特許第5940319号(P5940319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940319
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/167 20060101AFI20160616BHJP
   H02K 5/16 20060101ALI20160616BHJP
   F16C 17/10 20060101ALI20160616BHJP
   F16C 33/74 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   H02K5/167 A
   H02K5/16 Z
   F16C17/10 Z
   F16C33/74 Z
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-29171(P2012-29171)
(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公開番号】特開2013-169024(P2013-169024A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西舘 正弘
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−289523(JP,A)
【文献】 特開2002−051495(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0289385(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0228851(US,A1)
【文献】 米国特許第05635783(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0031867(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/167
F16C 17/10
F16C 33/74
H02K 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の軸受ホルダと、前記軸受ホルダの下側開口を閉塞するエンドキャップと、前記軸受ホルダの内側に嵌合されてロータ軸を回転自在に支持する含油メタルと、を具備するブラシレスモータにおいて、
前記軸受ホルダは、軸方向下方に開口する環状の溝部を有し、
前記エンドキャップは、底部と、軸方向上方に延出する環状の突部を有し、
前記溝部の内周面に前記突部が密着しており、
前記ロータ軸は、前記含油メタルの下方に位置する部分に凹部を有し、
前記軸受ホルダは、内側下部に段差部を有し、該段差部の上面にロータ抜止用ワッシャが配されており、前記段差部の下面に前記エンドキャップの前記底部の上面が当接されており、
前記凹部に、前記ロータ抜止用ワッシャの内径部が挿入されていることを特徴とするブラシレスモータ。
【請求項2】
前記軸受ホルダの前記段差部は環状に形成されており、前記軸受ホルダの前記段差部の内径は、前記ロータ軸の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
前記軸受ホルダは、前記溝部の外周に突起部を有し、
前記エンドキャップは、前記底部と前記突部の間に段差部を有し、
前記突起部が前記エンドキャップの前記段差部の下面外周に密着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記エンドキャップの前記段差部は、前記底部の外縁から軸方向上方に立上がった環状の立上部と、該立上部の上端から外径側に延びた延出部からなり、
前記突部は、前記延出部の外縁から軸方向上方に環状に延出していることを特徴とする請求項3に記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、光磁気ディスク等を回転させるためのスピンドルモータをはじめ、各種電動装置の駆動源として用いることができるブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばCD、DVD、MD等の光ディスク装置、光磁気ディスク装置では、ディスクを回転駆動させるスピンドルモータとしてブラシレスモータが用いられている。
このようなブラシレスモータとして、例えば特許文献1には図9に示す構成を有するものが開示されている。
【0003】
図9のブラシレスモータでは、ロータ軸(シャフト)101の上部に圧入されたロータケース102の内側に、リング状のマグネット103が固定されて回転子が構成されている。
そして、ロータ軸101を回転自在に支持する含油メタル(含油焼結合金)105が、プリント基板107に一体化された筒状の軸受ホルダ104の内側に圧入され、軸受ホルダ104の下側開口部分には、耐摩耗性のスラスト板(樹脂板)110を配したエンドキャップ(底蓋)109が固定されている。また、ロータ軸101の下側部分には、回転子のスラスト方向の抜けを防止するための抜止め部材108が固定されている。
また、軸受ホルダ104の外周側には、鉄心に樹脂の絶縁体を介して銅線が巻層された電機子106が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−289523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軸受として安価な含油メタルを用いて構成されるブラシレスモータでは、含油メタルの潤滑油が軸受ホルダから漏れ出すのを防止することが重要である。
しかしながら、図9のブラシレスモータでは、エンドキャップ109と軸受ホルダ104の間にほんの少しでも隙間があると、この隙間から潤滑油が重力によって容易に漏れ出る形態となっているため、潤滑油が漏れ出す危険性がある。
【0006】
軸受ホルダから潤滑油が漏れ出ると、ロータ軸と軸受との間に十分な潤滑油を保持できず、すべり軸受としての性能が低下してモータ駆動時の回転音が大きくなったり、モータの寿命が短くなる問題がある。また、漏れ出た潤滑油によってモータが内蔵されている機器の性能に悪影響を与える恐れがあり、例えばディスク駆動装置ではディスクへの記録再生にエラーが生じる恐れがある。
【0007】
そこで本発明は、含油メタルの潤滑油の漏れを防止し、信頼性の高いブラシレスモータを提供することを目的としているものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく成された本発明のブラシレスモータの構成は、以下のとおりである。
即ち、本発明の請求項1は、筒状の軸受ホルダと、前記軸受ホルダの下側開口を閉塞するエンドキャップと、前記軸受ホルダの内側に嵌合されてロータ軸を回転自在に支持する含油メタルと、を具備するブラシレスモータにおいて、
前記軸受ホルダは、軸方向下方に開口する環状の溝部を有し、
前記エンドキャップは、底部と、軸方向上方に延出する環状の突部を有し、
前記溝部の内周面に前記突部が密着しており、
前記ロータ軸は、前記含油メタルの下方に位置する部分に凹部を有し、
前記軸受ホルダは、内側下部に段差部を有し、該段差部の上面にロータ抜止用ワッシャが配されており、前記段差部の下面に前記エンドキャップの前記底部の上面が当接されており、
前記凹部に、前記ロータ抜止用ワッシャの内径部が挿入されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の請求項2は、請求項1のブラシレスモータにおいて、前記軸受ホルダの前記段差部は環状に形成されており、前記軸受ホルダの前記段差部の内径は、前記ロータ軸の外径よりも大きいことを特徴としている。
本発明の請求項3は、請求項1又は2のブラシレスモータにおいて、前記軸受ホルダは、前記溝部の外周に突起部を有し、前記エンドキャップは、前記底部と前記突部の間に段差部を有し、前記突起部が前記エンドキャップの前記段差部の下面外周に密着されていることを特徴としている。
本発明の請求項4は、請求項3のブラシレスモータにおいて、前記エンドキャップの前記段差部は、前記底部の外縁から軸方向上方に立上がった環状の立上部と、該立上部の上端から外径側に延びた延出部からなり、前記突部は、前記延出部の外縁から軸方向上方に環状に延出していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のブラシレスモータでは、軸受ホルダに軸方向下方に開口する環状の溝部を設けると共に、エンドキャップに軸方向上方に延出する環状の突部を設け、前記溝部に前記突部を圧入することによって軸受ホルダの下側開口を閉塞している。このため、軸受ホルダとエンドキャップの嵌合部分は、全周に亘って軸方向に凸の迷路形状となり、含油メタルの潤滑油が軸受ホルダの下方から漏れるのを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態例に係るブラシレスモータM1の側面図であり、部分的に断面で示している。
図2図1のブラシレスモータM1における軸受ホルダの縦断面図である。
図3図1のブラシレスモータM1におけるエンドキャップの縦断面図である。
図4図1のブラシレスモータM1において、軸受ホルダの突起部をエンドキャップの段差部の下面外周にカシメ加工した状態を示す側面図であり、部分的に断面で示している。
図5】本発明の第2の実施形態例に係るブラシレスモータM2の側面図であり、部分的に断面で示している。
図6図5のブラシレスモータM2における軸受ホルダの縦断面図である。
図7図5のブラシレスモータM2におけるエンドキャップの縦断面図である。
図8図5のブラシレスモータM2において、軸受ホルダの突起部をエンドキャップの段差部の下面外周にカシメ加工した状態を示す側面図であり、部分的に断面で示している。
図9】従来例のブラシレスモータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のブラシレスモータの実施形態例を、図面を参照して説明する。
【0013】
(第1の実施形態例)
図1は、本発明の第1の実施形態例に係るブラシレスモータM1を示している。
本例のブラシレスモータM1は、光ディスク、光磁気ディスク等を回転させるためのスピンドルモータとして用いることができるものであり、主に、ステータ部Sとロータ部Rとで構成されている。
【0014】
ステータ部Sは、ロータ部Rを回転自在に支持する軸受部と、この軸受部の周囲に配された電機子を有する。
【0015】
軸受部は、軸受ホルダ12、含油メタル13、エンドキャップ14、スラスト板15及びロータ抜止用ワッシャ16で構成されている。
軸受ホルダ12は、図2に示すように無底の筒状に形成されており、例えば切削加工された真鍮製の部材で構成することができる。
この軸受ホルダ12は、含油メタル13が装着される円筒部12aと、円筒部12aの下側から外方に突き出たフランジ部12bと、フランジ部12bの下方に突き出たベース取付部12cと、軸方向下方に開口する環状の溝部12dと、溝部12dの外周に位置する突起部12eと、溝部12dの内周側に位置する環状壁12fを有する。
なお、突起部12eは環状壁12fよりも軸方向下方に所定量突き出ている。
【0016】
軸受ホルダ12は、表面に印刷回路を形成したいわゆる鉄基板、あるいは印刷配線板に鉄板を重ねて取り付けたベース11の開口部に、ベース取付部12cを圧入して固定されている。
なお、ベース11上には、後述の駆動用磁石23と対向するようにホール素子(不図示)が設けられており、このホール素子によってロータ部Rの回転を検出することができるようになっている。
【0017】
含油メタル13は、筒状の焼結メタルに潤滑油を含浸させたもので、軸受ホルダ12の円筒部12aの内側に固定されている。
【0018】
エンドキャップ14は、図3に示すように金属プレス加工で一体に成形された部材であり、平板状の底部14a、段差部14b及び突部14cを有する。
段差部14bは、底部14aの外縁から軸方向上方に立上がった環状の立上部14b1と、立上部14b1の上端から外径側に延びた延出部14b2からなる。
突部14cは、延出部14b2の外縁から軸方向上方に環状に延出しているものである。
このエンドキャップ14は、軸受ホルダ12の溝部12dに突部14cが圧入され、軸受ホルダ12の下側開口を閉塞している。
【0019】
エンドキャップ14の底部14aの上には、耐摩耗性のスラスト板(樹脂板)15が配されており、段差部14bの延出部14b2の上には、リング状のロータ抜止用ワッシャ16が配されている。
【0020】
電機子は、ステータコア17、コアカバー18及びコイル19で構成されている。
ステータコア17は、複数の突極が形成された板状コアの積層体からなり、軸受ホルダ12のフランジ部12bに載置された状態で円筒部12bの外周に固定されている。
ステータコア17の表面には、絶縁性樹脂からなるコアカバー18が配され、このコアカバー18を介してコイル19が巻かれている。
【0021】
ロータ部Rは、ロータ軸21と、ロータ軸21と一体に回転するロータケース22と、ロータケース21に固定された駆動用マグネット23を有する。
ロータ軸21は、含油メタル13により回転自在に支持され、下端はスラスト板15により支持されている。
ロータ軸21の含油メタル13の下方に位置する部分には、環状の凹部21aが形成されており、この凹部21aにロータ抜止用ワッシャ16の内径部が挿入されている。
【0022】
ロータケース22は、磁性を有する板材でキャップ状に形成されており、ロータ軸21と同軸で円筒状に形成された円筒部22aと、内径側が若干低い上面部22bを有している。
ロータ軸21は、ロータケース22の上面部22bの中心に設けられているバーリング部22cに圧入により固定されている。
【0023】
ロータケース22の円筒部22aの内側には、ステータコア17の突極と径方向で対向する円筒状の駆動用マグネット23が取り付けられている。この駆動用マグネット23は円周方向にNS交互に複数極着磁されている。
ロータケース22の上面部22bは、ディスクが着脱自在に配されてロータ軸21と一体に回転するターンテーブルとなっている。
そして、上面部22bの内径側にはディスクガイド24が配され、上面部22bの外径側には摩擦シート25が配されている。
【0024】
ディスクガイド24は、ディスクをロータ軸21と同心状に案内するための部材であり、硬質樹脂で形成されている。
また、ディスクガイド24の凹部には、円環状のクランプ用マグネット26が配されている。
クランプ用マグネット26は、不図示のクランパをターンテーブル側に吸引することによって、クランパとロータケース22の上面部22bとの間にディスクを把持するための部材である。
【0025】
以上のように本例のブラシレスモータM1では、軸方向下方に開口する環状の溝部12dが軸受ホルダ12に設けられており、エンドキャップ14には軸方向上方に延出する環状の突部14cが設けられている。そして、溝部12dに突部14cを圧入することによって、軸受ホルダ12の下側開口をエンドキャップ14で閉塞している。
これにより、溝部12dと突部14cの嵌合部分は、全周に亘って軸方向に凸の迷路形状となり、含油メタル13の潤滑油が軸受ホルダ12の下方から漏れるのを効果的に防止することができる。
【0026】
また、本例のブラシレスモータM1では、軸受ホルダ12の溝部12dの外周に所定の高さを有する突起部12eが設けられており、溝部12dにエンドキャップ14の突部14cを圧入した状態において、突起部12eがエンドキャップ14の延出部14b2の下面よりも下方に突き出ている(図1参照)。
そして、図3に示すように、突起部12eを段差部14b(延出部14b2)の下面外周にカシメ加工すれば、軸受ホルダ12にエンドキャップ14をより一層強固に組み付けることができる。
このため、例えばロータ軸21から作用するスラスト荷重によってエンドキャップ14が軸受ホルダ12から離脱するのをより一層確実に防止することができ、結果として潤滑油漏れをより一層確実に防止することができる。
【0027】
なお、軸受ホルダ12の溝部12dにエンドキャップ14の突部14cを圧入した状態において、図1に示すように環状壁12fの下面に延出部14b2の上面を当接させたり、もしくは、溝部12dの底部に突部14cの先端部を当接させることにより、突起部12eのカシメ加工時にエンドキャップ14が位置ずれすることがなく、高精度な組み付けを行うことができる。
【0028】
さらに、本例のブラシレスモータM1では、エンドキャップ14に段差部14bが設けられており、この段差部14b(延出部14b2)の上面にロータ抜止用ワッシャ16を配している。そして、このロータ抜止用ワッシャ16の内径部をロータ軸21の凹部21aに挿入しているため、スピンドルモータとしての使用時にロータ軸21が軸受ホルダ12から抜け出るのを防止することができる。
【0029】
(第2の実施形態例)
図5は、本発明の第2の実施形態例に係るブラシレスモータM2を示している。
なお、本例のブラシレスモータM2もスピンドルモータとして用いることができるものである。
図5において、図1中の部材と同一の部材には同一の符号を付しており、これらの部材については説明を省略する。
【0030】
本例のブラシレスモータM2は、軸受ホルダとエンドキャップの形状が図1のブラシレスモータM1と異なる。
【0031】
本例の軸受ホルダ32は、図6に示すように無底の筒状に形成されており、例えば切削加工された真鍮製の部材で構成することができる。
この軸受ホルダ32は、含油メタル13が装着される円筒部32aと、円筒部32aの下側から外方に突き出たフランジ部32bと、フランジ部32bの下方に突き出たベース取付部32cと、軸方向下方に開口する環状の溝部32dと、溝部32dの外周に位置する突起部32eと、溝部32dの内周側に位置する段差部32fを有する。
なお、突起部32eは段差部32fよりも軸方向下方に所定量突き出ている。また、段差部32fは環状に形成されており、段差部32fの内径は、円筒部32aの内径よりも小さく、ロータ軸21の外径よりも大きい。
【0032】
本例のエンドキャップ34は、図7に示すように金属プレス加工で一体に成形された部材であり、平板状の底部34aと、底部34aの外縁から軸方向上方に環状に延出する突部34cを有する。
このエンドキャップ34は、軸受ホルダ32の溝部32dに突部34cが圧入され、軸受ホルダ12の下側開口を閉塞している。
【0033】
軸受ホルダ32の段差部32fの上には、リング状のロータ抜止用ワッシャ16が配されており、エンドキャップ34の底部34aの上には、耐摩耗性のスラスト板(樹脂板)15が配されている。
【0034】
以上のように本例のブラシレスモータM2においても、軸方向下方に開口する環状の溝部32dが軸受ホルダ32に設けられており、エンドキャップ34には軸方向上方に延出する環状の突部34cが設けられている。そして、溝部32dに突部34cを圧入することによって、軸受ホルダ32の下側開口をエンドキャップ34で閉塞している。
これにより、溝部32dと突部34cの嵌合部分は、全周に亘って軸方向に凸の迷路形状となり、含油メタル13の潤滑油が軸受ホルダ32の下方から漏れるのを効果的に防止することができる。
【0035】
また、本例のブラシレスモータM2においても、軸受ホルダ32の溝部32dの外周に所定の高さを有する突起部32eが設けられており、溝部32dにエンドキャップ34の突部34cを圧入した状態において、突起部32eがエンドキャップ34の底部34aよりも下方に突き出ている(図5参照)。
そして、図8に示すように、突起部32eを底部34aの下面外周にカシメ加工すれば、軸受ホルダ32にエンドキャップ34をより一層強固に組み付けることができる。
このため、ロータ軸21から作用するスラスト荷重によってエンドキャップ34が軸受ホルダ32から離脱するのをより一層確実に防止することができ、結果として潤滑油漏れをより一層確実に防止することができる。
【0036】
なお、軸受ホルダ32の溝部32dにエンドキャップ34の突部34cを圧入した状態において、図5に示すように段差部32fの下面に底部34aの上面を当接させたり、もしくは、溝部32dの底部に突部34cの先端部を当接させることにより、突起部32eのカシメ加工時にエンドキャップ34が位置ずれすることがなく、高精度な組み付けを行うことができる。
【0037】
さらに、本例のブラシレスモータM2では、軸受ホルダ32の内側下部に段差部32fが設けられており、この段差部32fの上面にロータ抜止用ワッシャ16を配している。そして、このロータ抜止用ワッシャ16の内径部をロータ軸21の凹部21aに挿入しているため、ロータ軸21が軸受ホルダ32から抜け出るのを防止することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明はこれらの実施形態例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態例を適宜に変形可能である。
例えば、ロータの抜止構造に関しては、ロータ軸21の凹部21aとロータ抜止用ワッシャ16との組み合わせに限らず、従来から知られている抜止構造を適用してもよい。
また、先の実施形態例ではエンドキャップを金属製のものとしたが、例えばPPS樹脂など耐熱性や寸法安定性等に優れる樹脂製のものを用いた場合には、スラスト板15を省略することができる。
【符号の説明】
【0039】
11 ベース
12、32 軸受ホルダ
12a、32a 円筒部
12b、32b フランジ部
12c、32c ベース取付部
12d、32d 溝部
12e、32e 突起部
12f 環状壁
13 含油メタル
14、34 エンドキャップ
14a、34a 底部
14b 段差部
14b1 立上部
14b2 延出部
14c、34c 突部
15 スラスト板
16 ロータ抜止用ワッシャ
17 ステータコア
18 コアカバー
19 コイル
21 ロータ軸
21a 凹部
22 ロータケース
22a 円筒部
22b 上面部
22c バーリング部
23 駆動用マグネット
24 ディスクガイド
25 摩擦シート
26 クランプ用マグネット
32f 段差部
101 ロータ軸(シャフト)
102 ロータケース
103 マグネット
104 軸受ホルダ
105 含油メタル(含油焼結合金)
106 電機子
107 プリント基板
108 抜け止め部材
109 エンドキャップ(底蓋)
110 スラスト板(樹脂板)
M1、M2 スピンドルモータ
R ロータ部
S ステータ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9