例2のTS信号のユニークコード挿入部)または後(実施例1の伝送路符号化部)にて前記所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてエラーまたは(冗長ワード等の)ユニークコードを挿入し、デジタル変調して伝送する手段と、受信側にて、受信した信号をデジタル復調しリード・ソロモン復号化、ターボ復号または低密度パリティ検査復号の誤り訂正復号化し元のTS信号に戻す前(実施例1の伝送路復号化部)または後(実施例2のTS信号のユニークコード検出部)にて前記所定間隔にて挿入されたエラーまたはユニークコードを検出する手段と、前記復号化したTS信号を伸長し、前記映像信号及び前記テスト音声信号を出力する手段と、当該伸長した前記テスト音声信号に含まれる前記特異パターンを検出する手段と、前記リード・ソロモン復号化、ターボ復号または低密度パリティ検査復号の誤り訂正復号化の前または後にてエラーまたはユニークコードを検出した時刻と当該伸長した前記テスト音声信号に含まれる特異パターンの検出時刻との検出時間差分情報を算出する手段と、当該検出した検出時間差分情報と伝送路符号化及びデジタル変調伝送における既知の遅延時間とを加算した値を、前記映像信号および前記テスト音声信号の送信側における入力時刻から受信側における出力時刻までの遅延時間として算出する手段とを具備するようにしたものである。
さらに、上記において、前記送信側にて生成されるテスト音声信号の特異パターンは、前記所定間隔のタイミングパルスに同期して振幅レベルが変化する、又は、周波数が変化する、特異パターンとなるようにしたものである。
【0013】
また、映像信号及び音声信号を圧縮し伝送路符号化を施しデジタル変調して送信する送信側装置と、前記送信側装置から受信した信号をデジタル復調して複合化及び伸長して映像信号及び音声信号を再生する受信側装置からなるデジタル伝送システムにおいて、(GP S信号、準天頂衛星信号、地上デジタル放送信号または原子時計情報信号等の時刻情報信号を受信するか原子時計を有することで)絶対時間を生成する機能を送信側と受信側に有し、固定遅延時間の変調/復調と伝送路符号化/復号化を用い送信時の映像信号に挿入した送信側の絶対時間のタイムコードを受信側の絶対時間と比較しENC/DECと変調/復調と伝送路符号化/復号化の固定遅延時間を減算するか、TMCCに絶対時間のタイムコードを重畳し受信絶対時間と比較するかにより、遅延時間を算出する手段とを具備するようにしたものである。
さらに、上記において、映像信号に挿入するかTMCCに重畳する絶対時間のタイムコードは、送信機に絶対時間を生成する機能と映像信号あるいはTMCCに絶対時間のタイムコードを挿入する手段とを具備するか、または、送信機に入力する映像信号を生成する撮像装置あるいは記録再生装置に絶対時間を生成する機能と映像信号に絶対時間のタイムコードを挿入する機能を有し送信機に映像信号から絶対時間のタイムコードを抽出し抽出した絶対時間のタイムコードをTMCCに挿入する手段とを具備するようにしたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、デジタル伝送システムにおいて送信機と受信機が遠距離にある場合、あるいは運用形態により遅延時間がその都度変化する場合においても、デジタル伝送システムにおいて遅延時間を自動的に検出可能とする機能を有することで、測定器を必要とせず遅延時間を自動的に算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における一実施例の遅延時間算出のシステム構成を示すブロック図
図2】本発明における一実施例のタイミング生成部1-6の構成を示すブロック図
図3】本発明における一実施例の音声テスト信号生成部1-5の構成を示すブロック図
図4】本発明における一実施例の音声テストパターン発生タイミング図
図5】本発明における一実施例の伝送路符号化部1-2の構成を示すブロック図
図6】本発明における一実施例のTS信号へのエラー挿入タイミング図
図7】本発明における一実施例の伝送路復号化部2-3の構成を示すブロック図
図8】本発明における一実施例のTS信号よりのエラー検出処理タイミング図
図9】本発明における一実施例の音声パターン検出部2-6のレベル検出処理タイミング図
図10】本発明における一実施例の音声パターン検出部2-6のレベル検出処理タイミング図
図11】本発明における一実施例の遅延時間算出部2-5の構成を示すブロック図
図12】本発明における一実施例の遅延時間算出のタイミング図
図13】従来技術における遅延時間算出方法のシステム構成を示すブロック図
図14】来技術における伝送路符号化部1-2の構成を示すブロック図
図15】従来技術における伝送路復号化部2-3の構成を示すブロック図
図16】本発明における他の一実施例の遅延時間算出のシステム構成を示すブロック図
図17】本発明における他の一実施例のTS信号へ挿入する(冗長ワード等の)ユニークコードのパケット構成の模式図
図18】本発明における他の一実施例のTS信号へのユニークコード挿入と音声テストパターンの特異点挿入とのタイミング図
図19】本発明における他の一実施例の遅延時間算出のシステム構成を示すブロック図
図20】本発明における他の一実施例のタイムコード情報多重回路の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例について詳細に説明する。図1は本発明の遅延時間算出のシステム構成の実施例を示している。
入力映像信号A1、入力音声信号A2は送信装置1入力される。送信装置1では、前記入力音声信号A2は音声タイミングパターン生成部1−5へ供給される。音声タイミングパターン生成部1−5では、例えばサイン波形の音声テストパターンが生成されるが、この時タイミング生成部1−6よりの所定の間隔で出力されるタイミングフラグkに同期した時刻で特異パターンを生成する。
ここで、デジタル伝送システムにおいて、図示しないGPS信号、準天頂衛星信号、地上デジタル放送信号または原子時計情報信号等の時刻情報信号を送信側と受信側とで受信し、送信側と受信側とで同期した絶対的な時間情報を共有しても良い。また、デジタル伝送システムの送信側の送信機で時刻情報信号を受信するのではなく、図示しない送信側の入力映像・音声信号の生成装置において、時刻情報信号を受信し送信側の入力映像・音声信号のタイムコードを絶対的な時間情報とするでも良い。
図1では、1−6のタイミング生成部と2−5の遅延時間算出部に、原子時計を有し、送信側と受信側とで絶対的な時間情報を共有しているとする。
【0017】
図2は、本発明における前記タイミング生成部1−6の構成図を示す。基準クロック生成部1−6−1よりの基準クロックUがカウンタ部1−6−2に入力され、カウンタ部1−6−2は当該基準クロックUに同期したカウンタ回路であり、所定の周期でタイミングフラグkを出力する。当該所定の周期とは、例えば2秒周期と言った、伝送システムにおける総遅延時間以上の任意周期であれば問題ないものとする。
【0018】
図3は、本発明における前記音声タイミングパターン生成部1−5の構成図を示す。図3(a)は前記所定周期で出力されるタイミングフラグkに同期した時刻でサイン波形の音声テストパターンの振幅レベルが変化する特異パターンを生成する場合の構成図あり、図3(b)は同じく周波数が変化する特異パターンを生成する場合の構成図である。図3(a)はサイン波形発生部1−5−1にて例えば10kHzのサイン波形Pが生成され、ゲイン切替部1−5−2にて前記タイミングフラグkに同期した時刻で振幅レベルを変化させた特異パターン音声信号Qを出力する。切替部1−5−3にて任意タイミングで入力音声信号A2と当該特異パターン音声信号Qを切替え音声信号Lを出力する。図3(b)ではサイン波形発生部1−5−1にて例えば10kHzのサイン波形Pが生成され、サイン波形発生部1−5−4にて例えば5kHzのサイン波形Rを生成する。切替部1−5−5にて前記タイミングフラグkに同期した時刻で前記10kHzのサイン波形Pと5kHzのサイン波形Rを切替えることで周波数を変化させた特異パターン音声信号Qを出力する。その後、切替部1−5−3にて任意タイミングで入力音声信号A2と前記特異パターン音声信号Qを切替え音声信号Lを出力する。なお、詳細は後述するが、音声テストパターンとして振幅レベルや周波数変化させた特異パターン信号を生成する理由は、受信側におけるデコードした後の出力音声信号から当該特異パターンの検出行うことでその変化点(時刻)を容易に見つけられるようにするためである。また、前記切替部1−5−3にて本線信号である入力音声信号A2と当該特異パターン音声信号Qを切替えて伝送するが、そのタイミングは運用するユーザの任意のタイミングで可能であり、例えば中継伝送を行う前などのオフライン作業として、特異パターン音声信号Qを本線信号である音声信号A2の代わりに伝送し、予め伝送遅延時間を測定し把握しておくためのテスト運用期間を想定している。
【0019】
図4は、本発明における音声テストパターン発生タイミング図を示す。図4(a)は前記タイミング生成部1−6にて所定周期(Ta’-a:例えば2秒周期)ごとに出力されるタイミングフラグkである。図4(b)は前記音声テスト信号生成部1−5にて生成された例えば10kHzのサイン波形が時刻Ta及びTa’にて振幅レベルが変化(例えは振幅が2倍に変化)した特異パターンを持つ場合の波形である。図4(c)は同じく例えば10kHzのサイン波形が時刻Ta及びTa’にて例えば5kHzへと周波数が変化した特異パターンを持つ場合の波形である。再び図1へ戻り、エンコーダ部1−1に入力される前記入力映像信号A1および前記特異パターンを含んだ音声信号Lは、前記MPEG方式やH.264方式といった圧縮方式にて符号化したのちパケット化され、TS信号Bを生成し、伝送路符号化部1−2へ供給される。伝送路符号化部1−2にて、リード・ソロモン符号化、インタリーブ、トレリス畳み込み符号化等の誤り訂正符号化処理が行われ、伝送路符号化信号Cが生成される。
【0020】
図5に、本発明における伝送路符号化部1−2の具体的な構成の一例を示し、説明する。B8h置換部1−2−1、エネルギー拡散部1−2−2、リード・ソロモン(RS)符号化部1−2−3、エラー挿入部1−2−7、外インタリーブ部1−2−4、畳み込み符号化部1−2−5、内インタリーブ部1−2−6より構成される。前記図14で示した従来の伝送路符号化部1−2に対して、エラー挿入部1−2−7が追加されその他の構成は全く同じである。
【0021】
図5において、入力されるTS信号Bは、B8h置換部1−2−1で先頭ワード47hがB8hに置換され、エネルギー拡散部1−2−2でエネルギー拡散処理され、RS符号化部1−2−3でエラー訂正用パリティ情報を16ワード付加され(リード・ソロモン符号化され)る。なお、この処理により、TS信号は204ワード構成となる。その後エラー挿入部1−2−7において前記タイミング生成部1−6よりの所定間隔で出力されるタイミングフラグkに同期した時刻で前記リード・ソロモン符号化されたTS信号に対してエラーを挿入する。図6は本発明におけるリード・ソロモン符号化されたTS信号に対しエラー挿入するタイミング図を示す。時刻Ta及びTa’にてタイミングフラグkが出力され、その時刻に同期してエラー挿入する。エラー挿入期間は、例えば1ワード分や1ビット分データを反転(インバート)することで容易に可能であり、タイミングフラグkに同期した時刻であれば、TSパケット204ワードのうちどの位置でも構わない。また、エラー挿入期間を例えば1ワード分や1ビット分としたが、前記述べた通り受信側でのリード・ソロモン誤り訂正にて訂正可能な8ワード以下であれば任意の期間とする。
【0022】
また、送信側にてエラー挿入を行う目的として、詳細は後述するが、受信側における誤り訂正処理において、所定間隔で挿入されたエラーを訂正しその時刻を検出することが目的であるため、後段の伝送路においては、当該挿入したエラー以外にエラー誤りのないエラーフリーの回線状況での運用を想定している。また、送信側にて所定間隔でエラー挿入をすることは、受信側において所定間隔でエラーが検出されることとなり、一見、通常の伝送路障害によって発生するエラー誤りと同じこと(エラーフリーとはならない)になるが、前述の通り、運用するユーザが、例えば中継伝送を行う前などのオフライン作業として、予め伝送遅延時間を測定し把握するためのテスト運用となるため問題はない。当然、本線信号である映像及び音声信号を中継伝送する本番運用においては、当該エラー挿入処理は行わないものとする。
【0023】
こうしてエラー挿入されたTS信号は、外インタリーブ部1−2−4でエラー訂正を効果的に行わせるためのデータ順序並べ替えであるインタリーブ処理が行われる。その後、畳み込み符号化部1−2−5にて、QAM方式の場合はトレリス符号化処理が、OFDM方式の場合は畳み込み符号化処理を行い(内符号化)、内インタリーブ部1−2−6にて前記外インタリーブ処理よりも長い期間のデータ順序並べ替えであるインタリーブ処理が行われる。このインタリーブ処理は、QAM方式の場合は時間軸方向にデータ順序並べ替えを行う畳み込み時間インタリーブのみが施され、OFDM方式は、キャリア単位のバースト誤りの影響を軽減する目的為のビットインタリーブ、フェージングやマルチパス妨害による特定の周波数の落ち込み(ディップ)による誤りの影響を軽減する目的為の周波数インタリーブ、更にQAM方式同様の畳込み時間インタリーブが施される。
【0024】
デジタル変調部1−3では、前記伝送路符号化信号Cを64QAM、32QAM、16QAM、QPSKといったマッピング処理を施した後、QAM変調又はOFDM変調方式にてデジタル変調した後、130MHzのIF信号Dを生成し送信高周波部1−3へ供給される。
送信高周波部1−3に入力されたIF信号Dは、増幅され、7GHz、10GHzといったマイクロ波帯に周波数アップコンバートされ、高周波信号Eが生成されフィールドに出力される。次に受信装置2について説明する。受信された送信装置1からの高周波信号Eは受信高周波部2−1へ供給される。受信高周波部2−1では、受信した7GHz、10GHzといったマイクロ波帯の高周波信号Eを周波数ダウンコンバートし、130MHzのIF信号Fに周波数変換されてデジタル復調部2−2へ供給される。
【0025】
デジタル復調部2−2では、IF信号Fが入力され、QAM方式又はOFDM方式にてデジタル復調処理を施した後、デマッピング処理し、元の符号化信号Gを生成する。伝送路復号化部2−3では、デインタリーブ、ビタビ復号化、リード・ソロモン復号化等の誤り訂正復号化処理が行われ、元のTS信号Hとしてデコーダ部2−4へ供給される。この時、前記伝送路復号化部2−3にてリード・ソロモン復号化における誤り訂正処理にて、前記送信側にて所定間隔で挿入されたエラーを検出しエラー検出フラグMを遅延時間算出部2−5へ供給する。デコーダ部2−4においては、前記TS信号より映像信号及び音声信号がそれぞれ伸張され再び元の出力映像信号I1、出力音声信号I2として出力される。また、音声パターン検出部2−6において、出力音声信号I2より前記送信側において挿入された特異パターンを見つけ、音声パターン検出フラグNを遅延時間算出部2−5へ供給する。更に、遅延時間算出部2−5において、前記伝送路復号化部2−3にて検出されたエラー検出フラグMが検出されてから前記音声パターン検出部2−6よりの音声パターン検出フラグNが検出されるまでの時間を算出することで前記エンコーダ部1−1及び前記デコーダ部2−4における遅延時間とし、当該算出されたコーデック遅延時間情報に対し、その他の遅延時間(コーデック時間を除いた伝送路符号化、デジタル変復調、マイクロ回線伝送での遅延時間)に相当する既知の遅延時間情報を加算することで、当該伝送システムにおける総遅延時間である遅延時間情報Oを求めることが可能となる。
【0026】
図7に、本発明における伝送路復号化部2−3の具体的な構成の一例を示し、説明する。内デインタリーブ部2−3−1、ビタビ復号化部2−3−2、外デインタリーブ部2−3−3、リード・ソロモン(RS)復号化部2−3−4、エネルギー逆拡散部2−3−5、B8h置換部2−3−6より構成される。前記図15で示した従来の伝送復号化部1−2と基本的に構成は全く同じである。こちらも処理の流れは前記伝送路符号化部1−2と逆の処理が施される。図7において、入力された符号化信号Gは、内デインタリーブ部2−3−1にて前記内インタリーブ部1−2−6にて行ったデータ順序並べ替えを元に戻す逆インタリーブ処理された後、ビタビ復号化処理部2−3−2にて前記畳み込み符号化部1−2−5にて付加された情報を元に誤り訂正処理される。その後、外デインタリーブ部2−3−3でデータ順序並べ替えを元に戻す逆インタリーブ処理され、RS復号化部2−3−4でリード・ソロモン誤り訂正され、エネルギー逆拡散部2−3−5でエネルギー逆拡散の処理が行われ、B8h置換部2−3−6で8TS周期に1回、B8hに変換された先頭ワードを47hに置換し直すことで、元のTS信号Hとなる。本発明では、前記RS復号化部2−3−4において、前記送信側にて挿入されたエラーをリード・ソロモン誤り訂正すると共にエラー検出フラグMを出力するものとする。
【0027】
図8は、RS復号化部2−3−4において、送信側にてTS信号に所定間隔でデータを反転することにより挿入されたエラー箇所(例えば1ワードや1ビット)を検出し、エラー検出フラグMを出力するタイミング図であり、時刻Ta及びTa’にてエラーが検出され、同時刻にてエラー検出フラグMが出力される。当然エラー検出の間隔は、送信側にてエラーを挿入した間隔(Ta’−a:例えば2秒間)と一致する。また、前述の通り、エラー挿入期間をリード・ソロモン誤り訂正にて訂正可能な8ワード以下としているため、当該送信側にてTS信号に挿入されたエラーは全て訂正されたのち、後段のエネルギー逆拡散部2−3−5へ供給される。
【0028】
図9は、前記音声パターン検出部2−6において、デコード後の出力音声信号I2より、送信側において挿入された、前記図4(b)に示した振幅レベルが変化する特異パターン点(時刻)を見つけ、音声パターン検出フラグNを出力するタイミング図である。送信側にて生成のテストパターンは、所定周期(Ta’-a:例えば2秒周期)ごとに例えば10kHzのサイン波形が時刻Ta及びTa’にて振幅レベルが変化(例えは振幅が2倍に変化)する特異パターンを持つ波形としてあるため、図9に示した通り、検出した音声信号の振幅レベルに対してスレッショルド値を設け、当該スレッショルドを超えた値を検出した場合に音声パターン検出フラグNを出力する回路構成とすることで、容易に実現可能である。
【0029】
また、図10は、前記音声パターン検出部2−6において、前記図4(c)に示した周波数が変化する特異パターン点(時刻)を見つけ、音声パターン検出フラグNを出力するタイミング図である。例えば10kHzのサイン波形が時刻Ta及びTa’にて例えば5kHzに変化する特異パターンを持つ波形としてあるため、図9に示した通り、例えば検出したサイン波形のピークtoピーク間の周期に対してスレッショルド値(10kHzの場合は0.05ms)を設け、当該スレッショルドを超えた値を検出した場合に音声パターン検出フラグNを出力する回路構成とすることで、容易に実現可能である。
【0030】
図11に、本発明における遅延時間算出部2−5の具体的な構成の一例を示し、説明する。基準クロック生成部2−5−2よりの基準クロックSがカウンタ部2−5−1に入力され、カウンタ部2−5−1は当該基準クロックSに同期したカウンタ回路である。また、カウンタ部2−5−1は、前記RS復号化部2−3−4において検出されたエラー検出フラグMの時刻よりカウントを開始し、前記音声パターン検出部2−6において検出された、音声パターン検出フラグNの時刻にてカウントを停止し、当該カウント開始から停止までのカウント値の差分情報をコーデック遅延時間Tとして出力する。尚、カウント開始時刻であるエラー検出フラグMの検出される周期は、前述の通り、伝送システムにおける総遅延時間以上の周期(例えば2秒周期)としておくことで、始めにカウント開始時刻であるエラー検出フラグMが検出されてから、カウント停止時刻である音声パターン検出フラグNが検出される前に、続けて次のカウント開始時刻であるエラー検出フラグMが検出されることでの誤った検出がなされることが無いよう配慮されている。
前期算出されたコーデック遅延時間Tは、伝送路遅延時間加算部2−5−3において、予め既知であるコーデック遅延時間以外の遅延時間(コーデック時間を除いた伝送路符号化、デジタル変復調、マイクロ回線伝送での遅延時間)に相当する既知の遅延時間情報が加算され、当該伝送システムにおける総遅延時間である遅延時間情報Oを出力することが可能となる。
【0031】
前記予め既知であるコーデック遅延時間以外の遅延時間(コーデック時間を除いた伝送路符号化、デジタル変復調、マイクロ回線伝送での遅延時間)について、以下詳しく説明する。前述の通り、当該伝送システムにおけるコーデック遅延時間以外の遅延時間として、前記図5における内インタリーブ部1−2−6、及び図7における内デインタリーブ部2−3−1での時間インタリーブ処理による遅延時間がある。当該時間インタリーブ処理による遅延時間は、例えばOFDM方式においては、例えば75.6ms、378ms、760msといったように複数パターンあり、運用形態によって使い分けがなされる。一方、QAM方式においては1.3msと、OFDMに対して非常に短い1種のみとなる。また、その他の処理における遅延時間は、QAM方式、OFDM方式ともに何れも数μsオーダーの非常に短い処理時間で済むため、個々の遅延時間を加算しても1msにも満たない非常に小さな処理時間となることから、ここでは無視しても問題はない。更には、通常求められる伝送遅延時間の単位は、伝送素材である映像信号の単位(1フレーム:約33ms)を基準として考えられることから、ms単位の分解能であれば十分である。以上のことから、既知であるコーデック遅延時間以外の遅延時間は、上記時間インタリーブ処理による遅延時間と同じであるとみなすことができる。
【0032】
図12に本発明における遅延時間算出のタイミング図を示し、全体の処理について説明する。横軸は信号の処理時間を示し、図12(a)は伝送システム全体に渡る総遅延時間、図12(b)はコーデック遅延時間を除いた伝送路遅延時間を示す。
まず、(a)総遅延時間において、送信側にて入力音声信号に対して特異パターン持ったテストパターンを挿入し、映像信号と共にエンコード処理を行う。その後、伝送路符号化及びデジタル変調してマイクロ波として送出され、受信側にて再びマイクロ波よりデジタル復調したのち伝送路復号化を行う。その後、デコード処理され元の音声信号及び映像信号となる。デコード処理後の音声信号より特異パターンを検出する。
(b)伝送路遅延時間において、送信側にて伝送路符号化の際にTS信号にエラーを挿入し、デジタル変調してマイクロ波として送出する。受信側にて再びびマイクロ波よりデジタル復調したのち伝送路復号化を行う。伝送路復号化の際にTS信号よりエラーを検出する。
前記エンコード前のテスト音声信号への特異パターンの挿入時刻と伝送路符号化の際のTS信号へのエラー挿入時刻は、図4及び図6で述べた出力タイミングフラグにより同時刻処理であるため、総遅延時間と伝送路遅延時間の時間軸上における時刻は一致する。
【0033】
(b)伝送路遅延時間における伝送路復号化の際のTS信号よりエラーを検出する時刻から、(a)総遅延時間におけるデコード処理後の音声信号より特異パターンを検出する時刻までのカウンタによる時間計測結果は、エンコードおよびデコード処理による遅延時間の合計に等しい。つまりは、コーデックによる遅延時間とみなすことができる。伝送路遅延時間は前述の通り、時間インタリーブでの遅延のみとみなすことができ、且つ予め既知の値であることから、カウンタによる時間計測結果(コーデック遅延時間)と既知の伝送路遅延時間(時間インタリーブでの遅延時間)とを加算した結果が総遅延時間、つまりは、映像及び音声信号入力から出力までに要した総遅延時間として算出する。
なお、本発明においては、入力素材である音声信号に特異パターンを挿入することで音声信号に関わるコーデック遅延時間を求めたが、MPEG方式やH.264方式と言った映像信号と音声信号をエンコード・デコードし伝送するシステムにおいては、通常リップシンクと呼ばれる映像及び音声信号を同時刻(同遅延時間)にてデコード出力するよう管理されたシステムとなっているため、音声信号の遅延時間を算出することは、同じく映像信号の遅延時間を算出することと同じであることを利用している。
【0034】
ここで、伝送路符号化部1−2にて、リード・ソロモン符号化、インタリーブ、トレリス畳み込み符号化等の誤り訂正符号化処理をして、伝送路復号化部2−3では、デインタリーブ、ビタビ復号化、リード・ソロモン復号化等の誤り訂正復号化処理が行われる代わりに、伝送路符号化部1−2にて、インタリーブを含むターボ符号または低密度パリティ検査符号の誤り訂正符号化処理をして、伝送路復号化部2−3では、デインタリーブを含むターボ復号化または低密度パリティ検査復号化等の誤り訂正復号化処理が行われ、TS信号に対してターボ符号または低密度パリティ検査符号を行う後にて所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてエラーまたはユニークコードを挿入し遅延時間を自動的に検出可能とする機能を有しても良い。
つまり実施例1は、デジタル伝送システムにおいてTS信号に対してリード・ソロモン符号化、ターボ符号または低密度パリティ検査符号の誤り訂正符号化を行う後にて所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてエラーまたはユニークコードを挿入し遅延時間を自動的に検出可能とする機能を有することで、送信装置と受信装置が遠距離にあっても、運用形態によって遅延時間がその都度変化しても、測定器を必要とせず遅延時間を自動的に検出する。
【0035】
ここで、ターボ符号では、符号器はビット列を3つのサブブロックとして送信する。第一のサブブロックは m-ビットのペイロードデータである。第二のサブブロックはそのペイロードデータの n/2 パリティビット列であり、再帰系統的畳み込み符号(RSC符号)を使って計算する。第三のサブブロックはペイロードデータの既知の並べ替えの n/2 パリティビット列であり、こちらもRSC畳み込み符号を使って計算する。従って、ペイロードと共に2つの冗長だが異なるパリティビット列が送信される。ブロック長は m+n ビットであり、符号レートは m/(m+n) である。ペイロードデータの並べ替えは、インターリーバ(interleaver)というデバイスを使う。
さらに、ターボ符号では、復号器も符号器と似たような形で構築され、2つの復号器を相互接続するが、こちらは直列接続であって並列接続ではない。一段目の復号器 DEC1 が符号器 C1 に対応し、二段目の復号器 DEC2 が符号器 C2 に対応している。DEC1 は軟判定を行い、それによって L1 の遅延が生じる。同じ遅延は符号器のインタリーバ部分にあるレジスタでも生じる。D EC2 では L2 の遅延を生じる。2つの復号器の中間にインターリーバが置かれ、DEC1 の出力におけるバースト誤りを分散させる。受信信号のうち xk はそのまま DEC1 に入力されるが、y1k または y2k に相当する部分はデマルチプレクサによって DEC1 か DEC2 に振り分けられる。
【0036】
また、低密度パリティ検査符号は線形符号であるが、パリティ検査行列として疎行列を用いる。この疎行列はランダムに生成される。
【実施例2】
【0037】
実施例2の実施例1との相違点のみ説明する。
デジタル伝送システムにおいて、実施例1の当該TS信号に対してリード・ソロモン符号化を行う後に所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてエラーまたはユニークコードを挿入する替わりに、実施例2では当該TS信号に対してリード・ソロモン符号化を行う前に所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてユニークコード(冗長ワード)を挿入する。つまり、ユニークコードの挿入位置は伝送路符号化部(リード・ソロモン符号化部後)にて行うのではなく、その手前のTS信号にて行う。 同じく受信側でのユニークコードの検出位置も図16の通り伝送路復号化後となる。実施例1同様に、リード・ソロモン符号化、インタリーブ、トレリス畳み込み符号化等の誤り訂正符号化処理ではなく、インタリーブを含むターボ符号または低密度パリティ検査符号の誤り訂正符号化でも良い。
ここで、本発明における他の一実施例の遅延時間算出方法のシステム構成を示すブロック図の図16において、GPS信号、準天頂衛星信号、地上デジタル放送信号または原子時計情報信号等の時刻情報信号のYを送信側と受信側とで受信し、送信側と受信側とで同期した絶対的な時間情報を共有している。
以下、本発明における他の一実施例の遅延時間算出方法のシステム構成を示すブロック図の図16と本発明における他の一実施例の(冗長ワード等の)TS信号へのユニークコード挿入タイミング図とユニークコードの模式図の図17で、実施例2の実施例1との相違点のみ説明する。
図1の1−6のタイミング生成部と2−5の遅延時間算出部が原子時計を有しているのと異なり、図16のユニークコード挿入部1−7と2−5の遅延時間算出部にGPS信号、準天頂衛星信号、地上デジタル放送信号または原子時計情報信号等の時刻情報信号のYを送信側と受信側とで受信している。
図16の伝送路符号化部1-2と音声タイミングパターン生成部1-5と伝送路復号化部2-3と音声パターン検出部2-6と遅延時間算出部2-5との構成と動作は実施例1と共通なので、説明を省略する。また。音声テストパターン発生タイミング図とTS信号への挿入タイミング図とTS信号よりの検出処理タイミング図と遅延時間算出のタイミング図も実施例1と共通なので、説明を省略する。
【0038】
本発明における他の一実施例の遅延時間算出方法のシステム構成を示すブロック図の図16において、入力映像信号A1、入力音声信号A2は送信装置1に入力される。送信装置1に入力された、入力映像信号A1はエンコーダ部1−1、入力音声信号A2は音声タイミングパターン1−5へ供給される。音声タイミングパターン生成部1−8では後述するユニークコード挿入部1−7からの絶対的な時間情報Yに基づく所定のタイミングで音声信号に特異パターンを挿入する。
【0039】
エンコーダ部1−1では、入力映像信号A1、および音声タイミング生成部1−8で生成した音声信号A3は、MPEG2方式やH.264方式といった圧縮方式にて符号化したのちTS信号Bを生成し、伝送路符号化部1−2へ供給する。伝送路符号化部1−2にて、リード・ソロモン符号化、インタリーブ、トレリス畳み込み符号化等の誤り訂正符号化処理が行われ、伝送路符号化信号Dが生成される。デジタル変調部1−3では、伝送路符号化信号Dは64QAM、32QAM、16QAM、QPSKといったマッピング処理を施した後、QAM方式またはOFDM方式にてデジタル変調し、中間周波数帯のIF信号Eを生成し送信高周波部1−4へ供給される。
送信高周波部1−4に入力されたIF信号Eは、7GHzや10GHzといった高周波帯に周波数アップコンバートされ、増幅した高周波信号Fが伝送路に出力される。
【0040】
次に、受信装置1について説明する。受信した送信装置1からの高周波信号Eは受信高周波部2−1において、受信した7GHzや10GHzといった高周波帯の高周波信号Eから中間周波数帯のIF信号Fに周波数変換され、デジタル復調部2−2へ供給される。デジタル復調部2−2では、IF信号FをQAM方式又はOFDM方式にてデジタル復調処理を施した後、デマッピング処理し、デマッピング信号Gを生成する。
伝送路復号化部2−3では、デマッピング信号Gにデインタリーブ、ビタビ復号化、リード・ソロモン復号化等の誤り訂正復号化処理が行われ、送信したTS信号と同様のTS信号Hがユニークコード検出部2−7へ供給される。ユニークコード検出部2−7では、識別IDが冗長データである事を示すIFFFでかつデータ領域がユーザが指定したユニークデータのとき、遅延時間算出部2−5にタイミングフラグを供給する。
デコーダ部2−4においては、前記TS信号Hより映像信号及び音声信号がそれぞれ復号され、再び送信機入力と同様の映像信号I1・音声信号I2が出力される。音声パターン検出部2−6においては、音声信号I2に重畳されたタイミングパターンを検出し、遅延時間算出部2−5へ出力する。遅延時間算出部2−5においては、入力されたユニークコード検出部Mおよび音声タイム信号Nより遅延時間を算出し、遅延時間情報Oを得る。得られた遅延時間情報を使用し、表示器への通知や信号の遅延補正などを行う。
【0041】
次に送信装置側のユニークコード挿入及び音声タイミング生成部の詳細動作について説明する。
本発明における他の一実施例のTS信号へ挿入する(冗長ワード等の)ユニークコードのパケット構成の模式図の図17において、図17(c)にユニークコード挿入部1−7で生成されるユニークコードのパケット構成例を示す。例に示す生成パケットは、パケット長が204バイトのものである。パケットヘッダーの4バイトには、同期バイトのほか、パケット識別ヘッダーが含まれる。パケットヘッダーの先頭にはTS信号の同期バイト「47」を付与する。(以下、記載が無い限りデータは16進数で表記する。)同期バイトに続く2バイトは冗長用パケットを示す識別ヘッダーである。2バイトの最初の3ビットはTSで使用するインジケータフラグであり、デフォルト値として「0」を設定する。続く13ビットはパケットの内容を示す付加信号識別IDである。付加信号識別IDは、冗長パケットを示す「1FFF」である。例として。なお冗長データであるためデコーダ動作に影響を与えることはない。識別IDに続いてTS信号で使用するコントロール信号、および巡回カウンタとして1バイト使用し、「10」と設定する。パケットヘッダーに続くデータ領域にユニーク情報を記載する。図17(a)では最初の4バイトをオール「00」とし、残りの180バイトをオール「FF」としている。なお、エンコーダ出力の冗長パケットのデータ領域は一般的に初期値オール「FF」である。
図17(b)はTS信号の冗長パケット対しユニークコードを挿入するタイミング図を示す。時刻Ta及びTa’にてタイミングフラグkが出力され、その時刻に同期してユニークコードを挿入する。
【0042】
本発明における他の一実施例の遅延時間算出方法のシステム構成を示すブロック図の図16において、ユニークコードの挿入位置は伝送路符号化部(リード・ソロモン符号化部後)にて行うのではなく、その手前のTS信号にて行う。 同じく受信側でのユニークコードの検出位置も図16の通り伝送路復号化後となる。
従来技術における伝送路符号化部1-2の構成を示すブロック図の図14のように、伝送路符号化部(リード・ソロモン符号化部後)だと、エネルギー拡散部を介するため、当該処理にて元のTS信号形式が崩れ、本発明における他の一実施例のTS信号へ挿入する(冗長ワード等の)ユニークコードのパケット構成の模式図の図17に示したPID(Pack et Identifier:13ビットのストリ−ム識別情報で、該当パケットの個別ストリ−ムの属性を示す)等の識別(NULLの検出)が不可能となる。
【0043】
本発明における他の一実施例のTS信号へのユニークコード挿入と音声テストパターンの特異点挿入とのタイミング図の図18において、(a)TS信号は、エンコード後(伝送路符号化前)のTS信号で、TSパケットは204ワードであり、NULLパケットを検出しユニークコードを挿入し、途中のNULLパケットにはユニークコードの挿入は行わないで、2秒間以上間を開けてNULLパケットを検出しユニークコードを挿入する。
また、図18(b)タイミングフラグでは、TS信号のNULLパケットを検出しユニークコードを挿入したら、タイミングフラグ生成する。
さらに、図18(c)テストパターン波形(振幅レベル切替え)では、TS信号のNULLパケットを検出しユニークコードを挿入し、タイミングフラグ生成したら、テストパターンを切替える。
【0044】
実施例2は、デジタル伝送システムにおいて当該TS信号に対してリード・ソロモン符号化、ターボ符号または低密度パリティ検査符号の誤り訂正符号化を行う前にて前記所定間隔のタイミングパルスに同期した時刻にてエラーまたはユニークコードを挿入遅延時間を自動的に検出可能とする機能を有することで、送信装置と受信装置が遠距離にあっても、運用形態によって遅延時間がその都度変化しても、測定器を必要とせず遅延時間を自動的に検出する。
【実施例3】
【0045】
実施例3の実施例1との相違点のみ説明する。
デジタル伝送システムにおいて、GPS信号、準天頂衛星信号、地上デジタル放送信号または原子時計情報信号等の時刻情報信号を送信側と受信側とで受信とで受信し、送信側と受信側とで同期した絶対的な時間情報を共有することを明示している。また、デジタル伝送システムの送信側の送信機でGPS信号や地上デジタル放送信号を受信するのではなく、送信側の入力映像・音声信号の生成装置において、GPS信号や地上デジタル放送信号を受信し送信側の入力映像・音声信号のタイムコードを絶対的な時間情報とするでも良い。
以下、本発明における他の一実施例の遅延時間算出方法のシステム構成を示すブロック図の図19と本発明における他の一実施例のタイムコード情報多重回路の構成を示すブロック図の図20とで、実施例3の実施例1との相違点のみ説明する。
タイミング生成部1-6と音声テスト信号生成部1-5と伝送路符号化部1-2と伝送路復号化部2-3と音声パターン検出部2-6と遅延時間算出部2-5との構成と動作は実施例1と共通なので、説明を省略する。また。音声テストパターン発生タイミング図とTS信号への挿入タイミング図とTS信号よりの検出処理タイミング図と遅延時間算出のタイミング図も実施例1と共通なので、説明を省略する。
【0046】
入力映像・音声信号Aは送信機1に入力される。送信機1に入力された、入力映像・音声信号Aはタイムコード重畳部1−7およびタイムコード検出・生成部1−6Bへ供給される。本タイムコード信号とは、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)にて定義された映像、音響機器の同期および編集で用いられる時間情報であり、映像同期信号の垂直ブランキング期間に重畳される。本情報の最小分解能は映像信号の「1コマ」を示すフレーム単位であり、その他の時刻情報として、時、分、秒が含まれる。
GPS信号や地上デジタル放送信号を送信側と受信側とで受信し、送信側と受信側とで同期した絶対的な時間情報Yを共有する。
タイムコード検出・生成部1−6Bでは、入力映像・音声信号Aのタイムコード信号を検出し、未重畳の場合は新たに伝送用タイムコード信号Jを生成し、タイムコード重畳部1−5へ出力する。また、タイムコード検出・生成部1−6Bにおいては、検出したタイムコード信号、あるいは生成したタイムコード信号よりTSパケット形式のタイムコードパケット信号Lを生成し、デジタル変調部1−3Bへ供給する。
タイムコード重畳部1−7では、入力映像・音声信号Aにタイムコード信号が重畳されている場合はそのまま出力し、重畳されていない場合は、タイムコード検出・生成部1−6Bで内部生成したタイムコード信号Jを入力映像・音声信号Aに重畳し、タイムコード重畳信号Kを出力する。
エンコーダ部1−1では、前記タイムコード重畳信号Kを再び映像信号、音声信号、タイムコード情報に分離し、映像信号及び音声信号は、MPEG方式やH.264方式といった圧縮方式にて符号化したのちタイムコード情報と共に多重化し、TS信号Bを生成し、伝送路符号化部1−2へ供給する。伝送路符号化部1−2にて、リードソロモン符号化、インタリーブ、トレリス畳み込み符号化等の誤り訂正符号化処理が行われ、伝送路符号化信号Cが生成される。デジタル変調部1−3では、伝送路符号化信号Cに前記タイムコード検出・生成部にてパケット化したタイムコードパケット信号Lが多重処理され、64QAM、32QAM、16QAM、QPSKといったマッピング処理を施した後、QAM方式またはOFDM方式にてデジタル変調し、中間周波数帯のIF信号Dを生成し送信高周波部1−4へ供給される。
送信高周波部1−4に入力されたIF信号Dは、7GHzや10GHzといった高周波帯に周波数アップコンバートされ、増幅した高周波信号Eが伝送路に出力される。
【0047】
次に、受信機2について説明する。受信した送信機1からの高周波信号Eは受信高周波部2−1において、受信した7GHzや10GHzといった高周波帯の高周波信号Eから中間周波数帯のIF信号Fに周波数変換され、デジタル復調部2−2Bへ供給される。 デジタル復調部2−2Bでは、IF信号FをQAM方式又はOFDM方式にてデジタル復調処理を施した後、デマッピング処理し、デマッピング信号Gを生成する。同時に本線TS信号に多重されたタイムコードパケット信号Mを分離し、遅延時間算出部2−5Bに入力する。 伝送路復号化部2−3では、デマッピング信号Gにデインタリーブ、ビタビ復号化、リードソロモン復号化等の誤り訂正復号化処理が行われ、送信したTS信号と同様のTS信号Hがデコーダ部2−4へ供給される。デコーダ部2−4においては、前記TS信号Hより映像信号及び音声信号がそれぞれ復号され、再び送信機入力と同様の映像・音声信号Iが出力される。タイムコード検出部2−6においては、映像・音声信号Iに重畳されたタイムコード信号Nを分離し、遅延時間算出部2−5Bに入力する。
遅延時間算出部2−5Bにおいては、入力されたタイムコード・パケット信号Mおよびタイムコード信号Nより時間情報の比較を行い、時間の一致により到達時間の差分を算出し、動作管理部2−7から入力した変復調モードに依存する遅延時間となる補正値Wを加算し、遅延時間情報Oを得る。得られた遅延時間情報を使用し、表示器への通知や信号の遅延補正などを行う。
【0048】
図2に送信機におけるタイムコード信号の多重回路を示す。 タイムコード検出1−6−1において入力映像・音声信号Aからタイムコード信号を検出し、タイムコードが重畳されていない場合、タイムコード生成1−6−2にてタイムコードJを内部生成し、タイムコード重畳部1−5において入力信号へ重畳する。ここで生成するタイムコードは装置の持つ時間情報を元に生成し、各映像フレームに多重する。入力映像・音声信号Aにすでにタイムコード重畳されている場合は、選択信号Xによりスルー出力とする。
検出もしくは生成したタイムコード信号は、パケット化1−6−3において、装置で伝送可能なTS信号形式とするため、同期信号や識別ヘッダーを付与してパケット構造化したタイムコードパケット信号Lを生成し、デジタル変調部1−3に入力する。
【0049】
デジタル変調部1−3Bにおいて、伝送路符号化信号Cに生成したタイムコードパケット信号Lの多重位相を合わせるため、タイムコードパケット信号Lを一旦保持する(1−3−1)。保持したタイムコードパケット信号は、次に述べる出力タイミング信号Pが入力されるまで、最新の時間を示すよう逐次更新される。
冗長パケット検出1−3−2では伝送路符号化信号のパケットの先頭である同期バイトを検出後、ヘッダーの識別により冗長パケットを判別する。タイムコードパケットの多重タイミングである冗長パケットの検出により出力タイミング信号Pを生成し、保持1−3−1に保持したタイムコードパケット信号を多重回路1ー3−4に出力する。出力された保持出力タイムコードパケット信号Qは多重回路1−3−4において本線信号に多重処理される。
生成した出力タイミング信号Pは本線信号の同期信号位相から遅延があるため、そのままでは位相関係を保った多重処理ができない。そのため、タイムコードパケット信号の遅延を補うため、位相調整1−3−3で伝送路符号化信号の位相調整を行う。
多重回路1−3−4において、出力タイミング信号Pの示すタイミングで本線信号中の冗長パケットの1パケット期間を、保持出力タイムコードパケット信号Qに切り替え出力することにより多重処理を行う。
多重回路1−3−4から出力した多重信号は変調回路1−3−5にてマッピングやQAM,OFDMといったデジタル変調処理を行い、周波数変換1−3−6にて中間周波数帯に周波数変換し、IF信号Dとしてデジタル変調部から出力される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明はFPU等の伝送装置における、特に移動中継の場合の、遅延時間の検出に広く適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1:送信装置、1−1:エンコーダ部、1−2:伝送路符号化部、1−3:デジタル変調部、1−4:送信高周波部、1−5:音声タイミングパターン生成部、1−6:タイミング生成部、1−7:ユニークコード挿入部、2:受信装置、2−1:受信高周波部、2−2:デジタル復調部、2−3:伝送路復号化部、2−4:デコーダ部、2−5:遅延時間算出部、2−6:音声パターン検出部、2−7:ユニークコード検出部、3:測定器1−2−1:B8h変換部、1−2−2:エネルギー拡散部、1−2−3:RS符号化部、1−2−4:外インタリーブ部、1−2−5:畳み込み符号化部、1−2−6:内インタリーブ部、1−2−7:エラー挿入部、1−6−1:基準クロック生成部、1−6−2:カウンタ部、1−5−1:サイン波発生部、1−5−2:ゲイン切替部、1−5−3:切替部、1−5−4:サイン波発生部、1−5−5:切替部、2−3−1:内デインタリーブ部、2−3−2:ビタビ復号化部、2−3−3:外デインタリーブ部、2−3−4:RS復号化部、2−3−5:エネルギー逆拡散部、2−3−6:B8h変換部、2−5−1:カウンタ部、2−5−2:基準クロック生成部、2−5−3:伝送路遅延時間加算部、1−3B…デジタル変調部、1−3−1…保持、1−3−2…冗長パケット検出、1−3−3…位相調整、1−3−4…多重回路、1−3−5…変調回路、1−3−6…周波数変換、1−7…タイムコード重畳部、1−6B…タイムコード検出・生成部、1−6−1…タイムコード検出、1−6−2…タイムコード生成、1−6−3…パケット化、2−2B…デジタル復調部、2−5B…遅延時間算出部、2−5−1…保持、2−5−2…比較、2−5−3…カウンタ停止制御、2−5−4…カウンタ開始制御、2−5−5…カウンタ、2−5−6…基準クロック、2−5−7…上限検出・補正値加算、2−6B…タイムコード検出部、A1:入力映像信号、A2:入力音声信号、B:TS信号、C:符号化信号、D:IF信号、E:高周波信号、F:IF信号、G:符号化信号、H:TS信号、I1:出力映像信号、I2:出力音声信号、J:遅延時間、K:タイミングフラグ、L:音声信号、M:エラー検出フラグ、N:音声パターン検出フラグ、O:遅延時間情報、P:サイン波形信号、Q:特異パターン音声信号、R:サイン波形、S:基準クロック、T:コーデック遅延時間、U:基準クロック、V…更新信号、W…補正値、Y…時間情報信号、
図1
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