(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940422
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/12 20060101AFI20160616BHJP
F21S 8/10 20060101ALI20160616BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20160616BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20160616BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20160616BHJP
F21W 101/10 20060101ALN20160616BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20160616BHJP
【FI】
F21S8/12 130
F21S8/10 150
F21S8/10 180
F21S8/12 110
H01L33/00 L
H01L33/00 410
H01L33/00 430
F21W101:10
F21Y101:02
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-213788(P2012-213788)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-67668(P2014-67668A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】駒野 健二
(72)【発明者】
【氏名】奥村 貫一
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 啓輔
【審査官】
當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−82066(JP,A)
【文献】
特開2009−158276(JP,A)
【文献】
特開2012−164550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10−8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子からの青色光と当該青色光によって励起された蛍光体からの黄色光とが混合されてなる白色光をそれぞれ出射させるとともに、左右方向に略沿って配列された複数のLEDと、
左右方向に略沿った焦線を有するとともに前記複数のLEDの発光面に対向配置され、当該複数のLEDから出射された白色光を前方へ照射する光学部材と、
を備え、前方に所定の配光パターンを形成する車両用灯具において、
前記複数のLEDは、左右方向と直交する発光方向に各発光面を向けるとともに、第一LEDと、当該第一LEDよりも輝度が低い第二LEDと、から構成され、
前記第一LEDは、左右方向及び前記発光方向の何れとも直交する直交方向における発光面の両端のうち、前記光学部材によって前記配光パターンの上端に照射される白色光を出射させる一端を、前記焦線上に略一致させており、
前記第二LEDは、発光面のうち前記直交方向の両端よりも内側の部分を、前記焦線上に位置させていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第二LEDは、発光面の前記一端と前記焦線との距離が、前記直交方向に沿った発光面の長さの半分よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第一LED及び前記第二LEDがそれぞれ少なくとも1つ設けられ、
前記第一LEDの合計の輝度が前記第二LEDの合計の輝度の1.5倍以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光学部材は、前記複数のLEDから出射された白色光を前方へ反射させるリフレクタであり、
前記リフレクタは、前記焦線を有する放物柱面状の反射面を有し、
前記複数のLEDは、
各発光面を上方又は下方に向けており、
当該複数のLEDのうち、前記第一LEDが発光面の前端を前記焦線上に略一致させ、前記第二LEDが発光面の前端を前記焦線よりも前側に位置させていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光学部材は、前記焦線を後方に有するとともに前記複数のLEDの前方に配置されて、当該複数のLEDから出射された白色光を上下反転させつつ前方へ投影させる投影レンズであり、
前記複数のLEDは、
各発光面を前方に向けており、
当該複数のLEDのうち、前記第一LEDが発光面の下端を前記焦線上に略一致させ、前記第二LEDが発光面の下端を前記焦線よりも下側に位置させていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車用のフォグランプなどの車両用灯具として、複数のLED(発光ダイオード)から出射させた光をリフレクタなどの光学部材によって前方へ照射させて、前方に所定の配光パターンを形成するものが知られている。
【0003】
この種の車両用灯具として、例えば特許文献1に記載のものでは、左右方向に沿った焦線(焦点軸)を有するリフレクタ(反射面)と、当該リフレクタの焦線上に配列させた複数のLEDとを用い、複数のLEDから出射させた光をリフレクタで前方へ反射させて、左右に長尺な配光パターンを形成している。このような車両用灯具では、配光パターン上端のカットオフライン(明暗境界線)が明瞭に形成されるように、当該カットオフラインへの光が出射される各LEDの端部をリフレクタの焦線上に合わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4633635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両用灯具に用いられるLEDとしては、半導体発光素子と蛍光体とによって白色光を出射させるものが広く知られている。このようなLEDでは、半導体発光素子から蛍光体へ青色の励起光を照射することによって、蛍光体が励起されて発する黄色光と励起光とが混合(混色)されて、白色光が得られるようになっている。
【0006】
しかしながら、上述のようなLEDでは、蛍光体中での光路長に応じて励起光(青色光)と黄色光との混色程度が変化するため、半導体発光素子から放射状に出射される励起光のうち、蛍光体へ真っ直ぐ向かう光軸からの出射角が大きいものほど、蛍光体中での光路長が長くなり、ひいては黄みがかった白色光となる。つまり、LEDの端部からは、黄みがかった白色光が出射されてしまう。
【0007】
そのため、このようなLEDを上記従来の車両用灯具に用いた場合には、複数のLEDの各端部から出射される黄みがかった白色光が重畳して配光パターンのカットオフラインが形成される結果、当該カットオフラインが黄みがかったものとなって、色ムラのある好ましくない配光パターンが形成されてしまう。このような色ムラを抑える対策としては、遮光部材などによって各LEDの端部からの光を遮光することが考えられるが、この場合には、光束利用率の低下や、遮光部材の追加に伴う高コスト化などの新たな問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、LEDの端部からの光を遮光することなく、配光パターンの色ムラを抑制することができる車両用灯具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
半導体発光素子からの青色光と当該青色光によって励起された蛍光体からの黄色光とが混合されてなる白色光をそれぞれ出射させるとともに、左右方向に略沿って配列された複数のLEDと、
左右方向に略沿った焦線を有するとともに前記複数のLEDの発光面に対向配置され、当該複数のLEDから出射された白色光を前方へ照射する光学部材と、
を備え、前方に所定の配光パターンを形成する車両用灯具において、
前記複数のLEDは、左右方向と直交する発光方向に各発光面を向けるとともに、第一LEDと、当該第一LEDよりも輝度が低い第二LEDと、から構成され、
前記第一LEDは、左右方向及び前記発光方向の何れとも直交する直交方向における発光面の両端のうち、前記光学部材によって前記配光パターンの上端に照射される白色光を出射させる一端を、前記焦線上に略一致させており、
前記第二LEDは、発光面のうち前記直交方向の両端よりも内側の部分を、前記焦線上に位置させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のLEDのうち、第二LEDよりも輝度が高い第一LEDからの白色光が、光学部材(例えばリフレクタ)によって前方へ照射されて高光度の配光パターンを形成する一方で、第一LEDよりも輝度が低い第二LEDからの白色光が、同様に照射されて低光度の配光パターンを形成する。このとき、配光パターンの上端に白色光を照射させる第一LEDの発光面の一端が光学部材の焦線上に略一致しているので、当該発光面の一端から出射された白色光により配光パターンの上端に明瞭なカットオフラインが形成され、また、第二LEDの発光面のうち、左右方向及び発光方向の何れとも直交する直交方向の両端よりも内側の部分が焦線上に位置しているので、当該第二LEDからの光による低光度の配光パターンは、第一LEDからの光による高光度の配光パターンのカットオフラインを跨ぎつつ、当該高光度の配光パターンよりも上方に形成される。
【0011】
これにより、全てのLEDの発光面の端部を焦線上に一致させていた従来に比べ、発光面の一端を焦線上からずらした第二LEDの分だけ、当該第二LEDの一端から出射される黄みがかった白色光がカットオフラインに照射されなくなるため、当該カットオフラインの黄みがかりを薄めることができる。
また同時に、第二LEDが発光面の内側の部分を焦線上に位置させていることにより、当該発光面の一端からのものよりも青みがかった白色光がカットオフラインに照射されるため、第一LEDの発光面の一端からの黄みがかった白色光が、第二LEDからの青みがかった白色光によって、その色味が相殺され、より一層カットオフラインの黄みがかりを薄めることができる。
したがって、LEDの端部からの光を遮光することなく、配光パターンの色ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一の実施形態における車両用灯具の斜視図である。
【
図2】第一の実施形態における車両用灯具の平面図である。
【
図3】第一の実施形態における車両用灯具の縦断面図である。
【
図4】第一及び第二の実施形態における車両用灯具が前方の仮想スクリーン上に形成する配光パターンを示す図である。
【
図5】第二LEDの発光面の一端と焦線との距離が発光面長さの半分よりも大きい場合に形成される配光パターンを示す図である。
【
図6】第二の実施形態における車両用灯具の斜視図である。
【
図7】第二の実施形態における複数のLEDの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、各実施形態における車両用灯具から見た方向を意味するものとする。
【0014】
[第一の実施形態]
まず、本発明の第一の実施形態における車両用灯具1について説明する。
図1〜
図3は、車両用灯具1の斜視図、平面図及び縦断面図(左右方向に垂直な断面図)である。
これらの図に示すように、車両用灯具1は、図示しない車両の前部に搭載されて前方に配光パターンP(
図4参照)を形成するフロントフォグランプ(前部霧灯)であり、複数のLED(発光ダイオード)10,…と、リフレクタ11とを備えている。
【0015】
複数のLED10,…は、各発光面10aを下方へ向けた状態で、左右方向に略沿って等間隔で配列されている。各LED10は、半導体発光素子と、当該半導体発光素子の前面に配設された蛍光体と(何れも図示せず)によって発光面10aから白色光を出射させる、従来より公知のものである。当該LED10では、半導体発光素子から蛍光体の励起光としての青色光が出射され、この青色光が例えばYAG(Y3Al5O12:Ce3+)からなる蛍光体を励起して当該蛍光体から黄色光が出射される結果、これら青色光と黄色光とが混合(混色)されて白色光が出射される。このとき、半導体発光素子からの青色光は蛍光体中での光路長が長いものほど黄色光との混合が促進されるため、各LED10の発光面10aからは、端部に近い部分ほど、より黄みがかった白色光が出射される。
【0016】
また、複数のLED10,…は、主として配光パターンPを形成する複数の第一LED101,…と、配光パターンPの色ムラを抑制するための1つの第二LED102とから構成されている。
このうち、複数の第一LED101,…は、複数のLED10,…から1つの第二LED102を除いた残りのLED10,…であり、後述するリフレクタ11の第一反射面12aに対して所定の状態に配置されている。具体的には、複数の第一LED101,…は、第一反射面12aが有する左右方向に略沿った後述の焦線FL上に各発光面101aの前端を略一致させた状態で配列されている。
【0017】
一方、第二LED102は、複数のLED10,…のうち何れか任意の1つのLED10であり、本実施形態においては、複数のLED10,…のうちの略中央のものである。この第二LED102は、その発光面102aの前端を焦線FLよりも前側に位置させて、当該発光面102aのうち前後両端よりも内側の部分が焦線FL上に位置するように配置されている。このとき、発光面102aの前端と焦線FLとの距離Lは、後述するように、前後方向に沿った当該発光面102aの発光面長さWの半分よりも小さくなっていることが好ましい。
【0018】
なお、第一LED101及び第二LED102は、それぞれ少なくとも1つ設けられていればよく、各数量が特に限定されるものではない。但し、第一LED101は、主として配光パターンPを形成するものであるため、その輝度(複数の場合は合計の輝度)が第二LED102のものよりも高くなければならず、1.5倍以上に高いことがより好ましい。したがって、第一LED101及び第二LED102が同一の輝度で発光する同種のものである場合には、第一LED101の数量が第二LED102の数量よりも多ければよく、1.5倍以上の数量であることがより好ましい。
【0019】
リフレクタ11は、複数のLED10,…から下方へ出射された白色光を前方へ反射させる光学部材であり、複数のLED10,…の下方に配置されている。このリフレクタ11は、前方斜め上方へ開口する湾曲板状の湾曲板部12と、当該湾曲板部12の左右両端に立設された2つの側板部13,13とを有している。
【0020】
湾曲板部12は、上端の上下方向位置を複数のLED10,…の各発光面10aと略一致させつつ当該複数のLED10,…の下方に位置しており、その開口内面(上面)が複数のLED10,…の各発光面10aに対向している。そして、この開口内面が、複数のLED10,…から出射された白色光を前方へ反射させる第一反射面12aとなっている。第一反射面12aは、縦断面形状が左右方向に一様な放物柱面状に形成されており、左右方向に略沿った焦線FLを有している。この焦線FLは、上述したように、複数のLED10,…の各発光面10a上を通っている。
【0021】
2つの側板部13,13は、上端及び前端が湾曲板部12と一致した側面視略扇形状に形成されており、左右方向と直交するように立設されている。各側板部13の内側面(灯具内側の側面)は、複数のLED10,…から出射された白色光を第一反射面12aに向けて反射させる第二反射面13aとなっている。
【0022】
続いて、車両用灯具1による配光パターンPの形成態様について説明する。
図4は、灯具前方の仮想スクリーン上に形成される配光パターンPを示す図である。
【0023】
車両用灯具1において、複数のLED10,…を発光させると、当該複数のLED10,…から下方へ出射された白色光がリフレクタ11の第一反射面12a及び第二反射面13aによって前方へ反射される。より詳しくは、複数のLED10,…から下方へ出射された白色光は、直接又は第二反射面13aを介して間接的に、左右方向に沿った焦線FLを有する放物柱面状の第一反射面12aによって前方へ反射される。そのため、この反射光は、左右方向へ広く拡散されつつ前方へ照射されて、
図4に示すように、左右方向に長尺な配光パターンPを形成する。
【0024】
このとき、複数のLED10,…のうちの複数の第一LED101,…から出射された白色光が第一配光パターンP1を形成し、残る1つの第二LED102から出射された白色光が第二配光パターンP2を形成することで、これら2つの配光パターンP1,P2が重畳したものとして配光パターンPが形成される。
【0025】
第一配光パターンP1は、当該第一配光パターンP1を形成するための複数の第一LED101,…が、第二配光パターンP2を形成するための第二LED102よりも高い輝度を有するため、第二配光パターンP2よりも高光度で形成され、配光パターンPの輪郭をなす。また、複数の第一LED101,…が各発光面101aの前端を第一反射面12aの焦線FL上に略一致させているため、当該前端から出射された白色光が、第一反射面12aによって第一配光パターンP1の上端に強く集光されつつ照射される結果、当該第一配光パターンP1の上端,すなわち配光パターンPの上端に、明瞭なカットオフライン(明暗境界線)CLが形成される。
【0026】
一方、第二配光パターンP2は、第二LED102が複数の第一LED101,…よりも低い輝度を有しているため、第一配光パターンP1よりも低光度で形成され、配光パターンPの輪郭をなすことはない。また、第二LED102が、発光面102aのうち前後両端よりも内側の部分を焦線FL上に位置させているため、第二配光パターンP2は、カットオフラインCLを跨ぎつつ第一配光パターンP1よりも上方に形成される。
【0027】
これにより、全てのLED10,…の各発光面10aの前端を焦線FL上に一致させた場合に比べ、当該前端を焦線FL上からずらした第二LED102の分だけ、当該第二LED102の前端から出射される黄みがかった白色光がカットオフラインCLに照射されなくなるため、当該カットオフラインCLの黄みがかりが薄れることになる。
また同時に、第二LED102が発光面102aの内側の部分を焦線FL上に位置させていることにより、発光面102aの前端からのものよりも青みがかった白色光がカットオフラインCLに照射されるため、複数の第一LED101,…の各発光面101aの前端からの黄みがかった白色光が、第二LED102からの青みがかった白色光によって、その色味が相殺され、より一層カットオフラインCLの黄みがかりが薄れることになる。
【0028】
ここで、第二配光パターンP2の形成にあたっては、第二LED102の発光面102aの前端と焦線FLとの距離L、つまり、第二LED102を複数の第一LED101,…よりも前側へ移動させるその移動量は、前後方向に沿った発光面102aの発光面長さWの半分よりも小さくなっていることが好ましい。この距離Lが発光面長さWの半分よりも大きいと、
図5に示すように、第二配光パターンP2が第一配光パターンP1よりも大きく上方に移動して、発光面102aの中央から出射される強い光がカットオフラインCLよりも上方に照射されてしまい、配光パターンPが各種規格の光度要件を満足しなくなる恐れがある。
【0029】
以上のように、第一の実施形態の車両用灯具1によれば、全てのLEDの発光面の端部を焦線上に一致させていた従来に比べ、発光面102aの前端を焦線FL上からずらした第二LED102の分だけ、当該第二LED102の前端から出射される黄みがかった白色光がカットオフラインCLに照射されなくなるため、当該カットオフラインCLの黄みがかりを薄めることができる。
また同時に、第二LED102が発光面102aの内側の部分を焦線FL上に位置させていることにより、当該発光面102aの前端からのものよりも青みがかった白色光がカットオフラインCLに照射されるため、複数の第一LED101,…の各発光面101aの前端からの黄みがかった白色光が、第二LED102からの青みがかった白色光によって、その色味が相殺され、より一層カットオフラインCLの黄みがかりを薄めることができる。
したがって、LED10の端部からの光を遮光することなく、配光パターンPの色ムラを抑制することができる。
【0030】
[第二の実施形態]
続いて、本発明の第二の実施形態における車両用灯具2について説明する。
図6は、車両用灯具2の斜視図であり、
図7は、車両用灯具2が備える複数のLED20,…の正面図である。
これらの図に示すように、車両用灯具2は、上記第一の実施形態における車両用灯具1と同様のフロントフォグランプであり、複数のLED20,…と、投影レンズ21とを備えている。
【0031】
複数のLED20,…は、各発光面20aを前方へ向けた状態で、左右方向に略沿って等間隔で配列されている。各LED20は、上記第一の実施形態におけるLED10と同様に構成されたものであり、発光面20aから白色光を出射させる。
また、複数のLED20,…は、上記第一の実施形態における複数のLED10,…と同様に、複数の第一LED201,…と、1つの第二LED202とから構成されている。
【0032】
このうち、複数の第一LED201,…は、投影レンズ21が有する左右方向に略沿った後述の焦線FL2上に各発光面201aの下端を略一致させた状態で配列されている。
一方、第二LED202は、その発光面202aの下端を焦線FL2よりも下側に位置させて、当該発光面202aのうち上下両端よりも内側の部分が焦線FL2上に位置するように配置されている。このとき、発光面202aの下端と焦線FL2との距離L2は、上記第一の実施形態における距離Lと同様に、上下方向に沿った当該発光面202aの発光面長さW2の半分よりも小さくなっていることが好ましい。
これら第一LED201及び第二LED202は、その他の点については、上記第一の実施形態における第一LED101及び第二LED102と同様に構成されており、輝度や数量についての互いの関係についても、これと同様である。
【0033】
投影レンズ21は、複数のLED20,…から出射された白色光を上下反転させつつ前方へ投影させる光学部材であり、複数のLED20,…の前方に配置されている。この投影レンズ21は、後面(入射面)が平面とされ、前面(出射面)が凸面とされた非球面平凸レンズであり、縦断面形状が左右方向に一様な形状に形成されて、左右方向に略沿った焦線FL2を後方に有している。この焦線FL2は、上述したように、複数のLED20,…の各発光面20a上を通っている。
【0034】
以上の車両用灯具2によっても、上記第一の実施形態における車両用灯具1と同様の効果を奏することができる。
【0035】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した第一及び第二の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0036】
例えば、上記各実施形態では、本発明に係る車両用灯具として、フロントフォグランプである車両用灯具1,2を例に挙げて説明したが、本発明は、カットオフラインを有する配光パターンを形成する車両用灯具であれば、例えばロービームを形成するヘッドランプなど、フォグランプ以外の車両用灯具にも好適に適用することができる。
【0037】
また、上記第一の実施形態では、複数のLED10,…の各発光面10aが下方に向けられていることとしたが、この発光面10aの向き(発光方向)は、複数のLED10,…の配列方向(左右方向)と直交していればよく、上方や斜め下方などであってもよい。
但し、この発光方向にリフレクタ11の配置等を対応させる必要があることは勿論である。またこの発光方向に応じて、各第一LED101の発光面101aは、複数のLED10,…の配列方向(左右方向)及び発光方向の何れとも直交する直交方向における両端のうち、リフレクタ11によって配光パターンPの上端に照射される白色光を出射させる一端を、焦線FL上に略一致させる必要があり、また、第二LED102は、発光面102aのうち上記直交方向の両端よりも内側の部分を焦線FL上に位置させる必要がある。
以上の点は、第二の実施形態における複数のLED20,…についても同様である。
【符号の説明】
【0038】
1,2 車両用灯具
10,20 LED
10a,20a 発光面(LEDの発光面)
101,201 第一LED
101a,201a 発光面(第一LEDの発光面)
102,202 第二LED
102a,202a 発光面(第二LEDの発光面)
11 リフレクタ(光学部材)
12a 第一反射面
FL 焦線
21 投影レンズ(光学部材)
FL2 焦線
P 配光パターン
P1 第一配光パターン
P2 第二配光パターン
CL カットオフライン
L,L2 距離(第二LEDの発光面の一端と焦線との距離)
W,W2 発光面長さ