(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可溶性非架橋成分が、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、グアーガム、キトサン、セルロース、ポリビニル・アルコール、ポリラクチド、ゼラチン、大豆タンパク、乳漿タンパク、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された非架橋性ポリマーを含む、請求項1に記載の湿潤無煙タバコ製品。
前記不溶性架橋成分が、架橋剤と、アルギン酸塩、ペクチン、カラギナン、架橋性官能基で修飾した多糖類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された架橋性ポリマーとを含む、請求項1に記載の湿潤無煙タバコ製品。
前記タバコ材料が更に、果物繊維及び粒子、野菜繊維及び粒子、植物繊維及び粒子、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択された、タバコ材料に対するタバコ置換材料の補足的な量を含む、請求項1に記載の湿潤無煙タバコ製品。
前記少なくとも1つの繊維、コード、又はストリップが、半溶解可能超水和膜コーティング内又はその上で不規則に配向されている、請求項1に記載の湿潤無煙タバコ製品。
前記少なくとも1つの繊維、コード、又はストリップが、半溶解可能超水和膜コーティング内又はその上で均一に配向されている、請求項1に記載の湿潤無煙タバコ製品。
前記少なくとも1つの繊維、コード、又はストリップが、野菜繊維、果物繊維、タバコ繊維、ハーブ繊維、合成ポリマー、天然ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された材料を含む、請求項1に記載の湿潤無煙タバコ製品。
前記タバコ材料の整形要素が、最大長さが約3.8cm(約1.5インチ)、最大幅が約1.9cm(約0.75インチ)及び最大高さが約2.5cm(約1インチ)であり、前記タバコ材料の整形要素が約0.5g〜約3.0gの重さがある、請求項1に記載の湿潤無煙タバコ製品。
前記半溶解可能超水和膜コーティングを乾燥させて、前記半溶解可能超水和膜コーティングから水分が放出されたときに、前記タバコ材料の分泌物が前記半溶解可能超水和膜コーティングに入るようにする段階を更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
湿潤無煙タバコ製品は、ラッパー及び/又はコーティングと、該ラッパー及び/又はコーティング内に配置された内側充填材料とを含むことができる。内側充填材料は、湿潤無煙タバコ(MST)を含むことができる。このような湿潤無煙タバコ製品は、唾液がラッパーを通って移動して内側充填材料と接触して、香味料及び/又は化学知覚成分を唾液内に拡散させて、香味料及び/又は化学知覚成分を含有する唾液を口腔内の一般的には舌上にある官能器官に移動させることにより、内側充填材料の香味料、分泌物、及び/又は化学知覚成分の放出を可能にする。
【0013】
このような湿潤無煙タバコ製品のラッパーは、紙、布、又は他の多孔性シート材料で作ることができるが、これらの材料は、唾液がラッパーを通過できるが、タバコ細断片又は粒子などの充填材料がラッパーを通過して口内に有意に移動できるほどではないように意図されている。しかしながら、香味料又は化学知覚成分を含有する唾液は、ラッパーを越えて2回移動しなければならないので、ラッパーはまた、これらの成分をユーザの口腔に放出するのを事実上遅くする可能性がある。このことは、ラッパー内に保留される唾液は、ラッパーを越えてより急激に流れる場合に含有するよりも高濃度の成分を生じさせるので、これらの成分の供給タイミングに悪影響を及ぼす可能性がある。結果として、ユーザは、紙又は繊維から作られたポーチラッパーが当初の乾燥、香味低下、及び唾液循環の減少をもたらすことが分かる。加えて、一部のユーザは、ポーチ製品の表面が口の内側面に当たってざらつきを感じさせることが分かる。
【0014】
それでも尚、ポーチ入り製品は、かみタバコのようなラッパー内に入っていないMST製品と比べて、口内での取り扱い、挿入/配置、小分け管理、及び口内感触の初期「ざらつき」の低減の容易さの点で望ましい利点を提供することができる。内側充填材料からの香味料及び/又は化学知覚成分の唾液を介した口内官能器官への良好な伝達をもたらす薄く滑らかな高含水量ゲルコーティングを有する新規の製品は、湿潤無煙タバコポーチ製品に対する代替手段を提供することになる。
【0015】
超水和ゲル膜を有する湿潤無煙タバコ製品は、同一出願人による、米国特許出願公開第2008/0202533A1明細書において記載されており、本特許出願公開の内容全体は引用により本明細書に組み込まれる。バイオポリマーから製作された超水和ゲル膜は、従来のポーチ材料の欠点の一部を回避するが、ゲル膜の水分含有量によっては、ユーザに過度の滑らかさ又は滑りやすさを知覚させる場合があることが分かった。本発明では、テクスチャ加工の超水和膜コーティングを有する小分けMST製品を提供する。
【0016】
本明細書で説明される小分けMST製品は、1つ又はそれ以上のポリマーから形成された超水和膜コーティングと、更にテクスチャ成分とを含む。好ましくは、テクスチャ成分は、半溶解可能超水和膜コーティングに粘着性を付加するために、(i)半溶解可能超水和膜コーティング内及び/又は内側及び/又は外側表面上に含まれる、約10メッシュから約500メッシュの少なくとも1つの直線寸法を有する粉末を含む粉末成分、(ii)半溶解可能超水和膜コーティングの外側表面上にある少なくとも1つの水溶解性コーティングを含む少なくとも1つのポリマー層、(iii)半溶解可能超水和膜コーティング内及び/又は内側及び/又は外側表面上の少なくとも1つの繊維、コード、及び/又はストリップ、及び(iv)少なくとも1つの前架橋剤のうちの1つ又はそれ以上、並びにこれらの組み合わせを含む。
【0017】
本明細書で使用される用語「テクスチャ成分」及び「テクスチャ加工成分」は、半溶解可能超水和膜コーティングに粘着性を付加するため、(i)半溶解可能超水和膜コーティング内及び/又は内側及び/又は外側表面上に含まれる、約10メッシュから約500メッシュの少なくとも1つの直線寸法を有する粉末を含む粉末成分、(ii)半溶解可能超水和膜コーティングの外側表面上にある少なくとも1つの水溶解性コーティングを含む少なくとも1つのポリマー層、(iii)半溶解可能超水和膜コーティング内及び/又は内側及び/又は外側表面上の少なくとも1つの繊維、コード、及び/又はストリップ、及び(iv)少なくとも1つの前架橋剤のうちの1つ又はそれ以上、並びにこれらの組み合わせを記述している。従って、湿潤無煙タバコ製品の超水和膜コーティングは、テクスチャ成分のない超水和膜コーティング及び他のゲルコーティングと比べて滑りやすさが少ない表をもたらす複数のテクスチャ成分の1つ又はそれ以上を含む。従って、テクスチャ成分は、超水和膜コーティングの表面に対して摩擦、粘着性、及び/又は粗度を提供する。
【0018】
本明細書で説明されるように、半溶解可能超水和膜コーティングに粘着性を付加するために(i)半溶解可能超水和膜コーティング内及び/又は内側及び/又は外側表面上に含まれる、約10メッシュから約500メッシュの少なくとも1つの直線寸法を有する粉末を含む粉末成分、(ii)半溶解可能超水和膜コーティングの外側表面上にある少なくとも1つの水溶解性コーティングを含む少なくとも1つのポリマー層、(iii)半溶解可能超水和膜コーティング内及び/又は内側及び/又は外側表面上の少なくとも1つの繊維、コード、及び/又はストリップ、及び(iv)少なくとも1つの前架橋剤のうちの1つ又はそれ以上を用いて、テクスチャ加工超水和膜コーティングが滑らかで、光沢があり、又は滑りやすいように知覚されないようにテクスチャ加工面を提供することができる。しかしながら、膜内にポリマーが存在することに起因して、超水和膜コーティングの表面は、比較的平滑なままであり、従来のMST又はポーチ製品の紙ラッパーで受ける場合がある粗度を回避する。その結果、平滑であるが、滑らかさ、光沢、又は滑りやすくがなく、且つMST製品の表面上に粗さ及び/又は粘着性を生じさせるようテクスチャ加工されるが、口内でざらつきを感じさせない表面が得られる。テクスチャ加工された超水和膜コーティングの表面は、柔らかく、湿潤で、有機的で、及び/又は自然に見え、従って、ユーザの興味を引くのが好ましい。
【0019】
その上、異なる材料で作られた繊維及び/又は粒子(又は、同じ材料で作られたサイズの異なる繊維及び/又はサイズの異なる粒子)の使用は、異なる場所では異なるテクスチャをもたらし、MST製品の表面が複数のテクスチャを有し、ユーザにとってより心地よい口内感触体験をもたらすことができるようになる。加えて、繊維及び/又は粒子は、膜表面又はその近傍に繊維及び/又は粒子が配置されることにより唾液に迅速に放出される香味料を含有することができる。
【0020】
テクスチャ加工超水和膜コーティングを有する事前小分けMST製品は、多成分ポリマー溶液から調製されるのが好ましい。好ましい実施形態において、単分子層のテクスチャ加工された超水和膜コーティングを用いて、2つのポリマー溶液及びテクスチャ成分でタバコを単一層でコーティングすることにより、湿潤無煙タバコの小分け部を内包することができる。他の実施形態では、テクスチャ加工された超水和膜コーティングは、2つ又はそれ以上の層を含むことができる。例えば、第1の層は、超水和膜コーティングを含むことができる。次いで、粉末及び/又は粒子コーティング、繊維、コード、及び/又はストリップ及び/又は第2の水溶解コーティングをコーティングタバコ製品に加え、表面テクスチャを生成して第2の層を形成することができる。或いは、表面テクスチャを提供するためにコーティング溶液に前架橋剤を含めることにより、超水和膜コーティングを前架橋することができる。好ましくは、単一又は複数層のテクスチャ加工された超水和膜コーティングは薄く、且つ使用中に凝集性のある製品を維持し、テクスチャ成分を含まないコーティングと比べて滑りやすさを軽減するよう高湿潤で良好な強度を提供する。
【0021】
図1は、テクスチャ加工された超水和膜コーティング12を有する湿潤無煙タバコ製品10の1つの実施形態の断面図を示す。テクスチャ加工された超水和膜コーティング12は、タバコ材料16の小分け部をコーティングする二成分コーティングを含む第1の層を含む。二成分コーティング12は、可溶性ポリマーと不溶性ポリマーとを含み、これらは同じ又は異なるポリマーとすることができる。第1の層はまた、テクスチャ成分を含むことができる。他の実施形態において、テクスチャ加工された超水和膜コーティングはまた、テクスチャ成分を有する第2の層を含み、このテクスチャ成分は、第1の層に加えられたテクスチャ成分と同じ又は異なるものとすることができる。
【0022】
好ましくは、タバコ材料16は、湿潤無煙タバコ(湿潤スナフタバコとしても知られている)の成形部分である。この実施形態において、テクスチャ成分は、粉末成分20の形態であり、超水和膜コーティングに組み込むか、超水和膜コーティングの下に配置するか、又は超水和膜コーティング12の表面の少なくとも一部上に第2の層を形成することができる。
【0023】
好ましくは、湿潤無煙タバコ製品10は、ユーザの頬と歯茎の間に快適に収まるようなサイズにされ且つ構成される。湿潤無煙タバコ製品10は、限定ではないが、球形、矩形、長方形、三日月形、長円形、及び立方形を含む多くの形状で形成することができる。好ましい実施形態において、コーティングタバコ製品は、矩形であり、約2.5g〜約3.0gの重さがある。
【0024】
テクスチャ加工された超水和膜コーティング12は、好ましくは、可溶性成分がユーザの口中で溶解した後に、不溶性ポリマーの多孔性ネットワークを生成する。好ましくは、第1の成分は、ユーザの口内で迅速に溶解する可溶性成分であり、不溶性成分であるのが好ましい第2の成分がタバコ製品の使用の間中そのままの状態を保つようにする。
【0025】
好ましくは、可溶性成分は、非架橋性ポリマーにより形成される。また、好ましくは、不溶性成分は、化学的架橋性ポリマーを架橋剤と反応させることにより形成される。
【0026】
可溶性成分及び不溶性成分のポリマーは、天然又は合成とすることができる。好ましくは、ポリマーは親水コロイドである。更に好ましくは、ポリマーは多糖類である。
【0027】
好ましい実施形態において、架橋剤は、一価金属イオン塩又は二価金属イオン塩である。
【0028】
好適な化学的に非架橋性のポリマーは、限定ではないが、デンプン、デキストリン、アラビアゴム、グアーガム、キトサン、セルロース、ポリビニル・アルコール、及びポリラクチドを含む。
【0029】
好適な化学的に架橋性のポリマーは、限定ではないが、アルギン酸塩、ペクチン、カラギナン、及び架橋性官能基で修飾した多糖類を含む。好ましい架橋性ポリマーは、アルギン酸塩である。
【0030】
一価及び二価金属イオン塩の両方を用いることもできるが、二価金属イオン塩を使用するのが好ましい。好適な二価金属イオン塩は、限定ではないが、乳酸カルシウム及び塩化カルシウムを含む。乳酸カルシウムは、食品での使用が承認されているので好ましい。
【0031】
或いは、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、米タンパク、及び乳漿タンパクなどのタンパクは、一価及び二価の金属イオン塩で架橋される架橋性ポリマーを補足又は置換するのに用いることができる。タンパクは、植物性材料中に自然発生するフェノール類及び/又はアルデヒド類と徐々に架橋する。
【0032】
コーティングの可溶性成分が溶解すると、ポリマーネットワーク内に細孔が生成され、ここをタバコ分泌物及び香味が通過する。コーティングの可溶性成分が溶解すると、香味及び水分がユーザの口内に放出される。次いで、始めから終わりまで香味体験が途切れないように、細孔を通ってタバコの香味及び分泌物が放出される。好ましい実施形態において、コーティングタバコ製品の嵩密度は、約1.0±0.2g/cm
3である。
【0033】
好ましくは、コーティングの可溶性成分が溶解するときに生成される細孔は、分泌物の妨げられない流れを可能にするのに十分に大きく、且つタバコの細断片又は粒子が細孔を通ってユーザの口内に移動するのを阻止するのに十分に小さいままである。
【0034】
好ましい実施形態において、テクスチャ成分を含む超水和膜コーティングは、事前小分けタバコ材料16を内包する。また、超水和コーティングは、タバコの使用期間中を通じてコーティング内にタバコを保持するようそのままの状態を保ちながら、タバコ分泌物及び香味をコーティングから浸出させることを可能にする。超水和コーティングは、柔らかい感触を舌及び口組織にもたらすと共に、テクスチャ成分が口内での滑り安さを低減し、及び/又は摩擦を増大させる。
【0035】
テクスチャ加工された超水和コーティングの可溶性成分が直ぐに溶解するので、湿潤無煙タバコ使用に伴う知覚体験が迅速で且つ妨げられないようになる。
【0036】
テクスチャ加工された超水和性膜コーティング12の可溶性成分が溶解又は分解すると、更なる湿潤及び/又は香味がユーザの口内に放出される。その後、香味及びタバコ分泌物がコーティングを通過して、途切れのない香味体験をユーザに提供するようになる。
【0037】
好ましい実施形態において、テクスチャ加工された超水和性膜コーティング12は、可溶性成分と不溶性成分の割合を変更することにより、コーティングの可溶性成分の所望の溶解率を備えることが可能になる。例えば、より多くの可溶性成分を使用することにより、超水和膜コーティングは、より少ない可溶性成分を有するコーティングよりも更に多孔性にすることができる。
【0038】
別の実施形態において、テクスチャ加工された超水和膜コーティング12は、香味料、甘味料、及び/又は化学的知覚剤を含む。香味料、甘味料、及び/又は化学的知覚剤は、テクスチャ加工された超水和膜コーティングの可溶性成分の溶解時に放出することができる。特定の香味添加物の緩慢な放出が望ましい場合には、このような添加物は、不溶性成分に組み込むことができる。好ましくは、放出される香味料は、タバコ製品ユーザの経口知覚体験を向上させる。
【0039】
好ましくは、最終の湿潤無煙タバコ製品10は、約2.5g〜約3.0gの重さがある。テクスチャ加工された超水和膜コーティングの重量は、内部に含有されるタバコ材料の重量に比べて小さいので、このタバコ製品の重量は主に使用されるタバコ量に基づいている。1つの実施形態において、事前小分け湿潤無煙タバコ製品は、最大長さが約3.8cm(約1.5インチ)、最大高さが約2.5cm(約1インチ)、及び最大幅が約1.9cm(約0.75インチ)とすることができる。好ましくは、湿潤無煙タバコ製品は、可撓性で圧縮可能であり、口腔の形状に共形になることができる。
【0040】
テクスチャ加工された超水和膜コーティングでコーティングすることができる例示的なタバコ材料16は、刻みタバコ又は細粉タバコを含むことができる。タバコは、従来の湿潤無煙タバコ(湿潤スナフタバコとも呼ばれる)の組成及び属性を有することができる。
【0041】
タバコ材料16の好適なタイプの実施例は、限定ではないが、熱風乾燥タバコ、空気乾燥タバコ、Burleyタバコ、Marylandタバコ、Orientalタバコ、レアタバコ、特殊タバコ、再生タバコ、凝集タバコ細粉、及びこれらの配合物などが挙げられる。好ましくは、タバコ材料16は低温殺菌される。タバコ材料16の一部又は全ては発酵させることができる。
【0042】
タバコ材料16は、タバコ積層体の細断片及び/又は粒子、容積膨張もしくは膨化タバコ又は細粉タバコのような加工タバコ材料、カットロールド又はカットパフド・ステムのような加工タバコステム、再生タバコ材料、及びこれらの配合物、及び同様のものを含む、あらゆる好適な形態で提供することができる。遺伝子組み換えタバコも用いることができる。
【0043】
加えて、タバコ材料はまた、レタス、綿、亜麻、ビート繊維、セルロース繊維、及びこれらの配合物などの細断粒子のような補足的な量の野菜又は植物繊維又は粒子を含むことができる。
【0044】
1つの実施形態において、タバコ材料は、完全に分解可能であり、コーティングの可溶性成分が溶解してタバコ材料が分解されると、ユーザが超水和膜コーティングの残りの不溶性成分をかみ砕き、ユーザの口内に何も残らないよう摂取することができるようになる。
【0045】
好ましくは、タバコ材料は、大部分が約35%〜約65%の含水量及び/又は約0.85aw〜約0.86awの水分活性を有する湿潤無煙タバコを含む。
【0046】
1つの実施形態において、香味料、甘味料、防腐剤、栄養補助食品、酸化防止剤、アミノ酸、ミネラル類、ビタミン類、植物抽出物、湿潤剤、着色剤、及び/又は化学知覚剤などの添加物をコーティング又はタバコ材料内に含めることができる。
【0047】
好適な香味料は、限定ではないが、タバコ、煙、メンソール、ペパーミント、スペアミント、チョコレート、甘草、シトリス、γ−オクタラクトン、バニリン、エチルバニリン、清涼剤香味、シナモン、メチル・サリチル酸、リナロール、ベルガモット油、ゼラニウム油、レモン油、ジンジャー油、ザクロ、アサイー、ラズベリー、ブルーベリー、イチゴ、クコ、グーズベリー、シーバックソーン、ボイゼンベリー、クランベリー、バーボン、スコッチ、ウィスキー、コニャック、アジサイ、ラベンダー、リンゴ、ピーチ、西洋ナシ、チェリー、プラム、オレンジ、ライム、ブドウ、クレープフルーツ、バター、ラム、ココナツ、アーモンド、ピーカン、クルミ、ヘーゼルナッツ、フレンチバニラ、マカダミア、サトウキビ、メープル、カシス、カラメル、バナナ、モルト、エスプレッソ、カルーア、ホワイト・チョコレート、クローブ、コリアンダー、バジル、オレガノ、ニンニク、マスタード、ナッツメグ、ローズマリー、タイム、タラゴン、ディル、セージ、アニス、フェンネル、ジャスミン、珈琲、オリーブ油、ごま油、ひまわり油、バルサミコ酢、米酢、又は赤ワイン酢などの何らかの天然又は合成香味又はアロマを含む。他の好適な成分は、酸、アルコール、エステル、アルデヒド、ケトン、ピラジン、これらの組み合わせ又は配合物、及び同様のものからなる群から選択された香味化合物を含むことができる。好適な香味化合物は、例えば、フェニル酢酸、ソラノン、メガスティグマトリエノン、2−ヘプタノン、ベンジルアルコール、シス−3−ヘキセニルアセテート、バレリアン酸、バレルアルデヒド、エステル、テルペン、セスキテルペン、ノートカトン、マルトール、ダマセノン、ピラジン、ラクトン、アネトール、イソ吉草酸、これらの組み合わせ、及び同様のものからなる群から選択することができる。
【0048】
好適な甘味料は、限定ではないが、キシロース、リボース、スクロース、マルトース、フルクトース、グルコース、及び/又はマンノースなどの、単糖類及び二糖類のような可溶性甘味料を含む。また、多糖類、並びに糖アルコール類及び非栄養甘味料を含めることもできる。
【0049】
好適な化学知覚剤は、限定ではないが、カプサイチン、タンニン、カラシ油、ウィンターグリーン油、シナモン油、アリシン、キニーネ、クエン酸、及び塩を含む。
【0050】
好適なビタミンは、限定ではないが、ビタミンA(レチノール)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンE群、ビタミンK群(フィロキノン及びメナキノン)、チアミン(ビタミンB
1)、リボフラビン(ビタミンB
2)、ナイアシン、ナイアシンアミド、ピリドキシン(ビタミンB
6群)、葉酸、コリン、イノシトール、ビタミンB
12(コバラミン)、PABA(パラアミノ安息香酸)、ビチオン、ビタミンC(アスコルビン酸)、及びこれらの混合物を含む。ビタミンの量は、ビタミンのタイプ及び事前小分け製品の対象となるユーザによって異なる可能性がある。例えば、ビタミン量は、United States Department of Agriculture Recommended Daily Allowances(米国農務省による一日所要量)の推奨値以下の量を含むように配合することができる。口組織によるビタミン吸収(特にビタミンE及び特定のビタミン)は、粘膜の透過性を向上させる薬剤を含めることにより増強することができる。好適な薬剤は、脂肪酸(例えば、オレイン酸、パルミチ酸、及び/又はラウリン酸)を含む。
【0051】
本明細書で使用される用語「栄養補助食品」とは、人の健康に有益な効果を有するあらゆる食材を指す。栄養補助食品は、天然食物源及び遺伝子組み換え食物源から分離された特定の化合物/組成物が含まれる。例えば、栄養補助食品は、天然プラント及び遺伝子組み換え作物に由来する種々の植物栄養素を含む。
【0052】
好適なミネラルは、限定ではないが、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレン、カリウム、銅、マンガン、モリブデン、クロム、及びこれらの混合物を含む。事前小分け湿潤無煙タバコ製品に導入されるミネラル量は、ミネラルのタイプ及び対象ユーザによって異なる可能性がある。例えば、ミネラル量は、United States Department of Agriculture Recommended Daily Allowances(米国農務省による一日所要量)の推奨値以下の量を含むように配合することができる。1つの実施形態において、鉄及びマンガンなどのミネラルは、ポリリン酸塩又はEDTAとキレートして歯の汚染性を低減することができる。
【0053】
好適なアミノ酸は、限定ではないが、バリン、ロイシン、イソロイシン、リシン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、及びフェニルアラニンを含む、人が生合成的に作ることができない必須アミノ酸が挙げられる。他の好適なアミノ酸の実施例は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、スパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、プロリン、セリン、及びチロシンを含む、非必須アミノ酸が挙げられる。
【0054】
別の実施形態において、事前小分け湿潤無煙タバコ製品は、食材等級材料として経時変化プロセスを遅らせることができる酸化防止剤を有する種々の活性剤を含むことができる。例えば、酸化防止剤は、「ギンコライド」又は「ビロバライド」とも呼ばれる、(イソ)クエルシトリン、ケンペロール、ケンペロール3-ラムノシド、イソラムネチン、ルテオリン、ルテオリン配糖体、シトステロール配糖体、及び六環テルペンラクトンなどのフラボノイド配糖体(「イチョウフラボノイド」)を含む、イチョウから抽出することができる活性成分;エピカテコール、エピガロカテコール、エピガロカテコールガラート、テアフラビン、アフラビンモノガレートA又はB、及びテアフラビンジガラートなどの種々の「茶タンニン」を含む、緑茶のようなカメリアシネンシスから抽出することができる活性成分;デルフィニジン、アントシアノサイド、ミルチン、エピミルチン、フェノール酸、配糖体、クエルシトリン、イソキノリン、及びヒペロシドなどの少なくとも15の異なるアントシアノサイド類を含む、ブルーベリーのようなビルベリーから抽出することができる活性成分;オレウロペインを含む、オリーブの木の葉などのビニスビチフェラ、オレアオイロペンシスから抽出することができる活性成分を含むことができる。遊離基の中和に関連し及び経時変化プロセスを遅延させるのに有効なこれら及び他の植物源から識別される多くの活性成分は、本明細書で説明される事前小分け湿潤無煙タバコ製品に含めるのに好適なものとして企図される。
【0055】
好適な植物抽出物は、イソフラボン、又はイソフラボングルシド、ダイゼイン、ゲニステイン、
フォルモノネチン、ビオカニンA、オノニン、シソストリンを含む、ムラサキツメクサ(すなわち、一般的なムラサキシャジクソウ)などのアカツメクサの活性成分を含むことができる。トチバニンジン、すなわち、朝鮮人参を含む属から由来する化合物の健康促進特性が十分に確立しており、また、事前小分け湿潤無煙タバコ製品においても含めることができる。健康促進効果を有するこれら及び他の植物、植物抽出物、及び生物活性化合物が企図される。
【0056】
好適な防腐剤は、限定ではないが、メチルパラベン、プロピルパラベン、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、及び同様のものを含む。防腐剤は、湿潤無煙タバコ製品の総重量に基づいて、約0.001wt%〜約20wt%、より好ましくは約0.01wt%〜約1.0wt%(例えば、約0.1wt%)の量で含むことができる。
【0057】
また、経口タバコ製品の湿潤レベルを維持するのを助けるため、湿潤剤をタバコ材料に加えることができる。タバコ材料及び/又はコーティングと共に用いることができる湿潤剤の実施例は、グリセロール及びプロピレン・グリコールを含む。湿潤剤はまた、湿潤剤を含めることにより製品の水分活性度が低下し、従って、微生物の成長の機会が低下する可能性があるので、防腐効果のために提供することができる点に留意されたい。加えて、湿潤剤は、より乾燥したタバコ成分に対してより高い湿潤の感触を提供するのに使用することができる。
【0058】
好ましい実施形態において、テクスチャ加工された超水和膜コーティングの第1の層は、イオン架橋(外側から内側方向の架橋)により生成される。好ましくは、1つ又はそれ以上のポリマーを用いて、タバコ材料の小分け部を覆って薄膜超水和コーティングを生成する。
【0059】
別の実施形態において、テクスチャ加工された超水和膜コーティングの第1の層は、イオン架橋(内側から外側方向の架橋1021238)により生成される。好ましくは、1つ又はそれ以上のポリマーを用いて、タバコ材料の小分け部を覆って薄膜超水和コーティングを生成する。
【0060】
好ましい実施形態において、少なくとも2つのポリマーを含有する多成分ポリマーコーティングは、溶解率、及びコーティング中の細孔のサイズ並びに量のようなテクスチャ加工された超水和膜コーティングの特性を制御できるようにするのに使用される。
【0061】
可溶性成分が溶解したときに生成される細孔のサイズは、可溶性成分が特定のスポット内で特定の量でだけ存在し、可溶性成分が溶解したときに細孔が所望のサイズのものに確実になるようにコーティングをパターン形成することによって変更することができる。
【0062】
好ましい実施形態において、タバコ材料16の小分け部が整形される。タバコ材料は、あらゆる形状に成形されてプリフォームを生成することができる。タバコ材料は、例えば、MSTにおいて軽い圧力を用いて、タバコ材料の約35%〜約65%の含水量及び/又は約0.85aw〜約0.86awの水分活性を維持するために、タバコから湿分を除去しないように加圧又は成形するのが好ましい。湿潤無煙タバコは、湿潤無煙タバコユーザに望ましい製品の口内感触を提供するのに十分に大きな形状で成形することができる。或いは、タバコ材料の整形は、後続の形成及び/又は整形を伴うか否かにかかわらず、連続的な低い剪断押出及び形状のカッティングによって達成することができる。
【0063】
1つの実施形態において、タバコ材料は、水溶液中に溶解した少なくとも2つの異なるポリマーを含有するポリマー溶液内に浸漬される。幾つかの実施形態において、ポリマー溶液は、タバコ抽出物のような抽出物及び/又は分泌物を含むことができる。好ましくは、化学的架橋性ポリマーと非架橋性ポリマーとが使用される。
【0064】
好ましい実施形態において、皮膜形成ポリマー溶液の濃度は、溶液中で約0.5wt%〜約20wt%のポリマーがある。最も好ましくは、皮膜形成ポリマー溶液の濃度は、約1wt%〜約1.5wt%のポリマー成分があり、残部は水である。
【0065】
ポリマー溶液の濃度は、コーティング膜の厚みを決定付ける。よって、コーティングの厚みは、ユーザの口中でコーティングの可溶性成分がどのように直ぐに溶解するかに影響を及ぼすことができる。コーティングは、形成時に湿潤ゲル状コーティングであり、使用するまで湿潤性が保持されるのが好ましい。コーティングされた湿潤無煙タバコ製品は、好適なパッケージングで気密シールされ、タバコ及びコーティング内の湿潤が蒸発しないようにするのが好ましい。
【0066】
コーティングがタバコ製品から剥離して完全に乾燥した場合、コーティングの厚みは約0.02mm〜約1.0mmであるのが好ましい。より好ましくは、コーティングが完全に乾燥したときに、コーティングの厚みは約0.08mm〜約0.14mmである。最も好ましくは、完全に乾燥したときに、コーティングの厚みは約0.11mmである。コーティングは乾燥状態になることを意図しておらず、むしろ高い含水量を保つ点に留意されたい。
【0067】
好ましい実施形態において、完全に乾燥したときのコーティングの重量は、約2.5gの重量のコーティングされた湿潤無煙タバコ製品において約0.01g〜約0.1gである。より好ましくは、完全に乾燥したときのコーティングの重量は、約2.5gの重量のコーティングされた湿潤無煙タバコ製品において約0.013gである。対照的に、好ましい含水量であるときには、約2.5gの重量の湿潤無煙タバコ製品におけるコーティングの重量は、約0.1〜約0.2gであり、より好ましくは約0.15gである。
【0068】
タバコ材料16を皮膜形成ポリマー溶液でコーティングした後、一価金属イオン塩又は二価の金属イオン塩を含む架橋溶液を用いて架橋が行われる。
【0069】
好ましくは、架橋溶液は、二価金属イオン塩を含有する。最も好ましくは、架橋溶液は、通常は食品産業において使用される乳酸カルシウムを含む。1つの実施形態において、架橋溶液は、2.0wt%の乳酸カルシウム溶液である。0.5wt%未満の架橋剤を用いると、一般に、コーティング混合物中に含まれる架橋性ポリマーの量と反応するのに十分な架橋剤を提供せず、製品を取り出しして口腔内に位置付ける際にユーザが取り扱うのに十分な構造的完全性を有する事前小分け製品を提供しない脆弱なコーティングを生じる傾向がある。存在する架橋性ポリマーの量が少なく、これにより不要なコストが製品に追加され、且つ製品の香味に悪影響を及ぼす可能性があるので、約2.0wt%よりも多くの架橋剤を用いることは不要である。
【0070】
或いは、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、米タンパク、及び乳漿タンパクなどのタンパクは、一価及び二価の金属イオン塩で架橋される架橋性ポリマーを補足又は置換するのに用いることができる。タンパクは、植物性材料中に自然発生するフェノール類及び/又はアルデヒド類と徐々に架橋する。
【0071】
ゲルが加えられると、その液体含有物は、タバコ抽出物のような水及び/又は香味分泌物及び/又は抽出物を含む。添加後、ゲルは、製造中に乾燥又は調整され、微生物の成長を促さない点までゲルの水分活性を低減する。乾燥プロセス中、純水がゲルから蒸発し、湿潤タバコからの液体と拡散により置き換わる。例えば、乾燥時に、植物性材料からの分泌物(植物性材料からの水溶性香味及び化合物を含む)が(例えば、拡散により)ゲルコーティングに移送されて浸透する。製品が口内に配置されると、ゲルコーティングを浸透する抽出物及び分泌物は、離液、溶解、及び/又は拡散によりユーザの唾液内に放出され、緩慢な遅延香味放出とは対照的に、香味の即時的飛散をもたらすようになる。
【0072】
好ましい実施形態において、乾燥時には、湿潤無煙タバコ製品10は、空気に曝されるか又は軽くたたいて乾燥させ、過剰な湿気を蒸発させる。他の実施形態では、湿潤無煙タバコ製品は、従来のオーブンで乾燥させることができる。好ましくは、従来のオーブンは、約60℃まで加熱され、最終の湿潤無煙タバコ製品が約35%〜約65%湿度を保留するように処理される。乾燥されない場合、コーティングは含水性とすることができる。
【0073】
非架橋性ポリマーと架橋性ポリマーの両方を用いることにより、超水和性膜コーティングの気孔率及び強度を制御することができる。例えば、結果として生じる超水和性膜コーティング12の溶解率は、非架橋性ポリマーに対する架橋性ポリマーの特定の割合を修正することにより変えることができる。好ましい実施形態において、コーティング10は、10wt%〜90wt%の架橋ポリマーを含有する。好ましくは、コーティング中の架橋ポリマーの割合は、60wt%〜70wt%である。
【0074】
別の実施形態において、ポリマー溶液及び架橋溶液は、タバコ材料プリフォーム上にパターン形成、オーバープリント、又は噴霧を行い、可溶性成分と不溶性成分を有するネットワークを形成することができる。ポリマー溶液は、化学的架橋性ポリマーと非架橋性ポリマーとを含むことができる。或いは、ポリマー溶液は、単一の化学的架橋性ポリマーを含むことができる。単一のポリマーが使用されるときには、架橋溶液は、コーティングの一部を非架橋及び可溶性の状態のままにするように選択的に噴霧することができる。コーティングの可溶性成分が溶解し、不溶性成分の多孔性ネットワークを所定位置に残してタバコ材料の密着性を維持しながら、ユーザの口中での唾液の自由な流れを可能にすることができる。
【0075】
1つの実施形態において、このプロセスは自動化することができる。例えば、コーティング段階は、ポリマー溶液と架橋溶液をタバコ材料16のプリフォーム部分上に交互に噴霧し、所望の厚みの架橋した薄い超水和性膜コーティング12を生成することにより行うことができる。
【0076】
1つの実施形態において、タバコベースポリマーは、コーティング中の非タバコ由来材料と置き換えることができる。香味タバコ成分をタバコベース材料から抽出し、最初の口内体験に対するタバコ香味特性を改良することができる。しかしながら、このような項抽出は必須ではない。
【0077】
1つの実施形態において、タバコ抽出物又はコロイドカプセル化タバコのような追加の溶解可能タバコをコーティングに加え、超水和性膜コーティングの溶解の初期段階での初期タバコ香味を向上させることができる。約500メッシュ〜約10メッシュのサイズにわたる寸法を有するカプセル化タバコは、上述のように粉末成分20として用いることができる。
【0078】
コーティングを不透明にするために、充填剤をコーティングに加えることもできる。着色剤も加えてコーティングの色を変えることができる。
【0079】
以下の実施例は、例示的なものであり、本明細書で開示される実施形態のあらゆる態様を限定することを意味するものではない。
【実施例1】
【0080】
2つのバイオポリマーのイオン架橋により超水和膜コーティングを形成するために、丸底フラスコに1.0gアルギン酸塩、0.5gデンプン、及び98.5mlの純水を充填した。混合物を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移した。最初に、2.5gの湿潤無煙タバコを矩形に成形して、上述の溶液内に浸漬した。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液を生成した。次いで、湿潤無煙タバコ上のコーティングを2.0wt%架橋溶液と架橋した。試料を空気中に曝し、コーティングされた湿潤無煙タバコ製品の重量が約2.5g〜約2.8gに至るまで湿気を蒸発させた。
【実施例2】
【0081】
2つのバイオポリマーのイオン架橋により超水和膜コーティングを形成するために、丸底フラスコに1.0gアルギン酸塩、0.5gアラビアゴム、及び98.5mlの純水を充填した。混合物を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移した。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液を生成した。最初に、2.5gの湿潤無煙タバコを矩形に成形して、上述の溶液内に浸漬した。次いで、湿潤無煙タバコ上のコーティングを2.0wt%架橋溶液と架橋した。試料を空気中に曝し、コーティングされた湿潤無煙タバコ製品の重量が約2.5g〜約2.8gに至るまで湿気を蒸発させた。
【実施例3】
【0082】
2つのバイオポリマーのイオン架橋により超水和膜コーティングを形成するために、丸底フラスコに1.0gアルギン酸塩、0.5g大豆タンパク、及び98.5mlの純水を充填した。混合物を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解した。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移した。2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液を調製した。最初に、2.5gの湿潤無煙タバコを矩形に成形して、上述のバイオポリマー溶液内に浸漬した。次いで、湿潤無煙タバコ上のコーティングを2.0wt%架橋溶液と架橋した。試料を空気中に曝し、コーティングされた湿潤無煙タバコ製品の重量が約2.5g〜約2.8gに至るまで湿気を蒸発させた。
【0083】
乾燥前に、テクスチャ成分を湿潤無煙タバコ製品に加えることができる。或いは、テクスチャ成分は、超水和膜コーティングの形成中又は以下で詳細に説明するように乾燥後に湿潤無煙タバコ製品に加えることもできる。
【0084】
第1の実施形態において、
図1に示すように、粉末成分20の形態のテクスチャ成分が湿潤無煙タバコ製品10に加えられる。好ましい実施形態において、粉末及び/又は粒子は、約500メッシュ〜約10メッシュのサイズにわたる。1つの実施形態において、粉末成分20は、約0.01g〜約5.0gの量で超水和膜コーティングの第1の層及び/又は第2の層の外側表面の下、内部、又はその上に配置することができる。好ましくは、粉末成分20は、粉末又は顆粒の何れかである粒子、もしくはこれらの組み合わせを含む。1つの実施形態において、粉末は、例えば、新規の湿潤キャスト膜の表面にわたって粉末、繊維、又は粒状固体物を分散させ、該膜を連続して固化することを可能にすることによって、超水和膜コーティングの外側表面に加えることができる。しかしながら、他の実施形態では、粉末は、コーティング溶液に混合し、超水和膜コーティング12の一部として塗布してもよい。1つの実施形態において、粉末成分20は、超水和膜コーティング内に含めることができる。
【0085】
粉末成分20を形成する粒子は、粉末の個別の粒子とすることができ、又は、膜表面において望ましい粒子のサイズ及びテクスチャの程度又は粗度に応じて、例えば、結合剤により共に保持される粒状固体物とすることができる。内側充填材料16のその場でのコーティングにより複合膜が形成される場合、結果として生じる湿潤無煙タバコ製品10は、湿潤の有機的外観を有することができ、従来のMST製品の多くのユーザの興味を引くことになる。
【0086】
好ましくは、膜表面にテクスチャを提供するのに使用される粉末は、天然植物繊維、食物繊維(例えば、Fibrex605、Citri−Fiシリーズ100;200;100FG;200FG、及び他の野菜並びに果実繊維)、バイオポリマー(寒天、デンプン並びにデンプン誘導体、セルロース並びにセルロース誘導体(例えば、木質系セルロース及び他の植物性セルロース並びにその誘導体)、キトサン、キチン、及び/又は他の天然タンパク質)、不水溶性合成繊維、タバコ灰、カプセル化タバコ灰、微細刻みタバコ、シリカの繊維又は粒子、乾燥香味粉末(詳細には不水溶性乾燥香味粉末)、タンパク質(例えば、乳漿タンパク、米タンパク、大豆タンパク、及び/又はトウモロコシタンパク)、食品等級シリカ(例えば、TiO
2及び/又は他の不活性食用粉末状物質)、カプセル化香味、及びこれらの組み合わせなどの材料を含むことができる。非カプセル化又はカプセル化タバコ粉末、微細刻みタバコ、及び乾燥香味粉末などの物質が特に有利であり、この理由は、これらが湿潤無煙タバコ製品において複数の機能を果たし、すなわち、ポーチ膜表面にテクスチャ加工をもたらし、更に、ユーザの唾液と相互作用して経口ポーチ製品が最初にユーザの口内に取り込まれたときの初期香味又は化学知覚体験を提供することによる。
【0087】
他の実施形態では、粉末成分20は、魅力的な唾液色をもたらす染料又は顔料を含むことができる。また、粉末成分20は、唾液の粘性を低下させる働きをするタンパク質分解酵素(例えば、ブロメライン、パパイン、及び/又は他のプロテアーゼ)などの唾液テクスチャ調節剤を含むことができる。
【実施例4】
【0088】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gのセルロース粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例5】
【0089】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約2gのセルロース粉末をコーティング溶液の約100mLにテクスチャ成分として加える。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、テクスチャ成分として粉末成分を含む超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例6】
【0090】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gのStarch465(National Starch & Chemical Companyから入手可能)粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例7】
【0091】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gのCitri−Fi(登録商標) 100FG粉末(Fiberstar, Inc.(商標)から入手可能)を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例8】
【0092】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gのFibrex(登録商標)605(Danisco A/Cから入手可能)粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例9】
【0093】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gの米タンパク粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例10】
【0094】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gの大豆タンパク粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例11】
【0095】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gの食品等級シリカ粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例12】
【0096】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gのタバコ粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例13】
【0097】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gのカプセル化タバコ粉末を超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例14】
【0098】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、MST上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約0.02gの微細刻みスナフタバコを超水和膜コーティングの表面上に振りまく。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例15】
【0099】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。コーティング溶液は、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、約4%デキストリン、及び残部の水を含み、この溶液を攪拌して約50℃から約100℃まで加熱し、バイオポリマーを溶解させる。この溶液を室温まで冷却し、次に、プラスチック製の受皿に移す。次いで、成形形状のMSTを上述の溶液に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、湿潤無煙タバコ上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約10メッシュ〜約500メッシュのサイズにわたる約0.02gのカプセル化バイオポリマー粉末(例えば、寒天、デンプン誘導体、セルロース誘導体、キトサン、キチン、他の天然タンパク質、食品等級不活性粉末材料、及び/又はカプセル化香味料)を超水和膜コーティングの表面上に振りまいて形成する。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【0100】
第2の実施形態において、
図2に示すように、テクスチャ成分は、超水和膜コーティング12の表面上に形成された少なくとも1つの水溶解性ポリマーを含む、ポリマー(第2の)層22を備える。ポリマー層22は、香味付けされていてもよく、又は香味付けされていなくてもよい。好ましくは、ポリマー層22は、超水和膜コーティング12(第1の層)の外側表面上に施工される。また、好ましくは、ポリマー層22は、水溶解性膜層を提供し、該膜層は、湿潤無煙タバコ製品10がユーザの口内に配置されたときに摩擦を増大させる望ましい粘着性のあるテクスチャを提供する。ポリマー層は架橋されていないので、ポリマー層を形成するのに使用される水可溶性ポリマーにより第2の層が粘着性になり、これにより口内に配置されたときに摩擦が増大し、MST製品10の表面上にテクスチャが生成されるようになる。摩擦が増大することにより、使用中の移動に関して懸念することなく、口内制御及び口内で製品10を配置する機能が改善される。
【0101】
好適なポリマー層22は、少なくとも1つのポリマー及び水を含む第2のコーティング溶液を用いて形成することができる。好ましくは、ポリマー溶液は、水溶性ポリマーを含む。好ましいポリマーは、限定ではないが、加工デンプン、デキストリン、プルラン、ペクチン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリマーは、コーティング22の重量に基づいて、約0.1%〜約60%の量で溶液中に含めることができる。超水和膜コーティング12と同様に、第2のコーティング溶液中のポリマーの濃度は、ポリマーコーティング22の密度に影響を及ぼすことができる。
【0102】
第2の溶液をタバコ製品上に噴霧又は注入することにより、或いは、タバコ製品を第2の溶液内に浸漬することにより第2のコーティング溶液をコーティングされた湿潤無煙タバコ製品に塗布することができる。
【0103】
好ましい実施形態において、ポリマーコーティング22は、香味料を含むことができる。香味料は、第1のコーティング12又はタバコ材料16において使用される香味料と同じ又は異なるものとすることができる。香味料は、ポリマーコーティング22の重量に基づき重量で約0.1%〜約20%の量でポリマーコーティング22中に含めることができる。
【0104】
他の実施形態では、着色剤を第1及び/又は第2のコーティングに添加し、ユーザの口内に配置する前に製品を着色し、使用中に唾液に色を付けることができる。
【0105】
ポリマーコーティング22を塗布した後、湿潤無煙タバコ製品10は、室温で、又は従来のオーブンで乾燥させて過剰な湿気をコーティング12、22から除去することができる。しかしながら、湿潤無煙タバコ製品10内に含有されるタバコ材料16は、乾燥後に少なくとも約35%〜約65%の湿分、より好ましくは約50%〜約55%の湿分を保留することが好ましい。
【実施例16】
【0106】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形し、次いで、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、及び約4%デキストリンを含むコーティング溶液中に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、湿潤無煙タバコ上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約38%Purity Gum 59(National Starch & Chemical Companyから提供される加工デンプン)を含む第2のポリマー溶液にコーティングされたMSTを浸漬することにより、又はコーティングされたMSTの上に第2のポリマー溶液を注入することにより、超水和膜コーティングの外側表面上にポリマーコーティングを形成する。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例17】
【0107】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形し、次いで、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、及び約4%デキストリンを含むコーティング溶液中に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、湿潤無煙タバコ上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約50%デキストリンを含む第2のポリマー溶液にコーティングされたMSTを浸漬することにより、又はコーティングされたMSTの上に第2のポリマー溶液を注入することにより、超水和膜コーティングの外側表面上にポリマーコーティングを形成する。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例18】
【0108】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形し、次いで、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、及び約4%デキストリンを含むコーティング溶液中に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、湿潤無煙タバコ上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約17%プルランを含む第2のポリマー溶液にコーティングされたMSTを浸漬することにより、又はコーティングされたMSTの上に第2のポリマー溶液を注入することにより、超水和膜コーティングの外側表面上にポリマーコーティングを形成する。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例19】
【0109】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形し、次いで、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、及び約4%デキストリンを含むコーティング溶液中に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、湿潤無煙タバコ上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約4%低分子量ペクチン(例えば、約500〜約5000Mwの分子量を有するペクチン)を含む第2のポリマー溶液にコーティングされたMSTを浸漬することにより、又はコーティングされたMSTの上に第2のポリマー溶液を注入することにより、超水和膜コーティングの外側表面上にポリマーコーティングを形成する。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例20】
【0110】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形し、次いで、約4%ペクチン、約0.15%アルギン酸塩、及び約4%デキストリンを含むコーティング溶液中に浸漬させる。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、湿潤無煙タバコ上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋され、超水和膜コーティングを有するMST形状を形成する。次いで、約17%プルラン及びコーティングに香味を付けるのに有効な量のイチゴ香味料を含む第2のポリマー溶液にコーティングされたMSTを浸漬することにより、超水和膜コーティングの外側表面上にポリマーコーティングを形成する。試料を室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【0111】
第3の実施形態において、超水和膜コーティングに加えられるテクスチャ成分は、前架橋剤とすることができる。好適な前架橋剤は、限定ではないが、超水和膜コーティングの不溶性成分(外側から内側方向での)を形成するのに使用される上述の架橋剤を含む。
【0112】
超水和膜コーティングを前架橋するために、第1のコーティング溶液(超水和膜コーティング12を形成するのに使用されるコーティング溶液)に前架橋剤を加えることができる。架橋性ポリマーと架橋剤との間のゲル化速度が速いことに起因して、超水和膜コーティング12は形成後に架橋されるが、架橋剤は、コーティングの厚みを貫通して拡散できない場合があるので、これにより内部が非架橋状態のままになることは理解される。膜コーティング全体の完全架橋がなされないことにより、膜が脆弱になり、製品の滑りやすさが増大する可能性がある。
【0113】
従って、コーティング溶液に前架橋剤を含めることにより、内側から外側方向で架橋が行われる。膜コーティングの形成後に第2の架橋剤を後で加えることにより、外側から内側方向の架橋がもたらされる。従って、膜コーティングが完全に架橋され、より強く且つ滑りの少ない(低可溶性の)コーティングを形成する。
【実施例21】
【0114】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。次いで、前架橋剤として約4%ペクチン及び約0.5%乳酸カルシウムを含む90℃溶液にMSTを浸漬する。溶液から試料を取り出して冷却した後、室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例22】
【0115】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。次いで、前架橋剤として約4%アルギン酸塩及び約0.5%乳酸カルシウムを含む90℃溶液にMSTを浸漬する。溶液から試料を取り出して冷却した後、室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例23】
【0116】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。次いで、前架橋剤として約4%ペクチン及び約0.5%乳酸カルシウムを含む90℃溶液にMSTを浸漬する。水溶液中で2.0wt%の乳酸カルシウムの架橋溶液が調製される。次に、湿潤無煙タバコ上のコーティングが2.0wt%の架橋溶液と架橋される。試料を取り出して冷却した後、室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【実施例24】
【0117】
最初に、約1.5gの湿潤無煙タバコを予め定められた形状に成形する。次いで、前架橋剤として約4%寒天及び約0.5%乳酸カルシウムを含む90℃溶液にMSTを浸漬する。試料を取り出して冷却した後、室温で乾燥させ、コーティングから過剰な水を除去する。
【0118】
第4の実施形態において、テクスチャ成分は、超水和膜コーティング12の外側表面内、その下、及び/又はその上で繊維、コード、及び/又はストリップの形態で超水和膜コーティング12に付加される。繊維、コード、及び/又はストリップは、乾燥の前及び/又は後で超水和膜コーティング12に加えることができる。好ましくは、繊維、コード、及び/又はストリップは、コーティング前及び/又はコーティング中に成形された湿潤無煙タバコ材料の近傍に配置することができる。例えば、繊維、コード、及び/又はストリップは、MSTがコーティングされたときに、繊維、コード、及び/又はストリップが超水和膜コーティングと共にMSTに接着されるようにコーティング溶液に加えることができる。或いは、繊維、コード、及び/又はストリップは、超水和膜コーティングの形成後に湿潤無煙タバコ製品の近傍に配置することができる。
【0119】
1つの実施形態において、繊維、コード、及び/又はストリップは、食品等級接着剤を用いて湿潤無煙タバコ製品10に付着させることができる。好適な食品等級接着剤は、少なくとも1つのポリマーを含むことができる。他の実施形態において、超水和膜コーティング12は、繊維、コード、及び/又はストリップをタバコ製品10に取り付けるのを助けることができる。繊維、コード、及び/又はストリップをMST製品に取り付けた後、MST製品をコーティングすることができる。或いは、繊維、コード、及び/又はストリップは、コーティング後に取り付けてもよい。
【0120】
好ましい実施形態において、繊維、コード、及び/又はストリップは、タバコ繊維、野菜繊維、果物繊維、ハーブ繊維、合成ポリマー、及び/又は天然ポリマーから形成される。
【0121】
粒子、繊維、コード、及び/又はストリップの形成で使用するのに好適な合成ポリマーは、限定ではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリビニル・アルコール、ポリエチレン・テレフタレート、ポリ(エチレン−co−ビニルアルコール)、ポリラクチド、ポリグリコール酸、ポリエチレン・グリコール、ポリカプロラクトン、及びポリヒドロキシアルカノエートを含む。
【0122】
粒子、繊維、コード、及び/又はストリップの形成で使用するのに好適な天然ポリマーは、限定ではないが、デンプン、セルロース、ペクチン、アルギン酸塩、及び同様のものを含む。
【0123】
図3に示すように、タバコ製品10は、単一の繊維、コード、及び/又はストリップ24を含む。
図4及び5に示すように、タバコ製品は、複数の繊維、コード、及び/又はストリップを含むことができる。
【0124】
繊維、コード、及び/又はストリップは、種々の幅及び長さから形成することができる。例えば、繊維、コード、及び/又はストリップは、約0.01mm〜約5.0mmにわたる幅及び/又は長さを有することができる。加えて、繊維、コード、及び/又はストリップは、タバコ製品の単一の側部又は複数の側部上に配置することができる。繊維、コード、及び/又はストリップは、タバコ製品10にわたって対角的に、又はタバコ製品10の長さ及び/又は幅にわたって真っ直ぐに置くことができる。1つの実施形態において、繊維、コード、及び/又はストリップは、超水和膜コーティングの表面上で複数の方向に配列される。他の実施形態では、繊維、コード、及び/又はストリップは、超水和膜コーティングの表面上の一様な位置及び/又は不均一な位置に配置される。1つの実施形態において、繊維、コード、及び/又はストリップは、湿潤無煙タバコ製品10の表面上にパターンを形成することができる。
【0125】
他の実施形態において、タバコ製品10は、複数のテクスチャ成分を含むことができる例えば、
図6に示すように、タバコ製品10は、粉末成分20及び繊維、コード、及び/又はストリップ24を含むことができる。或いは、タバコ製品10は、第2のコーティング層、粉末、及び/又は繊維、コード、及び/又はストリップを含むことができる。更に別の実施形態において、タバコ製品10は、前架橋剤、第2のコーティング、粉末成分、及び/又は繊維、コード、及び/又はストリップを含むことができる。
【0126】
本明細書において用語「約」は、多くの場合、数値の数学的正確さが意図されていないことを示すためにこのような数値と共に使用される。従って、数値と共に「約」が使用される場合、その数値に対して10%の許容範囲が企図されるものとする。
【0127】
以上、湿潤無煙タバコ製品及び湿潤無煙タバコ製品を形成する方法をその具体的な実施形態を参照しながら詳細に説明したが、湿潤無煙タバコ製品及び湿潤無煙タバコ製品を形成する方法に対して、本発明の技術的思想及び範囲から実質的に逸脱していない種々の変形及び修正並びに均等形態を利用することができることは、当業者には明らかであろう。