【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、一般的に、イソブテンを除去した後の混合C
4供給原料からのブタジエンの製法に係る。イソブテンの除去は、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔を使用することによって達成される。塔内における異性化反応は1-ブテンを2-ブテンに転化し、同時に、分別を行って、イソブテンを2-ブテンから分離する。塔からのオーバーヘッドでは、いくらかのイソブタンがイソブチレンに同伴され、一方、塔からのボトムスでは、n-ブテンが2-ブテンに同伴される。1-ブテンの2-ブテンへの転化は、1-ブテンが塔のオーバーヘッドに入ることを妨げ、1-ブテンを生産的な形に変化させ、塔からのボトムスに入ることを可能にし、ここで、イソブテンによって同伴されることなく、ブタジエンの製造に利用される。組合せブタジエン異性化反応及び蒸留塔の例は、上述の米国特許第6,242,661号及び第6,849,773号に開示されている「CDdeIB(登録商標)」システム(CDTECH(「CDHydro(登録商標)」Technologiesの1部門である)製)である。塔におけるn-ブテンの異性化に使用される触媒は、好ましくは、0.3−0.4質量%Pdアルミナタイプの触媒である。
【0021】
(CD deIB)組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのオーバーヘッドは、わずかに少量のn-ブテンを含む主としてイソブテン及び/又はイソブタンを含有する。組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのボトムスは、極少量のイソブテンを含む主として2-ブテン及びわずかのn-ブタンを含んでなる。
【0022】
塔からのボトムスを、2-ブテン(及び必要であればn-ブタン)をブタジエンに転化するための1以上の脱水素化反応器ユニットに供給する。n-ブテンをブタジエンに転化するためには、オキシ脱水素化システムが使用される。塔からのボトムスに実質的な量のn-ブタンが存在する場合、又は別のストリーム中で供給されるn-ブタンがある場合には、当業者に知られている方法、例えば、(i)Lummus CATADIENE(登録商標)法を使用する非酸化脱水素化、(ii)自熱式酸化脱水素化を含む脱水素化プロセス(ここで、一般に、いくつかの化合物、例えば、酸素が、炭化水素又は好ましくは脱水素化反応によって発生した水素を燃焼させるために、主反応である吸熱脱水素化反応の熱要求を満足するように熱を発生させるに充分な量で添加される)、又は(iii)独自のオキシ脱水素化によって、n-ブタンをn-ブテンに転化するために追加の脱水素化ユニットを追加することができる。本発明と一体となった場合、これらのいずれにおいても、主としてn-ブテンを製造するためにn-ブタンの脱水素化ユニットが利用され、生成されたn-ブテンは、ブタジエンを製造するために、最終の脱水素化反応ユニットにおいて使用される。このように、n-ブタンから直接ブタジエンを生成するシングル工程法以外に、n-ブタンからn-ブテン、ついでブタジエンを製造する2反応工程法がある。n-ブタンの脱水素化のためのシステムは、n-ブタンの量及び他の考慮すべき事項に応じて、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットの上流、又はブタジエン及び独自のリサイクルストリームのいずれかの除去後、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットからのC
4流出物に対して下流に位置できる。
【0023】
CATADIENE(登録商標)プロセスは、それ自体で、シングル反応工程として使用されるものであり、n-ブタンのn-ブテンへの部分転化及びさらにブタジエンへの部分転化を達成して、流出物としてn-ブタン及びn-ブテンを生成し、これらは、生成物ブタジエンの除去後に再循環される。しかし、多量の再循環が要求されること及び全体のコストのため、CATADIENEと共に2工程法を利用し、生成されたn-ブテンを本発明のオキシ脱水素化プロセスに供給することが、より対費用効果が高い。
【0024】
さらに他の選択肢として及びn-ブタンの量及び他のファクターに応じて、ブタジエン製造プロセスの部分を差し控えるためには、n-ブタンをn-ブテン又はブタジエンに転化するための追加の脱水素化ユニットは省略される。
【0025】
組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのオーバーヘッドは、主としてイソブテン及び可及的にイソブタン、加えて、存在するいくらかの「軽質」成分を含んでなる。付加価値に関する選択肢として、オーバーヘッドストリームを「逆」異性化ユニットに供給し、ここで、イソブテンを部分的にn-ブテンに転化して、混合ブテンストリームを生成することもできる。混合ブテンストリームは、上述のように、その新たに生成された1-ブテンの2-ブテンへの転化及び新たに生成された全ての2-ブテンの回収のために、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔にフィードバックされる。このようにイソブテンを転化し及びその生成物を回収することによって、方法全体の収率が増大し、イソブテン蒸留物の排出が低減又は排除される。
【0026】
実質的な量のイソブタンが存在する場合、イソブタンは組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からオーバーヘッドに入る。1具体例では、イソブタンをイソブテンに転化するため当業者にとって公知の方法による、例えば、Lummus CATOFIN(登録商標)プロセスを使用する非酸化脱水素化による、又は他のタイプの脱水素化プロセスによる脱水素化ユニットが追加される。これは、塔からのオーバーヘッドストリームにおけるイソブテン含量を増大させるものであり、必要であれば、イソブテンは排出され、又はイソブテンをn-ブテンに転化するために、上述のように「逆」異性化に送られる。得られた混合ブテンを、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に供給し、ここで、1-ブテンを2-ブテンに転化し、2-ブテンを塔からのボトムスにおいて回収し、ついで、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットにおいて、n-ブテンをブタジエンに転化することもできる。
【0027】
上記のように、n-ブテンオキシ脱水素化ユニット及び存在する場合には、n-ブタン脱水素化ユニットは、いずれも、リサイクルストリームを利用することができる。加えて、リサイクルストリーム及び/又は流出物ストリームを、一方から他方に送ることができる。また、脱水素化ユニットからのリサイクルストリーム及び/又は流出物ストリームを、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に再循環できる。
【0028】
ブタジエン及び他の流出物成分は、各脱水素化ユニットの流出物から別々に回収されるか、又は標準的な回収システムが設置されてもよい。流出物ストリームの組成に応じて、流出物ストリームは、離れた上流に、例えば、その源(水蒸気分解装置、FCC)からのオリジナルC
4ストリーム用のブタジエン抽出ユニットに供給される。
【0029】
1具体例では、本発明の方法は、主としてn-ブテン及びイソブテンのみを含有する混合物を、1-ブテン2-ブテンに転化し、2-ブテンからイソブチレンを蒸留分離することができる組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に供給することを含んでなる。1-ブテンの2-ブテンへの異性化によって、(i)2-ブテンとイソブテンとの間の沸点の差が充分であること、及び(ii)1-ブテンを2-ブテンに転化して、1-ブテンとイソブテンとの間における沸点の差の欠落を克服できるため、供給物中のn-ブテンの全量を良好に分離できる。組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのオーバーヘッドストリームは、主としてイソブテンを含んでなり、極少量のn-ブタン、加えて、存在するいくらかの「軽質」化合物(存在する場合、イソブタンを含む)を含んでなる。組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのボトムスストリームは、主として2-ブテンを含んでなり、極少量の1-ブテン及びイソブテン、加えて、いくらかの「重質」化合物(存在する場合、n-ブタンを含む)を含んでなる。
【0030】
イソブテン及びいくらかの未転化1-ブテンを含有する組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのオーバーヘッドストリームの一部を、直接、還流として使用することができ、正味のオーバーヘッドストリームを、保存又は更なる処理のために送ることもできる。付加価値のため(イソブテン生成物がより高い価値を有していない場合)、正味のオーバーヘッドの一部を「逆」異性化ユニットに供給し、ここで、イソブテンを部分的にn-ブテンに転化して、混合ブテンストリームを生成できる。混合ブテンストリームを、上述のように、その新たに生成した1-ブテンを2-ブテンに転化し及び新たに生成した2-ブテンをボトムスにおいて回収するために、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔にフィードバックする。このようにしてイソブテンを転化し、その生成物を回収することによって、方法全体の収率が増大され、イソブテン蒸留物の排出が低減又は排除される。
【0031】
組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのボトムスの一部を、直接、リボイルすることができ、及び正味のボトムスの一部又は全部を、2-ブテンのブタジエンへの転化のための1以上の脱水素化反応器ユニットに供給する。ブタジエン生成物を分離し、保存又は更なる処理のために送る。脱水素化ユニット後に残留するn-ブテンを、n-ブテンリサイクルストリームの組成、特にn-ブテン以外の化合物の含量に応じて、適宜、パージストリームにおいて排出し及び/又は脱水素化ユニットのいずれかに及び/又は組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に再循環することができる。
【0032】
本発明の方法の他の具体例では、混合C
4オレフィン(n-ブテンと共にイソブテンを含む)を含んでなる供給物ストリームを、1-ブテンを2-ブテンに転化し、2-ブテンからイソブテンを蒸留分離できる組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に供給する。本発明のこの具体例では、供給物ストリームは、さらに、実質的な量のn-ブタンを含んでなる。供給物はイソブタンを含んでいてもよい。組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのオーバーヘッドは、主として供給物中に存在するイソブテン及びイソブタンを含んでなり、極少量の他のブテンを含む。オーバーヘッドストリームの一部を、直接、還流として使用でき、正味のオーバーヘッドストリームを保存又は更なる処理のために送ることができる。任意に、正味のオーバーヘッドストリームの一部又は全部を「逆」異性化ユニットに供給して、イソブテンをn-ブテンに部分的に転化し、これによって混合ブテンストリーム(加えて、オーバーヘッド中のイソブテンを含む)を生成し、その一部又は全部を組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に再循環することができる。
【0033】
組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのボトムスは、主としてn-ブタン及び2-ブテンを含んでなり、極少量の1-ブテン及びイソブテンを含んでなる。1具体例では、ボトムスは1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満のイソブテンを含有する。ボトムスの一部を直接リボイルし、正味のボトムスの一部又は全部を第1の脱水素化反応器(その主の機能は、n-ブタンをn-ブテンに転化し、同時に、n-ブテンの一部をブタジエンに転化することにある)に供給する。第1の脱水素化ユニットからのn-ブテンの少なくとも一部を、n-ブテンのブタジエンへのオキシ脱水素化と合体された第2の脱水素化ユニットに供給する。第1の脱水素化反応器はCATADIENEタイプの反応器であり(この場合、その生成物は、通常、有意の量のブタジエンを含む)、CATADIENEユニットは、n-ブタン及びn-ブテンの両方を脱水素化し、最終的に、第2の反応工程を要求することなく、ブタジエンを生成するためのシングルシステムとして利用される。しかし、CATADIENEユニットをオキシ脱水素化ユニットと組み合わせて操作し、CATADIENEにおいてn-ブテンの生成を最大とし、ブタジエンの生成を最少とする条件を利用することが有利である。
【0034】
カスタマイズされた又は温和なCATADIENEユニット(CATOFIN(登録商標)ユニットとも称される)のような第1の脱水素化反応器において生成されたブタジエンを分離し、ブタジエン生成物ラインに供給する。水素も、副生物として、外部又は内部での用途のために分離され、水も凝縮、分離される。残るn-ブタンを第1の(n-ブタン)脱水素化ユニットに再循環し及び/又は希釈剤として第2の(n-ブテン)オキシ脱水素化ユニットに供給できる。これらの分離の代わりに、2つのユニット間で分離を行うことと比べて有利である場合には、n-ブタン脱水素化ユニットからの流出物の一部又は全部を、直接、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットに供給することができる。更なる選択肢として、両方法の組合せを利用することもできる。すなわち、n-ブタン脱水素化ユニットからの流出物の一部を、直接、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットに供給し、その間に、異なる部分を分離に供して、そのn-ブテンをn-ブテンオキシ脱水素化ユニットに供給する前に分離することができる。
【0035】
上述のように、操作の1形態では、第1の脱水素化ユニットがn-ブタンのn-ブテンへの脱水素化を行い、その間に、第2の脱水素化ユニットが、n-ブテンをブタジエンに転化するためにオキシ脱水素化を使用する。他の操作スキーム(ボトムス中に実質的な量のn-ブテンが存在する場合に特に有用である)は、順序を逆転して、初めにn-ブテンを脱水素化し、続いて、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットからの流出炭化水素ストリーム中のn-ブタンの脱水素化を行うものである。n-ブテンオキシ脱水素化ユニットにおけるn-ブタンの存在は、n-ブテンの転化を低減させるものではなく、発熱反応を希釈し、プロセス混合物の組成をより炭化水素リッチにすることによって、可燃性のプロセス混合物を回避する点で有益であろう。再循環により、n-ブタンの濃縮を増進することは有利であろう。
【0036】
n-ブタンを脱水素化して、追加のn-ブテンを生成する前に、初めにn-ブテンオキシ脱水素化ユニットにおいてn-ブテンを転化し、ついで、生成したブタジエンを除去することによって、脱水素化ユニットへの供給物中に存在するn-ブテンを除去することは有利であろう。n-ブテンオキシ脱水素化ユニットからの流出物C
4ストリームは、n-ブタンがn-ブテンオキシ脱水素化ユニットにおいて本質的に不活性であるため、n-ブタンの実質的に全部を含有している。脱水素化ユニットがこの順序である場合、n-ブタン脱水素化ユニットへの供給物におけるブテンの量が最少量であれば、n-ブタンのn-ブテンへの脱水素化におけるn-ブテンの妨害は低減される。さらに、n-ブタン脱水素化ユニットへの総炭化水素流量が大いに少なくなる。
【0037】
供給物ストリーム及び塔ボトムスにおけるn-ブタンの含量が低ければ、「第1の」脱水素化ユニットの包含及びn-ブタンの変化に相当するブタジエンの生成を差し控え、n-ブテン脱水素化ユニットのみを利用する具体例に戻ることが望ましい。
【0038】
組成に応じて、2つの脱水素化ユニットの流出物におけるブタジエンの分離は、共用のブタジエン分離システム(例えば、抽出)において又はその源(水蒸気分解装置、FCC)からのオリジナルのC
4ストリーム用のブタジエン抽出ユニットにおいて行われる。
【0039】
本発明の他の具体例では、混合C
4オレフィンを含んでなる第1の供給物ストリームを、1-ブテンを2-ブテンに転化し、2-ブテンからイソブタジエンを蒸留、分離できる組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に供給する。供給物はn-ブタン及び/又はイソブタンを含有していてもよい。オーバーヘッドの一部を、直接、還流として使用することができ、正味のオーバーヘッドストリームを保存又は更なる処理のために送ることもでききる。付加価値のため(イソブチレン生成物がより高い価値を有していない場合)、正味のオーバーヘッドの一部を「逆」異性化ユニットに供給して、混合C
4オレフィンストリーム及びいくらかの追加の化合物に転化し、他の具体例について記載したように、一部又は全部を組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に再循環することができる。
【0040】
本発明のこの具体例では、n-ブタンを含んでなるが、実質的にn-ブテンを含有しない第2の別個の供給物ストリームを、このブテンを組合せブテン異性化反応及び蒸留塔を通して供給することなく、n-ブタンをn-ブテンに部分的に転化できる第1の脱水素化反応器に直接供給する。このブタンストリームが組合せブテン異性化反応及び蒸留塔をバイパスするためには、ストリームはいくらかの量のイソブタンを含有することはできるが、本質的にイソブテンフリーであることが必要である。第1の脱水素化反応器は、上述のように、カスタマイズされたCATADIENEタイプの反応器である。
【0041】
塔からのボトムスストリームが実質的な量のn-ブタンを含有しない場合には、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのボトムスは、第1の(n-ブタン)脱水素化反応器をバイパスすることができ、塔からのボトムス中のn-ブテンをブタジエンに転化するために第2の脱水素化反応器システムに直接供給することができる。第2の(n-ブテン)脱水素化システムはオキシ脱水素化の使用と合体される。
【0042】
第1の(n-ブタン)脱水素化ユニットからの流出物を、直接又はいくつかの中間の分離、再循環等を介して、第2の(n-ブテン)オキシ脱水素化ユニットに供給できる。脱水素化ユニットの各々は、1以上の流出物リサイクルストリームを有することができ、リサイクルストリームは、脱水素化ユニットへの供給物、他の脱水素化ユニット、又は組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に再循環される。
【0043】
方法の他の具体例では、n-ブタンを含んでなるが、本質的にイソブテンフリーである第2の供給物ストリームが、実質的な量のnブテンを含有することもできる。あるいは、第2の(又は第3の)供給物ストリームは、実質的な量のn-ブタンを含むことなく、n-ブテンを含んでなるが、この場合も、本質的にイソブタンフリーである。これらのケースでは、先の具体例について記載したように、初めに第2の(又は第3の)供給物ストリームをn-ブテンオキシ脱水素化システムに供給し、ついで、前記ユニットからの流出物C
4ストリームをn-ブタン脱水素化ユニット(すなわち、「第2」の脱水水素化ユニットが、「第1」よりも先のとなる)に供給することが望ましい。
【0044】
他の具体例では、第1の供給物ストリームは、混合C
4オレフィンと共に、実質的な量のn-ブタンを含有できる。このケースでは、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔の正味のボトムスを、n-ブタンを含んでなるが、本質的にイソブタンを含有しない第2の供給物ストリームと共に、第1の(n-ブタン)脱水素化ユニットに供給することが有利である。あるいは、好適な操作スキームは、「第1の」(n-ブタン)脱水素化ユニットに続く「第2の」(n-ブテン)オキシ脱水素化ユニットに正味のボトムスを供給するものである。
【0045】
さらに、n-ブタン脱水素化ユニットの包含を全く差し控え、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットのみを利用するとの選択肢がある。既に記載したように、脱水素化ユニットの各々は、独自のリサイクルを持つことができ、そのリサイクルストリームは、その供給物、他の脱水素化ユニット、又は組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に送られる。
【0046】
上述のように、組成に応じて、2つの脱水素化ユニットの流出物中のブタジエンの分離が共用のブタジエン分離システム(例えば、抽出)で行われるか、又はリサイクルストリーム又は供給物ストリームの1つ以上を、その源(水蒸気分解装置、FCC)からのオリジナルのC
4ストリームのためのブタジエン抽出ユニットに供給することができる。
【0047】
本発明の他の具体例では、混合C
4パラフィン及び混合C
4オレフィンの両方、このように、n-ブタン及びn-ブテンと共に、イソブタン及びイソブテンの両方を含んでなる供給物ストリームを、1-ブテンを2-ブテンに転化し、n-ブタン及び2-ブテンからイソブタン及びイソブテンを蒸留、分離できる組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に供給する。組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのオーバーヘッドの一部を、直接、還流として使用することができ、正味のオーバーヘッドストリームを保存又は更なる処理のために送ることができる。付加価値のため(イソC
4生成物がより高い価値を有していない場合)、正味のオーバーヘッドの一部を「逆」異性化ユニットに供給し、ここで、イソブチレンを部分的にn-ブテンに転化して、イソブタン及び混合ブテンストリームを生成することができる。イソブチレン及び混合ブテンストリームを、上述のように、「逆」異性化ユニットにおいて生成された1-ブテンの2-ブテンへの転化及び2-ブテンのボトムスへの回収のために、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔に再循環及びフィードバックする。
【0048】
供給物がイソブタンを含有する場合には、イソブタンをオーバーヘッドストリームから取り除かなければならない。これは、イソブテン及び可及的にn-ブテンの損失を伴うが、「逆」異性化ユニットの前後において、単に、オーバーヘッドストリームの充分な量を取り除くことによって達成される。あるいは、さらに蒸留を行い、イソブテンからイソブタンを分離すること、例えば、オーバーヘッドストリームとしてイソブタンを及びサイドストリームとしてイソブテンを分離することによって、イソブタンを取り除くことができる。さらに他の選択肢は、オーバーヘッドを、CATOFINユニットのようなイソブタンをイソブテンに転化できる脱水素化ユニットに導入することである。イソブタン脱水素化ユニットからのアウトプットは、実質的に増大されたレベルのイソブテンを含んでなり、少なくとも一部を、イソブテンを混合C
4オレフィンに転化できる「逆」異性化ユニット供給できる。イソブテンが所望の生成物であれば、イソブタン脱水素化ユニットの生成物の一部を、そのような用途に利用できる。「逆」異性化ユニットからのアウトプットを、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔にフィードバックする。このように、イソブタン及びイソブテンの両方を転化し、その生成物を再循環することによって、ブタジエンプロセス(及び/又は他のn-ブテンの処理)全体の収率におけるいくつかの増大及びイソC
4蒸留物の排出が低減又は排除される。
【0049】
組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのボトムスは、極少量の1-ブテン及びイソブテンと共に2-ブテン及びn-ブタンを含んでなる。ボトムスの一部を、直接、リボイルすることができ、正味のボトムスの一部又は全部を、n-ブタンをn-ブテンに転化できる第1の脱水素化反応器に供給できる。上述のように、第1の脱水素化反応器は、プロセスでの使用のためにカスタマイズされたCATADIENEタイプの反応器である。第1の脱水素化反応器において生成したn-ブテンの少なくとも一部を第2の脱水素化反応器システム(n-ブテンをブタジエンに転化するオキシ脱水素化を伴う)に供給する。CATADIENEユニットにおけるように、有意の量が生成される場合には、第1の(n-ブタン)脱水素化反応器において生成されたブタジエン及び/又は水素、及びその流出物中の水を、流出物中のn-ブテンから分離できる。ブタジエンをブタジエン生成物ラインに供給し、他の分離した化合物を、n-ブテンを第2の脱水素化反応器システムに供給する前に、それらの適宜の処理に送ることができる。あるいは、n-ブタン脱水素化反応器システムからの流出化合物を、少なくともその一部を、2つの脱水素化システムの間に分離工程を設けることなく、n-ブテンオキシ脱水素化反応器システムへの供給物中に併合することができる。
【0050】
上述のように、他の操作スキームは、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔の正味のボトムスを、「第2の」(n-ブテン)オキシ脱水素化ユニットに供給し、続いて、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットからの流出物を「第1の」(n-ブタン)脱水素化ユニットに供給することである。さらに、n-ブタン脱水素化ユニットの包含を全て差し控えて、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットのみを利用するとの選択肢もある。既に述べたように、脱水素化ユニットの各々は、独自のリサイクルを持つことができ、そのリサイクルストリームは、その供給物、他の脱水素化ユニット、又は組合せブタジエン異性化反応及び蒸留塔に送られる。
【0051】
上述のように、組成に応じて、2つの脱水素化ユニットの流出物中のブタジエンの分離を共用のブタジエン分離システム(例えば、抽出)において行うか、又はリサイクルストリーム又は流出物ストリームを、その源(水蒸気分解装置、FCC)からのオリジナルのC
4ストリームのためのブタジエン抽出ユニットに供給できる。
【0052】
本発明の他の具体例では、実質的な量の混合C
4オレフィンと共に又は含むことなく混合C
4パラフィンを含んでなる供給物ストリームを蒸留塔に供給し、ここで、n-ブタンからイソブタンを分離する。蒸留塔からのオーバーヘッドの一部を、直接、還流として使用することができ、正味のオーバーヘッドストリームを保存又は更なる処理のために送ることができる。正味のオーバーヘッドストリームの少なくとも一部を、CATOFINユニットのような、イソブタンをイソブテンに転化できる脱水素化ユニットに供給できる。イソブタン脱水素化ユニットからのアウトプット(実質的な量のイソブテンを含んでなる)の少なくとも一部を、イソブテンを混合C
4オレフィンに転化できる「逆」異性化ユニットに供給する。「逆」異性化ユニットからのアウトプット(新たに生成された実質的な量のn-ブテンを含んでなり、n-ブテンはブタジエンの生成に加えられる)の少なくとも一部を、蒸留塔(混合C
4パラフィン及び混合C
4オレフィンの完全混合物を処理する組合せブテン異性化反応及び蒸留塔であり、1-ブテンを2-ブテンに転化し、n-ブタン及び2-ブテンからイソブタン及びイソブテンを蒸留、分離する)にフィードバックする。
【0053】
組合せブテン異性化反応及び蒸留塔からのボトムスは、n-ブタンに加えて、オーバーヘッド中のイソブテンの脱水素化に由来する2-ブテンを含んでなり、続いて、その「逆」異性化を行い、塔に戻される。ボトムスの一部は、直接、リボイルされ、正味のボトムスの一部又は全部を、n-ブタンをn-ブテンに転化できる第1の脱水素化反応器に供給する。上述のように、第1の脱水素化反応器は、プロセスでの使用のためにカスタマイズされたCATADIENEタイプの反応器である。第1の脱水素化反応器において生成されたn-ブテンの少なくとも一部を、第2の脱水素化反応器システム(オキシ脱水素化と合体している)に供給し、ここで、n-ブテンをブタジエンに転化する。標準のCATADIENEユニットにおけるように、有意の量で生成される場合、第1の(n-ブタン)脱水素化反応器で生成されたブタジエン及び/又は水素、及びその流出物中の水を、流出物中のn-ブテンから分離できる。ブタジエンをブタジエン生成物ラインに供給でき、他の分離された化合物を、n-ブテンが第2の脱水素化反応器システムに供給される前に、それらの適宜の処理に送られる。あるいは、n-ブタン脱水素化反応器システムからの流出化合物を、少なくとも部分的に、2つの脱水素化システムの間に分離工程を設けることなく、n-ブテンオキシ脱水素化反応器システムへの供給物に併合させることができる。
【0054】
上述のように、他の操作スキームは、組合せブテン異性化反応及び蒸留塔の正味のボトムスを、「第2の」(n-ブテン)オキシ脱水素化ユニットに供給し、続いて、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットからの流出物を「第1の」(n-ブタン)脱水素化ユニットに供給することである。さらに、n-ブタン脱水素化ユニットの包含を全て差し控えて、n-ブテンオキシ脱水素化ユニットのみを利用するとの選択肢もある。既に述べたように、脱水素化ユニットの各々は独自のリサイクルを持つことができ、そのリサイクルストリームは、その供給物、他の脱水素化ユニット、又は組合せブタジエン異性化反応及び蒸留塔に送られる。
【0055】
組成に応じて、2つの脱水素化ユニットの流出物中のブタジエンの分離を、共用のブタジエン分離システム(例えば、抽出)において行うことができ、又は流出物ストリームの1つ以上のリサイクルを、その源(水蒸気分解装置、FCC)からのオリジナルのC
4ストリームのためのブタジエン抽出ユニットに供給できる。
【0056】
処理されるべき初期供給物及びいくつかのリサイクルストリームは、検討したC
4オレフィン及びパラフィン以外に追加の化合物を含有できることが理解されなければならない。このような化合物としては、C
4ジオレフィン及びアセチレン、及びC
4炭化水素以外の化合物が含まれる。例えば、選択的水素化によって、このような化合物のいくらかを追加のC
4オレフィン又はパラフィンに添加するために、又は許容される更なる処理のために要求されるように、このような化合物を除去するために、当業者にとって公知の方法による追加の処理工程を付加することができる。
【0057】
本発明の1つの利点は、有意の量のイソブテン及び/又はイソブタンを含有する混合C
4(オレフィン及び/又はパラフィン)供給物の高転化率及び高ブタジエン選択率を達成するために最小数の工程を使用する経済的かつ効率的な方法を提供できることにある。この利点は、非限定的な実施例によってのみ達成されるものであり、他の利益及び利点は、以下の記載を検討することによって、当業者には容易に明らかになるであろう。