特許第5940292号(P5940292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ・ダウコーニング株式会社の特許一覧

特許5940292オルガノポリシロキサンの製造における酸の使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940292
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】オルガノポリシロキサンの製造における酸の使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/08 20060101AFI20160616BHJP
   C08G 77/44 20060101ALI20160616BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20160616BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20160616BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   C08G77/08
   C08G77/44
   A61K8/898
   A61Q5/02
   A61Q5/12
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2011-275721(P2011-275721)
(22)【出願日】2011年12月16日
(65)【公開番号】特開2013-124363(P2013-124363A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110077
【氏名又は名称】東レ・ダウコーニング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 勝
(72)【発明者】
【氏名】堀 誠司
(72)【発明者】
【氏名】外山 貴敏
(72)【発明者】
【氏名】兒島 和彦
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 常仁
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−265924(JP,A)
【文献】 特開平07−179762(JP,A)
【文献】 特開2011−056050(JP,A)
【文献】 特開平06−009873(JP,A)
【文献】 特開平04−198321(JP,A)
【文献】 特開昭63−245466(JP,A)
【文献】 特開2010−144157(JP,A)
【文献】 特開昭59−071363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00−77/62
A61K 8/00−8/99
A61Q 5/00−5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン及び、
少なくとも1種の分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖アミノキシオルガノポリシロキサン、又は、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・アミノキシオルガノシロキサン共重合体から選ばれるケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させて得られるオルガノポリシロキサン組成物の製造方法において、
前記ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物1モルに対して、0.3モル以上の少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸
が含まれるオルガノポリシロキサン組成物の製造方法
【請求項2】
前記無機酸が、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸及び炭酸からなる群から選択される、請求項1記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法
【請求項3】
前記ケイ素原子結合アミノキシ基が−ON(R(Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基を表す)又は下記式:
【化1】
(式中、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は、二価有機基を表す)
で表される基である、請求項1又は2のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法
【請求項4】
二価有機基であるRが、−N(R)−(Rは水素原子、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素数1〜30の一価炭化水素基を表す);置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜20の二価炭化水素基、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素原子数1〜20の二価炭化水素基である、請求項記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法
【請求項5】
少なくとも1種の界面活性剤を更に含む工程を有する、請求項1乃至のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法
【請求項6】
水を更に含む工程を有する、請求項1乃至のいずれかに記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法
【請求項7】
エマルジョン形態である、請求項記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法
【請求項8】
請求項1乃至のいずれかに記載の方法で得られたオルガノポリシロキサン組成物の製造方法を含む化粧料原料の製造方法
【請求項9】
少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸の存在下で、
少なくとも1種の分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン及び少なくとも1種のケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を、前記ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物1モルに対して0.3モル以上の前記無機酸又はカルボン酸を含み、縮合反応させ、前記ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物が分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖アミノキシオルガノポリシロキサン、又は、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・アミノキシオルガノシロキサン共重合体である、低臭性オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項10】
少なくとも1種の分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン及び少なくとも1種の分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖アミノキシオルガノポリシロキサン、又は、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・アミノキシオルガノシロキサン共重合体であるから選ばれるケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させ、オルガノポリシロキサンを含む組成物を得る工程、並びに前記組成物に少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸を前記ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物1モルに対して0.3モル以上添加する工程
を含む、低臭性オルガノポリシロキサンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及びケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物の縮合反応によるオルガノポリシロキサンの製造における臭気低減のための酸の使用に関する。特に、本発明は、そのようなオルガノポリシロキサンを含む臭気の少ない組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及びケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物の縮合反応によりオルガノポリシロキサンを製造することが知られている。
【0003】
例えば、特公平6−92540号公報には、両末端シラノール基含有オルガノポリシロキサン、両末端アミノキシ基含有ケイ素化合物、ノニオン乳化剤及び水からなるオルガノポリシロキサンエマルジョンが記載されている。
【0004】
特開昭63−265924号公報には、両末端シラノール基含有オルガノポリシロキサン及び両末端アミノキシ基含有ケイ素化合物を、界面活性剤の存在下に、水中で乳化重合することを特徴とするオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法が記載されている。
【0005】
特開平4−198321号公報には、ケイ素原子数20以下の非縮合反応性オリゴマー成分を除去した両末端シラノール基含有オルガノポリシロキサン及び両末端アミノキシ基含有ケイ素化合物を、界面活性剤の存在下に、水中で乳化重合することを特徴とするオルガノポリシロキサンエマルジョンの製造方法が記載されている。
【0006】
特許第3251658号公報には、オルガノポリシロキサンレジン、両末端シラノール基含有オルガノポリシロキサン、両末端アミノキシ基含有ケイ素化合物、界面活性剤及び水からなるシリコーン水性エマルジョン組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平6−92540号公報
【特許文献2】特開昭63−265924号公報
【特許文献3】特開平4−198321号公報
【特許文献4】特許第3251658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及びケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物の縮合反応は、揮発性の環状ポリシロキサンの含有量が少ないオルガノポリシロキサンを得ることができ、また、高分子量のオルガノポリシロキサンを容易に製造できるという利点を有するが、縮合反応で副生するヒドロキシルアミンの臭気が問題である。特に、上記縮合反応を利用して得られたオルガノポリシロキサンを含む組成物は、蒸留等によってヒドロキシルアミンを当該組成物から除去することが困難となる場合があり、その臭気のため当該組成物の用途が制限されうるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記縮合反応により製造されるオルガノポリシロキサンを含む一方で臭気の少ない組成物を提供することをその目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記縮合反応により製造されるものでありながら臭気が低減されたオルガノポリシロキサンを提供することをもその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸、並びに、少なくとも1種のケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及び少なくとも1種のケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させて得られるオルガノポリシロキサンを含むオルガノポリシロキサン組成物によって達成される。
【0012】
本発明の組成物は、前記ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物1モルに対して0.3モル以上の前記無機酸又はカルボン酸を含むことが好ましい。
【0013】
前記無機酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸及び炭酸からなる群から選択されうる。
【0014】
前記ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物は分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0015】
前記ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物は分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖アミノキシオルガノポリシロキサン、又は、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・アミノキシオルガノシロキサン共重合体であることが好ましい。
【0016】
前記ケイ素原子結合アミノキシ基は、−ON(R(Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基を表す)又は下記式:
【化1】
(式中、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は、二価有機基を表す)で表される基であることが好ましい。
【0017】
上記式において、二価有機基であるRは、−N(R)−(Rは水素原子、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素数1〜30の一価炭化水素基を表す);置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜20の二価炭化水素基、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素原子数1〜20の二価炭化水素基であることが好ましい。
【0018】
本発明の組成物は、更に、界面活性剤を含んでもよい。
【0019】
本発明の組成物は、更に、水を含んでもよい。
【0020】
本発明の組成物は、エマルジョン形態であってもよい。
【0021】
本発明の組成物は化粧料に配合されることが好ましい。
【0022】
前記化粧料は、毛髪化粧料であることが好ましい。
【0023】
本発明の目的は、少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸の存在下で、少なくとも1種のケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物、及び、少なくとも1種のケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させる、オルガノポリシロキサンの製造方法によっても達成される。
【0024】
また、本発明の目的は、少なくとも1種のケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及び少なくとも1種のケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させてオルガノポリシロキサンを含む組成物を得る工程、並びに、前記組成物に少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸を添加する工程を含む、オルガノポリシロキサンの製造方法によっても達成される。
【0025】
本発明の製造方法により得られるオルガノポリシロキサンは低臭性である。
【発明の効果】
【0026】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物はヒドロキシルアミン由来の臭気が少ない。また、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は揮発性の環状ポリシロキサンの含有量が少なく、更に、高分子量のオルガノポリシロキサンを含むことができる。したがって、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、例えば、化粧料の用途に好適に使用することができる。
【0027】
本発明のオルガノポリシロキサンの製造方法では、ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物とケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物とを縮合反応させるにもかかわらず、臭気が低減されたオルガノポリシロキサンを得ることができる。しかも、本発明のオルガノポリシロキサンの製造方法は、揮発性の環状ポリシロキサンの含有量が少なく、また、高分子量のオルガノポリシロキサンを容易に製造することができる。したがって、本発明の製造方法により得られるオルガノポリシロキサンは化粧料の用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、少なくとも1種の(A)ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及び少なくとも1種の(B)ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させて得られるオルガノポリシロキサン、並びに、少なくとも1種の(C)無機酸又はカルボン酸を含む。以下、まず、(A)、(B)及び(C)の各成分について説明する。
【0029】
[(A)成分]
ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物はケイ素原子結合水酸基を有する限り特に限定されるものではないが、分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。(A)成分の粘度は特に限定されるものではないが、1〜100000mm/sの範囲が好ましい。(A)成分は単独で使用されてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0030】
前記分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサンとしては、一般式:

HO(RSiO)

(式中、Rは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基を表し、
mは10以上の整数を表し、10〜1000の範囲の整数であることが好ましく、100〜500の範囲の整数であることがより好ましい)で示されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
【0031】
前記置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基は、例えば、好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは炭素原子数1〜10、更により好ましくは炭素原子数1〜4の一価飽和炭化水素基;好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは炭素原子数2〜10、更により好ましくは炭素原子数2〜4の一価不飽和脂肪族炭化水素基;又は、好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは炭素原子数6〜12、更により好ましくは炭素原子数6〜8の一価芳香族炭化水素基である。
【0032】
前記一価飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖又は分岐状のアルキル基;並びに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。直鎖又は分岐状の炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0033】
前記一価不飽和脂肪族炭化水素基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐状のアルケニル基;並びに、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基、更には、シクロペンテニルエチル基、シクロヘキセニルエチル基、シクロヘキセニルプロピル基等のシクロアルケニルアルキル基が挙げられる。直鎖又は分岐状のアルケニル基が好ましく、ビニル基が特に好ましい。
【0034】
前記一価芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基等のアリール基が挙げられる。フェニル基が好ましい。なお、本明細書において芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素のみからなる基以外に、芳香族炭化水素と飽和炭化水素が複合した基をも含む。芳香族炭化水素と飽和炭化水素が複合した基の例としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基が挙げられる。
【0035】
上記の一価炭化水素基上の水素原子は、1以上の置換基によって置換されていてもよく、当該置換基は、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子);メルカプト基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、エステル基、(メタ)アクリルオキシ基、及び、イソシアネート基からなる群から選択される反応性官能基;又は、前記反応性官能基を有する一価炭化水素基であってよい。そのような置換一価炭化水素基としては、例えば、3,3,3−トリフロロプロピル基、3―クロロプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2,3−エポキシプロピル基、3,4−エポキシブチル基、4,5−エポキシペンチル基、2−グリシドキシエチル基、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、アミノプロピル基、N−メチルアミノプロピル基、N−ブチルアミノプロピル基、N,N−ジブチルアミノプロピル基、3−(2−アミノエトキシ)プロピル基、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル基、3−カルボキシプロピル基、10−カルボキシデシル基、アクリルオキシプロピル基、メタアクリルオキシプロピル基、3−イソシアネートプロピル基等を挙げることができる。なお、カルボキシル基、カルビノール基等の酸性基又はアルコール性ヒドロキシ基を有する反応性官能基は(B)成分中のアミノキシ基と反応性を有するため置換基としては好ましくない。
【0036】
前記分子鎖両末端ジオルガノヒドロキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサンとしては、具体的には、例えば、
【化2】
(式中、sは8〜1000の整数を表す)、
【化3】
(式中、tは7〜1000の整数を表し、uは1〜2の整数を表す)、
【化4】
(式中、vは7〜1000の整数を表し、wは1〜2の整数を表す)、及び
【化5】
(式中、xは7〜1000の整数を表し、yは1〜2の整数を表す)
が挙げられる。
【0037】
[(B)成分]
ケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物は、ケイ素原子結合アミノキシ基を有する限り特に限定されるものではないが、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖アミノキシオルガノポリシロキサン、又は、分子鎖両末端トリオルガノシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・アミノキシオルガノシロキサン共重合体であることが好ましく、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサン、又は、分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体がより好ましい。(B)成分の粘度は特に限定されるものではないが、1〜100000mm/sの範囲が好ましい。(B)成分は単独で使用されてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
前記分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサンとしては、一般式:

D-(RSiO)SiR-D

(式中、Rは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基を表し、
Dは、アミノキシ基を表し、
nは、1以上の整数を表し、2〜1000の範囲の整数であることが好ましく、3〜200の範囲の整数であることがより好ましい)で示されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
【0039】
の、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状又は環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基の定義及び具体例は上記のとおりである。
【0040】
前記ケイ素原子結合アミノキシ基(上記一般式におけるD)は、それぞれ独立して、−ON(R(Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基を表す)又は下記式:
【化6】
(式中、Rは、酸素原子、硫黄原子、又は、二価有機基を表す)で表される基であることが好ましい。
【0041】
の、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基の定義及び具体例は上記のとおりである。
【0042】
二価有機基としては、特に限定されるものではないが、−N(R)−(Rは水素原子、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素数1〜30の一価炭化水素基を表す);置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜20の二価炭化水素基、又は、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素原子数1〜20の二価炭化水素基であることが好ましい。
【0043】
の、置換若しくは非置換の、直鎖状、分岐状若しくは環状の、炭素原子数1〜30の一価炭化水素基の定義及び具体例は上記のとおりである。
【0044】
置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜20の二価炭化水素基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ヘキセニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜15のアルケニレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等の炭素原子数6〜20のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等の炭素原子数7〜20のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子が挙げられる。二価炭化水素基は、炭素原子数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
【0045】
置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、少なくとも1つのヘテロ原子を含む炭素原子数1〜20の二価炭化水素基は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子を少なくとも1つ含むものであれば特に限定されるものではないが、炭素原子数3〜17及び窒素原子数1〜3又は酸素原子数1〜2からなる分子鎖主鎖を有するものが好ましい。例えば、−R−O−、−R−O−R'−、−R−CO−、−R−COO−、−R−COO−R'−、−R−CONH−、及び、−CH=N−R−(式中、R及びR'は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換の、直鎖状若しくは分岐状の、炭素原子数1〜20の二価炭化水素基である)が挙げられる。−CH=N−CH=CH−、−(CH−O−(CH−が特に好ましい。
【0046】
前記分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノポリシロキサンとしては、具体的には、例えば、
【化7】
(式中、aは1〜1000の整数を表す)、及び
【化8】
(式中、bは1〜1000の整数を表し、cは1〜2の整数を表す)
が挙げられる。
【0047】
前記分子鎖両末端ジオルガノアミノキシシリル基封鎖ジオルガノシロキサン・ポリオキシアルキレンブロック共重合体としては、一般式:

D-{(RSiO)m'SiR-Y−O−(CO)−(CO)−Y}−(RSiO)n'SiR-D

(式中、R、R及びDは上記のとおりであり、
zは、1以上の整数を表し、1〜10の範囲の数であることが好ましく、1〜5の範囲の数であることがより好ましく、
m'及びn'は、それぞれ独立して、0以上の整数を表し、1〜10000の範囲の数であることが好ましく、100〜3000の範囲の数であることがより好ましく、但し、m'+n'は1〜10000の範囲であり、
Yは、二価有機基を表し、
dは、0以上の数を表し、0〜1000の範囲の数であることが好ましく、10〜300の範囲の数であることがより好ましく、
eは、0以上の数を表し、0〜100の範囲の数であることが好ましく、0〜10の範囲の数であることがより好ましく、d+eは少なくとも2であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、更に、10〜500の範囲であることがより好ましく、10〜300の範囲であることが更により好ましい)で示される共重合体が好ましい。ここで、二価有機基の定義及び具体例は上記のとおりである。なお、Yは、炭素−ケイ素結合を介して隣接ケイ素原子に結合し、隣接する酸素原子を介してポリオキシアルキレンブロック(−(CO)−(CO)−)に結合していることが好ましい。
【0048】
前記ブロック共重合体中の前記ポリオキシアルキレンブロックの含有量は10〜95重量%であることが好ましく、20〜85重量%であることがより好ましく、40〜85重量%が更により好ましい。また、前記ポリオキシアルキレンブロックの60重量%以上、更には70重量%以上がポリオキシエチレン基からなることが好ましい。なお、前記ポリオキシアルキレンブロックの重量平均分子量は200〜15000であることが好ましい。
【0049】
[(C)成分]
無機酸又はカルボン酸は、特に限定されるものではないが、水に溶解しうるものが好ましく、水溶液中でプロトンを放出するアレニウス酸であることがより好ましい。無機酸及びカルボン酸は、それぞれ、単独で使用されてもよいが、2種類以上の無機酸の混合物、又は、2種類以上のカルボン酸の混合物を使用してもよい。なお、無機酸及びカルボン酸の混合物を使用することもできる。
【0050】
無機酸は特に限定されるものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、ホウ酸等が挙げられる。
【0051】
本明細書において、「リン酸」はアルキルリン酸を含み、また、「硫酸」はアルキル硫酸を含む。
【0052】
カルボン酸は、モノカルボン酸(モノヒドロキシモノカルボン酸、ジヒドロキシモノカルボン酸を含む)、ジカルボン酸(モノヒドロキシジカルボン酸、ジヒドロキシジカルボン酸を含む)を使用することが可能であり、例えば、
蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸等の直鎖飽和脂肪族モノカルボン酸(アルカン酸);
2−メチルプロパン酸、2−メチルブタン酸、トリメチルプロパン酸、2−メチルペンタン酸、トリメチル酢酸等の分岐飽和脂肪族モノカルボン酸(アルカン酸);
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アセトビニル酸、アセトアリル酸、ヘキセン酸、ヘプテン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸(アルケン酸);
プロピオール酸、テトロル酸、アリル酢酸、ヘキシン酸、オクチン酸等の不飽和脂肪族モノカルボン酸(アルキン酸);
ペンタジエン酸、ソルビン酸等の多価不飽和脂肪族モノカルボン酸;
クエン酸、乳酸、グリコール酸、α−オキシ酪酸等のα−ヒドロキシモノカルボン酸;
2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、β−オキシ酪酸等のβ−ヒドロキシモノカルボン酸;
γ−オキシ酪酸等のγ−ヒドロキシモノカルボン酸;
グリセリン酸等のジヒドロキシモノカルボン酸;
ヒドロキシ(メタ)アクリル酸等のその他のヒドロキシモノカルボン酸;
シュウ酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;
タルトロン酸、リンゴ酸等のモノヒドロキシ飽和脂肪族ジカルボン酸
酒石酸等のジヒドロキシ飽和脂肪族ジカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸;
安息香酸等の芳香族モノカルボン酸;
フタル酸等の芳香族ジカルボン酸
が挙げられる。



【0053】
次に、本発明のオルガノポリシロキサン組成物について更に説明する。
【0054】
本発明では、少なくとも1種の(A)成分、及び、少なくとも1種の(B)成分が縮合反応してオルガノポリシロキサンとなる。(A)成分及び(B)成分の縮合反応は容易に進行するので、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は任意の条件で製造することができる。例えば、(C)成分を含む反応系に(A)成分及び(B)成分を添加・混合するだけで、(A)成分及び(B)成分は縮合反応により重合してオルガノポリシロキサンが生成するので、(C)成分と共に当該オルガノポリシロキサンを含む組成物を得ることができる。前記反応系への(A)成分及び(B)成分の添加順序は任意であり、(A)成分を先に添加してもよく、また、(B)成分を先に添加してもよい。一方、(A)成分及び(C)成分を含む反応系に(B)成分を添加・混合ししてもよく、或いは、(B)成分及び(C)成分を含む反応系に(A)成分を添加・混合してもよい。更に、(A)成分及び(B)成分を含む反応系に(C)成分を添加・混合してもよい。(A)成分及び(B)成分の縮合反応は、両成分が同一の反応系に共存する状態となった後に速やかに始まるが、反応を均一に実施するために反応系を撹拌することが好ましい。また、前記縮合反応の反応温度及び反応時間も特に限定されるものではなく、例えば、室温で反応系を数日放置又は撹拌することによって十分実施することが可能である。
【0055】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物における(A)成分及び(B)成分の使用量は任意であり、例えば、(A)成分100重量部に対して(B)成分を0.01〜10000重量部、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜10重量部の割合で使用することができる。但し、未反応の反応物量の低減のためには、ケイ素原子結合水酸基1モルに対してケイ素原子結合アミノキシ基0.8〜10モルの範囲となる相対量が好ましく、0.9〜5モルの範囲がより好ましい。
【0056】
(C)成分の使用量も任意であり、例えば、(A)成分100重量部に対して(C)成分を0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜1重量部の割合で使用することができる。また、(B)成分100重量部に対して(C)成分を0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部の割合で使用してもよい。但し、縮合反応により副生するヒドロキシルアミンの効果的な低減のためには、(B)成分1モルに対して0.3モル以上の(C)成分を使用することが好ましく、0.5モル以上がより好ましく、1モル以上が更により好ましい。
【0057】
(A)成分及び(B)成分の縮合反応により得られるオルガノポリシロキサンは分子量が大きく、例えば、10000〜3000000、好ましくは50000〜1500000、より好ましくは90000〜1000000、更により好ましくは100000〜600000の重量平均分子量を備えることができる。5000以上の重量平均分子量を備えることが好ましい。また、前記オルガノポリシロキサンは、100000〜8000000、好ましくは200000〜6000000mm/sの範囲の粘度を備えることができる。
【0058】
このように、本発明により得られるオルガノポリシロキサンは高分子量であるために、当該オルガノポリシロキサンを含む本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、例えば、化粧料用原料として優れた特性を発揮することができる。
【0059】
また、本発明では、(A)成分及び(B)成分の縮合反応において、副生成物である、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の低分子量環状シロキサンの生成量が少ない。これらの低分子量環状シロキサンは揮発性であり、特に、皮膜形成性ポリマーと組み合わせて皮膚に塗布した際に、つっぱり感等の不快感を生じることがあるが、本発明のオルガノポリシロキサン組成物はそのような揮発性の環状ポリシロキサンの含有量が少ないので、使用感の点からも化粧料用原料として好適である。
【0060】
そして、本発明により得られるオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物とケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物とを縮合反応させて得られるにもかかわらず、副生物として必然的に生成するヒドロキシルアミン由来の臭気が低減されている。したがって、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は臭気の点からも化粧料用原料として好適である。
【0061】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は界面活性剤を更に含むことができる。界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び、半極性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種とすることができる。
【0062】
アニオン性界面活性剤としては、飽和又は不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リノレン酸ナトリウム等)、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸、トクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等)及びその塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、アルキルスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキル又はアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、更にはアンモニウム塩が挙げられる。
【0063】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム、塩化アルキルジメチルベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0064】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類、ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド類、ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーン、糖変性シリコーン、フッ素系界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリグリセリル変性シリコーン、グリセリル変性シリコーンは、アルキル分岐、直鎖シリコーン分岐、シロキサンデンドリマー分岐等が親水基と同時に必要に応じ施されていているものも好適に用いることができる。
【0065】
両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等のアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等のアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタイン等のホスホベタイン型両性界面活性剤;N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル−N’.N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’,N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム等のアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0066】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイド等が例示され、炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8〜18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0067】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物中の界面活性剤の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、組成物の全重量(質量)を基準にして、0.1〜50重量(質量)%の範囲内で配合することができ、1〜20重量(質量)%の範囲が好ましい。
【0068】
本発明のオルガノポリシロキサン記組成物は水を更に含むことができる。水の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、(A)成分100重量部に対して水を10〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部、より好ましくは50〜300重量部の割合で使用することができる。
【0069】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物が水及び界面活性剤を含む場合には、(A)成分及び(B)成分の縮合反応を当該組成物中で乳化重合として実施することが可能である。乳化重合は従来公知の方法で実施可能であるが、例えば、(A)成分、(B)成分、界面活性剤及び水を均一に混合後、コロイドミル、ラインミル、ホモミキサー等の乳化機により撹拌・乳化し、更に水を加えて均一に撹拌・分散することによって実施することができる。必要に応じて、乳化物をホモゲナイザー等の乳化機により撹拌・乳化して更に安定化してもよい。(A)成分及び(B)成分の縮合反応は室温で進行するために、組成物を加熱する必要はないが、必要であれば、例えば、50〜70℃の温度に加熱してもよい。これにより、30分〜12時間で反応を完了することができる。この場合、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、エマルジョンの形態となることが可能であり、エマルジョン状態の化粧料の原料としてそのまま使用することができる。
【0070】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物中には、(A)成分及び(B)成分の縮合反応により鎖伸長したオルガノポリシロキサンと共に(C)成分が存在しているので、ヒドロキシルアミン由来の臭気が少ない。したがって、本発明の組成物は低臭性オルガノポリシロキサン組成物であることができる。そして、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、揮発性の環状ポリシロキサンの含有量が少なく、更に、高分子量のオルガノポリシロキサンを含むことができるので、化粧料の用途に好適に使用することができる。
【0071】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、任意に、水以外の、溶媒・分散媒等の反応媒体を含むことができる。反応媒体の使用は必要ではないが、例えば、得られる組成物の粘度が高くなりすぎる場合、或いは、前記各成分の分散性向上が必要な場合は、反応に不活性な溶媒・分散媒等の反応媒体を使用することが好ましい。不活性反応媒体としては、水酸基を有さないものが好ましく、例えば、水酸基を有さない低粘度ポリシロキサン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、エステル油等が挙げられる。
【0072】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は低臭性化粧料用原料として化粧料に配合することができる。配合量は特に限定されるものではないが、例えば、化粧料の全重量(質量)を基準にして、1〜99重量%、10〜90重量%、又は、20〜80重量%の範囲とすることができる。
【0073】
本発明の化粧料は、前記組成物に加えて、他の任意の成分を含むことができる。任意成分としては、例えば、油剤、界面活性剤、水溶性高分子、アルコール類、増粘剤・ゲル化剤、粉体、固形状シリコーン樹脂又は架橋性オルガノポリシロキサン、アクリルシリコーンデンドリマーコポリマー、紫外線防御成分、酸化染毛剤、直接染料、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化剤又は酸化防止剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、生理活性成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等)が挙げられる。
【0074】
化粧料の種類は特に限定されるものではないが、具体的な製品としては、例えば、皮膚洗浄剤、スキンケア化粧料、メイクアップ化粧料、制汗剤、UVスクリーニング剤等の皮膚化粧料;毛髪洗浄剤、整髪料、ヘアカラー、養毛料、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料;浴用剤等が例示される。特に、本発明の化粧料は、高分子量のオルガノポリシロキサンを含むことから、毛髪化粧料であることが好適である。
【0075】
毛髪化粧料としては、具体的には、シャンプー、リンスインシャプー等の毛髪洗浄剤;ヘアオイル、ヘアワックス、髪用カール保持剤、セット剤、ヘアクリーム、へアスプレー、ヘアリキッド等の整髪料;染毛料、一時染色剤、永久染色剤等のヘアカラー;ヘアトニック、ヘアトリートメントエッセンス、ヘアパック等の養毛料;ヘアリンス、ヘアコンディショナー等のヘアトリートメントが例示される。
【0076】
本発明の化粧料の形態は特に限定されるものではなく、W/Oエマルジョン、O/Wエマルジョン、液状、固体状、ペースト状、ゲル状、ムース状、ミスト状、粉末状等のいずれの形態であってもよいが、O/Wエマルジョンの形態が好ましい。
【0077】
一方、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、スプレー塗布、ロール塗布、はけ塗り、浸漬等の方法により任意の基材に塗布することができ、基材塗布後は、放置又は加熱乾燥することにより、離型性、剥離性、撥水性、防汚性及び耐候性を有する皮膜を形成することができるので、金型離型剤、ゴム離型剤、剥離紙用コーティング剤、布コーティング剤、水性塗料、繊維処理剤等としても使用することができる。
【0078】
この場合、本発明のオルガノポリシロキサン組成物には、必要に応じて、鉄、鉛、アンチモン、カドミウム、チタン、カルシウム、ビスマス、ジルコニウム等の金属の有機カルボン酸塩;トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルフェニルアミン等の有機アミン化合物;防腐剤;着色剤;グリオキザール樹脂、メラニン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の樹脂加工剤;スチレン−ブタジエンラテックス、天然ゴム等のゴムラテックス、フッ素樹脂のエマルジョン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのエマルジョン、オルガノアルコキシシランのエマルジョン等を配合することができる。
【0079】
本発明は、少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸の存在下で、少なくとも1種のケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及び少なくとも1種のケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させることを特徴とする低臭性オルガノポリシロキサンの製造方法にも関する。この製造方法では、ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及びケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物の縮合反応前又は縮合反応時に、無機酸又はカルボン酸を反応系に添加することができる。
【0080】
一方、本発明では、ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及びケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物の縮合反応後に無機酸又はカルボン酸を反応系に添加して低臭性オルガノポリシロキサンを製造することもできる。この態様の低臭性オルガノポリシロキサンの製造方法は、少なくとも1種のケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及び少なくとも1種のケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物を縮合反応させてオルガノポリシロキサンを含む組成物を得る工程、並びに、前記組成物に少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸を添加する工程を含む。
【0081】
前記組成物は、任意に、溶媒・分散媒等の反応媒体を含むことができる。反応媒体の使用は必要ではないが、例えば、組成物の粘度が高くなりすぎる場合、或いは、反応成分の分散性向上が必要な場合は、反応に不活性な溶媒・分散媒等の反応媒体を使用することが好ましい。ここでの不活性反応媒体としては、例えば、水、アルコール等の水性媒体、並びに、炭化水素油、シリコーン油等の非水性媒体が挙げられる。
【0082】
ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物及び/又はケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物への無機酸又はカルボン酸の影響を回避するために、本発明のオルガノポリシロキサンの製造方法では、少なくとも1種のケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物と少なくとも1種のケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物とを縮合反応後に、少なくとも1種の無機酸又はカルボン酸を添加することが好ましい。
【0083】
本発明の製造方法により得られるオルガノポリシロキサンは、高分子量であるために、それ自体で、例えば、化粧料用原料として優れた特性を発揮することができる。
【0084】
また、本発明の製造方法では、副生成物である、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の揮発性の低分子量環状シロキサンの生成量が少ない。したがって、本発明により得られるオルガノポリシロキサンはこの点からも化粧料用原料として好適である。
【0085】
そして、本発明により得られるオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子結合水酸基含有含ケイ素化合物とケイ素原子結合アミノキシ基含有含ケイ素化合物とを縮合反応させて得られるにもかかわらず、副生物として必然的に生成するヒドロキシルアミン由来の臭気が低減されている。したがって、本発明により得られるオルガノポリシロキサンは臭気の点からも化粧料用原料として好適である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は臭気が少ない。また、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、揮発性の環状ポリシロキサンの含有量が少なく、また、そこに含まれるオルガノポリシロキサンの分子量が大きいために優れた化粧特性を発揮することができる。したがって、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は化粧料用原料として特に有用である。
【0087】
また、本発明のオルガノポリシロキサンの製造方法は、臭気が低減された上に、皮膚に塗布した場合につっぱり感等の不快感を与えうる揮発性の環状ポリシロキサンの含有量が少なく、また、高分子量のオルガノポリシロキサンを容易に製造することができる。したがって、本発明により得られるオルガノポリシロキサンは、特に、人体に使用される化粧料の原料として使用可能であり、また、優れた化粧特性を発揮することができる。
【0088】
ところで、揮発性の環状ポリシロキサンは、例えば、空気中に揮散して半導体素子の電気回路等に接触して接点障害を引き起こす可能性があるが、本発明のオルガノポリシロキサン組成物、及び、本発明の製造方法で得られたオルガノポリシロキサンは、そのような揮発性の低分子量ポリシロキサンの含有量が少ないので、電気・電子機器にも好適に使用することができる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、下記において、「部」は重量部を、また、「%」は重量%を表す。
【0090】
[実施例1]
下記式:
【化9】
で表される両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)480部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー30部、セチルトリメチルアンモニウムクロライド (30%水溶液)100部を10分間撹拌した後乳化し、これに水368.5部を加えて均一に分散させた。更に、リン酸1部と防腐剤を加えて均一に分散させた。得られたエマルジョンを室温にて72時間保持した後、外観、臭気等を下記のように評価した。また、本エマルジョンを50℃にて1ヶ月保管した後、外観、臭気を同様に評価した。結果を表1に示す。
【0091】
[実施例2]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)480部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー30部、セチルトリメチルアンモニウムクロライド (30%水溶液)100部を10分間撹拌した後乳化し、これに水367.1部を加えて均一に分散させた。更に、酢酸2.4部と防腐剤を加えて均一に分散させた。得られたエマルジョンを室温にて72時間保持した後、外観、臭気等を下記のように評価したまた、本エマルジョンを50℃にて1ヶ月保管した後、外観、臭気を同様に評価した。結果を表1に示す。
【0092】
[実施例3]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)380部、下記式:
【化10】
で表される両末端ヒドロキシ基封鎖アミノ基含有ジメチルポリシロキサン(粘度1000mm/s、アミノ含有量0.2%)100部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー30部、セチルトリメチルアンモニウムクロライド (30%水溶液)100部を10分間撹拌した後乳化し、これに水368.5部を加えて均一に分散させた。更に、リン酸1部と防腐剤を加えて均一に分散させた。得られたエマルジョンを室温にて72時間保持した後、外観、臭気等を下記のように評価した。また、本エマルジョンを50℃にて1ヶ月保管した後、外観、臭気を同様に評価した。結果を表1に示す。
【0093】
[実施例4]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)380部、前記両末端ヒドロキシ基封鎖アミノ基含有ジメチルポリシロキサン(粘度1000mm/s、アミノ含有量0.2%)100部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー25部、ラウロイルメチルタウリン25部、水68.5部を10分間撹拌した後乳化し、これに水380部を加えて均一に分散させた。更に、リン酸1部と防腐剤を加えて均一に分散させた。得られたエマルジョンを室温にて72時間保持した後、外観、臭気等を下記のように評価した。また、本エマルジョンを50℃にて1ヶ月保管した後、外観、臭気を同様に評価した。結果を表1に示す。
【0094】
[比較例1]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)480部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー30部、セチルトリメチルアンモニウムクロライド (30%水溶液)100部を10分間撹拌した後乳化し、これに水369.5部と防腐剤を加えて均一に分散させた。得られたエマルジョンを室温にて72時間保持した後、外観、臭気等を下記のように評価した。また、本エマルジョンを50℃にて1ヶ月保管した後、外観、臭気を同様に評価した。結果を表1に示す。
【0095】
[比較例2]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)380部、前記両末端ヒドロキシ基封鎖アミノ基含有ジメチルポリシロキサン(粘度1000mm/s、アミノ含有量0.2%)100部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー25部、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム (70%水溶液)35.7部、水38.8部を10分間撹拌した後乳化し、これに水400部と防腐剤を加えて均一に分散させた。得られたエマルジョンを室温にて72時間保持した後、外観、臭気等を下記のように評価した。また、本エマルジョンを50℃にて1ヶ月保管した後、外観、臭気を同様に評価した。結果を表1に示す。
【0096】
(外観) 目視にて物理的状態を判定した。
(pH) pHメーターにより測定した。
(臭気) 嗅覚により判定した。
(粒子径) サブミクロン光散乱型粒子径測定装置(BECKMAN COULTER K.K)により測定した。
(粘度) エマルジョンを一部採取し、エチルアルコールを加えて当該エマルジョンを破壊し、抽出したオイルの粘度を回転粘度計(東機産業(株)R型粘度計RE100U コーンローター:3°×R7.7、 回転数:0.5rpm)で測定した。
【0097】
【表1】
【0098】
[参考例1]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)480部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー25部、ポリオキシエチレン(2モル)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(70%水溶液)35.5部、水39.5を10分間撹拌した後乳化し、これに水390.0部を加えて均一に分散させた。本エマルジョンを室温にて72時間保管した後、エマルジョン中のポリマーを抽出して粘度を測定した結果、210000mPa・sであった。得られたエマルジョンをエマルジョンAとした。
【0099】
[参考例2]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)480部、式(CNO[(CHSiO](CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン20部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー25部、セチルトリメチルアンモニウムクロライド (30%水溶液)83部を10分間撹拌した後乳化し、これに水382部を加えて均一に分散させた。本エマルジョンを室温にて72時間保管した後、エマルジョン中のポリマーを抽出して粘度を測定した結果、870000mPa・sであった。これをエマルジョンBとした。
【0100】
[実施例5〜28及び比較例3〜4]
エマルジョンA及びエマルジョンBの各99部に対して、それぞれ、表2及び表3に示す種類及び量の酸並びに水を添加及び混合して100部とした(実施例5〜28)。また、エマルジョンA及びエマルジョンBの各99部に対して、それぞれ、表2及び表3に示す量の水を添加及び混合して100部とした(比較例3及び4)。得られたアニオン性界面活性剤含有エマルジョン及びカチオン性界面活性剤含有エマルジョンについて、外観、pH及び臭気を上記のように評価した。結果を表2に併せて示す。
【0101】
【表2】
【0102】
【表3】
【0103】
[参考例3]
表4に示す成分を混合して、シャンプー用配合液Cを調製した。
【表4】
【0104】
[実施例29〜33、比較例5〜6、及び、対照1]
シャンプー用配合液C99部に対して、表5に示す種類及び量のエマルジョンを添加及び混合して100部とした(実施例29〜33及び比較例5〜6)。また、シャンプー配合液C99部に対して、表5に示す量の水を添加及び混合して100部とした(対照1)。シャンプーの調製直後、また、50℃にて7日間保存した後、臭気を上記のように評価した。結果を表5に併せて示す。
【0105】
【表5】
【0106】
[参考例4]
表6に示す成分を混合して、コンディショナー用配合液Dを調製した。
【表6】
【0107】
[実施例34〜38、比較例7、及び、対照2]
コンディショナー用配合液D85.0部に対して、表7に示す種類及び量のエマルジョンを添加及び混合して100部とした(実施例34〜38及び比較例7)。また、コンディショナー用配合液D99部に対して、表7に示す量の水を添加及び混合して100部とした(対照2)。コンディショナーの調製直後、また、50℃にて7日間保存した後、臭気を上記のように評価した。結果を表7に併せて示す。
【0108】
【表7】
【0109】
[参考例5]
前記両末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度2500mm/s)375部、式(CNO[(CHSiO]16(CHSiON(Cで示される両末端アミノキシ基含有ジメチルポリシロキサン25部、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー20部、α−オレフィン(C=12)スルホン酸ナトリウム(35%水溶液)54部、水16部を10分間撹拌した後乳化し、これに水500部を加えて均一に分散させた。本エマルジョンを室温にて72時間保管した後、エマルジョン中のポリマーを抽出して粘度を測定した結果、420000mPa・sであった。得られたエマルジョンをエマルジョンCとした。
【0110】
[実施例39〜42、及び、比較例8]
エマルジョンC99.0部に対して、表8に示す種類及び量の酸並びに水を添加及び混合して100部とした(実施例39〜42)。また、エマルジョンC99.0部に対して、表8に示す量の水を添加及び混合して100部とした(比較例8)。得られたエマルジョンについて、調製直後の外観及び臭気を上記のように評価した。また、また、40℃にて5日間保存した後、臭気を上記のように評価した。結果を表8に併せて示す。
【0111】
【表8】