特許第5940434号(P5940434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940434
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】蓋構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/06 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
   B60R7/06 Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-236982(P2012-236982)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-84075(P2014-84075A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 英治
(72)【発明者】
【氏名】加納 義宏
【審査官】 佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−92229(JP,A)
【文献】 特開2006−15893(JP,A)
【文献】 特開2004−155376(JP,A)
【文献】 特開2008−254582(JP,A)
【文献】 特開2007−284020(JP,A)
【文献】 特開2009−262695(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる回動軸を有し同じ方向に回動する、第1の蓋部材と第2の蓋部材とを有しており、前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材とで蓋が形成される蓋構造であって、
前記蓋構造が閉じた状態では、前記第1の蓋部材の外部から前記第1の蓋部材と部分的に重なるように前記第2の蓋部材が位置しており、かつ、前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材とが係合して、前記第2の蓋部材の回動が規制されており、
前記閉じた状態から前記第1の蓋部材が前記第2の蓋部材の方向に回動するにつれて前記第2の部材が持ち上げられ回動し、前記第1の部材と前記第2の部材の係合が外れる、蓋構造
【請求項2】
前記第1の蓋部材には開口部が形成されており、
前記第2の蓋部材には、前記第1の蓋部材の前記開口部を介して前記第1の蓋部材と係合可能な垂下脚が形成されており、
前記蓋構造が閉じた状態において、前記第1の蓋部材の前記開口部に前記第2の蓋部材の前記垂下脚が挿通され、前記垂下脚と前記第1の蓋部材とが係合している、請求項1に記載の蓋構造。
【請求項3】
前記垂下脚の先端は前記回動軸側に湾曲している、請求項2に記載の蓋構造。
【請求項4】
前記第2の蓋部材には、前記第1の蓋部材が90°以上回動すると前記第1の蓋部材上を摺動する突起が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の蓋構造。
【請求項5】
前記蓋構造は、車両の跳上げ収納式座席を係止する係止具を覆うためのものであり、
前記第1の蓋部材は、跳上げ収納式座席を車体に繋ぐ連結機構に連動して回動する、請求項1から4のいずれか1項に記載の蓋構造。
【請求項6】
それぞれ異なる回動部を有する第1の蓋部材と第2の蓋部材とで蓋が形成される蓋構造の開閉方法であって、
同じ方向に回動するように、かつ、前記第2の蓋部材が前記第1の蓋部材の外部から前記第1の蓋部材と部分的に重なるように、前記第1の蓋部材と前記第2の蓋部材とを配置し、
前記蓋構造の閉じた状態では、前記第1の蓋部材に設けた開口部を介して前記第2の部材に設けた垂下脚で前記第1の蓋部材と係止させ、
前記第1の蓋部材を回動させることで前記第2の蓋部材を持ち上げて回動させて、前記第1の蓋部材と前記垂下脚との係合を外し、
さらに前記第1の蓋部材を回動させて、前記第2の蓋部材を持ち上げて前記第2の蓋部材を回動させて、前記蓋構造を開いた状態にする、蓋構造の開閉方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの蓋部材からなる蓋構造に関し、特に自動車の跳上げ収納式の座席等を係止する係止具の蓋構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のバックドアのストライカや、跳上げ収納式の座席の脚等を係止する係止具に対して、それらの非使用時に、それらが室内側に露出する見栄えの悪さをもたらす。そのため、ストライカや係止具の非使用時には、それらを蓋部材で覆うことで見栄え向上が図られている。
【0003】
蓋部材の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の蓋部材は、弾性体からなる板状であり、蓋部材の中央部を横切るようにスリットが形成されている。ストライカや係止具の非使用時には蓋部材がそれらを覆う。一方、ストライカや係止具の使用時には、ストライカや係止具に係合する被係止部がスリットを介して蓋部材の内側に押し込まれると、蓋部材は弾性変形をするのでスリットが開く。そのため、被係止部はスリットを介して蓋部材の内部に入ることができ、被係止部とストライカや係止具とが係合することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1の蓋部材は、被係合部以外でも、たとえば、人の手の指で押しても開くことができるので、完全にストライカや係止具が覆われた蓋構造ではない。
【0005】
これに対して、非使用時のストライカや係止具を蓋部材で覆った状態では人の手指で押しても開かない蓋部材の構造が提案されている(例えば特許文献2)。
【0006】
また、蓋部材を設置すべき部分の面積が大きい、または形状が平坦でないなどの理由で複雑な開閉が必要となる場合は、2つ以上の蓋部材をヒンジで連結することが特許文献3に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3462142号公報
【特許文献2】実用新案登録第2565536号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第3903679号明細書
【特許文献4】特開2011−183821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3で示されている2つ以上の蓋部材で構成された蓋構造の場合、蓋部材の回動が規制されていないため、乗員が不意に蓋部材に触れたときに蓋部材が開いてしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、複数の蓋部材で構成され、蓋部材の回動が規制された蓋構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の蓋構造は、それぞれ異なる回動軸を有し同じ方向に回動する、第1の蓋部材と第2の蓋部材とを有しており、第1の蓋部材と第2の蓋部材とで蓋が形成される。蓋構造が閉じた状態では、第1の蓋部材の外部から第1の蓋部材と部分的に重なるように第2の蓋部材が位置しており、かつ、第1の蓋部材と第2の蓋部材とが係合して、第2の蓋部材の回動が規制されている。閉じた状態から第1の蓋部材が第2の蓋部材の方向に回動するにつれて第2の部材が持ち上げられ回動し、第1の部材と第2の部材の係合が外れる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓋部材の回動が規制されているため、蓋部材が容易に開くことがない。また、リンク機構と組み合わせることで、自動的に蓋部材を開閉させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の蓋構造を適用可能な、跳上げ式の座席を備えた自動車のデッキ部を示す外観図である。
図2図1のA部の拡大図を示す。
図3図3に、本発明の蓋構造の斜視図を示す。
図4】本発明の蓋構造を構成する第1の蓋部材と第2の蓋部材の外観図であって、(a)は第1の蓋部材を、(b)は第2の蓋部材を示す。
図5】蓋構造の回動の規制及び解除について説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0014】
図1は、本発明の蓋構造を適用可能な、跳上げ式の座席を備えた自動車のデッキ部を示す外観図である。なお、この図は、車両後方からバックドアを開いて見た状態である。また、2列目と3列目の座席の背もたれ部が後方に倒された状態である。
【0015】
デッキ部1は、下方のデッキフロア2と、両側部のデッキサイド3とからなり、それぞれ、デッキフロアトリム8、デッキサイドトリム7等の意匠性の内装材により覆われている。この種のデッキフロアトリム8は、カーペットや不織布を、またはそれらを成形したものを敷設したものである。また、デッキサイドトリム7は、樹脂(ポリプロピレン樹脂など)の成形体(射出成形、スタンプ成形)や、バインダー繊維を配合した不織布成形体からなり、デッキサイド3の形状に合わせて成形されている。デッキサイド3の上方には、窓6があることが一般的で、窓枠を覆う縁材が配設されている。なお、図1図2のデッキサイド3は、デッキサイドトリム7で覆われた状態である。
【0016】
この車両では、車両の前後方向に3列の座席列を備えている。各列の座席は、座部4と背もたれ部5とで構成されている。また、ヘッドレスト(不図示)を外した座席の背もたれ部5を後方に倒すことで、室内を平坦的に使うこと(フルフラット)が可能となっている。
【0017】
3列目の座席列はデッキ部1に位置し、車両の幅方向に5:5の長さの比率で2つの座席に分割されている。また、この2つの座席は、フルフラットに対応しているとともに、左右への跳上げ式の収納が可能な構造となっている。
【0018】
3列目の座席を跳上げ式に収納する手順を説明する。まず、座席の背もたれ部5を前方に倒して座部4の方に折り畳み重ねる(矢印X)。そして、座席の座部4と背もたれ部5とが重ねられた状態で、デッキ部1のデッキサイド3側に跳上げ(矢印Y)、デッキサイド3(デッキサイドトリム)に沿った位置Aに収納する。
【0019】
上記のように、折り畳んだ座席をデッキサイド3に跳ね上げる仕組みの一例としては、少なくとも座席の座部4の一部を、例えば特許文献4に開示されている4節リンク式の連結機構(不図示)によって車体の側面に連結する。さらに、座部4に、デッキフロア2方向(車両の高さ方向)に対して座部4を支持する支持脚(不図示)を、デッキフロア2との連結及び分離が可能な構成で設ける。
【0020】
そして、折り畳んだ座部4と背もたれ部5をデッキサイド3に跳ね上げる際には、座部4とデッキフロア3との連結を解除した上で、それらを連結機構によってデッキサイド3側に回動させて、位置Aに収納する。
【0021】
図2に、図1のA部の拡大図を示す。なお、図2では、開口部11は蓋構造21と、カバー12と、で覆われている。
【0022】
連結機構は、デッキサイド3を覆うデッキサイドトリム7を貫通し、座部3とデッキサイド3(車体)とをつないでいる。そのため、デッキサイドトリム7には開口部11が設けられている(図2及び図3参照)。
【0023】
座席を跳ね上げていないときに、連結機構が座席に着座した乗員から見えることは、見栄え上好ましくないため、デッキサイドトリム7の開口部11は開閉可能な蓋構造21で覆って、乗員から見えないようにしている。
【0024】
図3に、車体に取り付けられた本発明の蓋構造21の斜視図を示す。また、図4に、本発明の蓋構造21を構成する第1の蓋部材と第2の蓋部材の外観図を示す。図4(a)には第1の蓋部材を、図4(b)には第2の蓋部材を示す。なお、図3は、デッキサイドリム7の開口部11の内部の構造が分かるように、一部を省略して図示している。
【0025】
第1の蓋部材22及び第2の蓋部材23は、ともに、PP(Polypropylene)樹脂、PET(Polyethylene terephthalate)樹脂、またはABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene copolymer)樹脂等の熱可塑性樹脂、またはこれらにガラス繊維を含む樹脂を射出成形して形成される。第1の蓋部材22と第2の蓋部材23の大きさは、開口部11の大きさ等に合わせて適宜決定されるものであるが、一例としては、本体部22a、23aの大きさで200mm〜300mm×100mm〜150mm、板厚は、1.5mm〜3.0mm程度である。
【0026】
第1の蓋部材22は、比較的平坦で滑らかな表面を有する、略矩形状の本体部22aと、本体部22aの一方の対向する端部(車両の前後方向の端部)に設けられ、表面から裏面に向かって突出する側壁部22bとを有する。また、本体部22aの他方の対向する端部(車両の幅方向の端部)の一方の端(車室側)は、裏面側にゆるやかに湾曲する湾曲部22cとなっている。本体部22aの他方の対向する端部の他端(車両側部側)は、複数の開口部22d、本実施形態では2つの開口部22dが設けられている。なお、開口部22dのサイズの一例としては、10mm×15mmである。また、側壁部22bの一方の端部(車室側端部)には、カバー12と角度可変に係合するように、係合軸22eが設けられている。側壁部22bの他方の端部(車側部側端部)には、第1の蓋部材22の回転の軸となる回動部22fが設けられている。
【0027】
第2の蓋部材23は、第1の蓋部材22と同様、比較的平坦で滑らかな表面を有する、略矩形状の本体部23aと、本体部23aの裏面に、本体部と一体的に設けられた垂下脚23b及び摺接突起23cと、を有している。本実施形態では、垂下脚23bと摺接突起23cとをそれぞれ1対ずつ設けた。
【0028】
垂下脚23bと摺接突起23cは、本発明の蓋構造21の回動やロックの安定性のために、垂下脚23bは、1対の対向する端部(車両の幅方向の端部)の一方の端(車室側端部)に沿った方向に間隔を置いて配置されており、摺接突起23cも同様に配置されている。なお、摺接突起23cは、垂下脚23bよりも他方の端部(車側部側端部)側に位置している。
【0029】
本発明の蓋構造21では、垂下脚23bは第1の蓋部材22の開口部22bを介して第1の蓋部材22と係合するようになっている。また、1対の対向する端部(車両の幅方向の端部)の他方の端(車側部側端部)には回動部23dが設けられている。
【0030】
垂下脚23bは、本体部23aの裏面から鉛直に延びる脚本体23b1と、脚本体23b1の先端の10mmほどを、前述した対向する1対の端部の他方の端側(車側部側)にゆるやかに湾曲している湾曲部23b2とからなる。垂下脚23bの大きさは、本体部23aの裏面からの高さが20mm〜30mm、幅が15mm〜20mm程度である。
【0031】
第2の蓋部材22の湾曲部23b2の内側にリブを形成することで、湾曲部23b2を補強することができるとともに、垂下部23bと第1の蓋部材22とが係合するときや係合が外れるときに生じる垂下部23bと第1の蓋部材22との間の摺動抵抗(面積)を下げることができる。
【0032】
摺接突起23cの形状は、水平状態において、1対の対向する端部(車両の幅方向の端部)の一方の端側(車側部側)に傾斜した滑らかな摺接面を少なくとももった形状が好ましい。また摺接突起23cの大きさは、高さが15mm〜20mm程度である。摺接突起23cの高さは、垂下脚23bの高さの90%〜30%が適する。
【0033】
第1及び第2の蓋部材22、23の本体部22a、22bの表面は、意匠面として、紋加工をほどこし、または塗装を施すなどしてもよい。
【0034】
蓋構造21は、第1の蓋部材22の回動部22fと第2の蓋部材23の回動部23dとが同方向を向いており、つまり、同方向に回動可能になっており、第1の蓋部材22の表面に第2の蓋部材23が部分的に重なるようになっている(第1の蓋部材22の湾曲部22c側では重ならない)。蓋構造21が閉状態では、第1の蓋部材22の開口部22dを介して、第2の蓋部材23の垂下脚23bが第1の蓋部材22と係合している。
【0035】
デッキサイドトリム7の開口部11の内部の様子を説明する。デッキサイド3に回動可能に取り付けられた支持部31が、不図示の座席を支持している。また、カバー12が回動可能に支持部31に接続している。また、第1の蓋部材22の回動部22fが、回動可能にデッキサイド3に取り付けられており、係合軸22eがカバー12と係合している。そして、第2の蓋部材23の回動部23dが回動可能にデッキサイド3に取り付けられている。また、座席の跳ね上げを補助するバネ33も設けられている。
【0036】
上記のような構成によって、支持部31の2つの回動部と第1の蓋部材22の係合軸22eと第1の蓋部材22の回動部22f及びそれらをつなぐ部材とで4節のリンク機構が構成される。
【0037】
次に、図5を用いて、本発明の第1及び第2の蓋部材22、23からなる蓋構造21の回動の規制及び解除について説明する。(a)から(g)は、回動の流れを順に示しており、各図の中央には、支持部31の位置を模式的に示し、各図の右側には、図2のBB断面における概略図を示す。
【0038】
まず、(a)に示す、開口部11の閉状態では、第1の蓋部材22の本体部22aと、第2の蓋部材23の本体部23a、リンク機構の一部である支持部31は、デッキフロアにほぼ平行である。そして、第2の蓋部材23の端部が、第1の蓋部材22の端部に重畳する状態となっている。このとき、第2の蓋部材23の垂下脚23bは、第1の蓋部材22の開口部22dに挿通しており、垂下脚23bの先端の湾曲部23b2が、第1の蓋部材22と係合するため、第2の蓋部材23は単独で回動できない状態となっている。
【0039】
座席が回動、つまり、支持部31が回動すると、リンク機構が水平から車室側壁側(デッキサイド3側)へ起立する方向に回動を始めるとともに、第1の蓋部材22が回動部22fを中心に水平方向から車室側壁側へ徐々に回動する。そして、第1の蓋部材22に持ち上げられるように、第1の蓋部材22に重畳している第2の蓋部材23も、同方向に徐々に回動する。
【0040】
第1の蓋部材22の回動が進むと第2の蓋部材23と相対する角度が変わり、垂下脚23bが、第1の蓋部材22の開口部22dから徐々に抜けて、垂下脚23bと第1の蓋部材との係合が外れる(図5(b)〜(d)参照)。
【0041】
さらに支持部31の回動が進むと、支持部31はデッキフロア2に対して鉛直になり、さらに支持部31が鉛直を越えて30度程度車側部へ倒れた状態になると、第1の蓋部材22も連動して、鉛直を越えて回動する。この回動によって、第1の蓋部材22が第2の蓋部材23に対して摺動し、第2の蓋部材23の、第1の蓋部材22に接する位置が、本体部23aの端縁から垂下脚23bの先端そして摺接突起23cへと移っていく。これにより、第2の蓋部材23が第1の蓋部材22に連動して滑らかに回動していくことができる(図5(e)〜(f)参照)。
【0042】
最終的に、図5(g)に示すように、摺接突起23cの先端が、第1の蓋部材22の湾曲部22cを乗り越え、蓋構造21の開状態を安定的に維持することができる。
【0043】
なお、上記説明では、図5(a)から(g)へと遷移する、蓋構造21を開く流れを説明したが、図5(g)から(a)へと遷移しながら、蓋構造21を閉じることも可能である。
【0044】
本発明の蓋構造は、回動軸をずらして配置された第1及び第2の蓋部材を一部が重畳するように隣接させて配置することで、面積が大きく、形状が一様ではない部位を覆うことができる。また、この蓋構造の閉状態では、第2の蓋部材の裏面の垂下脚を第1の蓋部材の本体部の開口部を介して第1の蓋部材に係合させることで、第2の蓋部材の回動を規制することができ、第1の蓋部材の回動だけを規制しておけば、第2の蓋部材の回動を連動して規制することができる。
【0045】
本発明の蓋構造を、自動車の跳上げ収納式の座席を係止する係止具の蓋として利用した場合、座席の使用状態(跳上げ収納していない状態)で、座席に着座した乗員の横に蓋構造が手で触れることができる位置にあるが、第1の蓋部材は座席のリンク機構に連動して回動が規制されており、第2の蓋部材は第1の蓋部材によって回動が規制されているので、乗員が不用意に、これら第1及び第2の蓋に触れても、蓋が開かず、係止具が露出することを防止できる。
【符号の説明】
【0046】
21 蓋構造
22 第1の蓋部材
22c 湾曲部
22d 開口部
22f 回動部
23 第2の蓋部材
23b 垂下脚
23c 摺接突起
23d 回動部
図3
図4
図5
図1
図2