特許第5940521号(P5940521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5940521複合体のインターリーフ中の構造化熱可塑性物質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940521
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】複合体のインターリーフ中の構造化熱可塑性物質
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20160616BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   C08J5/24CFC
   B32B5/28 Z
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-511747(P2013-511747)
(86)(22)【出願日】2011年4月4日
(65)【公表番号】特表2013-531707(P2013-531707A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】IB2011000728
(87)【国際公開番号】WO2011148237
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年4月3日
(31)【優先権主張番号】1008884.7
(32)【優先日】2010年5月27日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504132032
【氏名又は名称】ヘクセル コンポジッツ、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーティマー、スティーブン
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−259713(JP,A)
【文献】 特開平04−292909(JP,A)
【文献】 特開2008−018624(JP,A)
【文献】 特開2008−088276(JP,A)
【文献】 特開2009−067046(JP,A)
【文献】 特開2009−286006(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/038591(WO,A1)
【文献】 国際公開第94/016003(WO,A1)
【文献】 特開2006−328292(JP,A)
【文献】 特開2003−080607(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/032809(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16;15/08−15/14
C08J 5/04−5/10;5/24
B29C 43/00−43/58
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の繊維層及び未硬化熱硬化性樹脂を含む未硬化積層体を作製するのに使用するためのプリプレグであって、
前記繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され、前記未硬化熱硬化性樹脂が、室温より高められた温度であって80℃以上200℃以下の温度で硬化性であり、
前記プリプレグが、
一方向性繊維からなる繊維層であって、第一の側面及び第二の側面を有する繊維層と、
室温より高められた温度で硬化性である未硬化熱硬化性樹脂であって、エポキシ樹脂、このエポキシ樹脂のための硬化剤、及び、エポキシ樹脂に溶解した熱可塑性強靭化剤を含み、この熱可塑性強靭化剤が、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルイミドからなる群から選択され、この未硬化熱硬化性樹脂が、前記繊維層の第二の側面にて前記プリプレグの表面上に樹脂に富む領域を形成している、未硬化熱硬化性樹脂と、
構造化熱可塑性ポリマーの1つの層であって、前記繊維層の第一の側面にのみ配置され、平方メートル当たり2〜10グラムの単位面積当たり重量を有するポリアミド又はコポリアミド繊維のベールを含む、構造化熱可塑性ポリマーの1つの層と
を含、プリプレグ。
【請求項2】
前記構造化熱可塑性ポリマーが、ポリアミドを含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
一方向性繊維からなる複数の繊維層であって、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離されている複数の繊維層と、
室温より高められた温度であって80℃以上200℃以下の温度で硬化性である未硬化熱硬化性樹脂であって、エポキシ樹脂、このエポキシ樹脂のための硬化剤、及び、エポキシ樹脂に溶解した熱可塑性強靭化剤を含み、この熱可塑性強靭化剤が、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルイミドからなる群から選択される、未硬化熱硬化性樹脂と、
前記インターリーフ帯内に配置された構造化熱可塑性ポリマーの1つの層であって、平方メートル当たり2〜10グラムの単位面積当たり重量を有するポリアミド又はコポリアミド繊維のベールを含む、構造化熱可塑性ポリマーの1つの層と
を含む、未硬化積層体。
【請求項4】
請求項3に記載の未硬化積層体を硬化することによって形成された複合部品。
【請求項5】
請求項4に記載の複合部品を含む航空宇宙用輸送手段。
【請求項6】
一方向性繊維からなる複数の繊維層及び未硬化熱硬化性樹脂を含む積層体の作製方法であって、
前記繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され、
前記未硬化熱硬化性樹脂が、室温より高められた温度であって80℃以上200℃以下の温度で硬化性であり、エポキシ樹脂、このエポキシ樹脂のための硬化剤、及び、エポキシ樹脂に溶解した熱可塑性強靭化剤を含み、この熱可塑性強靭化剤が、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルイミドからなる群から選択され、
前記方法が、構造化熱可塑性ポリマーの1つの層を少なくとも1つの前記インターリーフ帯内に配置するステップを含み、前記構造化熱可塑性ポリマーの1つの層が、平方メートル当たり2〜10グラムの単位面積当たり重量を有するポリアミド又はコポリアミド繊維のベールを含む、上記作製方法。
【請求項7】
前記構造化熱可塑性ポリマーが、ポリアミドを含む、請求項6に記載の積層体の作製方法。
【請求項8】
請求項3に記載の未硬化積層体を硬化するステップを含む、硬化積層体の作製方法。
【請求項9】
前記硬化ステップ中に、1気圧以下の圧力が、前記未硬化積層体に印加される、請求項8に記載の硬化積層体の作製方法。
【請求項10】
一方向性繊維からなる繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され、且つ熱可塑性ポリマーの不溶性粒子が、硬化される際の損傷に対する積層体の抵抗性を増強するために前記インターリーフ帯内に配置されている、複数の繊維層及び室温より高められた温度であって80℃以上200℃以下の温度で硬化性である未硬化熱硬化性樹脂を含む積層体の作製方法において、
改善が、前記インターリーフ帯中の熱可塑性ポリマーの前記不溶性粒子の50重量%以上を構造化熱可塑性ポリマーの1つの層で置き換えることを含み、前記構造化熱可塑性ポリマーの1つの層が、平方メートル当たり2〜10グラムの単位面積当たり重量を有するポリアミド又はコポリアミド繊維のベールを含む、上記作製方法。
【請求項11】
一方向性繊維からなる繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され、且つ熱可塑性ポリマーの不溶性粒子が、硬化される際の損傷に対する積層体の抵抗性を増強するために前記インターリーフ帯内に配置されている、複数の繊維層及び室温より高められた温度であって80℃以上200℃以下の温度で硬化性である未硬化熱硬化性樹脂を含む積層体において、
改善が、前記インターリーフ帯中の熱可塑性ポリマーの前記不溶性粒子の50重量%以上が構造化熱可塑性ポリマーの1つの層で置き換えられていることを含み、前記構造化熱可塑性ポリマーの1つの層が、平方メートル当たり2〜10グラムの単位面積当たり重量を有するポリアミド又はコポリアミド繊維のベールを含む、上記積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねられて積層体を形成後に硬化されて複合材料を形成する繊維及び熱硬化性樹脂を含むプリプレグに関する。より詳細には、本発明は、積層体のインターリーフ中に熱可塑性ベール(veil)又はその他の軽量の構造化熱可塑性材料(structured thermoplastic material)を使用することに関連する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、きわめて低い材料密度で優れた機械的特性を提供することに関してとりわけ、従来の構造材料に比較して十分に文書で立証された利点を有する。結果として、このような材料の使用は、ますます広範囲に広がり、それらの応用分野は、「工業」並びに「スポーツ及びレジャー」から高性能の航空宇宙用部材の範囲に及んでいる。
【0003】
エポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた繊維層を含むプリプレグは、このような複合材料の作出に広く使用される。典型的には、このようなプリプレグのいくつかのプライ(ply)が、所望通りに「積み上げ」られ、生じた積層体は、典型的には、高められた温度に暴露することによって硬化されて、硬化された複合積層体をもたらす。
【0004】
しかし、このような硬化材料はいくつかの明瞭な利点を有するが、それらの材料は、不十分な衝撃抵抗性を欠点としてもつことがあり、且つ剥離しがちであることが前から知られていた。このことは、靭性の低い硬化系をもたらす傾向のあることが知られているエポキシ樹脂系を使用する場合にとりわけそうである。
【0005】
このような配列の靭性を改善するのに広く採用される方法は、複数のプリプレグ繊維層の積層体に樹脂層を差し込むことである。一般に、このような樹脂系インターリーフ層は、また、熱可塑性強靭化剤(toughener)粒子の分布を含む。この配置は、積層体の他の態様に有害な効果を及ぼすことなしに、積層体の靭性を増強することが示されている。
【0006】
熱可塑性粒子で強靭化されたインターリーフ層を有する積層体は、典型的には、オートクレーブ条件下で硬化され、そこでは、構造的用途に要求されるとりわけ過酷な機械的仕様に適合する硬化積層体を提供するために、高い温度、及びより重要には高い圧力が、一般には要求される。
【0007】
オートクレーブ硬化に代わって広範に使用される選択肢は、いわゆる真空バッグ又はオートクレーブを使用しない硬化である。これは、真空を利用し、硬化中に積層体上に印加される大気圧に依拠する。オートクレーブ硬化に比べてはるかに経済的であるが、オートクレーブを使用しない硬化で印加できる最大圧力は大気圧である。大気圧以下での硬化は、航空宇宙用の構造的用途を含む多くの構造的用途にとって許容されない機械的特性を有する硬化積層体をもたらす傾向があるので、熱可塑性粒子で強靭化されたインターリーフ層を有する積層体は、通常、オートクレーブを使用しないで硬化されることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、オートクレーブ内で又はオートクレーブを使用しないで硬化して、航空宇宙用の構造的用途を含む構造的用途に適するほど十分に強靭である複合部品を提供できる積層体を製造するのに使用可能なプリプレグを開発することが、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、未硬化積層体が提供され、そこでは、未硬化熱硬化性樹脂及び複数の繊維層は、該繊維層が隣接する繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離されるように組み合わされる。本発明の特徴として、熱可塑性繊維のベール又はその他の類似の開口構造化シート(open−structured sheet)などの、構造化熱可塑性ポリマーの1つ又は複数の層が、1つ又は複数のインターリーフ帯内に配置される。構造化熱可塑性ポリマーの層は、0.5〜50ミクロンの厚みで存在し、平方メートル当たり1〜20gの単位面積当たり重量を有する。
【0010】
インターリーフ帯中で構造化熱可塑性ポリマーの1つ又は複数の層を使用することは、硬化積層体を強靭にするだけではなく、インターリーフ強靭化剤(toughening agent)などの熱可塑性粒子の通常的使用に比較していくつかの利点を提供する。例えば、構造化熱可塑性ポリマーの1つ又は複数の層をインターリーフ強靭化剤として使用すると、粒子状インターリーフ強靭化剤の場合のように、靭性を低下させることなしに比較的低圧で積層体を硬化する選択肢が得られる。加えて、異なる構造化熱可塑性ポリマーの2つの層を単一のインターリーフ帯内に配置して、ランダムに配向した様々な粒子の混合物では可能でない、異なる熱可塑性ポリマーの構造化された配向を提供することができる。さらに、インターリーフ帯中で構造化熱可塑性ポリマーを使用すると、硬化中にインターリーフ帯の内部及び外部の双方の場所へ移行して、それらの有効性を低下させることのある若干の粒子を含む可能性があるという粒子状強靭化剤に付随する諸問題が排除される。
【0011】
本発明は、構造化熱可塑性物質の1つ又は複数の層がその積層体のインターリーフ帯内に配置される未硬化積層体を作製するのに使用されるプリプレグを包含する。このようなプリプレグは、繊維層が構造化熱可塑性物質の層の間に挟みこまれ保持されているもの、及び構造化熱可塑性ポリマーの1つ又は複数の層が繊維層の片側に配置されているものを包含する。
【0012】
本発明は、プリプレグの作製方法、及び積層体を作製するための該プリプレグの使用方法を包含する。加えて、プリプレグ及び積層体からの硬化部品並びに最終硬化部品の作製方法もまた、本発明に包含される。
【0013】
一態様において、本発明は、繊維の構造層及び開口構造化シートを含むプリプレグに関するものであり、該プリプレグは、熱硬化性樹脂を含む硬化可能な樹脂で含浸される。
【0014】
このようなプリプレグは、単独で採用されて、又は複数の類似のプリプレグ及び硬化された形態と一緒に積み重ねられた場合に、優れた靭性を有する複合積層体を形成するものであり、オートクレーブを使用しない簡便な硬化サイクルを採用する場合でさえ、同様に、構造的用途で要求される高い繊維量を達成することができる。
【0015】
本発明の改善されたプリプレグは、軽量であっても構造的に強靭な積層体が必要とされる広範な種類の用途で使用することができる。しかし、それらのプリプレグは、技術的要件がとりわけ過酷である航空宇宙の用途で特に有用である。
【0016】
本発明の前記の及び多くのその他の特徴並びに付随する利点は、添付の図面と結び付けて以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による典型的な2種のプリプレグの単純化した断面図である。
【0018】
図2図1に示した典型的なプリプレグの1つから作製される典型的な積層体の単純化された断面図である。
【0019】
図3図1に示した典型的なプリプレグの1つから作製される典型的な積層体の単純化された断面図である。
【0020】
図4】本発明による積層インターリーフ中で使用するための好ましい典型的な熱可塑性ベールの頂部写真である(目盛り=cm)。
【0021】
図5図4に示した好ましい典型的な熱可塑性ベールの頂部拡大写真(80×)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
硬化複合部品の損傷許容性を高めるために、樹脂マトリックスに不溶性である熱可塑性粒子が繊維プライ間のインターリーフ中に配置されている現行のプリプレグ及び積層体の代わりに、本発明のプリプレグ及び積層体を使用することができる。このようなプリプレグ及び積層体は、高い構造強度及び損傷許容性が要求される航空宇宙工業及び任意のその他の応用分野における構造的用途のためのインターリーフで強靭化された複合部品を形成するのに使用される。本発明は、熱可塑性粒子に代わって、積層インターリーフ帯中に構造化熱可塑性ポリマーの1つ又は複数の層、或いは開口構造化シートを配置して、熱可塑性粒子を使用することでは実現できないいくつかの利点を提供することを含む。したがって、本発明は、熱可塑性粒子が強靭化剤として積層インターリーフ中に配置される任意の公知の製造及び硬化方法に適用することができる。
【0023】
熱可塑性ポリマーの構造化層は、別の方法では積層体のインターリーフ帯中に配置される熱可塑性粒子の実質的にすべて(95重量%以上)に対する置き換えとして好ましくは使用される。しかし、熱可塑性粒子及び構造化熱可塑性層をインターリーフ帯中で組み合わせた、混合系も考えることができる。好ましくは、インターリーフ帯中の不溶性熱可塑性物質の大部分(50重量%以上)は、熱可塑性ポリマーの1つ又は複数の構造化層の形態である。
【0024】
好ましい典型的なプリプレグの単純化した断面図を図1の10で示す。プリプレグ(10)は、ポリアミドベールなどの、構造化熱可塑性ポリマーの2つの層(14)及び(16)間に挟み込まれた一方向繊維の単一層(12)を含んでいる。プリプレグ(10)は、1つ又は複数の層(図示しない)として含めることができる、或いは、プリプレグ(10)の全部又は一部のいたるところに注入又は含浸させることができる、熱硬化性樹脂を含む。
【0025】
第2の好ましい典型的なプリプレグの単純化した断面図を図1の20で示す。プリプレグ(20)は、一方向繊維から成る単一層(22)及びポリアミドベールなどの構造化熱可塑性ポリマーの単一層(24)を含んでいる。プリプレグ(20)は、1つ又は複数の層(図示しない)として含めることができる、或いは、プリプレグ(20)の全部又は一部のいたるところに注入又は含浸させることができる、熱硬化性樹脂を含む。
【0026】
図2の30に、プリプレグ(10)の3つの層が積み重ねられて、各繊維層(12)の間に位置するインターリーフ帯(32)中に配置された2つの構造化熱可塑性ポリマー層(14)及び(16)が存在する3層積層体を形成している典型的な積層体を示す。図2の40に、プリプレグ(20)の3つの層が積み重ねられて、各繊維層(22)の間に位置するインターリーフ帯(42)中に配置された1つの構造化熱可塑性ポリマー層(24)が存在する3層積層体を形成している別の典型的な積層体を示す。これらの図には、例示目的で3つの層のみを示す。積層体は、作製される個々の複合部品に対する設計パラメーターに応じてより多くの層を含むことができる。加えて、構造化熱可塑性ポリマーの2つ以上の層を、14、16及び24で示す単一の構造化層の代わりに使用することができる。典型的な積層体は、層のほとんど又はすべてが硬化可能な熱硬化性樹脂のインターリーフ層によって隔離された4〜200層の構造繊維を含む。適切なインターリーフの配置は、EP0274899中に開示されている。
【0027】
構造化熱可塑性ポリマー層(14)、(16)及び(24)を形成するのに使用される材料は、その層が、インターリーフ帯中で以前に使用されていた不溶性熱可塑性粒子の代替として適切に機能するためのいくつかの基準に適合しなければならない。構造化ポリマー層は、熱可塑性強靭化粒子を調製するのに使用されていたものと同一の熱可塑性ポリマーから作製することができる。一般に、熱可塑性物質は、マトリックス樹脂(典型的にはエポキシ)に、室温及び該樹脂を硬化するのに採用される高められた温度で不溶性でなければならない。熱可塑性ポリマーは、その融解点に応じて、硬化中の高められた温度で融解又は様々な程度まで軟化することができ、硬化される積層体が冷却されるにつれて再固化する。構造化層を作製するのに使用するのに適した熱可塑性物質は、ポリエーテルスルホン(PES)及びポリエーテルイミド(PEI)などのエポキシに可溶性の熱可塑性物質の場合のように、樹脂に溶解してはならない。
【0028】
構造化ポリマー層を形成するのに使用できる熱可塑性ポリマーの適切な例は、ポリアミド(PA)、コポリアミド(CoPA)、エーテル又はエステル系ブロックポリアミド(PEBAX)、PEBA)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)など)、コポリエステル(CoPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリアセタール、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリ(フェニレンスルフェート)(PPS)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、液晶ポリマー(LCP)、ブロックコポリマー(スチレン−ブタジエン−アクリル酸メチル(SBM)コポリマー、ブチル−メチルメタクリレート(MAM)コポリマーのメチルメタクリレート−アクリレートなど)である。
【0029】
ポリアミド及びコポリアミドは、構造化熱可塑性層のための好ましい熱可塑性材料である。ポリアミド及びコポリアミドから調製される粒子は、過去にインターリーフ強靭化用粒子として使用されていた(米国特許第7754322号及び米国特許出願公開第2010/0178487A1号を参照されたい)。ポリアミドには、カプロラクタム(PA6)、ラウロラクタム(PA12)、PA6とPA12との、及びPA10と11とのコポリマーなど、種々の部類が存在する。積層体のインターリーフ帯を強靭化するのに使用される粒子を調製するのに適している任意のポリアミドは、本発明による構造化熱可塑性ポリマーの層を作製するのに使用するのにも適している。
【0030】
構造化されたポリアミド層は、層を作製するのに使用される個々のポリアミド、ポリアミドの共重合度、及び結晶化度に応じて異なる融解温度を有する。例えば、主としてポリアミド6を含むポリアミド層は、典型的には、190℃を超える融解点を有する。PA6の単独から作製されるポリアミド層は、典型的には、ほぼ213℃の融解点を有し、一方、80重量%のPA6と20重量%のPA12のコポリマーから作製される構造化層は、ほぼ194℃の融解点を有する。ポリアミドコポリマーが、20重量%のPA6及び80重量%のPA12を含む場合、融解点はほぼ160℃に降下する。PA12の単独から作製される構造化ポリアミド層は、典型的には、さらにより低い融解点を有する。
【0031】
本発明の利点として、構造化熱可塑性層(14)及び(16)又は(24)は、異なる部類のポリアミドから作製することができる。このことは、積層体のインターリーフ帯内でポリアミド又はその他の適切な熱可塑性ポリマーの層を混合及び組み合わせることを可能にする。熱可塑性層は構造化されているので、それぞれ特定部類のポリアミドの配置を注意深く制御することができる。この部類の方向化されたポリアミドの配置は、異なる粒子種の混合物がインターリーフ帯中での均一ブレンドをもたらすポリアミド粒子では起こり得ない。
【0032】
例として、熱可塑性ポリマー層(14)は、PA6/PA12コポリマー繊維のベールであり、熱可塑性ポリマー層(16)は、PA12繊維のベールである。生じる積層体(30)は、PA6/PA12及びPA12の離散層が配置されたインターリーフ帯(32)を含む。所望される異なる熱可塑性ポリマーの数、各インターリーフ帯に配置される層の数、積層体を形成するのに積み重ねるプリプレグの配向及び順序、並びにプリプレグ中の熱可塑性層の配向に応じて、多くのその他の考え得る組合せが存在する。
【0033】
構造化熱可塑性ポリマー層は、インターリーフ帯中の粒子の代わりにそれらの層で置き換えることを可能にする物理的形態でなければならない。とりわけ、それらの層は、インターリーフ帯内に収めるために十分に薄くなければならず、層の密度は、適切な量又は濃度の熱可塑性材料がインターリーフ帯中に存在して、所望量の損傷許容性を付与するようでなければならない。硬化した高い強度の構造用積層体の中のインターリーフ帯は、典型的には、10〜100ミクロンの範囲に及ぶ厚みを有する。好ましいインターリーフ帯は、平均厚みが15ミクロン〜50ミクロンの範囲に及ぶ。
【0034】
構造化熱可塑性層は、それが、熱硬化性樹脂と一緒に上記インターリーフ帯内に収まることを可能にする厚みを有するべきである。図2に示した積層体の場合のように、1つを超える構造化熱可塑性層を、インターリーフ帯内に配置する予定である場合、層を合わせた厚みは、硬化した積層体のインターリーフ帯の所望厚み未満でなければならない。構造化層(単数又は複数)の厚みは、インターリーフ帯の所望厚みの95%を超えてはならない。好ましくは、構造化層(単数又は複数)の厚みは、インターリーフ帯の所望厚みの75%を超えない。
【0035】
構造化熱可塑性層の厚みは、0.5ミクロン〜50ミクロンであるべきである。各層の実際の厚みは、硬化した積層体中のインターリーフ帯の意図した厚み、各インターリーフ帯中で所望される層の数、構造化熱可塑性層の密度、及び各インターリーフ帯内で所望される熱可塑性ポリマーの量(濃度)によって決定される。構造化熱可塑性層の好ましい厚み範囲は、2ミクロン〜35ミクロン、最も好ましくは3ミクロン〜20ミクロンである。
【0036】
構造化熱可塑性層の密度は、その密度が所望量(濃度)の熱可塑性強靭化剤をインターリーフ帯に提供するようでなければならない。層に必要とされる密度は、使用されている層の厚みに直接的に依存する。層が薄いほど、インターリーフ帯中に同一濃度の熱可塑性強靭化剤を提供するために、層はより密でなければならない。構造化熱可塑性層の密度は、厚みが0.5〜50ミクロンに及ぶ層に対して平方メートルにつき1〜20グラム(gsm)の目付け(areal weight:坪量)を有する構造化層を提供するようでなければならない。厚みが2〜35ミクロンである好ましい熱可塑性層の場合、熱可塑性層の密度は、層の目付けが2gsm〜10gsmであるようなものであることが好ましい。厚みが3〜20ミクロンである層の場合、層の密度は、層の目付けが2gsm〜8gmsであるようでなければならない。
【0037】
厚み及び目付けの必要とされる組合せを有する構造化熱可塑性ポリマー層は、スパンレース(spunlaced)及びランダム繊維ベールの形態で市販されている。構造化熱可塑性層には比較的軽く薄い構造が要求されるため、織布又はスクリム(scrim)は、一般には適していない。薄い非中空又は多孔性フィルムも好ましくない。典型的な軽量(4gsm)繊維ベールを図4及び図5(80×拡大)に示す。該ベールは、ランダム配向のPA12繊維から作製され、Protechnic(Cernay、フランス)から128D04ナイロンベールとして入手できる。もう一つの適切なナイロンベールが、やはりProtechnicから入手できる6gsmのPA12繊維ベールである128D06ナイロンベールである。
【0038】
図4及び5に示した部類の繊維ベールは、一般に、開口率によって分類される。例えば、128D04ナイロン繊維ベールは、70%の開口率を有する。より重い128D06ナイロン繊維ベールは、50%の開口度を有する。構造化熱可塑性ポリマー層は、30%〜98%、好ましくは50%〜95%、より好ましくは60〜90%の開口率を有するべきである。この開口率は、樹脂と熱可塑性繊維との完全混合を保障するための、構造化熱可塑性物質中での樹脂の自由通過を提供するために、必要とされる。このことは、硬化中に熱可塑性繊維が樹脂に溶解しないので、とりわけ重要である。
【0039】
構造化熱可塑性層は、相互に連結している及び/又は重なり合っている繊維によって緊密に保持された完全なシートである開口構造化シートとみなすこともできる。このような繊維は、織られること、編まれることができ、或いは、ランダム、例えばスパンレース又はレイドスクリム(laid scrim)でよいが、不織、例えばランダムが好ましい。このようなシートは、当技術分野でしばしばベールと呼ばれる。
【0040】
開口構造化シートは、シートの開口率、すなわち、顕微鏡写真の画像分析による面積基準により測定されるような、該シートにおける該シートの開口孔から構成される平均表面積の比率によって特徴付けられてよい。本発明の開口構造化シートは、典型的には、30%〜98%、好ましくは50%〜95%、より好ましくは60%〜90%の開口率を有する。このことは、軽量シートを維持するのを助け、また、樹脂の自由通過を可能にする。
【0041】
構造繊維(12)又は(22)は、ランダムの、編まれた、不織の、多軸の、又は任意のその他の適切なパターンの形態であることができる。構造的用途の場合、繊維は、図1〜3に示すように、配向に関して一方向性であることが一般には好ましい。図2及び3の積層体は、同一方向に配向された一方向繊維の様々な層を示す。これは、一方向繊維層の積重ねに対して考え得る多くの配向のほんの1つである。例えば、隣接層中の一方向繊維を、互いに対して、隣接繊維層の間の角度を意味する、いわゆる、0/90配列の直交で配列することができる。多くのその他の配列の中でも、0/+45/−45/90などのその他の配列も当然可能である。図2及び3に示す積層体は、0/0/0配向の状態にある。一方向繊維層を使用する場合、繊維の配向は、典型的には、積層体の積重ねの間で変化する。
【0042】
構造繊維(12)又は(22)は、ヒビの入った(すなわち、引っ張り破壊された)、選択的に途切れた又は連続した繊維を含むことができる。構造繊維は、炭素、黒鉛、ガラス、金属被覆ポリマー、アラミド、及びこれらの混合物などの広範な種類の材料から作製することができる。炭素繊維が好ましい。典型的には、構造層中の繊維は、一般に、直径が3〜20μm、好ましくは5〜12μmの範囲の円形又はほとんど円形の断面を有する。
【0043】
一方向繊維の典型的な層は、Hexcel Corporation(Dublin、カリフォルニア州)から入手できるHewxTow(登録商標)炭素繊維から作製される。一方向繊維層を作製する際に使用するのに適したHexTow(登録商標)炭素繊維としては、それぞれ6,000又は12,000のフィラメントを含み、重さが0.223g/m及び0.446g/mである繊維の状態で入手できるIM7炭素繊維;12,000フィラメントを含み、重さが0.446g/m〜0.324g/mである繊維の状態で入手できるIM8−IM10炭素繊維;及び12,000のフィラメントを含み、重さが0.800g/mである繊維の状態で入手できるAS7炭素繊維が挙げられる。
【0044】
本発明の付加的利点は、構造化熱可塑性を使用して、乾燥一方向繊維を、それが、比較的単純なプリプレグ加工装置、例えば、機械の繊維取扱い態様が、一方向繊維プリプレグ機械に比べてはるかにより単純である、フィルム移動によって繊維プリプレグを作製するのに使用される装置などを使用して加工されうるように、緊密に保持することができることである。
【0045】
本発明の特徴として、熱可塑性インターリーフ強靭化粒子に対する代替物として使用できる軽量繊維ベール及びその他の類似の構造化熱可塑性層は、プリプレグの形成又はその他の樹脂注入より前の取扱い中に、一方向繊維層を緊密に保持するための効果的な手段をも提供する。繊維ベールは、一方向繊維のための一時的な保持システム及び硬化積層体のための熱可塑性強靭化剤の双方として機能する。
【0046】
繊維ベール及び類似の構造化熱可塑性層は、それが、乾燥一方向繊維の初期の取扱い中に該一方向繊維に対して所望のレベルの安定性を提供するように、且つそれが所望のレベルの積層体インターリーフの強靭化を提供するように選択されることが好ましい。図1の10に示すサンドイッチ配置は、これらの2つの目的を達成するのに好ましい配向であることが見出された。乾燥一方向繊維のどちらかの側の上へ単一の軽量繊維ベールを配置すると、取扱い中に乾燥一方向繊維を緊密に保持するのに十分な保持力が得られることが見出された。積層体が形成されると(図2)、一方向繊維層の反対側上に配置された繊維ベールの単一層は、インターリーフ帯(32)と合わさって、繊維質熱可塑性材料の二重層を形成する。繊維質熱可塑性材料のこの二重層は、インターリーフ帯に十分な量の熱可塑性物質を提供して、所望のレベルの積層体の強靭化を提供することが見出された。
【0047】
繊維ベールの2つの層は、ランダムに配向された熱可塑性繊維から作製される。したがって、それらの層は、乾燥一方向繊維に、ベールを部分的に融解又は軟化すること、及び同時にベールを一方向繊維に押し付けることによって接着される。部分的に融解/軟化された繊維は、一方向繊維層に結合し、ベールをそれらの融解温度以下に戻すように冷却すると層は安定化する。安定化された乾燥一方向繊維層又はテープは、こうして、プリプレグ(10)を形成するための樹脂添加の前の取扱い又は貯蔵の準備が整う。プリプレグを形成するための樹脂添加が後で又は異なる配置で行われる予定である状況において、この種のサンドイッチ配置は有用である。
【0048】
前に示した特性を有する熱可塑性材料の繊維ベールは、本発明による使用に一意的に適合し、好まれる。適切に配置されると、それらのベールは、乾燥一方向繊維のための通常の安定化システムに対する代替物、及び積層体のインターリーフ帯を強靭化するのに使用される熱可塑性粒子の代替物の双方として機能することができる。適切な配置が、前記の保持機能を達成するために要求される。たとえば、インターリーフの強靭化剤として使用するのに適した部類の繊維ベールの単一層は、乾燥一方向繊維の片側のみに結合されると、後に続く乾燥繊維の取扱い中に該乾燥繊維を緊密に保持するのに十分でないことが見出された。したがって、乾燥一方向繊維に対して付加的支持を提供すること、又は樹脂及び繊維ベールを一方向繊維に同時に張り付けて、(20)に示す部類のプリプレグを形成する工程を採用することが必要である。
【0049】
典型的には、プリプレグ(10)及び(20)の繊維(12)及び(22)は、それぞれ、熱硬化性樹脂(図示しない)で実質的に含浸される。例えば、プリプレグの総重量の30〜45wt%の樹脂含有量を有するプリプレグが好ましい。本発明のプリプレグは、樹脂及び構造繊維から主として構成される。典型的には、プリプレグは、25〜50wt%の硬化可能な樹脂を含む。付加的に、プリプレグは、典型的には、45〜75wt%の構造繊維から構成される。
【0050】
プリプレグ中の樹脂は、また、構造繊維層に隣接する本質的に繊維を含まない層であるプリプレグの表面上に、樹脂に富む領域を形成する量で存在することが好ましい。複数のこのようなプリプレグが緊密に積み重ねられると、繊維を含まない樹脂層は、構造繊維層の間にインターリーフ層を形成する。
【0051】
前に考察したように、本発明によるプリプレグは、他のプリプレグと積み重ね、プリプレグの硬化可能な積重ね(積層物)を形成することを意図している。したがって、一態様において、本発明は、プリプレグの硬化可能な積重ねに関するものであり、該積重ねは、複数の構造繊維層、及び構造繊維を実質的に含まない複数の硬化可能な熱硬化性樹脂のインターリーフ層を含み、ここで、少なくとも1つのインターリーフ層は、少なくとも1つの構造化熱可塑性層を含む。典型的には、ほとんどのインターリーフ層は、構造化熱可塑性層又は開口構造化シートを含む。好ましい実施形態において、少なくとも半分のインターリーフ層は、開口構造化シートを含む。さらに、少なくとも75%のインターリーフ層がこのようなシートを含むこと、或いはさらには実質的にすべてのインターリーフ層が図2及び3に示す通りであることも望ましい。
【0052】
典型的には、プリプレグの積重ね中の繊維は、実質的には樹脂で含浸される。例えば、プリプレグの積重ね又は積層体の総重量の30〜45%の樹脂含有量を有するプリプレグの積重ねが好ましい。
【0053】
前に考察したように、最後の硬化された複合積層体において、開口構造化ポリマーシートは、インターリーフ層の場所に又はその中に(at or in the interleaf layer)配置される。しかし、硬化の前の加熱段階中に、熱硬化性樹脂は、開口構造シートのインターリーフ層中への移動を促進しがちな低減された粘度を有する。したがって、プリプレグ又はプリプレグの積重ねの中で、開口構造化シートを樹脂層と接触させることのみが必要であり、必ずしもその中に包埋する必要はない。
【0054】
靭性の向上は、たとえ構造化熱可塑性ポリマー層又は開口構造化シートがかなり軽量であっても達成することができることが分かった。このことは、航空機の構造的用途にとってとりわけ重要である。したがって、本発明による単位面積当たり重量を有する開口構造化シートは、前に示したように、航空宇宙用途に対してとりわけ適切である。
【0055】
(10)で示す好ましい実施形態において、プリプレグは、繊維の構造層のどちらかの上に配置された2つの開口構造化シートを含む。これは、とりわけ樹脂含浸前のプリプレグの取扱いを助け、靭性の更なる増加を提供することができる。好ましくは、2つのシートは実質的に同一である。しかし、それらを、異なる熱可塑性ポリマーから作製して、インターリーフ帯内で異なる強靭化剤の特定の標的指向化(targeting)を提供することもできる。
【0056】
本発明のプリプレグ及びプリプレグの積重ねは、典型的には、含まれる閉じ込め気体の量が非常に少なく、その結果、構造繊維の隙間中への樹脂の含浸度が高い。したがって、それらは、好ましくは、9%未満の、より好ましくは6%未満の、最も好ましくは3%未満の水吸込み値(water pick−up value)を有する。水吸込み試験は、当技術分野で周知であり、一方向性プリプレグの小片の端部を水中に浸漬することを含む。
【0057】
プリプレグは、本発明による硬化可能な積層体又はプリプレグの積重ねを製造するために、他の複合材料(例えば、本発明又は別な方法による他のプリプレグ)と積み重ねられることを意図している。
【0058】
プリプレグは、典型的には、プリプレグのロールとして製造され、このような材料の粘着性を考慮して、使用時点でロールを広げることを可能にするために、裏張りシートが一般には準備される。したがって、好ましくは、本発明によるプリプレグは、外面上に裏張りシートを含む。
【0059】
硬化可能な樹脂は、例えば、エポキシ、イソシアネート、ベンゾキサジン、ビスマレイミド、及び酸無水物から選択することができる。好ましくは、硬化可能な樹脂はエポキシ樹脂である。
【0060】
適切なエポキシ樹脂は、一官能性、二官能性、三官能性、及び/又は四官能性エポキシ樹脂を含むことができる。
【0061】
適切な二官能性エポキシ樹脂としては、例として、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールA(臭素化されていてもよい)のジグリシジルエーテル、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシド化オレフィン、臭素化樹脂、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、グリシジルエーテル、又はこれらの任意の組合をベースにしたものが挙げられる。
【0062】
二官能性エポキシ樹脂は、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン、又はこれらの任意の組合せから好ましくは選択することができる。
【0063】
適切な三官能性エポキシ樹脂としては、例として、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール−アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、二芳香族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシド化オレフィン、臭素化樹脂、トリグリシジルアミノフェニル、芳香族グリシジルアミン、複素環グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、又はこれらの任意の組合せをベースにしたものを挙げることができる。適切な三官能性エポキシ樹脂は、Huntsman Advanced Materials(Monthey、スイス)からMY0500及びMY0510(トリグリシジルパラ−アミノフェノール)並びにMY0600及びMY0610(トリグリシジルメタ−アミノフェノール)の商品名で入手可能である。トリグリシジルメタ−アミノフェノールは、また、住友化学株式会社(大阪、日本)からELM−120の商品名で入手可能である。
【0064】
適切な四官能性エポキシ樹脂としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社からTetrad−Xの名称で、及びCVC ChemicalsからErisys GA−240として市販されている)、及びN,N,N’,N’−テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えば、Huntsman Advanced MaterialsからのMY0720及びMY0721)が挙げられる。その他の適切な多官能性エポキシ樹脂としては、DEN438(ミシガン州、MidlandのDow Chemicalsから)、DEN439(Dow Chemicalsから)、Araldite ECN1273(Huntsman Advanced Materialsから)、及びAraldite ECN1299(Huntsman Advanced Materialsから)が挙げられる。
【0065】
硬化可能な樹脂は、また、1種又は複数の硬化剤を含むことができる。適切な硬化剤としては、無水物、とりわけポリカルボン酸無水物;アミン、とりわけ芳香族アミン、例えば、1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、及びとりわけスルホン及びメチレンビスアニリン、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’DDS)、及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’DDS)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−イソプロピルアニリン(M−MIPA)、4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン(M−CDEA)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチレンアニリン)(M−DEA)、及びフェノールホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。好ましい硬化剤は、メチレンビスアニリン及びアミノスルホン、とりわけ4,4’DDS及び3,3’DDSである。
【0066】
本発明によるプリプレグは、種々の方法で製造することができる。例えば、構造繊維を、構造化熱可塑性ポリマー層又は開口構造化シートと接触させ、次いで、接触させながら、樹脂の少なくとも1つの層を繊維と開口構造化シート(構造化熱可塑性ポリマー層)との組合せの外面と接触させる含浸段階に一緒に進め、圧力を印加して樹脂の含浸を誘導することができる。別法として、開口構造化シート(構造化熱可塑性ポリマー層)を樹脂層に張り合わせ、その後、構造繊維層を樹脂と開口構造化シート(構造化熱可塑性ポリマー層)との組合せと接触させた後、圧力で誘導される樹脂含浸が行われる。さらなる選択肢として、構造層は、開口構造化シート(構造化熱可塑性ポリマー層)なしに含浸された樹脂でよく、それは、続いて、樹脂含浸構造層の外表面上に積み重ねられる。
【0067】
しかし、それらの軽く繊細な性質のため、本発明で使用される構造化熱可塑性ポリマー層又開口構造化シートは、とりわけそれらを粘着性のある樹脂表面上に重ねる予定であるなら、取扱いが困難であることがある。したがって、構造化熱可塑性ポリマー層を樹脂を含まない表面上に積重ねるなら、それは好ましいことが見出された。
【0068】
したがって、もう一つの態様において、本発明は、プリプレグの製造方法に関するものであり、該方法は、繊維の構造層を、隣接する構造化熱可塑性ポリマー層又は開口構造化シートと接触させて供給すること、並びに、熱硬化性樹脂を含む硬化可能な樹脂の層を、構造層の外表面及び/又は構造化熱可塑性ポリマー層(開口構造化シート)と接触させること、並びに、樹脂、繊維、及びシートを一緒に、構造繊維の間の隙間中への少なくとも部分的な樹脂含浸を誘導するのに十分なように圧縮することを含む。
【0069】
前に言及したように、樹脂含浸に先立って、繊維の構造層を、隣接する2つの開口構造化シート(構造化熱可塑性ポリマー層)の間に挟みこむは、このことが、とりわけ構造繊維が一方向性である場合に、繊維の完全性(integrity)を維持するのを助けるので、有利である。好ましい方法では、開口構造化シートの繊維を、部分的にそれらを融解することによって繊維に接着する。
【0070】
含浸速度を増大させるために、該方法は、好ましくは、樹脂の粘度を低下させるような高められた温度で実施される。しかし、その温度は、樹脂の早すぎる硬化が起こり始めるほど高温であってはならない。したがって、該方法は、好ましくは、40℃〜100℃の温度で実施される。
【0071】
樹脂は、典型的には、ローラーの外表面上に広げられ、紙又はその他の裏張り材料上に被覆されて硬化可能な樹脂の層を作る。次いで、構造層、開口構造化シート(構造化熱可塑性ポリマー層)及び樹脂で被覆された紙を、ローラーを通して通過させることによって、樹脂を接触、且つ任意選択で含浸することができる。樹脂は、裏張り材料の1又は2枚のシート上に存在することができ、該シートを構造層及び開口構造化シート(構造化熱可塑性ポリマー)と、加熱された圧密(consolidation)ローラーを通してそれらを通過させることによって接触させ、含浸させる。
【0072】
裏張りシートを張り付ける予定であるなら、この張付けは、樹脂含浸の前又は後のどちらかで実施することができる。しかし、裏張りシートは、それが樹脂含浸に必要とされる圧力を表面に印加するための非固着性表面を提供することができるので、典型的には、含浸前又は含浸中に張り付けられる。典型的には、裏張りシートは、その上に樹脂が乗せられるシートであるが、該シートは、所望なら除去すること、及び異なるシートで置き換えることができる。
【0073】
いったん作製されると、プリプレグは、典型的には、巻き取られ、ある期間その形態で貯蔵することができる。次いで、それを広げ、場合によっては他のプリプレグと積み重ねて本明細書中で定義するようなプリプレグの積重ねを形成することができる。
【0074】
いったん作製したら、プリプレグ又はプリプレグの積重ねを、高められた温度及び場合によっては高められた圧力に暴露することによって硬化して、硬化された積層体を製造する。前に考察したように、本発明のプリプレグは、オートクレーブ法において遭遇する高い圧力を必要としないで、優れた靭性を提供することができる。
【0075】
したがって、さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載のようなプリプレグ又はプリプレグの積重ねを硬化する方法に関するものであり、該方法は、プリプレグを、硬化を誘導するのに十分な温度に暴露することを含み、3.0バール(絶対圧力)未満の圧力で実施される。
【0076】
硬化工程は、2.0バール(絶対圧力)未満の圧力で実施することができる。とりわけ好ましい実施形態において、圧力は大気圧未満である。硬化工程は、80〜200℃の範囲の1つ又は複数の温度で、所望の硬化度をもたらすのに十分な時間実施することができる。
【0077】
大気圧に近い圧力での硬化は、いわゆる真空バッグ技術によって達成することができる。この技術は、プリプレグ又はプリプレグの積重ねを気密バッグ中に配置すること、及びバッグ内部を真空にすることを含む。このことは、プリプレグの積重ねが、印加される真空度に応じて、大気圧までの圧密圧力を受ける効果を有する。
【0078】
いったん硬化されると、プリプレグ又はプリプレグの積重ねは、構造的用途、例えば航空宇宙用構造体で使用するのに適した硬化された複合積層体になる。
【0079】
このような複合積層体は、構造繊維を55vol%〜70vol%、好ましくは58vol%〜65vol%のレベルで含むことができる。
【0080】
本発明は、不溶性インターリーフ強靭化剤が樹脂に不溶性の熱可塑性粒子として提供される、エポキシをベースにしたプリプレグに対する代替物として特定の用途を有する。たとえば、米国特許第7754322B2号及び国際公開第2008/040963号を参照されたい。強靭化されたインターリーフ帯を形成するのに使用されるこれらの部類のエポキシ樹脂は、典型的には、ポリエーテルスルホン又はポリエーテルイミドなどの可溶性熱可塑性強靭化剤を含む。これらの可溶性強靭化剤は、全樹脂組成物の5〜25重量%の範囲の量で含められる。可溶性強靭化剤は、典型的には、硬化剤の添加に先立ってエポキシ樹脂混合物に添加され、熱可塑性硬化剤を溶解するために高められた温度まで加熱され、次いで冷却される。不溶性熱可塑性粒子、硬化剤、及び任意のその他の添加剤が、生じる混合物に添加され、次いでプリプレグを形成するための繊維層と組み合わせて使用される。不溶性熱可塑性粒子は、典型的には、全樹脂組成物の1〜15重量%の量で添加される。
【0081】
プリプレグ及び積層体の形成並びに積層体の硬化中に、一般には5〜60ミクロンの平均粒径を有する不溶性粒子は、インターリーフ帯及び構造繊維層の外側のその他の領域中に集結する。これは、実質的に大部分の不溶性粒子が、あまりも大きくて繊維層の隙間開口部に侵入できないためである。加工処理及びその他の製造上考慮すべき事項のため、不溶性熱可塑性強靭化剤として使用される粒子粉末は、目標サイズ範囲に比べて実質的により小さい又はより大きい、少量の粒子を有することができる。より小さな粒子は、それらの粒子が、積層体の形成及び硬化中に繊維層中に移行できるという、インターリーフ強靭化剤としてのそれら粒子の有効性を低下させる問題を呈示する。より大きな粒子は、それらの比較的大きな粒子サイズのため、積層体の硬化中にインターリーフ帯の起こり得る破壊に関する問題を呈示する。
【0082】
本発明は、厚みが均一で、且つ構造繊維層中におそらくは進入できない不溶性繊維を含む構造化熱可塑性ポリマー層を提供することを含む。層の厚み及び密度は、インターリーフ帯内に配置された不溶性熱可塑性強靭化剤の量が、不溶性熱可塑性粒子を含む前記の樹脂を使用することによって提供されると同様の範囲内にあるように選択される。本発明は、インターリーフ帯が熱可塑性材料のサイズ及び形状の変化のために破壊されることのないことを同時に保証しながら、プリプレグ中に存在する不溶性熱可塑性強靭化剤のすべてが、積層体のインターリーフ帯中に留まることを確かにする二重の利点を提供する。
【0083】
熱可塑性繊維の軽量ベール、及びその他の類似の構造化熱可塑性ポリマー層の独特の特性は、オートクレーブを使用しない方法でこのようなベールを使用して、積層体を硬化することを可能にする。硬化された積層体の損傷許容性(たとえば、衝撃後圧縮強度−CAI)が、より高圧力及びより高費用のオートクレーブを使用して達成される損傷許容性に比べて実質的により低いことはないので、この比較的低圧で低コストの硬化法を利用することができる。対照的に、不溶性熱可塑性粒子で強靭化されたインターリーフ帯を有する積層体のオートクレーブを使用しない硬化は、有意に低減された損傷許容性を有する硬化積層体をもたらす。
【0084】
航空宇宙及びその他の高耐性用途での構造的用途の場合、32プライの繊維目付けが145gsmのプリプレグを擬似等方性積重ね配列で含む本発明による積層体は、30kJ(衝撃エネルギー)で250MPaを超える、好ましくは300MPaを超えるCAI値(AITM1.0010又はEN6038に従って)を有することが好ましい。
【0085】
本発明を、これより、以下の例を参照して説明する。
【0086】
例1(プリプレグA)
両側を開口構造化シート(4gsm(Protecnic(フランス)からの128D04))で取り囲まれた145gsmのIM7−12K UD繊維のシートを作製した。この開口構造化シートとUD繊維とからプリプレグを、エポキシをベースにした36gsmのM56樹脂フィルム(MY721エポキシ樹脂(Huntsmanから入手可能)と溶解されたポリエーテルスルホン及びメチレンビスアニリン硬化剤との混合物)のどちらかの側に張り付けること、及び圧密ローラーを通過させてプリプレグを形成することによって作製した。生じたプリプレグは32%の樹脂含有量を有した。
【0087】
比較例2(プリプレグB)
ベールなしでUD繊維を使用して例1のように比較プリプレグを製造し、同一目付けで樹脂含有量が35%のプリプレグを形成した。
【0088】
例3(プリプレグC)
36gsmのM56樹脂フィルムを134gsmのAS7−12K UD繊維のどちらかの側に張り付けること、及び圧密ローラーを通過させることによって、プリプレグを製造した。続いて、128D04ベールをプリプレグの片側に張り付けた後、さらなる組の圧密ローラーを通過させた。本発明に従うこのプリプレグは、35%の樹脂含有量を有した。
【0089】
比較例4(プリプレグD)
開口構造化シートをなしとし、それ以外は例3により比較プリプレグを作製した。該プリプレグは35%の樹脂含有量を有した。
【0090】
比較例5(プリプレグE)
混合中に、Arkemaから入手できる10%Orgasol 1002 DNAT1粒子(20ミクロンのPA6)を添加することによって改質されたM56樹脂を製造した。この改質されたM56樹脂からプリプレグを、39gsmのフィルムを145gsmのUD IM7−12K繊維のどちらかの側に張り付けること、及び圧密ローラーを通過させてプリプレグを形成することによって作製した。生じたプリプレグは、35%の樹脂含有量を有した。
【0091】
比較例6(プリプレグF)
混合中に、Chemopharma(チェコスロバキア共和国)から入手できる10%Micropan777粒子(7ミクロンのPA6)を添加することによって改質されたM56樹脂を製造した。145gsmのIM7−12K繊維を用い、例5と同様の方式で、樹脂含有量が35%のプリプレグを作製した。
【0092】
複合積層体の製造
プリプレグA〜Fを使用して、大きさが400×400mmの32プライ擬似等方性積層体を製造した。プライは、4プライ毎にデバルク(debulk)した。積層体を、空気循環オーブン内の真空バッグ中で、次の硬化サイクルにより硬化した。
1℃/分の傾斜で110℃まで
110℃で60分間保持
1℃/分の傾斜で180℃まで
180℃で120分間保持。
【0093】
110℃での保持が終了した後に、真空レベルを半真空(−0.5バール)まで低下させた。それに先立つ真空レベルは−0.9バールを超えていた。
【0094】
製造された積層体を、対応するそれらのプリプレグに一致させて積層体A〜Fと呼ぶことにした。
【0095】
積層体の厚み
積層体の厚み及び硬化したプライの厚みを下表1に示す。AとBとを、及びCとDとを比較すると、構造化熱可塑性物質を使用することは、真空圧のみで硬化した場合でさえ、積層体の厚みを増大させないことがわかる。
【表1】
【0096】
CAI測定値
積層体A〜Fを、試験法AITM1.0010(EN6038)に従って、衝撃後圧縮強度(CAI)について試験した。本発明による積層体(A及びC)は、開口構造化シートなしの積層体(B及びD)に比較して有意に向上したCAI強度を有することがわかった。積層体E及びFと同一のIM7−12K繊維を使用している積層体Aは、有意により高いCAI値を有する。このことは、オートクレーブを使用しないで硬化する場合に、熱可塑性粒子の代わりに本発明による構造化熱可塑性ポリマー層を使用することの利点を立証している。
【表2】
【0097】
その他の機械的特性
材料C及びDに関するその他の複合体特性を、下表により試験した。結果は、ベールがこれらのその他の特性に対していかなる有害効果も有さないことを立証している。
【表3】
【0098】
本発明の典型的な実施形態をこのように説明してきたが、当業者は、その中の開示は単なる例示であること、及び本発明の範囲内で種々のその他の選択、構成、及び修正をなし得ることに留意されたい。したがって、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明に包含されうる諸態様は、以下のとおり要約される。
[1].
複数の繊維層及び未硬化熱硬化性樹脂を含む未硬化積層体を作製するのに使用するためのプリプレグであって、
前記繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され、
前記プリプレグが、
繊維層と、
構造化熱可塑性ポリマーの少なくとも1つの層であって、前記構造化熱可塑性ポリマーは、前記熱硬化性樹脂に不溶性であり、且つ0.5〜50ミクロンの厚み及び平方メートル当たり1〜20グラムの単位面積当たり重量を有する層と、
未硬化熱硬化性樹脂とを含む、プリプレグ。
[2].
構造化熱可塑性ポリマーの層が、前記繊維層の両側に配置される、上記[1]項に記載のプリプレグ。
[3].
前記構造化熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー繊維の不織ベールの形態である、上記[1]項に記載のプリプレグ。
[4].
前記未硬化熱硬化性樹脂が、少なくとも1種のエポキシ樹脂及び熱可塑性強靭化剤を含む、上記[1]項に記載のプリプレグ。
[5].
前記熱可塑性強靭化剤が、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルイミドからなる群から選択される、上記[4]項に記載のプリプレグ。
[6].
前記構造化熱可塑性ポリマーが、ポリアミドを含む、上記[5]項に記載のプリプレグ。
[7].
複数の繊維層であって、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離されている複数の繊維層と、
前記インターリーフ帯内に配置された構造化熱可塑性ポリマーの少なくとも1つの層であって、前記構造化熱可塑性ポリマーは、前記熱硬化性樹脂に不溶性であり、且つ0.5〜50ミクロンの厚み及び平方メートル当たり1〜20グラムの単位面積当たり重量を有する層と、
未硬化熱硬化性樹脂とを含む、未硬化積層体。
[8].
構造化熱可塑性ポリマーの2つの層が、単一のインターリーフ帯内に配置されている、上記[7]項に記載の未硬化積層体。
[9].
上記[7]項に記載の未硬化積層体を硬化することによって形成された複合部品。
[10].
上記[9]項に記載の複合部品を含む航空宇宙用輸送手段。
[11].
複数の繊維層及び未硬化熱硬化性樹脂を含む積層体の作製方法であって、
前記繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され、
前記方法が、構造化熱可塑性ポリマーの少なくとも1つの層を少なくとも1つの前記インターリーフ帯内に配置するステップを含み、前記構造化熱可塑性ポリマーが、前記熱硬化性樹脂に不溶性であり且つ0.5〜50ミクロンの厚み及び平方メートル当たり1〜20グラムの単位面積当たり重量を有する、上記作製方法。
[12].
前記構造化熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー繊維の不織ベールの形態である、上記[11]項に記載の積層体の作製方法。
[13].
前記未硬化熱硬化性樹脂が、少なくとも1種のエポキシ樹脂及び熱可塑性強靭化剤を含む、上記[11]項に記載の積層体の作製方法。
[14].
前記熱可塑性強靭化剤が、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルイミドからなる群から選択される、上記[13]項に記載の積層体の作製方法。
[15].
前記構造化熱可塑性ポリマーが、ポリアミドを含む、上記[14]項に記載の積層体の作製方法。
[16].
上記[7]項に記載の未硬化積層体を硬化するステップを含む、硬化積層体の作製方法。
[17].
前記硬化ステップ中に、約1気圧以下の圧力が、前記未硬化積層体に印加される、上記[16]項に記載の硬化積層体の作製方法。
[18].
繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され且つ熱可塑性ポリマーの不溶性粒子が、硬化される際の損傷に対する積層体の抵抗性を増強するために前記インターリーフ帯内に配置されている、複数の繊維層及び未硬化熱硬化性樹脂を含む積層体の作製方法において、
改善が、前記インターリーフ帯中の熱可塑性ポリマーの前記不溶性粒子のかなりの部分を構造化熱可塑性ポリマーの少なくとも1つの層で置き換えること、並びに、前記構造化熱可塑性ポリマーが、前記熱硬化性樹脂に不溶性であり且つ0.5〜50ミクロンの厚み及び平方メートル当たり1〜20グラムの単位面積当たり重量を有することを含む、上記作製方法。
[19].
前記未硬化熱硬化性樹脂が、少なくとも1種のエポキシ樹脂及び熱可塑性強靭化剤を含む、上記[18]項に記載の積層体の改善された作製方法。
[20].
繊維層が、隣接繊維層間に配置されたインターリーフ帯によって隔離され且つ熱可塑性ポリマーの不溶性粒子が、硬化される際の損傷に対する積層体の抵抗性を増強するために前記インターリーフ帯内に配置されている、複数の繊維層及び未硬化熱硬化性樹脂を含む積層体において、
改善が、前記インターリーフ帯中の熱可塑性ポリマーの前記不溶性粒子のかなりの部分が構造化熱可塑性ポリマーの少なくとも1つの層で置き換えられていること、並びに、前記構造化熱可塑性ポリマーが前記熱硬化性樹脂に不溶性であり且つ0.5〜50ミクロンの厚み及び平方メートル当たり1〜20グラムの単位面積当たり重量を有することを含む、上記積層体。
[21].
前記未硬化熱硬化性樹脂が、少なくとも1種のエポキシ樹脂及び熱可塑性強靭化剤を含む、上記[20]項に記載の改善された積層体。
図1
図2
図3
図4
図5