特許第5940525号(P5940525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940525
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】スレッドを使用した層のパターニング
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/48 20060101AFI20160616BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   H01L31/04 188
   H01L21/306 J
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-517543(P2013-517543)
(86)(22)【出願日】2011年7月4日
(65)【公表番号】特表2013-533627(P2013-533627A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】GB2011051258
(87)【国際公開番号】WO2012004589
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年7月2日
(31)【優先権主張番号】1011280.3
(32)【優先日】2010年7月5日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510149297
【氏名又は名称】ケンブリッジ エンタープライズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ニゲマン、マイケル
【審査官】 池谷 香次郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−042766(JP,A)
【文献】 特開2000−340811(JP,A)
【文献】 特開2003−303981(JP,A)
【文献】 特表2009−525584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/48
H01L 21/311
H01L 21/3213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数の機能薄膜層で被覆された基板である対象物をパターニングする方法であって、前記1又は複数の機能薄膜層は第1材料からなる第1薄膜層を含んでおり、前記第1薄膜層の第1主面は、第2の異なる材料からなる第2薄膜層の第1主面の一部または全部と密接に接触しており、前記方法は、前記第1材料に対して溶解性のある第1種を担持する第1スレッドを提供し、前記第1スレッドに整列して隣接しており、かつ前記第1材料に対して溶解性のある第2種を担持している第2スレッドを提供し、ここで、前記第1薄膜層に隣接する前記第2薄膜層は、前記第2種での溶解度が比較的高い第2材料を含み、前記第1および第2スレッドを前記第1薄膜層に接触させて、前記第1薄膜層の少なくとも一部を除去し、前記第2スレッドを前記第2薄膜層に接触させて、前記第2薄膜層の少なくとも一部を除去して前記第1及び第2薄膜層を貫通する溝が残るようにすることを含む、方法。
【請求項2】
前記第2スレッドを前記対象物との接触から取り除くこと、前記対象物に第3の異なる材料を堆積して、前記第1層に隣接して第3層を生成すること、前記第1スレッドを除去して、前記第1および第3層を貫通する溝を残すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第3材料は、スプレー塗布、超音波スプレー塗布、インクジェット印刷、ブレード塗布、スクリーン印刷、リバースグラビア塗布、グラビア印刷、オフセット印刷、スライド塗布、カーテン塗布、ディップ塗布から選択される方法によって堆積される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3材料は、金属、金属酸化物、半導体(ドープもしくはアンドープ)、または前駆体、ナノ粒子もしくはそのマイクロ粒子、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブから選択される材料を含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
そのように形成された溝に保護材料を付することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記保護材料を付して、露出した下電極を被覆することを含み、前記下電極は、好ましくは導体層に加えて電荷注入層を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記保護材料は、誘電材料および酸化剤のうちの少なくとも一方である、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
そのように形成された溝に導電性材料を付すことを含む、請求項5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
そのように形成された溝の両側の層の間に導電性パスを提供するように、前記導電性材料を付すことを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記溝の両側のセル素子の上電極と一つの隣接する下電極との間に電気コンタクトを提供して、これらセル素子の直列相互接続を形成することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記導電性材料は、金属、メタルインク、高ドープ有機もしくは無機導体または前駆体、ナノ粒子もしくはそのマイクロ粒子、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブから選択される材料を含む、請求項8、9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1種及び前記第2種のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのスレッドに沿った一連の離れた領域に付される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および前記第2は、前記少なくとも1つのスレッドの交互に並ぶ隣接した領域、もしくは前記少なくとも1つのスレッドの交互に並ぶ隣接していない領域、またはそれらの領域の組み合わせに付される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1材料からなる第1機能薄膜層および第1材料とは異なる第2材料からなる第2機能薄膜層で被覆された基板である対象物をパターニングするように動作可能な装置であって、前記第2機能薄膜層は、前記第1機能薄膜層と隣接し、前記第1機能薄膜層の第1主面は、前記第2機能薄膜層の第1主面の一部または全部と密接に接触している、前記装置において、
対象物を受承するように動作可能な受承手段と、
第1スレッドを装着して、対象物に接触させるための前記第1スレッドの領域を提供するように動作可能な少なくとも2つのガイドであって、前記少なくとも2つのガイドは、前記第1スレッドを長手方向に案内するように動作可能である、前記少なくとも2つのガイドと、
第2スレッドを装着して、前記少なくとも2つのガイドのうちの1つもしくは第4ガイドとともに前記対象物を接触させるための前記第2スレッドの領域を提供するように動作可能な第3ガイドであって、前記第3ガイドは、前記第1スレッドの領域に整列して隣接する前記第2スレッドの領域を有するように前記第2スレッドを長手方向に案内する、前記第3ガイドと、
前記第1スレッドが対象物に接触する前に、前記第1材料に対して溶解性のある第1種を前記第1スレッドに付すように動作可能な第1の付与手段と、
前記第2スレッドが対象物に接触する前に、前記第1材料および前記第2材料に対して溶解性のある第2種を前記第2スレッドに付すように動作可能な第2の付与手段と
を備える装置。
【請求項15】
前記ガイドは、前記対象物と接触する各スレッドの領域を調整するように、移動可能であるか、連続的におよび自動的に、あるいは連続的にまたは自動的に移動可能である、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、例えば光起電力デバイスなどの対象物をパターニングする方法および装置、並びにそれを構成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力薄膜モジュールなどの電子デバイスは、光起電力モジュールが形成されるように互いに位置付けられる所定の形状の機能層からなる。これらの機能層は、典型的には電荷キャリヤ抽出層、電磁放射を受けて電気エネルギを出力する光活性層、および電極層である。
【0003】
光起電力モジュールは、まとめて連結されている多数の個別光起電力セルからなる。これらの個別セルは互いに直列に接続されてもよく、または並列に接続されてもよい。典型的には、セルを直列に電気接続する方が、高い出力電圧を得ることができる。
【0004】
薄膜光起電力モジュールなどの光起電力モジュールは、モノリシックアレイのセルとして製作することができる。(例えば結晶ソーラーモジュールのために行われることがあるように)個別セルをまとめて配線するのではなく、薄膜モジュールのモノリシック相互接続は、必要な機能層で実質的に被覆される基板を製造し、これら機能層をパターニングして基板上に個別セルのネットワークを製造して実現することができ、または、基板に機能層を所望のパターンで直接印刷して実現することもできる。
【0005】
当業者には明らかなように、モノリシックモジュールは相対的に製造しやすいことから、個々のウェハのアレイを電気接続するより安価な代替法となっている。しかし、モノリシックアレイを製造するための周知の方法は、最終的な光起電力モジュールの品質に悪影響を与えうる制限がある。
【0006】
光起電力モジュールの出力変換効率を最大化するためには、厚さが通常十から数百ナノメートルの程度の膜厚を高度に均質化し、数ミクロンの程度のエッジの高解像度のエッジ仕上がり度を確保する必要がある。
【0007】
グラビア印刷などの印刷技術を用いると、パターニングされた薄膜を1回のプロセス工程で堆積できる。しかし、デバイスのすべての層を印刷技術で堆積できるわけではない。例えば、一部の真空蒸着型透明電極(ITO)または高反射金属電極は、典型的には印刷技術で堆積させることはできない。例えば、高度な均質性と低欠陥密度(例えば、ピンホール密度)に関して質の高い膜は、グラビア印刷などの印刷技術よりも塗布技術によって実現することができる。成分の一部の限定的な溶解度に起因した溶液の低い固形分含有量のため、必要な厚さの機能層を製作するためには、印刷シリンダのグラビア構造におけるセル容量は相対的に大きくなければならない。セル容量が大きいので、数十マイクロメートルの程度の大きなセルとなり、非グラビアエリアに対するグラビアのエッジ解像度が制限されることを意味する。その結果、マイクロメートルの程度で非常に均一な印刷エッジを形成することはできそうにない。
【0008】
加えて、印刷エリアの厚さはエッジから始まって印刷層の中心に向かって必ず変動する。この変動の長さは材料の流動特性、乾燥条件および基板の表面張力に左右される。最適な膜厚からの偏差は出力変換効率の低下につながり、そのため好ましくない。
【0009】
スロットダイ塗布またはブレード塗布などの塗布技術は、典型的には高度に均一な機能層を提供する。しかし、これらの層はパターニングされないか、または粗い解像度のパターニングを含み、例えば、安定したギャップサイズのためにはミリメータースケールを必要とする。このため、基板に必要なセルのアレイを製造するには、通常後処理が必要である。
【0010】
当該パターニング工程は、例えば有機太陽電池モジュールに有機層および無機層をパターニングするために有用なレーザースクライビングを含む。レーザースクライビングは1又は複数のレーザを使用して基板の機能層を融除して、所望のパターンを形成する。しかし、典型的には、実際には層の1つまたはいくつかだけを融除するのが望ましい場合でも、レーザは基板上の機能層のすべてを融除する(また、基板を損傷し、またはその他の影響を与えることがある)。
【0011】
レーザースクライビングによる一定の層のみの選択的なパターニングは可能ではあるが、特に層が薄い場合には、十分に区別できる吸収特性を有する個別層と、それに応じて各層を融除するために異なる波長のレーザの使用に頼る。さらに、レーザは下位のバリア層(例えば、基板と電極との間のSiN、AlまたはSiOの層)を損傷しがちであり、特に複数(または可変レーザでも)を要する場合には、装置は比較的高価である。
【0012】
薄膜から層を除去するために硬化したスチールチップを使用するなどのメカニカルスクライビングも、例えば無機薄膜モジュールおよび有機光起電力モジュールをパターニングするために使用される。しかし、大きな欠点として、下位表面の破壊、有機成分の残存痕(後に被覆された電極層が、部分的に除去された有機層により生じる高い電気界面抵抗を受けることがあるため、電気配線に利用されるエリアでは致命的となる)、並びに後の堆積および封入プロセスで損傷を生じさせる粒子の生成がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、1又は複数の機能層で被覆される基板をパターニングする方法および手段を提供することによって、これらの問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様において、本発明は対象物をパターニングする方法であって、該対象物は第1材料からなる第1層を含み、該第1層の第1主面は第2の異なる材料からなる第2層の第1主面の一部もしくは全部に密接に接触しており、該方法は、第1種、例えば第1材料が相対的に高い溶解度を有し、第2材料が相対的に低い溶解度を有する溶剤を担持する第1スレッドを提供すること、第1スレッドに隣接し、好ましくは整列している第2スレッドを提供して、第1および第2のスレッドを第1層に接触させて第1層の少なくとも一部を除去することを含む方法を提供する。
【0015】
発明者らは、電子デバイスの層またはその前駆体にパターンを記述するためにスレッドを使用することによって、そのように製造されるエッジに高度な精度と均一性がもたらされることを発見した。
【0016】
好ましくは、1又は複数のスレッドは、対象物に接触していないときに、例えば0.6から1.4、例えば0.7から1.3、例えば0.8から1.2、または0.9から1.1、好ましくは1、または上限値と下限値の間の値の断面アスペクト比を有する連続した細長い撓み部材を備える。スレッドは、例えば、綿、絹、羊毛、カシミヤ、麻、ジュート、ポリエステル、ポリアミド、PTFE、または他のプラスチックなど、天然材料または人工的な材料から形成することができる。スレッドまたはスレッドの一部は、例えば紡績糸またはフィラメント糸など、ヤーンの形態とすることができる。紡績糸はステープルファイバーを撚り合わせて、またはその他つなぎ合わせて作り、まとまったスレッドにする。繊維は、合成繊維(ポリマー繊維(ポリアミド、ポリエステル、アクリルポリエステル、ポリエチレン等))、天然繊維(綿、絹、羊毛、アンゴラ、カシミア等)、またはこれらの材料の混紡、例えば綿−ポリエステル、羊毛−アクリルから成ることができる。代わりに、スレッドは、撚り合わせたまたは単に束ねたフィラメント繊維(非常に長い連続繊維)から成るフィラメント糸とすることができる。代わりに、スレッドは、膨潤プロセスによって各溶剤を担持するモノフィラメントから成ることができる。
【0017】
好ましくは、第1スレッドの第1種は、第2層の一部または全部を除去する能力を有していないか、または限定された能力を有する。
好ましくは、第2スレッドは、第2種、例えば第2溶剤もしくは溶剤混合液を担持しており、第1層に隣接している該第2層もしくは第2層は第1溶剤の溶解度と比べて第2溶剤または溶剤混合液の溶解度が相対的に高い第2材料を含んでおり、方法は第2スレッドを第1層に接触させて第1層の少なくとも一部を除去すること、第2スレッドを第2層に接触させて第2層の少なくとも一部を除去することを含む。
【0018】
好ましくは、第1層は正孔収集化合物を含み、第1溶剤は、イソプロパノール、エタノールおよび水、あるいはイソプロパノール、エタノールまたは水など、正孔収集層を溶媒和するのに適した溶剤または溶剤混合液を含む。
【0019】
好ましくは、第1層は光活性層を含み、第1溶剤は、例えばキシレンおよびトルエン、あるいはキシレンまたはトルエンなど、光活性層を溶媒和するのに適した溶剤または溶剤混合液を含む。
【0020】
好ましくは、第2層は光活性層を含み、第1溶剤は、イソプロパノール、エタノールおよび水、あるいはイソプロパノール、エタノールまたは水など、該正孔収集層もしくは正孔収集層を溶媒和するが、光活性層は溶媒和しないのに適した溶剤または溶剤混合液を含む。
【0021】
好ましくは、第2層は、正孔収集化合物を含み、第1溶剤は、キシレンおよびトルエンの少なくとも一方など、無極性の溶剤である、光活性層を溶媒和するが、正孔収集層は溶媒和しないのに適した溶剤または溶剤混合液を含む。
【0022】
溶剤は極性があってもまたは極性がなくてもよく、各層の1又は複数の個々の化合物の溶解度の要件に従って選択することができる。溶剤は水などの水素結合溶剤、キシレンまたはトルエンなどの無極性の溶剤、およびアルコール(例、イソプロパノール、エタノール、メタノールおよび同様な他のもの)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、アセテート、エーテル、ハロゲン化アルキル(例、塩化メチレン)などの極性のある溶剤を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、デバイスまたは前駆体との接触から第1スレッドを取り除くこと、デバイスまたは前駆体に第3の異なる材料を堆積して、第1層に隣接する第3層を生成すること、第1、第2および第3の層を貫通する溝が残るように第2スレッドを除去することを含む。
【0024】
好ましくは、第3材料は、スプレー塗布、超音波スプレー塗布、インクジェット印刷、ブレード塗布、スクリーン印刷、リバースグラビア塗布、グラビア印刷、オフセット印刷、スライド塗布、カーテン塗布、ディップ塗布から選択される方法によって堆積される。
【0025】
好ましくは、第3材料は、金属、金属酸化物、半導体(ドープもしくはアンドープ)、または前駆体、ナノ粒子もしくはそのマイクロ粒子、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブから選択される材料を含む。
【0026】
好ましくは、方法は、そのように形成された溝に保護材料を付することをさらに含む。
好ましくは、保護材料は露出した下電極を被覆するように付され、下電極は好ましくは電荷注入層および導体層を含む。
【0027】
好ましくは、保護材料は誘電材料および酸化剤のうちの少なくとも一方である。
好ましくは、方法は、そのように形成された溝に導電性材料を付することをさらに含む。
【0028】
好ましくは、導電性材料は、そのように形成された溝の両側の層の間に導電性パスを提供するように付される。
好ましくは、方法は、溝の両側のセル素子の上下電極の間に電気コンタクトを提供して、これらセル素子の直列相互接続を形成することを含む。
【0029】
好ましくは、導電性材料は、金属、メタルインク、高ドープ有機もしくは無機導体または前駆体、ナノ粒子もしくはそのマイクロ粒子、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブから選択される材料を含む。
【0030】
好ましくは、方法は、第1スレッドに整列して隣接する第3スレッドを第1層に接触させることを含む。
好ましくは、第2スレッドおよび該第3スレッドもしくは第3スレッドは、第1材料が第1溶剤の溶解度に比べて相対的に低い溶解度を有する第3溶剤を担持する。
【0031】
好ましくは、第1層が固体ではない場合(例、乾燥および硬化前、あるいは乾燥または硬化前)に、スレッドは第1層に接触している。
好ましくは、第2種もしくは該第2種、例えば溶剤または溶剤混合液は、第2スレッドの複数の第2部分に施される。
【0032】
好ましくは、第1部分および第2部分は、交互に並んでもよく(例、接して)、または1又は複数の別の部分で分離していてもよく、またはその組み合わせでもよい。
好ましくは、第1種および第2種は、ディスペンサ、インクジェット印刷ヘッド、グラビアロール、浸漬、ブラッシング、吹き付け等などの塗布手段で第2スレッドに付される。
【0033】
別の態様において、本発明は、対象物を形成する方法であって、該方法は基板に1又は複数の連続する層を付して層状の対象物を提供すること、複数の隣接するスレッドを層状の対象物に接触させることによって複数の層もしくは複数の層の少なくとも1つの少なくとも一部を除去すること、隣接する複数のスレッドの第1のスレッドが第1材料を担持して少なくとも1つの層を形成する材料を除去させることを含む方法を提供する。
【0034】
別の態様において、本発明は、例えば電子デバイスなどの対象物を製造する方法であって、第1主面を有する基板を提供すること、スレッドの少なくとも一部を第1主面の少なくとも一部に接触させること、第1主面の少なくとも一部にコーティングを施すこと、コーティングに溝が残るように第1面からスレッドを除去することを含む方法を提供する。
【0035】
好ましくは、コーティングは、スプレー塗布、超音波スプレー塗布、インクジェット印刷、ブレード塗布、スクリーン印刷、リバースグラビア塗布、グラビア印刷、オフセット印刷、スライド塗布、カーテン塗布、ディップ塗布から選択される方法によって施される。
【0036】
好ましくは、コーティングは、金属、メタルインク、高ドープ有機もしくは無機導体、または前駆体、ナノ粒子もしくはそのマイクロ粒子、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブから選択される材料を含む。
【0037】
別の態様において、本発明は、例えば電子デバイスまたはその前駆体などの対象物をパターニングする方法であって、該方法は、第1材料を担持するスレッドを基板に接触させることを含み、該第1材料は基板の表面に自己組織化単分子膜を形成することが可能である、方法を提供する。
【0038】
好ましくは、第1材料はハロアルキシラン(haloalkysilane)を含む。
別の態様において、本発明は、金属層もしくは金属酸化物層を含む電子デバイスまたはその前駆体をパターニングする方法であって、該方法は、スレッドに電流を流しながら、電解液を担持する導電性スレッドを金属層もしくは金属酸化物層に接触させることを含む、方法を提供する。
【0039】
好ましくは、スレッドまたは複数のスレッドの1以上もしくはスレッドのセグメントは、天然材料または人工的な材料から選択される1又は複数の材料を含む。
好ましくは、スレッドまたはスレッドの1又は複数は、1マイクロメートルから10ミリメーターの間の直径または最長断面寸法を有する。
【0040】
好ましくは、スレッドまたはスレッドの1又は複数は、例えば円形、長円形、楕円形、三角形、方形、四角形、矩形、五角形もしくは六角形などの実質的に規則的な、または不規則な断面形状を有する。
【0041】
好ましくは、本発明の方法は、連続的な、好ましくは自動的なプロセスの少なくとも一部として行われる。
別の態様において、本発明は、電子デバイスをパターニングする装置であって、該装置は第1スレッドと、第1スレッドを装着して、対象物に接触させるための第1スレッドの領域を設ける少なくとも2つの可動ガイドを備えており、第1および第2の可動ガイドは第1スレッドを長手方向に移動させるためのローラを備えており、第1可動ガイドまたは第4可動ガイドと協調して、第2スレッドを取り付けて長手方向に移動させおよび対象物を接触させるための第2スレッドの領域を設ける手段を提供する、あるいは第2スレッドを取り付けて長手方向に移動させまたは対象物を接触させるための第2スレッドの領域を設ける手段を提供する第3可動ガイド、をさらに備える、装置を提供する。
【0042】
好ましくは、可動ガイドは、スレッドまたは各スレッドの対象物との接触位置を調整するように移動可能であり、好ましくは連続的におよび自動的に、あるいは連続的にまたは自動的に移動可能である。
【0043】
好ましくは、装置は、第1スレッドが対象物に接触する前に、基板を第1スレッドに当てる手段をさらに備える。
好ましくは、装置は、第2スレッドが対象物に接触する前に、基板を第2スレッドに当てる手段をさらに備える。
【0044】
好ましくは、装置は、第1スレッドが対象物に接触する前、その間、およびその後に、あるいは第1スレッドが対象物に接触する前、その間、またはその後に、材料を対象物に付する手段を備える。
【0045】
好ましくは、材料を第1および第2のスレッドのうちの少なくとも一方に付する手段は、1又は複数のグラビアロールを備える。
好ましくは、装置は、スレッドに接触している間に、対象物を載置するためのローラまたは曲面を備える。
【0046】
好ましくは、対象物はウェブ状の材料を含み、ローラまたは曲面はその辺にウェブを案内する、もしくは案内できる。
好ましくは、ガイドは、ウェブがロールの辺りに案内されると、スレッドをウェブに接触させるように動作可能である。
【0047】
別の態様において、本発明は、対象物をパターニングするためのスレッドであって、該スレッドは1又は複数の第1部分と1又は複数の第2部分とを有し、該スレッドは第1部分の内部もしくはその表面に第1液体を担持するとともに、第2部分の内部もしくはその表面に第1液体を担持しない、スレッドを提供する。
【0048】
好ましくは、スレッドは、第2部分の内部もしくはその表面に第2液体をさらに担持する。
好ましくは、スレッドは、第1および第2の液体のいずれも担持しない1又は複数の第3部分を有する。
【0049】
好ましくは、スレッドは、異なる部分の表面もしくはその内部に異なる種を担持する規則的もしくは不規則なアレイの部分を有する。
別の態様において、本発明は、電子デバイスをパターニングする装置であって、該装置は少なくとも2つの隣接するスレッドと、スレッドをパターニングする表面に接触させる手段とを備える、装置を提供する。
【0050】
好ましくは、装置は、スレッドの一方もしくは他方に種を施して、スレッドの一方もしくは他方に電子デバイスの第1層のパターニングを実行させる手段をさらに備える。
好ましくは、装置は、第1および第2のスレッドのうちの他方に種を施して、2つのスレッドのうちの他方に電子デバイスの第2層のパターニングを実行させる手段をさらに備える。
【0051】
好ましくは、装置は、第1および第2のスレッドのうちの他方に種を付す手段をさらに備え、第2種は第1種がそのそれぞれのスレッドの接触エリアから離れて移動するのを防止するまたは禁止する。
【0052】
好ましくは、スレッドのうちの2つ、いくつか、もしくは全部が使用時に互いに接する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1A】本発明による方法のステップを示す図である。
図1B】本発明による方法のステップを示す図である。
図1C】本発明による方法のステップを示す図である。
図1D】本発明による方法のステップを示す図である。
図2】本発明による装置を示す図である。
図3】本発明による方法のステップを示す図である。
図4】本発明による方法のステップを示す図である。
図5】本発明による装置を示す図である。
図6A】本発明による方法のステップを示す図である。
図6B】本発明による方法のステップを示す図である。
図7A】本発明による方法のステップを示す図である。
図7B】本発明による方法のステップを示す図である。
図7C】本発明による方法のステップを示す図である。
図8】本発明による対象物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
ここで、本発明の実施形態を単なる例として、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を、図1に関連して説明する。ウェブ10が提供されており、ウェブは、連続して順次、基板12と、透明電極を備える第1電極層と、光活性層16と、正孔収集層18とを含む。
【0055】
電極層14は、クロムおよびアルミニウム、あるいはクロムまたはアルミニウムなどの金属層、例えばクロム/アルミニウム/クロム電極を含むことができる。電極層14は、例えば酸化インジウムスズ、または効率的な電子注入のためにオーミック・コンタクトを提供する特定酸化物で被覆された何か他の金属酸化物/金属/金属酸化物層系を含む、透明層とすることもできる。当該特定コンタクトは、真空処理によって堆積されるTiOxもしくはZnOx(ドープまたは真性のいずれでもよい)から、または溶液からナノ粒子として形成することができよう。
【0056】
光活性層は、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)と[6,6]−フェニルC61−酪酸メチルエステルのブレンド(P3HT:PCBM)など、共役ポリマーとフラーレン誘導体のブレンドとすることができる。この光活性化25複合材の主な吸収材であるP3HTは、約2.1eVのバンドギャップを有し、約650nmまでの波長を吸収する。
【0057】
代わりに、光活性層は、1つが供与体を呈し、1つが受容体を呈する2つの共役ポリマーのブレンドを含むことができる。
他の適した光活性層は、(ポリ(2−メトキシ−5−((3´,7´−ジメチルオクチル)オキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MDMO−PPV)などのp−フェニレンビニレン系5共役ポリマー、例えば2,1,3−ベンゾチアジアゾール含有PF、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル−アルト−4,7−ビス(3−ヘキシルチエン−5−イル)−2,1,3−ベンゾチアジアゾール−2´,”2−ジイル)などのフルオレン系共役ポリマーを含むことができる。
【0058】
正孔収集層18は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸塩)((PEDOT)−PSS)またはポリアニリン−ポリ(スチレンスルホン酸塩)(Pani)などの正孔収集化合物を含む。代替の正孔収集化合物は、MoO、NiOまたはVなどの金属酸化物を含む。
【0059】
例えば高いシート導電率を提供する銀のナノメートルもしくはミクロンサイズの粒子を含む第2電極50を追加することができ、隣接するセル間の分離した飛び石的な直列接続(divided and stepped series connection)は少数の簡単なステップで追加できる。
【0060】
まず、1対のスレッド(thread)52、54を互いに隣接して平行に、かつ例えば、正孔収集層の表面にコンタクトさせ、第1電極層14の切れ目56の片側にややずれて配置する。第1スレッド52に、イソプロパノールもしくは水またはイソプロパノールと水の混合液などの溶剤を染み込ませる(saturated)。ここで、正孔収集層18は光活性層16よりも溶解度が高い。しかし、第2スレッド56には、例えば、イソプロパノールとキシレンの50:50(重量:重量)混合液などの溶剤の混合液が染み込ませてあり、この混合液は、正孔収集層18および光活性層16の両方を溶媒和させる(solvate)ことができるが、第1電極層14を著しく損傷させないまたは溶媒和させない。
【0061】
スレッド52,54は、第1スレッド52が正孔収集材料を除去して、下の光活性層16を除去せずに、または少なくとも一部しか除去せずに、正孔収集層18を貫通する溝を提供し、第2スレッド54が正孔収集材料および光活性化材料の両方を除去して、下の第1電極層14を損傷させることなく、正孔収集層18および光活性層16を貫通する溝を提供するように、正孔収集層18の表面で引きずられる。
【0062】
図4Cに図示するように、第1スレッド52が光活性層16に接触する位置にとどまりながら、第2スレッド54はウェブ10から離れるように移動する。それによって第1スレッド52は第2電極層50の導入のためのマスクとして作用することができ、第2電極層50は、例えば、ウェブ10に銀のナノ粒子の溶液を吹き付けることによって形成することができる。
【0063】
仕上がったパターンは、セルCの第1電極層14とセルCの第2電極層50との間の直列接続60を有する1対のセルCとCとの間の分離を提供する。
このプロセスは、図2に図示するように、システム100の改造により単純に自動化できるであろう。連続ウェブ102はローラ104の上に速度vで、Aの方向に搬送される。ウェブ102は、順次、基板12と、透明電極を含む第1電極層と、光活性層16と、正孔収集層18とを含む。
【0064】
その間、第1スレッド106は1対の可動ローラまたはスレッドガイド110a、110bに装入されるので、ウェブ102に接触するためにその間にスレッドのセクション114を残しつつ、第1ボビン108から解かれて、第1可動ローラ110aを通り、さらに第2可動ローラ110bを通った後で、最終的に第2ボビン112に巻き取ることができる。スレッドガイドまたは可動ローラ110a、bは、高度に正確なスレッドの整列を提供する。第1スレッド106は、好ましくは第1速度vよりも速い第2速度sで、第2方向Bに巻き取られる。
【0065】
第1化学槽116が第1ボビン108と第1可動ローラ110aとの間に位置付けられて、正孔収集層18および光活性層14の両方を溶媒和することのできる溶剤混合液を第1スレッド106に付する。
【0066】
第2スレッド117は第1可動ローラ110aおよび第3可動ローラ110cに装入されるので、スレッドの第1セクション120をウェブ102に接触する第1スレッド106のセクション114に平行で接した状態にしつつ、第3ボビン118から解かれて、第1可動ローラ110aを通り、さらに可動ローラ110cを通ることができる。第2スレッド117の第2セクション122は第2ローラ110bと第3ローラ110cとの間のウェブ102に接触した後で、第2スレッド117は最終的に第4ボビン124に巻き取られる。第2スレッド117は、好ましくは第1速度vよりも速い第2速度sで、第2方向Bに巻き取られる。いくつかの実施形態では、sはsと同じベクトル量を有するが、他の実施形態ではその必要はなく、実際どちらもゼロにすることができる。
【0067】
第2化学槽126が第3ボビン118と第1可動ローラ110aとの間に位置付けられて、正孔収集層18を溶媒和することができるが、光活性層14は溶媒和できない溶剤を第2スレッド117に付する。
【0068】
スプレーコーティングノズル128が、第2可動ローラ110bと第3可動ローラ110cとの間のセクション122で、ウェブ102に銀のナノ粒子溶液を付するように位置付けられている。
【0069】
使用時、ウェブ102はローラ104を速度vでAの方向に通過し、第1スレッド106が稼働ローラ110a、110bに速度sでBの方向に巻かれて、第2スレッド117が稼働ローラ110a、110cに、速度sでBの方向に巻かれる。溶剤は、上記説明したように、化学槽116、126によってスレッド106、117に導入される。可動ローラ110a、110b、110cは、ウェブ102がローラ104の上を通る領域でスレッド106、117をウェブ102に接触させるように作動させる。可動ローラは、ウェブの搬送中の整列のずれまたは位置の変動を補正するために、ウェブの方向Aに直角(または平行ではない方向)にも作動させる。この作動は、ビジョンシステム制御式アクチュエータ(例、ステッパモータおよびピエゾ、あるいはステッパモータまたはピエゾ)によって提供することができる。
【0070】
このように、第1スレッド106は、図4に関連して上記説明するように、層14、18の溶媒和によって、正孔収集層18および光活性層14に溝を生成する。同様に、第2スレッド117は、正孔収集層18に隣接して連続する溝を生成するが、光活性層には生成しない。
【0071】
さらに、スプレーコーティングノズル128を、ウェブ102に銀のナノ粒子溶液を付するように起動する(当然ながら、ウェブに溶液を連続的に付するように起動することもできる)が、第2スレッド117は作った溝を溶液が塗布されないようにマスクする。溶液が乾燥して新たな電極層が形成されると、第2スレッド117は第4ボビン124に巻き取られる。
【0072】
当業者であれば理解するように、図1および図2に関連して概説した方法により、互いに隣接した3以上のスレッドを使用することが可能であり、それによって対象物の複数の層、例えば3以上の層に、隣接した、例えば連続したまたは接した溝の形成が可能となる。
【0073】
本発明の別の改良形態を図3に図示しており、その主面に施される薄膜74を有する基板72を含むウェブ70を示している。
上記説明するように、両側に補助スレッド78a、78bが配置された第1スレッド76をその表面に引きずることによって薄膜74に溝80が設けられる。第1スレッドには、薄膜74が高い溶解度を有する第1溶剤が染み込ませられる。補助スレッドは、第1溶剤と混和せず、薄層74が極めて低い溶解度を有する液体に接触し、例えば、その中に浸漬され、その液が浸透され、または染み込ませられる。
【0074】
この構成の効果は、第1溶剤が第1スレッド76から薄膜74に移るのを防止し、それにより溝80のエッジ82の厚さの変動につながるエッジでの膜74の部分的な溶解を防止する。そのためこのような方法は極めて精密な溝を提供する。
【0075】
図4に図示する本発明の別の改良形態は、溶剤および溶剤混合液をスレッドに展開するための追加または代替手段を提供する。
図2に関連して説明するように化学槽に進入するのではなく、湿潤システム200がスレッド150を対のグラビアロール152、153に接触させる。
【0076】
第1グラビアロール152は第1溶剤156の第1槽154に位置付けられており、第1溶剤はデバイスまたはその前駆体の第1層(つまり、正孔収集層)を溶媒和するように選択される。
【0077】
第2グラビアロール153は第1溶剤160の第1槽158に位置付けられており、第1溶剤はデバイスまたはその前駆体の第1層(つまり、正孔収集層)を溶媒和するように選択されている。
【0078】
各グラビアロール152、153は、溶媒156、160を槽154、158からスレッド150に転移するために多数のプリント面162を備える。
使用時、ロール152、153が回転している間、スレッド150はグラビアロール152、153をCの方向に移動するので、ロール152、153のプリント面162は、溶剤156、158の交互に並ぶ、好ましくは隣接した領域164a、164bをスレッドに適用する。
【0079】
このように、各層を除去するために必要な溶剤が混和しない、そのため混合液として展開するのに使用できない場合でも、このようなスレッド150は、対象物から直交溶解性を有する隣接した層を除去することができる。
【0080】
さらに、例えば、第1溶剤だけを担持するスレッドの第1部分を調製した後で、第1層が除去されてからでなければ対象物に接触しない第2溶剤を担持するスレッドの第2部分を調製することが可能であり、それにより溶剤の消耗を節約する。
【0081】
3以上のグラビアロールによってスレッドに3以上の溶剤または溶剤混合液を付することも考えられる。
さらに、単一のグラビアロールを配備して、単一の溶剤または溶剤混合液をスレッドに付することができる。この単一の溶剤は連続的に付することもでき、またはスレッドに沿った一連の離れた領域に付することもできる。
【0082】
溶剤またはエッチング溶液の区分塗布を追加で、または代わりに、ディスペンサまたはインクジェットノズルによって行うことができる。当該技法により明確に定義された容量の精密な堆積が可能となる。
【0083】
図5は、図4に関連して説明したように、互いに平行で隣接している1対のスレッド210、212が、ウェブ214の層から階段状の溝を除去しようとしているところである。
【0084】
スレッド210、212はそれぞれが、上記説明した方法によって付することのできる一連の溶剤セクション216、218と、その間に配設されている溶剤フリーセクションとを含む。スレッド210、212は、第1スレッド210の溶剤セクション216を第2スレッド212の溶剤フリーセクションのすぐ隣に位置付け、またその逆に位置付けるように整列されている。このような構成は、スレッド間での望まない溶剤の混合を防止する。
【0085】
さらに、当業者は、溶剤をスレッドに付するためのこの構成は、単一のスレッドを使用して基板をパターニングするときにも同様に適切であることは理解する。
さらに、溶剤をスレッド20に付すのではなく、薄膜電極などの基板を反応、腐食または研磨によってパターニングするために、酸もしくは塩基溶剤および研磨剤を、あるいは酸もしくは塩基溶剤または研磨剤をスレッド20に付すことが可能である。
【0086】
いくつかの実施形態では、スレッドを使用して、自己組織化単分子膜(SAM)を形成するのに適した物質または組成を基板に付すこともできる。当該SAMは、処理したエリアで基板の濡れを防止するために使用することができ、そのように薄膜を基板に付する前に付して、そのエリアでの膜の堆積を防止することができる。
【0087】
対象物のパターニングにおける多数のシナリオで使用できる本発明の別の実施形態を図6A図6Bに図示している。この場合、ウェブ10が提供され、ウェブは順次、基板12と、透明電極層電極14と、光活性層16と、正孔収集層18とを含む。
【0088】
別の電極層40を追加して、所要のシートコンダクタンスおよび反射膜特性を正孔収集層18の上のウェブ10に提供するために、スレッド42を正孔収集層18に接触して配置する。スプレーノズル44を開いて、または作動させて、銀のナノ粒子溶液46を正孔収集層18の表面に吹き付ける。スレッド42は入射する銀のナノ粒子溶液46から正孔収集層18の表面の一部をマスクするので、第2電極層40が形成されると、その中に溝48が形成される。
【0089】
第2電極層40を構造的な統合性を有するように十分に乾燥させたら、完成した第2電極層40は残したまま、スレッド42を除去することができる。
ウェブ10に例えば別の電極を追加するためには、ブレード塗布またはスロットダイ塗布も利用することができる。このような場合、応用スレッドは応用溶液からウェブ10の一部をマスクするだけでなく、応用電極の高さのガイドも提供することができる。
【0090】
本発明の別の実施形態を図7に示す。
図7Aに図示するように、ウェブ10が提供され、ウェブは順次、基板12と、透明電極層電極14と、光活性層16と、正孔収集層18と、別の電極40とを含む。
【0091】
図7Bに図示するように、図1に関連して説明した方法に従って、ウェブ10から別の電極40、正孔収集層18および光活性層16を貫通する溝50が除去されるので、透明電極14を貫通するサブ溝54に隣接して透明電極14の第1の52部分が無傷のまま選択的に残る。
【0092】
この手順により、第1部分52に対してサブチャンネル54の反対側にある透明電極12の第2部分56も無傷のまま残すことができる。
図7Cに図示するように、誘電剤または酸化剤などの保護剤(passivation agent)58を溝50のエッジに堆積して、右側(図示するとおり)セル素子100のエッジを被覆するが、(図示するとおり)左側のセル素子102のエッジと、特に相対する電極52を完全に被覆しないので、電気相互接続材料60の後の堆積によって生じる右側セル素子100の上電極50bと下位の下電極14との間の短絡を防止する。これは、溝50の第2側50bが確実に保護されるように、例えば溝50の第1側50aをマスキングして、保護剤を溝に付す(例えば、スレッドまたはスレッドのセグメントによる印刷または堆積)ことにより達成することができる。
【0093】
さらに、電気配線60(例、銀のナノ粒子溶剤)を保護剤58に堆積して、溝50の第2側50bの別の電極40(つまり、左側のセル素子102)と、透明電極12(つまり、右側のセル素子100)の第1部分52との間の電気接続を有効にする。左側のセル素子102に短絡が絶対に起こらないように、電気配線60と電極50aとの間には隙間を残さなければならない。
【0094】
この方法の実質的な利点は、層のすべてをプレパターニング(正確であることが必要とされ、そのため多大な時間を要するおよび高価なセットアップ手順、あるいは多大な時間を要するまたは高価なセットアップ手順)をせず、十分に確立されたバルク技術を使用せずに構築できることである。各層をシート全体にわたり設けることができ、全体のシートまたはウェブ(もしくはその一部)を後でパターニングすることができる。これにより大幅な時間およびコストの節約につなげることができる。
【0095】
実施例として、光活性層にパターニングされたラインを図8に図示して示す。得られた構造のAFM測定は、この実施形態では、十分に画定されたエッジのある90マイクロメートルの溝幅を示す。
【0096】
間違いなく、当業者には多くの他の効果的な代替例が思いつくであろう。例えば、上記説明した実施形態は、主にトルエン、キシレン、クロロベンゼンおよびアルコールなどの溶剤を担持するスレッドを使用して、ウェブからの有機種の除去を支援することに関わるが、スレッドの他の機能も考えられる。
【0097】
当然ながら、当業者であれば理解するように、図2に図示するシステム26の動作の変更により、異なる仕上げ効果を提供することができる。例えば、スレッド20の方向Bへの移動の速度sはウェブ10の方向Aへの移動の速度vよりも速くして、溶存物質がウェブ10から離れるように担持するようにするのが好ましい。しかし、速度sおよび速度vを同じにする、または速度sを速度vよりも遅くすることも考えられる。他の好適な実施形態では、方向AおよびBはスレッド20とウェブ10との間の接触点で反対にすることもできるであろう。ほとんどの実施形態では、逆方向に流れる動きが好ましい。当然ながら、これには槽が接触エリアの上流になるように、槽の位置を移動する必要があろう。
【0098】
アルミニウム、金、銀、クロムおよび銅の電極などの金属電極と、酸化インジウムスズおよびアルミニウムドープ酸化亜鉛などの導電性、例えば透明酸化物電極は、特定の酸性または塩基性溶液を担持するスレッドを利用する上記説明した方法を用いてエッチングすることができる。
【0099】
オクチル−トリクロロシランを含むハロアルキシラン(haloalkysilane)など、適した種を担持するスレッドを利用することによって、自己組織化単分子膜を基板の表面に付して、例えばその表面エネルギを改変することができる。
【0100】
別の実施形態では、スレッドを使用して、基板の表面から層を研磨することができる。当該研磨スレッドは、例えば研磨スラリーを塗布するおよび担持することができる、あるいは研磨スラリーを塗布するまたは担持することができる。
【0101】
スレッドは典型的には直径(または他のスレッド断面寸法)が20から200μとなるが、それより薄く(例、1から20ミクロン)することも、または厚く(例、1から10ミリメーター)することもできる。
【0102】
本明細書において、スレッドの近さを記述するために使用する場合の「隣接する」という用語は、互いに接するスレッド、または短い距離、例えばスレッド幅のわずか3(例、わずか2、1、または0.5)倍分隔たるスレッドをいう。
【0103】
いくつかの実施形態では、本プロセスおよび装置、あるいは本プロセスまたは装置は、大きなウェブの材料をエッチングするために複数の平行で間隔のあいたスレッドまたはスレッド群を提供することによって、電子デバイスのアレイを製造するために使用することができる。
【0104】
本発明は説明した実施形態に限定されることはなく、添付の請求項の精神および範囲内にある当業者には明らかな変更を含むことは理解されるであろう。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8