特許第5940385号(P5940385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940385
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】指針装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 13/02 20060101AFI20160616BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   G01D13/02 101
   B60K35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-134521(P2012-134521)
(22)【出願日】2012年6月14日
(65)【公開番号】特開2013-257264(P2013-257264A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】勝亦 康裕
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−002716(JP,A)
【文献】 実開平03−108774(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 13/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字板の目盛りに沿って形成された帯状のガイドレールと、前記ガイドレールに移動可能に支持される指針と、を備え、前記指針が、前記ガイドレールの帯幅方向両端面上を各々回転走行する複数のローラと、前記両端面の一方を走行する前記ローラを回転自在に保持する第1保持部材と、前記両端面の他方を走行する前記ローラを回転自在に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材及び前記第2保持部材間に保持され、前記第1保持部材及び前記第2保持部材を互いに近づけるように付勢する弾性部材と、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の何れか一方に設けられた前記文字板上の目盛りを指示する指針本体と、を有する指針装置において、
前記ガイドレール及び前記ローラの一方には、他方を挿入する溝部が設けられ、
前記溝部の底面には、厚さ方向の一端から他端に向かって深くなる第1傾斜面が設けられている
ことを特徴とする指針装置。
【請求項2】
前記ガイドレール及び前記ローラの他方には、前記第1傾斜面に重ねられる第2傾斜面が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の指針装置。
【請求項3】
前記ガイドレールに沿って移動する線状の柔軟部材と、
前記柔軟部材を前記ガイドレールに沿って移動させる駆動源と、をさらに備え、
前記第1保持部材及び前記第2保持部材の何れか一方には、前記柔軟部材が固定される固定部が設けられ、
前記固定部が、前記溝部の厚さ方向中心よりも深い側に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の指針装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針装置に係り、特に、指針を目盛りに沿って移動させる指針装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車に搭載されている指針装置には、円弧状に設けられた目盛りと、この円弧の略中心に回転軸を設けて目盛りに沿って回転する指針と、が設けられている。この場合、目盛りの内側の部分は、指針の回転領域であり、また、裏側には指針のモータが配置されていることから、この部分に液晶表示器など他の表示手段を設けることは困難であった。
【0003】
そこで、目盛りに沿って形成された帯状のガイドレールに指針を支持して、このガイドレールに沿って指針を移動させることにより、目盛りの内側の領域に液晶表示器などの表示手段を設けることができる指針装置が提案されている(特許文献1)。
【0004】
上記指針装置としては、例えば図7に示すようなものが提案されている。同図に示すように、この指針装置100は、文字板の目盛りに沿って形成された帯状のガイドレール101と、ガイドレール101に移動可能に指示される指針102と、を備えている。指針102は、ガイドレール101の帯幅方向Y1両端面上を各々回転走行するローラ103と、両端面の一方(図面上側)を走行するローラ103を回転自在に保持する指針ベース104と、両端面の他方(図面下側)を走行するローラ103を回転自在に保持する指針アーム105と、指針ベース104及び指針アーム105間に保持され、指針ベース104及び指針アーム105を互いに近づけるように付勢する押さえバネ106と、を有している。
【0005】
上記指針アーム105には、目盛りを指示する指針本体105Aが一体成形されている。また、ガイドレール101上には、図示しない複数のプーリが帯長さ方向に沿って並べて配置され、複数のプーリに図示しない紐状の柔軟部材が掛け渡されている。指針アーム105には、この図示しない紐状の柔軟部材が固定されていて、この固定された柔軟部材を戻しゼンマイ及び巻き取りプーリで巻き取ることによりガイドレール101に沿って指針102を移動させている。
【0006】
しかしながら、図8に示すように、ガイドレール101とローラ103との間に隙間Sがあるため、ローラ103がガイドレール101上に走行するたびに、厚さ方向Y2に指針102の蛇行が起こり指針精度の低下や見栄えの悪さが起こる、という問題があった。この問題を解決するため例えば引用文献2に記載された表示装置が提案されている。引用文献2に記載された表示装置は、図9に示すように、ガイドレール101のローラ103との接触面に厚さ方向Y2の両側に向かうに従って低くなる2つの傾斜面101A、101Bをそれぞれ設け、ローラ103に2つの傾斜面101A、101Bのそれぞれに接触する凸部103A、103Bを設けている。
【0007】
これによれば、ローラ103に加えられている押さえバネ106の弾性力により、凸部103A、103Bには厚さ方向Y2両側に向かう分力F31、F32が生じる。図9(A)に示すように、ローラ103に厚さ方向Y2の力が加わっていないときは、分力F31、F32がつり合う位置にローラ103が保持される。このとき、ローラ103に厚さ方向Y2の力F4が加わり、図9(B)に示すように、ローラ103が厚さ方向Y2にずれると、ローラ103の凸部103Aが傾斜面101Aを登り、凸部103Bが傾斜面101Bから離れ、分力F32が加わらなくなるため、分力F31によりローラ103が元の位置(図9(A))に戻され、蛇行を抑制することができる。しかしながら、引用文献1は、ローラ103がずれて凸部103A、103Bの一方が傾斜面101A、101Bから離れないと元に戻す力が加わらないため、ローラ103のずれ、元に戻るが繰り返され、蛇行を防止することができない、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−2716号公報
【特許文献2】特開2010−107504号公報
【特許文献3】特開平9−279931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、指針の蛇行を防ぐことができる指針装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、文字板の目盛りに沿って形成された帯状のガイドレールと、前記ガイドレールに移動可能に支持される指針と、を備え、前記指針が、前記ガイドレールの帯幅方向両端面上を各々回転走行する複数のローラと、前記両端面の一方を走行する前記ローラを回転自在に保持する第1保持部材と、前記両端面の他方を走行する前記ローラを回転自在に保持する第2保持部材と、前記第1保持部材及び前記第2保持部材間に保持され、前記第1保持部材及び前記第2保持部材を互いに近づけるように付勢する弾性部材と、前記第1保持部材及び前記第2保持部材の何れか一方に設けられた前記文字板上の目盛りを指示する指針本体と、を有する指針装置において、前記ガイドレール及び前記ローラの一方には、他方を挿入する溝部が設けられ、前記溝部の底面には、厚さ方向の一端から他端に向かって深くなる第1傾斜面が設けられていることを特徴とする指針装置に存する。
【0011】
請求項2記載の発明は、前記ガイドレール及び前記ローラの他方には、前記第1傾斜面に重ねられる第2傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の指針装置に存する。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記ガイドレールに沿って移動する線状の柔軟部材と、前記柔軟部材を前記ガイドレールに沿って移動させる駆動源と、をさらに備え、前記指針には、前記柔軟部材が固定される固定部が設けられ、前記固定部が、前記溝部の厚さ方向中心よりも深い側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の指針装置に存する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、ガイドレール及びローラの一方には、他方を挿入する溝部が設けられ、溝部の底面には、厚さ方向の一端から他端に向かって深くなる第1傾斜面が設けられている。従って、弾性部材の付勢力により、ローラには溝部の第1傾斜面の深い側に向かって押し付けられる力が発生するため、溝部が浅くなる側に向かう力が指針に加わったとしてもその押し付ける力を超えない限り、ローラが溝部の深い側に寄せられた状態から動くことがないので、指針の蛇行を防ぐことができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、ガイドレール及びローラの他方には、第1傾斜面に重ねられる第2傾斜面が設けられているので、ローラを溝部の深い側に向かって押し付けられる力がより一層大きくなり、確実に指針の蛇行を防ぐことができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、柔軟部材の固定部が、溝部の厚さ方向中心よりも深い側に設けられているので、柔軟部材により固定部に力が加えられるとローラには溝部の深い側に傾く力が加えられるため、より確実に指針の蛇行を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の指針装置を組み込んだスピードメータの一実施形態を示す分解斜視図である。
図2図1に示すガイドレール及び指針アッシーの分解斜視図である。
図3図1のI−I線断面図である。
図4図3のII部拡大図である。
図5】他の実施形態のII部拡大図である。
図6】他の実施形態のII部拡大図である。
図7】従来の指針装置の一例を示す断面図である。
図8図7に示す指針装置の問題点を説明するための図である。
図9】従来の指針装置の一例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の指針装置について図1乃至図4を参照しながら説明する。本実施形態に係る指針装置を組み込んだスピードメータ1は、自動車等の車両に搭載されて、この車両の乗員に対して該車両の走行速度を表示するものである。スピードメータ1は、図1に示すように、目盛り2Aが設けられた文字板2と、文字板2の目盛り2Aに沿って形成されたガイドレール3と、ガイドレール3に移動可能に指示される指針4と、を備えている。
【0018】
上記文字板2は、半円盤状に設けられ、その中央に半円状の開口部2Bが設けられている。この文字板2の正面には、開口部2Bの円弧状の周縁に沿って目盛り2Aが設けられている。上記ガイドレール3は、例えば合成樹脂などから構成されていて、図2に示すように、文字板2の目盛り2Aに沿って形成された帯状のレール本体31と、レール本体31の一端に設けられた後述する巻き戻しゼンマイ7を取り付けるためのゼンマイ取付部32と、レール本体31の他端に設けられた後述する巻き取りプーリ8及びモータ9を取り付けるためのプーリ取付部33と、ゼンマイ取付部32及びプーリ取付部33間を連結する連結部34と、を備えている。
【0019】
レール本体31は、文字板2に設けた開口部2Bの円弧状の周縁に沿って円弧状に設けられている。ゼンマイ取付部32は、巻き戻しゼンマイ7を収容する円筒状に設けられ、その側面にレール本体31の一端が連なっている。プーリ取付部33は、略円盤状に設けられた円盤部33Aと、円盤部33Aの縁部の一部から正面に向かって立設した立壁部33Bと、を備えている。円盤部33Aには、その中央部にモータ9の回転軸9Aを貫通するための貫通孔33Cが設けられ、その縁部にモータ9を取り付けるための複数のネジ孔33Dが設けられ、立壁部33Bの円盤部33Aから離れた側の端部がレール本体31及び連結部34に連なっている。モータ9は、円盤部33Aの背面側にネジ止めされて固定される。このとき、モータ9の回転軸9Aは、貫通孔33Cを通って正面に突出する。連結部34は、ゼンマイ取付部32及びプーリ取付部33間を結ぶ直線の帯状に設けられている。
【0020】
指針4は、図2及び図3に示すように、レール本体31の帯幅方向Y1両端面上を各々回転走行するローラとしての上ローラ41及び下ローラ42と、上ローラ41を回転自在に保持する第1保持部材としての指針ベース43と、下ローラ42を回転自在に保持する第2保持部材としての指針アーム44と、指針ベース43及び指針アーム44間に保持され、指針ベース43及び指針アーム44を互いに近づけるように付勢する弾性部材としての押さえバネ45(図3)と、を有している。
【0021】
上記上ローラ41は、レール本体31の帯幅方向Y1上側の端面上を回転走行し、下ローラ42は、レール本体31の帯幅方向Y1下側の端面上を回転走行する。上ローラ41及び下ローラ42は、図2に示すように、略円柱状に設けられ、その中央に軸芯11を貫通する貫通孔41A、42Aが設けられている。この上ローラ41及び下ローラ42の形状については後ほど詳述する。
【0022】
指針ベース43は、図2及び図3に示すように、レール本体31の帯幅方向Y1上側の端面と対向する第1上壁部43Aと、この第1上壁部43Aの正面側端部から下垂した下垂壁部43Bと、下垂壁部43Bの下端から背面に向かって突設され、第1上壁部43Aと帯幅方向Y1に対向する第1底壁部43Cと、を備えている。第1上壁部43Aの帯長さ方向Y3両端部には、2つの上ローラ41が収容される第1保持溝43Dが設けられている。この第1保持溝43Dを挟んで厚さ方向Y2に対向する一対の第1保持片43Eには、軸芯11を通す図示しない貫通孔が設けられていて、この一対の第1保持片43E間に軸芯11を保持している。この軸芯11に上ローラ41の貫通孔41Aに通した状態で上ローラ41を第1保持溝43D内に収容することにより、上ローラ41は回転自在に指針ベース43に保持される。
【0023】
指針アーム44は、図2及び図3に示すように、レール本体31の帯幅方向Y1下側の端面と対向する第2底壁部44Aと、第2底壁部44Aの正面側端部に設けられた指針本体44Bと、第2底壁部44Aから突設された立壁部44Cと、立壁部44Cの上端から正面に向かって突設され、第2底壁部44Aと帯幅方向Y1に対向する第2上壁部44Dと、を備えている。第2底壁部44Aは、下ローラ42が収容される第2保持溝44Eが設けられている。この第2保持溝44Eを挟んで厚さ方向Y2に対向する一対の第2保持片44Fには、軸芯11を通す図示しない貫通孔が設けられていて、この一対の第2保持片44F間に軸芯11を保持している。この軸芯11に下ローラ42の貫通孔42Aに通した状態で下ローラ42を第2保持溝44E内に収容することにより、下ローラ42は回転自在に指針アーム44に保持される。
【0024】
指針本体44Bは、第2底壁部44Aの正面側端部から上側に向かって突出して設けられ、下側から上側に向かうに従って徐々に細くなる錐状に形成されいる。この指針本体44Bは、文字板2の開口部2Bを通って文字板2正面に位置する。立壁部44Cは、指針ベース43に組み付けた状態で、下垂壁部43Bと厚さ方向Y2に対向する。
【0025】
上記押さえバネ45は、例えば金属線をコイル状に巻いて形成し、図3に示すように、指針ベース43の第1底壁部43Cと、指針アーム44の第2上壁部44Dと、の間に保持されている。この押さえバネ45により指針ベース43及び指針アーム44が押され、上ローラ41及び下ローラ42が互いに近づく方向に付勢される。即ち、上ローラ41及び下ローラ42には、図3に示すように、互いに近づく方向の力F1が加えられる。
【0026】
次に、本発明の特徴であるレール本体31、上ローラ41及び下ローラ42の詳細な形状について説明する。上記レール本体31の帯幅方向Y1両端面には、上ローラ41及び下ローラ42を挿入する溝部31Aが設けられている。この溝部31Aは、図2に示すように、帯長さ方向Y3に沿って設けられている。また、この溝部31Aには、図3に示すように、厚さ方向Y2の一端から他端即ち、背面から正面に向かって深くなる第1傾斜面31Bが設けられている。また、上ローラ41及び下ローラ42は、厚さ方向Y2一端から他端、即ち背面から正面に向かって径が大きくなる円柱状に設けられている。これにより、上ローラ41及び下ローラ42の側面は、背面から正面に向かって高くなる第2傾斜面41B、42Bに設けられる。この第2傾斜面41B、42Bが、溝部31Aの第1傾斜面31Bに重ねられる。
【0027】
また、上述したスピードメータ1は、さらに指針4に固定された線状の柔軟部材5と、柔軟部材5をガイドレール3に沿って掛け渡すための複数のプーリ6と、柔軟部材5の一端に設けられた巻き戻しゼンマイ7と、柔軟部材5の他端に設けられた巻き取りプーリ8と、巻き取りプーリ8を回転させて柔軟部材5をガイドレール3に沿って移動させる駆動源としてのモータ9と、これらを収容する収容ケース10(図1)と、を備えている。
【0028】
上記柔軟部材5は、合成樹脂で構成された自由に形を変えることができる断面丸型の線状の紐である。この柔軟部材5は、その中央部が指針4に巻きつけられて固定されている。本発明の柔軟部材5は、綿、麻、化学繊維、合成樹脂などの絶縁性物質で構成されていることが望ましい。また、本実施形態の柔軟部材5は断面丸型の紐状であるが、本発明の柔軟部材5はこれに限らず、例えば帯状であってもよい。
【0029】
複数のプーリ6は、小径の鼓状に設けられ、軸芯12を貫通する貫通孔61が設けられている。軸芯12は、レール本体31正面に帯長さ方向Y3に複数並べて配置され、この軸芯12にプーリ6の貫通孔61を通すことにより、プーリ6が回転自在に保持される。柔軟部材5は図1に示すように複数のプーリ6に掛け渡されている。
【0030】
柔軟部材5は、巻き戻しゼンマイ7から引き出され、引き出された端部が巻き取りプーリ8に固定され、巻きつけられている。巻き戻しゼンマイ7は、図示しないゼンマイが内蔵されていて、柔軟部材5を巻き戻す方向に付勢する。これにより、テンションがかけられた状態で柔軟部材5がプーリ6に掛け渡される。上記巻き取りプーリ8の中心には、モータ9の回転軸9Aが固定され、モータ9の回転に応じて巻き取りプーリ8が回転する。
【0031】
詳しく説明すると、モータ9が巻き取りプーリ8を巻き取り方向に回転させると、柔軟部材5が巻き取りプーリ8に巻き取られ、柔軟部材5に固定された指針4がレール本体31上を走行して巻き取りプーリ8側に向かって移動する。モータ9が、巻き戻し方向に回転させると、巻き取りプーリ8に巻き取られていた柔軟部材5が巻き戻され、柔軟部材5に固定された指針4がレール本体31上を走行して巻き戻しゼンマイ7側に向かって移動する。また、指針4において、柔軟部材5が固定される図示しない固定部は、溝部31Aの厚さ方向Y2の中心C1よりも深い側に設けられる。
【0032】
上述した実施形態によれば、レール本体31の溝部31Aに第1傾斜面31Bを設けることにより、図3及び図4に示すように、押さえバネ45の付勢力により上ローラ41及び下ローラ42が互いに近づく方向の力F1が加えられると、上ローラ41及び下ローラ42を溝部31Aの深い側(正面側)に押し付ける力F2が上ローラ41及び下ローラ42に加えられる。このため、指針4に浅い側に向かう力F3が加わったとしてもその押し付ける力F2を超えない限り、上ローラ41及び下ローラ42が溝部31Aの深い側に寄せられた状態から動くことがないので、指針4の蛇行を防ぐことができる。
【0033】
また、上述した実施形態によれば、上ローラ41及び下ローラ42には、第1傾斜面31Bに重ねられる第2傾斜面41B、42Bが設けられているので、より一層大きな上ローラ41及び下ローラ42を溝部31Aの深い側に向かって押し付けられる力F2が発生し、確実に指針4の蛇行を防ぐことができる。
【0034】
また、上述した実施形態によれば、柔軟部材5の固定部が、溝部31Aの厚さ方向Y2中心よりも深い側に設けられている。図示しない固定部では、柔軟部材5により下側に押し付けられる力が発生するので、この力により上ローラ41及び下ローラ42には、溝部31Aの深い側に傾く力が加えられ、より確実に指針4の蛇行を防ぐことができる。
【0035】
なお、上述した実施形態によれば、上ローラ41及び下ローラ42に、第1傾斜面31Bに重ねられる第2傾斜面41B、42Bが設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。図5に示すように、上ローラ41及び下ローラ42に第2傾斜面41B、42Bを設けなくてもよい。
【0036】
また、上述した実施形態によれば、レール本体31に溝部31Aを設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、図6に示すように、上ローラ41及び下ローラ42に第1傾斜面31Bが形成された溝部31Aを設け、溝部31Aにレール本体31を挿入するようにしてもよい。また、この場合、図6(A)に示すように、レール本体31に第2傾斜面42Bを設けても良いし、図6(B)に示すように、設けなくてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態によれば、指針4に設けた柔軟部材5の固定部が、溝部31Aの厚さ方向Y2中心C1よりも深い側に設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。押し付ける力F2が十分に大きければ、固定部を溝部31Aの厚さ方向Y2の中心C1よりも浅い側に設けてもよい。
【0038】
また、上述した実施形態によれば、溝部31Aの底面には、背面から正面に向かって深くなる第1傾斜面31Bが設けられていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、溝部31Aに正面から背面に向かって深くなる第1傾斜面31Bを設けるようにしてもよい。
【0039】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0040】
2 文字板
2A 目盛り
3 ガイドレール
4 指針
5 柔軟部材
9 モータ(駆動源)
31A 溝部
31B 第1傾斜面
41 上ローラ(ローラ)
41B 第2傾斜面
42 下ローラ(ローラ)
42B 第2傾斜面
43 指針ベース(第1保持部材)
44 指針アーム(第2保持部材)
44B 指針本体
45 押さえバネ(弾性部材)
Y1 帯幅方向
Y2 厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9