(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなスライド式補助カウンターを採用した場合、バックカウンターは不使用時を含め常に露わになることとなり、調理行為以外の異なる目的で使用している場合に目障りとなることがあり、使用者に違和感や不快感を生じさせてしまう虞がある。また、上記のスライド式補助カウンターでは、不使用時における収容空間が必要となるため、空間を有効活用するという点でも改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、異なる目的で使用する場合でも使用者に違和感や不快感を感じさせることがない住設機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る住設機器は、可動式のカウンター兼用蓋と、略直方体形状のキャビネット部と、キャビネット部の上面に載置された住設部と、を備え、キャビネット部は、幅寸法と高さ寸法とが等しくなっており、平面視において、住設部はキャビネット部内に収まっており、かつ、少なくとも一辺については住設部の端縁がキャビネット部側面よりも後退しており、キャビネット部の上面の縁にカウンター兼用蓋を係止する係止面が形成されており、カウンター兼用蓋は、矩形状の第一の面材と、矩形状の第二の面材とを備え、第一の面材と第二の面材とは、断面L字状に接合され、第一の面材と第二の面材とが接合する辺の長さは、キャビネット部の奥行方向の寸法と等しくなっており、第一の面材側の一方の内方辺長は、キャビネット部の幅寸法と等しくなっており、第二の面材側の他方の内方辺長は、住設部およびキャビネット部の一側面を被覆可能な長さとなっており、第一の面材は、カウンター兼用蓋が蓋として使用される場合は住設部を覆う蓋本体となり、カウンター兼用蓋がカウンターとして使用される場合は脚部となり、第二の面材は、カウンター兼用蓋が蓋として使用される場合はキャビネット部および住設部の一側面を被覆する側面被覆部となり、カウンター兼用蓋がカウンターとして使用される場合はカウンター本体となることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る住設機器は、カウンター兼用蓋をキャビネット部上面の係止面に係止することにより、住設部と連続したカウンターとして使用することができる。これに対して不使用時は、カウンター兼用蓋によって住設部の上面と側面を覆うことができる。よって、不使用時には住設部が存在することを使用者に意識させないようにすることが可能となるため、使用者は異なる目的で使用する場合でも、違和感や不快感を感じることなく住設機器を使用することができる。また、不使用時のカウンター兼用蓋を収容するスペースが不要であるため、限られた空間を有効活用することもできる。
【0008】
また、本発明に係る住設機器では、カウンター兼用蓋は、更に矩形状の第三の面材を備えており、第三の面材は、隣接する二つの端面が第一の面材と第二の面材の内側面に当接するように、かつ、外面が第一の面材および第二の面材の端面と揃うように接合され、第一の面材側の辺の長さは、キャビネット部の幅方向の寸法と等しくなっており、第二の面材側の辺の長さは、住設部の前面を被覆可能な長さとなっており、住設部の前面は、キャビネット部の前面よりも第三の面材の厚みに対応した寸法だけ後退しており、第三の面材は、カウンター兼用蓋が蓋として使用される場合は住設部の前面を覆う前面被覆部となり、カウンター兼用蓋がカウンターとして使用される場合は脚部となることが好ましい。これによれば、カウンター兼用蓋を蓋として使用する場合には、第三の面材が住設部の前面を覆うため、住設部が存在することを使用者に意識させないようにすることができる。また、第三の面材は第一の面材と第二の面材との間に接合されるため、カウンター兼用蓋の強度を増すことができ、特にカウンターとして使用する場合に第二の面材の第一の面材に対する開きを防止することができる点で有効である。また、カウンター兼用蓋を蓋として使用する場合には、第三の面材をキャビネット部の上面から起立して第一の面材の前端縁を支持する脚部として機能させることが可能となるため、安定性を高めることができる。
【0009】
また、本発明に係る住設機器では、カウンター兼用蓋は、更に矩形状の第四の面材を備えており、第四の面材は、隣接する二つの端面が第一の面材と第三の面材の内側面に当接するように、かつ、外面が第一の面材および第三の面材の端面と揃うように接合され、第一の面材および第三の面材と接合しない2つの端面のうち、一方の端面は第一の面材と揃い、他方の端面は第三の面材と揃っており、住設部の一方の側面は、キャビネット部の側面よりも第四の面材の厚みに対応した寸法だけ後退しており、第四の面材は、カウンター兼用蓋が蓋として使用される場合は住設部の一方の側面を覆う第二の側面被覆部となり、カウンター兼用蓋がカウンターとして使用される場合は脚部となることが好ましい。これによれば、カウンター兼用蓋を蓋として使用する場合、住設部の第二の面材では覆われない側面を第四の面材で覆うことが可能となり、特に住設部の背面のみが壁に面して他の三側面が開放されている場合に全ての側面を隠せるため有効である。また、カウンター兼用蓋を蓋として使用する場合、第四の面材をキャビネット部の上面から起立して第一の面材の右端縁を支持する脚部として機能させることが可能となるため、安定性をより高めることができる。
【0010】
また、本発明に係る住設機器では、キャビネット部の係止面には、溝が形成されており、第二の面材の内側面における、第一の面材と接合された側と反対側の端面近傍には、溝に嵌合される突起が設けられていることが好ましい。これによれば、カウンター兼用蓋をカウンターとして使用する場合に、カウンター兼用蓋の位置がずれて脱落する事態を抑止することができ、より一層安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、異なる目的で利用する場合でも使用者に違和感や不快感を感じさせることがない住設機器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る住設機器の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1および
図2を参照して、本実施形態に係る住設機器100の構成について説明する。住設機器100は、例えば住宅内の台所兼居間に設置された、シンク、カウンター、及び収納の機能を備えた厨房設備である。
図1は、住設機器100においてカウンター兼用蓋10を蓋として使用している状態を示す図であり、
図2は、住設機器100においてカウンター兼用蓋10をカウンターとして使用している状態を示す図である。
【0015】
図1および
図2に示すように、住設機器100は、蓋およびカウンターとして使用可能な可動式のカウンター兼用蓋10と、住設部として機能するシンク部20と、前面に扉部31を有するキャビネット部30とを備えて構成されている。住設機器100におけるカウンター兼用蓋10は、シンク部20を使用しない場合にはシンク部20を被覆する蓋として使用することができ(
図1参照)、シンク部20を使用する場合にはシンク部20に連続するカウンターとして使用できるようになっている(
図2参照)。
【0016】
なお、以下のカウンター兼用蓋10の説明における上下、前後、左右の方向は、便宜上、
図3に示すように蓋として使用している状態での方向で表している。
【0017】
カウンター兼用蓋10は、
図3に示すように、第一の面材10aと、第二の面材10bと、第三の面材10cと、第四の面材10dとを備えて構成されている。これらの面材10a〜10dはいずれも矩形状の板材からなる。
【0018】
第一の面材10aは、前後方向(奥行方向)の長さはL1、左右方向(幅方向)の長さはL2となっている。
【0019】
第二の面材10bは、その左側面(外面)と第一の面材10aの左端面とが揃うように接合されており、第一の面材10aと第二の面材10bとが断面L字状となるように構成されている。第二の面材10bの前後方向の長さは、第一の面材10aの前後方向の長さと同じくL1となっており、第二の面材10bの上下方向の長さはL3となっている。この第二の面材10bの上下方向の長さ(第二の面材10b側の他方の内方辺長)L3は、キャビネット部30の下端からシンク部20の上端までの寸法より若干大きく、シンク部20およびキャビネット部30の左側面を被覆可能な長さとなっている。
【0020】
また、第二の面材10bは、その右側面(内側面)における、第一の面材10aと接合された側(上側)とは反対側(下側)の端面近傍に、略直方体形状の突起10eを2個備えている。突起10eは後述するキャビネット部30の上面の溝に嵌合してカウンター兼用蓋10の移動を防止する機能を有する。突起10eの形状は、この機能を有するものであれば形状や数は限定されず、例えば円柱状であっても、3個以上であっても、またある程度の長さを有すれば1個であってもよい。
【0021】
第三の面材10cは、その上端面および左端面(隣接する二つの端面)が第一の面材10aと第二の面材10bの内側面に当接するように、かつ、第三の面材10cの前面(外面)が、第一の面材10aの前端面および第二の面材10bの前端面と揃うように、接合されている。
【0022】
第三の面材10cは、その上下方向の長さがL4、その左右方向の長さがL5、その前後方向の長さ(厚み)がL6となっており、第三の面材10cの左右方向の長さL5と第二の面材10bの左右方向の長さ(厚み)との和は、第一の面材10aの左右方向の長さL2と等しくなっている。また、第三の面材10cの上下方向の長さL4(第二の面材10b側の辺の長さ)は、天板部32の上面からシンク部20上端までの高さより若干大きく、シンク部20の前面を被覆可能な長さとなっている。
【0023】
第四の面材10dは、その前端面および上端面(隣接する二つの端面)が第一の面材10aと第三の面材10cの内側面に当接するように、かつ、第四の面材10dの右側面(外面)が、第一の面材10aの右端面と第三の面材10cの右端面と揃うように接合されている。また、第四の面材10dは、その後端面が第一の面材10aの後端面と揃い、その下端面が第三の面材10cの下端面と揃うようになっている。換言すれば、第四の面材10dの第一の面材10aおよび第三の面材10cと接合しない2つの端面のうち、一方の端面(後端面)は第一の面材10aの後端面と揃い、他方の端面(下端面)は第三の面材10cの下端面と揃っている。
【0024】
第四の面材10dは、その前後方向の長さがL7、その上下方向の長さがL8となっており、第四の面材10dの前後方向の長さL7と第三の面材10cの前後方向の長さL6との和は、第一の面材10aの前後方向の長さL1と等しくなっており、第四の面材10dの上下方向の長さL8は、第三の面材10cの上下方向の長さL4と等しくなっている。
【0025】
キャビネット部30は、
図4に示すように、底板部、一対の側板部、背板部、天板部32、及び観音開き形式の2枚の扉を有する扉部31を備えて構成され、全体として略直方体形状となっており、背板部が壁面に当接するようにして床面に据え置かれている。
【0026】
天板部32は、キャビネット部30の上面を構成している。天板部32の中央には、後述するシンク部20の排水口22の位置に対応した開口部36が設けられている。天板部32の上面の端縁のうち後端縁を除く左右端縁及び前端縁はカウンター兼用蓋10をカウンターとして使用する際に、カウンター兼用蓋10の端縁(第二の面材10bの端縁)を係止する係止面として機能する。左右端縁及び前端縁には、カウンター兼用蓋10の突起10eが嵌合される溝35が設けられている。
【0027】
このようなキャビネット部30において、その前後方向の長さ(奥行寸法)はl1、その左右方向の長さ(幅寸法)はl2、その上下方向の長さ(高さ寸法)はl3となっており、幅寸法l2と高さ寸法l3とが等しくなっている。また、奥行寸法l1は、第一の面材10aと第二の面材10bとが接合する辺の長さであるL1と等しくなっており、幅寸法l2は、第一の面材10aの幅寸法L2と第二の面材10bの厚みとの差(第一の面材10a側の一方の内方辺長)と等しくなっている。また、幅寸法l2は、第三の面材10cの幅方向の長さL5(第一の面材10a側の辺の長さ)とも等しくなっている。
【0028】
シンク部20は、キャビネット部30の上面(天板部32の載置面)に載置された状態で、平面視においてキャビネット部30の外郭線の内側に収まり、更に、その前面がキャビネット部30の前面よりも第三の面材10cの厚みL6に対応した長さだけ後退し、右側の側面がキャビネット部30の右側の側面よりも第四の面材10dの厚みに対応した長さだけ後退するように構成されている。
図5に示すように、シンク部20の排水口22には排水管120が接続されて、シンク部20の上方の壁面には給水栓110が設けられており、調理や洗浄などの作業を行うことができるように構成されている。
【0029】
以上のように構成される住設機器100において、シンク部20を使用しない場合には、カウンター兼用蓋10をシンク部20を覆う蓋として使用することができる。具体的には、第二の面材10bの内側面(右側面)がキャビネット部30の左側面に沿い、第二の面材10bの後端面が壁面に沿うようにして、カウンター兼用蓋10を持ち上げ、その状態を維持したままカウンター兼用蓋10を降下させることにより、第二の面材10bの下端面が床面に当接するとともに第三の面材10cおよび第四の面材10dの下端面が天板部32の上面に当接し、シンク部20の前面、左側面および右側面と、キャビネット部30の左側面とが、カウンター兼用蓋10に覆われた状態となる(
図1参照)。このとき突起10eの位置は、キャビネット部30下端の台輪に対応した位置となる。台輪は側面からいくらか後退しており、突起10eがキャビネット部30と干渉することはない。このように、カウンター兼用蓋10が蓋として使用される場合は、第一の面材10aがシンク部20を覆う蓋本体となり、第二の面材10bがキャビネット部30およびシンク部20の左側面を被覆する側面被覆部となり、第三の面材10cがシンク部20の前面を覆う前面被覆部となり、第四の面材10dがシンク部20の右側面を被覆する第二の側面被覆部となる。
【0030】
一方、住設機器100のシンク部20を使用する場合には、カウンター兼用蓋10をカウンターとして使用することができる。具体的には、例えば、カウンター兼用蓋10を、第二の面材10bの外側面を上方に向け、
図2に示すように第二の面材10bの端縁を天板部32上面の端縁に係止するとともに(この際、突起10eを溝35に嵌合させる)、第一の面材10aを床面に起立させる。このように、カウンター兼用蓋10がカウンターとして使用される場合は、第一の面材10a、第三の面材10cおよび第四の面材10dが脚部として機能し、第二の面材10bが例えば食器等を載置可能なカウンター本体となる。なお、カウンター兼用蓋10は同様の要領でキャビネット部30の右方や左方に設置してもよい。
【0031】
次に、本実施形態に係る住設機器100の作用・効果の説明を行う。
【0032】
本実施形態に係る住設機器100は、シンク部20を使用する時は、カウンター兼用蓋10をキャビネット部30上面の端縁に係止することにより、シンク部20と連続したカウンターとして使用することができ、シンク部20を使用しない時は、カウンター兼用蓋10でシンク部20の一方の側面と上面を覆うことができるため、シンク部20が存在することを居住者に意識させないようにすることが可能となり、居住者は、住設機器100が設置された部屋を住設機器100を使用しない他の目的で使用する場合でも、違和感や不快感を覚えることがない。また、カウンター兼用蓋10を収容するスペースが不要であるため、限られた空間を有効活用することもできる。
【0033】
また、カウンター兼用蓋10を蓋として使用する場合には、第三の面材10cがシンク部20の前面も覆うため、シンク部20が存在することを使用者に更に意識させないようにすることができる。また、第三の面材10cが第一の面材10aと第二の面材10bとの間に接合されることにより、カウンター兼用蓋10の強度を増すことができ、特にカウンターとして使用する場合に第二の面材10bの第一の面材10aに対する開きを防止することができる点で有効である。また、カウンター兼用蓋10を蓋として使用する場合には、第三の面材10cをキャビネット部30の上面から起立して第一の面材10aの前端縁を支持する脚部として機能させることが可能となるため、安定性を高めることができる。
【0034】
また、カウンター兼用蓋10を蓋として使用する場合には、シンク部20の第二の面材10bでは覆われない側面(右側面)を第四の面材10dで覆うことが可能であり、特にシンク部20の背面のみが壁に面して他の三側面が開放されている場合に全ての側面を隠せるため有効である。また、カウンター兼用蓋10を蓋として使用する場合、第四の面材10dをキャビネット部30の上面から起立して第一の面材10aの右端縁を支持する脚部として機能させることが可能となるため、安定性をより高めることができる。
【0035】
また、キャビネット部30の上面に形成された溝35と、第二の面材10bの内側面に設けられる突起10eとを備え、カウンター兼用蓋10をカウンターとして使用する場合に突起10eを溝35に嵌合させるようになっているため、カウンター兼用蓋10をカウンターとして使用する場合に、カウンター兼用蓋10の位置がずれて脱落する事態を抑止することができ、より一層安定性を高めることができる。
【0036】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0037】
例えば、上述の実施形態では、住設部としてシンク部20を例示したが、コンロ等の加熱調理設備を住設部としてもよい。
【0038】
また、平面視において、シンク部20の前側、右側および左側の辺がキャビネット部30の対応する辺よりも後退する構成を例示したが、たとえば、カウンター兼用蓋10をカウンターとしてシンク部20の左側に設置できるようにしておく必要がないのであれば、左側の辺を後退させる必要はない。
【0039】
また、キャビネット部30の背板と右側板が壁面に当接するように設置される場合は、シンク部20の右側面は壁で覆われるので、第四の面材を省略してもよく、カウンター兼用蓋10をカウンターとしてシンク部20の右側に設置することはできないので右側に係止面を形成する為にシンク部を後退させる必要もない。
【0040】
また、カウンターとして使用する際のカウンター兼用蓋10のずれ防止手段として、突起10eと溝35の嵌合にかえて、ビスやピン、面ファスナー等を用いてもよい。