(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの熱交換プレート(好ましくは複数の熱交換プレート)を含むプレート式熱交換器に関し、熱交換プレートの少なくとも1つが、圧痕を示す部分を少なくとも1つ含み、対応する設計の熱交換プレートの対応する圧痕に対して配置されることが意図されるプレート式熱交換器に関する。さらに、本発明は、圧痕を示す部分を少なくとも1つ含み、対応する設計の熱交換プレートの対応する圧痕に対して配置されることが意図される熱交換プレートに関する。
【0002】
プレート式熱交換器型の近代的な熱交換器は、いわゆる矢筈模様パターン、つまり、連続した尾根および谷からなる圧痕パターンを有するプレートを備えることが多い。尾根および谷は、中心でそれぞれの方向を変えて、矢筈模様に類似するパターンを生成する。積層型熱交換器パックでは、圧痕が互いに交差するようにプレートが一枚おきに180°回転している。このようにして積み重ねた熱交換プレートは、共にろう付けされ、機械的に安定した小型熱交換器パックを形成する。熱交換プレートの矢筈模様パターンを使用して得られる熱交換器パックは流路パターンを含み、これをそれぞれ2つの流体が流れて、熱エネルギーを交換できる。
【0003】
上記の種類の熱交換器パックが圧力(特に流体圧力)および熱に曝されると、プレートは変形して、プレートに曲げモーメントが生起する。高圧に耐えるために、たとえば、0.4mm厚の比較的厚い金属シートが使用される。
【0004】
そのような金属シートを矢筈模様パターンに加圧すると、好ましくない材料流動が起こる。プレス機器があまり正確に製造されていない場合は、プレートに亀裂が生じうる。また、比較的厚いプレートは、プレス機器による高圧が必要となる。
【0005】
完全にろう付けした熱交換器では、接合部は通常、プレート間に配置される銅はんだまたは銅合金はんだでろう付けされる。銅(合金)はんだは、金属シートのコーティングとして頻繁に利用される。はんだ材は、圧痕の交差部に集まる。したがって、はんだ付けの表面積および強度はきわめて小さい。
【0006】
矢筈模様パターンを有する熱交換器を流れる流体は、尾根上から谷へと下って流される。直線状で曲がっていない流線はない。尾根の上部では流速が大きく、尾根の後方(つまり谷側)では流体の流速は小さい。この流速変化はきわめて大きい。熱交換器内では、流速が大きければ熱伝達率は高く、流速が小さければ熱伝達率は低い。したがって、矢筈模様パターンを有する熱交換器の場合、流速の変化が小さいことが有用である。
【0007】
流動流体が2相からなる場合、つまり流体が気体と液体の混合物である場合、尾根と谷の方向が繰返し変化することによって、気体が、液体がプレートと接触しようとしないように隔離する効果がある。熱交換プレートの表面の湿潤が減少すると、熱伝達率が低下する。
【0008】
矢筈模様設計の熱交換器の流路形状は、流体が熱交換器を流れる場合、流体に大きな圧力損失をもたらす。この圧力損失は、熱交換器に流体を流す仕事量に比例する。圧力損失が大きいということは、(機械的な)消費動力が大きいことを意味する。
【0009】
これらの問題の少なくともいくつかを解決しようとする熱交換器は、米国特許出願第2007/0261829A1号から知られている。本願明細書には、隆起および窪みの形状の圧痕を含む熱交換プレートにパターンを設けることが提案され、圧痕間に熱交換器を通過する流路が形成される。このようにして形成された流路形状によって、熱交換器を通る際の流速を適度に変化させ、その結果熱伝達率を改善する。このようにして形成された熱交換プレートは、上側プレートが回転して、下向きの窪み(底部)が下側プレートの上向きの上部に接するように積み重ねる。上下のプレートは共に、熱交換プレートが互いに接する位置で、はんだ付けを形成することによってろう付けされる。しかし、これらのプレートは、熱交換器の動作時に、隆起部の側壁で破損し易いことがわかっている。これが熱交換器の寿命に重大な悪影響を及ぼすことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、技術水準で知られているプレート式熱交換器の特徴を改善したプレート式熱交換器を提供することである。本発明の別の目的は、熱交換プレート、特に技術水準で知られている熱交換プレートを改良したプレート式熱交換器を形成するための熱交換プレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくとも1つの熱交換プレート、好ましくは複数の熱交換プレートを含み、熱交換プレートの少なくとも1つは、圧痕を示す少なくとも1つの部分を含むプレート式熱交換器であって、圧痕は、少なくとも第1の種類の圧痕および少なくとも第2の種類の圧痕を設けることで、対応する設計の熱交換プレートの対応する圧痕に対して配置されることが意図され、第1の種類の圧痕および第2の種類の圧痕の数が異なるプレート式熱交換器を設計することを提案する。「圧痕の数」という表現は、広義の意味に理解することができる。特に、「異なる数の圧痕」は、それぞれの熱交換プレートおよび/または熱交換プレートの表面のある部分のそれぞれの圧痕の総数に関係しうる。したがって、ある意味では、異なる圧痕の数は、たとえば、単位面積当りのそれぞれの種類の圧痕の数として表す圧痕の密度と考えることができる。すでに言及したように、「圧痕の数」は熱交換プレートの一定の部分にのみ関係する場合があり、「部分」は通常、一定の大きさを有する必要があり、特に、領域の大きさが一定量変化する場合、単位面積当りの圧痕の数を合計し、平均して、ほぼ安定した数になるように選択する必要がある。圧痕の数(および/または密度)を求める場合、特に熱交換プレートの多少有利な表面部を選択することが可能である。たとえば、熱交換プレートが流体吸入口および/または流体吐出口の近傍で、「標準パターン」から外れることは珍しくない。そのような「非標準」領域を考慮しなければ、それぞれの数の制度は高まる。「異なる数」は、実質的には比率1からあらゆる偏差であってもよい。特に、比率は、1.05以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.6以上、1.75以上、2以上、2.25以上、2.5以上、2.75以上、3以上、3.25以上、3.5以上、3.75以上、4以上、4.25以上、4.5以上、4.75以上および/または5以上でありうる。優先的に、比率は自然数を選択する。当然、提案する値の逆数を使用することもできる。第1の種類の圧痕を、第2の種類の圧痕(および第3、第4、第5、さらに多くの異なる種類の圧痕)と区別する場合、これらの種類を区別する方法に関して本質的にあらゆる可能性が包含されうる。たとえば、その種類は、大きさ、表面積、形状(たとえば、熱交換プレートの表面に平行および/または垂直)、材料、表面コーティング、表面処理、圧痕の位置またはその近傍の熱交換プレートの厚み、圧痕の方向(たとえば、上方向および/または下方向および/または斜め方向)、それぞれの圧痕の位置決め角度などによって区別することができる。当然、言及した特徴を2つ以上組み合わせることも可能である。さらに、「圧痕」に関しては、熱交換プレートのそれぞれの部分が能動的に形成されていることを必ずしも意味していない。その代わり、それぞれの圧痕に近接する部品を能動的に成形すること(たとえば、加圧するなど)によって圧痕を成形することも可能である。さらに同じように、「圧痕」の表現は、きわめて広義に解釈しうる。たとえば、圧痕は、突起、凹み、溝、隆起、窪み、ランド、ウェブなどで有りうる。通常、プレート式熱交換器の熱交換プレートでは、互いに接する2枚のプレートは、交互の対応する設計でありうる。換言すれば、プレート式熱交換器は、対応する設計の圧痕を有し、主に2つの別の角度から配置された熱交換プレートから構成できる(上向きの熱交換プレートの圧痕は、下向きの対応する熱交換プレートの対応する圧痕に接触する)。そのようなプレート式熱交換器を形成するために、異なる設計の2つ(以上)の熱交換プレートを製造することが原則的に可能であるが、たとえば、通常は、単一の熱交換プレートのみを設計して製造し、積み重ねた熱交換プレートを一枚おきに180°回転することによって上記の2つの異なる「設計」の熱交換プレートを実現する。当然、最上部のプレートおよび最下部のプレートは通常、熱交換器ブロックを効率的に閉じるために設計が異なる。このために通常、実質的に平坦な金属シートを使用することができる。熱交換プレートを(場合により他の構成要素と)重ね合わせた後、通常「未加工」のプレート式熱交換器を配置し、トンネル炉を通し、それぞれの構成要素を互いにろう付け/はんだ付けし、小型かつ機械的に安定したブロックを形成する。当然、プレート式熱交換器は、上記の2つの異なる種類の圧痕のみを(実質的に)示すことが可能である。しかし、第3、第4、第5、さらに多くの異なる種類の圧痕を備えることも可能である。提案する本プレート式熱交換器は、(他の熱交換器のように)互いに流体分離した2つの別個の流路を有する必要がある。これは、一方の流体から他方の流体に熱エネルギーを伝達する必要があることによる。まれに、単一の熱交換器内で、多数の流体、つまり多数の分離流路が使用される。通常、2つ(またはそれ以上)の流体は異なる特性を示す。たとえば、2つの異なる流体は、物質の状態が異なりうる(たとえば、一方の流体は液体で、他方の流体は気体である)。また、片方または両方の流体が、さまざまな気液比の気体と液体の混合物でありうる。さらに、2つの異なる流体は通常、(少なくとも積層型熱交換器の流入口で)温度および/または圧力が異なる。さらには、流体が異なると、粘性、密度、熱容量などが異なりうる。さまざまな数(密度)のさまざまな種類の圧痕を使用することによって、2つの異なる流体を含む2つの異なる流路に対して、異なる機械的安定性をもたらすことがきわめて容易となる。このように、プレート式熱交換器の機械的安定性を同じレベルに保持したり、さらには増大させたりすることができる一方、積層型熱交換器の全体寸法を減少させたりすることができる。たとえば、第1の種類の圧痕は「上側」の熱交換プレートとの関係に「関与し」、第2の種類の圧痕は「下側」の熱交換プレートとの関係に「関与する」場合、異なる数の第1の種類の圧痕および第2の種類の圧痕を選択することによって、「中央」と「下側」のプレート間および「中央」と「上側」のプレート間の機械的安定性を、それぞれの流路内を流れることが想定されるそれぞれの流体の流体圧力に適合させることができる。さらに、提案する設計を使用して、2つの異なる流体に対して2種類の異なる流路を作製することはきわめて容易である。一例として、2つの異なる流路は、断面(特に形状および/または大きさ)、それぞれの流路の曲率、「障害物」の数(たとえば、渦流を引き起こす)および/またはさまざまな点で異なりうる。このようにして、有利な熱交換器を実現することができる。たとえば、得られた熱交換器の外形寸法および/または寿命および/または効率を高めることができる。
【0012】
特に、プレート式熱交換器は、第1の種類の圧痕および第2の種類の圧痕が異なる設計および/または異なる大きさとなるように設計することが可能である。そのような設計を利用することによって(たとえば、それぞれの流体の圧力が異なることを考慮に入れ)、それぞれに接続の異なる強度をもたらし、および/または、それぞれの流体の特別な要件に対して、それぞれの接続間で形成される流路の大きさおよび/または特徴を適合させることがきわめて容易となる。「異なる設計」という表現は、広義の意味に理解することができる。「異なる設計」は、(特に上側および/または下側から、それぞれの熱交換プレートを見た場合の)それぞれの圧痕の大きさおよび/または圧痕の形状のみに関係するとは限らない。たとえば、異なる設計(特に大きさおよび/または形状)は、それぞれの構造の断面図にも関係しうる。さらにこの提案は、さらに異なる「設計」、たとえば、それぞれの熱交換プレートのそれぞれの部分の厚さ、材料、材料コーティングおよび/または表面処理などを含意しうる。
【0013】
プレート式熱交換器は、第1の種類の圧痕および第2の種類の圧痕が、形状が異なるように設計される場合に有利であることが明らかである。特に、それぞれの圧痕の「形状」は、それぞれの熱交換プレートを上側および/または下側から見た際の形状でありうる。異なる形状を選択することによって、それぞれの接続および/または得られる流路がそれぞれ関与する流体の特性に特によく適する場合、異なる種類の圧痕に異なる形状を使用することは、特に有用でありうる。たとえば、第1の種類の圧痕に対して第1の形状を使用することによって、熱交換器内で使用される第1の流体の流体抵抗がきわめて小さくなりうる。しかし、第2の種類の圧痕に異なる形状を使用することによって、関連する第2の流体の流体抵抗を大きくすることができる。そのように流体抵抗が増大すると、乱流を新たに引き起こす。そのような乱流が新たに発生すると、それぞれの流体から流路壁、最終的には他の流体への熱伝達率を大きくすることができ、このようにして、熱伝達率を大きくするために大きな抵抗を利用すると、得られた熱交換器の性能が向上する。特に、第3、第4(それ以上)の種類の圧痕が存在する場合、「同じ形状」および「異なる形状」の組み合わせも有用であることが明らかである。また、圧痕の数および圧痕の形状を適切に組み合わせて選択することによって、組み合わせ効果を実現することが可能である。
【0014】
しかし、プレート式熱交換器は、第1の種類の圧痕および第2の種類の圧痕が、実質的に同じ形状を示すように設計される場合にも有利となりうる。それぞれの形状が、たとえば、特に流体抵抗が小さく、特に機械的強度が大きく、表面領域周縁の長さに対する割合が特に有利であるなどの特定の(有利な)特徴を有する場合、同じ形状を使用することは特に有利でありうる。
【0015】
特に、少なくとも第1の種類の圧痕および/または少なくとも第2の種類の圧痕が、少なくとも部分的に楕円形、円形、涙形、多角形および/または左右対称の多角形を示すようなプレート式熱交換器を設計することが可能である。これらの形状は、第1の試験時に、特に有利であることが認められている。特に、楕円形および/または円形では、機械的強度が特に大きくなり、得られた接続部の寿命が特に長くなり、および/または、接続領域が、この接続領域の境界線と比較して特に大きくなり、これによって流体流動抵抗が比較的小さくなる。涙形にすると、通常流体抵抗が特に小さくなり、したがって機械的エネルギー損失が抑えられる。多角形および/または左右対称の多角形は通常、(軽度から中程度の)乱流を引き起こし、伝熱効率を改善することができる。左右対称の多角形によって、その形状は通常、多角形の辺の大部分または全てが実質的に同じ長さを示すことを意味する。
【0016】
少なくとも第1の種類の圧痕および/もしくは少なくとも第2の種類の圧痕の数ならびに/または圧痕の配置が、少なくとも第1の種類の圧痕および/または少なくとも第2の種類の圧痕の形状に対応する場合には、プレート式熱交換器の別の好適な実施形態を実現することができる。そのような左右対称形を使用することによって、発生する機械的応力が比較的均一に分散するため、寿命が長く、特に強い熱交換器を実現することができる。さらに、そのような左右対称形を使用して、その流体流動抵抗が減少し、および/または、伝熱性能が改善するなど、得られる流体流動パターンは通常有利となる。
【0017】
少なくともの第1の種類の圧痕および/または少なくとも第2の種類の圧痕が、実質的に平坦な上面の領域および/または平坦な底面の領域を、少なくとも一部有するよう設計される場合、プレート式熱交換器の別の好適な設計を実現することができる。そのような平面領域を有する場合、隣接する熱交換プレートの対応する圧痕との接続強度を特に強くすることができ、はんだ付けの材料(たとえば、銅はんだおよび/または銅合金はんだ)を節約することができる。
【0018】
少なくとも第1の種類の圧痕および/または少なくとも第2の種類の圧痕が、直線に沿って少なくとも一部が配置され、この直線が対応する熱交換プレートの側縁部に対して斜めに好ましく配置される場合、プレート式熱交換器のさらに別の好適な実施形態を実現することができる。そのような配置を圧痕に使用して、簡単かつきわめて効率的な設計の熱交換プレートを実現することができる。特に、プレート式熱交換器を完全に組み立てるために、実質的には圧痕のある熱交換プレートのみを使用する必要がある一方、積み重ねた熱交換プレートの第2のプレートは全て、それぞれ隣接する熱交換プレートに対して180°回転させることが可能である。このようにすることによって、製造器具および収納空間を節約することができ、製造費用を削減することができる。直線は、対応する熱交換プレートの対応する側縁部に対して約45°で配置されるのが好ましい。しかし、この好適な角度付近である程度変化させることは可能である。たとえば、取りうる角度間隔は、30°、35°、40°、42°、43°および/または44°から46°、47°、48°、50°、55°および/または60°である。しかし、最も広範囲の実施形態における本発明は、そのような角度に限定されない。
【0019】
少なくとも第1の種類の圧痕および/または少なくとも第2の種類の圧痕が、循環流体の少なくとも1つが湾曲する流体経路を少なくとも区間的に流れるように、少なくとも部分的に配置される場合、プレート式熱交換器のさらに別の好適な実施形態を実現することができる。このようにして、通常、それぞれの流体の熱伝達率を増大させることが可能であり、これは熱交換器の性能を向上させる。
【0020】
さらに、または、大体として、循環流体の少なくとも1つに対して少なくとも1つの直線導管が少なくとも部分的に形成されるように、少なくとも第1の種類の圧痕および/または少なくとも第2の種類の圧痕が少なくとも部分的に配置されるように、プレート式熱交換器を設計することが可能である。この設計によって、通常、流体流動抵抗を減少させることができる。このようにして、機械的エネルギーを節約することができる。この設計は、特に高い粘性および/または低い粘性を示す流体に関して、および/または、異なる手段によって乱流が発生するプレート式熱交換器の設計と組み合わせれば特に有用である。
【0021】
さらに、循環流体の少なくとも1つに対する少なくとも1つの導管が、少なくとも部分的に対応する熱交換プレートの側縁部の少なくとも1つに平行に配置されるように、少なくとも第1の種類の圧痕および/または少なくとも第2の種類の圧痕が少なくとも部分的に配置されるように、プレート式熱交換器を設計することを提案する。このようにして、通常、それぞれの流路の流体吸入口と流体吐出口との間で、特に有利な流体流動を実現することができる。
【0022】
熱交換プレートの少なくとも1つが、少なくとも部分的に金属プレートおよび/または合金プレートで形成され、接着材、好ましくははんだ付け材から作製されるコーティングを好ましくは少なくとも部分的に含む場合、プレート式熱交換器の別の特に好適な実施形態を実現することができる。金属プレートは、たとえばアルミ、アルミニウム合金、鉄、銅、鉄合金(たとえば鉄鋼)、銅合金などで作製することができる。接着材として、接着剤などを使用することが可能である。当然、銅または銅合金などのはんだ材(または、ろう材)を使用することも可能である。ここで提案する特徴は、出願当初の請求項1の前提部分に関連して請求されることに留意する必要がある。
【0023】
さらに、対応する設計の熱交換プレートの対応する圧痕に対して配置されることが意図される圧痕を示す部分を少なくとも1つ含み、少なくとも第1の種類の圧痕および少なくとも第2の種類の圧痕を備え、第1の種類の圧痕および第2の種類の圧痕が異なる設計のものとなるように、熱交換プレートを設計することを提案する。そのような熱交換プレートは、前記種類のプレート式熱交換器を製造するのに特に有用である。さらに、提案する熱交換プレートは、積層型熱交換器に関してすでに記載したものと同じ、少なくとも同じような特徴および利点を示しうる。さらに、熱交換プレートには上記の意味で、少なくとも類似した改変を施すことができる。
【0024】
本発明およびその利点は、添付図面を参照して説明する実現可能な発明の実施形態に関する以下の記載を見ればさらに明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図4に示す典型的な実施形態のようなプレート式熱交換器(9)は、2つの異なる流体間で熱を伝達する公知の装置である。プレート式熱交換器(9)は、たとえば自動車産業やビルの冷暖房などの多くのさまざまな用途に使用される。
【0027】
プレート式熱交換器(9)は、互いに積み重ねた複数の熱交換プレート(1、13)を含む。個々の熱交換プレート(1、13)は、圧痕パターン(2、3、14、15)を有するよう設計され、通常隆起と窪みおよび/または尾根と谷として(後者は、特に矢筈模様設計と組み合わせて)設計される。プレート式熱交換器(9)の最上端および最下端では、平面金属シート(16)が、プレート式熱交換器(9)内に流体を保持するために備えられる。さらに、2つの流体の吸入口(11)と吐出口(12)との接続部(11、12)も備えられる。
【0028】
熱交換プレート(1、13)の積層は通常、熱交換プレート(1、13)を互いに対して大まかに配置し、それらをはんだ付けで接合して、機械的に安定した一体型ユニットを形成することによって製造される。
【0029】
熱交換プレート(1、13)の圧痕(2、3、14、15)のパターンによって、2つの流体に対する別個の流路がはんだ付け加工によって形成され、別個の流路は互いに流体分離される。通常、2つの流体は、熱交換プレート(1、13)の対の間で互いに向流循環する。この技術自体は、一般に知られている。
【0030】
図1は、特徴的パターンの圧痕(2、3)を示す熱交換プレート(1)の実現可能な第1の実施形態の平面図である。
図1に示すように、図に示す熱交換プレート(1)は、現在広く使用されている矢筈模様パターンではなく、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)のパターンを備える。さらに、循環口(17)が、熱交換プレート(1)の四隅の近傍に備えられる。これらの循環口(17)は通常、プレート式熱交換器(9)に出入りする2つの異なる流体の吸入口(11)および吐出口(12)に接続される。
図1に示す熱交換プレート(1)内に、正方形を破線で描画している。熱交換プレート(1)のそれぞれの表面部は、
図1の右側に拡大して示す。拡大によって、熱交換プレート(1)の第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)のパターンは明確となる。第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)は、基準面(18)に対して、所定の高さだけ反対方向に高くなる。隆起部(2、3)の斜面は、約45°のエッジ角度を有する。この変形は、加圧技術によって容易に可能である。矢筈模様パターンとは異なり、プレートシートに必要な変形は比較的小さいため、本熱交換プレート(1)の隆起部(2、3)のパターンは成形工程に良好に適合する。このようにして、熱交換プレート(1)に亀裂が生じる危険性をかなり軽減することができる。
【0031】
第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)は、第1の隆起部(2)からなる第1パターンと、第2の隆起部(3)からなる第2パターンとを構成する。熱交換プレート(1)の本実施形態で、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)は、対応する第1の表面領域および第2の表面領域を有する実質的に平坦な第1の上部(4)および第2の上部(5)をそれぞれ有する。
図1に示すように、第1の隆起部(2)の個々の各第1の上部(4)の表面領域は、第2の隆起部(3)の個々の各第2の上部(5)の表面領域より小さい。第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)の数が実質的には同じであるため、第1の隆起部(2)の第1の上部(4)の表面領域全体も同様に、第2の隆起部(3)の第2の上部(5)の表面領域全体より小さい。
【0032】
熱交換器(9)が複数の熱交換プレート(1)から形成される場合、熱交換プレート(1)は、たとえば、あるプレート(1)の第1の表面領域(4)を下側のプレート(1)の第1の表面領域(4)に固定接続(はんだ付け、ろう付け、接着)し、同じように、そのあるプレート(1)の第2の表面領域(5)を第2の表面領域(5)に固定接続(はんだ付け、ろう付け、接着)する(たとえば
図3参照)ように接続される。本実施形態では、第1の表面領域(4)および第2の表面領域(5)は比較的大きい表面領域であることから、接続部は比較的強い。
図3では、2つの隣接する第1の表面領域(4)と、2つの隣接する第2の表面領域(5)それぞれの間の材料係合(10)による接続部を示す。材料係合(10)による接続は、ろう付け、はんだ付け、接着などの当該技術分野において知られているあらゆる加工処理によって得ることができる。
【0033】
熱交換器(9)は、動作時に、熱交換プレート(1)を離そうとする傾向がある加圧流体(関与する2つの流体の圧力は異なりうる)で満たされる。また、熱交換プレート(1)は、流体によってもたらされる温度上昇によって伸張しうる。第1の隆起部および第2の隆起部(2、3)のパターンによって、プレート材に生じる全応力は、実質的にはプレート材の方向にかかり、したがって曲げモーメントが全く生起しないか、あるいは、ほんのわずか生起する。そのような曲げモーメントが存在しないことによって、構造の強度および寿命が増大する。また、熱交換器(9)の強度は、第1の隆起部と第2の隆起部(2、3)との間の比較的大きい接触領域(10)によって増大する。このように強度が改善されることによって、熱交換プレート(1)に薄い金属シートを使用することができる。また、厚さが通常0.4mmの金属シートを使用して、矢筈模様パターンおよび同じ金属シートの厚さを有する標準的な熱交換器の破裂圧力200バールに比して、破裂圧力600バールの熱交換器(9)が得ることができる。
【0034】
また、本発明による熱交換器(9)は、反対側が流体の異なる圧力に適合する可能性を提供し、これは望ましいことが多い。
【0035】
図2は、破線および実線によってそれぞれ表す直線Aおよび直線Bに沿った第1の隆起部(2)と第2の隆起部(3)の側面図を示す。
【0036】
異なる表面領域(第1の表面領域(4)および第2の表面領域(5))を有するように第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)を形成することによって、まず流量特性(流体の圧力損失に影響を及ぼす)が、各プレート(1)の両側で異なるようにすることができ、したがって、関与する2つの流体で異なるようにすることができる。さらに、(接触領域(4、5)が材料係合(10)によって接続される場合、)2つの隣接するプレート(1)の接触領域(4、5)の大きさが異なるため、一方の流体に対して、他方の流体より耐圧が高くなるように最終的な熱交換器(9)を設計することが可能である。
【0037】
したがって、特定の要件に従って、熱交換器(9)を設計することは可能である。特に、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)の大きさ(絶対的な大きさおよび相対的な大きさ)は、特定の流速および/または圧力損失が得られるように設計してもよい。同時に、必要な強度に従って、熱交換プレート(1)の接触領域(4、5)を形成することができる。
【0038】
例示した第1の実施形態では、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)の両方の表面領域は、長径(すなわち、楕円の主軸)が実質的に流体流動の方向を指す楕円形を示す。このように、流体流動の方向に対して断面積は最小となり、したがって、流体の流体流動抵抗(結果的には流体の圧力損失)を抑えることができる。
【0039】
第1の試験は、平坦な上部(4、5)を楕円状に形成する方が、円形状に形成するよりも優れていることを示す。円形状は、第1の隆起部(2)および/または第2の隆起部(3)の側壁に亀裂が生じ易いという徴候が見られる。隣接する熱交換プレート(1)間の材料係合(10)による接続強度は、平坦な上部(4)および上部(5)の表面領域に大きく依存するが、壁の耐荷重はプレートシートの円周長および厚さに強く依存する。壁および接続部(10)と同じような強度を得るためにプレートの厚さを変更した場合、熱交換器(9)の熱交換効率は悪影響を受けると考えられる。第1の隆起部(2)および/または第2の隆起部(3)に楕円形の形状を使用すると、接続部(10)のプレートシートの厚さおよび/または表面領域が一定の状態で、円周長を容易に増大することができる。
【0040】
万全を期するために、代替の実施形態に従って、第1の隆起部(2)および/または第2の隆起部(3)に対して他の好適な形状がいずれも可能であることに言及する必要がある。特に、さまざまな形状を使用することによって、同じように接続部(10)の表面領域を増大させずに円周長を増大させることが可能である。
【0041】
図3に、材料係合による接続部(10)を使用して互いに接続される複数の熱交換プレート(1)の側面図を示す。図の方向は、
図1の線Aおよび線Bに平行である。2つの異なる断面積を有する流路(6、7)が形成されていることがわかる。大きい流路(6)は、小さい表面領域を示す第1の上部(4)を有する第1の隆起部(2)間の熱交換プレート(1)によって形成される。当然、(小さい)第1の上部(4)間の接続は、(大きい)第2の上部(5)間の接続に比して弱い接続となる。さらに、第2の隆起部(3)の間で、第2の小さい流路(7)が形成される。しかし、これらの第2の小さい流路(7)は、(大きい)第2の上部(5)間で機械的結合(10)が強くなるため、高圧の加圧流体に適している。
【0042】
図1〜3に示す熱交換プレート(1)の実施形態によれば、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)は、1つおきの格子点に配置されるように、矩形の格子内で対称的に配置される。したがって、これら2つの隆起部は、多数の平行線に沿って交互に配置され、第1の隆起部(2)と第2の隆起部(3)との間の距離が等しく、そのような平行線の間の距離も等しい。流体に対して形成される流路(6、7)は、実質的にジグザグな線を辿る。換言すると、それぞれの流体は、矢筈模様パターンのように尾根や谷を越えようとしない。その代わり、積み重ねた熱交換プレート(9)の間の接続位置(10)で、丸い「柱のような」狭窄部(第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)の形状をした)に衝突するだけである。
【0043】
必然的に、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)は、流体流速、方向および流体の乱流にある程度の変化を引き起こす。しかし、層流流体流動の熱伝達率が通常低下するため、乱流を完全に除去することは通常好ましくないことが知られている。隆起部(2、3)の提案するパターンによって、流体の流体流速が軽度から中程度変化する。したがって、流体の所定の平均流速に対して、熱伝達ユニット当りの熱交換器(9)全体の圧力損失が低減する。したがって、特に矢筈模様パターンを有する熱交換器に比して、熱交換器(9)全体に流体を流すのに必要となる熱伝達ユニットあたりの機械動力も減少する。
【0044】
流動特性を改善するために、第1の平坦な上部領域(4)および第2の平坦な上部領域(5)は、その長径(楕円の主軸)が、熱交換器(9)内の流体流動の方向と実質的に平行に延伸するように配置されている。熱交換器の流体流動の方向は、複数の隆起部(2、3)で平均化した場合、流体の局所的な主流方向として定義することができる。
【0045】
しかし、隆起部は、熱交換器(9)内の流体流動の方向に対して任意の角度で長径を配置させて位置を合わせることも可能であり、熱交換プレート(1)の表面にわたって角度を変化させることも可能である。また、第1の上部(4)および/または第2の上部(5)の大きさおよび/または各形状は、熱交換プレート(1)の表面にわたって変化してもよく、このため、局所的に個々のおよび/または相対的な流動特性および圧力特性が変化する。
【0046】
このための特定の関連実施形態は、長径の角度が流体吸入口(11)と流体吐出口(12)との間の直接接続線に対して実質的に垂直から平行に変化することである。そのような配置は、流体が流体吸入口(11)に入って、熱交換プレート(1)の幅全体に分散するのに有用であり、さらに熱交換プレート(1)の側面を流れて来た流体が流体吐出口(12)に流れるのに有用である。
【0047】
図3に示すように、第1の流路(6)および第2の流路(7)、特に、第1の流路(6)および第2の流路(7)それぞれの中心には、直線、実質的には障害物のない流体流路を有するギャップ(8)がある。
【0048】
第2の流路(7)を見ると、たとえば、上側の第1の上部(4)に近接するため、流体は方向を変える必要はない。それでも、流体は左右の第2の上部(5)が近接することによってある程度影響を受ける。この種類の流路(7)を有する熱交換器(9)が、2層の流体、すなわち、気体と液体との混合物である流体と共に使用される場合、気相は、第2の流路(7)の中心にあるギャップ(8)に沿って流れる傾向がある。これは、流体の液相によって熱交換プレート(1)の壁を湿潤することなく、気体が熱交換器(9)を流れることができることを意味する。これにより、良好な熱伝達をもたらす。同じことが第1のチャンネル(6)にも適用される。
【0049】
また、何らかの動作時では、熱交換プレート(1)の壁に沿った表面蒸発の代わりに核沸騰が発生しうる。特に、そのような核沸騰は、液体流速が大きく低下するくぼみで発生する。そのような核沸騰によって熱伝達率がさらに改善する。
【0050】
代替の実施形態(図示せず)では、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)は、格子内で対称的に配置されるが、
図1〜3に示す熱交換プレート(1)の実施形態とは異なり、格子は、形成したチャンネル(6、7)が、熱交換プレート(1)の縁部と平行になるように配置される。この配置は、上部(4、5)が互いに相手を覆い隠すため、通常、圧力損失が減少するが、熱伝達率も低下する。
【0051】
しかし、この配置は、実質的にあらゆる方法で変更することができる。特にパターンは、プレート全体にわたって対称である必要はない。このように、さまざまな配置を使用して、望ましい方法で流体の流れを導き、乱流および圧力損失を制御することができる。
【0052】
さらに、第1の隆起部(2)および第2の隆起部(3)(およびそれ以上のさまざまな種類の隆起部(図示せず))のパターンが、実質的に熱交換プレート(1)の全体を覆う必要はない。このパターンは、理由の如何を問わず必要とされる場合には、完全に平坦な表面、偏向バリアや偏向バッフル、さらには従来の矢筈模様パターンと組み合わせることができる。
【0053】
図5は、熱交換プレート(13)の実現可能な第2の実施形態の平面図である。そのような熱交換プレート(13)は、
図4に示すようなプレート式熱交換器(9)の製造に使用できる。この第2の実施形態は、
図1〜3に示すような熱交換プレート(1)の第1の実施形態と多少類似している。しかし、第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の配置、数および形状は異なる。
【0054】
この熱交換プレート(13)の第2の実施形態では、第1の隆起部(14)は、実質的に六角形であり、第2の隆起部(15)は実質的に三角形である。熱交換プレート(1)の第1の実施形態と同じように、熱交換プレート(13)の第1の隆起部(14)および第2(15)の隆起部は、実質的に平坦な上面を有する第1の上部(19)および第2の上部(20)をそれぞれ有する。
図5に示すように、第1の上部(20)の表面領域(第1の隆起部(15))は、第2の上部(19)の表面領域(第2の隆起部(14))よりも大きい。
【0055】
第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の互いに対する配置は、第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の個々の形状を反映するように選択される。第1の隆起部(14)が六角形状に形成されるため、第2の隆起部(15)も同じように中央の第1の隆起部(14)の周囲に六角形(22)に配置される。したがって、各第1の隆起部(14)の周囲に、第2の隆起部(15)が6つ配置される。同じように、第2の隆起部(15)が三角形状なので、第1の隆起部(14)は中央の第2の隆起部(15)の周囲に三角形(21)に配置される。したがって、各第2の隆起部(15)の周囲には、第1の隆起部(14)が3つ配置される。
【0056】
本実施形態では、第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)は、六角形状の第1の隆起部(14)の1つの角が、三角形状の第2の隆起部(15)の方向を指すように、配置される。これに反して、三角形状の第2の隆起部(15)の直線は、六角形状の第1の隆起部(14)の方向を「指して」いる。この配置を得るためには、
図5に示すように、第2の隆起部(15)が、線(C)に沿って方向を変えるように配置される。第1の試験では、流体の少なくとも1つの圧力および/または温度が変化すると、この特定の配置によって、熱交換プレートの金属シート(13)の機械的応力が減少することを示した。したがって、通常熱交換器(9)の寿命を延長させることができる。さらに、第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の提案する配置は、第1の試験において、比較的良好な熱伝達率、比較的低い機械的エネルギーの損失(流体の圧力損失)を示した。
【0057】
しかし、第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の異なる配置ならびに/または第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の異なる配列は、さまざまな流体および/またはさまざまな流体特性に関して有利である場合がある。特に、第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の適切な配置ならびに/または配列を選択することによって、提案する本熱交換プレート(13)から製造される熱交換器(9)は、実際の要件に適合させることができる。
【0058】
図6は、破線および実線によってそれぞれ表される直線(C)および直線(D)に沿った第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)の側面図を示す。その数および/または形状および/または大きさの異なる第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)を設けることによって、熱交換プレート(13)の両側で異なる流れおよび/または圧力特性が得られる。これは、熱交換器(9)を通過時に流体が遭遇する「障害物」の数、形状および大きさが異なることによる。
【0059】
この図はきわめて説明的であり、断面は直線で示しているが、これは通常、直線ではないことに留意する必要がある。図に示す「直」線は、通常は曲線であり、実際には、形状に「角」がない。
【0060】
図7では、互いに積み重ねられ、材料係合(23)によって互いに接続される複数の熱交換プレート(13)の配置を示す。この図は、熱交換プレート(13)の積層の側面を描画している。図の方向は、
図5の線(C)および線(D)に平行になるように選択している。したがって、
図7は「2レベル」の熱交換器(9)を示す。
図7に示すように、本記載の第2の実施形態に従って、大きい第1の流路(24)は、第2の数の少ない隆起部(15)間に位置する。同じように、小さい第2の流路(25)は、第2の隆起部(15)よりも数の多い第1の隆起部(14)間に位置する。
【0061】
2つの熱交換プレート(13)間の接続全体の強度は、第1の隆起部(14)の第1の上部(19)および/または第2の隆起部(15)の第2の上部(20)の表面領域によって決まるのみではなく、第1の隆起部(14)および/または第2の隆起部(15)の(相対的な)数によっても決まることに留意する必要がある。したがって、2つの隣接する熱交換プレート(13)間の第2の(小さい)平坦な上部(20)による接続全体の強度は、第2の平坦な上部(20)の数を単に増加させることによって、第1の平坦な上部(15)による接続全体より高くすることが可能である。当然、第1の平坦な上部(15)による接続全体の強度はこの方法によって増大させることができる。
【0062】
機械的結合全体の強度をそのように適合させることによって、得られた熱交換器(9)を特定の設計に生じる最大流体圧力および/または最大流体温度に関して最適化することが可能である。このように、通常、熱交換器の有効性、得られる熱交換器(9)の大きさを最適化することや、製造費用を抑えることが可能である。
【0063】
図1〜3に示す熱交換プレート(1)の第1の実施形態に関して説明したように、円形状とは異なる形状(本実施例では、三角形状および六角形状が使用される)で第1の隆起部(14)および/または第2の隆起部(15)を設計することによって、それぞれの表面領域の大きさを増加させずに、平坦な上部(19、20)の縁線の円周長を長くすることが可能である。既に記載したように、これにより、圧力差および/または温度差によって機械が故障しにくい設計となる。したがって、その熱交換器(9)の寿命を通常、延長することができる。
【0064】
熱交換プレート(13)の本第2の実施形態に関しても、第1の隆起部(14)および/または第2の隆起部(15)に他の適切な形状、数および/または大きさを使用することが可能である。
【0065】
熱交換プレート(1)の既に説明した第1の実施形態と同じように、ここで提案する熱交換プレート(13)の第2の実施形態では、第1の流路(24)および第2の流路(25)は、障害物に遭遇しない直線の流体流動とのギャップ(26)であってよく、「見通し線」とも呼ばれる。そのような「見通し線」が存在する場合、その外延は、平坦な上部(19、20)の外延および大きさに対する相対距離など、第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)を有する熱交換プレート(1)の正確な設計に大きく依存する。同じような「見通し線」は、たとえば
図3の実施形態に存在してもよい。ここで、第1の流路(24)を見ると、流体は、第1の上部(19)が近接するため方向を変える必要はないが、第2の上部(20)によってある程度の影響を受ける。(第2の流路(25)を見た場合も同じである。)この種類の流路(24、25)を有する熱交換器(9)を、2層の流体と共に使用する場合、気相は、第1の流路(24)または第2の流路(25)の中心にあるギャップ(26)に沿って流れる傾向にある。したがって、気相は、液相によって熱交換プレート(13)を湿潤することなく、熱交換器(9)を流れる。これにより、良好な熱伝達をもたらす。
【0066】
当然、熱交換プレート(13)の第2の実施形態(熱交換器プレートの異なる設計のものに関して)においても、何らかの動作時には、特に液体流速がかなり低下する窪みで、表面蒸発の代わりに核沸騰が起こりうる。これは、さらに熱伝達率を改善する。
【0067】
特に熱交換プレート(13)の第2の実施形態に関してここで提案する熱交換プレート(1、13)の更なる態様は、その流量特性が、第1の隆起部(2、14)および第2の隆起部(3、15)のパターンに関係する流体流動の方向に関して著しく異なる。
図8Aは、流体流動の全体的な方向を定義する経路(27a、28a)を示し、破線曲線(28a)は第1の隆起部(14)(突起とみなすが、第2の隆起部(15)は窪みとみなす)によって定義される熱交換プレート(13)の側面の流体流路を示す。連続曲線(27a)は、第2の隆起部(15)によって形成される熱交換プレート(13)の反対側に見られる流体流路と同様に示す。流路(27a)および流路(28a)は、熱交換プレート(13)に沿った第1の隆起部(14)および第2の隆起部(15)それぞれでの偏向によって、流体流動それぞれの方向は、(ジグザグ形に類似して)繰り返し変化する。
【0068】
流体流動の全体的な方向と直交する流体流動の方向には、第1の隆起部および第2の隆起部(14、15)が、線(C)および線(D)に沿って整然と配置されているため、流体流動は同じ障害物に遭遇せず(
図5参照)、このため、「高速路」(27b、28b)がもたらされ、実質的に障害物がない(
図8B参照)。少なくとも、流路(27b、28b)では他の流れ方向よりも流れ抵抗が小さくてもよい。
【0069】
そのように障害物のない「高速路」(27b、28b)は、熱交換プレート(13)(および熱交換器(9))にわたって流体流動の分散性を改善するという利点があり、流体抵抗は、流体の全体的な方向と直交する流体流動の方向(流体流動の全体的な方向は、熱交換プレート(13)の「長手」側に平行な流体流動の方向に対応する)で低下する。吸入口(11)から吐出口(12)に至る方向とは異なる方向で流体流動抵抗が低下することによって、全体として流体は熱交換プレート(13)に良好に分散する。
【0070】
熱交換プレート(1)の第1の実施形態に関して上に記載した他の改変例は、熱交換プレート(13)の第2の実施形態(または、熱交換プレートの他の改変例全て)と、少なくとも同じように採用することができる。
【0071】
同一日に同一特許事務所の同一出願人によって出願された内部参照番号第1001690の出願書類から追加情報を得ることができる。この他の出願書類の内容は、参照によって本願明細書の一部をなす。