(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記の用語は、本明細書及び請求項の両方で互換的に使用される。APVは、「平均プラーク値」と互換的に使用される。ACPVは、「平均補償プラーク値」と互換的に使用される。PMTPは、「所定の最大期間」と互換的に使用される。
【0010】
口腔の表面を洗浄するための方法が、提供され、例えば歯及び歯ぐきなどの口腔の表面上のプラークを検出及び除去することを含み得る。デバイスは、蛍光剤が結合される口腔内の表面に入射放射線を指向させるための放射線源を含む。本明細書で使用される「蛍光剤」は、歯又は歯ぐきなど口腔の表面に適用される組成物又は化合物を意味し、口腔内の表面に存在するプラークへの結合を可能にし、特定の波長の入射放射線で照射されると、蛍光発光の提供を可能にする。プラークへの「結合」又は「結束」によって、蛍光剤は、本明細書に記載されるように、洗浄条件下でプラーク沈着物から分離されないように、口腔の表面のプラーク沈着物に付着されることを意味する。例えば、手動又は電動いずれかの歯ブラシで、処理された表面をブラッシングすることは、蛍光剤が付着されたプラークが表面から除去されない場合、蛍光剤が結果的に表面から除去されることにはならない。
【0011】
放射線源は、洗浄される口腔の表面に適用される特定の蛍光剤によって幅は変わるが、一般的に約450〜約500ナノメートルまでのピーク波長を有する光を提供してもよい。デバイスは、場合により、検査される口腔の表面に接触させる前に、入射放射線を濾過するフィルターを備えてもよい。デバイスは、処理された表面に入射放射線との接触から生じる蛍光発光及び任意に反射光を収集する集光器も含む。所定の実施形態において、集光器は、光ファイバー又は繊維を含み得る。デバイスは、収集された蛍光発光及び反射光をデバイス内に搬送する光学経路も備える。所定の実施形態において、光学経路は光ファイバーを含み得る。そのようなものとして、光ファイバーは反射光及び蛍光発光の収集及び搬送の両方の役割を果たし得る。
【0012】
デバイスは、平均プラーク値を決定するために、感知又は検出するための電気構成要素、蛍光発光の工学的光、電気信号への光学的光信号を搬送する手段、反復間隔にわたって取られる収集された蛍光発光に対応する電気信号を操作するデータ処理装置を更に含む。そのようなものとして、本明細書に記載され、決定されるように、プラーク値、又は平均プラーク値は、蛍光剤と入射放射線との接触によって生成され、特定の期間にわたってデバイスによって収集される、蛍光発光に基づき、かつ蛍光発光に相関する。
【0013】
反射光及び蛍光発光の両方が収集される実施形態において、デバイスは、反射光及び蛍光発光の工学的光信号を感知する電気構成要素を更に含む。一実施形態において、反射光及び蛍光発光の光学的光信号は、連続して、しかし本質的には同時に感知又は検出される。本質的に同時とは、測定値が正確に同時に取得されなくとも、反射光と蛍光光との検出の時間における差異が非常に小さく、それぞれの検出が同時の読み取りを近似することを意味する。デバイスは、光学的光信号を電気信号に変換する手段、例えば変換器を更に備える。デバイスは、電気信号を増幅し又は調整することにより、より滑らかな若しくは平均化された信号を提供し、又はノイズが低減された信号を提供する手段を更に備える。デバイスはデータ処理装置も備え、そのデータ処理装置は、電気信号をアナログフォーマットからデジタルフォーマットに変換するアナログデジタル変換器を含んでもよい。次に、処理装置は、特定の期間にわたる平均補償プラーク値(ACPV)を決定するために、反復間隔にわたって取られる収集された反射光及び蛍光発光の電気信号を数学的に操作する。「補償プラーク値」とは、プラーク値が、集光器と調査される口腔の表面との間の距離を考慮に入れて決定されることを意味する。そのようなものとして、補償プラーク値は、任意の所定の瞬間/読み取り値における集光器と口腔表面との間の距離の関数として決定される。距離の関数としてプラーク値を決定する結果として、そのように決定された補償プラーク値は、放射線源と洗浄される口腔表面との間の実際の距離にかかわらず、任意の所定の週間/読み取り値における特定の表面と実質的に同一になる。実質的に同一であるとは、任意の所定の距離において決定された補償プラーク値が、統計的に同一になることを意味する。デバイスは、歯ブラシ(手動又は電動)などの口腔洗浄デバイスの構成要素として、又はその口腔洗浄デバイスと組み合わせて使用することができる。
【0014】
例えば、歯及び歯ぐきなどの口腔内の表面を洗浄するための本発明の方法は、洗浄前に口腔内の表面に適用される蛍光剤の使用を含む。例えば、フルオレセイン又はその塩、例えばフルオレセインナトリウムは公知の蛍光剤であり、練り歯磨き、歯磨きジェル、又は蛍光剤を含有する洗口剤等の好適な媒質中に分散されてもよい。蛍光剤は、最初に口腔を蛍光剤で濯ぎ、又は蛍光剤を含有する練り歯磨き若しくは歯磨きジェルを適用することにより、適用することができる。口腔の表面上のプラークは、表面上のプラークの量に比例する、表面に結合した蛍光剤の量を保持する。フルオレセインは蛍光剤の1つの例であるが、フルオレセインと類似した、プラークに結合する他の薬剤が公知である。本発明の方法及びデバイスに使用される入射放射線の特定の波長は、選択される特定の蛍光剤に応じて変動するであろう。
【0015】
洗浄される口腔内の表面に蛍光剤を適用した後に、使用者は、口腔内の口腔表面からプラークを検出及び除去するのに好適であるデバイスを位置決めし、次に表面を洗浄する。口腔は、歯及び/又は歯ぐきなどの口腔内の全表面が洗浄されるまで、1つのセクションから別のセクションに進み、口腔の洗浄が段階的に生じるように、例えば4〜12のセクションまでの複数のセクションに分割されてもよい。口腔が分割されるセクションの数は、本明細書に後述されるように、事前に選択され、デバイスに組み込まれてもよい。また、セクションの数は、洗浄処理を通して継続的に取られる平均蛍光発光の読み取り値に基づき、洗浄中に継続的に決定されてもよい。どちらの場合でも、デバイス自体は、使用者が口腔内の複数のセクションのうちの別のセクションにデバイスを動かす必要があることを示す、例えば制約、聴覚、視覚、又は振動がない促すものを使用者に提供する。
【0016】
実際に、デバイスは、洗浄される口腔の複数のセクションのうちの1つのセクション内に位置決めされる。デバイスは、入射放射線で洗浄される口腔のセクションの少なくとも1つの歯の表面を実質的に同時に洗浄及び照射する。洗浄及び照射されるセクションの歯の表面には、少なくとも1つの歯の表面上のプラークに結合可能な蛍光剤が適用される。表面は、少なくとも1つの歯の表面のプラークへ結合される蛍光発光と接触される際に、蛍光発光を提供する有効な波長の入射放射線で照射される。
【0017】
本発明の方法は、第1の期間にわたって洗浄される表面から蛍光発光の少なくとも1つの部分を収集し、次に第1の平均プラーク値(APV1)を決定することを含む。APV1は、第1の期間にわたり収集された複数の蛍光発光読み取り値に基づく平均プラーク値である。次に、蛍光発光の少なくとも一部分が第2の期間にわたって収集され、第2平均プラーク値(APV2)が第2の期間にわたって収集される複数の蛍光発光読み取り値に基づき決定される。次に、APV1がAPV2と比較される。APV1がAPV2以上の場合、口腔のセクションの洗浄される表面は、所定の最大期間の間、継続的に実質的に同時に洗浄され、照射される。所定の最大期間が時間切れになるようなときに、デバイスは、洗浄するために口腔内の別のセクションに移動される。APV2がAPV1未満の場合、デバイスは、移動され、複数のセクションのうちの別のセクション内に位置決めされ、洗浄する工程、照射する工程、蛍光発光を収集する工程、APV1及びAPV2を決定する工程、並びにAPV1をAPV2と比較する工程が、次のセクションで繰り返される。
【0018】
所定の実施形態において、入射放射線と処理された表面との接触から生じる反射光が、蛍光発光と本質的に同時に収集される。これらの実施形態において、蛍光発光値は、本明細書の上記に定義されるように、補償蛍光発光値である。
【0019】
図1は、本発明による口腔の表面を洗浄するための方法及びデバイスの作動原理の概略図である。図示される特定の実施形態は歯ブラシであるが、本発明により、口腔内で使用される他のデバイスも想定される。
図2は、ブラシヘッドの剛毛側から見た、本発明による歯ブラシヘッドの平面図である。図示する実施形態において、
図1で第1の破線矩形として示される歯ブラシヘッド部分14は、歯の洗浄のための従来の剛毛房26に加えて、放射線源22と、口腔表面と入射放射線との接触により生じる反射光33及び蛍光発光34を搬送する光ファイバー24a及び24bとを含む。ヘッド14は、放射線源に応じて第1の光学フィルター42も含み得る。歯を洗浄するための静止した剛毛房26が
図1に示されるが、本明細書に記載される口腔を洗浄するためのデバイスが可動剛毛房、超音波、又は放射線などの歯及び歯ぐきを洗浄するための方法を使用し得る電動歯ブラシであり得ることが理解されるべきである。
【0020】
図1で第2の破線矩形として示される電気ハウジング18は、本明細書で上述したような、そのハウジング内に配置されるプラーク検出デバイスの他の電気的構成要素を収容するであろう。いくつかの実施形態において、電気ハウジング18は、洗浄デバイスの取っ手部分、例えば歯ブラシ取っ手内に存在してもよい。図示した実施形態では、光ファイバー24a及び24bは、ヘッド14から電気ハウジング18内に延びる。ハウジング18は、そのハウジング内に収容された第2の光学フィルター44、第1の光変換器46、第2の光変換器48、第1の増幅器52、第2の増幅器54、データ処理装置56、及び電気構成要素を作動させる電源50も含む。
【0021】
図1は、口腔の代表的な表面、例えば上面62及び側面64を有する歯60も示す。
図1は、歯60の上面62に指向されたデバイス10を示しているが、歯60の上面62及び側面64の両方が入射放射線と接触され得ることを理解するべきである。加えて、そのような接触は、使用者の歯磨き技術に応じて、複数の歯60の上面62及び側面64において同時であり得る。洗浄デバイスは、口腔内の他の表面、例えば歯ぐき、舌又は頬等に指向されることもできる。
【0022】
作動時、洗浄デバイスを使用する前に、口腔は、蛍光標識物質、即ち蛍光剤で処理され、その蛍光剤は歯科プラークに優先的に結合し、入射放射線に暴露された際に蛍光発光を生成する。入射放射線のピーク波長は、選択される特定の蛍光剤に応じて変動する。フルオレセイン又はその塩、例えばフルオレセインナトリウムを使用する実施形態では、入射放射線は約450〜約500ナノメートルの範囲のピーク波長を有し得る。口腔内に位置決めされた後、放射線源22は約450〜約500ナノメートル(nm)、又は約470ナノメートルのピーク波長の光を放射する。光は第1の光学フィルター42を通過してもよく、そのフィルターは、約510nmを超える波長を有する光を実質的に全て除去する。図示するように、放射線源22からの入射放射線32は歯60の上面62に指向されるが、上述したように、入射放射線は口腔の複数の表面、例えば歯と接触することができる。表面と接触すると、入射放射線は歯60の表面に位置するプラークに結合した蛍光剤と相互作用する。次に、蛍光剤は約520〜約530ナノメートルのピーク波長を有する蛍光発光34を生成する。蛍光剤により提供される蛍光発光34の第1の部分は光ファイバー24aにより収集され、光ファイバー24aによりデバイス内へ搬送されて、更に数学的に処理される。これに付随して反射光33の第2の部分が本質的に同時に収集され、蛍光発光34の第1の部分と共に搬送される。蛍光発光34は第2の光学フィルター44を通過し、そのフィルターは約515nm未満の波長の光を実質的に全部除去して、反射光が本質的にデータ処理装置56へ全く通過されないことを確実にする。今濾過された蛍光発光34は、光学的光信号を電気信号に変換するフォトダイオードの形態の第1の光変換器46を通過する。電気信号は第1の増幅器52を通過して、データ処理装置56へ通過されている電気信号が増大される。
【0023】
反射光の第1の部分は光ファイバー24bにより収集され、光ファイバー24bによりデバイス内に搬送されて、更に数学的に処理される。これに付随して蛍光発光34の第2の部分が収集され、反射光の第1の部分と共に搬送される。蛍光発光34の第2の部分と反射光の第1の部分とは、光学的光信号を電気信号に変換するフォトダイオードの形態の第2の光変換器48を通して搬送される。第2の光変換器48に通過させる前に、蛍光発光を実質的に全部除去する光学フィルターを提供することは任意であるが、図示した実施形態では、蛍光発光の第2の部分と反射光の第1の部分とはいずれも、それらが第2の光変換器48を通過する前に濾過されず、これはこれらの信号が放射線源22から歯60の表面までの距離を測定するのに使用されるためである。未濾過の電気信号は第2の増幅器54を通過して、データ処理装置56に通過されている電気信号が増大される。
【0024】
プラーク検出デバイス10内で使用され得る電子部品としては、Taos TSL12S−LFフォトダイオード、Opamp Analog AD8544ARZ増幅器、Semrock蛍光フィルター(FF01−500−LP、FF01−475/64)、及びAtmel ATMEGA8L−8AUマイクロプロセッサが挙げられる。
【0025】
データ処理装置56は、第1の光変換器46及び第2の光変換器48からの入力の数学的操作を実行する。数学的操作において、濾過された蛍光発光34から得られた電気信号は、光ファイバー24b、即ち集光器の先端から歯60の表面に対する距離の決定に使用し得る未濾過電気信号から受信した電気信号を計上するよう変更される。2つの信号の間の関係は、蛍光剤で被覆された物体の表面からの既知の距離における各信号の強度を測定することにより実験的に決定される。数学的操作の結果は修正された電気信号であり、その信号は補償プラーク値をもたらし、補償プラーク値という用語は、本明細書の下記に記載及び定義される通りである。
【0026】
図2は、本発明のデバイスの第1の実施形態の平面図である。図示するように、デバイス10は、取っ手部分12及びヘッド部分14を有する歯ブラシの形態を有する。
図2は、デバイス10の剛毛面16を示す。ヘッド部分14の剛毛面16は略楕円形として示されるが、剛毛面16は三角形、四角形、矩形、台形及び他の多角形、又は円形、長円形、三日月形、デルタ字形(deltoid)、星形若しくは他の曲線形であってもよいことが重要である。
【0027】
放射線源22、集光器及び搬送器24、並びに洗浄房26は、剛毛面16上に位置決めされている。発光ダイオード(LED)等の発光体の形態を有する放射線源22は、入射励起放射線を、洗浄するべき歯の表面に指向させる。一般に光ファイバーの形態を有する集光器及び搬送器24は、歯から放射される蛍光発光を収集する。光ファイバーは、シリカ等のガラスから形成されてもよいが、フルオロジルコネート、フルオロアルミネート、及びカルゴゲナイドガラス等の他の物質から形成されてもよく、またプラスチック光ファイバー(POF)の形態を有してもよい。
【0028】
洗浄房26は歯の表面の洗浄を最適にする様式で、剛毛面16上に位置決めされたおよそ20〜50個の個々の剛毛から形成されている。
図1は、剛毛面16上の房26の1つの配置を示す。剛毛面16上の房26のこの配置は、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するべきである。典型的な房は、直径がおよそ1.6mm(0.063インチ)であり、およそ2mm
2(0.079インチ
2)の断面積を有する。一般的に使用される毛の直径は、柔らかめの毛で0.15mm(0.006インチ)、中程度の毛で0.2mm(0.008インチ)、及び固めの毛で0.25mm(0.010インチ)である。
【0029】
上述した方法による歯上のう蝕、プラーク又は細菌感染の認識における一般的な問題は、検出した蛍光発光に日光又は人工的な室内照明が破壊的に重畳し得ることに見出される。この環境光は歯60から反射される可能性があり、それにより光ファイバー24a及び24bにより収集される。本発明による検出領域内に存在する環境光のスペクトル領域は、背景信号、即ちノイズを生じ、これはプラーク検出の感度を制限する。
【0030】
この問題は、放射線源22により生成される入射放射線32が周期的に変調される本発明により効果的に解決される。このケースでは、蛍光発光34は、短時間の励起状態により、励起放射線の強度に事実上同時に追従する。対照的に、環境光は周期的に変調されず、検出される発光34に、一定の構成成分として単独で重畳する。発光34の評価のために、対応する周波数で変調された放射線のみが検出信号として使用され、かつ評価される。この方法で、環境光の一定の構成成分が、ある程度濾去され、プラークは事実上、環境光とは独立に検出される。しかしながら、環境光は電源電圧(mains voltage)の周波数により僅かに変調されるため、電源電圧周波数とは際だって異なる周波数、好ましくは100Hz〜200kHzの範囲内に存在する周波数を、入射放射線32のための変調周波数として選択する必要がある。
【0031】
口腔内のプラーク検出及び除去のためのデバイス及び方法は、口腔の健康を追跡する口腔ケアシステムの一部として又はそのシステムと組み合わせて使用することもできる。そのようなシステムは、洗浄操作の前又は後に、歯、歯ぐき、舌又は頬の表面上のプラークレベルを記録することができ、またある時間に亘りプラークのレベルを追跡し、その結果を使用者又は歯の手入れの専門家に報告することができる。
【0032】
図3は、本発明の方法の第1の実施形態を図示する。この実施形態において、歯を洗浄するのに使用され、使用者は、歯の洗浄操作を多くのセクションに分け、経口洗浄デバイス10から出力信号(OUTPUT SIGNAL)を受けると、セクションからセクションへと移動するように指示される。例示を目的とし、範囲を限定しないものとするため、
図1について記載し、
図3に示す実施形態は、上部の歯の前側の3つ、上部の歯の裏側の3つ、下部の歯の前側の3つ、下部の歯の裏側の3つの洗浄の12のセクションを使用する。洗浄されるセクションの順は、経口洗浄デバイス10の性能に重要ではない。
【0033】
第1の工程において、経口洗浄デバイス10の電源が入れられ、洗浄されるセクションの数を追跡するように使用される内部カウンター(COUNTER)、グローバルタイマー(GLOBAL TIMER)及びローカルタイマー(LOCAL TIMER)がゼロに設定される。次の工程に進み、放射線源22からの入射放射線が、洗浄されるセクション内の歯60の上面62又は側面64に指向される。処理装置56は、放射線源22から歯60の表面までの距離を決定するために使用された未濾過電気信号からの強度がプリセットの距離閾値信号(DISTANCE THRESHOLD SIGNAL)を超えるまで待つ。これは、放射線源22が歯60の上面62又は側面64に極めて接近して位置決めされることを確実にするためである。未濾過電気信号からの強度がプリセットの距離閾値信号(DISTANCE THRESHOLD SIGNAL)を超えると、プログラムが次の工程に進み、グローバルタイマー(GLOBAL TIMER)及びローカルタイマー(LOCAL TIMER)の両方が開始される。洗浄処理過程のいずれかの時点で、距離閾値信号(DISTANCE THRESHOLD SIGNAL)がプリセットの距離閾値信号(DISTANCE THRESHOLD SIGNAL)未満の場合、グローバルタイマー(GLOBAL TIMER)及びローカルタイマー(LOCAL TIMER)の両方が止められ、未濾過電気信号からの強度がプリセットの距離閾値信号(DISTANCE THRESHOLD SIGNAL)を超えると、再開される。グローバルタイマー(GLOBAL TIMER)が予定され、口腔全体が洗浄される最大グローバル洗浄期間(MGCTP)に設定される。
【0034】
次の工程に進み、処理装置56は、修正された電気信号を生じる第1の光変換器46及び第2の光変換器48からの入力のアルゴリズムを開始する。APVが、ローカルタイマー(LOCAL TIMER)の0時間から所定の第1の期間に計算され、APV1として記録される。所定の第1の期間は、5秒(
図3参照)になり得、又は限定されないが、10、5、4、2、1、0.5、0.25、又は0.01秒等の他の値になり得る。いくつかの実施形態において、APVは、0時間から所定の第1の期間までの1、0.5、0.25、0.125、0.1、0.05、0.025、0.0125、0.01、又は0.005秒等の間隔でデータを取って計算されてもよく、修正された電気信号値を測定されたデータポイントの数で平均する。データの記録のための時間間隔は、規則的でもよく、又は所定の第1の期間にわたって不規則に選択されることもできる。
【0035】
プログラムの次の工程において、カウンター(COUNTER)の値が1増加される。次に、第2の平均プラーク値が、第1の所定の期間の終了からローカルタイマー(LOCAL TIMER)の所定の第2の期間に計算され、APV2として記録される。所定の第2の期間は、5秒(
図3参照)になり得、又は限定されないが、15、12、10、8、6、5、3、2、1、又は0.001秒等の他の値になり得る。APV2は、いくつかの実施形態において、所定の第1の時間の終了から所定の第2の期間までの1、0.5、0.25、0.125、0.1、0.05、0.025、0.0125、0.01、又は0.005秒等の間隔でデータを取って計算されてもよく、修正された電気信号値を測定されたデータポイントの数で平均する。データの記録のための時間間隔は、規則的でもよく、又は所定の第2の期間にわたって不規則に選択されることもできる。
【0036】
次に、第1の決定ブロックにおいて、APV2がAPV1と比較される。APV2がAPV1未満の場合、処理装置は、以下に記載されるように、第2の決定ブロックに移動する。
【0037】
APV1がAPV2以上の場合、プログラムがローカルタイマー(LOCAL TIMER)の所定の第3の時間の間待つ。第3の期間は、口腔の特定のセクションを洗浄するためのローカル最大期間である。所定の第3の期間の間、使用者は、洗浄されるセクションの適切な洗浄時間及びプラーク除去を確実にするために、洗浄されるセクションの歯を洗浄し続ける。所定の第3の時間は、10、7.5、5(
図3参照)、4、3、2、1、又は0.5秒になり得、経口洗浄デバイスで所定の実験によって決定されてもよい。
図3に示される実施形態において、それぞれのセクションの保証された適切なブラッシング時間が5秒で、それぞれのセクションの最大洗浄時間が15秒である。
【0038】
所定の第3の期間の時間切れになると、APV2がAPV1未満の場合、処理装置56の作動プログラムが第2の決定ブロックに進む。グローバルタイマー(GLOBAL TIMER)の実行時間の値がMGCTPと比較される。グローバルタイマー(GLOBAL TIMER)の実行時間の値がMGCTPを超える場合、処理装置56の作動プログラムが、洗浄処理が終了したことを使用者に通知するために使用者に終了(END)信号を送信させる。MGCTPは、プリセットされたセクションの数の生成物及びそれぞれのセクションの最大時間を超えなければならないことに注意することが重要である。
図3に示される実施形態の場合、プリセットされたセクションの数が12で、それぞれのセクションの最大時間が15秒である。したがって、
図3に示された実施形態のMGCTPは、180秒(3分)である。
【0039】
グローバルタイマー(GLOBAL TIMER)の実行時間の値がMGCTP未満の場合、作動プログラミング処理装置56が第3の決定ブロックに進む。この決定ブロックにおいて、カウンター(COUNTER)の値が、洗浄されるセクションのプリセット数と比較される。カウンター(COUNTER)がセクションのプリセット数と等しい場合、処理装置56の作動プログラムが使用者に送信される終了(END)信号を有し、洗浄処理が終了したことを使用者に通知する。前述の通り、
図3に示される実施形態は、洗浄する12のセクションを使用する。
【0040】
カウンター(COUNTER)がセクションのプリセット数未満の場合、処理装置56の作動プログラムが次の工程に進む。ここで、ローカルタイマー(LOCAL TIMER)がゼロにリセットされ、処理装置56の作動プログラムが使用者に送信される出力信号(OUTPUT SIGNAL)を有し、経口洗浄デバイス10を洗浄するために次のセクションに移動させることを使用者に通知する。
図3に示されるように、処理装置56の作動プログラムが次の工程に進み、ローカルタイマー(LOCAL TIMER)が開始され、プログラムが第2のループを開始する。
【0041】
洗浄操作が全てのセクションで終了するまで、処理が続く。洗浄処理が終了したことを使用者に通知するために使用者に送信される終了(END)信号、並びに洗浄する次のセクションに経口洗浄デバイス10を移動させることを使用者に通知するために使用者に送信される出力信号(OUTPUT SIGNAL)は、いくつかの形態であってもよい。これらの信号は、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、又は味覚の5つの感覚のいずれかの形態であってよい。例えば、経口洗浄デバイス10の取っ手部分12は、表面上又は表面に組み込まれる、光又は一連の光を有してもよい。使用者がデバイス10でそれぞれのセクションを洗浄する間に、光がオフにされていてもよい。出力信号(OUTPUT SIGNAL)は、光を照らして使用されてもよく、次のセクションに移動させる時間であることを使用者に通知する。洗浄処理が終了したことを使用者に通知するために使用者に送信される終了(END)信号が、光の閃光を有して使用されてもよい。
【0042】
別の実施形態では、2色の光が使用されることができる。ここで、第1の色の照らされた光が、使用者に、使用者が現在洗浄しているセクションにとどまることを通知する。新しいセクションに移動する時間になると、出力信号(OUTPUT SIGNAL)が使用されて、第1の色の光を薄暗くし、第2の色の光を照らし得る。終了(END)信号は、光の全てを照らし、光の閃光の全てを有して使用されてもよい。
【0043】
経口洗浄デバイス10は、同じような方法で、音、又は一連の音を使用してもよい。音量、音程、音調、又は周波数を変更することは、出力信号(OUTPUT SIGNAL)及び終了(END)信号から全て可能な結果となる。他の実施形態おいて、振動運動は、セクションからセクションに移動することを使用者に通知するために、あるいは洗浄が終了したことを使用者に通知するために使用され得る。
【0044】
図5は、本発明による口腔の表面を洗浄するのに用いるデバイス100の実施形態の断面図である。図示される特定の実施形態は歯ブラシであるが、本発明により、口腔内で使用される他のデバイスも想定される。
図6に示されるように、デバイス100は、取っ手部分102、首部分104、及び歯ブラシヘッド部分114を有する。歯ブラシヘッド部分114は、歯を洗浄するための剛毛房126及び放射線源122を含む。取っ手部分102は、中空であり、光変換器146及び148、増幅器152及び154、データ処理装置156、及び電源150が、そこに収容される。
【0045】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、より良く理解され得る。
【実施例】
【0046】
実施例1:補償プラーク値の決定
手動歯ブラシのヘッドを、ヘッドの外側に向いた青色発光ダイオード(LED)を挿入することにより、LEDからの光が歯表面に照射できるように改造して、プラーク検出歯ブラシが形成された。LEDを、同様に青色LEDにより照射される領域内に先端が向いた12個の光ファイバー繊維のアレイで包囲した。光ファイバーは、歯ブラシのネックを通過し、歯ブラシの取っ手部分内に収容された一対の光センサー(Taos TSL12S−LF)通過した。ファイバーを2つのグループに分けた。1つのグループは515nmを超える波長のみ通過できる光学フィルター(Semrock FF01−500/LP)を通したが、第2のグループは全部の波長を通過させ、即ち光学フィルターは全く使用されなかった。濾過された光はプラーク値を表した一方、未濾過の光は、集光器、即ち光ファイバーの先端と、歯の表面との間の距離の解釈に使用された。光センサーの出力は増幅器(アナログデバイスAD8544ARZ)に接続され、その増幅器は8ビット・マイクロコントローラ(Atmel ATMEGA8L−8AU)に接続されていた。マイクロコントローラは、2つの10ビット・アナログ−デジタル変換器を含み、その変換器は、マイクロコントローラ内で情報をデジタルフォーマットで操作できるようにする。
【0047】
この装置を用いて、蛍光材料を含有する模擬プラーク材料で被覆したTypodent歯モデルを使用して、実験を行った。プラークがヒトの口腔内で成長する方法を近似して、歯表面上に人工プラークを塗布した。実験は、距離とプラーク値との間の関係を形成できるように、例えば光ファイバー繊維の先端を歯表面からの様々な距離に配置することから構成された。
【0048】
原型デバイスを以下のパラメータの組で操作した。
・500Hz(0.002秒)でサンプリング、連続して4つの測定値を反復連続的に取得。
・出力データ値当たり20個のデータポイント毎にを平均。
・7MHzのクロック速度で8ビット・マイクロコントローラで駆動されるデバイス。
・データのRS232読取りを表計算ソフト(spreadsheet)へ、及び
・周辺光の補償。
【0049】
デバイスを、歯表面モデルの表面から0〜10mmの距離に配置した。読み取りを距離LEDオン、距離LEDオフ、プラークLEDオン、及びプラークLEDオフにより取得した。各距離における総プラーク及び総距離に関する信号の値を、以下を使用して計算した。
総プラーク=プラークLEDオン−プラークLEDオフ (I)
総距離=距離LEDオン−距離LEDオフ。 (II)
【0050】
表Iは、LEDオン、プラークLEDオフ、総プラーク、距離LEDオン、距離LEDオフ、総距離に関する測定値/計算値を示す。
【表1】
【0051】
縦列A(総プラーク)の値を、縦列B(総距離)に対してプロットした。得られた線を、直線式に曲線適合した。
総プラーク=1.304(総距離)−66.61 (III)
【0052】
歯表面モデルの表面から距離1mmの総プラークの値が226であったため、補償プラーク値(CPV)は、以下を使用して決定された。
CPV=226+(1.304(総距離)−66.61)/総プラーク (IV)
【表2】
【0053】
表は、CPV平均計算値が、距離に関わらず227.02であり、標準偏差は0.012(0.05%)であることを示す。したがって、プラーク読み取り値は、集光器から歯モデルの表面迄の距離を考慮に入れて補償されている。
【0054】
実施例2:経口洗浄デバイスの使用
実施例1に記載されたデバイスは、ヒトの歯を洗浄する研究で使用された。研究の参加者は、研究が実施される前の18〜24時間に任意の口腔衛生を行わなかった。研究は、米国歯科医師会承認のバスメソッドを使用する歯科衛生士による代理ブラッシングを使用して実施された。口腔は、それぞれのセクションが個別に分析され得るように12の均等なセクションに分割された。それぞれのセクションのブラッシングの最大総期間は、2分の全口腔ブラッシング時間を促すために、10秒に予定及び設定された。ブラッシングの間に、デバイスで生成されるデータは、シリアル通信を介して、データに記録されるPCに出力された。
【0055】
図4は、口の特定のセクションの10秒ブラッシングの間にデバイスから生成されたデータの標準地である。ブラシの検出部分がプラークの異なったレベルを含むセクション内の領域にわたって繰り返し動くため、データは上下に変動する。データを通して引かれた直線状の傾向線が、10秒期間間のプラークの減少を示す。
【0056】
前述の説明及び図面は、本発明の代表的な実施形態を表すが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、それらに様々な追加、修正、及び置換を行い得ることが理解されよう。当業者は、本発明が、本発明の原理から逸脱することなく、特定の環境及び動作要件に特に適合される、本発明の実践において使用される、構造、配置、比率、材料、及び構成要素の多くの修正を伴って、並びに別の方法で、使用され得ることを認識するであろう。例えば、一体形成されたものとして示される要素は、一体形成され得る複数の部分として示される複数の部分又は要素で構築されてもよく、要素の動作は、反転される、ないしは別の方法で変化されてもよく、要素のサイズ又は寸法は、変化されてもよい。ここに開示した実施形態はしたがって、いかなる点においても例示的なものであり、限定的なものではないと解釈されるべきであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示され、上記の説明に限定されるものではない。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 口腔を洗浄するための方法であって、前記方法が、
a.前記口腔内の少なくとも1つの歯の表面からプラークを検出及び除去するために好適なデバイスを、前記口腔内に位置決めする工程と、
b.前記口腔内の前記少なくとも1つの歯であって、前記少なくとも1つの歯の前記表面のプラークに結合可能な蛍光剤を前記歯に適用した、少なくとも1つの歯の前記表面を、前記少なくとも1つの歯の前記表面上の前記蛍光剤と接触させられたときに蛍光発光を提供するのに有効な波長の入射放射線で、実質的に同時に洗浄及び照射する工程と、
c.第1の期間にわたって前記蛍光発光の少なくとも一部分を収集する工程と、
d.前記第1の期間にわたって収集された前記蛍光発光に基づき、第1の平均蛍光発光値(APV1)を決定する工程と、
e.第2の期間にわたって前記蛍光発光の少なくとも一部分を収集する工程と、
f.前記第2の期間にわたって収集された前記蛍光発光に基づき、第2の平均プラーク値(APV2)を決定する工程と、
g.前記APV1を前記APV2と比較する工程と、
を含む、方法。
(2) 前記入射放射線と前記表面との接触から生じる反射光が、前記蛍光発光と本質的に同時に収集され、前記APV1及びAPV2は、補償APVである、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記APV2が前記APV1未満の場合、前記デバイスが、前記口腔の前記複数のセクションのうちの別のセクション内に位置決めされる、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記APV1が前記APV2以上の場合、前記セクションの前記表面が、所定の最大期間の間、継続的に実質的に同時に洗浄及び照射される、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記蛍光剤が、フルオレセイン又はその塩を含む、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記入射放射線が、約450〜約500ナノメートルのピーク波長を有する、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記蛍光発光の前記一部分が、約520〜約530ナノメートルのピーク波長を有する、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記第1の期間が、約0.01〜約10秒である、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記第2の期間が、約0.001〜約15秒である、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記所定の最大期間が、約0.5〜約15秒である、実施態様4に記載の方法。
【0058】
(11) 前記反射光が、前記蛍光発光の光信号を前記蛍光発光の電気信号に変換する前に、光学フィルターを通して前記蛍光発光と同時に搬送され、前記フィルターが、約515ナノメートルを超える波長を有する光を除去する、実施態様2に記載の方法。
(12) 前記補償APV1及びAPV2が、前記蛍光発光の前記収集地点と前記口腔の前記表面との間の距離の関数として決定される、実施態様2に記載の方法。
(13) 前記洗浄が、音波処理、加圧水、及びブラッシングによって達成される、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記ブラッシングが、電動歯ブラシ又は手動歯ブラシによって達成される、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記洗浄が、音波処理、加圧水、及びブラッシングによって達成される、実施態様12に記載の方法。
(16) 前記ブラッシングが、電動歯ブラシ又は手動歯ブラシによって達成される、実施態様15に記載の方法。