(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】VTMを適用することができる、例示的NMVシリーズマシンを示す図である。
【
図2C】バックライト照明プレートの一例を示す図である。
【
図3A】ツールの画像が
図2BのVTMシステムによって撮影される態様を示す図である。
【
図3B】ツールの画像が
図2BのVTMシステムによって撮影される態様を示す図である。
【
図3C】ツールの画像が
図2BのVTMシステムによって撮影される態様を示す図である。
【
図4A】撮像装置用のエンクロージャの一実施例を示す図である。
【
図5】
図4Aに示されるエンクロージャの内外の気体フローを示す図である。
【
図6A】
図4Aに示されるエンクロージャへの気体フローの計算流体力学(CFD)分析を示す図である。
【
図6B】
図4Aに示されるエンクロージャへの気体フローの計算流体力学(CFD)分析を示す図である。
【
図7】
図4Aのエンクロージャのアパーチャの面積対高さ比を示す図である。
【
図8A】撮像装置用のエンクロージャの別の実施例を示す図である。
【
図8B】撮像装置用のエンクロージャの別の実施例を示す図である。
【
図12】撮像装置用のエンクロージャの別の実施例を示す図である。
【
図13】
図12のエンクロージャの気体フローチャネルを示す図である。
【
図14A】
図12に示されるエンクロージャの気体フローのCFD分析を示す図である。
【
図14B】
図12に示されるエンクロージャの気体フローのCFD分析を示す図である。
【
図15】撮像装置用のエンクロージャの別の実施例を示す図である。
【
図16】
図15のエンクロージャの断面図であって、中の気体のフローを示す図である。
【
図17】
図15のエンクロージャのアパーチャをより詳細に示す図である。
【
図18A】残留物の堆積を測定するために用いられるテストパラメータを示す図である。
【
図18B】例示的エンクロージャの外部上の残留物の堆積を示す図である。
【
図18C】例示的エンクロージャの外部上の残留物の堆積を示す図である。
【
図19A】撮像装置用のエンクロージャの別の実施例を示す図である。
【
図19B】
図19Aのエンクロージャによって作られた例示的アパーチャを示す図である。
【
図20A】別のエンクロージャの実施例によってもたらされる例示的アパーチャを示す図である。
【
図20B】
図20Aに示されるアパーチャを作成するよう構成されているエンクロージャの実施例を示す図である。
【
図21A】撮像装置用のエンクロージャの別の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい実施例の詳細な説明
図面において、同様の参照符号は複数の図面を通して同じまたは対応する部分を示す。
図2Aは、森精機によって製造される5軸マシニングセンター製造ラインにおけるNMVシリーズマシンに組込まれた例示的VPMシステムを示す。
図2Aに示されるように、エンクロージャ22がマガジンベース8に取付けられる。エンクロージャ22は、CCDカメラのような撮像装置を収容する。発光ダイオード(LED)のような光源24が、マガジンベース8に装着される。さらに、バックライトプレート26aおよび26bが、ATC4のアームに装着される。NMVシリーズマシンはさらに、VTM圧縮空気装置28、森高度プログラミング製造システム(MAPPS)パネル(たとえば、森精機のMAPPS IVコントロールパネル)へのユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブル30、空気ホース32、電気信号および電源ケーブル34、および冷却材タンク(図示されていない)を含む。
【0014】
図2Bはツールを画像化するための例示的VTMシステムを示す。VTMシステムにおいて撮像装置用にはっきりした視界を維持することは重要である。なぜなら、撮像装置はマガジンベースに取付けられると、洗浄および/または交換のためには容易にアクセスできないからである。光源24はバックライト照明プレート26に光を出す。ツール42のような工具を収容するマガジンベース8に位置付けられる撮像装置2は、ツール交換場所においてツール44の画像を得る。ツールの交換はATC4によって行なわれ、マガジン領域をマシニングチャンバから分離するためのATCシャッタ46を含む。
図2Cはバックライト照明プレート26の別の例示的図である。
【0015】
図3A−
図3Cは、ツール44の画像の撮影をより詳細に示している。
図3Aに示されるように、バックライト48は光をツール44に向ける。ツール44はバックライト48と撮像装置2との間に配置される。一実施例において、バックライト48は、バックライト照明プレート26のような他の光源からの光を反射する。別の実施例において、バックライト48自体が光源となる。
【0016】
図3Bは、撮像装置2から見たツール44の例示的ビューを示す。このビューの対応する画像が撮像装置2によって撮影され、さらに画像処理により、
図3Cに示されるように、たとえば白黒ツール画像に変換される。この変換は撮像装置2によって、または別の変換モジュールによって、行なわれ得る。代替的に、撮像装置2は、
図3Cの白黒ツール画像を直接撮影するよう構成されている。
【0017】
白黒ツール画像は、ツール44に破損があるかを特定するために用いられる。たとえば、
図3Cに示されるように、ツールの輪郭は白で表わされ、ツール44の輪郭の途切れを容易に識別することができる。しかし、ツールの画像は他のさまざまな光学的条件で撮影され得る。たとえば、画像はカラーまたは濃淡で撮影され得る。
【0018】
一実施例において、透明窓、シャッタ機構、および気体供給ユニットを含むハウジングによって形成されるエンクロージャを用いて、撮像装置を汚れから保護する。
【0019】
透明窓はガラス、ポリカーボネートのようなプラスチック、サファイヤ、ダイヤモンド、または他の透明材料のいずれかまたはその組合せから形成される。1つ以上の汚れが透明窓に接触する虞がある場合、透明窓は好ましくは傷の付きにくいものにする。傷の付きにくい窓を用いることにより、撮像装置の視界を損なう、チップのような異物による傷の可能性の問題に対処する。さらに、傷防止コーティングを透明窓に塗布して傷に対する耐性を向上させることができる。一実施例において、透明窓は、ガラスから形成されている。なぜならガラスはプラスチックよりも汚れを取りやすくかつ発明者はプラスチックよりも傷に対する耐性があることを見出したからである。さらに、はっきりした視界を維持しやすくするために、または透明窓の表面の掃除を容易にするために、他の種類のコーティング(たとえば、以下で説明するようなイオン化コーティング)を、水や冷却材の異物の粒子との接触を減らすために塗布することができる。
【0020】
一実施例において、気体供給ユニットはマシニングツールの空気供給ラインに付けられる1つ以上の気体導入口を含む。代替的に、または付加的に、気体供給ユニットは別個の気体源から空気を供給し得る。気体供給ユニットから供給される気体の種類は、エンクロージャを用いて監視する環境の種類に依存する。たとえば、VTMシステムにおいて空気を用いることができる。なぜなら、空気はマシニングチャンバで行なわれる処理に好ましくない影響を与えないからである。
【0021】
図4Aは例示的エンクロージャ400を示し、透明窓404を有するハウジング402は、撮像装置を収容するよう構成されている。ハウジング402は汚れの侵入を防ぐよう密封されている。一実施例において、透明窓404を有するハウジング402は、完全に封入され、かつIP54以上、より好ましくはIP67以上の密封チャンバであって、ガラス窓または他の透明材料を有する。さらに、気体パージと組合せられたシャッタ406を用いて、透明窓404が汚れるのを防ぐ。
【0022】
図4Bはエンクロージャ400の分解図を示す。
図4Bに示されるように、撮像装置408はハウジング402に取付けることができる。シャッタ機構420はハウジング402および透明窓404に配置される。一実施例において、シャッタ機構420は上プレート422、下プレート424、および上プレート422と下プレート424との間に配置されるシャッタ406を含む。開口またはアパーチャが、上プレート422および下プレート424の各々に形成される。上プレート422および下プレート424は、透明窓404と撮像装置408の光路と整列させられ、その態様により、シャッタ406が開いた状態にある場合に、撮像装置408は透明窓404と、上プレート422および下プレート424のアパーチャによって形成される開口とを通して画像を撮影する。閉じた状態の場合、シャッタ406は上プレート422および下プレート424のアパーチャによって形成された開口を覆い、それにより封鎖して、透明窓404を汚れから保護する。たとえば、シャッタ406が閉じられると、ツール交換操作の際のツールからの冷却材の飛沫の侵入や交換領域の蒸気の侵入をブロックする。
【0023】
一実施例において、下プレート424の周囲部はハウジング402の周囲部上に取付けられ、下プレート424と透明窓404との間に空間が形成される。この空間は、透明窓404の上面がハウジング402の周囲部の下にあるように取付けることにより形成される。これは、透明窓404をハウジング402の凹所部内に配置することにより、またはハウジング402と下プレート424との間に配置されるスペーサによって達成される。
【0024】
さらに、エンクロージャ400はたとえば空気のような気体を1つ以上供給するための気体供給ユニット430を含む。参照符号410aおよび410bは、一実施例におけるエンクロージャ400の気体フローを示す。
図4Bに示されるように、気体はシャッタ機構420に配置される気体供給ユニット430から供給される。気体供給ユニット430は1つ以上の気体取入口、たとえば気体取入口432aおよび432bを含む。さらに、気体はハウジング402に設けられる気体取入口436を介して任意に供給される。別の実施例において、気体はハウジング402に設けられる1つ以上の気体取入口からのみ供給される。
【0025】
図4Bに示されるように、気体供給ユニット430および/または気体取入口436は、透明窓404と下プレート424との間の空間に気体を供給する。シャッタ406が閉じている場合、閉じたシャッタ406と透明窓404との間の空間を正圧に維持するために、少量の気体がその空間内に供給されるよう、気体が気体供給ユニット430および/または気体取入口436に供給される。正圧により、冷却材の蒸気といった汚れが空間内に入り、透明窓404上で凝縮するのを防ぐ。たとえばツールが撮像位置にあって、撮像装置408が画像を獲得しなければならない場合、シャッタ406は開いており、気体供給ユニット430および/または気体取入口436によって気体が供給されて、大量の気体が透明窓404の表面をつたい吹き付けられ、および/またはシャッタ機構420の開口を通って放出される。気体供給ユニット430および気体取入口436が撮像装置のビューを遮らない場所から気体を供給することができるように、気体は透明窓404の表面をつたい吹き付けられる。
図5に示されるように、この大量の気体により、逸れた冷却材やチップのような異物が透明窓404に付かないようにする。
【0026】
しかし、
図5に示されるように、シャッタ406が開いた状態にある場合、発明者たちは開口412の出口に気体414の逆流が発生することを見出した。この逆流の問題は、
図6Aおよび
図6Bに示されるように、計算流体力学(CFD)を用いて分析された。
図7に示されるように、広い面積(W)および小さい厚さ(H)を有する開口412の幾何学形状により、大きいW/H比によって開口412の出口において気体の逆流がある。この逆流は冷却材蒸気のような汚れを取込み、非常に短期間で透明窓404上に堆積させる。これは本質的に状況を悪化させる。
【0027】
図8Aおよび
図8Bは別のエンクロージャの実施例を示す。エンクロージャ800が空気シリンダ802に接続され、空気シリンダ802はたとえば空気といった気体をエンクロージャ800内に供給する。
図9に示されるように、エンクロージャ800は撮像装置902を収容するよう構成されている。撮像装置902は透明窓904の後ろに配置される。透明窓904は、シャッタ機構920とハウジング本体900との間に配置される。Oリング906aおよび906bは透明窓904とシャッタ機構920およびハウジング本体900の各々との間に配置されて、異物がハウジング本体900またはシャッタ機構920の開口912に入ることを防止する。
図4Aおよび
図4Bの実施例と同様に、撮像装置902が画像を撮影できるようシャッタ908が開いている場合、気体は、参照符号910によって示されるように、シャッタ機構920と透明窓904との間の空間から放出される。さらに、シャッタ908が閉じている場合に、空間内に正圧があるよう、気体が空間内に供給される。
【0028】
図10Aおよび
図10Bは、シャッタ908が開いている場合に形成される開口から気体が放出されるときに発生する逆流の一例を示す。真空が作られて、汚れが透明窓904の方向に引っ張られる。
【0029】
したがって、本特許出願は逆流問題にさらに対処するためのいくつかの実施例を示し、それにより撮像装置を保護し、かつ常にきれいなレンズおよび窓を通してはっきりした画像を安定しておよび繰返し得るという完全な解決を提供する。実施例は別個に記載されるが、汚れの可能性をさらに減らすために、異なる実施例の要素を組合せることができる。
【0030】
一実施例において、たとえば
図4A、
図4B、
図8A、
図8B、および
図9で示される同じエンクロージャの概念が用いられる。しかし、シャッタ機構の開口またはアパーチャの幾何学形状は変更されて、開口の全領域に亘って均一なエアフローを確実にするために、またシャッタが開いて気体が開口を通って流れ出したときに逆流がないことを確実にする。具体的には、
図11Aおよび
図11Bに示されるように、湾曲したアパーチャの断面が用いられる。アパーチャのプロファイルは、
図6A、
図6B、
図10Aまたは
図10Bと同様に、たとえばCFD分析を用いて、特定のシャッタ機構開口の気体フロープロファイルと一致するよう設計されている。これにより、均一な層流が開口から出力されて開口の全領域に亘り、気体の逆流をなくすことを確実にする。
【0031】
図12は気体カーテン1216および気体パージ1218を用いる例示的エンクロージャ1200を示す。エンクロージャ1200は気体の逆流をさらになくすために、湾曲した幾何学断面のアパーチャを任意に含む。エンクロージャ1200は、ハウジング1202、透明窓1204、シャッタ1206、シャッタ1210を開いた状態および閉じた状態に位置付けるための空気シリンダ1210、および撮像装置1208を取付けるための撮像装置取り付けブラケット1212を含む。エンクロージャ1200はさらにoリング1210a−1210dを含む。シャッタ1206が開いている状態の場合、気体カーテン1216および気体パージ1218が形成されるように、気体が供給される。気体カーテン1216および気体パージ1218は透明窓1204の汚れを防止する。
【0032】
図13はエンクロージャ1200の気体フローチャネルの実施例を示す。さらに、
図14Aおよび
図14Bは、気体フローの例示的な対応CFD分析を示す。特に、
図14Aの矢印は優れた気体フローを示し、
図14Bの矢印は、気体カーテン1216および気体パージ1218を示す。
【0033】
別の実施例において、スリット型のアパーチャが円形のアパーチャの代わりに用いられる。この実施例は、たとえば
図4A、
図4B、
図8A、
図8B、
図9および
図12に示される概念と同様のエンクロージャ概念を用いる。スリット型アパーチャは、撮影するべきオブジェクトが細長い場合、たとえば切削ツールの場合、理に適っている。その結果、撮像装置による完全な画像が不要となる。オブジェクトと周りの背景のみを撮影すればよい。
【0034】
図15は本実施例に従う例示的エンクロージャ1500を示す。エンクロージャ1500は、スリット型アパーチャ1512と、アパーチャ1512を覆うまたは塞がれないようにして空間1514を封鎖するよう構成されているシャッタ1506とを含む。さらに、
図16はエンクロージャ1500の断面図である。
図16に示されるように、撮像装置1502は、エンクロージャ1500内にかつ透明窓1504の後ろに配置される。空間1514は、エンクロージャ1500内に、透明窓1504の上に形成される。シャッタ1506が開いた状態にある場合、気体は空間1514に供給され、スリット型アパーチャ1512を通って放出される。さらに、上記のように、シャッタ1506が閉じた状態の場合、空間154内で正圧を維持するよう気体が供給される。
【0035】
したがって、
図17に示されるように、アパーチャの面積(W)はアパーチャの厚さ(H)を維持しながら減少させることができる。より小さいW/H比は、
図5に示される構成の逆流を減らす。さらに、シャッタ1506は、カメラが使用されていない場合、スリット型アパーチャ512を閉じるよう構成されている。さらに、
図17に示される湾曲した幾何学断面を任意に用いて、スリット型アパーチャ1512上に均一な層流を維持するのを助ける。本実施例のさらなる利点は、必要なエアフローの量は、より大きいアパーチャ、たとえば上記の円形アパーチャで要する量よりもはるかに少ないことである。なぜなら、アパーチャの面積が著しく減らされているからである。
【0036】
図18Aは、スリットアパーチャが形成されるエンクロージャの外側の残留物の堆積量を定めるために用いられるテストパラメータを示す。Tコマンドは、コントローラが特定のツールをツール交換位置に呼出すのに用いる命令である。たとえば、コマンドT2は、つぎのツール交換のために、ツール♯2をツール交換位置に移動させる。M6コマンドは、ツール交換動作を引起すためにコントローラが用いる命令である。M6コマンドが実行されたあと、ツール交換位置にあるツールは、マシンツールのスピンドルにあるツールと交換される。したがって、1回のツール交換プロセスは、1つのTコマンドおよび1つのM6コマンドを含む。さらに、各ツール変更プロセスにおいて、マガジン領域をマシニングチャンバから分離するシャッタは1回開いて閉じ、その間カメラエンクロージャのシャッタは2回開いて閉じて、使用する新しいツールの画像およびスピンドルからの戻りツールの画像を撮影する。撮影された画像を用いて、新しいツールが使用するのに適切であることを確認するために測定され、さらに戻ったツールは機械加工操作後の状態を定めるために測定される(たとえば、さらに使用するのに適切であるか否か)。
図8Aにおいて、200,000回のツール交換および400,000回のシャッタ開閉サイクルが示される。
【0037】
これらテストパラメータを受けた後のエンクロージャの外側での残留物の堆積量は、
図18Bおよび
図18Cに示される。
図18Bおよび
図18Cに示されるように、エンクロージャは短い時間で大量の汚れにさらされる。
【0038】
別の実施例において、撮像装置が画像を撮影するために用いられるアパーチャの物理的面積をさらに減少するために、高速回転または往復シャッタが用いられる。この減少は、撮像装置の視界を減らすことなく達成することができる。本実施例において、シャッタの回転/往復速度は、撮像装置が画像を撮影するのに必要な時間(たとえば、カメラシャッタスピード)よりも高く設定される。したがって、画像撮影用の大きいアパーチャを形成するために、均一のエアフローを有する物理的に小さいアパーチャを用いることができる。
【0039】
一実施例において、フルビューを維持するために、高速回転スリットが用いられる。回転スリットの回転速度は、撮像装置が画像を撮影するのに必要な時間よりも速く設定される。たとえば、撮像装置がカメラである場合、その速度はカメラが画像を撮影するために用いられるシャッタスピードよりも速く設定される。具体的には、回転速度は、画像を撮影するためにカメラのシャッタが開いている時間に対応する所定の時間内において、全体のフルビュー用の光が少なくとも1回カメラに当たるよう、スリットが所定の経路に沿って移動するように設定される。たとえば、スリットの長さがスリットの回転によって形成される開口の直径と等しい場合、スリットは所定の時間の間少なくとも180°回転させられる。スリットの長さがスリットによって形成される開口の半径と等しい場合、スリットは所定の時間の間少なくとも360°回転させられる。これにより、エンクロージャに取付けられる撮像装置は、物理的なアパーチャが減少されながらも画像を撮影するためのフルビューを用いることができる。さらに、回転するスリットアパーチャから流れ出る気体を螺旋状にすることにより、より有効に汚れを寄せ付けないことになる。
【0040】
図19Aはエンクロージャ1900の一実施例を示し、スリット1912の形をとる高速回転開口を有する。エンクロージャ1900は2つの重なっているハウジング、すなわち内側円筒形ハウジング1920および外側円筒形ハウジング1922からなる。しかし、別の実施例において、重なるハウジングは円錐形などのような他の形状を有し得る。代替的に、重なるハウジングの一方は円盤状または他の平坦な形状を取り得る。
【0041】
一実施例において、内側円筒形ハウジング1920は静止しており、撮像装置1902を収容する。しかし、別の実施例において、内側円筒形ハウジング1920は、回転している外側円筒形ハウジング1922に対して同じまたは反対の方向に、または静止している外側円筒形ハウジング1922に対して、内側で回転するよう構成されている。内側円筒形ハウジング1920には第1の開口が形成されており、そこを通して撮像装置1902が画像を撮影する。透明窓1904は、内側円筒形ハウジング1920の第1の開口に配置される。上記のように、透明窓1904はガラス窓であり得る。
【0042】
さらに、内側円筒形ハウジング1920が外側円筒形ハウジング1922内に配置されるよう、外側円筒形ハウジング1922は内側円筒形ハウジング1920上に重なる。外側円筒形ハウジング1922は、たとえばスリット型アパーチャ1912のような第2の開口が形成されている。一実施例において、エンクロージャ1900はスリット型アパーチャ1912を覆うよう構成されているシャッタ(示されていない)をさらに含む。透明窓1904およびスリット型アパーチャ1912は撮像装置1902の光路と整列させられて、撮像装置1902が透明窓1904およびスリット型アパーチャ1912を通して画像を撮影できるようにする。
【0043】
外側円筒形ハウジング1922の全体は、たとえば小さなモータまたは空気タービン1924のような駆動ユニットによって回転させられる。一実施例においてタービン空気入口1928およびタービン空気出口1932を用いて空気タービン1924を駆動させるための空気を供給する。さらに、気体は静止リング1940を通して、内側円筒形ハウジング1920と外側円筒形ハウジング1922との間の空間に入力される。一実施例において、リングはベアリングを用いて回転する外側円筒形ハウジング1922に対して静止して保たれる。
【0044】
別の実施例において、往復シャッタを用いて、撮像装置が画像を撮影するための開口を形成する。たとえば、スリット型アパーチャは、
図20Aに示されるように、シャッタの往復穴を用いることによって形成される。
図20Bに示されるように、シャッタ2008の往復動作により、参照符号2008aによって示される初期位置と参照符号2008bによって示される最終位置との間を往復する。この往復運動により、往復穴2012は、参照符号2012aによって示される初期位置と参照符号2012bによって示される最終位置との間で移動する。シャッタ2008は、往復穴2012が透明窓2004およびハウジング2002上で、カバー2010に形成されたスリット2014に沿った所定の経路に亘って移動するよう往復する。使用されていない場合、一実施例において、往復穴2012は、往復穴2012とスリット2014とが重ならないよう、カバー2010下のある位置に移動させられる。
【0045】
したがって、
図19Aおよび
図19Bについて説明した概念と同様の概念が用いられる。すなわち、シャッタは、
図20Bに示されるように、スリット型アパーチャを形成しながら必要な気体フローおよび面積対高さ比を減少させるために往復する穴を含む。しかし、一実施例において、この構成は高速の往復空気シリンダを必要とし、これは特に気体がマシンから再度方向付けられる場合、高価でありかつ気体の消費を増加させる。したがって、この構成は、湿度が非常に高い場合、またはカメラに対して冷却材の飛沫が常にある場合、または気体消費が問題ではない場合などの状況においてより適切である。
【0046】
気体の消費を減らすために、別の実施例において、往復シャッタ2008は複数の穴が配置されている円盤または他の平坦な形状のものと置き換えられる。これらの穴は円盤または他の平坦な形状のものを回転させることにより異なる穴がスリット2014の異なる位置で重なるような態様で配置される。したがって、スリット型のアパーチャは、円盤または他の平坦な形状のものを回転させることによって形成することができる。
【0047】
さらに別の実施例において、内側ハウジングおよび外側ハウジングを含むエンクロージャを用いて、撮像装置を収容し、撮像装置を汚れから保護する。外側ハウジングは内側ハウジングの少なくとも一部を覆い、各内側ハウジングおよび外側ハウジングにはアパーチャが形成されている。開位置の場合、内側および/または外側ハウジングは、2つのアパーチャが重なって撮像装置が画像を得るための開口を形成するよう、ある位置に回転させられる。開位置では、内側および/または外側ハウジングは2つの開口が重ならないような位置に回転させられる。
【0048】
図21A−
図21Cは、エンクロージャ2100が開口2104を含む実施例を示す。カメラのような撮像装置がエンクロージャ2100内に収容されている場合、撮像装置の光路が開口2104と整列するよう、撮像装置が位置付けられる。この整列により、撮像装置は開口2104を通して1つ以上の画像を撮影することができる。
【0049】
エンクロージャ2100は内側ハウジング2112と、内側ハウジング2112に重なる外側ハウジング2114とを含む。
図21Bに示されるように、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114は円筒形である。内側ハウジング2112は第1の開口2104aを、外側ハウジング2114は第2の開口2104bを、それぞれの表面に形成される。第1の開口2104aおよび第2の開口21024はスリット型アパーチャとして示されているが、エンクロージャ2100内に収容されるカメラの視界要件に基づき、第1および第2の開口に別の形状を用いることができる。
【0050】
さらに、別の実施例において、外側ハウジングが内側ハウジングの少なくとも一部をカバーする限り、内側ハウジングおよび外側ハウジングは別の形で形成することができる。たとえば、内側ハウジングおよび外側ハウジングは、円錐形、球形、半球などの他の丸い形状で形成することができる。さらに、撮像装置が汚れるリスクをさらに減少させるために、付加的ハウジングを設けてもよい。たとえば、第3の開口を有し、外側ハウジング2106の周りに回転する第3のハウジングを、別の実施例において加えることができる。
【0051】
図21Bおよび
図21Cは、開位置および閉位置のエンクロージャ2100を示す。エンクロージャ2100は外側ハウジング2114を回転させることにより、開位置および閉位置に位置付けられる。本実施例において、内側ハウジング2112は静止しており、外側ハウジング2114はシャッタの働きをする。外側ハウジング2114はサポート2116上に支持され、それにより外側ハウジング2114は内側ハウジング2112の周りを回転することができる。サポート2116は、1つ以上の玉軸受、低摩擦面、スライドレール、内側ハウジング2112の表面に形成されるねじ山などを含み、これらにより外側ハウジング2114が内側ハウジング2112の周りを回る。別の実施例において、外側ハウジング2114は静止しているのに対して、内側ハウジング2112は外側ハウジング2114の内側で回転する、または内側ハウジング2112および外側ハウジング2114は同時に回転する。たとえば、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114は、開位置と閉位置との間で切り替わるのに必要な時間を短縮するために、反対方向に回転するよう構成されてもよい。別の実施例において、撮像装置は内側ハウジング2112および外側ハウジング2114と共に回転させられて、画像を撮影するために利用できる視界を広げることができる。
【0052】
図21Bに示すように、エンクロージャ2100は、第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが互いに整列するように外側ハウジング2114が回転している場合、開位置に配置される。第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが開口2104を形成するよう配列されている場合、内側ハウジング2112内の気体が、矢印2020によって示されるように、開口2104から放出されるよう、内側ハウジング2112内において正圧が維持される。
【0053】
図21Cにおいて、エンクロージャ2100は、第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが重ならないよう、外側ハウジング2114を回転させることにより、閉位置に配置される。
図21Cに示されるように、外側ハウジング2114は、第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが180°ずれて、汚れが内側ハウジング2112内に侵入する可能性を減らすように、回転させられる。しかし、第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが重ならない限り、外側ハウジング2114は他のどの位置に移動してもよい。たとえば、別の実施例において、外側ハウジング2114は縦に移動させられ第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが重ならない場所に動かされる。
【0054】
第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが重ならない場合、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114の表面によって形成される密封により、汚れが内側ハウジング2112内に侵入するのを防ぐ。この密封は、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114の直径をほとんど同じに設定することによりもたらされる。汚れが内側ハウジング2112内に侵入するのが防止される。なぜなら、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114間の間隔は厳しい許容差(たとえば引用によりその全体が援用される、ISO286に従い、H7 G6以上の許容差)で構成されているからであり、内側ハウジング2104および外側ハウジング2106の表面間の接触は、その間から異物が侵入するのを防ぐのに十分である。別の実施例において、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114間の領域に1つ以上のシールが配置される。たとえば、シールは、第1の開口2104aおよび/または第2の開口2104bの周りに配置され得る。代替的に、シールは内側ハウジング2112および外側ハウジング2114間のすべての領域に配置することができる。
【0055】
図22A、
図22B、
図23Aおよび
図23Bは、エンクロージャ2100をより詳細に示す。
図22Aおよび
図22Bにおいて、エンクロージャ2100は開位置にある。開位置にある場合、エンクロージャ2100内からの気体パージを用いて、重なっている第1の開口2104aおよび第2の開口2104bによって形成された開口を通って冷却材/チップといった汚れが侵入するのを防止する。
【0056】
撮像装置2202は内側ハウジング2112内に収容される。撮像装置2202の光路が第1の開口2104aと整列するよう、撮像装置2202は内側ハウジング2112内に位置付けられる。シャッタアクチュエータとして働く回転ユニット2220は、外側ハウジング2114を回転させて、エンクロージャ2100を開いたまたは閉じた状態に位置付ける。さらに、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114間に任意のシール2222が配置されて、汚れが内側ハウジング2112内に侵入するのをさらに防ぐ。
【0057】
上記のように、閉位置の場合、外側ハウジング2114は第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが重ならないよう、回転させられる。これは、たとえば第1の開口2104aおよび第2の開口2104bが180°ずれているように外側ハウジング2114を回転させることにより達成される。一実施例において、外側アパーチャは汚れの源から逸れて、汚れが内側ハウジング2112内に侵入する可能性を減らす。たとえば、外側アパーチャは冷却材から逸れて、エンクロージャ内への冷却材の侵入または蒸気の侵入の可能性をなくす。さらに、内側ハウジング2112および外側ハウジング2114間の上記の狭い許容差、および
図22Aに示されるシールを用いることにより、気体を止めても、蒸気は内側ハウジング2112に侵入することはできない。
【0058】
さらなる実施例において、エンクロージャ2100内の圧力は閉位置において、エンクロージャ2100の外の圧力よりも高く設定されて、汚れの侵入の可能性を防ぐ。
【0059】
上記のエンクロージャの実施例は、撮像装置を、冷却材、チップ、冷却材蒸気や湿気といった汚れから安定して密封する。撮像装置を密封するのに対して、これらの実施例は撮像装置の視界をきれいに保ち、それにより厳しい環境でも解像度の高い明確な画像を得ることができる。さらに、上記の実施例は空気などの気体の消費を最小化しながら、異なる環境および状況において優れた密封および清浄度を保つ。
【0060】
上記のように、撮像装置を汚れから保護しながら撮像装置がきれいな画像を撮影できるよう、撮像装置を収容するためのエンクロージャのさまざまな実施例を提供することができる。一実施例において、シャッタ機構の円形のアパーチャの幾何学形状は変更されて、
円形アパーチャの全領域上に均一なエアフローを確実にする。別の実施例において、円形アパーチャの代わりにスリット型アパーチャが用いられる。スリット型アパーチャの使用は、撮影するべきオブジェクト(たとえば、切削ツール)が細長い場合に、有用である。さらに、別の実施例において、高速回転または往復シャッタが用いられる。シャッタの回転/往復速度は、撮像装置が画像を撮影するのに要する時間(たとえば、カメラのシャッタスピード)よりも高く設定される。したがって、均一な気体フローを有する小さな物理的アパーチャを用いて、画像撮影のためのより大きいアパーチャを形成することができる。さらに別の実施例において、内側ハウジングおよび外側ハウジングを有するエンクロージャを用いて撮像装置を収容する。外側ハウジングは内側ハウジングの少なくとも一部を覆う。さらに、内側ハウジングおよび外側ハウジングの各々には、アパーチャが形成されている。開位置の場合、内側および/または外側ハウジングは、2つのアパーチャが重なり、撮像装置が画像を作成するための開口を形成する位置に回転させられる。閉位置の場合、ハウジングは、2つのアパーチャが重ならない位置に回転させられる。
【0061】
本発明のさまざまな変形および変更は、上記の内容に照らして可能である。添付されている特許請求の範囲内において、本発明はここで具体的に記載されているものと異なる態様で行なうことができる。
【0062】
たとえば、クリーニング機構は、汚れた場合にガラス窓のような透明な窓、または撮像装置のレンズをきれいにするために、上記のいずれかの実施例で実現できる。透明窓またはレンズは、高圧空気/冷却材混合物を用いて掃除することができる。これにより、マシンの冷却材を再利用することができる。代替的に、クリーニングはCCDデータに基づいて行なうことができる。
【0063】
さらに、別の例において、エンクロージャ内を正圧に維持するために、補助電源および/または気体供給を上記の実施例と併せて用いることができる。補助電源および/または気体供給は、マシンの電源を落とした場合に、エンクロージャ内で正圧を維持する問題に対処する。たとえば、ツーリングマシンがオフになると、たとえばシールでの漏れにより内部圧が降下した場合でも、付加的に気体をエンクロージャに供給することはできない。補助電源はこのような圧力の低下を防ぐために、付加的気体をエンクロージャに供給することを可能にする。さらに、補助の気体供給は、内部圧力が降下する速度を遅らせることにより、漏れによる影響を減少させる。
【0064】
さらなる例において、マシンで用いられる冷却材をイオン化し、イオン化されたコーティングを上記の透明窓に塗布して、透明窓上に汚れが形成されるのを防ぐ。
【0065】
さらに、上記の実施例は、マシンツール環境以外の他の環境でも適用可能である。他の適用可能な環境とは、オペレータによって容易に清浄できるようマシニングチャンバのドアの近くにカメラが配置されるマシニングチャンバでの同時シミュレーション、切削残留物を減少させるために冷却材が切削領域に与えられる切削材用のマシニングチャンバ内、カメラが任意の位置に配置されてクリーニングのために容易にアクセスできるマシンモニタリング、他のマシンツール環境、撮像装置がロボットアームに装着されるロボットアセンブリラインなどを含む。