特許第5940373号(P5940373)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5940373パワーシート用アクチュエータ及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940373
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】パワーシート用アクチュエータ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/04 20060101AFI20160616BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   H02K5/04
   H02K5/22
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-117510(P2012-117510)
(22)【出願日】2012年5月23日
(65)【公開番号】特開2013-247701(P2013-247701A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】北井 利幸
【審査官】 鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−029196(JP,A)
【文献】 特開2002−374657(JP,A)
【文献】 特開2001−251808(JP,A)
【文献】 米国特許第07141904(US,B2)
【文献】 特開平05−219709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/00− 5/26
H02K11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電されることによって回転するモータと、
前記モータの回転を所定の減速比で減速して出力軸に伝達する減速機構と、
箱状に形成された第1のケース及び前記第1のケースと前記出力軸の軸方向に接合されることによって前記第1のケースとの間に前記モータ及び前記減速機構が収容される収容部を形成する第2のケースを含んで構成されたケース本体と、
前記第1のケースの外側に配置されかつ前記モータの回転状況を検出するセンサを有すると共に、前記出力軸の軸方向に沿ってかつ前記第2のケースの方向に向けて延出するように形成された脚部を有し、前記脚部が前記第1のケース又は前記第2のケースに係止された状態で、前記センサが前記ケース本体に固定されカバーと、
を備えたパワーシート用アクチュエータ。
【請求項2】
前記ケース本体には、前記モータに給電するための給電コネクタが設けられていると共に、前記カバーには、前記センサの信号を取り出すためのセンサコネクタが設けられ、かつ前記給電コネクタと前記センサコネクタとが略同一方向に向けて開放するように配置されている請求項1記載のパワーシート用アクチュエータ。
【請求項3】
前記第2のケースが前記出力軸の軸方向一端側が開放された箱状とされ
前記脚部の先端部には、前記第1のケースにおける前記第2のケース側の端部に係止される突起部が設けられ、かつ前記第2のケースにおける前記第1のケース側の端部には、前記第1のケースの端部に係止された前記突起部を避ける逃げ部が設けられている請求項1又は請求項2記載のパワーシート用アクチュエータ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のパワーシート用アクチュエータの製造方法に適用され、
前記カバーを前記脚部の延出方向に移動することによって、前記脚部を前記第1のケース又は前記第2のケースに係止させて、前記センサを前記ケース本体に固定するセンサ固定工程を有するパワーシート用アクチュエータの製造方法。
【請求項5】
請求項3に記載のパワーシート用アクチュエータの製造方法に適用され、
前記カバーを前記脚部の延出方向に移動することによって、前記突起部を前記第1のケースに係止させて、前記センサを前記ケース本体に固定するセンサ固定工程を有するパワーシート用アクチュエータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーシート用アクチュエータ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、モータ及びリダクションギヤがケースの内部に設けられたアクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−303453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パワーシート用アクチュエータには、パワーシートの移動量や移動速度を制御するためにモータの回転の状況(回転角度や回転速度)を検出するためのセンサが設けられていることが好ましい。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたアクチュエータでは、該アクチュエータの小型化を図るために、ケースの内部空間が狭く設定されている。そのため、モータの回転の状況を検出するためのセンサをケースの内部に設けることが難しい。
【0006】
一方、ケースの外側にセンサを設けた場合、該センサをケースに取付けると共に、ケースに取付けられたセンサを別部品のカバーで覆うことが必要となる。その結果、部品点数及び組立て工数が増加する。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、部品点数及び組立て工数を削減することができるパワーシート用アクチュエータ及びその製造方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明に係るパワーシート用アクチュエータは、通電されることによって回転するモータと、前記モータの回転を所定の減速比で減速して出力軸に伝達する減速機構と、箱状に形成された第1のケース及び前記第1のケースと前記出力軸の軸方向に接合されることによって前記第1のケースとの間に前記モータ及び前記減速機構が収容される収容部を形成する第2のケースを含んで構成されたケース本体と、前記第1のケースの外側に配置されかつ前記モータの回転状況を検出するセンサを有すると共に、前記出力軸の軸方向に沿ってかつ前記第2のケースの方向に向けて延出するように形成された脚部を有し、前記脚部が前記第1のケース又は前記第2のケースに係止された状態で、前記センサが前記ケース本体に固定されカバーと、を備えている。
【0009】
請求項1記載の本発明では、第1のケースと第2のケースとが出力軸の軸方向に接合されることによって、第1のケースと第2のケースとの間にモータ及び減速機構が収容される収容部が形成されている。モータ及び減速機構が収容部に収容された状態においてモータに通電されると、このモータの回転が減速機構によって減速されて出力軸から出力される。また、モータの回転状況を検出するためのセンサを有するカバーには、出力軸の軸方向に沿ってかつ第2のケースの方向に向けて延びる脚部が設けられている。さらに、このカバーが脚部の延出方向(出力軸の軸方向)に移動されることによって、該カバーに設けられた脚部が第1のケース又は第2のケースに係止される。その結果、センサがケース本体に取付けられる。換言すると、本発明では、上記の単一の操作によってセンサを有するカバーがケース本体に取付けられる。そのため、別体に構成されたセンサ及びカバーをそれぞれケース本体に取付けた場合と比べて、パワーシート用アクチュエータを組み立てる際の作業効率が向上する。また、本実施形態では、第1のケースと第2のケースとの接合方向と、センサを備えたカバーの取付方向とが同一方向に設定されているため、パワーシート用アクチュエータを組み立てる際の作業効率がより一層向上する。すなわち、本発明では、パワーシート用アクチュエータの組立て工数を削減することができる。また、本発明では、カバーとセンサが一体に設けられているため、センサとカバーとを別体に構成した場合と比較して部品点数を削減することができる。
【0010】
請求項2記載の本発明に係るパワーシート用アクチュエータは、請求項1記載のパワーシート用アクチュエータにおいて、前記ケース本体には、前記モータに給電するための給電コネクタが設けられていると共に、前記カバーには、前記センサの信号を取り出すためのセンサコネクタが設けられ、かつ前記給電コネクタと前記センサコネクタとが略同一方向に向けて開放するように配置されている。
【0011】
請求項2記載の本発明では、給電コネクタとセンサコネクタとが略同一方向に向けて開放するように配置されている。そのため、センサコネクタ及び給電コネクタへの配線の差込を略同一方向から行なうことができる。すなわち、本発明では、センサコネクタ及び給電コネクタへの配線作業の作業性を向上させることができる。
【0012】
請求項3記載の本発明に係るパワーシート用アクチュエータは、請求項1又は請求項2記載のパワーシート用アクチュエータにおいて、前記第2のケースが前記出力軸の軸方向一端側が開放された箱状とされ、前記脚部の先端部には、前記第1のケースにおける前記第2のケース側の端部に係止される突起部が設けられ、かつ前記第2のケースにおける前記第1のケース側の端部には、前記第1のケースの端部に係止された前記突起部を避ける逃げ部が設けられている。
【0013】
請求項3記載の本発明では、第1のケースにおける第2のケース側の端部に係止される突起部がカバーの脚部の先端部に形成されていると共に、この突起部を避ける逃げ部が第2のケースにおける第1のケース側の端部に形成されている。また、本発明では、第2のケースを形成する金型の抜き方向が出力軸の軸方向と一致しているため、別途スライド型等を設けることなく上記の逃げ部を形成することができる。すなわち、本発明では、金型の構成をシンプルな構成にすることができる。
請求項4記載のパワーシート用アクチュエータの製造方法は、請求項1又は請求項2に記載のパワーシート用アクチュエータの製造方法に適用され、前記カバーを前記脚部の延出方向に移動することによって、前記脚部を前記第1のケース又は前記第2のケースに係止させて、前記センサを前記ケース本体に固定するセンサ固定工程を有する。
請求項5記載のパワーシート用アクチュエータの製造方法は、請求項3に記載のパワーシート用アクチュエータの製造方法に適用され、前記カバーを前記脚部の延出方向に移動することによって、前記突起部を前記第1のケースに係止させて、前記センサを前記ケース本体に固定するセンサ固定工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は本実施形態のパワーシート用アクチュエータを第2のケース及び出力軸側から見た正面図であり、(B)はパワーシート用アクチュエータを第1のケース側から見た背面図であり、(C)及び(D)はそれぞれパワーシート用アクチュエータを側方から見た側面図であり、(E)はパワーシート用アクチュエータを給電コネクタ及びセンサコネクタが開放された方向と反対方向から見た平面図であり、(F)はパワーシート用アクチュエータを給電コネクタ及びセンサコネクタが開放された方向から見た底面図である。
図2図1(D)に示された2−2線に沿って切断した断面における第1のケースと第2のケースとの接合部を拡大して示す拡大断面図である。
図3】(A)はカバーをセンサコネクタが開放された方向から見た正面図であり、(B)はカバーをセンサコネクタ側から見た平面図であり、(C)はカバーをセンサ側から見た底面図であり、(D)はカバーを脚部側から見た側面図である。
図4図1(B)に示された4−4線に沿って切断した断面を拡大して示す拡大断面図である。
図5】(A)はパワーシート用アクチュエータが取付けられたシートクッションフレームをシート側方から見た側面図であり、(B)は(A)に示されたパワーシート用アクチュエータをシート斜め後方側から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図5を用いて本実施形態のパワーシート用アクチュエータについて説明する。
【0016】
図5(A)に示されるように、本実施形態のパワーシート用アクチュエータ10は、車両用シートのシートクッションフレーム12に取付けられている。このパワーシート用アクチュエータ10が作動することによって車両用シートのシートクッションを上下方向に作動等させることが可能となっている。
【0017】
また、図1(A)〜(F)に示されるように、パワーシート用アクチュエータ10は、内部にモータ14及び減速機構16等が収容されたケース本体18を備えている。また、このケース本体18は、第1のケース20と第2のケース22とを含んで構成された分割構造とされている。さらに、ケース本体18には、モータ14の回転状況(回転数や回転角度等)を検出するためのセンサ24を備えたカバー26が取付けられている。以下、先ずモータ14及び減速機構16について説明し、次いでケース本体18を構成する第1のケース20及び第2のケース22について説明し、最後にセンサ24を備えたカバー26について説明する。
【0018】
(モータ14)
モータ14は、ケース本体18の長手方向と略同一方向を軸方向として配置されていると共に、本実施形態ではDCモータが用いられている。また、図4に示されるように、モータ14の軸28にはマグネットセンサ30が固定されている。また、このマグネットセンサ30は、ボンドマグネット等によって形成されていると共に、モータ14の軸28の周方向に沿ってS極とN極とが交互に配置されている。
【0019】
(減速機構16)
図1(A)〜(F)に示されるように、減速機構16は、ケース本体18の内部に設けられたウォームギヤ及びウォームホイール等を用いて構成されている。また、モータ14の軸28(図4参照)の回転がウォームギヤ及びウォームホイール等を介して出力軸32に伝達されることによって、モータ14の軸28の回転が所定の減速比で減速されて出力軸32から出力される。また、出力軸32は後述する第2のケース22の底壁部52から突出していると共に、この出力軸32には平歯車34が一体に形成されている。この平歯車34がシートバーチカル機構等を構成するギヤに嵌合することによって、出力軸32の回転がシートバーチカル機構等に伝達される構成である。
【0020】
(第1のケース20)
第1のケース20は、樹脂材料を用いて形成されていると共に、金型を用いて形成された射出成形品である。また、第1のケース20は、出力軸32が突出する方向(矢印A方向)に向けて開放された略矩形箱状に形成されている。
【0021】
具体的には、第1のケース20は、出力軸32の軸方向と直交する方向に延びる矩形板状の底壁部36を備えている。図4に示されるように、この底壁部36には、後述するカバー26に設けられたセンサ24が収容される収容凹部38が形成され形成されている。
【0022】
また、図1(A)〜(F)に示されるように、第1のケース20は、底壁部36の長手方向の両端部からそれぞれ出力軸32が突出する方向(矢印A方向)に向けて屈曲して延びる側壁部40,42を備えている。図1(B)及び(D)に示されるように、側壁部42には、ケース本体18の長手方向の一方側(矢印L方向)に向けて延出するように形成された板状の第1コネクタ構成部44が設けられている。また、図1(F)に示されるように、この第1コネクタ構成部44を延出方向の先端側から見ると、出力軸32が突出する方向(矢印A方向)に向けて開放された略U字状に形成されている。
【0023】
さらに、図1(A)〜(F)に示されるように、第1のケース20は、底壁部36の短手方向の両端部からそれぞれ出力軸32が突出する方向(矢印A方向)に向けて屈曲して延びる側壁部46,48を備えている。以上説明した、側壁部40,42,46,48の延出方向の先端部(矢印A側の端部)は、出力軸32の軸方向と直交する方向に平滑な面とされていると共に、後述する第2のケース22との接合面68(図2参照)とされている。また、図2に示されるように、側壁部46,48の接合面50には、後述するカバー26の脚部78に設けられた突起部80が係止されている。
【0024】
また、第1のケース20を形成するための金型の抜き方向は出力軸32の軸方向と一致している。
【0025】
(第2のケース22)
図1(A)〜(F)に示されるように、第2のケース22は、上記第1のケース20と同様に、樹脂材料を用いて形成されていると共に、金型を用いて形成された射出成形品である。また、第2のケース22は、出力軸32が突出する方向と反対方向(矢印Aと反対方向)に向けて開放された略矩形箱状に形成されている。
【0026】
具体的には、第2のケース22は、出力軸32の軸方向と直交する方向に延びると共に、第1のケース20の底壁部36と略平行に配置された矩形板状の底壁部52を備えている。図1(A)に示されるように、この底壁部52には、出力軸32が挿通される円形の挿通孔54が形成されている。
【0027】
また、図1(A)〜(F)に示されるように、第2のケース22は、底壁部52の長手方向の両端部からそれぞれ出力軸32が突出する方向と反対方向(矢印Aと反対方向)に向けて屈曲して延びる側壁部56,58を備えている。図1(A)及び(D)に示されるように、側壁部58には、第1のケース20に設けられた第1コネクタ構成部44と同方向に延出するように形成された第2コネクタ構成部60が設けられている。また、図1(F)に示されるように、この第2コネクタ構成部60を延出方向の先端側から見ると、出力軸32が突出する方向と反対方向(矢印Aと反対方向)に向けて開放された略U字状に形成されていると共に、第1コネクタ構成部44と出力軸32の軸方向に接合されている。その結果、ケース本体18の長手方向の一方側(矢印L方向)に向けて開放された給電コネクタ62が構成されている。なお、この給電コネクタ62内に設けられた端子はモータ14に接続されている。
【0028】
さらに、図1(A)〜(F)に示されるように、第2のケース22は、底壁部52の短手方向の両端部からそれぞれ出力軸32が突出する方向と反対方向(矢印Aと反対方向)に向けて屈曲して延びる側壁部64,66を備えている。以上説明した、側壁部56,58,64,66の延出方向の先端部(矢印Aと反対方向の端部)は、出力軸32の軸方向と直交する方向に平滑な面とされていると共に、図2に示されるように、第1のケース20の接合面50と接合される接合面68(図2参照)とされている。また、側壁部64,66の先端には、第1のケース20の接合面50に係止された突起部80を避けるように形成された逃げ部としての切欠部70が形成されている。
【0029】
また、第2のケース22を形成するための金型の抜き方向は、上記第1のケース20と同様に、出力軸32の軸方向と一致している。
【0030】
以上説明した第1のケース20と第2のケース22とが接合面50,68を介して接合されることによってケース本体18が構成されていると共に、ケース本体18の内部には、モータ14及び減速機構が収容される収容部が形成されている。
【0031】
(カバー26)
図3(A)に示されるように、カバー26はモータ14(図4参照)の回転状況(回転数や回転角度等)を検出するためのセンサ24と一体に構成されていると共に、正面視で(図3(A)に示された方向から見て)略逆U字状に形成されている。具体的には、カバー26は第1のケース20の底壁部36(図1参照)の短手方向に沿って延びる基壁部72を備えている。また、基壁部72には、第1のケース20の底壁部36に設けられた収容凹部38(図4参照)の深さ方向に突出するように形成された固定部74が設けられている。さらに、図3(C)に示されるように、固定部74の先端には、後述するセンサ24の基板84が熱かしめによって固定されている(熱かしめされた部分が符号Hで示されている)。
【0032】
また、図3(B)及び(D)に示されるように、基壁部72には、カバー26がケース本体18に取付けられた状態(図1参照)において、ケース本体18の長手方向の一方側(矢印L方向)に向けて開放されたセンサコネクタ76が設けられている。なお、このセンサコネクタ76内に設けられた端子は後述するセンサ24の基板84に接続されている。
【0033】
また、図1(C)、図1(D)及び図3(A)に示されるように、カバー26は、基壁部72の長手方向の両端部からそれぞれ第1のケース20の側壁部46,48及び第2のケース22の側壁部64,66に沿って、かつ出力軸32が突出する方向(矢印A方向)に向けて延びる脚部78を備えている。また、図3(A)〜(C)に示されるように、脚部78の先端部には、第1のケース20の側壁部46,48及び第2のケース22の側壁部64,66側に向けて突出すると共に、出力軸32の軸方向と直交する方向に向けて長尺状に形成された突起部80が設けられている。さらに、図1(A)〜(F)に示されるように、第1のケース20の側壁部46,48に沿ってかつ脚部78が突出する方向にカバー26を移動させると、図2に示されるように、脚部78に設けられた突起部80が、第1のケース20の接合面50に係止される。その結果、カバー26(及びセンサ24)がケース本体18に取付けられる(固定される)構成である。
【0034】
また、図3(C)及び図4に示されるように、センサ24は、磁気センサであるホール素子及びこのホール素子から出力された信号をデジタル信号に変換するICを備えたホールIC82と、このホールIC82が取付けられた基板84と、を含んで構成されている。図4に示されるように、ホールIC82がマグネットセンサ30と近接した位置に配置されることによって、モータ14の軸28の回転状況(回転数や回転角度)に応じた信号をセンサコネクタ76に設けられた端子から取り出すことが可能となっている。
【0035】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0036】
図1(A)〜(F)に示されるように、本実施形態のパワーシート用アクチュエータ10は、第1のケース20と第2のケース22とが出力軸32の軸方向に接合されることによってパワーシート用アクチュエータ10の外郭であるケース本体18が構成される。また、第1のケース20と第2のケース22との間(ケース本体18の内部)には、モータ14及び減速機構16が収容される収容部が形成されている。
【0037】
また、本実施形態では、モータ14の回転状況を検出するためのセンサ24を有するカバー26には上記構成の脚部78が設けられていると共に、このカバー26を脚部78が突出する方向(出力軸32の軸方向)に移動させることによってカバー26(及びセンサ24)がケース本体18に取付けられる(固定される)。すなわち、本実施形態では、この単一の操作によってカバー26(及びセンサ24)をケース本体18に取付ることができる。そのため、別体に構成されたセンサ及びカバーをそれぞれケース本体18に取付けた場合と比べて、パワーシート用アクチュエータ10を組み立てる際の作業効率が向上する。
【0038】
また、本実施形態では、第1のケース20と第2のケース22との接合方向と、センサ24を備えたカバー26の取付方向とが同一方向に設定されているため、パワーシート用アクチュエータ10を組み立てる際の作業効率がより一層向上する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、パワーシート用アクチュエータ10の組立て工数を削減することができる。
【0040】
また、本実施形態では、センサ24とカバー26とが一体に形成されているため、センサ24とこのセンサ24を覆うカバーとを別体に構成した場合と比較して部品点数を削減することができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、給電コネクタ62とセンサコネクタ76とが略同一方向に向けて開放するように配置されている。そのため、図5(B)に示されるように、センサコネクタ76及び給電コネクタ62への配線の差込を略同一方向から行なうことができる(矢印B方向から行なうことができる)。すなわち、本実施形態では、センサコネクタ76及び給電コネクタ62への配線作業の作業性を向上させることができる。
【0042】
また、図2に示されるように、本実施形態では、第1のケース20の接合面50に係止される突起部80がカバー26の脚部78の先端部に形成されていると共に、この突起部80を避ける切欠部70が第2のケース22の側壁部64,66の先端に形成されている。また、本実施形態では、第2のケース22を形成する金型の抜き方向が、第2のケース22の接合面68と直交する方向(出力軸32の軸方向)と一致しているため、別途スライド型等を設けることなく上記の切欠部70を形成することができる。すなわち、本実施形態では、金型の構成をシンプルな構成にすることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、カバー26の脚部78に設けられた突起部80が、第1のケース20の接合面50に係止されることによってカバー26(及びセンサ24)がケース本体18に取付けられた例について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カバー26の脚部78に設けられた突起部80が係止される溝部を第2のケース22の側壁部64,66に設けることによって、カバー26(及びセンサ24)をケース本体18に取付けた構成としてもよい。
【0044】
さらに、本実施形態では、給電コネクタ62とセンサコネクタ76とが略同一方向に向けて開放するように配置された構成について説明してきた。しかしながら、両コネクタの開放方向が完全に一致していなければならないというものではなく、配線作業の作業性が損なわれない範囲においてずれていても良い。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
10…パワーシート用アクチュエータ,14…モータ,16…減速機構,18…ケース本体,20…第1のケース,22…第2のケース,24…センサ,26…カバー,28…軸,32…出力軸,62…給電コネクタ,70…切欠部(逃げ部),76…センサコネクタ,78…脚部,80…突起部
図1
図2
図3
図4
図5