特許第5940413号(P5940413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940413
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/10 20060101AFI20160616BHJP
   G06F 1/12 20060101ALI20160616BHJP
   H03K 5/135 20060101ALI20160616BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   G06F1/10 510
   G06F1/12 510
   H03K5/135
   G01C21/26 A
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-178426(P2012-178426)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-35753(P2014-35753A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 肇
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博彦
(72)【発明者】
【氏名】名知 志貴子
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 峰信
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−374235(JP,A)
【文献】 特開2005−316879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/10
G06F 1/12
H03K 5/135
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信制御部を含む半導体装置で、前記通信制御部は、
(a)外部のデータを入力するデータ入力バッファ回路と;
)外部クロック信号を入力するクロック入力バッファ回路と;
)前記外部クロック信号と第1の遅延クロック信号との位相調整を行い、入力データの取り込みに用いられる第1の内部クロック信号を生成する第1のPLL回路と;
)前記第1のPLL回路から出力される第1の内部クロック信号を遅延させ、遅延させた前記第1の内部クロック信号を前記第1の遅延クロック信号として前記第1のPLL回路へ出力する第1の遅延回路と;
)前記外部クロック信号と第2の遅延クロック信号との位相調整を行い、出力データの出力に用いられる第2の内部クロック信号を生成する第2のPLL回路と;
)前記第2のPLL回路から出力される前記第2の内部クロック信号を遅延させ、遅延させた前記第2の内部クロック信号を前記第2の遅延クロック信号として前記第2のPLL回路へ出力する第2の遅延回路とからなり
前記データ入力バッファ回路と前記クロック入力バッファ回路とは同一の回路構成を有し遅延時間が実質的に同一であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1のPLL回路から出力される前記第1の内部クロック信号は、
前記第1の遅延回路における遅延量に基づいて、出力タイミングが定まる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の遅延回路は、
前記入力データが所定のセットアップタイム及びホールドタイムを満たすように、前記第1の遅延クロック信号の遅延量が定められる、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2のPLL回路から出力される前記第2の内部クロック信号は、
前記第2の遅延回路における遅延量に基づいて、出力タイミングが定まる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2の遅延回路における遅延量は、
前記外部クロック信号が入力されてから所定時間以内に前記出力データを出力するように定められる、請求項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記出力データを出力する出力回路をさらに備え、
前記第2の遅延回路における遅延量は、
前記出力回路において遅延時間が加算される前記出力データが、前記外部クロック信号が入力されてから前記所定時間以内に出力されるように定められる、請求項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の遅延クロック信号は、
前記第2の遅延回路と、前記入力データを入力する入力バッファ回路と実質的に同一な第1の入力バッファ回路と、前記出力データを出力する出力回路と実質的に同一な第1の出力回路と、を介して前記第2のPLL回路へ入力される、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
以下を含む半導体装置
(a)通信制御部と;
ここで前記通信制御部は以下を含む:
(i)外部のデータを入力するデータ入力バッファ回路と;
(ii)外部クロック信号を入力するクロック入力バッファ回路と;
(iii)前記外部クロック信号と第1の遅延クロック信号との位相調整を行い、入力データの取り込みに用いられる第1の内部クロック信号を生成する第1のPLL回路と;
(iv)前記第1のPLL回路から出力される前記第1の内部クロック信号を遅延させ、遅延させた前記第1の内部クロック信号を前記第1の遅延クロック信号として前記第1のPLL回路へ出力する第1の遅延回路と;
(v)前記外部クロック信号と第2の遅延クロック信号との位相調整を行い、出力データの出力に用いられる第2の内部クロック信号を生成する第2のPLL回路と;
(vi)前記第2のPLL回路から出力される前記第2の内部クロック信号を遅延させ、遅延させた前記第2の内部クロック信号を前記第2の遅延クロック信号として前記第2のPLL回路へ出力する第2の遅延回路とからなり
前記データ入力バッファ回路と前記クロック入力バッファ回路とは同一の回路構成を有し遅延時間が実質的に同一であり、
(b)メモリに格納されているプログラムを用いて、前記通信制御部を制御するモジュール制御部。
【請求項9】
前記通信制御部は、
インタフェースICと接続される、請求項に記載の半導体装置。
【請求項10】
以下を含む電子装置:
(a)通信制御部と;
ここで前記通信制御部は以下を含む:
(i)外部のデータを入力するデータ入力バッファ回路と;
(ii)外部クロック信号を入力するクロック入力バッファ回路と;
(iii)前記外部クロック信号と第1の遅延クロック信号との位相調整を行い、入力データの取り込みに用いられる第1の内部クロック信号を生成する第1のPLL回路と;
(iv)前記第1のPLL回路から出力される前記第1の内部クロック信号を遅延させ、遅延させた前記第1の内部クロック信号を前記第1の遅延クロック信号として前記第1のPLL回路へ出力する第1の遅延回路と;
(v)前記外部クロック信号と第2の遅延クロック信号との位相調整を行い、出力データの出力に用いられる第2の内部クロック信号を生成する第2のPLL回路と;
(vi)前記第2のPLL回路から出力される前記第2の内部クロック信号を遅延させ、遅延させた前記第2の内部クロック信号を前記第2の遅延クロック信号として前記第2のPLL回路へ出力する第2の遅延回路とからなり
前記データ入力バッファ回路と前記クロック入力バッファ回路とは同一の回路構成を有し遅延時間が実質的に同一であり、
(b)メモリに格納されているプログラムを用いて、前記通信制御部を含むモジュールを制御するモジュール制御部と;
(c)前記モジュールと接続される外部装置。
【請求項11】
前記電子装置は、カーナビゲーションシステムである、請求項10に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び該半導体装置を用いた電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つのPLL(Phase Locked Loop)回路が用いられ、データ入力タイミング及びデータ出力タイミングを調整するタイミング調整回路の構成が開示されている。
【0003】
特許文献2には、カーナビゲーションシステムの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−316879号公報
【特許文献2】特開2009−128313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者等は、半導体装置の開発に際し、様々な課題を見出した。本願で開示される各実施の形態は、例えば電子装置等に好適な半導体装置を提供する。さらに詳細な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される一つの態様は半導体装置を含み、当該半導体装置は、受信用内部クロックを生成するPLL制御回路と、送信用内部クロックを生成するPLL制御クロックとから構成される。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示の実施の形態によれば、例えば電子装置等に好適であって、良質な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかるカーナビゲーションシステムの構成図である。
図2】実施の形態1にかかる通信制御部の構成図である。
図3】実施の形態1にかかる制御用PLL回路の構成図である。
図4】実施の形態1にかかる通信制御部の動作を示すタイミングチャートである。
図5】実施の形態2にかかる通信制御部の構成図である。
図6】比較例に用いられる半導体装置の構成図である。
図7】比較例に用いられる半導体装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<電子装置の構成例>
最初に図1を用いて、実施の形態にかかる電子装置EDの一例としてカーナビゲーションシステムの構成例について説明する。カーナビゲーションシステムは、半導体装置SD、メインメモリ121、外部メモリ122、GPS(Global Positioning System)123、DVD(Digital versatile Disc)ドライブ124、カメラ125、モニタ126及びインタフェースIC127から構成されている。
【0010】
半導体装置SDは、CPU(Central Processing Unit)101、モジュール102、モジュール103、バスブリッジ回路104、メモリコントローラ105及びバス106を備えている。また、CPU101、モジュール102及びバスブリッジ回路104は、バス106を介して接続されている。さらに、モジュール103は、バスブリッジ回路104と接続されている。
【0011】
メモリコントローラ105は、メインメモリ121と接続され、CPU101とメインメモリ121との間の通信を制御する。
【0012】
モジュール102は、ATAPI(ATA Packet Interface)107、グラフィック描画108、Video In109、表示制御部110及び通信制御部CCを備えている。モジュール102は、DVDドライブ124、カメラ125、モニタ126及びインタフェースIC127を制御するために用いられる。また、モジュール102は、通信制御部CCを用いて、インタフェースIC127との間の通信を制御する。インタフェースIC127は、例えば、車内LAN等のネットワークと通信するための処理を実行する。
【0013】
(比較例説明)
続いて、図6を用いて、図1の半導体装置SDが有する通信制御部CCについて本願の発明者らが検討した比較例の構成について説明する。
【0014】
比較例にかかる通信制御部CCは、データ入力端子DITを介して外部装置から出力されたデータ(外部入力データDIN)を入力するデータ入力バッファ151と、データ出力端子DOTを介して外部装置へデータ(外部出力データDOUT)を出力するデータ出力バッファ153と、クロック入力端子CITを介して外部入力クロック信号EXCKを入力するクロック入力バッファ152とを備えている。通信制御部CCは、半導体装置SDがインタフェースIC等と通信を行う際に、インタフェースIC等との間の通信を制御するために用いられる。さらに、通信制御部CCは、クロック入力バッファ152に入力された外部クロック信号EXCKを逓倍して内部クロック信号IntCKを生成する入力タイミング制御用PLL回路PLIを備えている。入力タイミング制御用PLL回路PLIは、遅延回路156を用いて、内部クロック信号IntCKの位相を調整する。入力回路154は、内部クロック信号IntCKを用いてデータ入力バッファ151に入力されたデータ(内部入力データIntDIN)を取り込む。出力回路157は、内部クロック信号を用いて、データ出力端子153へデータ(内部出力データIntDOUT)を出力する。また、入力タイミング制御用PLL回路PLIには、高電位側の電源端子VCC及び低電位側(接地電位)の電源端子VSSを介して電源が供給される。
【0015】
ここで、図7を用いて、図6の通信制御部CCにおけるデータ処理のタイミングチャートについて説明する。期間Tckdは、外部入力クロックEXCKと内部入力クロックIntCKとの位相差を示している。この位相差Tckdには、クロック入力バッファ152における遅延時間と、遅延回路156における遅延時間と、入力タイミング制御用PLL回路155におけるタイミング調整時間とが含まれる。期間Tiddは、外部入力データDINと、内部入力データIntDINとの位相差を示している。この期間Tiddには、データ入力バッファ151における遅延時間が含まれる。
【0016】
期間Tsは、内部入力データIntDINのセットアップ時間、期間Thは、内部入力データIntDINのホールド時間である。入力タイミング制御用PLL回路PLIは、予め定められたセットアップ時間Ts及びホールド時間Thを満たすように、内部入力クロックIntCKの位相を調整する。
【0017】
期間Toddは、内部出力データIntDOUTと外部出力データDOUTとの位相差を示している。この期間Toddには、データ出力バッファ153における遅延時間と、データ通信経路等における遅延時間とが含まれる。期間Tpdは、外部入力クロックExCKが入力されてから、外部出力データDOUTが出力されるまでの間の遅延時間である。この遅延時間Tpdの最小値と最大値は、予め定められた値であることが求められる。
【0018】
上述したように、セットアップ時間Ts、ホールド時間Th及び遅延時間Tpdは、外部装置又は規格等において定められるスペックを満たす必要がある。セットアップ時間Ts、ホールド時間Th及び遅延時間Tpdは、外部入力クロックEXCKとして低速クロック(例えば33MHz程度)が用いられた場合、容易にスペックを満たすことができる。しかし、セットアップ時間Ts、ホールド時間Th及び遅延時間Tpdは、クロック周波数が増大し外部入力クロックEXCKとして高速クロック(例えば、100MHz以上)が用いられた場合、スペックを満たすことが難しくなる。遅延時間Tpdの最大値と最小値は、遅延回路156で遅延量を調整することによって、所望の値にする必要がある。しかし、遅延回路156の遅延量を大きくし、位相差Tckdを大きくすれば、セットアップ時間Tsを満たさなくなる危険性がある。逆に、遅延回路156の遅延量を小さくし、位相差Tckdを小さくすれば、ホールド時間Thを満たさなくなる危険性がある。
【0019】
(実施の形態1)
<通信制御部の構成例>
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図2を用いて、図1のモジュール102に含まれる通信制御部CCの構成例について説明する。通信制御部CCは、データ入力バッファ11、クロック入力バッファ12、データ出力バッファ13、入力回路14、入力タイミング制御用PLL回路PLI、遅延回路16、出力タイミング制御用PLL回路PLO、遅延回路18及び出力回路19を備えている。また、入力タイミング制御用PLL回路PLI及び出力タイミング制御用PLL回路PLOには、低電位側(接地電位)の電源端子VSS及び高電位側の電源端子VCCから電源が供給される。
【0020】
データ入力バッファ11には、データ入力端子DITを介して、通信制御部CCの外部から出力された入力データ(外部入力データDIN)が入力される。データ入力バッファ11は、入力された外部入力データDINを、内部入力データIntDINとして入力回路14へ出力する。
【0021】
クロック入力バッファ12には、クロック入力端子CITを介して、インタフェースIC127から出力された外部入力クロックEXCKが入力される。クロック入力バッファ12は、外部入力クロックEXCKを、入力タイミング制御用PLL回路PLI及び出力タイミング制御用PLL回路PLOへ出力する。ここで、データ入力バッファ11とクロック入力バッファ12は、同一の回路構成を用いることによって実質的に同一の遅延時間となる。
【0022】
データ出力バッファ13は、データ出力端子DOTを介して、出力回路19からのデータ(内部出力データIntDOUT)を、インタフェースIC127等へ出力する。データ出力バッファ13が、インタフェースIC127等へ出力するデータを、外部出力データDOUTとする。
【0023】
入力タイミング制御用PLL回路PLIは、遅延回路16から出力される遅延クロック信号DICKとクロック入力バッファ12から出力される外部クロック信号EXCKとの位相調整を行う。具体的には、入力タイミング制御用PLL回路PLIは、クロック入力バッファ12から出力される外部クロック信号EXCKの位相を、遅延回路16から出力される遅延クロック信号DICKの位相と合わせるようにして調整した受信用内部クロック信号RCKを入力回路14へ出力する。また、入力タイミング制御用PLL回路PLIは、受信用内部クロック信号RCKに基づいて生成されたフィードバック信号RFSを遅延回路16に対しても出力する。
【0024】
遅延回路16は、フィードバック信号RFSに予め定められた遅延時間を付加し、遅延クロック信号DICKを生成する。遅延回路16は、生成した遅延クロック信号DICKを入力タイミング制御用PLL回路PLIへ出力する。
【0025】
入力回路14は、入力タイミング制御用PLL回路PLIから出力された受信用内部クロック信号RCKに基づいて、データ入力バッファ11から出力された内部入力データIntDINを取り込む。入力回路14は、取り込んだ内部入力データIntDINを、入力データとしてバス106を介してCPU101もしくはメモリコントローラ105へ出力する。
【0026】
出力タイミング制御用PLL回路PLOは、遅延回路18から出力される遅延クロック信号DOCKとクロック入力バッファ12から出力される外部クロック信号EXCKとの位相調整を行う。具体的には、出力タイミング制御用PLL回路PLOは、クロック入力バッファ12から出力される外部クロック信号EXCKの位相を遅延回路18から出力される遅延クロック信号の位相と合わせるようにして調整する。出力タイミング制御用PLL回路PLOは、送信用内部クロック信号TCKを出力回路19へ出力する。また、出力タイミング制御用PLL回路PLOは、送信用内部クロック信号TCKに基づいて生成されたフィードバック信号TFSを遅延回路18に対しても出力する。
【0027】
遅延回路18は、フィードバック信号TFSに予め定められた遅延時間を付加し、遅延クロック信号DOCKを出力タイミング制御用PLL回路PLOへ出力する。
【0028】
出力回路19は、出力タイミング制御用PLL回路PLOから出力される送信用内部クロックTCKに基づいて、バス106を介して出力された出力データを取り込み、外部装置等へ出力する内部出力データIntDOUTをデータ出力バッファ13へ出力する。
【0029】
<PLL回路の構成例>
続いて、図3を用いて図2の通信制御部111に含まれる入力タイミング制御用PLL回路PLIの構成例について説明する。出力タイミング制御用PLL回路PLOは、入力タイミング制御用PLL回路PLIと同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0030】
入力タイミング制御用PLL回路PLIは、分周器41、位相比較器42、チャージポンプ43、ループフィルタ44、VCO45、分周器46及び選択回路47を備えている。
【0031】
分周器41は、入力タイミング制御用PLL回路PLIに入力された外部入力クロック信号EXCKを分周し、分周した信号を位相比較器42へ出力する。位相比較器42は、分周器41及び選択回路47から出力された信号の位相を比較する。位相比較器42は、分周器41及び選択回路47から出力された信号の位相差に応じた電圧をチャージポンプ43へ出力する。チャージポンプ43は、位相比較器42から出力された電圧を上昇させる。チャージポンプ43は、上昇させた電圧をループフィルタ44へ出力する。
【0032】
ループフィルタ44は、例えばローパスフィルタが用いられる。ループフィルタ44は、電圧の不要な変動を遮断する。ループフィルタ44は、不要な変動を遮断した電圧をVCO45へ出力する。VCO45は、入力された電圧に応じた出力周波数を決定し、決定した出力周波数に設定された信号(RCK)を入力回路14へ出力する。分周器46は、VCO45から出力された信号の出力周波数を分周し、分周した信号(RFS)を選択回路47及び遅延回路16へ出力する。選択回路47は、入力タイミング制御用PLL回路PLIの外部回路、例えば、遅延回路16から出力された信号(DICK)と、分周器46から出力された信号(RFS)とのいずれかを選択し、選択した信号を位相比較器42へ出力する。
【0033】
<通信制御部のタイミングチャート>
続いて、図4を用いて通信制御部111におけるタイミングチャートについて説明する。期間Tckdは、外部入力クロックEXCKと受信用内部入力クロックRCKとの位相差を示している。この位相差Tckdには、クロック入力バッファ12における遅延時間と、遅延回路16における遅延時間と、入力タイミング制御用PLL回路PLIにおけるタイミング調整時間とが含まれる。
【0034】
期間Tiddは、外部入力データDINと内部入力データIntDINとの位相差を示している。この期間Tiddには、データ入力バッファ11における遅延時間が含まれる。
【0035】
期間Tsは、内部入力データ(D1)のセットアップ時間であり、期間Thは、内部入力データ(D1)のホールド時間である。受信用内部クロックRCKは、内部入力データIntDINを取り込む際にセットアップ時間Ts及びホールド時間Thを満たすように、入力タイミング制御用PLL回路PLI及び遅延回路16を用いて位相調整される期間Ts及び期間Thは、例えばインタフェースIC127の仕様を満たすように予め定められている。
【0036】
期間Toddは、内部出力データIntDOUTと外部出力データDOUTとの位相差を示している。この期間Toddには、データ出力バッファ13における遅延時間が含まれる。期間Tpdは、外部入力クロックEXCKが入力されてから、外部出力データDOUTが出力されるまでの遅延時間である。この遅延時間Tpdの最小値と最大値は、あらかじめ定められた値以内であることが求められる。送信用内部クロックTCKは、データ出力端子を介して出力される外部出力データが、あらかじめ定められた遅延時間Tpdを満たすように、出力タイミング制御用PLL回路PLO及び遅延回路18を用いて位相調整される。
【0037】
ここで、データ入力バッファ11とクロック入力バッファ12とは同一の回路構成を有するためデータ入力バッファ11及びクロック入力バッファ12において付加される遅延時間は、実質的に同一である。そのため、入力タイミング制御用PLL回路PLIは、入力回路14において、データ入力バッファ11から出力された外部入力データIntDINを取り込む際のセットアップ時間Ts及びホールド時間Thを満たすように、受信用内部クロックRCKの立ち上がりタイミングを調整するのみである。つまり、データ入力バッファ11及びクロック入力バッファ12における遅延時間を考慮することなく、受信用内部クロックRCKの立ち上がりタイミングを調整するため、遅延回路16は、遅延回路18と比較して、短い遅延時間を与えるように構成される。
【0038】
以上説明したように、実施の形態1における半導体装置は、入力タイミング制御用PLL回路PLIと、出力タイミング制御用PLL回路PLOとを備えている。入力タイミング制御用PLL回路PLIは、受信用内部クロックRCKを生成し、出力タイミング制御用PLL回路PLOは、送信用内部クロックTCKを生成する。受信用内部クロックRCKと送信用内部クロックTCKとは、それぞれ独立に生成される。そのため、予め定められたセットアップ時間Ts及びホールド時間Thを満たすように、入力タイミング制御用PLL回路PLIにおいて受信用内部クロックRCKの位相が調整される。さらに、予め定められた遅延時間Tpdを満たすように、出力タイミング制御用PLL回路PLOにおいて送信用内部クロックTCKの位相が調整されることにより、セットアップ時間Ts、ホールド時間Th及び遅延時間Tpdを同時に満たすことを可能とする。
【0039】
また、温度変化等の製造工程における環境変化に伴う特性変化、例えば、データ出力バッファ13における遅延時間の変動等が発生した場合においても、受信用内部クロックRCKもしくは送信用内部クロックTCKのいずれか一方のみの位相を調整することができる。つまり、入力タイミング制御用PLL回路PLI及び出力タイミング制御用PLL回路PLOを用いることにより、他方の内部クロックの位相に影響を与えることなく、受信用内部クロックRCKもしくは送信用内部クロックTCKのいずれか一方の位相を調整することができる。
【0040】
ここで、低速なクロック(一例として33MHZ程度)で動作する半導体装置に、本実施例と同様に入力タイミング制御用PLL回路および出力タイミング制御用PLL回路を設ける場合を考える。このような低速クロックで動作する半導体装置においては、PLL回路を用いなくても、セットアップ時間Ts、ホールド時間Th及び遅延時間Tpd等のスペックを比較的容易に満足することができる。仮に、このような半導体装置に、本実施例と同様に制御用PLL回路を2つ設けたたなら、回路面積の増大、さらにはチップ面積の増大につながるため、デメリットの方が大きいといえる。したがって、本実施例は高速クロック(一例として100MHZ以上)で動作する半導体装置への適用が有効である。
【0041】
(実施の形態2)
<通信制御部の構成例>
続いて、図5を用いて実施の形態2にかかる通信制御部CCの構成例について説明する。本図の説明においては、主に図2の通信制御部CCと異なる点について説明し、共通の構成については詳細な説明を省略する。図5の通信制御部CCは、図2の通信制御部CCに、遅延制御用REFバッファ31を追加した構成である。
【0042】
遅延制御用REFバッファ31は、入力バッファ32と、出力バッファ33とを備えている。出力バッファ33は、遅延回路18から出力された遅延クロック信号DOCKを一時的に格納する。出力バッファ33は、一時的に格納した遅延クロック信号DOCKを、入力バッファ32へ出力する。入力バッファ32は、出力バッファ33から出力された遅延クロック信号DOCKを一時的に格納する。入力バッファ32は、一時的に格納した遅延クロック信号DOCKを出力タイミング制御用PLL回路PLOへ出力する。
【0043】
つまり、遅延制御用REFバッファ31は、遅延回路18から出力された遅延クロック信号DOCKを、入力バッファ32及び出力バッファ33に一時的に格納することにより、さらに遅延を付加し、出力タイミング制御用PLL回路PLOへ遅延クロック信号DOCKを出力する。出力タイミング制御用PLL回路PLOから出力される送信用内部クロック信号TCKは、遅延回路18、出力バッファ33及び入力バッファ32において遅延時間が付加されて出力タイミング制御用PLL回路PLOへ入力される。ここで、出力タイミング制御用PLL回路PLOへ入力される外部クロック信号EXCKと遅延回路18等を介して出力タイミング制御用PLL回路PLOへ入力される遅延クロック信号DOCKとは同一の位相となるように制御される。そのため、出力タイミング制御用PLL回路PLOから出力される送信用内部クロック信号TCKは、出力タイミング制御用PLL回路PLOへ入力される外部クロック信号EXCKよりも、遅延回路18、出力バッファ33及び入力バッファ32において付加された遅延時間分だけ位相が進められる。
【0044】
ここで、入力バッファ32とクロック入力バッファ12は、同一の回路構成を用いることによって実質的に同一の遅延時間となる。さらに、出力バッファ33とデータ出力バッファは、同一の回路構成を用いることによって実質的に同一の遅延時間となる。また、遅延制御用REFバッファ31には、REFバッファ制御端子RCTを介して、クロック入力バッファ12及びデータ出力バッファ13における遅延に影響を与える外部負荷条件と同様の負荷条件が入力される。そのため、クロック入力端子12において付加される遅延時間と入力バッファ32において位相を進めるために付加される遅延時間とは実質的に同一であり、データ出力端子13において付加される遅延時間と出力バッファ33において位相を進めるために付加される遅延時間とは実質的に同一である。そのため、クロック入力端子12及びデータ出力端子13において付加される遅延時間は、遅延制御用REFバッファ31を設けることにより打ち消される。そのため、遅延回路18においては、クロック信号の通信経路等の伝達遅延を調整し、遅延時間Tpdを満たすように付加する遅延時間が設定される。
【0045】
以上説明したように、実施の形態2における半導体装置は、入力タイミング制御用PLL回路PLI及び出力タイミング制御用PLL回路PLOを備えている。入力タイミング制御用PLL回路PLIは、受信用内部クロックRCKを生成し、出力タイミング制御用PLL回路PLOは、送信用内部クロックTCKを生成する。受信用内部クロックRCKと、送信用内部クロックTCKとは、それぞれ独立に生成される。そのため、予め定められたセットアップ時間Ts及びホールド時間Thを満たすように入力タイミング制御用PLL回路PLIにおいて受信用内部クロックRCKの位相を調整し、予め定められた遅延時間Tpdを満たすように出力タイミング制御用PLL回路PLOにおいて送信用内部クロックTCKの位相を調整することにより、セットアップ時間Ts、ホールド時間Th及び遅延時間Tpdを同時に満たすことを可能とする。特に、遅延時間Tpdを調整するために、遅延回路18、入力バッファ32及び出力バッファ33を用いる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0047】
11 データ入力バッファ
12 クロック入力バッファ
13 データ出力バッファ
14 入力回路
PLI 入力タイミング制御用PLL回路
16 遅延回路
PLO 出力タイミング制御用PLL回路
18 遅延回路
19 出力回路
31 遅延制御用REFバッファ
32 入力バッファ
33 出力バッファ
41 分周器
42 位相比較器
43 チャージポンプ
44 ループフィルタ
45 VCO
46 分周器
47 選択回路
SD 半導体装置
101 CPU
102 モジュール
103 モジュール
104 バスブリッジ回路
105 メモリコントローラ
106 バス
107 ATAPI
108 グラフィック描画
109 Video In
110 表示制御部
111 通信制御部
112 通信制御部
121 メインメモリ
122 外部メモリ
123 GPS
124 DVDドライブ
125 カメラ
126 モニタ
127 インタフェースIC
151 データ入力バッファ
152 クロック入力バッファ
153 データ出力バッファ
154 入力回路
155 入力タイミング制御用PLL回路
156 遅延回路
157 出力回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7