(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940253
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】電気モーター
(51)【国際特許分類】
H02K 23/38 20060101AFI20160616BHJP
H02K 3/28 20060101ALI20160616BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
H02K23/38
H02K3/28 M
H02K1/14 A
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-109871(P2011-109871)
(22)【出願日】2011年4月22日
(65)【公開番号】特開2011-234619(P2011-234619A)
(43)【公開日】2011年11月17日
【審査請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】201010159635.8
(32)【優先日】2010年4月23日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】バオ ティン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジー チェン パン
(72)【発明者】
【氏名】ジー ドン チャイ
(72)【発明者】
【氏名】シュー ハイ ウェイ
【審査官】
田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−163258(JP,A)
【文献】
特開2003−092866(JP,A)
【文献】
特開2010−057352(JP,A)
【文献】
特開昭56−145765(JP,A)
【文献】
特開2006−211838(JP,A)
【文献】
実開昭59−075775(JP,U)
【文献】
特開平02−266862(JP,A)
【文献】
特開平01−298937(JP,A)
【文献】
特開昭50−036906(JP,A)
【文献】
米国特許第05087845(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 23/38
H02K 1/14
H02K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有する回転子と、
前記シャフトに固定され、複数の歯を有する回転子鉄心と、
前記回転子鉄心近傍のシャフトに固定され、複数のセグメントを有する整流子と、
前記歯に巻かれ、前記セグメントに接続された回転子巻線ユニットと、
前記回転子と磁気的に対となる固定子と、
前記整流子との電気的すり接触を行うブラシとを含み、
前記回転子巻線ユニットのそれぞれは、互いに直列に直接接続され、少なくとも1つの歯によって互いに分離された、少なくとも2つのサブコイルを含み、各回転子巻線ユニットの最初のサブコイルと最後のサブコイルは、それぞれ、一組の近接セグメントに直接接続され、
回転子巻線ユニットの前記少なくとも2つのサブコイルは、同じ方向に巻かれ、
同じセグメントに直接接続された2つの回転子巻線ユニットは、反対方向に巻かれていることを特徴とする電気モーター。
【請求項2】
前記回転子巻線ユニットのそれぞれは、互いに直列に直接接続され、1つの歯によって互いに分離された2つのサブコイルを含む、請求項1に記載の電気モーター。
【請求項3】
回転子巻線ユニットの前記少なくとも2つのサブコイルは、同じ巻数となる、請求項1または2に記載の電気モーター。
【請求項4】
回転子巻線ユニットの前記少なくとも2つのサブコイルは、異なる巻数となる、請求項1または2に記載の電気モーター。
【請求項5】
セグメント数の歯数に対する比率は、1,2または3である、請求項1から4いずれか1項に記載の電気モーター。
【請求項6】
前記固定子は2P個の磁極を生じるように構成され、前記整流子はm個のセグメントを有し、回転子鉄心はn個の歯を有し、Pは1より大きい整数であり、mとnはPよりもより大きい偶数である、請求項1から5いずれか1項に記載の電気モーター。
【請求項7】
Pは2に等しい、請求項6に記載の電気モーター。
【請求項8】
前記固定子は、
ヨークを有する固定子鉄心であって、該ヨークは、第一部分から伸びる主極をそれぞれ備える、少なくとも2つの第一部分と、第二部分から伸びる補助極をそれぞれ備える、少なくとも2つの第二部分とを含み、前記少なくとも2つの主極と前記少なくとも2つの補助極は、前記固定子鉄心の円周方向に交互に配置され、前記主極はそれらに巻かれた固定子巻線を有する、固定子鉄心と、
前記モーターが通電したときに、同じ極性を伴う主磁極が、前記少なくとも2つの主極において生じ、前記主磁極の極性とは正反対となる、同じ極性を伴う誘導磁極が、前記少なくとも2つの補助極において生じるように、構成される前記固定子巻線と
を含むことを特徴とする請求項1から7いずれか1項に記載の電気モーター。
【請求項9】
前記第一部分は、前記第二部分よりも狭い、請求項8に記載の電気モーター。
【請求項10】
前記補助極には固定子巻線がない、請求項8または9に記載の電気モーター。
【請求項11】
前記補助極はそれらに巻かれた固定子巻線を備え、前記補助極に巻かれた前記固定子巻線は、前記主極に巻かれた前記固定子巻線よりも少ない巻数となる、請求項8または9に記載の電気モーター。
【請求項12】
前記回転子の外径の前記固定子の最小外のり寸法に対する比率は、7:10よりも大きい、請求項1から11いずれか1項に記載の電気モーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モーターに関連し、特に、電気モーターの巻線形回転子(wound rotor)に関する。
【背景技術】
【0002】
単相直巻モーター(single phase series motor)は、交流電力または直流電力のどちらでも、動作することができるユニバーサルモーターとしても知られている。それは、巻線形固定子(wound stator)をもつ単相直巻モーターであり、巻線形回転子の回転子巻線(rotor winding)は、ブラシを経由して固定子巻線(stator winding)に直列に接続される。高い回転速度、小さいサイズ、低重量、高い起動トルク、簡便な速度調節、直巻励振のような特徴のおかげで、該ユニバーサルモーターは、高い回転速度、小さいサイズ、低重量を必要とする低電力電気器具を駆動するためによく用いられる。例えば、フードミキサー、掃除機、家庭用ミシン、電動工具などによく用いられる。
【0003】
図5と
図6を参照すると、典型的な周知のユニバーサルモーターは、回転子と固定子を含む。回転子は、シャフト22と、該シャフトに固定された整流子(図示せず)と、該整流子近傍のシャフトに固定された回転子鉄心とを有し、そして、複数の回転子極(rotor pole)26と、該回転子極を取り巻いて該整流子に接続された回転子巻線(図示せず)とを有する。固定子は、矩形形状のヨークを含む固定子鉄心と、該ヨークの対向する2つの側から内側に伸びる2つの歯(teeth)43(固定子極(stator pole))と、それらに巻かれた固定子巻線44を有する。さらに、モーターは、該固定子巻線に電気を送電するために、整流子とのすり接触(sliding contact)を行うブラシ(図示せず)も含む。固定子巻線が通電したとき、反極性の2つの磁極が、固定子極において生じ、そして、2つの磁気回路が形成される。各磁気回路は、
図6に示されるように、比較的長い経路となるように、2つの固定子極、回転子の半分、ヨークの側面を通過する。さらに、各回転子巻線の両端は、一般的に、整流子の2つのセグメントに接続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モーターの整流性能(commutation performance)は、特に、回転子巻線の巻数が比較的多い場合に良くない。それゆえに、改良された電気モーターが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、1つの特徴として、本発明は、シャフトを有する回転子と、前記シャフトに固定され、複数の歯を有する回転子鉄心と、前記回転子鉄心近傍のシャフトに固定され、複数のセグメントを有する整流子と、前記歯に巻かれ、前記セグメントに接続された回転子巻線ユニットと、前記回転子と磁気的に対となる固定子と、前記整流子との電気的すり接触(sliding electrical contact)を行うブラシとを含み、前記回転子巻線ユニットのそれぞれは、互いに直列に直接接続され、少なくとも1つの歯によって互いに分離された、少なくとも2つのサブコイルを含み、各回転子巻線ユニットの最初のサブコイルと最後のサブコイルは、それぞれ、一組の近接セグメントに直接接続される、電気モーターを提供する。
【0006】
好ましくは、前記回転子巻線ユニットのそれぞれは、互いに直列に直接接続され、1つの歯によって互いに分離された2つのサブコイルを含む。
【0007】
好ましくは、回転子巻線ユニットの前記少なくとも2つのサブコイルは、同じ巻数となる。
【0008】
あるいは、回転子巻線ユニットの前記少なくとも2つのサブコイルは、異なる巻数となる。
【0009】
好ましくは、回転子巻線ユニットの前記少なくとも2つのサブコイルは、同じ方向に巻かれている。
【0010】
好ましくは、同じセグメントに直接接続された2つの回転子巻線ユニットは、反対方向に巻かれている。
【0011】
好ましくは、セグメント数の歯数に対する比率は、1,2または3である。
【0012】
好ましくは、前記固定子は2P個の磁極を生じるように構成され、前記整流子はm個のセグメントを有し、前記回転子鉄心はn個の歯を有する。ただし、Pは1より大きい整数であり、mとnはPよりもより大きい偶数である。理想的には、P=2である。
【0013】
好ましくは、前記固定子は、ヨークを有する固定子鉄心であって、該ヨークは、第一部分から伸びる主極(primary pole)をそれぞれ備える、少なくとも2つの第一部分と、第二部分から伸びる補助極(auxiliary pole)をそれぞれ備える、少なくとも2つの第二部分とを含み、前記少なくとも2つの主極と前記少なくとも2つの補助極は、前記固定子鉄心の円周方向に交互に配置され、前記主極はそれらに巻かれた固定子巻線を有する、固定子鉄心と、前記モーターが通電したときに、同じ極性を伴う主磁極(primary magnetic pole)が、前記少なくとも2つの主極において生じ、前記主磁極の極性とは正反対となる、同じ極性を伴う誘導磁極(induced magnetic pole)が、前記少なくとも2つの補助極において生じるように、構成される前記固定子巻線とを含む。
【0014】
好ましくは、前記第一部分は、前記第二部分よりも狭い。
【0015】
好ましくは、前記補助極には固定子巻線がない。
【0016】
あるいは、前記補助極はそれらに巻かれた固定子巻線を備え、前記補助極に巻かれた前記固定子巻線は、前記主極に巻かれた前記固定子巻線よりも少ない巻数となる。
【0017】
好ましくは、前記回転子の外径
の前記固定子の最小外のり寸法
に対する比率は、7:10よりも大きい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態は、ほんの一例として、添付図面の図を参照して説明される。図において、複数の図に現れる同一の構造、要素または部品は、概して、それらが現れるすべての図において同じ参照番号が付けられる。図に示される構成要素や特徴の大きさは、一般的に、簡便性や表現の明確性のために、必ずしもスケール通りに示されない。図の一覧を次に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に従う電気モーターの断面概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のモーターに対する磁路(magnetic path)の図である。
【
図3】
図3は、
図1のモーターに対する簡略化された巻き型の図である。
【
図5】
図5は、従来のユニバーサルモーターの断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい実施形態に従う単相直巻モーターは、
図1に示される。
図1は、回転子巻線が省略された、モーターの横断面の概略図である。モーターは、回転子20と、回転子20と磁気的に対となる固定子40とを含む。
【0021】
回転子20は、シャフト20と、シャフト20に固定された回転子鉄心24と、回転子鉄心24に近接するシャフト22に固定された固定された整流子(図示せず)とを含む。回転子24は、該回転子の軸方向に、軟鉄板(lamination)を積み重ねることで形成される。回転子鉄心24はn個の歯26を備え、歯26に巻かれたm個の回転子巻線ユニット36がある。巻線溝(winding slot)28は、それぞれ隣接する2つの歯26の間に形成される。整流子は、m個のセグメント(バーとも呼ばれる)30を備える。回転子巻線ユニット36は、回転子鉄心24の巻線溝28で巻きつけられ、整流子のセグメント30に接続される。この実施形態では、mは36に等しく、nは18に等しい。
【0022】
固定子40は、固定子鉄心42と固定子巻線44を含む。固定子鉄心42は、モーターの軸方向に、軟鉄板を積む重ねることで形成され、2つの第一部分46と2つの第二部分48を有するヨークを含む。第一部分46と第二部分48は、固定子鉄心42の円周方向に、交互に配置される。2つの主極50と2つの補助極52は、それぞれ第一部分46と第二部分48から内側に伸びる。固定子巻線44は、主極50に巻きつけられ、補助極52に巻きつけられる巻線はない。また、モーターは、整流子を経由して回転子巻線ユニット36に電気を送電するために、該整流子とのすり接触を行うように、固定子40に対して固定された4つのブラシ60も備える。固定子鉄心42は左右対称である。主極50と補助極52は突出極(salient pole)であり、それぞれ、ヨークから内側に放射状に伸びるネック(neck)54と、該ネック54から円周状に伸びる磁極片(pole shoe)56とを含む。各磁極片56は、モーター20に面する連続的な弧状面(continuous arced surface)を形成する。同時に、該磁極片は断続的な円筒壁(intermittent cylindrical wall)を形成する。
【0023】
円周方向において、主極50のネックは、補助極52のネックよりも狭い。半径方向において、第一部分46は第二部分48よりも狭く、第一部分46と主極50の磁極片56との間の距離は、第二部分48と補助極52の磁極片56との間の距離よりも大きい。このように、より大きな空間は、固定子巻線44を収容するために、第一部分46と主極50との間に形成される。上述した円周方向と半径方向については、円形または円柱構造に対してだけでなく、正方形や楕円形などのような他の形状も、本発明の範囲に含まれることを理解されるべきである。
【0024】
固定子巻線44が通電したとき、同じ極性を伴う2つの主磁極は、固定子巻線44によって、2つの主極50において生じ、主磁極の極性とは反対となる極性であって、同じ極性を伴う2つの誘導された磁極は、2つの補助極52において生じる。つまり、
図2に示されるように、4つの磁極と4つの磁路が形成される。各磁路は、主極50、固定子ヨーク、補助極52、補助極52と回転子20との間の空隙(air gap)、回転子20、主極50と回転子との間の空隙を通り抜ける。
【0025】
実施形態において、回転子20は外径Dを有し、固定子40は最小外のり寸法Yし、外径Dと最小外のり寸法Yとの比率は、7:10よりも大きい。回転子20の外径は、回転子鉄心24の外径を意味する。固定子40の最小外のり寸法は、固定子40の中心を通って伸びる直線と、固定子鉄心42の外縁との2つの交点間の距離を意味する。
【0026】
回転子20の外径Dは、極50と52の磁極片の弧状面(arced surface)によって定められる円の直径よりも、わずかに小さく、また、当該円と回転子20の最小外径との比率は、7:10よりも大きい。主極50と回転子鉄心42との間の距離は、補助極52と回転子鉄心42との間の距離と等しいか、または、異なることもあり得ると理解すべきである。当該2つの距離が異なっている場合、主極50の磁極片の弧状面と補助極52の磁極片の弧状面は、異なる直径の2つの円を定める。この構成において、円の直径とは、より小さい方の円の直径を意味する。
【0027】
好ましい実施形態では、補助極52は、突出極として形成されるように、第二部分48の内側から内部に突き出る。あるいは、補助極52は、第二部分48の内側に対して埋め込まれた非突出極(non-salient pole)として、形成することもできる。補助極52が突出極である場合、それらは、それらに巻かれた固定子巻線をも備えることもでき、補助極52に巻かれた当該固定子巻線は、主極50に巻かれた固定子巻線44よりも少ない巻数とすることもできる。
【0028】
本発明における回転子巻線ユニットの好ましい巻き型を、おおまかに説明する。説明を簡単にするために、整流子のセグメント(すなわち、バー)30は、Z1〜Zmで表され、回転子鉄心24の巻線溝28は、S1〜Snで表され、回転子20の回転子巻線ユニット36は、W1〜Wmで表される。そして、固定子磁極の数は2Pである。バーZkは、回転子巻線ユニットWkを経由して、バーZ(k+1)に電気的に接続され、バーZmは、回転子巻線ユニットWmを経由して、バーZ1に電気的に接続される。各巻線ユニットWiは、第一サブコイルWiaと、当該第一サブコイルWiaと直接直列に接続され、少なくとも1つの歯によって当該第一サブコイルWiaから分離した、第二サブコイルWibとを含む。第一サブコイルWiaと第二サブコイルWibは、一対の隣接したバーに、それぞれ接続される。歯数(tooth number)qは、コイルが巻かれた、歯の数である。第一サブコイルWiaの歯数qは、第二サブコイルWibの歯数qと等しい。歯数qは、式|q−n/2P|<1を満足する整数である。ただし、n/2Pは磁極ピッチ(pole pitch)である。上記説明において、Pは1よりも大きい整数であり、mとnはPよりも大きい偶数であり、
、
、mのnに対する比率は、1,2または3となり得る。好ましくは、mのnに対する比率は2であり、qはn/2Pよりも小さい整数である。
【0029】
好ましい実施形態において、回転子巻線ユニットの巻き型は、ここで
図3と
図4を参照して詳細に説明する。
図3は、巻線の線図であり、最上部の列は、固定子で支えられる4つのブラシC1〜C4を表し、2番目の列は、整流子の36個のセグメントZ1〜Z36を表し、3番目の列は、回転子鉄心の18個の歯と、当該歯によって形成された18個の巻線溝S1〜S18を表し、4番目の列は、固定子の4つの極を表す。
図4は、回転子巻線ユニットの巻き型を表にしたテーブルであり、巻線の方向から見ると、“スロットイン”とは、回転子巻線ユニットの各サブコイルが巻き込まれた、第一巻線溝を意味し、“スロットアウト”とは、当該サブコイルが巻き込まれた、第二巻線溝を意味する。
【0030】
バーZ1は、回転子巻線ユニットW1を経由してバーZ2に電気的に接続される。回転子巻線ユニットW1は、互いに直列に直接接続された第一サブコイルW1aと、第二サブコイルW1bとを有する。第一サブコイルW1aは、巻線溝S5とS1の間の歯に巻かれ、第二サブコイルW1bは、巻線溝S6とS2の間の歯に巻かれる。第一サブコイルW1aは、第二サブコイルW1bと同じ巻き方向であり、両方とも
図3に示すように時計回り方向であり、両サブコイルとも、4つの歯にまたがる。
【0031】
バーZ2は、回転子巻線ユニットW2を経由してバーZ3に電気的に接続される。回転子巻線ユニットW2は、互いに直列に直接接続された第一サブコイルW2aと、第二サブコイルW2bとを有する。第一サブコイルW2aは、巻線溝S6とS10の間の歯に巻かれ、第二サブコイルW2bは、巻線溝S7とS11の間の歯に巻かれる。第一サブコイルW2aは、第二サブコイルW2bと同じ巻き方向であるが、巻線ユニットW1のサブコイルW1aとW1bの巻き方向とは反対である。
【0032】
バーZ1とZ2の電気的接続と同じように、バーZ3は、回転子巻線ユニットW3を経由してバーZ4に電気的に接続される。回転子巻線ユニットW3は、互いに直列に直接接続された第一サブコイルW3aと第二サブコイルW3bとを有する。第一サブコイルW3aは、巻線溝S6とS2の間の歯に巻かれ、第二サブコイルW3bは、巻線溝S7とS3の間の歯に巻かれる。サブコイルW1aとW1bと同様に、サブコイルW3aとW3bも、時計回り方向に巻かれる。
【0033】
バーZ2とZ3の電気的接続と同じように、バーZ4は、回転子巻線ユニットW4を経由してバーZ5に電気的に接続される。回転子巻線ユニットW4は、互いに直列に直接接続された第一サブコイルW4aと第二サブコイルW4bとを有する。第一サブコイルW4aは、巻線溝S7とS11の間の歯に巻かれ、第二サブコイルW4bは、巻線溝S8とS12の間の歯に巻かれる。サブコイルW2aとW2bと同様に、サブコイルW4aとW4bは、反時計回り方向に巻かれる。
【0034】
回転子20の他の回転子巻線ユニット36は、上述した工程を繰り返すことで形成される。すなわち、回転子巻線ユニット36の2つのサブコイルは、1つの歯によってお互いから分離され、同じ方向に巻かれる。そして、同じバーに直接接続された2つの回転子巻線ユニット36は、反対方向に巻かれ、回転子巻線ユニットW(j+2)は、1つの歯によって回転子巻線ユニットWjから分離される。ただし、
である。
【0035】
従来のユニバーサルモーターでは、整流子セグメントのそれぞれのペアは、ただ1つのサブコイルを伴う巻線を経由して互いに接続され、整流コイル(commutating coil)で生じる誘導起電力(induction electromotive force)は、回転子巻線ユニットの全巻数xの二乗に正比例する。本発明では、セグメントのそれぞれのペアは、2つのサブコイルを伴う巻線ユニットを経由して互いに接続され、整流コイルで生じる誘導起電力は、
に正比例する。ただし、
と
は、それぞれ2つのサブコイルの巻数である。xが
、に等しいとすると、本発明における整流コイルの誘導起電力は、より小さくなる。したがって、整流性能は改善され、モーターの寿命を長くすることができる。さらに、2つのセグメントに接続された各回転子巻線ユニットの2つのサブコイルは、より多くの巻線溝に巻かれるので、巻き工程(winding process)における初期巻線不均衡(initial wining unbalance)を最適化することができる。
【0036】
さらに、本発明の実施形態では、それぞれの磁束通路(flux path)は、隣接する主固定子極(primary stator pole)と補助固定子極(auxiliary stator pole)を通過するので、磁束通路は縮小され、最適化される。それゆえに、本発明のユニバーサルモーターは、同じ出力を備える既存のユニバーサルモーターと比較して、縮小した固定子鉄心と巻線材を有することもあり得る。
【0037】
上記説明と本願の特許請求の範囲において、各動詞“〜から成る”、“〜を含む”、“〜を有する”、“〜を備える”と、その変形の動詞は、明言された項目(stated item)の存在を明示するが、付加的な項目(additional item)の存在を排除しないように、包括的な意味(inclusive sense)で用いられる。
【0038】
本発明は、1以上の実施形態に関して説明したが、様々な変更が可能であることは、当業者には十分に理解される。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲を参照することにより、決定されるべきである。
【0039】
例えば、モーターのブラシの数は4つに限定されない。各回転子巻線ユニットは、2つよりも多いサブコイルを含むことも可能であり、同じ回転子巻線ユニットのサブコイルは、異なる巻数となることもあり得る。