(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記電流値記憶手段に記憶された前記複数の系統の各々における時系列での電流値に基づいて、前記複数の系統の各々における最大消費電力、最小消費電力及び平均消費電力を算出し、該算出した最大消費電力と平均消費電力との差が閾値以上の系統に冷蔵庫が接続されていると判定すると共に、24時間以上連続して計測された時系列での電流値から算出された最小消費電力が0ではない系統に24時間動作する機器が接続されていると判定し、前記冷蔵庫が接続されていると判定された系統に最大の加点、前記24時間動作する機器が接続されていると判定された系統に2番目に大きな加点、前記停電の直前に使用されていた系統に3番目に大きな加点、前記停電の一つ前の停電で電力が供給される系統として指定された系統に4番目に大きな加点を各々与え、加点の和が大きな系統を前記停電の場合に電力供給を優先すべき系統と判断する請求項1に記載の給電システム。
前記制御手段は、前記停電の時間帯に応じて、前記加点の和が最大の系統、前記加点の和が最大の系統及び前記加点の和が2番目に大きい系統、又は前記加点の和が最大の系統から前記加点の和が3番目に大きい系統までを停電時に電力供給が優先される系統として前記表示手段に表示するようにする請求項2に記載の給電システム。
前記制御手段は、停電が開始される時刻及び該停電が終了する時刻が予め明らかである場合に、予め把握した前記他の電源から供給可能な電力と前記停電が開始される時刻及び該停電が終了する時刻の間の時間とに応じて、前記加点の和の大きな系統の中から停電の間に電力の供給が可能な系統を判断し、該判断結果を前記表示手段に表示するように制御する請求項3に記載の給電システム。
前記他の電源は、前記商用電源から供給された電力を蓄えた蓄電池、車載蓄電池の電力で走行可能な車両の該車載蓄電池、燃料電池、内燃機関を用いた発電装置及び太陽光発電装置の少なくともいずれか1つである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の給電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電力消費量の予測に応じて、電源装置による電力を供給可能な電力負荷を決定しているが、電力負荷の中には、例えば冷蔵庫のように、24時間動作しなければならないものがある。したがって、電力消費量及び電源装置の電力供給能力のみから電力が供給される電力負荷を決定するのは、24時間動作する必要がある電力負荷への電力供給が滞るおそれがあるという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、施設内の各系統の電力の消費の傾向から優先的に電力を供給すべき系統を判断する給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、商用電源及び他の電源と接続され、各々電力が供給される複数の系統と、前記複数の系統の各々に設けられ、前記複数の系統の電流値を時系列で計測する複数の計測手段と、前記複数の計測手段が各々時系列で計測した前記複数の系統の電流値を記憶する電流値記憶手段と、
停電の場合に前記商用電源に代えて前記他の電源の電力を前記複数の系統へ供給するようにする電源切替手段と、前記複数の系統のうち電力が供給される系統を指定する操作が可能な入力手段と、前記複数の系統の各々に設けられ、前記入力手段の操作に基づいて前記複数の系統に供給される電力をオン又はオフにする複数のスイッチ手段と、前記入力手段の操作の履歴を記憶する操作履歴記憶手段と、前記電流値記憶手段に記憶された前記複数の系統の各々における時系列での電流値に基づいて、前記複数の系統の各々に接続されている機器の属性を判定
し、かつ前記電源切替手段が前記他の電源の電力を前記複数の系統へ供給するように切り替わった時刻を検知し、前記電流値記憶手段に記憶された前記複数の系統の各々における時系列での電流値と、前記検知した前記電源切替手段が前記他の電源の電力を前記複数の系統へ供給するように切り替わった時刻とから、前記複数の系統のうち、前記停電の直前に使用されていた系統を特定すると共に、前記操作履歴記憶手段に記憶されている前記入力手段の操作の履歴から前記停電の一つ前の停電で電力が供給される系統として指定された系統を特定し、該特定した前記停電の直前に使用されていた系統及び前記停電の一つ前の停電で電力が供給される系統として指定された系統並びに前記判定した前記複数の系統の各々に接続されている機器の属性に基づいて、前記複数の系統のうち前記停電の場合に電力供給を優先すべき系統を判断する制御手段と、前記制御手段が判断した電力供給を優先すべき系統を表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。
【0009】
複数の計測手段は、電流を時系列で計測するための電流センサである。
【0010】
電流値記憶手段は、計測手段が時系列で計測した各系統の電流値を記憶するメモリユニット等の記憶装置である。
【0011】
制御手段は、電流値記憶手段が記憶している電流値に基づいて各系統に接続されている機器の属性を判定
すると共に、特定した停電の直前に使用されていた系統及び当該停電の一つ前の停電で電力が供給される系統として指定された系統並びに判定した複数の系統の各々に接続されている機器の属性に基づいて、複数の系統のうち停電の場合に電力供給を優先すべき系統を判断することができる。
【0012】
さらに表示手段は、制御手段による判断結果を表示することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明のように、前記制御手段は、前記電流値記憶手段に記憶された前記複数の系統の各々における時系列での電流値に基づいて、前記複数の系統の各々における最大消費電力、最小消費電力及び平均消費電力を算出し、該算出した最大消費電力と平均消費電力との差が閾値以上の系統に冷蔵庫が接続されていると判定すると共に、24時間以上連続して計測された時系列での電流値から算出された最小消費電力が0ではない系統に24時間動作する機器が接続されていると判定し、前記冷蔵庫が接続されていると判定された系統に最大の加点、前記24時間動作する機器が接続されていると判定された系統に2番目に大きな加点、前記停電の直前に使用されていた系統に3番目に大きな加点、前記停電の一つ前の停電で電力が供給される系統として指定された系統に4番目に大きな加点を各々与え、加点の和が大きな系統を前記停電の場合に電力供給を優先すべき系統と判断するようにしてもよい。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、冷蔵庫が接続されているか否か、24時間動作する機器が接続されているか否か、停電の直前に使用されていた系統か否か、前回の停電で電力が供給される系統として指定された系統か否かを総合的に判断して電力供給すべき系統を特定することができる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明のように、前記制御手段は、前記加点の和が最大の系統を、前記停電の場合に電力供給が最優先される系統としてもよい。これによって、最優先で電力を供給すべき系統を明確化できる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明のように、前記制御手段は、前記停電の時間帯に応じて、前記加点の和が最大の系統、前記加点の和が最大の系統及び前記加点の和が2番目に大きい系統、又は前記加点の和が最大の系統から前記加点の和が3番目に大きい系統までを停電時に電力供給が優先される系統として前記表示手段に表示するようにしてもよい。これによって、停電の時間帯に応じた電力供給を優先すべき系統を明示できる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明のように、前記制御手段は、停電が開始される時刻及び該停電が終了する時刻が予め明らかである場合に、予め把握した前記他の電源から供給可能な電力と前記停電が開始される時刻及び該停電が終了する時刻の間の時間とに応じて、前記加点の和の大きな系統の中から停電の間に電力の供給が可能な系統を判断し、該判断結果を前記表示手段に表示するように制御してもよい。これによって、いわゆる計画停電時に、他の電源の能力に基づいて、電力供給が可能な系統を明示できる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明のように、前記他の電源は、前記商用電源から供給された電力を蓄えた蓄電池、車載蓄電池の電力で走行可能な車両の該車載蓄電池、燃料電池、内燃機関を用いた発電装置及び太陽光発電装置の少なくともいずれか1つでよい。これによって、多彩な電源を他の電源として活用することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、施設内の各系統の電力の消費の傾向から優先的に電力を供給すべき系統を判断する給電システムを提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る給電システム100の一例を示す概略図である。なお、
図1において、実線は電力が供給される電力線を示し、破線は制御に係る情報が通る情報線を示している。
【0024】
図1では、電力会社による商用電源の電力は、電源切替装置110を介して建物等の施設に供給されている。
【0025】
電源切替装置110は、必要に応じて商用電源からの電力を遮断するのみならず、商用電源に代えて蓄電池、燃料電池、内燃機関による発電、太陽光発電、又はEV、HV若しくはPHV等の車両が有する車載蓄電池等による補助電源に切り替えることができる。
【0026】
電源切替装置110を介して供給された電力は、
図1の第1系統121、第2系統122、第3系統123のように複数の系統に分配される。
図1では、第1系統121はリビング151に、第2系統122はダイニング152に、第3系統123はキッチン153に接続されており、リビング151には24時間動作する機器であるファクシミリ装置151Aが設置されており、キッチン153には停電時でも動作する必要がある冷蔵庫153Aが設けられているものとする。
【0027】
なお、
図1では、記載の簡略化のために系統は3系統のみ記載しているが、本実施の形態では3系統以上でも3系統以下でもよく、系統の本数に特段の限定はない。
【0028】
これら複数の系統の各々は、建物等の施設に複数設けられている居室等のエリアに接続されており、居室等の各エリアの各々には、系統毎に分配された電力が供給される。
【0029】
第1系統121、第2系統122及び第3系統123には、各系統に供給される電力を必要に応じてオフ又はオンにするスイッチである遮断装置131〜133が各々設けられている。
【0030】
第1系統121、第2系統122及び第3系統123には各系統の電流を時系列で計測する電流センサ141〜143が各々設けられている。
【0031】
電力切替装置110、遮断装置131〜133及び電流センサ141〜143には、本実施の形態に係る給電システムを制御する制御装置161が接続されている。
【0032】
制御装置161にはメモリユニット171が接続されている。制御装置161は、電流センサ141〜143が計測した各系統の時系列での電流値から各系統の時系列での消費電力を算出し、各系統の時系列での電流値及び消費電力を当該電流値が計測された日時に対応付けてメモリユニット171に記憶する。
【0033】
制御装置は、メモリユニット171に記憶した消費電力の傾向から、各系統のうち商用電源が停電した場合に電力供給を優先すべき系統を判断する。
【0034】
また、制御装置161には、ユーザに各種情報を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付ける表示・入力装置181が接続されている。
【0035】
本実施の形態では、電源切替装置110を、商用電源から補助電源に切り替える操作、並びに停電時に使用する系統を指定する操作として、停電時に使用する系統の遮断装置をオン状態とする操作又は停電前に遮断装置がオン状態であった系統の遮断装置を停電後もオン状態とする操作が表示・入力装置181を介して可能である。
【0036】
制御装置161は、商用電源が停電した場合に電力供給を優先すべきと判断した系統を表示・入力装置181に表示すると共に、ユーザによる表示・入力装置181の操作に基づいて電源切替装置110及び遮断装置131〜133を制御する。
【0037】
本実施の形態では、表示・入力装置181から停電時に使用する系統を指定する操作がされた場合、指定された系統に設けられている遮断装置がオン状態になり、指定されなかった系統に設けられている遮断装置がオフ状態になるように、制御装置161によって制御される。
【0038】
なお、制御装置161及び電源切替装置110、並びに制御装置161及び各遮断装置は、
図1に破線で示したように情報線で接続されており、制御装置161は、電源切替装置110及び各遮断装置の状態をリアルタイムで検知可能である。
【0039】
本実施の形態に係る制御装置161、メモリユニット171及び表示・入力装置181は、建物内の給電管理及び制御を行うHEMS(Home Energy Management System)を用いてもよい。
【0040】
図2は、本発明の実施の形態に係る給電システムに含まれるHEMS30の概略構成を示すブロック図である。
【0041】
HEMS30は、コンピュータを含んで構成されており、
図2に示すように、CPU36、ROM38、RAM40、及び入出力ポート42を備えて、これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス44を介して互いに接続されている。
【0042】
入出力ポート42には、各種入出力機器として、表示部46、操作部48、及びメモリ50が接続されている。なお、表示部46及び操作部48は
図1の表示・入力装置181ように一体で構成され、操作部48は、表示部46に設けられたタッチパネルを適用するようにしてもよいし、タッチパネルの他に操作ボタンを備えるようにしてもよい。
【0043】
メモリ50は、
図1のメモリユニット171に相当するものであり、各系統の電流値及び消費電力を記憶するのみならず、電力供給に関する各種制御や表示部46に表示するための表示制御等を行うためのプログラム、停電時に電力供給を優先する系統の判定に係るプログラム、並びにこれらのプログラムを実行するための各種情報等が記憶されている。
【0044】
本実施の形態では、メモリ50に記憶されたプログラムをRAM40等に展開してCPU36が実行することにより、電力供給に関する各種制御や表示制御等の制御を行うようになっている。
【0045】
さらに、入出力ポート42には、電源切替装置110、遮断装置131〜133及び電流センサ141〜143が接続されている。
【0046】
以下、本実施の形態に係る給電システムの動作について説明する。本実施の形態に係る給電システム100は、各系統の消費電力に基づいて各系統に接続されている機器の属性を判定する。
【0047】
具体的には、各系統の消費電力に基づいて、各系統に冷蔵庫が接続されているか否か、各系統に24時間動作する機器が接続されているか否かを判定する。
【0048】
また、本実施の形態では、各系統の電流値並びに電源切替装置110及び遮断装置131〜133の操作の履歴等から停電の直前に使用されていた系統及び停電時に使用されていた系統を判定する。
【0049】
まず、冷蔵後が接続されている系統か否かを判定する制御について説明する。
図3は、本実施の形態に係る給電システムにおける冷蔵庫が接続されている系統か否かを判定するための処理のフローチャートである。なお、
図3に示した各手順は各系統において個別に行われるものとする。
【0050】
ステップ300では、判定に係る系統の電流値を電流センサによって所定時間毎に計測する。
【0051】
なお、所定時間は種々の長さが考えられ、本実施の形態では10分程度とするが、この所定時間は接続されている冷蔵庫等の機器の特性等を考慮して変更可能であり、数分程度でもよい。
【0052】
ステップ302では、計測した電流値から当該系統の消費電力を算出する。建物等の施設内に供給される電力の電圧は概ね100Vなので、各系統の電流値が計測できれば、各系統の消費電力は、計測した電流値と電圧値100Vとの積で算出されるので、別途電圧を測定する手段を本実施の形態では要しない。
【0053】
しかしながら、電圧の変動等が生じ得る系統においては、電流センサ141〜143に加えて、別途、電圧を計測する手段を各系統に設けてもよい。
【0054】
ステップ304では、計測した電流値及び算出した消費電力をメモリユニット171に記憶する。
【0055】
ステップ306では、電流の計測を規定の回数だけ行ったか否かを判定し、規定の回数だけ計測した場合は手順をステップ308に移行させる。規定の回数だけ測定したか否かは、メモリユニット171に記憶した電流値が規定の回数に相当する数であるか否かで判定できる。
【0056】
なお、規定の回数は、各系統に冷蔵庫が接続されているか否かを判定可能なだけの回数である。当該回数は種々の回数が考えられるが、消費電力から機器の特徴を把握するには1日の各時刻における消費電力の変化を把握する必要があることと、本実施の形態のように、10分毎に計測するのが望ましいのであれば、24時間分、合計144回計測することが考えられる。
【0057】
ステップ306で、電流の計測を規定の回数行っていないと判定された場合は、手順をステップ300以前に戻し、再度、電流の計測を実行する。
【0058】
ステップ308では、メモリユニット171に記憶した規定回数分の消費電力から最大消費電力及び平均消費電力を算出する。
【0059】
図4は、本実施の形態において冷蔵庫が接続されている系統か否かの判定に用いる各系統の消費電力の一例を示した図であり、規定回数分の消費電力の結果から平均消費電力、最大消費電力及び最小消費電力が各々算出されている。
【0060】
ステップ310では、以下の式(1)に従って、当該系統に冷蔵庫が接続されているか否かを判定する。
最大消費電力−平均消費電力>規定値 ・・・(1)
【0061】
冷蔵庫は、誘導モータを作動させて冷媒を圧縮する際に、待機状態に対して5〜10倍に相当する電力消費が突発的にあるので、平均消費電力に対して突出した最大消費電力が認められる系統には冷蔵庫が接続されていると判定できる。
【0062】
判定値は各冷蔵庫の電力消費の特性によって種々の値が考えられるので、試験を通じて統計的に算出されることが望ましい。本実施の形態では、一例として、判定値を300Wとした。
【0063】
ステップ310において、式(1)に従って、最大消費電力と平均消費電力との差が規定値を上回った場合は、当該系統には冷蔵庫が接続されているとステップ312で判定し、
図3のフローチャートによる処理を終了する。
【0064】
以上説明したように、
図3のフローチャートの手順によれば、当該系統の電力消費の傾向から、当該系統に冷蔵庫が接続されているか否かを判定できる。
【0065】
続いて、
図5を用いて、本実施の形態における、24時間動作する機器が当該系統に接続されているか否かを判定する処理について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る給電システムにおける24時間動作している機器が接続されている系統か否かを判定するための処理のフローチャートである。なお、
図5に示した各手順は各系統において個別に行われるものとする。
【0066】
ステップ500では、24時間計を0にリセットし、ステップ502において所定時間毎に電流の計測を開始する。所定時間は種々の長さが考えられ、本実施の形態では10分とする。
【0067】
ステップ504では、計測した電流値から当該系統の消費電力を算出する。
【0068】
ステップ506では、計測した電流値及び算出した消費電力をメモリユニット171に記憶する。
【0069】
ステップ508では、24時間計を参照して電流の計測を開始してから24時間が経過したか否かを判定し、計測開始から24時間を経過していない場合は、手順をステップ500以前に戻す。
【0070】
ステップ508で、電流の計測を開始してから24時間が経過したと判定された場合は、ステップ510で当該系統の最小消費電力を算出する。
【0071】
図6は、本実施の形態に係る給電システムにおける24時間動作している機器が接続されている系統か否かの判定に用いる各系統の消費電力の一例を示した図である。
図6では、24時間にわたって、10分毎に各系統の電流値が計測され、計測された電流値から各系統の消費電力が算出され、さらに各系統の最小消費電力が算出されている。
【0072】
ステップ512では、最小消費電力が0Wか否かが判定され、0Wの場合は、ステップ514において、その系統には24時間動作する機器が接続されていないとして、
図5の処理を終了する。なお、機器によっては、待機状態で微弱な電力を消費するものがあるので、ステップ512では最小消費電力が所定の閾値未満の場合は、最小消費電力が0Wであると判定してよい。当該閾値は種々の値が考えられるが、一例として3〜5W程度とすることが考えられる。
【0073】
ステップ512で、最小消費電力が0Wであると判定された場合は、ステップ516において、その系統には24時間動作する機器が接続されているとして、
図5の処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、
図5の処理によれば、各系統に24時間動作する機器が接続されているか否かを判定することができる。
【0075】
本実施の形態では、上述の各系統に冷蔵庫が接続されているか否か、及び各系統に24時間動作する機器が接続されているか否かの判定に加えて、停電の直前に使用されていた系統及び前回の停電時に電力が供給される系統として指定された系統を特定する。
【0076】
まず、停電の直前に使用されていた系統の特定について説明する。
【0077】
停電の直前に使用すなわち電力が供給されていた系統には、停電になっても引き続き電力が供給された方が望ましい。本実施の形態では、メモリユニット171に各系統の時系列での消費電力が記憶されているので、当該記憶に基づいて、停電が発生した直前に使用していた系統を特定する。
【0078】
具体的には、制御装置161は、電源切替装置110が商用電源に代えて補助電源の電力を各系統へ供給するように切り替わったこと及び切り替わった時刻を検知すると共に、メモリユニット171に記憶された各系統における時系列での電流値と、電源切替装置110が補助電源の電力を各系統へ供給するように切り替わった時刻とから、停電の直前に使用されていた系統を特定する。
【0079】
次に、前回の停電時に電力が供給される系統として指定された系統について説明する。
【0080】
前回の停電時に電力が供給される系統として指定された系統は、重要な機器が接続されている可能性が高いので、次の停電時にも電力が供給された方が望ましい。本実施の形態では、メモリユニット171に記憶されているユーザが遮断装置141〜143を操作した履歴を参照して、前回の停電時に電力が供給される系統として指定された系統を特定する。
【0081】
本実施の形態では、前述のように、停電時に使用する系統を指定する操作が表示・入力装置181から可能なので、前回の停電時にこれらの操作の対象となった系統をメモリユニット171に記憶されている表示・入力装置181の操作の履歴から特定できる。
【0082】
以上のように、本実施の形態では、(1)冷蔵庫が接続されている系統、(2)24時間動作する機器が接続されている系統、(3)停電の直前に使用されていた系統、(4)前回停電時に電力が供給される系統として指定された系統の各々を判定した。
【0083】
本実施の形態では、上記(1)〜(4)の事項に基づいて、停電の場合に電力供給を優先すべき系統を判断する。
【0084】
具体的には、(1)冷蔵庫が接続されていると判定された系統に最大の加点を、(2)24時間動作する機器が接続されていると判定された系統に2番目に大きな加点を、(3)停電の直前に使用されていた系統に3番目に大きな加点を、(4)前回停電時に電力が供給される系統として指定された系統に4番目に大きな加点を各々行い、加点の和が大きな系統を停電の場合に電力供給を優先すべき系統と判断する。
【0085】
本実施の形態では、複数の系統すべてにおいて、上記(1)〜(4)の事項に係る判定が行われる。従って、上記(1)〜(4)の全事項についての加点の和が最大となった系統が停電時に最優先で電力が供給されるべき系統となる。
【0086】
図7は、本実施の形態において停電時に電力を優先的に供給する系統を判断する際に用いられる判定表の一例を示す図である。
【0087】
図7では、(1)冷蔵庫が接続されていると判定された系統に5点を、(2)24時間動作する機器が接続されていると判定された系統に4点を、(3)停電の直前に使用されていた系統に2点を、(4)前回停電時に電力が供給される系統として指定された系統に1点を各々加点して、各系統について加点の和を求め、加点の和が大きい順に従って優先順位をつけている。
【0088】
本実施の形態では、
図7のようにして求めた各系統の優先順位を表示・入力装置181に表示し、ユーザが停電時に使用する系統を指定する際に参照できるようにする。また、表示された優先順位に従ってHEMSが自動制御で停電時に使用する系統を選択してもよいし、HEMSによる自動制御を、ユーザがあとからカスタマイズできるようにしてもよい。
【0089】
本実施の形態では、上述の加点の和が最大の系統を停電時に電力供給が優先される系統として表示するようにしてもよい。また、上述の加点の和が最大の系統を停電時に使用する系統としてHEMSが自動制御で選択してもよいし、HEMSによる自動制御を、ユーザがあとからカスタマイズできるようにしてもよい。
【0090】
また、本実施の形態では、停電が起きた時間帯に応じて、停電時に電力供給が最優先される系統、上記の優先順位の1位及び2位、又は上記の優先順位の1位から3位までを停電時に電力供給が優先される系統として表示するようにしてもよい。
【0091】
例えば深夜であれば、電力消費量は少ないと思われるので、優先順位の1位から3位までを停電時に電力供給が優先される系統として表示し、昼間等の電力消費量の多い時間帯の停電では、電力供給が最優先される系統を表示することが考えられる。
【0092】
また、制御装置161は、補助電源から供給可能な電力を予め把握しておき、いわゆる計画停電で、停電が開始される時刻及び該停電が終了する時刻が予め明らかである場合に、加点の和が大きく優先順位が高い系統の中から当該計画停電の間に電力の供給が可能な系統を判断し、当該判断結果を表示・入力装置181に表示するようにしてもよい。
【0093】
蓄電池等の補助電源の蓄電量は、当該蓄電池の電圧値から推定可能であり、各系統の消費電力は、各電流センサによって計測された電流値から算出できる。
【0094】
本実施の形態では、補助電源である蓄電池の電圧値を計測する手段を別途備えることで、当該蓄電池が供給可能な電力を把握できる。
【0095】
また、補助電源が内燃機関による発電装置、燃料電池又は太陽光発電装置の場合は、これらの発電装置の定格出力等に基づいて、補助電源が供給可能な電力を把握することができる。
【0096】
また、本実施の形態では、表示・入力装置181に、補助電力が供給可能な電力と各系統の消費電力とから補助電力によって電力供給が可能な時間を表示するようにしてもよい。
【0097】
この場合、冷蔵庫又は24時間動作する機器等の動作を前提とするのであれば、表示・入力装置181に、「冷蔵庫及び24時間動作機器以外の全機器の電源をOFFとすることとで、補助電力はあと5時間電力を供給できます」という旨のメッセージを表示させ、ユーザに節電を促すことも可能である。
【0098】
さらに、本実施の形態では、上述のように決定した優先順位とは別に、ユーザが表示・入力装置181から停電時に優先すべき系統を設定可能であり、かかる設定がなされた場合は、ユーザが設定した優先順位に従って、前記複数の系統のうち前記停電の場合に電力供給を優先すべき系統を決定することも可能である。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態に係る給電システムによれば、各系統の電力の消費の傾向から優先的に電力を供給すべき系統を判断する給電システムを提供することができる。