(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、脳深部刺激を含む脳刺激のためのデバイス及び方法の分野に関する。更に、本発明は、複数のセグメント電極を有するリードを使用する脳刺激のためのデバイス及び方法に関する。
【0017】
脳深部刺激のためのリードは、刺激電極、記録電極、又はその両方の組合せを含むのがよい。施術者は、記録電極を使用してターゲットニューロンの位置を決定し、次いでそれに従って、刺激電極を位置決めするのがよく、記録リードの取出し及び刺激リードの挿入は行わない。いくつかの実施形態では、記録及び刺激の両方に同じ電極を使用してもよい。いくつかの実施形態では、別々のリードを使用し、一方のリードは、ターゲットニューロンを特定する記録電極を有し、第2のリードは、ターゲットニューロン特定後に第1のリードに置換される刺激電極を有するのがよい。リードは、ターゲットニューロンの位置をより正確に決定するために、リードの周囲に離間した記録電極を含むのがよい。少なくともいくつかの実施形態では、リードは、回転可能であり、記録電極を使用してニューロンを見つけた後、刺激電極をターゲットニューロンと整列させるのがよい。
【0018】
脳深部刺激デバイス及びリードは、この分野の技術文献に説明されている。例えば、米国特許出願公開第2006/0149335号明細書(脳刺激のためのデバイス及び方法)、及び出願中の米国特許出願第12/237,888号明細書(脳刺激システムのための非円形遠位端部を有するリード、及び、その製造方法及び使用方法)を参照すべきである。これらの参考文献の各々の全体を、本明細書に援用する。
【0019】
図10は、脳刺激のためのデバイス1000の1つの実施形態を示している。デバイスは、リード1010と、リング電極1020と、セグメント電極1030と、これらの電極を制御ユニットに接続するためのコネクタ1040と、リード1010を患者の脳内に挿入し且つ位置決めするのを補助するスタイレット1060を含んでいる。スタイレット1060は、剛性材料で作られるのがよい。適当な材料の例は、タングステン、ステンレス鋼、又はプラスチックを含む。スタイレット1060は、ハンドル1070を有し、ハンドル1070は、リードへの挿入、並びにスタイレット及びリードの回転を補助する。コネクタ1040は、好ましくはスタイレット1060の取出し後、リード1010の近位端部の上に嵌合される。
【0020】
作動の一例では、脳の中の望ましい位置へのアクセスは、患者の頭蓋骨又は頭蓋を頭蓋ドリル(一般的にバールと呼ぶ)で孔あけし、硬膜又は脳被覆を凝固して切開することによって達成する。リード1010は、スタイレット1060の補助により頭蓋及び脳組織の中に挿入することができる。リードは、例えば、定位フレーム及びマイクロ駆動モータシステムを使用して脳内のターゲット位置に案内することができる。いくつかの実施形態では、マイクロ駆動モータシステムは、全自動であってもよいし、部分的に自動であってもよい。マイクロ駆動モータシステムは、以下のアクション(単独又は組み合わせて)、すなわち、リードを回転し、リードを挿入し、又はリードを後退させるうちの1つ又は2つ以上を実施するように構成されるのがよい。いくつかの実施形態では、ターゲットニューロンによって刺激された筋肉又は他の組織に結合された測定デバイス又は患者又は臨床医に応答するユニットは、制御ユニット又はマイクロ駆動モータシステムに結合されるのがよい。測定デバイス、ユーザ、又は臨床医は、ターゲット筋肉又は他の組織による反応を刺激又は記録電極に示し、ターゲットニューロンを更に特定し、刺激電極の位置決めを容易にする。例えば、ターゲットニューロンが振戦を受けた筋肉に向けられる場合、測定デバイスを使用して筋肉を観察し、ニューロンの刺激に応答して振戦周波数又は振幅の変化を示すことができる。変形例として、患者又は臨床医は、筋肉を観察してフィードバックすることができる。
【0021】
脳深部刺激のためのリード1010は、刺激電極を含んでいてもよいし、記録電極を含んでいてもよいし、その両方を含んでいてもよいことを理解すべきである。少なくともいくつかの実施形態では、リードは、回転可能であり、記録電極を使用してニューロンを見つけた後、刺激電極をターゲットニューロンと整列させるのがよい。
【0022】
刺激電極は、ターゲットニューロンを刺激するために、リードの円周上に配置されるのがよい。電流がリードの軸線に沿う任意の所定長さの各電極からどの方向にも等しく放出されるように、刺激電極は、リング形であるのがよい。それに加えて又はその代わりに、セグメント電極が、電流のステアリング(steering)を達成するために利用されてもよい。以下の記述は刺激電極を説明しているけれども、説明する刺激電極の全ての形態は、記録電極を配置するのにも利用されてもよいことを理解すべきである。
【0023】
図1Aは、脳刺激のためのリード100の1つの実施形態を示している。デバイスは、リード本体110と、1つ又は2つ以上のリング電極120と、複数のセグメント電極(分割電極)130を含んでいる。リード本体110は、生体適合性で非伝導性の材料で形成されるのがよく、かかる材料は、例えば、ポリマー材料である。適当なポリマー材料は、限定するわけではないが、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、又はポリウレアを含む。少なくともいくつかの例では、リードは、長時間にわたって体組織と接触しているのがよい。少なくともいくつかの実施形態では、リードは、1.5mm未満の断面直径を有し、0.75mmから1.5mmの範囲であるのがよい。少なくともいくつかの実施形態では、リードは、少なくとも10cmの長さを有し、リードの長さは、25cmから70cmの範囲であるのがよい。
【0024】
複数の刺激電極が、リード本体110上に配置されるのがよい。これらの刺激電極は、金属、合金、伝導性酸化物、又は任意適当なその他の伝導性材料を使用して作られるのがよい。適当な材料の例は、限定するわけではないが、プラチナ、プラチナイリジウム合金、イリジウム、ステンレス鋼、チタン、又はタングステンを含む。好ましくは、刺激電極は、生体適合性であり且つ予想使用期間にわたる作動環境において予想作動条件下で実質的に腐食しない材料で作られる。
【0025】
少なくともいくつかの実施形態では、任意の電極は、アノード又はカソードとして使用され、アノード電流又はカソード電流を流すのがよい。いくつかの例では、電極は、ある期間、アノードであり、ある期間、カソードであるのがよい。他の実施形態では、特定の電極のアノード又はカソードとしての特定は、固定されているのがよい。
【0026】
リング電極120の形態の刺激電極は、リード本体110の任意の部分の上に配置され、普通、リードの遠位端部の近くに配置される。
図1Aは、2つのリング電極を有するリードの一部分を示している。任意の数のリング電極又は単一のリング電極が、リード本体110の長さ方向に沿って配置される。例えば、リード本体は、1つのリング電極を有していてもよいし、2つのリング電極を有していてもよいし、3つのリング電極を有していてもよいし、4つのリング電極を有していてもよい。いくつかの実施形態では、リードは、5つ、6つ、7つ、又は8つのリング電極を有していてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、リング電極120は、実質的に円筒形であり、リード本体110の全周を覆っている。いくつかの実施形態では、リング電極120の外径は、リード本体110の外径と実質的に等しい。更に、リング電極120の幅は、ターゲットニューロンの望ましい治療及び位置に従って変化するのがよい。いくつかの実施形態では、リング電極120の幅は、リング電極120の直径よりも小さいか又はそれと等しい。他の実施形態では、リング電極120の幅は、リング電極120の直径よりも大きい。
【0028】
少なくともいくつかの実施形態では、リードはまた、複数のセグメント電極130を含んでいる。任意の数のセグメント電極130が、リード本体110上に配置される。いくつかの実施形態では、セグメント電極130は、セグメント電極の組にグループ分けされ、各組は、特定の長手方向位置で又はその近くのリードの周囲に配置される。リードは、セグメント電極の任意の数の組を有する。少なくともいくつかの実施形態では、リードは、セグメント電極の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つの組を有する。少なくともいくつかの実施形態では、セグメント電極の各組は、同じ数のセグメント電極130を含む。いくつかの実施形態では、セグメント電極の各組は、3つのセグメント電極130を含む。少なくともいくつかの他の実施形態では、セグメント電極の各組は、2つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのセグメント電極を含む。セグメント電極130は、サイズ及び形状が異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、セグメント電極130は、全て同じサイズ、形状、直径、幅、又は面積、又はそれらのいずれかの組合せである。いくつかの実施形態では、各組のセグメント電極、又は全てのセグメント電極は、サイズ及び形状を同一にすることができる。
【0029】
少なくともいくつかの実施形態では、セグメント電極130の各組は、リード本体110の周囲に配置され、リード本体110の周囲に実質的に又はほぼ円筒形を形成するのがよい。リード本体110の周囲のセグメント電極130の間隔は、異なっていてもよい。少なくともいくつかの実施形態では、等しい空間、間隙、又は切り欠きが、リード本体110の周囲の各セグメント電極130の間に配置される。他の実施形態では、セグメント電極の間の空間、間隙、又は切り欠きは、サイズ又は形状が異なっている。他の実施形態では、セグメント電極の間の空間、間隙、又は切り欠きは、セグメント電極の特定の組に対して又はセグメント電極の全ての組に対して均一であるのがよい。セグメント電極130は、リード本体110の周囲に不規則又は規則的間隔で位置決めされてもよい。
【0030】
リング電極120及びセグメント電極130に取付けられ又はそれらから取付けられる導体(図示せず)はまた、リード本体110を貫いて延びる。これらの導体は、リードの材料又はリードによって形成された内腔を通るのがよい。導体は、制御ユニット(図示せず)に電極を結合するためのコネクタのところに存在する。1つの実施形態では、刺激電極は、リード本体110から広がるワイヤ導体に一致し、次に、リード表面と同一平面に切取られ、又は細かく研削される(それらが電極に接続された後に)。導体は、制御ユニットに結合され、多くの場合、刺激信号をパルスの形態で刺激電極に提供する。
【0031】
図1Bは、複数のセグメント電極を有するリードの別の実施形態の概略的な側面図である。
図1Bで分かるように、複数のセグメント電極130は、互いに対して異なる向きに配置されている。2組のセグメント電極がリード本体110の長さ方向に沿って整列している
図1Aと対照的に、
図1Bは、2組のセグメント電極130が互い違いに配置されている別の実施形態を示している。少なくともいくつかの実施形態では、複数組のセグメント電極が、セグメント電極がリード本体110の長さ方向に沿って整列しないように互い違いに配置される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのセグメント電極が異なる組の別の1つのセグメント電極と整列し、他のセグメント電極が整列しないように、セグメント電極が互い違いに配置されてもよい。
【0032】
任意の数のセグメント電極130が、リード本体110上に任意の数の組をなして配置される。
図1A及び
図1Bは、2組のセグメント電極を含む実施形態を示している。これら2組のセグメント電極130は、異なる形態をなして配置されてもよい。例えば、セグメント電極130の2つの組は、2つのリング電極120に対して遠位側のリード本体110の遠位端部上に配置されるのがよい。変形例として、セグメント電極130の2つの組は、2つのリング電極に対して近位側に配置されてもよい。セグメント電極130の位置を変えることにより、ターゲットニューロンの異なるカバレージを選択することができる。例えば、具体的な構成は、神経ターゲットがリード本体110の遠位先端に近いと医師が予想する場合に有用であり、別の配置は、神経ターゲットがリード本体110の近位端部に近いと医師が予想する場合に有用である。少なくともいくつかの実施形態では、リング電極120は、セグメント電極130の組と交互に配置される。
【0033】
リング電極120及びセグメント電極130の任意の組合せが、リード上に配置される。いくつかの実施形態では、セグメント電極は、組で配置される。例えば、リードは、第1のリング電極120、各組が3つのセグメント電極130で形成された2組のセグメント電極、及びリードの端部にある最終リング電極120を含むことができる。この構成は、単に1−3−3−1構成と呼ぶことができる。この略記法で電極を呼ぶことが有用である。他の8つの電極構成は、例えば、セグメント電極の4つの組がリード上に配置される2−2−2−2構成と、各々が4つのセグメント電極130を有する2組のセグメント電極がリード上に配置される4−4構成とを含む。いくつかの実施形態では、リードは、16の電流のステアリングを可能にする。いくつかの実施形態では、セグメント電極130の組は、全体としてシフトする(すなわち、刺激の重心は、リードの長さ方向に沿って各レベルで同様である)。少なくともいくつかの他の実施形態では、セグメント電極130の各組は、独立して制御される。セグメント電極の各組は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれよりも多くのセグメント電極を含んでいてもよい。異なる刺激プロフィールは、各レベルでセグメント電極の数を変えることによって生成することを理解すべきである。例えば、セグメント電極の各組が2つのセグメント電極だけを含む時に、均一に分配された間隙(選択的に刺激する機能の欠如)は、刺激プロフィールに形成することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも3つのセグメント電極130を利用し、真の360°選択性を可能にする。
【0034】
上述のように、上述の構成はまた、記録電極を利用しながら使用してもよい。いくつかの実施形態では、ターゲットニューロンによって刺激された筋肉又は他の組織に結合された測定デバイス又は患者又は臨床医に応答するユニットは、制御ユニット又はマイクロ駆動モータシステムに結合されるのがよい。測定デバイス、ユーザ、又は臨床医は、ターゲット筋肉又は他の組織による反応を刺激又は記録電極に示し、ターゲットニューロンを更に特定し、刺激電極の位置決めを容易にすることができる。例えば、ターゲットニューロンが振戦を受けた筋肉に向けられる場合、測定デバイスを使用して筋肉を観察し、ニューロンの刺激に応答して振戦周波数又は振幅の変化を示すことができる。変形例として、患者又は臨床医は、筋肉を観察してフィードバックしてもよい。
【0035】
使用する電極のタイプに関係なく、リードの適切な設置は、適切で十分な治療を提供するのに重要である。例えば、場合によっては、ターゲットは、リードの軸線を通過する平面の片側に位置決めされる。他の場合には、ターゲットは、リードの軸線からある一定の角度でオフセットされた平面に位置決めされる。従って、電極の適切な垂直レベルがターゲット組織と望ましい半径方向の整列を達成するように、リードの位置を半径方向に調節できることが望ましい。半径方向セグメント電極の半径方向のステアリングのための様々なシステム及び方法を使用してもよい。
【0036】
最初に、脳内のリードの位置を測定又は決定するシステム及び方法が必要である。刺激の半径方向ステアリングは、電極の相対位置を正確に決定する機能から利益を受ける。システム及び方法は、整列を確立し且つ治療を提供するために、リードを位置決めして回転させることが望ましい。
【0037】
いくつかの実施形態では、脳刺激のためのデバイスは、長手方向表面と、近位端部と、遠位端部とを有するリードを含む。複数の電極は、リードの長手方向表面に沿ってリードの遠位端部の近くに配置され、マーカが、リードの長手方向表面上に配置される。マーカは、複数の電極の相対位置を特定するように構成されるのがよい。ユーザは、マーカの位置を観察する時に周囲(例えば、脳の組織)に対してリードの向き及び電極の位置を決定するのがよい。マーカの観察は、限定するわけではないが、目視観察、X線写真観察、分光観察などを含む1つ又は2つ以上の技術によって可能である。
図3Aは、リード本体310と、複数の電極320と、マーキングストライプ330の形態のマーカとを有するリード300の1つの実施形態を示している。
図3Cは、
図3Aのリード300の概略断面図である。マーキングストライプ330は、リードの長さの一部分に沿って配置された帯、リボン、縞、ストライプ、又は長手方向ストライエーションのいずれかであるのがよい。いくつかの実施形態では、マーキングストライプ330は、リード本体310の中心軸線に平行に配置される。
【0038】
いくつかの実施形態では、マーキングストライプ330は、リード本体310と共に押出される。いくつかの他の実施形態では、マーキングストライプ330は、リード本体310が形成された後に、リード本体310の絶縁体の外側層に又はその中に付与される。マーキングストライプ330は、消えないインクを使用して付与されてもよい。変形例として、マーキングストライプ330はまた、例えば、レーザ切除を使用してリード本体310の外側層を切除することによって形成されてもよい。
図3A及び
図3Cは、リード本体310の最外層の絶縁体上に配置されたマーキングストライプ330を示している。変形例として、マーキングストライプ330は、リード本体310の中心の内側上又はこの近くに配置されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、マーキングストライプ330は、放射線不透過性である。放射線不透過性のマーキングストライプ330は、目視検査又は放射線法による複数の電極320の相対位置の可視化を可能にする。かくして、マーキングストライプ330の任意の部分又はその全体は、放射線不透過性であるのがよい。いくつかの実施形態では、放射線不透過性材料は、硫酸バリウムを含む。いくつかの実施形態では、放射線不透過性材料は、二酸化チタンを含む。変形例として、マーキングストライプは、リード本体の中に配置された金属元素であってもよい。金属元素の材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン、プラチナ、及びプラチナイリジウム等の生体適合性材料を含む。
【0040】
マーキングストライプ330の異なる構成及び配列が可能である。例えば、
図3A及び
図3Cは、単一のマーキングストライプ330を有するリード300を示している。そうではなくて、複数のマーキングストライプがリード300上に配置されてもよい。例えば、
図3Bに示す別の実施形態では、リード300は、2つのマーキングストライプ330を有している。
図3Dは、
図3Bのリード300の断面図である。任意の数のマーキングストライプ330がリード300上に配置されてもよいことを理解すべきである。例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10のマーキングストライプ330がリード上に配置されてもよい。更に、リードストライプ330は、様々な配列で配置されてもよい。
図3B及び
図3Dで分かるように、マーキングストライプ330は、リード300上に90度離して配置されている。いくつかの実施形態では、マーキングストライプは、10度、20度、30度、45度、60度、80度、又は120度離して配置される。多数のマーキングストライプが、望むような任意の角度で分離されることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、マーキングストライプは、180度以外の角度で配置され、放射線法により前方/後方位置を決定する。マーキングストライプが180度の位置にある時に、リードの前方/後方設置を決定することなしに、リードの位置を決定することが可能である。かくして、いくつかの実施形態では、2つのマーキングストライプは正反対の位置になく、すなわち、リード本体310の断面の正反対の側に配置されない。リードの位置決めを、
図4A〜
図4Fを参照して更に説明する。
【0041】
いくつかの実施形態では、マーキングストライプ330は、異なる色のものであるのがよい。例えば、1つ又は2つ以上のマーキングストライプ330は、第1の色であり、リード300の反対側の1つ又は2つ以上のマーキングストライプ330は、第2の色であるのがよい。いくつかの実施形態では、各マーキングストライプ330は、明確に異なる色である。マーキングストライプはまた、同じ色の異なる陰影であってもよい。例えば、第1のマーキングストライプは、特定の色であり、第2及び第3のマーキングストライプは、徐々に濃くなる同じ色の陰影である。変形例として、マーキングストライプ330は、異なる幅のものであってもよい。いくつかの実施形態では、内腔ストライプは、単一の薄いマーキングストライプ330から始まり、連続内腔ストライプ330は、リードの周囲部の幅が徐々に増加する。狭い及び広いマーキングストライプの任意の組合せが可能である。加えて、マーキングストライプ330はまた、異なるテクスチャ又は形態のものであってもよい。マーキングストライプ330の任意の形態は、それらが所定の電極レベル及び半径方向位置を示すことが可能である限り利用される。変形例として、マーキングストライプは、異なるX線特性を有していてもよく、例えば、いくつかのストライプは、撮像する時に他のものよりも暗く見えてもよい。
【0042】
図4Aは、第1の位置に配置された多数のマーキングストライプ330を有するリードの側面を通過した概略的なX線画像である。
図4Bは、第2の位置に配置された
図4Aのリードの概略的なX線画像である。
図4Cは、第3の位置に配置された
図4Aのリードの概略的なX線画像である。
図4A〜
図4Cのリードの対応する断面図を、
図4D〜
図4Fに示す。従って、
図4Aに類似するX線画像を見た当業者は、リードが、
図4Dの向きで半径方向に位置決めされていることを理解するであろう。同様に、
図4Bに類似するX線画像を見た当業者は、リードが、
図4Eの向きで半径方向に位置決めされていることを理解するであろう。従って、生体構造に対するリードの半径方向位置は、リード上に配置されたマーキングストライプを調べることによって決定されるのがよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、上述したマーキングストライプの代わりに又はマーキングストライプに加えて、着色ケーブル510を利用するのがよい。
図5は、マーカが着色ケーブル510の形態であるリードの別の実施形態の斜視図である。
図5は、リード本体510及び着色ケーブル530を有するリード500の一部分を示している。図示を容易にするために、最も遠位の電極に取付けられた着色ケーブルだけを示している。着色ケーブル530は、着色剤を含む絶縁材料を有するケーブルである。いくつかの実施形態では、着色ケーブル530は、絶縁ポリマー材料を含み、かかる絶縁ポリマー材料は、限定するわけではないが、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリフルオロアルコキシポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン、ポリウレタン、及びポリエチレンを含む。任意の生体適合性着色剤を使用して、ケーブルの絶縁体を着色するのがよい。いくつかの実施形態では、異なる着色剤を使用して、ケーブルを区別するのがよい。
【0044】
複数の着色ケーブルは、異なるサイズのものであるのがよい。例えば、いくつかの実施形態では、多数の着色ケーブル530が、異なる直径を有するように形成される。着色ケーブルはまた、放射線不透過性であるのがよいので、異なる直径の着色ケーブル530を有することは、放射線法を使用してリードの位置及び向きを決定する際に有用である。少なくともいくつかの他の実施形態では、着色ケーブルは、異なる長さのものである。例えば、着色ケーブル530は、リード本体510の全長にわたって延びていてもよいし、又はリード本体510の一部分のみにわたって延びていてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、着色ケーブル530は、リード本体510の内腔内に配置され、リード本体510に一体化されるのがよい。着色ケーブルを収容する内腔は、リード本体510の全長にわたって長手方向に延びていてもよいし、その一部分に渡って長手方向に延びていてもよい。着色ケーブルを収容する内腔は、リード本体510の中心軸線に対して平行に延びるのがよい。少なくともいくつかの実施形態では、複数の着色ケーブル530を収容する多数の内腔が、リード本体510の周囲部に配置されるのがよい。
【0046】
複数の着色ケーブル530を収容する多数の内腔を有する実施形態では、各内腔及び着色ケーブルは、上述のように構成され且つ配置されるのがよい。従って、多数の着色ケーブル530の任意の組合せが、リード本体510内に一体化され、かかる組合せは、例えば、異なる色又は異なる直径を有する着色ケーブル530である。
【0047】
リード本体上に配置されたマーカに加えて、追加の構成要素が、リードを位置決めし及び回転させる際に有用である。いくつかの実施形態では、整列部材を使用して、リードの位置を調節する。整列部材は、リード上のマーカに一致するマーキングを有するのがよい。例えば、いくつかの実施形態では、整列部材は、リード上のマーキングストライプの位置に一致する位置にマーキングを有する。いくつかの他の実施形態では、整列部材は、着色ケーブルの位置に一致する位置にマーキングを有する。用語「一致する」は、マーキングが整列部材に対するリードの位置を指示する限り、整列部材上のマーキングの任意の位置を使用してもよいことを暗示していることを理解すべきである。言い換えると、マーキングは、整列部材を使用する医師が処置中にリードの位置を認識することができるように、整列部材上に配置されるのがよい。いくつかの実施形態では、整列部材は、マーカ及び調節用ツールの両方として機能する。
【0048】
整列部材の使用は、後述する様々な要素及び手順を含むのがよい。後で説明する整列部材の任意の組合せを使用してもよいことを理解すべきである。加えて、整列部材は、リード上の任意のマーカと共に使用されるのがよく、かかる組合せは、マーキングストライプ、着色ケーブル、又はこの2つの組合せである。
【0049】
いくつかの実施形態では、整列部材は、カニューレである。カニューレは、リードに結合され、リードを適切な向きに半径方向にステアリングするのに使用されるのがよい。カニューレは、プラスチック材料等の任意適当な材料で形成されるのがよい。好ましくは、カニューレは、実質的に剛性の材料で形成され、かかる材料は、カニューレを患者の脳の中に挿入すること及び刺激すべき組織の近くにカニューレ及び電極リードを位置決めすることを容易にする。いくつかの実施形態では、カニューレは、使い捨てユニットであり、カニューレの使用後に廃棄され、それを再利用のために引続いて殺菌する必要はない。
【0050】
カニューレは、ステアリング機構として作用するように、リードに機械的に結合されるのがよい。いくつかの実施形態では、カニューレは、カニューレとリードとの間の相対移動がないように、リードに結合されるのがよい。カニューレをリードに結合することは、様々な方法を使用して達成される。いくつかの実施形態では、カニューレは、ロック機構を有するハンドルを含み、かかるロック機構は、例えば、リード本体に固着されたセットスクリュー、コレット等である。上述したように、カニューレは、リード上のマーカに一致するマーカを含んでいるのがよい。
【0051】
少なくともいくつかの実施形態では、カニューレは、リードと噛合うように構成される。
図6Aは、リード本体のキー加工部分610を有するリード600の1つの実施形態の概略的な断面図である。
図6Aで分かるように、いくつかの実施形態では、リード本体は、キー加工部分又は切取り部分を加えるように修正される。いくつかの実施形態では、キー加工部分610は、それに対応する外部構成要素と噛合うように構成され、かかる外部構成要素は、例えば、上述したカニューレ620である。
図6Aはまた、リード600のキー加工部分610に一致するカニューレ620を示している。キー加工部分610は、後でより詳細に説明するように、半径方向のステアリングを行うために定位フレームアダプタ又はスタイレットと噛合うように構成されるのがよいことを理解すべきである。キー加工部分610がそれ自体、所定の電極レベル又は半径方向位置に配置されることによってマーカとして作用してもよいことも理解すべきである。
図6Bは、三角形の形態をなすキー加工部分610を有するリードの別の実施形態の概略的な断面図である。
図6Bで分かるように、キー加工部分610は、
図6Aのほぼ円形の形状と異なる形状のものであるのがよい。任意の形状を、キー加工部分610に使用することができる。加えて、カニューレ620はまた、キー加工部分610の形状に関わらず、キー加工部分610に一致する形状を有するのがよい。
図6Cは、キー加工部分610がカニューレ620の中に延びる別の実施形態を示している。
【0052】
いくつかの実施形態では、リードの近位端部のみが、キー加工特徴部を含む。キー加工近位端部は、上述したキー加工部分の代わりに又はそれに加えて使用される。いくつかの実施形態では、キー加工近位端部は、カニューレの等の整列部材と係合するキー加工又は溝付き部分を含む。加えて、近位端部のキー加工特徴部が、所定の電極レベル及び半径方向位置に一致することを理解すべきである。かくして、キー加工近位端部に加えて、着色ケーブル又はマーキングストライプ等のマーカを含むことが可能であり、また、キー加工近位端部を単独で使用してリードの向きを決定することも可能である。いくつかの実施形態では、キー加工近位端部は、それが整列部材上のマーカ又はマーキングストライプに一致するように、リード本体の一定の位置に配置される。
【0053】
前に述べたように、キー加工近位端部は、カニューレと共に使用されるのがよい。これらの実施形態では、キー加工近位端部は、カニューレと係合又は噛合うように構成され、それにより、半径方向のステアリングが可能である。いくつかの他の実施形態では、キー加工近位端部は、定位フレームアダプタ又はスタイレット等のカニューレとではなく、整列部材と結合されるように構成される。
【0054】
図7は、定位フレームインサートの1つの実施形態の概略的な斜視図である。脳の繊細な性質のため、治療を予め決められた領域に適用するために作動領域を安定化させるのに、定位フレームが使用されるのがよい。定位フレームは、リードを患者の頭蓋内に位置決めするのに使用する定位フレームインサートを含むのがよい。いくつかの実施形態では、定位フレームインサート700は、治療のために、患者の頭に一時的に固定される。
【0055】
定位フレームは、
図7で分かるように、定位フレームインサート700を含んでいる。いくつかの実施形態では、定位フレームインサート700は、リードとの噛合わせを可能にするように構成される。リード及び定位フレームインサート700は、当該技術で既知の任意の方法によって結合されてもよいし、上述したようにキー加工部分又はキー加工近位部分の使用によって結合されてもよい。いくつかの実施形態では、定位フレームインサート700は、リード上に配置された所定の電極レベル又はマーカに一致するマーカを含んでいる。例えば、定位フレームインサートは、リード上の特徴部と一致する特徴部を含むように作られ、リード上の特徴部は、例えば、上述した実施形態で説明した特徴部のうちの1つ(例えば、マーキングストライプ、着色ケーブル、又はキー加工部分)である。
【0056】
また、定位フレームアダプタが、リードへの適正な整列及び接続を行う際に有用である。定位フレームアダプタは、マーカを含むのがよく、かかるマーカは、例えば、定位フレームインサートに関して上述したように、マーキングストライプ330である。定位フレームに対する整列及び相対移動に加えて、リードへの整列及び接続を行うように、定位フレームアダプタが修正される。かくして、リードを半径方向にステアリングするために、定位フレームインサートは、定位フレーム内で回転させられる。
【0057】
カニューレ及び定位フレームに加えて又はそれに代えて、整列部材は、スタイレットを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、脳深部刺激のためのリードは、その中に内腔を有し、この内腔は、取出し可能なスタイレットの挿入のためのものである。
図10で分かるように、スタイレットの使用により、頭蓋及び脳組織の中へのリードの挿入を容易にし、かくして、従って、ターゲットニューロンを刺激するリードの位置決めを容易にする。更に、スタイレットは、挿入工程中のリードの剛性を提供する。
【0058】
図8A〜
図8Cは、スタイレットの挿入のために構成された内腔のいくつかの実施形態を示す。これらの図で分かるように、内腔810は、任意の形状を有する。例えば、
図8Aは、三角形の形状の内腔810を有するリードを示す。変形例として、内腔810は、
図8Bに示すように丸い縁部を有する矩形の形状をなしていてもよいし、
図8Cに示すように十字形をなしていてもよい。いくつかの実施形態では、内腔810の横断面形状は、非円形である。例えば、内腔80の横方向断面形状は、長円形、正方形、矩形、又は十字形であるのがよい。
【0059】
スタイレットはまた、それに一致する横方向断面形状を有するのがよい。例えば、スタイレットは、
図8Cに示すように内腔の形状に対応する十字形を有するのがよい。非円形の横方向断面形状は、施術者がスタイレットを回転させることによってリードを回転させることを満足できる。非円形スタイレット内腔及びスタイレットを使用して、リード/スタイレットアセンブリのより良好な1対1のトルク伝達を提供することができる。内腔は非円形であるので、スタイレットは、リード内で回転することはできず、従って、スタイレットの回転は、リードの回転をもたらす。十字形の内腔は、リードが十分に剛性でないので内腔の形状がスタイレットの回転によって変形するかもしれない場合に、長円形、正方形、又は矩形の内腔とは対照的に特に有用である可能性がある。星印又は星型の内腔のような中心空洞から延びる複数のアームを有する十字形に類似する形状及び対応するスタイレットは、同様に有用である可能性がある。
【0060】
いくつかの実施形態では、スタイレットは、例えば、タングステン等の剛性材料又はプラスチックで作られる。スタイレットはまた、リードへの挿入、及び、スタイレット及びリードの回転を助けるハンドルを有するのがよい。カニューレ及び定位フレームを参照して上述したように、スタイレットハンドルは、リード上のマーカに一致するマーカを含むことを理解すべきである。
【0061】
また、リードストップが、リードを回転させて整列させるのに使用されるのがよい。
図9は、リードストップ910を有するリード900の1つの実施形態の概略的な斜視図である。リードストップ910は、リード900の外径と係合されるのがよい。いくつかの実施形態では、リードストップ910は、リード900の近位端部の上に配置され、リード900を所定の長手方向位置に位置決めするように構成される。リードストップ910は、所定の電極レベル及び半径方向位置を示すリードストライプ又は着色ケーブルと共に使用されるのがよい。いくつかの実施形態では、リードストップ910はまた、リード900上に配置された電極レベル又はマーカに一致するマーキングを含むのがよい。
【0062】
これらの方法の修正が可能である。例えば、これらの方法の2つ又は3つ以上を組合せて使用して、より正確な半径方向のステアリング機構を構成してもよい。更に、いくつかの実施形態では、これらの方法は、脳深部刺激リード以外のリード構成と一緒に使用さてもよい。
【0063】
以上の仕様、実施例、及びデータは、本発明の構成物の製造及び使用の説明を提供する。本発明の多くの実施形態は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく製造することができ、本発明はまた、以下に添付する特許請求の範囲に属する。