特許第5940243号(P5940243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940243
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】電子部品装着装置及び電子部品装着方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20160616BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   H05K13/04 B
   H05K13/08 Q
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-292411(P2010-292411)
(22)【出願日】2010年12月28日
(65)【公開番号】特開2012-142347(P2012-142347A)
(43)【公開日】2012年7月26日
【審査請求日】2013年9月9日
【審判番号】不服2014-23472(P2014-23472/J1)
【審判請求日】2014年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 聖司
(72)【発明者】
【氏名】大山 和義
(72)【発明者】
【氏名】松芳 勉
【合議体】
【審判長】 小柳 健悟
【審判官】 小関 峰夫
【審判官】 内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−33605(JP,A)
【文献】 特開平4−311099(JP,A)
【文献】 特開平9−181487(JP,A)
【文献】 特開2000−255770(JP,A)
【文献】 特開2010−157623(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/086839(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で並んだ複数の収納部に電子部品を収納した供給テープと、前記供給テープを装着し、前記電子部品を取り出す部品取出口に前記収納部を順次移動をさせる複数のフィーダをそれぞれ着脱自在に有した部品供給装置とを備え、前記部品取出口から前記電子部品を取出してプリント基板に装着する電子部品装着装置において、
前記部品取出口に前記順次移動してきた前記収納部の輪郭及び内部の高さを計測する高さ計測センサと、
前記高さ計測センサの計測結果に基づいて、計測結果が、前記収納部の底面からある閾値以上の場合に前記収納部に電子部品が存在すると判断し、閾値以下の場合に前記収納部に電子部品が存在しないと判断する判断手段と、
前記順次移動は、電子部品が存在しないと判断した場合に、前記収納部の間隔分の距離だけ前記供給テープを送るものであり、前記順次移動をさせて前記供給テープの先端から前記収納部のうち最初に電子部品を収納している収納部を検出して前記供給テープの頭出しをする頭出手段と、
前記高さ計測センサによる計測結果に基づいて前記収納部の前記部品取出口に対する所定位置からのずれ量を検出するずれ量検出手段と、
前記ずれ量検出手段の検出結果に基づいて前記ずれ量を補正する補正手段と、を有し、
前記頭出手段は、前記補正手段にて前記ずれ量を補正した後に、前記供給テープの前記頭出しを行う、ことを特徴とする電子部品装着装置。
【請求項2】
前記部品取出口から前記電子部品を取出しプリント基板に装着する2つの装着ヘッドに、それぞれ前記高さ検出センサを設け、複数の前記フィーダの内、吸着対象のフィーダが新たに取り付けられたフィーダである場合、この吸着対象のフィーダに近い前記高さ計測センサを選択し、選択された前記高さ計測センサを、吸着対象のフィーダの前記部品取出口の上方へ移動し、前記部品取出口の上方へ到達した前記高さ計測センサで、前記収納部の内部の高さを計測するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品装着装置。
【請求項3】
前記高さ検出センサはレーザ変位センサであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子部品装着装置。
【請求項4】
前記高さ検出センサは光電センサ、フォトセンサ、測長センサのうち、いずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品装着装置。
【請求項5】
所定の間隔で並んだ複数の収納部に電子部品を収納した供給テープを送り、前記収納部を、電子部品を取り出す部品取出口に順次移動をさせ、前記部品取出口から前記電子部品を取出しプリント基板に装着する電子部品装着方法において、
前記部品取出口に前記順次移動してきた前記収納部の輪郭及び内部の高さを高さ計測センサにより計測し、前記計測結果に基づいて、前記計測結果が前記収納部の底面からある閾値以上の場合に前記収納部に電子部品が存在すると判断し、閾値以下の場合に前記収納部に電子部品が存在しないと判断し、前記収納部に前記電子部品が存在しないと判断する場合、
前記収納部の前記部品取出口に対する所定位置からのずれ量を前記高さ計測センサの計測結果に基づいて検出して補正し、
前記ずれ量を補正した後に、前記収納部の間隔分の距離だけ前記供給テープを送るようにして前記順次移動をさせて、前記供給テープの先端から前記収納部のうち最初に前記電子部品を収納している収納部を検出して前記供給テープの頭出しをする電子部品装着方法。
【請求項6】
前記供給テープの前記頭出しは、前記判断で電子部品が無しと判断されたときは前記供給テープを送ることにより次の収納部を前記部品取出口まで前記順次移動させ、有と判断したときは前記供給テープの送りを停止することを特徴とする請求項5に記載の電子部品装着方法。
【請求項7】
前記供給テープの前記頭出しは、前記判断で電子部品が無しと判断されたときは前記供給テープを送ることにより次の収納部を前記部品取出口まで前記順次移動させ、有と判断したときは前記装着を開始することを特徴とする請求項5に記載の電子部品装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を部品供給装置より取出し、位置決めされたプリント基板上に装着する電子部品装着装置及びその電子部品装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品装着装置は、例えば、特許文献1などに開示されている。送り出し方向に間隔を存して並んで形成されたそれぞれの収納部に電子部品を収納した供給テープが巻かれた新しいリールの最初の部分には電子部品が収納されていない。このため、部品供給装置を電子部品装着装置に接続した状態で、部品供給が終わったリールを部品供給装置から取り外し新しいリールの供給テープをフィーダにセットした後、或いは、新しいリールの供給テープをフィーダにセットし部品供給装置を電子部品装着装置に接続した後、供給テープからの電子部品の取り出しのときに、供給テープの部品収納部に電子部品が収納されていなく、取り出し異常が発生しないようにする必要がある。
【0003】
特許文献1では、撮像装置を用いて電子部品の取出口を撮像して部品の有無を検出し自動的に部品の頭出しを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−12888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、供給テープと電子部品のコントラストに明確な差異が存在せず撮像によって部品の有無を検出できない部品が存在すれば、その度に作業者が手動によって供給テープを送る必要がある。例えば、プリント基板の機種が変更され、部品供給装置を交換するとき、部品切れによる新しい供給テープをフィーダに装填するときにおいて、部品の取り出し異常を回避するために、供給テープと電子部品のコントラストに明確な差異が存在せず撮像によって部品の有無を検出できない部品が存在すれば、部品が収納されている位置までに供給テープを1ピッチずつ送る必要があり、準備作業が煩雑になり時間がかかるという問題が発生する。
【0006】
また、準備作業が煩雑で時間がかかるので、作業者による供給テープ送りが不十分であったときには、取り出し異常が発生する虞があった。更に、準備作業に要する時間が長くなり、電子部品装着装置の運転開始が遅れ、稼働時間が減少する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、プリント基板の機種が変更され、部品供給装置を交換するとき等において、部品切れによる新しい供給テープをフィーダに装填する作業を確実に行える電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、準備作業時間の短縮し、稼働率の高い電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達するために、少なくとも以下の特徴を有する。
本発明は、所定の間隔並んだ複数の収納部に電子部品を収納した供給テープを送り、前記収納部を、電子部品を取り出す部品取出口に順次移動させ、前記部品取出口から前記電子部品を取出しプリン基板に装着する電子部品装着装置または電子部品装着装置方法において、前記部品取出口に順次移動してきた前記収納部の内部の高さを計測する高さ計測センサを有することを第1の特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記計測結果に基づいて前記収納部における前記電子部品の有無を判断し、前記順次移動させて前記供給テープの先端から前記収納部うち最初に電子部品を収納している収納部を検出し、前記供給テープの頭出しをすることを第2の特徴とする。
さらに、本発明は、前記収納部または前記電子部品の高さ方向の輪郭または特定箇所の高さを測定し、所定の輪郭または所定の特定箇所からのずれ量を求め、前記頭出しの位置を補正することを第3の特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記高さ検出センサを前記部品取出口から前記電子部品を取出しプリン基板に装着する装着ヘッドに設けたことを第4の特徴とする
さらに、本発明は、前記高さ検出センサを複数の前記フィーダを載置する部品供給装置に設け、前記高さ検出センサを複数の前記フィーダの前記部品取出口間を走査させることを第5の特徴とする。
また、本発明は、前記高さ検出センサはレーザ変位センサであることを第6特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記供給テープの前記頭出しは、前記判断で電子部品が無しと判断されたときは前記供給テープを送ることにより次の前記収納部を前記部品取出口まで前記順次移動させ、有と判断したときは前記供給テープの送りを停止することを第7特徴とする。
また、本発明は、前記供給テープの前記頭出しは、前記判断で電子部品が無しと判断されたときは前記供給テープを送ることにより次の前記収納部を前記部品取出口まで前記順次移動させ、有と判断したときは前記装着を開始することを第8の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明は、プリント基板の機種が変更され、部品供給装置を交換するとき等において、部品切れによる新しい供給テープをフィーダに装填する作業を確実に行える電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供できる。
また、本発明によれば、準備作業時間の短縮し、稼働率の高い電子部品装着装置及び電子部品装着方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態である電子部品装着装置の概略平面図である。
図2】部品供給装置のフィーダベースとその付近及び装着ヘッドを移動させる駆動部を示す図である。
図3】モニタの正面図を示す図である。
図4】本発明の実施形態である電子部品装着装置の電子部品装着に係る制御のための制御ブロック図である。
図5】電子部品(フィーダ)の自動頭出動作のフローチャートを示す図ある。
図6図5に示すフローチャートにおいて、供給テープの電子部品を収納する収納部に電子部品がない場合の状態で、収納部内の高さを計測する様子を示す図である。
図7図5に示すフローチャートにおいて、電子部品を収納した先頭の収納部内の高さを計測する状態を示す図である。
図8】電子部品(フィーダ)の頭出し動作における収納部位置のずれを示す図である。
図9】収納部位置のずれを計測する基本的な考えを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図1乃至図4に基づいて、プリント基板上に電子部品を装着する電子部品装着装置について、第1の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態である電子部品装着装置の概略平面図である。電子部品装着装置1には、プリント基板PをX方行に搬送する搬送装置2と、この搬送装置2の一方の側、即ち紙面上側に設けられ電子部品を供給する例えば複数のフィーダ13を着脱自在に並べたカートなどの部品供給装置5と、搬送装置2の他方の側、即ち紙面下が側に設けられ電子部品を供給する例えば複数のフィーダ13を着脱自在に並べたカートなどの部品供給装置3と、駆動源により紙面上下方向に移動可能な一対のビーム7、8と、それぞれ吸着ノズルを備えて前記各ビーム7、8に沿った方向に各駆動源により移動可能な装着ヘッド10、11とが設けられている。
【0015】
部品供給装置3は電子部品装着装置1の本体に対して着脱自在であり、複数のフィーダ13を搭載した部品供給装置3を電子部品装着装置1の本体に接続したときには、フィーダ13に設けられた図示しないテープ送り駆動装置(モータ)及び制御装置が部品供給装置3を介して電子部品装着装置本体の電源及びCPU17に接続される。
【0016】
搬送装置2は電子部品装着装置1の中間部に配設され、上流側装置からプリント基板Pを受け継ぐ基板供給部と、各装着ヘッド10、11の各吸着ノズル101、111に吸着保持された電子部品を装着するために基板供給部から供給されたプリント基板Pを位置決め固定する位置決め部と、この位置決め部で電子部品が装着されたプリント基板Pを受け継いで下流側装置に搬送する排出部とから構成される。
【0017】
図2は、同一構成有する部品供給装置3、5のうち部品供給装置5のフィーダベース12とその付近及び装着ヘッド10を移動させる駆動部を示している。図2において、部品供給装置5はフィーダベース12を備えている。フィーダベース12は、図2に示すように、その各レーンには複数のフィーダ13が着脱自在に並べられており、各フィーダ13に対応して電子部品を有する供給テープ41を回巻したリール65が配置されている。また、各フィーダ13は、装着ヘッド10で電子部品を1個ずつ取り出すための部品取出口(部品吸着位置)43をそれぞれ有する。
【0018】
図1図2に示すように、部品供給装置5のフィーダ13を処理する装着ヘッド10を移動させるX方向に長いビーム7と、部品供給装置3のフィーダ13を処理する装着ヘッド11を移動させるX方向に長いビーム8は、Y方向駆動モータである各Y方向リニアモータ9、99の駆動により左右一対の紙面上下に延びたガイドに沿って各ビームに固定されたスライダが摺動して個別にY方向に移動する。Y方向リニアモータ9、99は、左右一対の基体1A、1Bに沿って固定された一対の固定子と、ビーム7、8の両端部に設けられた取付板の下部に固定された可動子9a、99aとから構成される。
【0019】
また、図2に示すように、ビーム7、8にはその長手方向(X方向)にX方向駆動モータであるX方向リニアモータ23(223)によりガイドに沿って移動する装着ヘッド11(10)が夫々内側に設けられている。また、X方向リニアモータ23(223)は各ビーム8(7)に固定された前後一対の固定子と、各固定子の間に位置して装着ヘッド11(10)に設けられた可動子とを有する。
さらに、図1に示すように、各装着ヘッド10、11は向き合うように各ビーム7、8の内側に設けられている。
【0020】
これらの構成によって、各装着ヘッド10、11は搬送装置2の位置決め部上のプリント基板P上と部品供給装置3、5のフィーダ13の部品取出口43の間を移動する。
【0021】
そして、各装着ヘッド10、11には例えば10本の各バネにより下方へ付勢されている吸着ノズル101、111が円周上に所定間隔を存して配設されており、各装着ヘッド10、11の3時と9時の位置に位置する吸着ノズルにより並設された複数のフィーダ13から電子部品を同時に取出しすることも可能である。この吸着ノズルは上下軸モータ25(225)(図4参照)により昇降可能であり、またθ軸モータ26(226)(図4参照)により装着ヘッド10、11を鉛直軸周りに回転させることにより、結果として各装着ヘッド10、11の各吸着ノズル101、111はX方向及びY方向に移動可能であり、垂直線回りに回転可能で、且つ上下動可能となっている。
【0022】
また、各装着ヘッド10、11には基板認識カメラ14、14が設けられ、位置決めされているプリント基板Pに付された位置決めマークを撮像する。また、部品認識カメラ15で、各吸着ノズルに吸着保持された電子部品を一括して撮像する。
【0023】
さらに、各装着ヘッド10、11にはレーザ変位センサ16、16が設けられ、位置決めされているプリント基板Pの表面高さや、後述するようにフィーダ13の取出口43における電子部品の表面高さを計測する。
【0024】
更に、電子部品装着装置1の前後には、操作画面等を表示するモニタ20、201が設けられている。
図3は、モニタ20、201は同様に構成されているので、それ等の一例としてモニタ20の正面図を示す。モニタ20入力手段としてのタッチパネルスイッチ21及び操作パネル31が設けられている。
操作パネル31はモニタ20の下部に設けられ、操作パネル31には、左側から右側に間隔を存してフィーダ準備(FEEDER READY)ボタン51、電源(POWER)ボタン52、スタート(START)ボタン53、停止(STOP)ボタン54及び操作パネル指定(PANEL)ボタン55が配置されている。各ボタン51乃至55はそれぞれ着色されたカバー61乃至65と各カバーの内側に設けられた例えば発光素子(LED)等の発光体71乃至75等から構成されている。
【0025】
フィーダ準備ボタン51はフィーダ13を交換するときに作業者によって押され、押すことによってフィーダ3のロック状態が解除され、交換が可能になる。また、電源ボタン52は電源を投入する或いは遮断するときに押され、スタートスイッチ53は電源投入後、装置の運転をスタートするときに押される。また、停止スイッチ54は運転している装置を停止するときに押される。更に、操作パネル指定ボタン55は作業者によって操作されるタッチパネルスイッチ21を指定するときに押され、モニタ20、201のタッチパネルスイッチのうち、操作パネル指定ボタン55が押された一方のタッチパネルスイッチのスイッチのみが作業者の操作を受け付け、他方のモニタのタッチパネルスイッチのスイッチの操作は受け付けない。
【0026】
図4は電子部品装着装置1の電子部品装着に係る制御のための制御ブロック図である。電子部品装着装置1の各要素は制御装置であるCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)17が統括制御しており、この制御に係るプログラムを格納するROM(リ−ド・オンリー・メモリ)19及び各種データを格納するRAM(ランダム・アクセス・メモリ)18がバスライン22bを介して接続されている。また、CPU17にはモニタ20(201)及びタッチパネルスイッチ21がインターフェース22を介して接続されている。また、Y方向リニアモータ9等が駆動回路24、インターフェース22を介してCPU17に接続されている。
【0027】
RAM18には、生産するプリント基板Pの種類(基板種)毎にNCデータが格納されているが、このNCデータはオペレーションデータ、段取りデータ、装着データ等を有する。オペレーションデータはNCデータ名であるコメント、プリント基板のX方向及びY方向のサイズ、プリント基板の厚み、先付部品の有無、先付部品の高さ及び基板仕上げモードを有する。また、RAM18には、生産する異なる複数の基板種のプリント基板に電子部品を供給するフィーダ13を極力載置し、生産する基板種が変った場合でも、部品供給装置3、5のフィーダ13の交換作業を極力回避するように予め設定した部品配置データが格納されている。
また、RAM18には、形状データ・認識データ・制御データ・部品供給データから構成して各電子部品の特徴を表す部品ライブラリデータ等も格納されている。
【0028】
以上の構成により、以下、電子部品装着装置の動作について説明する。
プリント基板Pが上流側装置(図示せず)より受継がれて搬送装置2の供給部上に存在すると、供給部上のプリント基板Pを位置決め部へ移動させ、このプリント基板Pの平面方向及び上下方向における位置決めがなされて固定する。
【0029】
そして、プリント基板Pの位置決めがされると、紙面上側のビーム7がY方向リニアモータ9の駆動により前後に延びたガイドに沿ってスライダが摺動してY方向に移動すると共にX方向リニアモータ23(図2参照)により装着ヘッド10がX方向に移動し、フィーダ13の部品取出し位置上方まで移動して上下軸モータの駆動により吸着ノズル101を下降させてフィーダ13から電子部品を取り出す。この場合、装着ヘッド10をX方向に移動させると共に回転させ、更に吸着ノズル101を昇降させることにより、複数の吸着ノズル101がフィーダ13から電子部品を取り出すことができる。また、紙面上側のビーム7と同様に、紙面下側のビーム8がY方向リニアモータの駆動により前後に延びたガイドに沿ってY方向に移動すると共にX方向リニアモータにより装着ヘッド11がX方向に移動し、フィーダ13の部品取出し位置上方まで移動して上下軸モータの駆動により吸着ノズル111を下降させてフィーダ13から電子部品を取り出す。この場合、装着ヘッド11をX方向に移動させると共に回転させ、更に吸着ノズル111を昇降させることにより、複数の吸着ノズル111がフィーダ13から電子部品を取り出すことができる。
【0030】
即ち、初めに、装着データの例えばステップに従って、部品供給装置5のフィーダ13から紙面上側のビーム7に設けられた装着ヘッド10により10個の電子部品が順に取出されると同時に、部品供給装置3のフィーダ13から紙面下側のビーム8に設けられた装着ヘッド11により10個の電子部品が順に取出される。即ち、紙面上側のビーム7に設けられた装着ヘッド10の10本の吸着ノズル101がフィーダ13から電子部品を順番に取り出すと同時に、紙面下側のビーム8に設けられた装着ヘッド11の10本の吸着ノズル111がフィーダ13から電子部品を取り出すというように、それぞれの装着ヘッド10、11が対応するステップに従って10個の電子部品を吸着して取り出す。このとき、紙面下側の装着ヘッド11による部品吸着の開始と紙面上側の装着ヘッド10による部品吸着の開始とが、また紙面下側の装着ヘッド11による全ての部品の吸着の終了と紙面上側の装着ヘッド10による全ての部品の吸着の終了とがずれるときもある。
【0031】
また、この取出した後は、両装着ヘッド10、11の吸着ノズル101、111を上昇させて、装着ヘッド10、11を部品認識カメラ15上方を通過させ、この移動中に両装着ヘッド10、11の10本の吸着ノズル101、111に吸着保持されたそれぞれ10個の電子部品を一括して撮像して、この撮像された画像を認識処理装置27が認識処理して各吸着ノズル101、111に対する電子部品の位置ずれを把握する。
【0032】
その後、両ビーム7、8の装着ヘッド10、11に設けられた基板認識カメラ8を各プリント基板P上方へ移動させて、搬送装置2上で位置決めされているプリント基板Pに付された位置決めマークを撮像し、この撮像された画像を認識処理装置27が認識処理して各プリント基板Pの位置を把握する。その後、レーザ変位センサ16が基板上の複数個所の高さを計測し、基板の表面高さを把握する。そして、装着データの装着座標にそれぞれのプリント基板Pの位置認識結果及び各部品認識処理結果を加味して、各吸着ノズル101、111が位置ずれ、及び基板の表面高さによる装着ストロークを補正しつつ、それぞれ電子部品を各プリント基板P上に装着する。
【0033】
上述したように、電子部品をプリント基板P上に装着しているとき、部品供給装置3のフィーダ13に部品切れが発生したときには、CPU17が動作して部品切れが発生したことがモニタ20、201に表示され、また、電子部品装着装置1に設けられた図示しない表示灯などの表示装置が点滅し、作業者に報知する。また、CPU17が動作し、Y方向リニアモータ9、99、X方向リニアモータ23、223等のモータが停止し、電子部品の装着運転が停止する。そして、作業者がモニタ20或いはモニタ201の図3に示すフィーダ準備ボタン51を押すと、点灯していた発光体71が消灯し、フィーダ準備ボタン51は消灯する。また、フィーダ13が交換可能になり、作業者は、部品切れが発生したフィーダ13を交換する。
【0034】
交換作業の終了後、まず、作業者がフィーダ準備ボタン51を押すと、発光体71が点灯し、フィーダ準備ボタン51は点灯する。次に、作業者がスタートボタン53を押すと、電子部品の装着運転が開始する。
【0035】
以下、フィーダ13が交換されるときの電子部品の自動頭出動作について、図5乃至図7を用いて説明する。図5は、電子部品の自動頭出動作のフローチャートを示す。図6は、図5に示すフローチャートにおいて、供給テープ41の電子部品42を収納する収納部44に電子部品42がない場合の状態で、収納部44内の高さを計測する様子を示す。図7は、電子部品42を収納した先頭の収納部44内の高さを計測する状態を示す。なお、40は供給テープ押さえであるサプレッサ40を示す。
【0036】
CPU17では、フィーダ13からの電子部品の吸着取り出し動作行う前に、吸着対象のフィーダ(以下、吸着対象フィーダという)13について、自動頭出し動作の要否を判定する(ステップ1)。例えば、上述したように吸着対象フィーダ13が、それまでセットされていなく、交換された新たに取り付けられたフィーダ13のときには、例えば、CPU17は吸着対象フィーダ13に設けられた制御装置から送られたフィーダ番号(シリアル番号)に基づいて、自動頭出処理が必要だと判断する。
【0037】
この結果、CPU17は吸着対象フィーダ13と装着ヘッド10、11の位置とに基づいて装着ヘッド10又は11に設けられたレーザ変位センサ16、16のうち吸着対象フィーダ13に近いレーザ変位センサ16を選択する。そして、装着ヘッド10又は11の移動に伴い選択されたレーザ変位センサ16が、図2示す吸着対象フィーダ13に設けられたサプレッサ40に形成された部品取出口43の上方へ移動する(ステップ2)。
【0038】
部品取出口の上方に到達したレーザ変位センサ16は部品取出口43を介してレーザ光45を投光し、その反射光を検出して供給テープ41の収納部44内の高さを計測する(ステップ3)。計測結果はCPU17に送られ、CPU17は計測結果が収納部44の底面からある閾値、例えば電子部品42の厚みの半分の値を閾値Shとし、閾値Sh以上を示している場合には収納部内に電子部品が存在すると判断し、閾値Sh以下だった場合には電子部品が存在しないと判断する(ステップ4、5)。そして、電子部品が収納部44内に存在しないとき(図6)には、CPU17は対象の吸着対象フィーダ3にピッチ送りの信号を出力し、吸着対象フィーダ13は指定ピッチである1ピッチ、即ち、電子部品を収納する収納部44の間隔分の距離だけ供給テープ41を送る(ステップ6)。
【0039】
以後、同様にステップ5の電子部品の有無判断により電子部品が有ると判断されるまで、ステップ3からステップ6までの収納部44内の高さ計測、収納部44内での電子部品の有無判断、供給テープ41の1ピッチ送りが繰り返される。
【0040】
そして、電子部品42を収納した収納部44が部品取出口43に到達すると、CPU17はレーザ変位センサ16による計測結果に基づいて、最初の電子部品42が来たと判断し、電子部品の頭出し処理が終了する。そして、CPU17は、頭出しが終了した電子部品42を吸着する動作を開始するための信号を出力し、図1等を用いて説明したように、装着ヘッド10によりその電子部品42が取出される。
【0041】
また、自動頭出しが終了したフィーダ13については、頭出しが完了したことを示すフラグをRAM18に設けて、再度部品切れを検出するまで、そのフィーダ13についての以後の自動頭出しの要否の判定に用いてもよい。
更に、自動頭出しが終了したフィーダ13については、部品供給装置で交換されなく、その後、生産機種の変更があったとき、生産に使用されなく、生産機種の切替に伴い、再び使用される場合にも、そのフィーダ13については自動頭出し動作を行わないようにCPU17により継続管理する。
【0042】
以上説明した実施形態によれば、吸着対象フィーダ13が、それまでセットされていなく、交換されて新たに取り付けられたフィーダ13のときには、CPU17は自動頭出処理が必要だと判断し、上述したようにレーザ変位センサ16による収納部の高さ計測結果に基づいて電子部品を収納した収納部が部品取出口43に到達するまで供給テープが1ピッチずつ送られ、自動的に電子部品の頭出し動作が行われる。従って、吸着対象フィーダ13を交換したとき、作業者は頭出し作業を行う必要が無くなり、この結果、準備作業を簡略化することができ、作業時間を短縮することができる。また、作業者による頭出し作業が不十分であったときの発生する電子部品の取り出し異常を確実に回避することもできる。
【0043】
また、以上説明した実施形態によれば、レーザ変位センサ16による収納部の高さ計測結果に基づいて電子部品の有無を判断することで、供給テープと電子部品のコントラストの差異がなく認識画像によって部品の有無を判断できない部品の場合でも頭出し動作を確実に実現することが可能になる。
【0044】
更に、以上説明した実施形態によれば、準備作業に要する時間を短縮でき、電子部品装着装置1の非稼働時間を低減して稼働時間の向上を図ることも可能になる。
【0045】
また、部品供給装置3又は5のフィーダベース12の空きレーンに新たに部品供給装置3を搭載した場合においても、フィーダ13から電子部品を始めて取り出す際に、上記フィーダ13の交換時と同様に、各フィーダ13に対して供給テープを1ピッチずつ送り、自動的に電子部品の頭出し動作を行うことにより、以上説明した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
更に、電子部品装着装置1での1つの基板機種の生産が終了して次の機種の基板を生産するときに、フィーダ13を搭載した部品供給装置3又は5交換した場合においても、各フィーダ13から電子部品を取り出す際に、以上説明した実施形態のフィーダ13の交換時と同様に、各フィーダ13に対して供給テープを1ピッチずつ送り、自動的に電子部品の頭出し動作を行うことにより、同様の作用効果を得ることができる。
なお、収納部内の電子部品の有無を判断するにあたり、収納部底面からのある値を閾値とするのでなく、一定値を基準としてもよい。また、収納部底面からの距離ではなく、供給テープ上面からの距離を基準としてもよい。
【0047】
また、レーザ変位センサは反射式ではなく透過式のものや、他の光源を利用するセンサ(光電センサ、フォトセンサ、測長センサ)などを利用してもよく、変位計測結果ではなく、ONまたはOFFの出力を基準としてもよい。
【0048】
また、レーザ変位センサの設置箇所はビーム上ではなく、部品供給装置側に設置されていてもよい。また、部品供給装置側に設置された1台のレーザ変位センサがフィーダの部品取出口43上を走査して該当するフィーダの頭出しを行なってもよい。
【0049】
以上説明した実施形態では、部品取出口43において供給テープの収納部が所定の範囲に収まる場合を説明した。しかしながら、例えば、供給テープをフィーダ13に自動装着する場合には、図8の破線で示すように収納部位置がずれる場合がある。このずれ量ΔXが許容範囲外であるならば、このΔXを補正して頭出しを実施する必要がある。
【0050】
本発明の第2の実施形態では、レーザ変位センサ16でこのずれ量ΔXを計測して頭出しを行なう。図9は収納部位置のずれを計測する基本的な考えを示す図である。図9において、横軸が供給テープの移動方向の位置D、縦軸が収納部の底部から高さHを示す。本実施形態では、図9に示すように、収納部44が取り出し口を通過するときの収納部(キャリアテープ)の高さを収納部の底部を基準にして計測し、収納部の輪郭(供給テープ41の移動方向の前後の縁)を求める。図9における実線は収納部44が部品取出口の所定位置にきたとき収納部44の輪郭を示す。破線は所定位置からΔX手前にずれて停止し、通過して行く収納部の輪郭を示した図である。図9において、両者の輪郭の差がずれ量となる。
【0051】
従って、例えば、供給テープ41の最初の部分の電子部品42が収納されていない収納部を用いて前述したずれ量を求め、そのずれ量分が図9に示すように手前である場合には、ΔXだけ前に進める。または、図9とは逆にΔX先に進んでいれば、次の収納部をΔX手前で停止する。その後は、共に1ピッチ毎進めていけばよい。
【0052】
計測は図9に示すように必ずしも輪郭(全範囲)を計測する必要がなく、特定箇所、例えば収納部のエッジだけの差を計測できる範囲のみを計測してもよい。
また、収納部の代わりに電子部品を用いてずれ量を計測してもよい。この場合は頭出しに用いた電子部品の輪郭また特定箇所、例えば電子部品のエッジの高さを計測する。この場合は電子部品が収納部の中央にあるものとしてずれ量を求める。
【0053】
すれ量が求まると、1ピッチに対するそのずれ量の割合分だけ供給テープを移動させる。例えば、パルスモータで駆動する場合には、1ピッチ移動するのに必要なパルス数に比例したパルスを加え、または減らすことによりズレ量を調整する。
【0054】
以上説明した第2の実施形態によれば、頭出しをより正確に行なうことができ、電子部品の取り出しをより確実に行なうことができる。
【0055】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0056】
1:電子部品装着装置 2:搬送装置
3:部品供給装置 5:部品供給装置
7、8:ビーム 10、11:装着ヘッド
13:フィーダ 16:レーザ変位センサ
17:CPU(制御装置) 18:RAM(記憶装置)
20:モニタ 40:サプレッサ
41:供給テープ 42:電子部品
43:部品取出口 44:収納部
45:レーザ光。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9