【実施例】
【0028】
(本発明の方法によるp型AlGaN半導体層の成長)
GaN及びAlGaN層は、従来の減圧有機金属気相エピタキシー(LP−MOVPE)法により、サファイヤ基板の(0001)面上に成長させた。成長圧力及び成長温度は、それぞれ40hPa及び1180℃であった。Ga、Al、C及びNの原料として、それぞれ、TMGa、TMAl、CBr
4及びNH
3を用いた。尚、エピタキシャル成長条件は、次の通りである。
成長時設定温度 1190℃〜1370℃
基板表面温度 1070℃〜1250℃
成長時の原料ガス圧 40〜200hPa
V/III比(モル比/分圧の比) 約200〜600
四塩化炭素の供給量 7×10
−8mol/min〜1.7×10
−5mol/min
シクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)の供給量 1.3×10
−7mol/min〜1.6×10
−7mol/min
III族原料ガス(トリメルチルガリウム(TMG)及びトリメチルアルミニウム(TMAl))の供給量 5×10
−5mol/min
【0029】
尚、III族原料ガス及びV族原料ガスのそれぞれの供給回数及びIII族原料ガスの供給時間T
1及びV族原料ガスの供給時間T
2は、前記T
1及びT
2間のインターバルが0〜1秒になる条件下で、p型AlGaN半導体層の所望の膜厚が得られるように適宜調整した。
【0030】
サンプルの構造は、次の通りである。単一のC−ドープAlGaN(層厚1μm)は、ファン デル ポウ法ホール効果測定のために、アンドープのAlGaN(層厚2〜4μm)のテンプレート(template)上に成長された。一方、厚い層厚のn型GaN又はAlGaN(層厚2〜4μm)のテンプレートは、高温のアンドープAIN層(層厚数nm)上に成長された。次いで、静電容量−電圧(C−V)測定、SIMS分析及びI−V特性測定のために、アンドープのGaN活性層(層厚10〜15nm)及びC−ドープのAlGaN(層厚0.1〜1.5μm)が、前記n型GaN又はAlGaNのテンプレート上に連続的に成長された。オーミック接触層として、薄いMg−ドープのGaNキャップ層(10nmの層厚)が、C−V測定及びLEDの作製のために、前記のC−ドープのAlGaN層上に成長された。
【0031】
(本発明の方法によるp型AlGaN半導体層の結晶の品質)
前記の作製されたC−ドープAlGaNサンプルの結晶品質は、(0002)面及び(10−12)面の反射を用いた、X線ロッキングカーブの分析によって評価された。次いで、X線ロッキングカーブの分析の結果は、[1−100]方向に沿った入射電子ビームを用いた(000)及び(0002)の回折スポット及び(1020)面について、透過型電子顕微鏡分析データによって測定された。X線ロッキングカーブの分析によると、(0002)面のωスキャン及び(10−12)面のφスキャンに関する半値全幅(FWHM)は、それぞれ、120〜150及び300〜350arcsec付近であった。このことは、前記C−ドープp型AlGaN層において、らせん状転移(screw−type dislocation)及び混合転移(mixed−type dislocation)からなる転移の密度と、混合転移及び刃状転移(edge−type dislocation)の密度は、それぞれ2〜5×10
7cm
−3及び7×10
8cm
−3〜2×10
9cm
−3になると評価された。X線ロッキングカーブの分析によって、C−ドープのAlGaNの結晶品質は、同じ成長条件及び同じ層構造によってc面サファイヤ基板上に成長されたアンドープのAlGaNに極めて類似していることが示された。
【0032】
(C−ドープのAlGaNの光学特性)
発光特性における炭素の効果を明確にするともに、C−ドープのAlGaNの(0001)面における炭素アクセプタに関係するエネルギー準位を見出す目的で、C−ドープのAlGaN及びアンドープのAlGaNを、光学特性に関して比較した。
【0033】
図3(a)は、アルミニウムの固相比(以下、「Al固相比」ともいう。)が8%のアンドープのAlGaNから得られた低温発光(PL)スペクトルであって、1つの主な(最大の)放射及び3つの弱い放射がそれぞれE
m=3.685eV、E
1=3.650、E
2=3.598eV及びE
3=3.498eVにあることが測定された。(b)は、9%のAl固相比を有するC−ドープのAlGaNであって、1つの主な(最大の)放射、1つの2番目に大きい放射(「サブピークの放射」ともいう。)及び弱い放射がそれぞれE
m=3.739eV、E
1=3.710及びE
3=3.570eVにあることが測定された。
【0034】
図3(a)及び(b)は、METROLUX社製 ML−2100−S型の光学減衰器で193nmにおけるパルス化されたエキシマレーザの励起を用いて、弱くパルス化された励起において、19K(ケルビン)における略8〜9%のAl固相比を有するアンドープのAlGaN層及びC−ドープのAlGaN層から得られたフォトルミネッセンス(PL)スペクトルを示す。
【0035】
主な発光、すなわち、最大のピークは、E
m=3.685eVに現れており、
図3(a)に示されるように、アンドープのAlGaNからのバンド端発光(band edge−emission)に関係する。これと比較して、1つの主な放射及び3つの弱い放射がそれぞれE
m=3.685eV、E
1=3.650、E
2=3.598eV及びE
3=3.498eVにあることが測定された。1つの主な放射及び3つの弱い放射との間の計算されたフォトンエネルギの差は、それぞれ(E
m−E
1)=35meV、(E
m−E
2)=87meV、(E
m−E
3)=187meVである。
【0036】
本発明者は、
図3(b)に示されるC−ドープのAlGaNからPL発光におけるスペクトルの拡がりを観測した。各発光のフォトンエネルギは注意深く測定され、最大のピークの放射は、E
m=3.739eVであって、C−ドープのAlGaNからのバンド端放射に関係するが、Al組成が異なる
図3(a)のサンプルとはほとんど関係しない。前記最大のピークの近傍において観測された2番目に大きい放射、すなわち、サブピークの放射は、E
1=3.710である。そして、弱い放射は、E
3=3.570eVにあることが測定された。
【0037】
E
1におけるサブピーク及びE
3における弱い放射の放射強度は、CBr
4の流量に強く依存する。 それ故、本発明者は、これらの2つの放射がC−ドープのAlGaNにおける炭素アクセプタに関係すると結論付けた。
【0038】
最大ピークの放射及びサブピーク又は弱い放射とのフォトンエネルギの差は、それぞれ(E
m−E
1)=29meV、(E
m−E
3)=169meVである。
【0039】
本発明者は、自由励起子(free exciton)及び束縛励起子(bounded exciton)を考慮することによって、フォトンエネルギの差について更に深く分析するとともに議論する必要がある。しかし、アンドープのAlGaNからのE
1及びE
3とC−ドープのAlGaNからのE
1及びE
3は、アンドープ及びC−ドープのAlGaNにおける炭素アクセプタから生じている。本発明者は、浅いアクセプタレベル及び深いアクセプタレベルについて、それぞれ、29−35meV及び169−187meVの炭素アクセプタの2つのエネルギー準位であると推定した。前記の浅いアクセプタエネルギー準位(E
m−E
1)=29meVは、高いホール密度を有するC−ドープのAlGaNのp型の伝導性に関して重要な役割を果たすと考えられる。
【0040】
(ホール効果測定)
10%のAl固相比を有するAlGaNのホール効果の測定は、次の簡単な構造を用いて行われた。
【0041】
単一のC−ドープAlGaN層(層厚1μm)は、マグネシウムがドープされた(Mg−ドープの)GaNキャップ層を有さないアンドープのAlGaN(層厚2〜4μm)のテンプレート上に成長された。そのため、ファン デル ポウ幾何ホール効果測定のために、Al固相比が10%まで、GaN及びAlGaNの場合において、Mg−ドープのp型のGaNキャップ層が形成されていない。
【0042】
本発明者は、第1に、GaN(0001)面への炭素ドーピングを試みたが、p型の伝導性は実現されなかった。本発明者による実験結果は、少量のアルミニウムがAlGaNのp型の伝導性に重要な役割を果たし、アルミニウムはAlGaNの(0001)面のp型の伝導性に必要であることを強力に示唆している。一方、本発明者は、実験的に、C−ドープのAlGaNにおいてp型伝導性を実現した。アンドープのAlGaN層の(0001)面は全てn型であって、バックグランドの自由電子密度(background free electron dendity)は3〜9×10
15cm
−3であった。一般的に、これらのサンプルのホール移動度は、室温において20〜80cm
2/V・sの範囲内であった。
【0043】
図4(a)及び(b)は、炭素ドープされたAl
0.1Ga
0.9Nについて、CBr
4の流量への自由電子密度の依存性を示すグラフであって、ファン デル ポウ幾何ホール効果測定によって得られたものである。白丸及び黒丸のデータは、それぞれ、Al
0.1Ga
0.9Nのn型(自由電子密度)及びp型(自由ホール密度)の伝導性を示す。
【0044】
本発明者は、CBr
4の流量が0.06〜0.3μmol/minにおいて、n≒3×10
14cm
−3から9×10
15cm
−3の範囲において自由電子密度を有するC−ドープのAlGaNのn型の電気伝導性を観測した。
【0045】
CBr
4の流量が0.7μmol/minにおいて、自由電子密度は、n≒5×10
14cm
−3に減少した。そして、CBr
4の流量が約3μmol/min以上になると、電気伝導性は、n型からp型に変化して、CBr
4の流量の増加に伴って、自由ホール密度は、p≒4×10
13cm
−3から3×10
18cm
−3に急激に増加した。自由ホール密度の最大値は、CBr
4の流量が5μmol/minの時に得られたp≒3.2×10
18cm
−3であって、シートキャリア密度が7.5×10
14cm
−2に相当する。
【0046】
尚、この場合における2.3μmの層厚のC−ドープのAlGaN単一層の電気伝導度、シート抵抗及び電子移動度は、室温下において、20ohm・cm、8.6×10
4ohm/cm
2、0.4cm
2/V・sであった。p型領域におけるC−ドープのAlGaNのホール移動度は、室温において0.4〜20cm
2/V・sに変化した。
【0047】
(C−V測定)
NIAD=(N
A−−N
D+)(N
A−及びN
D+は、それぞれイオン化されたアクセプタ及びドナー密度)で定義される前記NIADを測定するため、ECV−Pro型のナノメータC−Vシステムを用いて、C−ドープのAlGaNについて、室温下にてC−V測定を行った。尚、使用された電解質のKOH濃度は0.001〜0.005mol%であり、遠紫外線は185〜2000nmの波長光源を有する水銀−キセノンランプから得た。一方、アクセプタN
A及びドナーN
D+の原子密度は、SIMS解析によって独立して測定された。C−V測定は、C−ドープのAlGaNのp型伝導性の特性を明らかにすることができる。
【0048】
図5(a)は、Mg−ドープのGaN(層厚0.08μm)/C−ドープのAlGaN(アルミニウムのモル濃度55%、層厚1.0μm)/SiドープのAlGaN(x=0.55(アルミニウムのモル濃度55%)、層厚2〜4μm)からなるサンプルの構造をC−V測定することによって得られたNIADの深さプロファイルを示す。
図5(a)のAlGaN半導体層は、炭素(C)及びマグネシウム(Mg)を同時にドーピングすることによって作製されたものである。一方、
図5(b)の測定対象のAlGaN半導体層はCのみがドープされたものである。すなわち、
図5(b)は、GaN(層厚0.08μm)/C−ドープのAlGaN(アルミニウムのモル濃度55%、層厚1.0μm)/SiドープのAlGaN(x=0.55(アルミニウムのモル濃度55%)、層厚2〜4μm)からなるサンプルの構造をC−V測定することによって得られたNIADの深さプロファイルを示す。
図5(a)及び
図5(b)を比較すると分かるように、Mg−ドープのp型GaNは、炭素の高い含有量及び低い含有量を有するC−V測定サンプルにおける「表面状態」の効果を減少することによって、信頼でき且つ安定したC−V測定を得るために重要である。
【0049】
Al=0.55のC−ドープのAlGaN半導体層に関する電気伝導性は、p型であって、そのNIDAは、
図5(a)に示されるように0.18μmから1.2μmの深さに関して6〜7×10
18cm
−3の状態のままであった。一方、Mg−ドープされたGaNのNIDAは、わずかに低く、5×10
18cm
−3であった。これに対して、炭素のみがドーピングされたAlGaN半導体層は、
図5(b)に示されるように、約0.09μmから約0.54μの深さにおいてNIDA値が約1×10
17cm
−3〜約2×10
18cm
−3の間でばらついているだけで無く、p型及びn型が混在している不安定な状態である。
【0050】
図6(a)及び(b)は、Al固相比がそれぞれ10%及び55%のAlGaNのC−ドープ特性を要約したグラフである。
図6(a)及び(b)に示されるように、CBr
4の流量を変えることによって、NIADは、3×10
16cm
−3から3×10
18cm
−3の間で容易に制御することができる。
【0051】
最大のNIADは(6〜7)×10
18cm
−3であって、
図5(a)に示されるように、Al固相比が55%のAlGaNについて得られた。しかしながら、同じNIAD(例えば、1×10
18cm
−3)を得ることができるCBr
4の流量は、10%のアルミニウムを有するAlGaNと55%のアルミニウムを有するAlGaNでは、異なる。
すなわち、本発明者の実験は、Al固相比が小さいAlGaNは、同じNIADを得るために、CBr
4の大きい流量を要求する。
【0052】
この結果は、p型の伝導性がC−ドープのGaNにおいて実現されないが、C−ドープのAlGaNにおいて実現されるという事実を反映していると推測される。実際に、AlGaNにおけるC−ドープの実験結果によると、20%近傍のアルミニウムを有するAlGaNの場合において、CBr
4の最も小さい流量において、例えば、同じNIADの値1×10
18cm
−3が得られている。この結果も、AlGaNにおける炭素及びアルミニウム原子の間の関係を反映している。
【0053】
SIMS解析によって、炭素ドーピングに関する更なる重要な情報が得られた。
図7(a)及び(b)は、は、Mg−ドープのGaN(層厚0.08μm)/C−ドープのAlGaN(アルミニウムのモル濃度=27%;層厚0.11μm)/アンドープのGaN(層厚15nm)/Si−ドープのAlGaN(アルミニウムのモル濃度=10%;層厚3μm)からなるダブルヘテロ構造のSIMS解析の結果を示す。キャップGaN層のMg濃度は、他のSIMS解析から5×10
19cm
−3になることが測定された。アルミニウム及びガリウムの2次的なイオン強度は、参考のために示されている。
【0054】
C−ドープのAlGaN層における炭素濃度をSIMS解析することによって、炭素ドーピングに関する重要な情報が得られた。
図7(a)及び(b)は、炭素の供給材料源であるCBr
4の流量を変化させることによって、AlGaN層への炭素のドーピング量を変えて作製した試料のSIMS解析結果を示す。
図7(a)及び(b)に見られるように、CBr
4の流量を変えることによって、炭素濃度はそれぞれ(4〜5)×10
18cm
−3及び(0.9〜1)×10
18cm
−3と変化しており、炭素のドーピング量を制御できることが分かる。尚、本発明者の実験では、ドーピングされた炭素濃度は、最大で7.3×10
18cm
−3にすることも可能である。SIMS解析の開始前に、そのシステムは、炭素イオンが注入されたAlGaNサンプルを用いて標準的な手法によって炭素の分析が行えるように注意深く調整された。尚、前記のAlGaNサンプルは、前記SIMS解析において用いられたものと同じAl固相比を有するものであって、イオン注入用のAlGaNサンプルは、同じ成長条件下で成長させた。
【0055】
(AlGaNにおける炭素アクセプタの電気的な活性)
図7(a)及び(b)は、を得るために使用されたサンプルに関して、p型AlGaN(Al=27%)における炭素アクセプタのNIDAは、5×10
18cm
−3であった。そのため、AlGaNにおける炭素アクセプタの電気活性化率は、前述したように、SIMS解析から測定された炭素濃度及びNIDAを使用して、このサンプルについては約68%であると評価された。
【0056】
本発明者は、他の幾つかのサンプルを使用して、炭素アクセプタの電気活性化率も評価した。
図8は、炭素アクセプタの電気活性化率のアルミニウムの固相比への依存性を示すグラフであって、電気活性化率は、炭素原子密度(SIMS解析によって測定)及びNIAD(C−V測定によって測定)を用いて55−71%近傍であると評価される。
【0057】
AlGaN(Al=27%)における炭素アクセプタの電気活性化率に関する3つの実験的な結果は、エラーバーとして示されている。本発明者の実験結果によれば、AlGaN(Al=27%)における炭素アクセプタの電気活性化率は、55〜71%の範囲内にあることが見出された。20%のAl固相比における炭素アクセプタの電気活性化率は、
図8に示されるように、27%のAl固相比におけるAlGaNに関する電気活性化率に僅かに大きいか或いは略等しいと思われる、これは、AlGaN層において、浅い炭素アクセプタ準位が存在していることを示している。
【0058】
一方、マグネシウムドープされた(Mgドープの)p型GaN層におけるNIADは、
図7(a)及び(b)は、を得るために使用されたサンプルについて測定された。Mgアクセプタに関するNIADは、4〜5×10
18cm
−3であり、Mgドープのp型GaNにおけるMg濃度は、SIMS解析によって5×10
19cm
−3であることが測定された。従って、GaNにおけるMgアクセプタの電気活性化率は、約8〜10%であると評価された。Mgアクセプタの電気活性化率は、3つのサンプルから求められ、
図8に示された0%のAl固相比におけるにおけるエラーバーとしても示される。本発明者の実験結果によれば、Al組成比が20〜27%のAlGaN中の炭素アクセプタの電気活性化率は、GaN中のMgアクセプタの電気活性化率よりも大きい。
【0059】
p型伝導性の由来について更に深い検討を行うためにアクセプタ(N
A−/N
A)の電気活性化率は、異なる活性化エネルギーE
Aに関する絶対温度の関数として計算されている。
(N
A−/N
A)=exp{−E
A/2kT}
但し、k及びTは、それぞれ、ボルツマン定数及び絶対温度である。
【0060】
図9は、室温における炭素及びマグネシウムアクセプタの実験的な電気活性化率を用いて、Al
0.27Ga
0.73Nにおける炭素アクセプタ及びGaNにおけるMgアクセプタの活性化エネルギーを評価したグラフである。尚、
図9において、E
A=20meVから240meVまでの活性化エネルギーについて、計算された電気活性化率が実線にて示されている。
【0061】
このように、本発明者は、27%のAl組成比を有するAlGaNにおける炭素アクセプタに関する活性化エネルギーは、22〜30meVの範囲内であり、GaNにおけるMgアクセプタに関する活性化エネルギーは、110〜130meVの範囲内であると評価することができる。炭素アクセプタの活性化エネルギーの評価値は、前記のPL発光スペクトルから測定された27%のAl組成比を有するAlGaNにおける炭素アクセプタ準位に近い値である。
【0062】
表1、表2は、前述したエピタキシャル成長条件と同一に基づいて前述のLP−MOVPE法により、サファイヤ基板の(0001)面上に成長させることによって作製されたp型AlGaN半導体層の電気的な特性をまとめた表である。この表から分かるように、アルミニウムの含有量を増加させた場合であっても、本発明によって開示された所定の条件下でAlGaN半導体層に炭素をドーピングすることによって、前記AlGaNの電気伝導性は維持されることが分かる。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
このように、本発明によれば、炭素が安定的にドーピングされているので、本発明は、生産性を向上させた炭素ドープのp型窒化ガリウム系半導体層の製造方法を提供することができる。更に、本発明の製造方法によれば、アルミニウムの含有率を高めたp型窒化物半導体層を製造することができるので、本発明の製造方法によって製造されたp型窒化物半導体層は、高い耐圧特性及び優れた電気特性を有し、深紫外領域まで透明な光学特性と高い電気伝導特性を有する。
【0066】
従って、本発明によれば、大電流を流すパワーデバイスでも抵抗の低いp型層が実現可能であるので、より高性能な窒化物系電力制御用デバイスを実現することができる。