特許第5940535号(P5940535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59405356,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940535
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 498/04 20060101AFI20160616BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20160616BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160616BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20160616BHJP
   A61P 13/04 20060101ALI20160616BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20160616BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20160616BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   C07D498/04 105
   C07D498/04CSP
   A61K31/4985
   A61P43/00 111
   A61P15/10
   A61P13/04
   A61P13/08
   A61P9/12
   A61P15/00
【請求項の数】18
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-523443(P2013-523443)
(86)(22)【出願日】2011年8月2日
(65)【公表番号】特表2013-533290(P2013-533290A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】BR2011000255
(87)【国際公開番号】WO2012019254
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2014年7月31日
(31)【優先権主張番号】61/373,483
(32)【優先日】2010年8月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508072899
【氏名又は名称】バイオラブ・サヌス・ファーマセウティカ・エルティーディーエー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】サクライ、セルジオ・ルイズ
(72)【発明者】
【氏名】ザイム、マルシオ・エンリケ
(72)【発明者】
【氏名】トゥザリム、カルロス・エドゥアルド・ダ・コスタ
(72)【発明者】
【氏名】ケップラー、アルトゥール・フランツ
(72)【発明者】
【氏名】デ・ヌッシ、ギルベルト
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−500316(JP,A)
【文献】 特表2004−532889(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/037803(WO,A1)
【文献】 Tetrahedron: Asymmetry,2001年,12,1293−1302
【文献】 Tetrahedron,2001年,57,4359−4363
【文献】 Synthesis,1999年,10,1739−1746
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 498/04
A61K 31/4985
A61P 9/12
A61P 13/04
A61P 13/08
A61P 15/00
A61P 15/10
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは水和物
[式中:
1は、インドール基であり
2は、1個以上のヘテロ原子を含む芳香族基、1個以上のヘテロ原子またはメチレン−3,4−ジオキシフェニル基を含むヘテロ芳香族含有基あるいは、1個以上のヘテロ原子またはメチレン−3,4−ジオキシフェニル基を含む二環式芳香族であり;R3は、水素、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-3ヘテロアルキル、またはC1-3アルキルであり;
4は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキルC1-3アルキル、アリールC1-3アルキルまたはヘテロアリールC1-3アルキルである]。
【請求項2】
式(II)で表される、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【化2】
【請求項3】
前記化合物は(R)−異性体または(S)異性体である、請求項1または2に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の1つ以上の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項5】
患者において酵素ホスホジエステラーゼを阻害するための請求項4に記載の医薬組成物であって、前記患者に投与される医薬組成物。
【請求項6】
患者において酵素ホスホジエステラーゼ5型を阻害するための請求項4に記載の医薬組成物であって、前記患者に投与される医薬組成物。
【請求項7】
ヒトの勃起障害を治療または予防するための請求項4に記載の医薬組成物であって、前記動物に投与される医薬組成物。
【請求項8】
結石症、前立腺肥大症、肺高血圧症、尿管狭窄、女性の性的不全および/または男性の性的不全を治療または予防するための請求項4に記載の医薬組成物であって、前記動物に投与される医薬組成物。
【請求項9】
請求項2に記載の化合物を調製する方法であって、メチルアミンおよびエタノールを使用して、化合物1から化合物2を調製することを含む方法。
【化3】
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、イソプロパノール中の酸、重炭酸ナトリウム、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド、および塩化クロロアセチルを使用して、化合物4から化合物1を調製することをさらに含む方法。
【化4】
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、エタノール中の酸、重炭酸ナトリウムおよび塩化クロロアセチルを使用して、化合物5から化合物1を調製することをさらに含む方法。
【化5】
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、メタノールおよびヒドロニウムイオンを使用して、化合物17から化合物1を調製することをさらに含む方法。
【化6】
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、(2,3)−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンおよびテトラヒドロフラン:水混合物を使用して、化合物13から化合物4を調製することをさらに含む方法。
【化7】
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)および塩化メチレンを使用して、化合物14から化合物4を調製することをさらに含む方法。
【化8】
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、ジオキサン中の酸、重炭酸ナトリウム、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、および塩化メチレンを使用して、化合物6から化合物4を調製することをさらに含む方法。
【化9】
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、メタノールおよびヒドロニウムイオンを使用して、化合物19から化合物5を調製することをさらに含む方法。
【化10】
【請求項17】
請求項2に記載の化合物を調製する方法であって、エタノール中の酸および重炭酸ナトリウムを使用して、化合物3から化合物2を調製することを含む方法。
【化11】
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、メタノールおよびヒドロニウムイオンを使用して、化合物18から化合物3を調製することをさらに含む方法。
【化12】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの一連の誘導体、それらの混合物、それらの薬学的に許容される塩、それらを含む医薬組成物、それらの調製のプロセス、酵素ホスホジエステラーゼを阻害する方法、酵素ホスホジエステラーゼの阻害剤としてのその使用、および酵素ホスホジエステラーゼ5型(PDE−5)の阻害剤としてのその使用について記載する。特に、誘導体(R)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、その光学異性体(S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはそれらの混合物(任意の比率で)。
【0002】
本発明は、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体、それらの混合物(任意の比率で)および/またはそれらの薬学的に許容される塩を使用する、勃起障害、組織弛緩の治療可能な障害および/または状態ならびにPDE−5阻害剤で治療可能な障害を治療する方法についても記載する。特に、誘導体(R)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、その光学異性体(S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはそれらの混合物(任意の比率で)。
【背景技術】
【0003】
最初の経口治療が現れる前は、男性の性交不能症は、特に、経口投与が人に起こし得る不利な反応に起因する疑いのため、空洞内注射および他の手段で治療が行われていた。例えば、パパベリン(papaverine)およびペントキシフィリン(pentoxifylline)が、空洞内注射による勃起障害の治療に使用されていた。他の効率の高くない治療手段は、例えば、精神療法および手術移植であった。
【0004】
経口治療は、ヒトに最も受け入れ易く、cGMP−PDE、より具体的には、PDE−5の阻害剤を使用した臨床研究から生まれた。これらの化合物の前駆体は、血管拡張性を有する、5−[2−エトキシ−5−(4−メチルピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、またはシルデナフィル(sildenafil)であり、一酸化窒素の効果を増強する。シルデナフィルは、薬バイアグラ(Viagra)(登録商標)の活性成分である。
【0005】
後に、PDE−5の他の阻害剤化合物が開発され、多数の技術文献刊行物ならびに特許刊行物で引用されており、例えば、薬レビトラ(Levitra)(登録商標)の活性成分であるバルデナフィル(vardenafil)や薬シアリス(Cialis)(登録商標)の活性成分であるタダラフィル(tadalafil)である。
【0006】
本発明の化合物、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体は、酵素ホスホジエステラーゼ5型(PDE−5)の阻害剤でもある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、したがって、勃起障害の治療に有効である、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの新規な誘導体化合物、それらの混合物(任意の比率で)、それらの薬学的に許容される塩、それらを含む医薬組成物、組織弛緩薬である前記化合物、および/または血管拡張性および弛緩作用を有する酵素ホスホジエステラーゼの阻害剤、特にPDE−5の阻害剤を提供することを目的とする。特に、誘導体(R)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、その光学異性体(S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはそれらの混合物(任意の比率で)。
【0008】
本発明はまた、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体化合物、およびそれらの混合物を調製するプロセスを提供することを目的とする。特に、誘導体(R)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、その光学異性体(S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはそれらの混合物(任意の比率で)。
【0009】
さらに、本発明は、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体またはそれらの混合物(任意の比率で)またはそれらの薬学的に許容される塩の1つの有効量を含む医薬組成物、および薬学的に許容される賦形剤を提供することを目的とする。特に、誘導体(R)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、その光学異性体(S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはそれらの混合物(任意の比率で)を含む医薬組成物。
【0010】
本発明はさらに、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体またはそれらの混合物(任意の比率で)またはそれらの薬学的に許容される塩の1つの薬学的有効量を含む薬剤を提供することを目的とする。特に、誘導体(R)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、その光学異性体(S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはそれらの混合物(任意の比率で)を含む薬剤。
【0011】
本発明の別の目的は、動物の勃起障害、組織弛緩の治療可能な障害および/または状態、ならびにPDE−5阻害剤で治療可能な障害の治癒的および/または予防的治療のために、6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体、またはそれらの混合物(任意の比率で)、またはそれらの薬学的に許容される塩の1つを使用することである。特に、誘導体(R)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、その光学異性体(S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはそれらの混合物(任意の比率で)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ヒトの摘出尿管組織における化合物2(BL 106)の弛緩作用を示す。図1は、ヒトの摘出尿管中のBL 106に対する濃度反応曲線を表わす。データは、平均±SEM、n=3実験である。
図2】ウサギの摘出肺動脈組織における化合物2(BL 106)の弛緩作用を示す。図2は、ウサギの摘出肺動脈中のBL 106に対する濃度反応曲線を表わす。
図3】ヒトの摘出海綿体組織(図3A)およびウサギの摘出海綿体組織(図3B)における化合物2(BL 106)の弛緩作用を示す。図3は、ヒト(A)およびウサギ(B)の摘出海綿体中のBL 106に対する濃度反応曲線を表わす。データは、平均±SEM、n=3実験である。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明は、次式(I)で表される構造を有する6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの誘導体:
【化1】
【0014】
および塩ならびにそれらの溶媒和物(例えば、水和物)について記載し、ここで:
1は、芳香族基(縮合基でもそうでなくてもよい)(1以上の位置において任意にRBにより置換されている)、1個以上のヘテロ原子またはインドール基を含むヘテロ芳香族基(1以上の位置において任意にRBにより置換されている)、C1-6アルケニルカルボニル(1以上の位置において任意にRBにより置換されている)、二環式芳香族(1以上の位置において任意にRBにより置換されている)、または1個以上のヘテロ原子を含む二環式ヘテロ芳香族(1以上の位置において任意にRBにより置換されている)を表わし;
Bは、ハロゲン、ヒドロキシル、窒素、シアノ、C1-6アルキル,C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキルC1-3アルキル、アリールC1-3アルキルまたはヘテロアリールC1-3アルキルを表わし;
2は、1個以上のヘテロ原子を含む芳香族基、あるいは1個以上のヘテロ原子またはメチレン−3,4−ジオキシフェニル基を含む二環式芳香族またはヘテロ芳香族を表わし;
3は、水素、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-3ヘテロアルキル、またはC1-3アルキルを表わし;
4は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキルC1-3アルキル、アリールC1-3アルキルまたはヘテロアリールC1-3アルキルを表わす。
【0015】
一態様では、R1の「C2-6アルケニルカルボニル」は、2〜6個の炭素原子を含み、カルボニル基と共役したか又はしていない、1個以上のアルケニル基を表わす。
【0016】
一態様では、RBおよびR4の「アリール」、例えば、アリールC1-3アルキルは、フェニル基、あるいはハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシルまたはメチレンジオキシルで1回以上(例えば、1、2または3回)置換されたフェニルを表わす。別の態様では、RBおよびR4の「ヘテロアリール」、例えば、ヘテロアリールC1-3アルキルは、ハロゲン、C1-6アルキルまたはC1-6アルコキシルで1回以上置換されていてもよい、フリル基またはピリジルを表わす。別の態様では、RBおよびR4の「C3-8シクロアルキル」、例えば、C3-8シクロアルキルC1-3アルキルは、3〜8個の炭素原子を含む単環を表わす。シクロアルキル環の例には、C3-6シクロアルキル環:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0017】
用語「アルキル」は、アルキル鎖または分枝アルキル鎖を表わすことができる。例えば、C1-4アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチルおよびt−ブチルを表わすことができる。用語「アルケニル」は、直鎖および分枝鎖のアルケニル基、例えば、ビニルおよびアリル基を含む。用語「アルキニル」は、直鎖および分枝鎖のアルキニル基、例えば、アセチレンを含む。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の原子を表わすことができる。用語「ハロC1-6アルキル」は、1個以上(例えば、1、2または3個)のハロゲン原子により置換された、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を表わすことができる。
【0018】
式(I)の化合物は、1個以上の非対称中心を含み、したがって、光学異性体および/またはジアステレオマーとして存在することができる。例えば、式(I)で、キラル中心は、アステリスクで示される。したがって、本発明は、1個以上の光学異性体、およびそれらの混合物(任意の比率で)を含む。
【0019】
式(I)の化合物は、異なる互変異性体形で存在することができ、本発明は、1個以上の互変異性体形、およびそれらの混合物(任意の比率で)を含む。
【0020】
塩基の中心を有する、式(I)の化合物の薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される酸を加えることにより形成される。いくつかの例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸または硫酸水素、リン酸またはリン酸水素、酢酸、安息香酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸の塩が含まれる。式(I)の化合物は、塩基を伴い、薬学的に許容される金属塩、特に、アルカリ金属の塩で使用することができる。例えば、ナトリウムおよびカリウムの塩。
【0021】
一態様では、本発明の化合物は、式(I)で表される構造を有し、ここで、R1は、インドール基を表わし、R2は、3,4−メチレンジオキシフェニル基を表わし、R3は、水素を表わし、R4は、メチル基を表わす。好ましい態様では、本発明の化合物は、(R)−3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン、および/またはその光学異性体(S)−3−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ−3H−オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンである。
【0022】
本発明の化合物(R,S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン(2)は、スキーム1に従って、エタノールを溶媒として使用し、メチルアミンの存在下で化合物1の反応から調製することができる。
【化2】
【0023】
化合物2を調製するための代わりの手法は、スキーム2に従って、エタノール中の酸と3:との反応を経由するものである。
【化3】
【0024】
化合物1は、スキーム3に従って調製することができる:
【化4】
【0025】
化合物4をイソプロパノール中の酸で処理する。重炭酸ナトリウムで中和した後、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒドを加える。この手法の最終ステップは、塩化クロロアセチルを加えることである。
【0026】
あるいは、化合物1は、スキーム4に従って調製することができる:
【化5】
【0027】
この手法では、化合物5をエタノール中の酸で処理する。重炭酸ナトリウムで中和した後、塩化クロロアセチルを加える。
【0028】
化合物1もスキーム5に従って調製することができる:
【化6】
【0029】
この手法では、化合物6をジオキサン中の酸で処理する。重炭酸ナトリウムで中和した後、クロロクロム酸ピリジン(PCC)で酸化反応を行って、中間体4を形成し、それをイソプロパノール中の酸で処理する。重炭酸ナトリウムで中和した後、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒドを加える。この手法の最終ステップは塩化クロロアセチルを加えることである。
【0030】
化合物1を調製する別の手法は、スキーム6に示される:
【化7】
【0031】
この手法では、ジクロロメタン中の酸化アルミニウム(Al23)の存在下で7および8が反応すると、中間体9が形成され、それは酸化カルシウム(CaO)の存在下で10と反応する。
【0032】
化合物3は、スキーム7に従って調製することができる:
【化8】
【0033】
この手法では、中間体9は、液体アンモニアを溶媒として使用し、化合物11と反応する。
【0034】
あるいは、化合物3は、スキーム8に従って調製することができる:
【化9】
【0035】
この手法では、酸化カルシウム(CaO)の存在下で、中間体9は化合物12と反応する。
【0036】
化合物4は、スキーム9に従って調製することができる:
【化10】
【0037】
この手法では、テトラヒドロフラン:水の混合物を反応のための溶媒として使用し、化合物13を(2,3)−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)で処理する。
【0038】
化合物4を調製するための別の手法は、スキーム10に示される:
【化11】
【0039】
この手法では、塩化メチレンを反応のための溶媒として使用し、化合物14を塩化物のクロロクロム酸ピリジニウム(PCC)で処理する。
【0040】
化合物5は、スキーム11に従って調製することができる:
【化12】
【0041】
この手法では、酸化カルシウム(CaO)の存在下で、中間体9は、化合物15と反応する。
【0042】
あるいは、化合物5は、スキーム12に従って調製することができる:
【化13】
【0043】
この手法では、液体アンモニアを溶媒として使用して、中間体9は化合物16と反応する。
【0044】
化合物6は、スキーム13に従って調製することができる:
【化14】
【0045】
この手法では、化合物13をリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHDMS)で処理する。この手法の最終ステップはヨウ素の添加(I2)である。
【0046】
化合物14は、スキーム14に従って調製することができる:
【化15】
【0047】
この手法では、化合物6をジオキサン中の酸で処理する。
【0048】
カルボキシメチル基を含むすべての化合物、特に、1、3、5および7は、例えば、スキーム15に従って、ニトリル基を含む(それらの)誘導体から調製することができる。
【化16】
【0049】
例えば、化合物17をメタノール中の酸で処理する。この手法は、中間体3、5および7をそれぞれ調製するために、個々に化合物18、19および20と共に使用することもできる。
【0050】
本発明は、医薬組成物、例えば、適切な剤形も提供する。ここで、前記組成物は、式(1)の1つ以上の化合物の有効量またはそれらの薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0051】
一態様では、医薬組成物は、他のPDE−5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル;またはそれらの薬学的に許容される塩をさらに含む。別の態様では、医薬組成物は、勃起障害またはPDE−5阻害剤で治療可能な障害を治療する1つ以上の化合物をさらに含む。
【0052】
一態様では、医薬組成物は、他のPDE−5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む第二医薬組成物と共に投与される。別の態様では、前記第二医薬組成物は、勃起障害またはPDE−5阻害剤で治療可能な障害を治療する1つ以上の化合物を含む。投与は、共投与であっても連続投与であってもよい。
【0053】
医薬組成物を、当技術分野でよく知られた方法で調製してもよい。適切には、Remington’s Pharmaceutical Sciencesまたは類似の情報源を、本発明による適切な調合物を調製するために利用してもよい。
【0054】
経口投与用の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、発泡錠、チュアブル錠、丸薬、散剤、顆粒剤およびゲル剤または同様の医薬品形態などの別々の単位として提供してもよい。他の経口調合物形態には、水性または非水性担体中の懸濁剤または乳剤が含まれる。
【0055】
固体の剤形では、式(I)の化合物は、希釈剤、バインダー、崩壊剤、潤滑剤、着色剤、および香料を含む群から選択される少なくとも1つの成分を含む薬学的に許容される担体と混合することができる。例示的な不活性希釈剤には、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrates)、デキストリン、シクロデキストリン、デキストロース賦形剤、フルクトース、カオリン、ラクチトール(lactitol)、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、でんぷん、ゼラチン化でんぷん、スクロース、圧縮用砂糖および砂糖菓子がある。バインダーとして、1つ以上の物質、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、ゼラチン化でんぷん、寒天、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、プロピレングリコール、およびアルギン酸を使用してもよい。崩壊剤として、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、でんぷん、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、および部分ゼラチン化でんぷん、およびクロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)から選択される1つ以上の物質を使用してもよい。例示的潤滑剤として、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、水素添加ヒマシ油、およびスクロースがある。
【0056】
カプセル剤、錠剤、発泡錠、および丸薬の場合は、剤形は、緩衝剤も含むことができる。軟ゼラチンカプセルは、式(I)の化合物と植物油との混合物を含むように調製することができる。硬ゼラチンカプセルは、固体で粉状の担体、例えば、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、ジャガイモでんぷん、トウモロコシでんぷん、アミロペクチン、ゼラチンのセルロース誘導体、と一緒に、式(I)の化合物の顆粒剤を含んでもよい。さらに、錠剤および丸薬は、腸溶コーティングをして調製することができる。
【0057】
一態様では、剤形は、これに限定されないが、生体適合性ポリマー、薬学的に許容されるポリマーマトリックス、リポソーム、PEG−リポソーム、あるいはシクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体マトリックスを含めた担体またはマトリックスに基づく、制御/抑制/変調された放出型である。
【0058】
医薬組成物は、これに限定されないが、経口の、空洞内注射の(種々の場所に皮膚を通して局所的および経皮的に送達される)、または非経口の経路を含めた、様々な投与経路によって投与してもよい。選択された特定のモードは、組成物に存在する化合物、勃起障害の重大性、組織弛緩の治療可能な障害および/または状態、あるいはPDE−5阻害剤で治療可能な治療障害および治療効果のために必要な用量に依存することになる。好ましくは、本発明の組成物は、患者の利便性および服薬スケジュールのために、経口投与の形態である。
【0059】
組織弛緩剤は、結石症(Korkes, F.ら、J Bras Nefrol. (2009) 31(1): 55)、前立腺肥大(例えば、良性前立腺肥大症、前立腺炎)(国際公開第9911279号)および尿管狭窄(Van der werfら、BJU International (2002) 90:588)に関する治療、処置、または手術のアジュバンドとして治療または作用するために様々な組織上の弛緩を促進するのに使われてきた。他の組織弛緩の治療可能な障害および/または状態は、当技術分野で周知であり、記述されている。
【0060】
PDE−5阻害剤は、種々の組織上の一酸化窒素(NO)の効果を長引かせるために、例えば、気道および血管のNO誘導弛緩を維持するために(Barnes, P. J.,ら、(1995)、および組織のNO誘導保護を維持するために(Duffin, R.,ら、Br J Pharmacol. (2008) 153(4): 623)、cGMP分解を阻止するのに使用されてきた。組織上のそのような作用は、肺高血圧症(商業的にはクエン酸シルデナフィルで治療する);気管支炎,慢性喘息、高血圧症(欧州特許第758653号、米国特許第7569572号);レイノー現象(Raynaud's phenomenon)(Ghofrani H.A.ら、Nat Rev Drug Discov. 2006, 5:689);右心不全の開始(Ghofraniら(2003) AJRCCM 167(8): 1139);神経発生および脳卒中後の機能回復(Zhangら(2002) Stroke 33: 2675-2680);冠動脈弛緩(Halcoxら、(2002) J Am Coll Cardiol 40: 1232);女性の性的興奮障害(Nehraら、(2001) World J Urol. 19(1): 115);狭心症および鬱血性心不全(Reffelmannら、Circ. (2003) 108(2): 239)を含めた、いくつかの障害−本明細書ではPDE−5阻害剤で治療可能な障害−の治療に有益であると示されてきた。他のPDE−5阻害剤で治療可能な障害は、当技術分野で周知であり記述されている。
【0061】
勃起障害の治療のための薬学的有効量は、勃起機能を改善し、または勃起障害の症状を緩和し、またはさらに勃起能力を回復するのに十分な量である。PDE−5阻害剤で治療可能な障害を治療するための薬学的有効量は、前記障害を改善し、または、前記障害の症状を緩和するのに十分な量である。効果的な量は、特定の治療状態およびその重大さ;年齢、健康状態、サイズおよび体重を含めた個々の患者の特性;併用療法;ならびに投与方法に依存することになる。これらの要因は、当業者によく知られており、過度の実験をせずに確立することができる。一般に、式(I)の化合物の用量は、1日当たり約0.01mg/kg体重から1日当たり100mg/kg体重、好ましくは1日当たり0.1mg/kg体重から1日当たり10mg/kg体重の範囲にあることになる。本発明の組成物中に存在する活性成分の適切な全身的濃度を達成するために、1日に複数回の投与を検討してもよい。
【0062】
以下の例で本発明をより詳細に記載する。本発明が以下の記載に限定されないことに留意されたい。
【0063】
例1
化合物2,(R,S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオンの調製
中間化合物4の調製
DDQ(228.0g;1.0mol)のTHF:H2O(9:1)混合物1000mLの溶液に、メチル2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(1H−インドール−3−イル)プロパノエート(80.0g;0.251mol)を添加した。この反応混合物を3時間混合した。すべての出発材料が消費されるまで、さらなる一定分量のDDQを添加した(TLC)。その後、反応混合物をNaHCO3の飽和溶液で洗浄し、生成物を塩化メチレンで抽出した。有機相を組み合わせ、MgSO4で乾燥した。溶媒を一部除去し、この混合物に活性炭3gを添加した。この混合物を30分間混合し、周囲温度と平衡にした後に、濾過した。乾燥するまで溶媒を回転蒸発により除去した。得られた油は、アセトン(70.0mL)中で加熱し可溶化した。溶液を冷却し、氷浴に入れて、メチル2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(1H−インドール−3−イル)−3−オキソプロパノエートを沈殿させ、濾過し、加熱器で60℃にて乾燥した。
【0064】
中間化合物1の調製
メチル2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−(1H−インドール−3−イル)−3−オキソプロパノエート(6.23g;19.0mmol)4のイソプロパノール200mL懸濁液に、36%HCl2.0mLを添加した。反応混合物を3時間混合した。すべての出発材料が消費されるまで、さらなる一定分量の36%HClを添加した。反応が完了した後、反応混合物を周囲温度まで冷却した。溶液を中和するため、一定分量のNaHCO3を添加した。次いで、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド(2.86g;19mmol)を溶液に添加し、その結果得られる反応混合物を磁気的撹拌下で24時間混合して、メチル2−[(E)−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチリデン)アミノ]−3−(1H−インドール−3−イル)−3−オキソプロパノエートを沈殿させ、濾過し、加熱器で60℃にて乾燥した。
【0065】
メチル2−[(E)−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルメチリデン)アミノ]−3−(1H−インドール−3−イル)−3−オキソプロパノエート(5.46g;15.0mmol)を、乾燥塩化メチレン50mL中のピリジン(10mL)溶液に添加した。この懸濁液をCaCO3の乾燥管を付けて磁気的撹拌下で30分間混合した。塩化クロロアセチル(2.3mL;30.0mmol)を、乾燥塩化メチレン2.5mLに溶解した。この溶液を、30分間かけて、反応混合物に滴加した。さらに3時間後、CuSO4の飽和の水溶液100mLを反応混合物に加えた。有機相を分液ロート中で抽出し、分離した。水相を塩化メチレン50mLで洗浄し、有機相を分離した。有機相を合わせた。この洗浄の操作手順をもう2回繰り返した。NaClの飽和水溶液で有機相を洗浄した。有機相を分離し、MgSO4で乾燥した。溶媒を回転蒸発により除去して、メチル3−(クロロアセチル)−5−(1H−インドール−3−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート1を単離した。
【0066】
化合物2の調製
メチル3−(クロロアセチル)−5−(1H−インドール−3−イル)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1,3−オキサゾール−4−カルボキシレート(5.46g;12.4mmol)1のエタノール100mLの溶液に、40%メチルアミンの水溶液10mLを添加した。この反応混合物を磁気的撹拌下で24時間混合して、(R,S)−3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1−(1H−インドール−3−イル)−7−メチル−6,7−ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[3,4−a]ピラジン−5,8−ジオン2を沈殿させた。得られた生成物は、以下の特性を示した。:M.P.279−281℃.HRMS(EI):m/z[C221835]に対する計算値 404,1246;実測値:404,1239.IV(KBr):3322,1647,1613,1467cm-1。NMR 1H (300MHz, DMSO-d6): δ = 11.87 (s, 1H); 9.00 (s, 1H); 7.87 (d, 1H, J = 9.0 Hz); 7.48 (d, 1H, J = 9.0 Hz); 7.14 (m, 5H); 7.00 (d, 1H, J = 9.0 Hz); 6.06 (s, 2H); 4.20 (s, 2H); 2.94 (s, 3H). NMR 13C (125MHz, DMSO-d6): δ = 158.3; 156.7; 148.2; 147.5; 147.3; 135.7; 130.9; 130.7; 125.1; 122.0; 121.2; 120.4; 120.2; 112.0; 108.1; 106.4; 104.7; 102.2; 101.3; 90.1; 52.7; 32.2.
例2
ヒト海綿体および尿管、ならびにウサギ海綿体および肺動脈に対する化合物2の効果
組織
ヒト海綿体および尿管は、手術で廃棄された組織から入手し、実験室への迅速な輸送のため、氷冷したクレブス液に入れた。
【0067】
オスのニュージーランド白ウサギ(New Zealand White rabbits)(2〜2.5kg)を、ペニスおよび肺動脈組織用として使用した(切開し、氷冷したクレブス液に移した)。2個の細片および4個のリングを、各海綿体(CC)および肺動脈からそれぞれ得た。
【0068】
等尺性張力記録
海綿体細片、肺動脈、および尿管は、95%O2と5%CO2の混合物で連続的に気泡を発生させた、37℃、pH7.4のクレブス液を含む10mlの臓器室(organ chambers)に装着した。組織は、5mNの静止力(resting force)で引っ張り、60分間平衡にした。等尺性力の変化は、PowerLab 4/30データ収集システム(Chart software、バージョン7.0;ADInstruments,Colorado Springs,CO)を使用して記録した。化合物2(図1、2および3でBL 106と名付ける)(0.001〜10μM)に対する累積の濃度反応曲線は、ノルアドレナリン(NOR 10μM)(Sigma,St.Louis,MO)を用いて収縮させた海綿体細片、肺動脈輪、および尿管で得られた。化合物2(図1、2および3でBL 106と示す)に対する濃度反応曲線を、各試料に対して作図した。肺動脈については、化合物2に対する濃度反応曲線を、可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害剤1H−[1,2,4]オキサジアゾロ[4,3−a]キノキサリン−1−オン(ODQ 10μM)(Sigma,St.Louis,MO)の存在下、または非存在下でも作図した。対照リング(40mM DMSOで処理)も、実験用の細片およびリングと平行して評価した。
【0069】
ヒト尿管の弛緩
ノルアドレナリンは、ヒト尿管組織の持続的収縮を引き起こした。化合物2(BL 106)(0.0001−1μM)は、尿管組織の濃度依存弛緩を引き起こした(pEC50:6.29およびEmax49%,n=3)(図1)。
【0070】
ウサギ肺動脈の弛緩
ノルアドレナリン(3または10μM)は、ウサギ肺動脈の持続的収縮を引き起こした(17.4mN)。化合物2(BL 106)(0.001−10μM)は、肺動脈輪の濃度依存弛緩を引き起こした(pEC50:6.23[588nM]およびEmax62%,n=3)(図2)。
【0071】
ヒト海綿体の弛緩
ノルアドレナリンは、ヒト海綿体の持続的収縮を引き起こした。化合物2(BL 106)(0.0001−1μM)は、海綿体の濃度依存弛緩を引き起こした(pEC50:7.65およびEmax71%,n=3)(図3A)。
【0072】
ウサギ海綿体の弛緩
ノルアドレナリン(3または10μM)は、ウサギ海綿体の持続的収縮を引き起こした(13.8mN)。化合物2(BL 106)は、海綿体の濃度依存弛緩を引き起こした(pEC50:5.92[1.2μM]およびEmax:91%,n=3)(図3B)。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
式(I)の化合物:
【化17】
またはその塩、溶媒和物もしくは水和物
[式中:
1は、任意に縮合した、任意に1以上の位置においてRBにより置換された、芳香族基;任意に1以上の位置においてRBまたはインドール基により置換された、1個以上のヘテロ原子を含むヘテロ芳香族基;任意に1以上の位置においてRBにより置換されたC1-6アルケニルカルボニル;任意に1以上の位置においてRBにより置換された二環式芳香族、あるいは任意に1以上の位置においてRBにより置換された、1個以上のヘテロ原子を含む二環式ヘテロ芳香族であり;
Bは、ハロゲン、ヒドロキシル、窒素、シアノ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキルC1-3アルキル、アリールC1-3アルキルまたはヘテロアリールC1-3アルキルであり;R2は、1個以上のヘテロ原子を含む芳香族基、1個以上のヘテロ原子またはメチレン−3,4−ジオキシフェニル基を含むヘテロ芳香族含有基あるいは、1個以上のヘテロ原子またはメチレン−3,4−ジオキシフェニル基を含む二環式芳香族であり;R3は、水素、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-3ヘテロアルキル、またはC1-3アルキルであり;
4は、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C1-6ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロアルキルC1-3アルキル、アリールC1-3アルキルまたはヘテロアリールC1-3アルキルである]。
[2]
式(II)で表される、[1]に記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
【化18】
[3]
前記化合物は(R)−異性体である、[2]に記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
[4]
前記化合物は(S)−異性体である、[2]に記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
[5]
前記化合物は(R)−異性体であり、式(Ib)で表される、[1]に記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
【化19】
[6]
前記化合物は(S)−異性体であり、式(Ic)で表される、[1]に記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
【化20】
[7]
[1]に記載の1つ以上の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物の有効量、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[8]
前記組成物は式(II)の化合物を含む、[7]に記載の医薬組成物。
【化21】
[9]
前記化合物が(R)−異性体であり、式(Ib)で表される、[8]に記載の医薬組成物。
【化22】
[10]
前記化合物が(S)−異性体であり、式(Ic)で表される、[8]に記載の医薬組成物。
【化23】
[11]
患者において酵素ホスホジエステラーゼを阻害する方法であって、[7]に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む方法。
[12]
患者において酵素ホスホジエステラーゼを阻害する方法であって、[8]に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む方法。
[13]
患者において酵素ホスホジエステラーゼ5型を阻害する方法であって、[7]に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む方法。
[14]
患者において酵素ホスホジエステラーゼ5型を阻害する方法であって、[8]に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む方法。
[15]
ヒトの勃起障害を治療または予防する方法であって、[7]に記載の医薬組成物を前記動物に投与することを含む方法。
[16]
ヒトの勃起障害を治療または予防する方法であって、[8]に記載の医薬組成物を前記動物に投与することを含む方法。
[17]
結石症、前立腺肥大症、肺高血圧症、尿管狭窄、女性の性的不全および/または男性の性的不全を治療または予防するための方法であって、[7]に記載の医薬組成物を前記動物に投与することを含む方法。
[18]
結石症、前立腺肥大症、肺高血圧症、尿管狭窄、女性の性的不全および/または男性の性的不全を治療または予防するための方法であって、[8]に記載の医薬組成物を前記動物に投与することを含む方法。
[19]
[2]に記載の化合物を調製する方法であって、任意にメチルアミンおよびエタノールを使用して、化合物1から化合物2を調製することを含む方法。
【化24】
[20]
[19]に記載の方法であって、任意に、イソプロパノール中の酸、重炭酸ナトリウム、3,4−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド、および塩化クロロアセチルを使用して、化合物4から化合物1を調製することをさらに含む方法。
【化25】
[21]
[20]に記載の方法であって、任意に、エタノール中の酸、重炭酸ナトリウムおよび塩化クロロアセチルを使用して、化合物5から化合物1を調製することをさらに含む方法。
【化26】
[22]
[21]に記載の方法であって、任意に、メタノールおよびヒドロニウムイオンを使用して、化合物17から化合物1を調製することをさらに含む方法。
【化27】
[23]
[20]に記載の方法であって、任意に、(2,3)−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンおよびテトラヒドロフラン:水混合物を使用して、化合物13から化合物4を調製することをさらに含む方法。
【化28】
[24]
[20]に記載の方法であって、任意に、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)および塩化メチレンを使用して、化合物14から化合物4を調製することをさらに含む方法。
【化29】
[25]
[19]に記載の方法であって、任意に、ジオキサン中の酸、重炭酸ナトリウム、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、および塩化メチレンを使用して、化合物6から化合物4を調製することをさらに含む方法。
【化30】
[26]
[21]に記載の方法であって、任意に、メタノールおよびヒドロニウムイオンを使用して、化合物19から化合物5を調製することをさらに含む方法。
【化31】
[27]
[2]に記載の化合物を調製する方法であって、任意に、エタノール中の酸および重炭酸ナトリウムを使用して、化合物3から化合物2を調製することを含む方法。
【化32】
[28]
[27]に記載の方法であって、任意に、メタノールおよびヒドロニウムイオンを使用して、化合物18から化合物3を調製することをさらに含む方法。
【化33】
図1
図2
図3