特許第5940384号(P5940384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940384
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ピッキング装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
   B25J15/06 Z
【請求項の数】15
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-134391(P2012-134391)
(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-255971(P2013-255971A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2014年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 毅
(72)【発明者】
【氏名】古賀 直幸
(72)【発明者】
【氏名】渡 研司
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−205584(JP,A)
【文献】 特開平01−264791(JP,A)
【文献】 特開2002−239965(JP,A)
【文献】 実開昭53−021268(JP,U)
【文献】 特開平08−318488(JP,A)
【文献】 実開昭63−054610(JP,U)
【文献】 特公昭47−036546(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J1/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引圧力を付与する吸引管路と、
前記吸引管路からの吸引圧力によって、搬送対象物を吸着する吸着具と、
前記吸着具の一方の側面に設けられる第1支持部材および他方の側面に設けられる第2支持部材を備え、
前記第1支持部材および前記第2支持部材のそれぞれは、相互に対向すると共に、前記搬送対象物に接触可能な接触面を有し、前記接触面は、前記搬送物の搬送方向に交差し、
前記吸着具は、前記吸引管路からの吸引圧力によって、前記搬送対象物と対向して、前記搬送対象物を吸着する吸着面と、
前記吸着面の前記搬送対象物側に突出して設けられる接触部と、を備え、
前記接触部は、前記吸引管路からの吸引圧力の付与方向において、前記吸着面の一部の領域である重複領域において重なり、
前記重複領域の少なくとも一部は、前記吸引圧力の付与方向と略垂直方向に凹状である空隙を有し、
前記空隙は、その体積を可変である、ピッキング装置。
【請求項2】
前記第1支持部材および前記第2支持部材のそれぞれは、前記接触面同士の対向距離を変更可能に可動する、請求項1記載のピッキング装置。
【請求項3】
前記第1支持部材および前記第2支持部材のそれぞれは、前記搬送対象物の搬送方向の幅に対応して可動する、請求項2記載のピッキング装置。
【請求項4】
前記接触面は、平坦な表面を有する、請求項1から3のいずれか記載のピッキング装置。
【請求項5】
前記接触面は、前記搬送方向の変化に合わせて、対向方向を変化させる、請求項1から4のいずれか記載のピッキング装置。
【請求項6】
前記接触面は、前記搬送方向に略垂直である、請求項1から5のいずれか記載のピッキング装置。
【請求項7】
前記第1支持部材および前記第2支持部材のそれぞれは、前記吸着具が吸着した搬送対象物の搬送方向に沿う可動域を低減もしくは消失させる、請求項1から6のいずれか記載のピッキング装置。
【請求項8】
前記吸着面は、略円形もしくは略楕円形であり、
前記接触部は、前記吸着面に設けられるリング状を有し、
前記吸着面は、格子状の開口部を有し、
前記接触部は、前記搬送対象物に対して、前記吸着面より突出し、
前記接触部は、リング状に沿った凹部を、前記吸着面と前記接触部との間に形成する、請求項1記載のピッキング装置。
【請求項9】
前記空隙は、前記吸着面および前記接触部で吸着している前記搬送対象物の変形部分を収容する、請求項8記載のピッキング装置。
【請求項10】
前記吸着具、前記第1支持部材および前記第2支持部材のそれぞれを上下させると共に、前記接触面同士の対向距離を変化させる駆動部と、
前記吸引管路に吸引圧力を付与する吸引装置と、を更に備え、
前記駆動部および前記吸引装置は、
(1)前記吸着具を設置されている前記搬送対象物に下降させるステップ1、
(2)前記吸着具が前記搬送対象物を吸着するステップ2、
(3)前記吸着具が上昇するステップ3、
(4)前記第1支持部材および前記第2支持部材が前記搬送対象物に、前記接触面を接触させるステップ4、
(5)前記搬送対象物を、所定の搬送位置に搬送するステップ5、
の少なくとも一つを、実行する、請求項1から9のいずれか記載のピッキング装置。
【請求項11】
前記駆動部および前記吸引装置は、
(6)前記第1支持部材および前記第2支持部材の、前記搬送対象物への接触を開放するステップ6、
(7)前記搬送位置に到達した後で、前記吸着具を下降させるステップ7、
(8)前記吸引管路への吸引圧力を開放するステップ8、
の少なくとも一つを実行する、請求項10記載のピッキング装置。
【請求項12】
前記ステップ1の場合には、前記吸着具の前記接触部は、前記第1支持部材および前記第2支持部材の先端よりも、前記搬送対象物に近く、
前記ステップ4の場合には、前記第1支持部材および前記第2支持部材の先端は、前記吸着具の前記接触部よりも、所定距離以上において前記搬送対象物に近い、請求項10又は11記載のピッキング装置。
【請求項13】
前記所定距離は、前記搬送対象物の厚みの半分以上である、請求項12記載のピッキング装置。
【請求項14】
前記搬送対象物は、内容物を袋に収容する袋物である、請求項1から13のいずれか記載のピッキング装置。
【請求項15】
吸引圧力を付与する吸引管路と、
前記吸引管路からの吸引圧力によって、搬送対象物を吸着する吸着具と、
前記吸着具の一方の側面に設けられる第1支持部材および他方の側面に設けられる第2支持部材を備え、
前記吸着具を設置されている前記搬送対象物に下降させる第1下降ステップ、
前記吸着具が前記搬送対象物を吸着する吸着ステップ
前記吸着具が上昇する上昇ステップ、
前記第1支持部材および前記第2支持部材を、前記搬送対象物に接触させる接触ステップ、
前記搬送対象物を、所定の搬送位置に搬送する搬送ステップ、
前記搬送位置に到達した後で、前記吸着具を下降させる第2下降ステップ、
前記第1支持部材および前記第2支持部材の、前記搬送対象物への接触を開放する開放ステップと、
前記吸引管路への吸引圧力を開放する圧力開放ステップ、とを備え、
前記吸着具は、前記吸引管路からの吸引圧力によって、前記搬送対象物と対向して、前記搬送対象物を吸着する吸着面と、
前記吸着面の前記搬送対象物側に突出して設けられる接触部と、を備え、
前記接触部は、前記吸引管路からの吸引圧力の付与方向において、前記吸着面の一部の領域である重複領域において重なり、
前記重複領域の少なくとも一部は、前記吸引圧力の付与方向と略垂直方向に凹状である空隙を有し、
前記空隙は、その体積を可変である、袋物を搬送するピッキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場や配送センターなどにおける製品や商品の箱詰めや分類において、製品や商品をピッキングする際に、搬送対象となる製品や商品を吸着して搬送するピッキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な事業分野、商品分野においては、それぞれに対応した工場において、種々の製品や商品が製造される。半完成状態の製品や商品は、製造工程における次の工程に搬送される必要がある。完成状態の製品や商品は、最終的にダンボールや専用のケースに詰められて出荷される。このため、工場や配送センターは、製造ライン以外に、製品や商品の分類や詰め込みを行って製品や商品を移動させる搬送ラインを必要とする。搬送ラインは、半完成の製品や商品を次の工程に移動させたり、完成した製品や商品を出荷状態に移動させたりする。
【0003】
搬送ラインが、製品や商品を次の工程や出荷状態に移動させる際には、製品や商品の分類を行ったり、所定数の製品や商品を段ボール箱やケースに詰め込んだりする必要がある。このため、搬送ラインは、複数の製品や商品から、一つ一つの製品や商品をピッキングする必要を有している。
【0004】
ここで、製品や商品は、様々である。搬送ラインは、製品や商品の配送先、箱詰め個数、品種などのパラメータに基づいて、様々な製品や商品を効率的に分類する必要がある。一つのダンボール箱やケースには、異なる品種の製品や商品が詰め込まれる必要があることもあるからである。このような様々なパラメータに対応して、複数の製品や商品を正確に分類しつつ搬送するには、人的作業が適しているが、人件費や効率の問題がある。
【0005】
特に、人的作業で複数の製品や商品を正確に分類しつつ搬送する場合には、人的能力の限界から、単位時間当たりの搬送可能な商品数には限界がある。商品によっては、1名の人員で、1時間に1000個〜2000個程度の分類と搬送が限界といわれている。製造等でのコスト削減要求が厳しい業界においては、この搬送速度は不十分である。もちろん、人的作業によって分類や搬送を行うことでミスも生じうるし、作業疲労によって、搬送速度が低下する問題も考えられる。
【0006】
ここで、製品や商品の出荷のための搬送ラインの場合は、個々の製品や商品の分類、分類後の製品や商品の搬送、分類された製品や商品の箱詰め、箱の集積、パレットへの積載などの工程を含む。これらそれぞれの工程は、他の工程と独立しているが、搬送ラインの前半工程である製品や商品の分類においては、取り扱うべき製品や商品の個数が多い。これに対して、搬送ラインの後半工程である、製品や商品の箱詰めやパレットへの積載においては、取り扱うダンボール箱の個数は、前半工程で取り扱う製品や商品の個数より相対的に少なくなる。
【0007】
搬送ラインでの全ての工程を含む流れ作業を、自動化して効率よく進めるためには、前半工程で取り扱う製品や商品の個数に対応した、分類や搬送作業が必要となる。すなわち、個々の製品や商品を、高速かつ高精度にピッキングする必要がある。前半工程でのピッキング作業が遅かったり、作業エラーが生じたりすると、搬送ラインの後半工程での作業速度を遅くしたり作業を止めたりする必要が生じるからである。
【0008】
このように、製造工程の途中や、製造工程後の出荷前作業において必要となる搬送ラインでは、個々の製品や商品を、正確かつ高速にピッキングすることが求められる。個々の製品や商品が正確かつ高速にピッキングされることで、製造および出荷作業が高速化され、様々な製造現場や流通現場での生産性が向上する。
【0009】
ここで、搬送ラインにおいては、ピッキング装置が、ケースに入った製品や商品、コンベアを流れる製品や商品のそれぞれを、ピッキングする。例えば、ピッキング装置は、あるケースに入った複数の製品や商品の中から一つをピッキングして、次の工程に移動させる。あるいは、ピッキング装置は、コンベアを流れる複数の製品や商品の中から一つをピッキングして、ケースや箱に詰め込む。
【0010】
このように、ピッキング装置は、複数の製品や商品の中から、対象となる一つを選択して、確実かつ高速にピッキングする必要を有している。特に、ピッキング装置が掴む商品や製品は、形状、内容、外装物が様々であるので、掴みにくいことも多い。このため、ピッキング装置は、吸引圧力を用いる吸着具を用いて、製品や商品を吸着してピッキングすることが多い。製品や商品の外周に吸着具を押し当てて、吸着具に付与される吸引圧力によって、ピッキング装置は、製品や商品を取り出し可能とする。吸着具には、製品や商品を確実に吸着する能力が求められている。
【0011】
このようなピッキング装置やピッキング装置に用いられる吸着具の技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−16378号公報
【特許文献2】特開2000−296489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献1は、空気吸引孔1を有する吸着具本体2の下部に、硬質弾性材料製環状体3を固定し、その硬質弾性材料製環状体3よりも下方に突出する軟質弾性材料製環状体4を、硬質弾性材料製環状体3の外側において吸着具本体2に直接または間接的に固定する吊上搬送用真空吸着具を開示する。
【0014】
特許文献1は、硬質部材と軟質部材とをあわせた吸着部分によって、対象物を吸着する吸着具を開示する。このような吸着具によって、表面に凸凹がある対象物であっても、確実に吸着できることを目的としている。
【0015】
しかしながら、硬質部材と軟質部材とをあわせた吸着部分を有しているとしても、対象物が袋物である場合には、特許文献1に開示される吸着具は、袋物の対象物を確実に吸着できない問題を有している。菓子、パン、食品、袋入り部品などは、その外形は袋である。袋は、内部に空気や不活性ガスを収容しているので、外圧によって容易に変形する。
【0016】
このため、吸着具によって袋の表面が吸着される場合でも、袋表面にしわや折れ曲がりが生じてしまう。しわや折れ曲がりが、吸着具の吸着面から吸着具の外側にまで連通していると、吸着面の一部が、外気と連通してしまうことになる。吸着面の一部が、吸着対象物である袋物で覆われていない状態であると、吸引面積が減少したり、吸引方向に外気が入ったりして、吸着力が弱まる。吸着力が弱まった状態であると、何らかの要因で、吸着具は、吸着対象物を落下させてしまうこともある。吸着具が、吸着対象物を吸着した後で吸着対象物を装置の一部に衝突させたり、吸着対象物を移動させる勢いを与えたりすることで、吸着具は、吸着対象物を落下させてしまう。
【0017】
特許文献1に開示される吊上搬送用真空吸着具は、硬質部材と軟質部材との組み合わせによる吸着具に過ぎないので、吸着対象物が袋物である場合には、吸着面と外気を連通させるしわや折れ曲がりを生じさせることを防止できない。このため、特許文献1に開示される吊上搬送用真空吸着具は、一定形状を維持できる吸着対象物以外を、確実に吸着して吊上げることは困難である。
【0018】
特許文献2は、工作物を吸着するための真空グリッパー10は、負圧ポート14と弾性的な吸盤20と吸盤ホルダー12とを備え、吸盤20は工作物寄りの側に、吸引室26を画成するリップシール22を備え、吸引室26は負圧ポート14に流体接続されている。吸引室26はその中に突出するリブ36,38を備え、リブおよびまたはリップシール22は吸引室26寄りのその面30に、少なくとも1つの溝28を有する真空グリッパーを開示する。
【0019】
特許文献2に開示される真空グリッパーは、リブや溝によって、滑り止め機能を発揮し、対象物を吸着する際のすべりを防止する。
【0020】
しかしながら、一定形状を維持できる吸着対象物ではなく、袋物である場合には、リブや溝による滑り止めがあったとしても、特許文献1の場合と同様の問題を有する。すなわち、特許文献2に開示される真空グリッパーは、袋物を吸着する際に、表面にしわや折れ曲がりを生じさせて、吸着対象物を落下させてしまう可能性を有する。
【0021】
特許文献1、特許文献2のような従来技術は、袋物のように吸着時に容易に変形する吸着対象物を確実に吸着することが難しい問題を有していた。もし、吸着具が、吸着対象物を落下させてしまうと、搬送ラインを停止させる必要が生じ、製造工程や出荷工程での生産性を低下させる問題も生じてしまう。
【0022】
特許文献1、特許文献2に代表される従来技術は、内容物を収容した袋物の吸着が難しかった。このような袋物は、内容物によって全体の厚みが異なることがある。このため、吸着具の高さ(製品や商品が流れるラインからの高さ)が固定されると、袋物の内容物が割れたり袋そのものが破れたりする問題が生じる。特に内容物を外気から遮断された状態に保つために気密性を高めた袋物は、内容物が柔らかくても硬くても上述のように内容物が割れたり袋そのものが破れたりしやすい。
【0023】
加えて、特許文献1、特許文献2に代表される従来技術は、内容物を収容した袋物の吸着が難しいだけでなく、吸着した後で吸着対象物を搬送する際に、搬送方向に沿って加わる慣性力に基づいて吸着対象物を落下させてしまう問題もあった。
【0024】
吸着具は、空気吸引や真空吸引を用いて、吸着対象物を垂直方向に吸い上げて吸着する。このため、吸着具は、吸着対象物を垂直方向に吸着して固定することには能力を発揮しやすいが、平面方向での固定には能力を発揮しにくい。ピッキング装置は、ある場所に設置されている商品を吸着して別の場所に搬送させる。このため、ピッキング装置は、平面方向の移動ベクトルを必ず有するようになる。
【0025】
このような平面方向の移動において、吸着具は吸着対象物を落下させる問題を生じさせる点でも、従来技術の吸着具やこれを用いるピッキング装置は、次の点で不十分であった。
【0026】
なお、ここで用いる「ピッキング」とは、搬送対象物を拾い上げて、ある場所から他の場所へ搬送する動作を言う。
【0027】
(問題1)内容物を収容する袋物が搬送対象物である場合に、搬送対象物の高さ・厚みが統一されていない場合には、柔軟に対応して拾い上げることができない。
(問題2)搬送対象物を拾い上げる際に、搬送対象物に変形や破損を生じさせてしまう。
(問題3)拾い上げた搬送対象物を、平面方向などに搬送する場合に、搬送対象物を落下させてしまう。
【0028】
このような問題に鑑み、袋物のように外圧で容易に変形してしまう吸着対象物であっても、落としたり破損したりすること無く、確実に拾い上げて搬送できるピッキング装置を提供することを目的とする。特に、上記の問題3にある「拾い上げた後で搬送する際に、搬送対象物を落下させることの無い」ピッキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題に鑑み、本発明のピッキング装置は、吸引圧力を付与する吸引管路と、吸引管路からの吸引圧力によって、搬送対象物を吸着する吸着具と、吸着具の一方の側面に設けられる第1支持部材および他方の側面に設けられる第2支持部材を備え、第1支持部材および第2支持部材のそれぞれは、相互に対向すると共に、搬送対象物に接触可能な接触面を有し、接触面は、搬送物の搬送方向に交差し、吸着具は、吸引管路からの吸引圧力によって、搬送対象物と対向して、搬送対象物を吸着する吸着面と、吸着面の搬送対象物側に突出して設けられる接触部と、を備え、接触部は、吸引管路からの吸引圧力の付与方向において、吸着面の一部の領域である重複領域において重なり、重複領域の少なくとも一部は、吸引圧力の付与方向と略垂直方向に凹状である空隙を有し、空隙は、その体積を可変である
【発明の効果】
【0030】
本発明のピッキング装置は、搬送対象物を十分に吸着して拾い上げると共に、搬送方向においては支持部材によって搬送対象物の振動を低減して搬送中の落下を防止できる。
特に、搬送対象物を拾い上げる際に用いる吸着具やその他の部材の性能や機能への依存度を低くしつつ、本発明のピッキング装置は、搬送中の落下を防止できる。この結果、本発明のピッキング装置は、吸着やピッキングの困難な袋物であっても、確実に搬送できる。特に、高速に搬送できるようになるので、工場での製造コストを低減することにも繋がる。
【0031】
この確実な吸着の結果、吸着具がピッキング装置に用いられる際に、落下やピッキングミスが生じなくなり、製造工程や出荷工程での生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の搬送装置の全体斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の斜視図である。
図3】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図4】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図5】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図6】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図7】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図8】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図9】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図10】本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。
図11】本発明の実施の形態3における吸着具の斜視図である。
図12】本発明の実施の形態3における吸着具の正面図である。
図13】本発明の実施の形態3における吸着具の側面図である。
図14】本発明の実施の形態3における搬送対象物を吸着した吸着具の側面図である。
図15】本発明の実施の形態3における搬送対象物が吸着された吸着具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の第1の発明に係るピッキング装置は、吸引圧力を付与する吸引管路と、吸引管路からの吸引圧力によって、搬送対象物を吸着する吸着具と、吸着具の一方の側面に設けられる第1支持部材および他方の側面に設けられる第2支持部材を備え、第1支持部材および第2支持部材のそれぞれは、相互に対向すると共に、搬送対象物に接触可能な接触面を有し、接触面は、搬送物の搬送方向に交差し、吸着具は、吸引管路からの吸引圧力によって、搬送対象物と対向して、搬送対象物を吸着する吸着面と、吸着面の搬送対象物側に突出して設けられる接触部と、を備え、接触部は、吸引管路からの吸引圧力の付与方向において、吸着面の一部の領域である重複領域において重なり、重複領域の少なくとも一部は、吸引圧力の付与方向と略垂直方向に凹状である空隙を有し、空隙は、その体積を可変である
【0034】
この構成により、ピッキング装置は、垂直方向の吸着と、平面方向の支持との組み合わせによって、搬送対象物を落下させること無く搬送方向に搬送できる。この構成により、吸着具は、袋物である搬送対象物も確実に吸着できる。
【0035】
本発明の第2の発明に係るピッキング装置では、第1の発明に加えて、第1支持部材および第2支持部材のそれぞれは、接触面同士の対向距離を変更可能に可動する。
【0036】
この構成により、第1支持部材および第2支持部材は、様々な大きさを有する搬送対象物に対応できる。
【0037】
本発明の第3の発明に係るピッキング装置では、第2の発明に加えて、第1支持部材および第2支持部材のそれぞれは、搬送対象物の搬送方向の幅に対応して可動する。
【0038】
この構成により、第1支持部材および第2支持部材は、様々な大きさを有する搬送対象物に対応して、搬送対象物の側面を支えることができる。
【0039】
本発明の第4の発明に係るピッキング装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、接触面は、平坦な表面を有する。
【0040】
この構成により、第1支持部材および第2支持部材は、搬送対象物の支えを実現すると共に開放時に悪影響を生じさせない。
【0041】
本発明の第5の発明に係るピッキング装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、接触面は、搬送方向の変化に合わせて、対向方向を変化させる。
【0042】
この構成により、第1支持部材および第2支持部材は、搬送方向に加わる圧力によって、搬送対象物が落下するのを防止できる。
【0043】
本発明の第6の発明に係るピッキング装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、接触面は、搬送方向に略垂直である。
【0044】
この構成により、第1支持部材および第2支持部材は、搬送方向に加わる圧力に、確実に対応できる。
【0045】
本発明の第7の発明に係るピッキング装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、第1支持部材および第2支持部材のそれぞれは、吸着具が吸着した搬送対象物の搬送方向に沿う可動域を低減もしくは消失させる。
【0046】
この構成により、第1支持部材および第2支持部材は、搬送中の搬送対象物の動きを抑えて、落下を防止できる。
【0049】
本発明の第の発明に係るピッキング装置では、第の発明に加えて、吸着面は、略円形もしくは略楕円形であり、接触部は、吸着面に設けられるリング状を有し、吸着面は、格子状の開口部を有し、接触部は、搬送対象物に対して、吸着面より突出し、接触部は、リング状に沿った凹部を、吸着面と接触部との間に形成する。
【0050】
本発明の第の発明に係るピッキング装置では、第の発明に加えて、空隙は、吸着面および接触部で吸着している搬送対象物の変形部分を収容する。
【0051】
これらの構成により、吸着具は、確実に搬送対象物を吸着できる。
【0052】
本発明の第10の発明に係るピッキング装置では、第1から第のいずれかの発明に加えて、吸着具、第1支持部材および第2支持部材のそれぞれを上下させると共に、接触面同士の対向距離を変化させる駆動部と、
吸引管路に吸引圧力を付与する吸引装置と、を更に備え、駆動部および吸引装置は、
(1)吸着具を設置されている搬送対象物に下降させるステップ1、
(2)吸着具が搬送対象物を吸着するステップ2、
(3)吸着具が上昇するステップ3、
(4)第1支持部材および第2支持部材が搬送対象物に、接触面を接触させるステップ4、
(5)搬送対象物を、所定の搬送位置に搬送するステップ5、
の少なくとも一つを、実行する。
【0053】
吸引管路に吸引圧力を付与する吸引装置と、を更に備え、駆動部および吸引装置は、
(1)吸着具を設置されている搬送対象物に下降させるステップ1、
(2)吸着具が搬送対象物を吸着するステップ2、
(3)吸着具が上昇するステップ3、
(4)第1支持部材および第2支持部材が搬送対象物に、接触面を接触させるステップ4、
(5)搬送対象物を、所定の搬送位置に搬送するステップ5、
の少なくとも一つを、実行する。
【0054】
この構成により、ピッキング装置は、落下させること無く搬送対象物を、所定の搬送位置まで搬送できる。
【0055】
本発明の第11の発明に係るピッキング装置では、第10の発明に加えて、駆動部および吸引装置は、
(6)第1支持部材および第2支持部材の、搬送対象物への接触を開放するステップ6、
(7)搬送位置に到達した後で、吸着具を下降させるステップ7、
(8)吸引管路への吸引圧力を開放するステップ8、
の少なくとも一つを実行する。
【0056】
この構成により、ピッキング装置は、所定の搬送位置において、設置すべき設置位置に搬送対象物を設置できる。
【0057】
本発明の第12の発明に係るピッキング装置では、第10又は第11の発明に加えて、ステップ1の場合には、吸着具の接触部は、第1支持部材および第2支持部材の先端よりも、搬送対象物に近く、ステップ4の場合には、第1支持部材および第2支持部材の先端は、吸着具の接触部よりも、所定距離以上において搬送対象物に近い。
【0058】
この構成により、箱などに搬送対象物が入っている場合でも、ピッキング装置は、第1支持部材などの影響を受けずに吸着や移動をできる。
【0059】
本発明の第13の発明に係るピッキング装置では、第12の発明に加えて、所定距離は、搬送対象物の厚みの半分以上である。
【0060】
この構成により、第1支持部材および第2支持部材は、確実に搬送対象物の両側面を支えることができる。
【0061】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0062】
(実施の形態1)
【0063】
(ピッキング装置全体概要)
まず、実施の形態1におけるピッキング装置の全体概要を説明する。図1は、本発明の搬送装置の全体斜視図である。図1は、実施の形態1におけるピッキング装置1を含んで実際の製造ラインや箱詰めラインに設置される搬送装置全体を示している。
【0064】
ピッキング装置1は、搬送装置300の一部に用いられる。搬送装置300は、製造ラインや箱詰めラインにおいて、搬送対象物をある場所から別の場所に移動させる。図1では、製造ライン100における第1ライン101に設置された箱102に詰められている搬送対象物50が、第2ライン104に設置された箱103に搬送される。ピッキング装置1には、制御ロボット200が備わっている。制御ロボット200は、筐体210と、ピッキング装置1の姿勢を制御する姿勢制御部材201、202を備えている。また、図1には図示していないが、ピッキング装置1は、吸引装置に接続されている。
【0065】
このように、搬送装置300は、ピッキング装置1とこれを制御する制御ロボット200を備え、製造ライン100に備わる搬送対象物50を掴んで所定の位置に搬送する。ピッキング装置1が搬送装置300の一部として取り付けられて、ピッキング装置1の動作によって、箱102に入れられている搬送対象物50が、別の箱103に搬送される。ピッキング装置1は、搬送装置300として製造ラインや箱詰めラインに設置されて使用される。
【0066】
ここで、図1では、ピッキング装置1は、搬送対象物50を実際に掴んで搬送する部分を示しており、ピッキング装置1を含んだ全体を搬送装置300として示している。しかしながら、ピッキング装置1と搬送装置300とを、特段に区別する必要があるものではない。例えば、図1で搬送装置300として示されている制御ロボット200(筐体210なども)までを含めた構成を、ピッキング装置として把握しても良い。当然に、ピッキング装置1は、図1に示されるように、搬送対象物50と直接的に対峙する部分だけで把握されても良い。
【0067】
制御ロボット200は、図示していないが、別途接続される吸引装置からの吸引圧力を付与したり、姿勢制御部材201、202を用いてピッキング装置1の姿勢を制御したりすることで、ピッキング装置1の実動作を制御する。制御ロボット200による制御によって、ピッキング装置1が、搬送対象物50を掴んで搬送でき、製造ライン100に設置された搬送装置300は、その機能を発揮する。
【0068】
(ピッキング装置の概要)
ピッキング装置1は、上述のように、製造ライン100に設置される搬送装置300の一部として把握されても良いし、搬送装置300全体として把握されても良い。
【0069】
図2は、本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の斜視図である。図2のピッキング装置1は、図1中に示されたピッキング装置1を拡大したものである。ピッキング装置1は、吸引管路2、吸着具3、第1支持部材4、第2支持部材5を、備える。吸着具3は、吸引管路2に接続して設けられる。吸引管路2、第1支持部材4および第2支持部材5は、構造部材6に接続しており、構造部材6が、ピッキング装置1を、図1に示す制御ロボット200に接続する。構造部材6によって、個々の要素である吸引管路2、第1支持部材4、第2支持部材5がまとめられる。
【0070】
吸引管路2は、吸引装置(図示せず)と直接的もしくは間接的に接続されて、吸引圧力を吸着具3に付与する。吸引装置は、吸引圧力の付与と開放との動作を実行できるので、吸引管路2は、吸着具3に対して、吸引圧力の付与と吸引圧力の開放とを切り替えることができる。
【0071】
吸着具3は、吸引管路2に接続され、吸引管路2からの吸引圧力によって、搬送対象物50を吸着する。すなわち、吸着具3は、ある場所に置かれている搬送対象物50を、実際に吸着することで、掴みあげることができる。
【0072】
第1支持部材4は、吸着具3の一方の側面に設けられる。第2支持部材5は、第1支持部材4と逆側(すなわち他方)の側面に設けられる。このため、第1支持部材4と第2支持部材5は、間に吸着具3を挟んで配置される(間に吸着具3を挟んで相互に対向する)ようになる。これは図2に示されるとおりである。
【0073】
第1支持部材4は、搬送対象物50に接触可能な接触面41を有する。第1支持部材4は、この接触面41を搬送対象物50に接触させることで、搬送対象物50の姿勢を維持するよう添えを提供できる。同様に、第2支持部材5は、搬送対象物50に接触可能な接触面51を有する。第2支持部材5は、この接触面51を搬送対象物50に接触させることで、搬送対象物50の姿勢を維持できる添えを提供できる。
【0074】
ここで、第1支持部材4および第2支持部材5は、吸着具3を挟んで対向する。吸着具3が搬送対象物50を吸着するので、第1支持部材4と第2支持部材5は、搬送対象物50を挟んで対向することになる。このため、第1支持部材4の接触面41が、吸着具3に吸着されている搬送対象物50の一方の面に接触し、第2支持部材5の接触面51が、吸着具3に吸着されている搬送対象物50の他方の面に接触する。すなわち、搬送対象物50は、垂直方向においては、吸着具3による吸着を受け、平面方向においては、第1支持部材4および第2支持部材5の接触により姿勢維持の力を受ける。
【0075】
吸着具3は、搬送対象物50を吸着して垂直方向に吸い上げて、所定方向に移動させる。例えば、図1であれば、箱102で吸着された搬送対象物50は、垂直方向に吸い上げられる。更に、搬送対象物50は、箱102から箱103に向けて平面方向に移動される。この移動の際には、搬送対象物50は、平面方向の圧力(G)を受ける。吸着具3のみしかない従来技術のピッキング装置は、この平面方向の圧力によって、吸着して移動させている搬送対象物を落下させることがあった。しかしながら、実施の形態1におけるピッキング装置1は、搬送対象物50の側面に接触面41、51をあてがうことのできる第1支持部材4と第2支持部材5とを備えている。この結果、平面方向への移動の際に加わる圧力に対向でき、ピッキング装置1は、搬送対象物50を落下させずに済む。
【0076】
(動作手順)
次に、ピッキング装置1の動作手順について、図3図10を用いて説明する。図3図10は、本発明の実施の形態1におけるピッキング装置の動作手順の説明図である。図3図10のそれぞれは、ピッキング装置1の動作手順を、段階的かつ離散的に示したものである。すなわち、ピッキング装置1の動作が進む順序に対応して、図3図10は、それぞれのタイミングでのピッキング装置1の正面を示している。
【0077】
また、図示していないが、ピッキング装置1は、吸着具3、第1支持部材4および第2支持部材の位置、姿勢などを動作させて制御する駆動部を有している。駆動部は、構造部材6に含まれても良いし、図1の制御部200に含まれても良い。駆動部が、吸着具3などを下降、上昇させたり、第1支持部材4、第2支持部材5の対向距離を変えたりする。
【0078】
(ステップ1)
最初の段階では、ピッキング装置1は、搬送対象物50から吸着具3が離れている。吸着具3は、吸引管路2による吸引圧力の付与や開放に合わせて、構造部材6によって、上下可能である。最初の段階では、吸着具3は、上昇した状態であり搬送対象物50と接触していない。また、第1支持部材4および第2支持部材5も上昇した状態で搬送対象物50と接触していない。
【0079】
まず、ステップ1では、ピッキング装置1は、吸着具3を搬送対象物50に向けて下降させる。図3は、この下降開始状態を示している。ピッキング装置1は、図1に示されるように、ある製造ライン100に置かれた箱102に入っている搬送対象物50を吸着し、箱103に搬送する。ピッキング装置1は、制御ロボット200などに画像処理機能を持たせており、画像処理によって、搬送対象物50が吸着具3の下に位置していることを把握できる。言い換えれば、吸着具3が搬送対象物50の上に位置するように、制御ロボット200は、吸着具3の位置を調整する。
【0080】
吸着具3が、搬送対象物50の上に位置すると、構造部材6が、吸着具3を下降させる。搬送対象物50が、吸着具3の下に存在するので、吸着具3が下降することで、吸着具3が、搬送対象物50を吸着できる。
【0081】
なお、一般的に搬送対象物50は、箱102などに入れられているので、吸着具3が下降することをステップ1として説明した。しかしながら、搬送対象物50を収容している箱102が上昇可能であれば、吸着具3が下降するのではなく、搬送対象物50が吸着具3に上昇してくることでもよい。
【0082】
吸着具3が下降することで、吸着具3は、第1支持部材4および第2支持部材5の先端よりも、下側(搬送対象物50側)に、その先端(吸着具3において搬送対象物50と接触する接触部)を位置させるようになる。
【0083】
(ステップ2)
ステップ1によって、吸着具3の下降が進むと、吸着具3が搬送対象物50に接触する。接触すると、吸引管路2には、吸引圧力が付与されて、この吸引圧力は、吸着具3にも付与される。こうして、ステップ2にて、吸着具3が搬送対象物50を吸着する。図4は、このステップ2を示している。
【0084】
吸引管路2には、吸引装置が接続されており、吸引装置が、吸引管路2に吸引圧力を付与する。吸着具3は、吸引管路2と接続されており、この吸引圧力を付与される。吸着具3が、その先端を搬送対象物50に接触させた上で吸引圧力を付与することで、吸着具3は、搬送対象物50を吸引できる。
【0085】
ここで、搬送対象物50は、内容物を袋に収容する袋物である。たとえば、菓子、パン、惣菜製品、加工食品など、変形性がある内容物を収容している袋物である。このような袋物は、内容物も袋そのものも変形性を有しているので、吸着具3によって吸着されると、外形(特に袋)が、変形する。
【0086】
図4に示されるステップ2によって、ピッキング装置1は、吸着力によって搬送対象物50を、上方に移動できるようになる。なお、図4に示されるステップ2においては、吸着具3は、吸着している搬送対象物50に吸引圧力を付与し続ける。吸着を停止させないためである。
【0087】
吸着具3は、吸引管路2からの吸引圧力である吸引空気を搬送対象物50に付与する。吸着具3は、吸引空気を付与しつつ搬送対象物50を吸着する吸着面を備えており、この吸着面が、搬送対象物50を吸い上げて吸着できる。吸着面は、例えばメッシュ状となっており、搬送対象物50に吸引空気による吸引圧力を付与して吸着する。
【0088】
(ステップ3)
図5は、ステップ3を示す。ステップ3では、図5に示されるとおり、吸着具3が、吸着した搬送対象物50を上昇させる。ピッキング装置1は、箱102から箱103に搬送対象物50を搬送する場合がある。この場合には、ピッキング装置1は、搬送対象物50を、一端所定の高さに上昇させてから平面方向に移動させる必要がある。このため、ステップ3によって、ピッキング装置1は、吸着具3を上昇させることで、吸着されている搬送対象物50を上昇させる。構造部材6が、吸着具3や吸引管路2を上昇させることで、ピッキング装置1は、吸着されている搬送対象物50の上昇を実現する。
【0089】
吸着具3が上昇することで、搬送対象物50の両側面に、第1支持部材4と第2支持部材5とが、位置するようになる。このため、第1支持部材4の有する接触面41と第2支持部材5の有する接触面51とが、搬送対象物50の両側面に位置するようになる。
【0090】
(ステップ4)
次に、ステップ4によって、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、接触面41と接触面51とを、搬送対象物50の側面に接触させる。図6は、ステップ4を示している。搬送対象物50は、袋物であるが、袋物であっても、便宜上、側面が存在する。吸着具3を基準にして、第1支持部材4は、搬送対象物50の一方の側面に、接触面41を接触させる。一方、第2支持部材5は、第1支持部材4と逆側の側面に、接触面51を接触させる。
【0091】
ここで、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、搬送対象物50の搬送方向に沿って、接触面41、51を接触させる。言い換えれば、接触面41、51のそれぞれは、搬送方向に略垂直である。接触面41、51が、このように搬送対象物50に接触させられることで、平面方向での移動時に、搬送方向に加わる圧力に対応できる。
【0092】
なお、接触面41、51のそれぞれは、搬送対象物50の姿勢を維持できるように接触させられれば良く、非常に強い圧力で接触する必要は無い。搬送対象物50である袋物の袋や内容物を破壊しないためである。
【0093】
第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、両サイドから、搬送対象物50に近づくようにスライド動作することで、接触面41、51を、搬送対象物50に接触させる。このとき、第1支持部材4および第2支持部材5は、相互に連動してスライド動作しても良いし、それぞれが独立してスライド動作しても良い。例えば、第1支持部材4がより大きくスライド動作して、接触面41を搬送対象物50に接触させてもよいし、逆でも良い。
【0094】
いずれにしても、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、接触面41、51を、搬送対象物50の両側面に、あてがうように接触させる。
なお、このときには、第1支持部材4および第2支持部材5の先端は、吸着具3の先端よりも上方に位置する。
【0095】
(ステップ5)
ステップ4で、第1支持部材4および第2支持部材5が、接触面41、51を搬送対象物50に接触させた後で、ピッキング装置1は、所定の搬送方向に搬送対象物50を移動させる。これが、ステップ5であり、図7は、ステップ5を示している。図1の状態では、箱102から箱103に向けた平面方向に、ピッキング装置1は、搬送対象物50を移動させる。
【0096】
ピッキング装置1は、画像処理や座標処理を用いて、吸着している搬送対象物50を、所定位置まで移動させる。例えば、箱103のある位置まで、搬送対象物50を移動させる。このとき、搬送対象物50は、吸着具3による吸着のみでピッキング装置1に固定されているだけである。このため、通常であれば、平面方向への移動において、搬送対象物50に加わる圧力によって、ピッキング装置1は、搬送対象物50を落下させてしまう可能性もある。
【0097】
しかし、実施の形態1のピッキング装置1は、搬送対象物50の両側面であって、特に搬送方向に略垂直方向に接触面41、51を接触させている。このため、横方向に加わる圧力に対向できて、ピッキング装置1は、搬送対象物50を落下させにくい。また、第1支持部材4および第2支持部材5は、接触面41、51を、あてがう程度に接触させるだけであり、強い圧力で、搬送対象物50を把持するものではない。このため、ピッキング装置1は、搬送対象物50を、破損
させることが無い。
【0098】
従来技術は、搬送対象物を両側面から強く把持することで搬送することを模索していたが、この場合には、袋物である搬送対象物を破損してしまう。あるいは、吸着だけに着目して模索していたが、この場合には、吸着装置が大掛かりになったり、大掛かりでありながら平面方向での移動時に落下させることを防止できなかったりしていた。
【0099】
実施の形態1のピッキング装置1は、吸着具3による垂直方向の吸着と、平面方向での第1支持部材4と第2支持部材5による姿勢維持によって、搬送対象物50を落下させること無く、所定の搬送位置に搬送できる。すなわち、第1支持部材4および第2支持部材5(接触面41、51)は、吸着具3が吸着した搬送対象物の搬送方向における可動域を低減もしくは消失させる。この結果、第1支持部材4、第2支持部材5は、搬送中の搬送対象物50の姿勢や相対位置を維持できる。つまり、吸着具3を基準として、搬送対象物50が搬送中に動かない。この結果、ピッキング装置1は、搬送対象物50を落下させにくくなる。
【0100】
(ステップ6)
ステップ1〜ステップ5によって、ピッキング装置1は、搬送対象物50を、所定位置に搬送できる。ピッキング装置1は、所定位置に搬送された搬送対象物50を、設置してその処理を終了できる。
【0101】
図8は、ステップ6を示す。吸着具3は、搬送対象物50を搬送すべき所定の搬送位置の上空に位置している(すなわち、搬送対象物50も所定の搬送位置の上空に位置している)。ステップ6では、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、接触面41、51の接触を開放する。第1支持部材4および第2支持部材5は、搬送対象物50から接触面41、51を遠ざける方向にスライド動作する。この結果、ピッキング装置1は、吸着具3による吸着のみで、搬送対象物50を保持するようになる。
【0102】
(ステップ7)
次に、ステップ7にて、ピッキング装置1は、搬送対象物50を下降させる。図9は、ステップ7を示す。ステップ7では、ピッキング装置1は、吸着具3を下降させる。構造部材6や吸引管路2による制御で、吸着具3は下降する。
【0103】
吸着具3が下降するのに合わせて、搬送対象物50も下降する。搬送対象物50は、図1の場合には、箱103に詰められるので、上方から下ろされる必要がある。吸着具3の下降によって、搬送対象物50は、箱103内部に下ろされる。また、吸着具3の下降によって、吸着具3の先端(搬送対象物50と接触する接触部)が、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれの先端よりも、下方に位置するようになる。吸着具3の下降に従って、搬送対象物50は、次第に最終的に設置される位置に近づく。
【0104】
(ステップ8)
ピッキング装置1は、ステップ8にて、搬送対象物50を開放して設置すべき搬送位置に着座させる。図10は、ステップ8を示している。ステップ8では、吸引管路2は、吸着具3への吸引圧力を開放する(吸引圧力を低減もしくは無くす)。この結果、吸着具3は、搬送対象物50を吸着できなくなって、搬送対象物50は、吸着具3から自由になる。こうして、搬送対象物50が、配置箇所に設置される。
【0105】
ピッキング装置1は、このステップ6〜8によって、搬送対象物50を、最終的な設置すべき配置箇所に搬送できる。
【0106】
ピッキング装置1は、搬送対象物50毎にこのステップ1〜ステップ8を繰り返して、所定の搬送位置に、搬送対象物50を搬送できる。第1支持部材4と第2支持部材5による搬送方向に沿った補助が吸着具3に組み合わされることで、ピッキング装置1は、搬送対象物50を落下させることもなく搬送できる。
【0107】
これらが相まって、ピッキング装置1は、正確かつ高速に、搬送対象物50を搬送できる。特に、吸着や搬送がしにくい袋物を搬送対象物とする場合でも、正確かつ高速に搬送できる。
【0108】
以上のように、実施の形態1におけるピッキング装置1は、ステップ1〜ステップ8の機能を発揮して、正確かつ高速に搬送対象物50をピッキングして搬送できる。
【0109】
(実施の形態2)
【0110】
次に実施の形態2について説明する。実施の形態1のステップ1〜8で説明したように、ピッキング装置1は、第1支持部材4および第2支持部材5を搬送対象物50にあてがうことで、搬送対象物50を落下させること無く、搬送方向に沿って移動させることができる。このため、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれが所定の機能や特性を有していることが、ピッキング装置1の性能向上に好適である。実施の形態2では、これらについて説明する。
【0111】
第1支持部材4および第2支持部材5の有する接触面41、51のそれぞれは、搬送方向に略垂直であることが適当である。このように搬送方向に略垂直であることで、搬送対象物50に付与される搬送方向に沿った圧力に、第1支持部材4および第2支持部材5は対応できる。
【0112】
ここで、ピッキング装置1が搬送する搬送対象物50は、内容物を収容する袋物であることが多い。このような袋物は、様々な大きさを有する。例えば、菓子、パン、加工食品などを内容物とする袋物は、内容物によって様々な大きさとなる。
【0113】
第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、搬送対象物50の両側面に接触面41、51を接触させて支える。第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、搬送対象物50の大きさの違いに合わせて、接触面41、51同士の対向距離を変更可能に可動する。第1支持部材4および第2支持部材5は、構造部材6に接続している。この構造部材6が、第1支持部材4および第2支持部材5を動作させて、対向距離を縮めたり拡げたりする。
【0114】
ピッキング装置1は、搬送対象物50の位置や大きさを判別する画像処理機能を備えていたり、搬送対象物50の位置や大きさを事前に把握する座標解析機能を備えていたりする。これらには、汎用のデバイス等が用いられればよい。ピッキング装置1は、この画像処理機能や座標解析機能を用いて、搬送対象物50の大きさや形状を把握できる。
【0115】
この把握した大きさや形状に合わせて、構造部材6が、第1支持部材4と第2支持部材5とを動作させる。この動作によって、接触面41、51同士の距離が変更される。変更されることで、接触面41、51は、搬送対象物50の側面に接触したり、搬送対象物50の側面から離れたりする。特に、第1支持部材4および第2支持部材5は、搬送方向に略垂直に接触面41、51を接触させるので、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、搬送対象物50の搬送方向の幅に対応して可動する。
【0116】
あるいは、第1支持部材4および第2支持部材5は、接触を検出するセンサーを備えておき、接触面41、51が搬送対象物50に接触したことを検知して、動作を停止しても良い。
【0117】
ここで、接触面41、51は、平坦な表面を有することが好適である。第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれは、吸着具3が吸着して移動させる搬送対象物50の搬送方向での可動域を低減もしくは消失させるものである。このため、接触面41、51は、搬送対象物50の側面にあてがわれる程度が適当である。表面が凸凹しているよりは、表面が平坦であることのほうが、可動域を低減もしくは消失させることに適している。
【0118】
また、第1支持部材4および第2支持部材5は、ステップ6〜8におけるように、搬送対象物50を開放する必要もある。このような場合を考慮すると、接触面の表面は、凸凹などの摩擦係数の高い状態よりも、平坦であって摩擦係数の低い状態であることが好ましい。
【0119】
また、接触面41、51のそれぞれは、搬送方向の変化に合わせて対向方向を変化させることも好ましい。
【0120】
例えば、ある搬送対象物50の搬送方向が、図3の左右方向である場合には、接触面41、51は、左右方向を挟むように対向する。一方、搬送対象物50の搬送方向が、図3の奥行き方向となる場合には、接触面41、51は、前後方向を挟むように対向する。搬送途中で、搬送方向が変化する場合には、接触面41、51の対向方向もこれに合わせて変化する。例えば、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれが向きを変えることで、接触面41、51の対抗面が変化する。
【0121】
このように、接触面41、51の対向面が、搬送方向の変化に対応することで、ピッキング装置1は、搬送対象物50に搬送方向に加わる圧力に対して、常に対応できるようになる。結果として、ピッキング装置1は、搬送対象物50を、平面方向に移動させる際に、落下させることを防止できる。
【0122】
実施の形態1のピッキング装置1は、吸着具3による垂直方向の吸着・移動と、第1支持部材4および第2支持部材5による平面方向の圧力への対応による平面方向の移動とを、最適に組み合わせて、袋物のように落下しやすい搬送対象物50を、正確かつ高速に搬送できる。
【0123】
(位置関係)
また、第1支持部材4および第2支持部材5は、吸着具3との位置関係を変えながら、搬送対象物50の搬送を行うことが好適である。吸着具3は、搬送対象物50を吸着する。搬送対象物50は、図1のように箱102に入っていることも多く、吸着具3は、搬送対象物50に最初に接触する必要がある。一方で、第1支持部材4および第2支持部材5は、箱102の外壁などに接触することは好ましくない。
【0124】
このため、ピッキング装置1の処理手順(実施の形態1におけるステップ1〜8のそれぞれで)において、吸着具3と、第1支持部材4および第2支持部材5との位置関係(搬送対象物50に対する高さ)が、制御されることが好ましい。
【0125】
ステップ1の場合には、吸着具3が、下降を開始しつつ搬送対象物50に接触する。このため、ステップ1では、吸着具3の接触部(先端であって、搬送対象物50にもっとも近い部分)は、第1支持部材4および第2支持部材5の先端よりも搬送対象物50に近い。このように制御されることで、吸着具3は、箱102に入っている搬送対象物50を吸着できる上、第1支持部材4や第2支持部材5が箱102に衝突するなどの不具合も生じない。
【0126】
これに対して、ステップ4の場合には、第1支持部材4および第2支持部材5は、搬送対象物50に接触面41、51を接触させる。このため、第1支持部材4および第2支持部材5のそれぞれの先端は、吸着具3の先端よりも、所定距離以上において、搬送対象物50に近いことが好適である。すなわち、搬送対象物50に近い位置にあるのが、第1支持部材4および第2支持部材5となる。このように、第1支持部材4および第2支持部材5の先端が、吸着具3よりも搬送対象物50に近いことで、第1支持部材4および第2支持部材5は、吸着具3が吸着している搬送対象物50の側面を支えることができる。
【0127】
また、ここでの所定距離は、搬送対象物50の厚みの半分以上であることが好ましい。半分以上であれば、吸着具3に吸着されている搬送対象物50を、第1支持部材4および第2支持部材5は、安定的に支えることができるからである。
【0128】
なお、ステップ1、ステップ4を例として説明したが、要は吸着を行うタイミングでは、吸着具3が下方にあり、両側面での支持を行うタイミングでは、第1支持部材4と第2支持部材5が下方にあればよい。
【0129】
以上、実施の形態2のピッキング装置1は、第1支持部材4および第2支持部材5の位置や姿勢などが最適に制御されることで、より正確かつ高速に、搬送対象物50を搬送できる。
【0130】
(実施の形態3)
【0131】
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、ピッキング装置1が備える吸着具の変形例について説明する。
【0132】
ピッキング装置1は、吸着具3に、第1支持部材4と第2支持部材5が組み合わされることで構成される。吸着具3は、搬送対象物50を吸着して垂直方向に吸い上げる。第1支持部材4および第2支持部材5は、搬送対象物50の平面方向での圧力に対応する。ここで、搬送対象物50は袋物であることが多く、吸着具3が、袋物を確実に吸着できることが求められる。
【0133】
図11は、本発明の実施の形態3における吸着具の斜視図である。吸着具3が搬送対象物50を吸着する面を表に見せている。吸着具3は、吸引管路2に接続し、吸着面33と、接触部34とを備える。吸着具3は、吸着面33および接触部34を用いて、搬送対象物を吸着する。
【0134】
吸引管路2は、筒状の形状をしており、吸引管路2は、吸着面33を介して、搬送対象物に吸引圧力を付与する。吸引管路2は、例えば吸引空気を吸引管路2の延伸方向に沿って、搬送対象物に付与する。すなわち、吸引管路2は、吸着面33の面方向に交差する方向(特には略垂直方向)に、吸引圧力を付与する。吸着面33は、搬送対象物と対向して、吸引管路2からの吸引圧力によって、搬送対象物を吸着する。図11では、吸着面33は、メッシュ状となっており、メッシュ状の開口部を通じて空気を吸引することで、吸引圧力を搬送対象物に付与する。接触部34は、吸着面33において搬送対象物側に突出して設けられ、搬送対象物の一部と接触する。
【0135】
接触部34は、吸引管路2からの吸引圧力の付与方向において、吸着面33の一部の領域である重複領域で重複する。図12は、本発明の実施の形態3における吸着具の正面図である。図12は、吸着具3を吸着面33側から見た状態を示している。搬送対象物は、この吸着面33と接触部34とによって吸着されつつ固定される。図12において、接触部34は、吸着面33の一部と重なる。斜線で示された領域が、重複領域36である。要は、接触部34は、吸着面33の前方(搬送対象物側)で、吸着面33の一部と重なるようにして、吸着面33の一部を隠している。
【0136】
また、この重複領域36の少なくとも一部は、吸引管路2による吸引圧力の付与方向と略垂直方向に、凹状の空隙を有する。図13は、本発明の実施の形態3における吸着具の側面図である。図13は、吸着具3における吸着面33近辺を透視状態として示している。側面図からわかる通り、接触部34は、吸着面33の外周に沿うようにして設けられており、吸着面33の先端に突出している。また、接触部34は、吸着面33の前方に設けられるので、吸着面33の一部である重複領域36で重なっている。この重複領域36の少なくとも一部は、図13に示されるように空隙37を有している。空隙37は、接触部34から吸着面33に至る間に、凹状に凹むことで形成される。このとき、空隙37は、接触部34がえぐれるようにして形成される(すなわち、矢印Aで示される吸引圧力方向に略垂直方向に凹むようにして、空隙37が形成される)。
【0137】
従来技術の吸着具は、この接触部34を有していないか、接触部34を有していても、接触部34は吸着面33の外周に突出して設けられるだけで空隙37は設けられない。実施の形態3の吸着具3は、この接触部34や空隙37を有する。
【0138】
図11図13で示される吸着具3は、筒状の吸引管路2の先端が末広がりに広がっている形状を有している。この広がった先端にメッシュ状の吸着面33が設けられ、吸着面33の外周に沿って接触部34が突出している。また、接触部34と吸着面33の間に、接触部34の裏面に隠れるようにして空隙37が備わる。空隙37は、吸引圧力の付与方向に略垂直方向に凹むようにして設けられる。ここで示される吸着具3の形状は一例であり、同様の機能を果たすことができれば、他の形状を有してもよい。
【0139】
吸着具3は、以上のような構成を有する。袋物のように柔軟性および変形性のある搬送対象物を吸着する際に、吸着面33での吸着および空隙37での吸着(変形する搬送対象物の一部が、空隙37に食い込む)によって、吸着具3は、平面的だけでなく立体的に、搬送対象物を吸着できる。
【0140】
(吸着具による吸着の詳細)
次に、吸着具3による、搬送対象物の吸着を説明する。図14は、本発明の実施の形態3における搬送対象物を吸着した吸着具の側面図である。吸着具3は、その先端で搬送対象物50を吸着する。ここで、搬送対象物50は、内容物を収容した袋物である。まず、吸着具3は、その先端である吸着面33に搬送対象物50をあてがう。例えば、吸着具3が製造ラインや箱に置かれている搬送対象物50に対向して近づけられ、近づけられた後で吸着面33が搬送対象物50にあてがわれる。
【0141】
吸引管路2は、矢印Aに沿った吸引空気を付与することで、搬送対象物50に吸引圧力を付与できる。吸引空気は、吸着面33に付与されるので、メッシュ状の開口部から外部に対して空気の圧力が付与される。搬送対象物50は、最初に吸着面33に接触するので、このメッシュ状の開口部から吸い上げられる空気によって、搬送対象物50は、吸着面33に吸いつけられる。
【0142】
吸着面33と搬送対象物50との吸着面積が広がると、搬送対象物50である袋は変形を始める。袋が変形をすると、図15のように、袋の一部が空隙37に入り込むようになる。図15は、本発明の実施の形態3における搬送対象物が吸着された吸着具の側面図である。搬送対象物50の袋が変形をして、変形した袋の一部が空隙37に入り込んだ状態を示している。空隙37に袋の一部が変形して入り込むことで、搬送対象物50の外側の一部は、接触部34に接触するようになる。
【0143】
図15から明らかな通り、搬送対象物50は、吸着面33、空隙37、接触部34の順序で接触しつつ吸着されている。すなわち、搬送対象物50は、吸着面33において平面的に吸着されているだけでなく、空隙37および接触部34と合わせて立体的に吸着されている。吸着具3は、このように、袋物である搬送対象物50が、外側である袋の変形を利用して、搬送対象物50を立体的に吸着できる。
【0144】
空隙37は、変形した搬送対象物50の一部を収容することで、搬送対象物50にとっては、接触部34が引っ掛かりとなる。この結果、次の作用が生じる。
(作用1)搬送対象物50は、吸引圧力方向と略垂直方向に引っ掛かりを生じさせることで、吸引圧力の付与方向に対する固定力を増加させる。
(作用2)吸引圧力方向と略垂直方向に引っ掛かりが生じることで、搬送対象物50は、吸引圧力方向で外れにくくなる。
(作用3)空隙37に搬送対象物50の一部が収容されることで、吸着面33と搬送対象物50との接触面が広がり、搬送対象物50において生じるしわが吸着面33と連通しにくくなる。
(作用4)作用3の結果、吸着面33と搬送対象物50とを連通するしわによる空気漏れが生じなくなり、搬送対象物50に対する吸着面33での吸着力が高まる。
【0145】
ここで説明した作用1〜4によって、搬送対象物50は、吸着具3から外れにくくなり、強い固定力で吸着される。吸着具3は、このように、吸着面33、空隙37、接触部34の三段階での立体的な吸着や接触によって、袋物のように変形しやすい搬送対象物50を、強い固定力で吸着できる。もちろん、袋が内容物を収容する袋物以外であっても、変形しやすい商品や製品であれば、本発明の吸着具3は、好適に吸着できる。また、吸着具3は、内容物を収容する袋を変形させつつ強い吸着を行うので、袋が収容する内容物を変形させたり破壊したりすることもない。
【0146】
また、実施の形態1で説明したように、このような吸着具3に第1支持部材4および第2支持部材5とが組み合わされたピッキング装置1は、搬送中に搬送対象物50を落下させることがない。
【0147】
吸着具3は、吸引装置と吸引管路2に接続する管路と接続される。このとき、吸引管路2は、管路内部に嵌合されて吸引装置からの吸引圧力によって上下可能である。この上下によって、吸着具3の吸着面33と搬送対象物50との距離が調整できる。
【0148】
このような吸着具3を備えるピッキング装置1は、次の要件1〜3を満足できる。ピッキング装置1は、実施の形態3で説明される吸着具3を用いることで、より正確かつ高速に搬送対象物をピッキングして搬送できる。
【0149】
(要求1)対象物の高さ・厚みが統一されていなくても、柔軟に対応して拾い上げること。
(要求2)対象物に、変形や亀裂などを起こさないこと。
(要求3)対象物をピッキングした後、移動するための加減速が有っても吸着した物を落とさないこと。
【0150】
次に、各部の詳細について説明する。
【0151】
(吸引管路)
吸引管路2は、金属、合金、樹脂など種々の部材で形成されれば良いが、耐久性や気密性を考慮して、金属や合金で形成されるのが好ましい。吸引管路2は、同じ管路もしくは接続される別の管路を介して、吸引装置に接続される。また、吸引管路2は、吸引圧力を付与するために、高い気密性を有することが適当である。
【0152】
吸引管路2は、図11などに示されるように筒状の部材である。また、搬送対象物50に合わせた吸着面33を形成しやすいように、先端は、末広がりに広がっていることも好適である。いわゆる、吸引管路2の先端はスカートを有していることも好適である。もちろん、吸引管路2は、先端まで同一形状を維持して延伸していてもよい。このとき、スカートとなっている部分は、吸引管路2の一部として把握されても良いし、別要素として把握されてもよい。スカートの部分は、筒状の部分と溶接や接着で一体化されてもよいし、予め一体の部材として形成されても良い。
【0153】
吸引管路2は、吸着具3の外形を形成する要素であるので、吸着面33や搬送対象物50の形状、大きさに合わせて形成されれば良い。特に、吸引管路2は、図11に示されるように、先端部分だけの部材であって、吸引装置と別の管路で接続されることで、吸引管路2の形状、大きさが様々に用意されることが可能である(言い換えれば、吸着具3の形状、大きさが様々に用意される)。例えば、搬送対象物50が大きければ、吸引管路2やこれに繋がる吸着面33も大きくされればよい。あるいは、搬送対象物50の形状によっては、吸引管路2や吸着面33が円形ではなく、角形であってもよい。
【0154】
吸引管路2は、その先端に設けられる吸着面33の開口を通じて、外部から空気を吸引するので、先端に開口部を有する。この開口部に吸着面33が取り付けられる。
【0155】
(吸着面)
吸着面33は、図12に示されるように、メッシュ状の部材であることが好ましい。メッシュ状であることで、吸引管路2による空気の吸引での空気の通り道が形成されつつ、吸着する搬送対象物50を吸引管路2内部に吸い込まないからである。また、メッシュ状である場合には、縦横のメッシュでも良いし、斜めのメッシュでも良い。
【0156】
吸着面33は、金属、合金および樹脂などで形成されれば良い。耐久性や強度を考慮すると金属や合金で形成されることが好ましいが、交換容易のために樹脂で形成されることも好適である。
【0157】
また、吸着面33は、種々の形状を有してもよい。方形であったり、角形であったり、円形であったりなどの形状を有してもよい。但し、吸着面33は、様々な形状や大きさを有する搬送対象物50に対する強い吸着力を生じさせるために、略円形もしくは略楕円形であることも好適である。略円形や略楕円形を有することで、搬送対象物50と吸着面33との間にしわができにくくなり、空隙37への搬送対象物50の一部の収容と相まって、吸着具3は、高い吸着力を生じさせるからである。
【0158】
(接触部)
接触部34は、吸着面33の前方(すなわち搬送対象物50側)に突出している。すなわち、接触部34は、吸着面33よりも搬送対象物50に近接している。
【0159】
接触部34は、吸着面33から様々な形態で突出すればよい。例えば、接触部34は、吸着面33の中央やその他の場所から突出しても良い。しかしながら、製造の容易性、吸着面33全体の効率的活用を考慮して、接触部34は、吸着面33の外周に沿って突出するのが好適である。すなわち、接触部34は、吸着面33の外周に沿ってリング状に突出して設けられても良い。図11〜13は、吸着面33の外周に沿ってリング状に接触部34が設けられている状態を示している。
【0160】
もちろん、吸着面33の外周に添っていなくても良く、接触部34が吸着面33の内部において設けられても良い。接触部34は、リング状でなく、途中に切れた部分を有する形状を有してもよい。
【0161】
接触部34は、吸着面33と搬送対象物50との間の距離を形成して、空隙37を作り出すものであるので、接触部34は、搬送対象物50と接触する。また、搬送対象物50は、接触部34および接触部34によって形成される空隙37に対して、変形した部分を接触させる。このため、接触部34は、変形した袋を傷つけにくいように、弾性力や変形力のある素材であることが好ましい。接触部34は、ゴムやスポンジ素材を有していることが好ましい。一例として、接触部34は、例えば略円形の吸着面33に対応するOリングのような部材であることも好適である。
【0162】
接触部34は、吸着面33の一部と重複するように重なる。言い換えれば、接触部34は、吸着面33の一部を隠すように設けられる。重複領域36は、図12に示されるようなものである。この場合には、吸着面33の外周に沿って、重複領域36が形成される。もちろん、重複領域36のさらに外側にまで吸着面33が広がっていても良い(この場合には、吸着面33の外周端部ではなく、吸着面33の内部に接触部34が設けられる)。
【0163】
また、接触部34が、図12に示されるように吸着面33の外周に沿って形成される場合には、吸着面33と重なる場合には、接触部34は、吸引圧力の付与方向においてこの重複領域36と重なる。
【0164】
接触部34は、リング状や切れ目のあるリング状などを有することが多いので、接触部34は、吸着面33と連通する開口部41を有する(図11図12に開口部41が示される)。すなわち、吸引圧力方向にそって、吸着面33と開口部41が空気の吸引を行える。一方、重複領域36においては、吸着面33と外部が連通していない。開口部41が存在することで、接触部34が設けられても、開口部41を通じて、吸着面33に付与される吸引圧力が搬送対象物50に到達する。言い換えると、開口部41は、変形する搬送対象物50を取り込んで、搬送対象物50の表面を吸着面33に接触させる。
【0165】
すなわち、開口部41から入り込んだ搬送対象物50の表面の一部は、吸着面33に接触する。接触する表面は、吸引圧力を受ける。一方、開口部41に入り込んだ搬送対象物50の変形した一部は、空隙37に収容される。更に、搬送対象物50の開口部41からはみ出ている部分は、接触部34に接触する。
【0166】
(接触部の変形例)
接触部34は、開口部41を通じて、搬送対象物50と吸着面33とを連通させる。このため、開口部41の大きさによって搬送対象物50と吸着面33との連通面積が決定される。搬送対象物50が大きい場合にはこの連通面積が大きいほうがよく、搬送対象物50が小さい場合にはこの連通面積が小さいほうよい。この連通面積は、開口部41の面積によって決定されるので、開口部41の面積は、搬送対象物50の大きさによって変更されることが好ましい。
【0167】
このため、開口部41は、その面積を可変であることが好ましい。例えば、開口部41は、その開口面積を可変にできる絞りのような部材を有している。この絞りによって、接触部34は、開口部41の開口面積を変更できる。
【0168】
あるいは、接触部34は、開口部41の開口形状を変更できることも可能である。例えば、搬送対象物50の形状によっては、開口部41が方形や角形であることが好ましい場合もある。接触部34は、開口部41の開口形状を、絞り部材などによって変更可能としてもよい。
【0169】
(空隙)
接触部34は、その裏側であって吸着面33との間に空隙37を形成する。空隙37は、重複領域6の一部において、吸引圧力の付与方向と略垂直方向に凹状に凹んだ部分である。このため、接触部34がリング状であれば、空隙37もリング状になる。もちろん、接触部34がリング状であっても、この接触部34の裏面の一部が充填されており、空隙37がリング状とはならないこともありえる。
【0170】
このように、接触部34は、自身の形状に沿った凹部を、吸着面33と接触部34との間に形成する。この凹部が空隙37である。例えば、接触部34が吸着面33と所定の距離を置いて設けられる場合には、この距離に対応する部分が、空隙37となる。
【0171】
空隙37は、搬送対象物50の変形部分を収容する。搬送対象物50は、袋物などの変形可能な物品である。吸着面33によって吸着される際に、接触部34の構造によって搬送対象物50は、変形する。このとき、搬送対象物50の吸引圧力付与方向と略垂直方向に、空隙37が存在する。一方、空隙37の前方には、接触部34が、吸引圧力方向と略垂直方向に突出している。この結果、空隙37は、吸引圧力方向と略垂直方向にポケットを形成する。このため、搬送対象物50の変形部分は、このポケットに逃げるようにして収容される。
【0172】
このように、空隙37が、搬送対象物50の変形部分を収容することで、吸着具3は、上述の通り吸着面33、空隙37および接触部34によって立体的に、搬送対象物50を吸着する。また、空隙37に搬送対象物50の変形部分が収容されることで、この変形部分と接触部34とが嵌合するようになって、搬送対象物50が外れにくくなる。加えて、搬送対象物50の袋に生じるしわが、この空隙37で解消されて吸着面33まで連通しにくくなる。この結果、吸着面33と、吸着面33に接触している搬送対象物50の表面との間に空気の逃げ道が生じにくくなり、吸着力が弱まることが無くなる。この結果、更に吸着力が高まる。
【0173】
また、空隙37が、吸引圧力方向と略垂直方向に搬送対象物50の変形部分を収容することで、吸着具3は、搬送対象物50に対する略垂直方向での吸着力を高めることもできる。この結果、吸着具3が搬送対象物50を吸着した状態で横方向などに移動させる場合でも、吸着具3は、搬送対象物50を落下させにくくなる。
【0174】
(空隙の変形例)
空隙37は、搬送対象物50の変形部分を収容する。この収容によって、吸着具3は、搬送対象物50に対する吸着力を向上させる。このため、搬送対象物50の大きさや特性によって、空隙37が収容する搬送対象物50の変形部分の体積が異なることが好ましい。例えば、搬送対象物50が大きかったり重かったりする場合には、空隙37が収容する変形部分の体積は大きいほうが好ましい。一方、搬送対象物50が小さかったり軽かったりする場合には、空隙37が収容する変形部分の体積は小さいほうが好ましい。
【0175】
収容される変形部分の体積は、空隙37の体積によって決定される。このため、吸着具3が様々な搬送対象物50を、効率的に吸着できるように、空隙37は、その体積を可変であることも好適である。例えば、接触部34は、形状を可変とする充填部材を有しており、この充填部材が空隙37の体積を変更させても良い。もちろん、充填部材は、空隙37の体積だけでなく、その形状を変更させても良い。形状が変更されることでも、搬送対象物50の様々な特性に対応して、吸着力を向上させることが可能となるからである。
【0176】
このように、接触部34の開口部41と同様に、空隙37も、その形状や大きさを変更可能であることは、吸着具3のバリエーションを広げるのに好適である。結果として、吸着具3は、様々な形状や特性の搬送対象物50を、確実に吸着できる。
【0177】
以上、実施の形態3で説明した吸着具3を、ピッキング装置1が備えることで、ピッキング装置1は、より正確かつ高速に搬送対象物50をピッキングして搬送できる。
【0178】
実施の形態1〜3で説明されたピッキング装置を、発明者が試作して実験を行ったところ、菓子パンなどの入った袋物の搬送対象物を、3000個/時〜4000個/時で、ピッキングして搬送できた。これは、人力を用いてやっていた場合の数倍以上のスピードであり、非常に高速化できている。もちろん、人力に比べて、作業ペースが変動することも少ないので、搬送に係る作業の前後も含めた製造工程での作業効率が向上する。
【0179】
なお、実施の形態1〜3で説明されたピッキング装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0180】
1 ピッキング装置
2 吸引管路
3 吸着具
4 第1支持部材
41 接触面
5 第2支持部材
51 接触面
6 構造部材
33 吸着面
34 接触部
37 空隙
41 開口部
100 製造ライン
102、103 箱
200 制御ロボット
210 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15