(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
多孔質シリカ系粒子を製造する方法として、さまざまな方法が知られている。例えば、特許文献1(特開昭61−174103号公報)には、平均粒子径2500Å以下の一次粒子(シリカ系微粒子)を含むコロイド液を、スプレイドライヤーを用いて噴霧乾燥することにより、平均粒子径1〜20μmの多孔質シリカ系粒子を調製する方法が開示されている。
【0003】
特許文献2(特開2002−160907号公報)には、コロイド液を噴霧乾燥することにより、平均粒子径2〜250nmの無機シリカ微粒子が集まった平均粒子径1〜100μmの無機シリカ微粒子集合体を構成し、この集合体を酸化物層で被覆して球状多孔質粒子を作製することが開示されている。
【0004】
特許文献3(特開2010−138021号公報)には、10〜50nmのシリカ系微粒子分散液を噴霧乾燥して、平均粒子径0.5〜50μm、比表面積30〜250m
2/gの多孔質シリカ系粒子を作製することが開示され、特許文献4(特開2010−138022号公報)には、50〜300nmのシリカ系微粒子分散液を噴霧乾燥して、平均粒子径0.5〜50μm、比表面積10〜100m
2/gの多孔質シリカ系粒子を作製することが開示されている。特許文献5(特開2005−298739号公報)には、セラミック粉末と40℃〜250℃の温度で生じる化学反応や状態変化により消失する物質とを含んだスラリーを噴霧乾燥して、多孔質シリカ系粒子を作製することが開示されている。
【0005】
また、化粧料に感触改良材として球状の多孔質シリカ系粒子などを配合することも、一般的に知られている。例えば、特許文献6(特開2009−137806号公報)には、化粧料に多孔質シリカ系粒子を配合することによって、化粧料の感触改良材に求められる代表的な感触特性としての、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性などを兼ね備えた粉末固形化粧料を得る方法が開示されている。
【0006】
しかし、上述の多孔質シリカ系粒子は以下に示すナノマテリアルの定義に該当する懸念がある。欧州委員会より2011年10月18日付けの勧告で、(1)1〜100nmの範囲の粒度分布が50個数%を超えるもの、(2)単位体積当たりの比表面積(SA)が60m
2/cm
3を超えるもの、がナノマテリアルに該当すると定義された。前述した多孔質シリカ系粒子は、いずれもナノサイズの細孔と高い比表面積を有しており、シリカの密度2.2g/cm
3で換算した単位重量当たりの比表面積は27m
2/gを超えている。ナノマテリアルに属する粒子が、直ちに環境、健康、安全上、重大な問題を生じると確認された訳ではないが、使用者、消費者からは、ナノマテリアルに該当する粒子の使用を避けることが求められるであろう。
【0007】
また、今後ナノマテリアルの定義がREACHに導入された場合、該当する粒子の利用に対して、いろいろな書類の提出が要求される可能性があり、手続きに時間と費用がかかったり、産業利用上で支障をきたしたりする虞がある。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<シリカ系微粒子>
本発明では、多孔質シリカ系粒子を構成するシリカ系微粒子として、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニアなどを用いることができる。シリカ系微粒子の組成の違いによって多孔質シリカ系粒子の製造条件を変更する必要はない。化粧料に配合することを考慮すると、シリカ系微粒子として非晶質シリカが好適である。
【0019】
また、シリカ系微粒子の真球度は、0.85〜1.00が好ましい。真球度とは、透過型電子顕微鏡により写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、それぞれその最大径(DL)と、これに直交する短径(DS)との比(DS/DL)の平均値を意味する。真球度が0.85未満では、多孔質シリカ系粒子の強度に大きな影響を与えるため好ましくない。
【0020】
シリカ系微粒子は、平均粒子径(d
2)が100nmより大きく1000nm以下で、粒子径変動係数(CV値)が5〜15%であることが好ましい。この平均粒子径の範囲にあるシリカ系微粒子により得られる多孔質シリカ系粒子は、ナノマテリアルの定義に適合することがなく、安心して従来の多孔質シリカ系粒子と同様な用途で使用することができる。平均粒子径(d
2)は、110〜600nmの範囲が好ましく、特に、120〜550nmの範囲が望ましい。
【0021】
なお、真球度0.85〜1.00のシリカ系微粒子では、粒子径変動係数(CV値)が15%を超えると、多孔質シリカ系粒子の強度に大きな影響を与えるため好ましくない。5%未満の場合は、本発明にとってより望ましいものの、このような粒度分布のシリカ系微粒子を工業的に得ることは容易ではない。
<多孔質シリカ系粒子>
本発明の多孔質シリカ系粒子は、シリカ系微粒子で構成されている。多孔質シリカ系粒子の平均粒子径(d
1)は0.5〜25μm、BET法で求めた比表面積は5〜60m
2/cm
3、細孔容積は0.35〜2.0ml/gである。平均粒子径はレーザー回折法で求められる。多孔質シリカ系粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、粒子粉体に触ったとき、球状粉体としての転がり感が感じられないばかりでなく、延び広がり感の悪さを感じるようになる。一方、25μmを超えると、粒子粉体に触ったとき、ざらつき感やシャリシャリ感を感じるようになる。多孔質シリカ系粒子の平均粒子径(d
1)は2〜10μmの範囲がより好ましい。
【0022】
BET法で求めた単位体積当たりの比表面積が5m
2/cm
3未満であると、真球または真球に近い形状でない粒子の割合が増え、化粧料の感触改良材に求められる代表的な感触特性(さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性)が著しく低下し、60m
2/cm
3(シリカの場合は27m
2/g)を超えるとナノマテリアルの定義に該当する。
【0023】
さらに、多孔質シリカ系粒子の細孔容積が0.35ml/g未満であると、粒子自体の多孔性が低くなることから、粒子内部の細孔での吸油性が低下する。また、粒子自体が重くなることから、粒子粉体に触った感触として、さらさら感、転がり感、均一な延び広がり性、転がり感の持続性が低下する。一方、細孔容積が2.0ml/gを超えると、粒子自体の多孔性が高いことから粒子強度が低くなるため、肌上に塗布した際に粒子が崩壊し易くなる。結果的に、転がり感の持続性が著しく低下する。
【0024】
また、多孔質シリカ系粒子の細孔径分布(X軸:細孔径、Y軸:細孔容積を細孔径で微分した値)における最頻細孔径(D
m)が、100nmより大きく4000nm未満の範囲にある(100<D
m<4000[nm])。最頻細孔径(D
m)が100nm以下の場合は、所望の細孔容積「0.35ml/g以上」と所望の比表面積「60m
2/cm
3以下」(シリカの場合は27m
2/g以下)を両立させることは現実的に難しい。なお、最頻細孔径(D
m)が4000nm以上の場合は、粒子の強度が低下しやくすくなるため好ましくない。最頻細孔径(D
m)は、150超〜3000nm未満の範囲(150<D
m<3000)が好ましく、さらに200超〜2000nm未満の範囲(200<D
m<2000)が特に望ましい。
【0025】
細孔径分布について、
図1を用いて説明する。後述する実施例1で作製された多孔質シリカ粒子の細孔径分布を、
図1に示す。ここで、X軸は細孔径(Pore Diameter)、Y軸は細孔容積を細孔径で微分した値(ΔV)である。X軸のある細孔径値(図中、破線で表現)を境に分布曲線が二つ並んでいる。すなわち、
図1では、多孔質シリカ系粒子の内部に存在する細孔に因る第一分布曲線と多孔質シリカ系粒子の粒子間の空隙に因る第二分布曲線の間に、ΔVが0%の細孔径が存在している。
【0026】
第一分布曲線において、ΔVが計測された最も小さい細孔径D
0が最小細孔径であり、第一ピーク(第一分布曲線におけるΔVの最大値)に対応する細孔径D
mが最頻細孔径であり、右端の(ΔVが計測された最も大きい)細孔径D
100が最大細孔径である。
【0027】
ちなみに、
図1では、最頻細孔径(D
m)が834nm、最小細孔径(D
0)が150nm、最大細孔径(D
100)が1211nmであり、第二分布曲線の頂点が2445nmである。
【0028】
多孔質シリカ系粒子は、シリカ系微粒子(シリカゾルからなる一次粒子)の疎なパッキング構造である。そのため、多孔質シリカ系粒子の細孔径分布における最小細孔径(D
0)は25〜500nmの範囲に、最大細孔径(D
100)は300〜8000nmの範囲に、最大細孔径(D
100)と最小細孔径(D
0)との比(D
100/D
0)は4〜320の範囲にある。
【0029】
最小細孔径(D
0)が25nm未満の場合は、所望の細孔容積(0.35ml/g以上)と所望の比表面積(60m
2/cm
3以下)を両立させることは現実的に難しい。500nmを超える場合は、粒子の強度が低下しやくすくなるため好ましくない。また、最大細孔径(D
100)が300nm未満の場合も、所望の細孔容積と比表面積を両立させることは現実的に難しい。8000nmを超える場合は、粒子の強度が低下しやくすくなるため好ましくない。なお、最大細孔径(D
100)と最小細孔径(D
0)の比、D
100/D
0が4未満の場合、および320を超える場合も、所望の細孔容積と比表面積を両立させることは現実的に難しい。
【0030】
なお、最小細孔径(D
0)は、50〜400nmの範囲が特に望ましく、最大細孔径(D
100)は、500〜4000nmの範囲が特に望ましい。また、細孔径比(D
100/D
0)は、4〜80の範囲が好ましく、4〜20の範囲が特に望ましい。
【0031】
多孔質シリカ系粒子には、このように細孔が形成されている。そのため、(D
m(最頻細孔径)×0.75〜D
m×1.25)nmの範囲内の細孔径を持つ細孔の合計容積が、全細孔容積の70%未満となる。なお、特許文献4は、シリカ系微粒子が密なパッキング構造を持つ粒子を開示しており、この場合は、全細孔容積の70%以上となることが知られている。
【0032】
このように、本発明の多孔質シリカ系粒子は、疎なパッキング構造を有している。電子顕微鏡で撮影した写真(SEM写真)を用いてこの構造を説明する。
図2は、後述する実施例1で作製された多孔質シリカ粒子のSEM写真(倍率10,000倍)である。複数のシリカ系微粒子が多くの空隙を形成しつつ接合し、疎なパッキング構造と粒子表面に凹凸の構造を形成している。
図3は、多孔質シリカ系粒子を液状樹脂中に入れて硬化させ、この粒子の断面を撮影したSEM写真(倍率10,000倍)である。この写真を用いて球状の多孔質シリカ系粒子の最中心部の微粒子(シリカ系微粒子)について、隣接する他の微粒子との接点数を計測する。これにより疎なパッキング構造を確認することができる。
図4は、多孔質シリカ系粒子の最中心部の一つの粒子と隣接する他の粒子との接点数を説明するモデル図である。接点数6は、最密充填構造である密なパッキング構造を示す。ただし、シリカ系微粒子の粒度分布が広く、平均粒子径程度のシリカ系微粒子に比べて、微細な小粒子や、粗大な大粒子が多く混在する場合には、接点数が6を超えることもあり得る。本発明では、多孔質シリカ系粒子は、接点数が4以下の疎なパッキング構造である。接点数が小さいほど、比表面積が同一でも、細孔容積は大きくなる。接点数は、3以下が好ましく、2以下がさらに好ましい。また、接点数が4を超える場合、すなわち密なパッキング構造を有している場合(例えば接点数6)では、細孔容積が大きい粒子を得ることができない。
図3の多孔質シリカ系粒子の接点数は2と計測される。なお、
図3では、粒子表面近傍では、中心部より接点数が大きく、一部に接点数が6の微粒子も観察される。この様に、多孔質シリカ系粒子は、中心部のシリカ系微粒子の接点数よりも、表面(外周)部のシリカ系微粒子の接点数が大きい構造となっている。このことから、最大の細孔径(D
100)と最小の細孔径(D
0)の比(D
100/D
0)の範囲が大きくなる(4≦(D
100/D
0)≦320)理由が説明できる。更に、この様な構造により、後述のように多孔質シリカ系粒子の圧縮強度が10MPa以上を示すと考えられる。
【0033】
さらに、シリカ系微粒子の平均粒子径(d
2)は、多孔質シリカ系粒子の平均粒子径(d
1)に対して、0.01〜0.30の範囲、好ましくは、0.02〜0.20の範囲である。この範囲であれば粒子表面に最適な凹凸が形成され、肌との接触面積を制御できることから転がり抵抗が低くなる。そのため、粒子粉体に触った際、および化粧料に配合した際にシャリシャリ感を感じることがなく、高いスライド感を有する感触特性が実現できる。
【0034】
また、多孔質シリカ系粒子の圧縮強度は10MPa以上、特に30MPa以上が望ましい。圧縮強度が10MPa未満の場合は、化粧料に配合する工程中に粒子が崩壊することがあり、所望の感触特性が得られないことがある。また、圧縮強度の上限は、特に限定されないが、たとえば200MPa程度であってもよい。
【0035】
さらに、多孔質シリカ系粒子は、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛の少なくとも一つを含む無機酸化物微粒子を50重量%以下の範囲であれば含有してもよい。この範囲内であれば、多孔質シリカ系粒子の粒子内部に均一に無機酸化物微粒子を含有することができる。ここで、酸化鉄としては、酸化第二鉄、α−オキシ水酸化鉄、四酸化三鉄であることが好ましい。また、無機酸化物微粒子の平均粒子径は、シリカ系微粒子と同レベルであることが望ましい。そのため、100〜1000nmの範囲が適している。
【0036】
また、多孔質シリカ系粒子は有機系微粒子を含んでいてもよい。有機系微粒子は後述する。また、多孔質シリカ系粒子はバインダーを含んでいてもよい。バインダーはシリカ系バインダーである。
<多孔質シリカ系粒子の製造方法>
本発明の多孔質シリカ系粒子の製造方法は、以下の工程(A)と工程(B)を含んでいる。
【0037】
(A)平均粒子径(100超〜1000)nm、固形分濃度10〜30重量%のシリカゾルに、固形分濃度1〜40重量%の範囲である珪酸バインダーを分散させ、分散スラリーを調製するスラリー調製工程。
【0038】
(B)分散スラリーを含む噴霧液を気流中に噴霧して多孔質シリカ系粒子を調製する噴霧乾燥工程。
【0039】
以下、各工程を詳細に説明する。
<工程(A)>
シリカゾルの濃度は、固形分換算で10〜30重量%の範囲にある。さらに、珪酸バインダーについては、固形分換算で1〜40重量%の範囲にある。この範囲のシリカゾルと珪酸バインダーを用いると、噴霧乾燥時に、粒子内部のバインダー成分のゲル化が乾燥初期に起こり、シリカゾルからなる構成一次粒子(シリカ系微粒子)が疎なパッキング構造(凝集構造)をなし、比表面積が小さい割には細孔容積が大きい多孔質シリカ系粒子を調製できる。また、珪酸バインダーにはシリカゾルからなる構成一次粒子(シリカ系微粒子)を接着する効果があることから、機械的強度が強い多孔質シリカ系粒子を調製できる。
【0040】
スラリー中の珪酸バインダーの固形分濃度(二酸化珪素換算)は、1.5〜10.0重量%が好ましい。特に、2.0〜5.0重量%の範囲が適している。固形分濃度が1.5重量%未満の場合、シリカ系微粒子が密なパッキング構造をとりやすくなる。そのため、細孔容積の大きな多孔質シリカ系粒子を調製することが困難となる。また、10.0重量%を超えると、珪酸バインダーの安定性が低下するため、経時によって微細なゲル状、または粒子状のシリカが生成する。そのため、比表面積が増加してしまい好ましくない。
<工程(B)>
噴霧乾燥は、市販のスプレイドライヤー(ディスク回転式やノズル式等がある)を用いた従来公知の方法で行うことができる。例えば、熱風気流中に1〜3リットル/分の速度で噴霧液を噴霧することによって行われる。この際、熱風の温度は、入口温度で70〜400℃、出口温度で40〜60℃の範囲にあることが好ましい。ここで、入口温度が70℃未満であると、分散液中に含まれる固形分の乾燥が不充分となる。また400℃を超えると、噴霧乾燥時に粒子の形状が歪んでしまう。また、出口温度が40℃未満であると、固形分の乾燥度合いが悪くて装置内に付着してしまう。より好ましい入口温度は、100〜300℃の範囲である。
【0041】
噴霧乾燥により多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体が形成される。この乾燥粉体を焼成することにより、主に焼成多孔質シリカ系粒子(単に多孔質シリカ系粒子と称す)からなる粉体が得られる。つまり、乾燥粉体を、200〜800℃の温度で、1〜24時間焼成することにより多孔質シリカ系粒子の粉体を製造できる。焼成により粉体の圧縮強度が高められている。焼成温度が200℃未満では、多孔質シリカ系粒子を構成する一次粒子同士のシロキサン結合が十分でないため、圧縮強度の向上が期待できない。焼成温度が800℃を超えると、粒子の焼結により粒子内の細孔が消失して、所望の多孔性が得られない。さらに、結晶性シリカ(クオーツ等)が生成することがあるので好ましくない。また、焼成時間が1時間未満では、一次粒子同士のシロキサン結合が十分でないため、圧縮強度の向上が期待できず、また焼成時間が24時間を超えても、格別の効果が得られないので、経済的でない。
【0042】
さらに、珪酸バインダーとして、アルカリ金属珪酸塩、有機塩基の珪酸塩等の珪酸塩水溶液を陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリ(Naイオンの除去等)したものを使用できる。珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水ガラス)、珪酸カリウム等のアルカリ金属珪酸塩、第4級アンモニウムシリケート等の有機塩基の珪酸塩などが挙げられる。
【0043】
必要に応じて、シリカ以外の金属酸化物として、無機酸化物微粒子を噴霧液に含ませてもよい。無機酸化物微粒子の平均粒子径はシリカ系微粒子とほぼ同等であることが望ましい。すなわち、無機酸化物微粒子の平均粒子径は100〜1000nmである。また、無機酸化物微粒子は、肌への塗布時の隠ぺい性、UV遮蔽性などの光学特性を有しているので、肌へ塗布した時に、シャリシャリ感を感じることなく、高いスライド感を有する感触特性と光学特性を演出することができる。
【0044】
また、必要に応じて、噴霧液に有機系微粒子を含ませてもよい。たとえば天然ゴム、スチレン−ブタジエン系共重合体、アクリレート系ラテックス、ポリブタジエンなどのポリマーラテックス粒子が挙げられる。有機系微粒子の平均粒子径は25〜1000nmの範囲が好ましく、100〜1000nmの範囲が特に望ましい。
【0045】
さらに、有機系微粒子を含む多孔質シリカ系粒子を大気圧下または減圧下、400〜1200℃で加熱処理して、有機系微粒子を除去してもよい。これにより、さらに細孔容積の大きい多孔質シリカ系粒子の調製が可能である。
<化粧料>
以下に、多孔質シリカ系粒子と各種化粧料成分とを配合して得られる化粧料について具体的に説明する。本発明は、これらの化粧料に必ずしも限定されるものではない。
【0046】
各種化粧料成分としては、例えば、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の油脂類、ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等のロウ類、パラフィン、スクワラン、合成及び植物性スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、α−ヒドロキシ酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、ラウリル酸セチル、オレイン酸デシル等のエステル類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール類、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、トレハロース等の糖類、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン油、各種変性シリコーン油、環状ジメチルシリコン油等のシリコーン油、シリコーン系およびまたは他の有機化合物にて架橋させたシリコーンゲル、ノニオン系、カチオン系、アニオン系または両性の各種界面活性剤、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、アニオン、カチオン、ノニアオン系各種界面活性剤類、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド類、ビタミン類、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、安息香酸エステル系、ウロカニン酸系、ベンゾフェノン系をはじめとした紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、変性又は未変性の粘土鉱物、酢酸ブチル、アセトン、トルエン等の溶剤、各種粒子径、粒子径分布および形状を有する酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール光沢を有する雲母チタン、およびそれらの複合物、各種有機顔染料、水、香料などが挙げられる。ここで、前記の酸化チタンや酸化亜鉛等の無機化合物は、その表面に予めシリコーン処理、フッ素処理、金属石鹸処理などを施したものを用いてもよい。
【0047】
また、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタンなどの樹脂粒子を含んでいてもよい。
【0048】
さらに、美白効果を有する有効成分として、アルブチン、コウジ酸、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、ジ−パルチミン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、その他のアスコルビン酸誘導体、プラセンタエキス、イオウ、油溶性甘草エキス、クワエキス等の植物抽出液、リノール酸、リノレイン酸、乳酸、トラネキサム酸などを含ませることができる。
【0049】
また、肌荒れ改善効果を有する有効成分として、ビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、カフェー誘導体、リグナン、サポニン、レチノイン酸及びレチノイン酸構造類縁体、N−アセチルグルコサミン、α−ヒドロキシ酸等の抗老化効果を有する有効成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類、混合異性化糖、トレハロース、プルラン等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等の生体高分子類、アミノ酸、ベタイン、セラミド、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール及びその誘導体、ε−アミノ化プロン酸、グリチルリチン酸、各種ビタミン類などを含ませることができる。
【0050】
さらに、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、Eleventh Edition2006)等に収載されている化粧料成分を使用することができる。
【0051】
このような化粧料は、従来公知の一般的な方法で製造することができる。化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、クリーム状、ジェル状、ムース状、液状、クリーム状などの各種形態で使用される。具体的には、石鹸、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、マッサージ、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、美白、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー、化粧下地等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイブロー、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、育毛用、フケ防止、かゆみ防止、洗浄用、コンディショニング・整髪、パーマネント・ウエーブ用、ヘアカラー・ヘアブリーチ用等のヘアケア化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、スリミング用、血行改善用、かゆみ抑制、体臭防止、制汗、体毛ケア、リペラント用、ボディパウダー等のボディーケア化粧料、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロン等、練香水、ボディーロ−ション、バスオイル等のフレグランス化粧料、歯磨き、マウスウォッシュ等のオーラルケア製品などが挙げられる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SS−550、平均粒子径550nm、シリカ濃度20重量%)4000gを限外ろ過膜(旭化成社製、SIP−1013)を用いて濃縮し、シリカ濃度40重量%のシリカゾル2000gを調製する。これを陽イオン交換し、pH=2.0に調整してシリカゾル(I)を得る。このとき、後述する方法によりシリカ系微粒子の変動係数(CV値)と真球度を測定する。実施例で用いたシリカゾル(I)の特性を表1に示す。
【0053】
一方、JIS3号水硝子を純水で希釈した後、陽イオン交換して珪酸液(シリカゾル濃度10.0重量%)を調製する。シリカゾル(I)2000gにこの珪酸液889gを加えて、シリカゾル濃度27.7重量%、水硝子由来の珪酸濃度3.1重量%、固形分濃度30.8重量%の分散スラリーを得る。
【0054】
得られたスラリーを噴霧液として、スプレイドライヤー(NIRO社製、NIRO−ATMIZER)により噴霧乾燥する。すなわち、入口温度220℃、出口温度が50〜55℃に設定した乾燥気流中に、2流体ノズルの一方からスラリーを2L/hrの流量で、他方のノズルから0.4MPaの圧力で気体を供給して噴霧乾燥し、多孔質シリカ系粒子からなる乾燥粉体を得る。乾燥粉体の調製条件を実施例ごとに表1に示す。
【0055】
この乾燥粉体を500℃で4時間焼成し、その後、乾式篩処理を行い焼成された多孔質シリカ粒子からなる粉体を得る。この多孔質シリカ粒子の細孔分布を
図1に示す。
図1から、本実施例の多孔質シリカ系粒子は、最頻細孔径(D
m)が834nm、最小細孔径(D
0)が150nm、最大細孔径(D
100)が1211nmであることがわかる。多孔質シリカ粒子の外観を表すSEM写真(倍率10,000倍)を
図2に示す。
図3は、多孔質シリカ粒子の断面のSEM写真(倍率10,000倍)である。この多孔質シリカ粒子の粉体の物性を以下の方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0056】
(1)多孔質シリカ系粒子の平均粒子径(d
1)の測定方法
レーザー回折法を用いて多孔質シリカ系粒子の粒度分布を測定し、この粒度分布からメジアン径で表わされる平均粒子径(d
1)を求めた。レーザー回折法による粒度分布の測定は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-950(株式会社堀場製作所製)を用いた。
【0057】
(2)シリカ系微粒子の平均粒子径(d
2)の測定方法
レーザーパーティクルアナライザー(大塚電子製、LP−510)を用いてシリカ系微粒子の粒度分布を測定し、この粒度分布からメジアン径で表わされる平均粒子径(d
2)を求めた。
【0058】
(3)シリカ系微粒子の変動係数の測定方法
走査型電子顕微鏡(日本電子社製JSM−7600F)により、倍率2万倍から25万倍で写真(SEM写真)を撮影する。この画像の250個の粒子について、画像解析装置(旭化成社製、IP−1000)を用いて、平均粒子径を測定し、粒子径分布に関する変動係数(CV値)を算出した。
【0059】
(4)シリカ系微粒子の真球度の測定方法
透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H−8000)により、倍率2万倍から25万倍の倍率で写真撮影して得られる写真投影図から、任意の50個の粒子を選び、それぞれその最大径(DL)と、これに直交する短径(DS)との比(DS/DL)を測定し、それらの平均値を真球度とした。
【0060】
(5)多孔質シリカ系粒子の比表面積の測定方法
多孔質シリカ系粒子の粉体を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、105℃の温度で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、比表面積(m
2/g)をBET法にて測定し、シリカの比重2.2g/cm
3で換算した単位重量当たりの比表面積とした。
【0061】
(6)多孔質シリカ系粒子の細孔容積、細孔径の測定方法
多孔質シリカ系粒子の粉体10gをルツボに取り、300℃で1時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却し、自動ポロシメーター(カウンタークローム・インスツルメンツ社製PoreMasterPM33GT)を使用して水銀圧入法により測定した。水銀を1.5kPa〜231MPaで圧入し、圧力と細孔径の関係から細孔径分布を求めた。この方法によれば、約7nmから約1000μm迄の細孔に水銀が圧入されるため、多孔質シリカ系粒子の内部に存在する小径の細孔と、多孔質シリカ系粒子の粒子間の大径の空隙(おおむね多孔質シリカ系粒子の平均粒子径に対して1/5〜1/2のサイズに計測される)の両方が計測される。大径を除く、小径の細孔の計測結果をもとに、細孔容積、最頻細孔径(D
m)、最小細孔径(D
0)、および最大細孔径(D
100)を算出する。このとき、必要に応じてピーク分離ソフト(自動ポロシメーターに付属)が用いられる。
【0062】
(7)多孔質シリカ系粒子の組成分析方法
多孔質シリカ系粒子の粉体0.2gを白金皿で精秤し、硫酸10mlと弗化水素酸10mlを加えて、砂浴上で硫酸の白煙が出るまで加熱する。冷却後、水約50mlを加えて加温溶解する。冷却後、水200mlに希釈しこれを試験溶液とする。この試験溶液について誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を使用し、多孔質シリカ系粒子の組成を求める。
【0063】
(8)多孔質シリカ系粒子の密度
多孔質シリカ系粒子を磁性ルツボ(B−2型)に約30ml採取し、105℃で2時間乾燥後、デシケーターに入れて室温まで冷却する。次に、サンプルを15ml採取し、全自動ピクノメーター(QUANTACHROME社製:Ultrapyc1200e)を用いて真比重を測定し、粒子の密度とする。
【0064】
(9)平均接点数
多孔質シリカ系粒子0.1gをエポキシ樹脂(日新EM社製、Quetol651)100gに混合し、60℃の温度で24時間硬化する。次いで、硬化したブロックをアルゴンイオンビーム(日本電子社、クロスセクションポリッシャ、加速電圧6.2kV)で切断する。作製された断面試料を走査電子顕微鏡(日本電子社製JSM−7600F)により、倍率1,000倍から50,000倍の倍率で写真(SEM写真)を撮影する。この写真10枚について、球の最中心部の一微粒子について、隣接する他の微粒子との接点数を計測する。それらの平均値を四捨五入した整数値を平均接点数とする。
【0065】
具体的に
図2、
図3を用いて説明する。
図3は、多孔質シリカ系粒子の断面のSEM写真(倍率10,000倍)であり、本実施例による一つの多孔質シリカ系粒子を示す。多孔質シリカ系粒子のおおよその中心を示す交点から最も近い微粒子は、交点の右下にある●でマーキングした粒子である。この最中心部の粒子と隣接する他の粒子(▲でマーキング)との接点数は2であることがわかる。
【0066】
(10)多孔質シリカ系粒子の圧縮強度
多孔質シリカ系粒子の粉体から、平均粒子径±0.5μmの範囲にある粒子1個を試料として取り、微小圧縮試験機(島津製作所製、MCTM−200)を用いて、この試料に一定の負荷速度で荷重を負荷し、粒子が破壊した時点の加重値を圧縮強度(Mpa)とする。さらに、この操作を4回繰り返し、5個の試料について圧縮強度を測定し、その平均値を粒子圧縮強度とする。
【0067】
(11)多孔質シリカ系粒子の感触特性
多孔質シリカ系粒子の粉体について、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、さらさら感、しっとり感、転がり感、均一な延び広がり性、肌への付着性、転がり感の持続性、およびシリカ系粒子独特のシャリシャリ感の低さの7つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。さらに、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づき多孔質シリカ系粒子の感触に関する評価を行った。結果を表3に示す。
【0068】
(12)パウダーファンデーションの使用感
多孔質シリカ系粒子の粉体を用いて表4に示す配合比率(重量%)となるようにパウダーファンデーションを作製した。すなわち、実施例1の粉体(成分(1))と成分(2)〜(9)をミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、化粧料成分(10)〜(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mm×4mmの角金皿に入れてプレス成型した。この様にして得られたパウダーファンデーションについて、20名の専門パネラーによる官能テストを行い、(1)肌への塗布中の均一な延び、しっとり感、滑らかさ、および(2)肌に塗布後の化粧膜の均一性、しっとり感、やわらかさの6つの評価項目に関して聞き取り調査を行う。その結果を以下の評価点基準(a)に基づき評価する。また、各人がつけた評価点を合計し、以下の評価基準(b)に基づきファンデーションの使用感に関する評価を行った。結果を表5に示す。
評価点基準(a)
【0069】
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
評価基準(b)
◎:合計点が80点以上
○:合計点が60点以上80点未満
△:合計点が40点以上60点未満
▲:合計点が20点以上40点未満
×:合計点が20点未満
【0070】
[実施例2]
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SS−300、平均粒子径300nm、シリカ濃度20重量%)2000gにJIS3号水硝子153g(シリカ濃度29重量%)を加える。これに、陽イオン交換樹脂(三菱化成社製、SK−1B)40gを一気に加えてpHを2.5とした後、陽イオン交換樹脂を分離する。このようにして、シリカゾル濃度18.6重量%、水硝子由来の珪酸濃度2.1重量%、全固形分濃度20.6重量%の分散スラリーが得られる。
【0071】
得られたスラリーを、表1に示す条件で実施例1と同様に噴霧乾燥して、多孔質シリカ系粒子の乾燥粉体を得る。この乾燥粉体を500℃で4時間焼成して多孔質シリカ系粒子からなる粉体が得られる。この粉体の物性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示す。
[実施例3〜12、比較例1〜4]
実施例1で使用したシリカゾルや珪酸バインダーの代わりに、表1に示す調製条件を用いて、実施例1と同様に乾燥粉体を作製する。乾燥粉体を実施例1と同様に焼成して、多孔質シリカ系粒子の粉体を作製する。このようにして得られた実施例3〜12の粉体、比較例1〜4の粉体の物性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示す。
[比較例5]
シリカゾル(日揮触媒化成(株)製:SS−160、平均粒子径160nm、シリカ濃度20重量%)の水希釈品(シリカ濃度15重量%)2000gを陽イオン交換し、pHを2.0に調整する。これに[シリカゾル中のシリカ]/[珪酸液中のシリカ]=9/1の比率になるように珪酸液(シリカ濃度4.8重量%)694.4gを加え、シリカゾル濃度11.1重量%、珪酸液由来の珪酸濃度1.2重量%、固形分濃度5.0重量%のスラリーを調製する。得られたスラリーを噴霧液として、スプレイドライヤーにより噴霧乾燥する。このとき、入口温度240℃、出口温度50〜55℃に設定した乾燥気流中に、2流体ノズルの一方からスラリーを2L/hrの流量で、他方のノズルから0.75MPaの圧力で気体を供給して噴霧乾燥する。このようにして得られた乾燥粉体を500℃で4時間焼成後、乾式篩処理を行って多孔質シリカ系粒子の粉体を作製した。この粉体の物性を実施例1と同様に測定した。その結果を表2に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
[多孔質シリカ系粒子の粉体の感触特性]
各実施例と比較例により得られた粉体を用いて、実施例1と同様に感触特性を評価した。その結果を表3に示す。その結果、各実施例の粉体は、化粧料の感触改良材として極めて優れているが、比較例の粉体は、感触改良材として適していないことが分かった。
【0075】
【表3】
【0076】
[パウダーファンデーションの使用感]
表4に示す配合比率(重量%)となるように、各実施例と比較例の粉体(成分(1))を、他の成分(2)〜(9)とともにミキサーに入れて撹拌し、均一に混合させた。次に、化粧料成分(10)〜(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、均一に混合させた。得られたケーキ状物質を用いて実施例1と同様に化粧料を得た。
【0077】
【表4】
【0078】
次いで、このようにして得られた化粧料の使用感(塗布中の感触と塗布後の感触)について、実施例1と同様に評価した。表5に結果を示す。実施例による化粧料A〜Cは、その使用感が、塗布中でも塗布後でも、非常に優れていることが分かった。しかし、比較例の化粧料a〜cは、その使用感がよくないことが分かった。
【0079】
【表5】