(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940338
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】復水回収装置
(51)【国際特許分類】
F22D 11/06 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
F22D11/06 A
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-72733(P2012-72733)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-204876(P2013-204876A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】岩下 裕幸
【審査官】
藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−170126(JP,A)
【文献】
特開平11−082920(JP,A)
【文献】
特開2008−115899(JP,A)
【文献】
実開平04−049711(JP,U)
【文献】
米国特許第05655888(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 11/00
F22D 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
復水の流入口及び還元口と、高圧操作流体の導入口及び循環口とがそれぞれ設けられ、水位と共に浮上降下するフロ―トが内部に配置されている復水溜容器と、
前記流入口への前記復水の流入を制御する第一開閉弁と、
前記循環口からの前記高圧操作流体の吸引を制御する第二開閉弁とを備え、
前記復水溜容器は、前記フロ―トの移動に応じて前記高圧操作流体の導入口及び循環口が開閉することにより前記復水を圧送して回収し、
前記第一開閉弁および前記第二開閉弁は、前記高圧操作流体の導入口が開口するとその流体圧力によって閉弁し、前記導入口への前記高圧操作流体の供給が停止すると開弁すること
を特徴とする復水回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気使用機器で発生した蒸気の凝縮水としての復水を、ボイラーや給水タンク等の所定の復水回収先へ回収する復水回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の復水回収装置は、蒸気使用機器の復水出口側を蒸気トラップと復水集合タンクと逆止弁を介して復水圧送部材に接続し、この復水圧送部材の高圧操作流体排出口に圧力制御弁を取り付けたもので、熱エネルギー損失を少なくすることができるものである。
【0003】
この復水回収装置においては、蒸気使用機器で使用される蒸気圧力が低くなると、蒸気使用機器で発生した復水を確実に排出することができなくなる問題があった。これは、復水圧送部材の高圧操作流体排出口に取り付けた圧力制御弁によって、復水圧送部材の内部を大気圧以下の真空状態とすることができず、蒸気使用機器で使用される蒸気圧力が極端に低くなると、蒸気使用機器の復水を逆止弁を介して復水回収装置の内部へ流入させることができなくなるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−170126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、逆止弁を配置する必要をなくして、蒸気使用機器で使用される蒸気圧力が極端に低くなっても復水を確実に復水回収装置の内部へ流入させることのできる復水回収装置を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、復水の流入口と還元口を設けた復水溜容器と、該復水溜容器に高圧操作流体の導入口と循環口を形成すると共に、水位と共に浮上降下するフロ―ト手段を配置して、該フロ―ト手段の移動に応じて上記高圧操作流体の導入口と循環口とを開閉して復水を圧送し回収するものにおいて、復水の流入口に逆止弁を配置することなく、高圧操作流体の導入口が開口すると、その高圧操作流体の流体圧力によって閉弁する開閉弁を復水の流入口に配置したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の復水回収装置は、高圧操作流体の導入口が開口すると、その高圧操作流体の流体圧力によって閉弁する開閉弁を復水の流入口に配置したことによって、蒸気使用機器の内部の蒸気圧力が低下しても、逆止弁を配置した場合の圧力損失を発生することがなく、復水を確実に復水回収装置の内部へ流入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の復水回収装置の実施例を示す構成図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の復水回収装置は、高圧操作流体の流体圧力によって閉弁する開閉弁を使用するものであるが、この開閉弁としては従来公知の高圧流体をアクチュエータ源とするピストン弁とかダイヤフラム弁等を用いることができる。
【実施例1】
【0010】
図1は本実施例の構成図であって、復水回収装置2を、復水の流入口3と還元口4、及び、高圧操作流体の導入口5と循環口6とで構成し、復水流入口3に開閉弁7を介して復水流入管8を接続する。
【0011】
開閉弁7はピストン弁であり、上部のピストン9へ高圧操作流体の導入口5が開口すると管路10を通して高圧操作流体、本実施例においては高圧の圧縮空気、が供給されることによって、自動的に閉弁し、一方、導入口5から高圧操作流体の供給が停止されると自動的に開弁するものである。
【0012】
復水の還元口4に逆止弁11を介して復水圧送管12を接続する。逆止弁11は、復水回収装置2内から復水圧送管12側への復水の流下を許容し、反対方向の流れは阻止する機能を有する。
【0013】
高圧操作流体の導入口5へ高圧の圧縮空気供給管13を接続する。また、高圧操作流体の循環口6は、管路14を介してエアエゼクタ15の吸引部16と接続する。吸引部16に内蔵した図示しないノズルにエア供給管17を接続する。エア供給管17には、第二の開閉弁18を取り付けて、その上部のピストン19に管路20を介して高圧操作流体の導入口5近傍と連通する。開閉弁18は、ピストン19へ高圧操作流体の導入口5が開口すると管路20を通して高圧操作流体が供給されることによって、自動的に閉弁し、一方、導入口5から高圧操作流体の供給が停止されると自動的に開弁するものである。
【0014】
復水回収装置2は、内部に配置した図示しないフロートが下方部に位置する場合に、高圧操作流体の導入口5を閉口して開閉弁7,18を開弁し、一方、高圧操作流体の循環口6を開口してエアエゼクタ15の吸引部16と連通して、復水流入管8から復水を復水回収装置2内に流下させる。
【0015】
復水回収装置2内に復水が溜まって図示しないフロートが所定上方部に位置すると、高圧操作流体の循環口6を閉口し、一方、高圧操作流体の導入口5を開口して開閉弁7,18を閉弁し、高圧の圧縮空気供給管13から圧送用圧縮空気を内部に流入させることにより、内部に溜まった復水を復水の還元口4と逆止弁11と復水圧送管12を通してボイラー等の復水回収先へ圧送する。
【0016】
復水が圧送されて復水回収装置2内の液位が低下すると、再度、高圧操作流体の導入口5を閉口し、高圧操作流体の循環口6を開口することによって、復水の流入口3から復水を内部へ流下させる。このような作動サイクルを繰り返すことによって復水を所定の回収先へ回収する。
【0017】
高圧操作流体の導入口5が開口すると、その高圧操作流体の流体圧力によって閉弁する開閉弁7,18を配置したことによって、蒸気使用機器の内部の蒸気圧力が低下しても、従来技術のように逆止弁を配置した場合の圧力損失を発生することがなく、復水を確実に復水回収装置2の内部へ流入させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明は、蒸気使用機器で使用される蒸気の圧力が低い場合であっても、確実に復水を回収することのできる復水回収装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0019】
2 復水回収装置
3 復水の流入口
4 復水の還元口
5 高圧操作流体の導入口
6 高圧操作流体の循環口
7 開閉弁
8 復水流入管
12 復水圧送管
13 高圧の圧縮空気供給管
15 エアエゼクタ
18 第二の開閉弁