特許第5940538号(P5940538)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59405382,4−ジクロロフェノキシ酢酸に対する抵抗性をもたらす酵素に対するモノクローナル抗体および検出方法
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  • 特許5940538-2,4−ジクロロフェノキシ酢酸に対する抵抗性をもたらす酵素に対するモノクローナル抗体および検出方法 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940538
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】2,4−ジクロロフェノキシ酢酸に対する抵抗性をもたらす酵素に対するモノクローナル抗体および検出方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/40 20060101AFI20160616BHJP
   C12N 15/02 20060101ALI20160616BHJP
   C12N 5/18 20060101ALI20160616BHJP
   C12N 5/20 20060101ALI20160616BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20160616BHJP
【FI】
   C07K16/40
   C12N15/00 C
   C12N5/18
   C12N5/20
   !C12P21/08
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-529169(P2013-529169)
(86)(22)【出願日】2011年8月26日
(65)【公表番号】特表2013-541525(P2013-541525A)
(43)【公表日】2013年11月14日
(86)【国際出願番号】US2011049263
(87)【国際公開番号】WO2012036870
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/383,015
(32)【優先日】2010年9月15日
(33)【優先権主張国】US
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-11251
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-11252
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-11253
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-11254
【微生物の受託番号】ATCC  PTA-11255
(73)【特許権者】
【識別番号】501035309
【氏名又は名称】ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】エンブリー,ショーナ,ケー.
(72)【発明者】
【氏名】リン,ガオフェン
(72)【発明者】
【氏名】シャン,グオミン
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/107437(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/141154(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/053482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/40
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTA−11251(473F185.2#18)、PTA−11252(473F225.2#7)、PTA−11253(73F274.2#36)、PTA−11254(473H46.2)およびPTA−11255(473H172.3)からなる群から選択される受託番号のもと、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)に寄託されたハイブリドーマにより産生され、アリールオキシアルカノエート・ジオキシゲナーゼ酵素(AAD−1)と特異的に結合するモノクローナル抗体。
【請求項2】
受託番号PTA−11251(473F185.2#18)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
受託番号PTA−11252(473F225.2#7)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項4】
受託番号PTA−11253(73F274.2#36)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項5】
受託番号PTA−11254(473H46.2)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項6】
受託番号PTA−11255(473H172.3)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項7】
請求項1に記載のモノクローナル抗体を産生し、PTA−11251(473F185.2#18)、PTA−11252(473F225.2#7)、PTA−11253(73F274.2#36)、PTA−11254(473H46.2)およびPTA−11255(473H172.3)からなる群から選択される受託番号のもと、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)に寄託されたハイブリドーマ細胞系。
【請求項8】
ATCC受託番号PTA−11251(473F185.2#18)のもと寄託された、請求項7に記載のハイブリドーマ。
【請求項9】
ATCC受託番号PTA−11252(473F225.2#7)のもと寄託された、請求項7に記載のハイブリドーマ。
【請求項10】
ATCC受託番号PTA−11253(73F274.2#36)のもと寄託された、請求項7に記載のハイブリドーマ。
【請求項11】
ATCC受託番号PTA−11254(473H46.2)のもと寄託された、請求項7に記載のハイブリドーマ。
【請求項12】
ATCC受託番号PTA−11255(473H172.3)のもと寄託された、請求項7に記載のハイブリドーマ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年9月15日出願の米国特許仮出願第61/383,015号の利益を主張するものであり、すべての図面、表およびアミノ酸または核酸の配列を含むこの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)は、フェノキシ酸系除草剤であり、多くの単子葉作物、例えばコーン、コムギおよびコメにおいて、所望の作物に深刻な損害を与えない、広葉雑草の選択防除に使用されている。2,4−Dは、正常な細胞ホルモンの恒常性を調節解除し、バランスのとれた、調節された成長を妨害するように作用する合成のオーキシン誘導体であるが、60年を超えるフィールド適用にもかかわらず、除草剤のこの系の作用の正確な作用様式は未だ完全に理解されていない。トリクロピルおよびフルロキシピル(fluroxypyr)もまた、合成オーキシンとして作用するピリジルオキシ酢酸除草剤である。
【0003】
これらの除草剤は、特定の植物に対して異なるレベルの選択性を有する(例えば、双子葉植物は単子葉側物より感受性である)。異なる植物による代謝の差異が、選択性のさまざまなレベルに関する1つの説明である。一般に、植物は2,4−Dを緩慢に代謝し、それ故2,4−Dに対するさまざまな植物の応答は、標的部位における異なる活性により説明される可能性がより高いと思われる(WSSA, 2002; Herbicide Handbook 8th edition; Weed Science Society of America; Lawrence, KS pp. 492)2,4−Dの植物の代謝は、概して、通常水酸化、その後のアミノ酸またはグルコースとの共役の二相の機序を介して起こる(WSSA, 2002)。
【0004】
時間とともに、2,4−Dでチャレンジされた特定の微生物個体群は、2,4−Dの完全な無機化をもたらす、この生体異物を分解する代替経路を発達させた。除草剤の連続適用は、除草剤を成長のための炭素源およびエネルギー源として利用できる微生物を選択し、土壌においてそれらに競争上の優位性をもたらす。この理由のため、現在製剤化された2,4−Dは、比較的短い土壌半減期を有し、次作物に対して有意な持越し効果を有さない。
【0005】
2,4−Dを分解するその能力に関して幅広く研究されている1つの生物は、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)である(Streber et al; 1987; Analysis, cloning, and high-level expression of 2,4-dichlorophenixyacetic monooxygenase gene tfdA of Alcaligenes eutrophus JMP134. J. Bacteriol. 169: 2950-2955)。無機化経路の最初のステップにおいて酵素をコードする遺伝子はtfdAである。米国特許第6,153,401号およびGENBANK受託番号M16730を参照されたい。TfdA遺伝子産物は、α−ケトグルタレート依存性ジオキシゲナーゼ反応を介した2,4−Dのジクロロフェノール(DCP)への変換を触媒する(Smejkal; et al.; 2001. Substrate specificity of chlorophenoxyalkanoic acid-degrading bacteria is not dependent upon phylogenetically related tfdA gene types. Biol. Fertil. Sols 33: 507-513)。DCPは、2,4−Dと比較して除草活性をほとんど有さない。tfdAは、天然には2,4−Dに感受性である双子葉植物、例えば綿花およびタバコなどに2,4−D抵抗性をもたらすために、トランスジェニック植物に使用されている(Streber; et al.; 1989. Transgenic tobacco plants expressing a bacterial detoxifying enzyme are resistant to 2,4-D. Bio/Technology 7:811-816.)および米国特許第5,608,147号)。
【0006】
2,4−Dを分解できる酵素をコードする数多くのtfdA型遺伝子は、土壌細菌から単離されており、それらの配列はGenbankデータベースに寄託されている。tfdAの多数のホモログ(>85%のアミノ酸同一性)は、tfdAに対して同様の酵素特性を有する。しかし、tfdAに対して有意に低い同一性(25〜50%)を有し、α−ケトグルタレートジオキシゲナーゼFe+2ジオキシゲナーゼに関連する特徴的な残基をさらに有するホモログも多数存在する。したがって、いくつかある生化学的特性の中で、これらの多岐にわたるジオキシゲナーゼの基質特異性が何であるか明らかではない。
【0007】
tfdAに対する低い相同性(28%アミノ酸同一性)の1つの特有の例は、スフィンゴビウム・ハービシドボランス(Sphingobium herbicidovorans)由来のrdpAである(Kohler, H. P. E. 1999. Sphingobium herbicidovorans MH: a versatile phenoxyalkanoic acid herbicide degrader. J. Ind Microbiol and Biotech. 23: 336-340, Westendorf A., D. Benndorf, R. Muller, W. Babel. 2002. The two enantiospecific dichlorprop/α-ketoglutarate-dioxygenases from Delftia acidovorans MC1-protein and sequence data of RdpA and SdpA., Microbiol. Res. 157: 317-22.)。この酵素は、(R)−ジクロルプロップ(および他の(R)−フェノキシプロピオン酸)および2,4−D(フェノキシ酢酸)の無機化における最初のステップを触媒することが示されている(Westendorf, A., R. H. Muller, and W. Babel. 2003. Purification and characterization of the enantiospecific dioxygenases from Delftia acidovorans MC1 initiating the degradation of phenoxypropionates and phenoxyacetate herbicides. Acta Biotechnol. 23:3-17)。フェノキシプロピオン酸を分解する生物は以前にも記載されているが、この経路の特徴付けはほとんど進展していなかった(Horvath, M., G. Ditzelmuller, M. Lodl, and F. Streichsbier 1990). Isolation and characterization of a 2-(2,4-dichlorophenoxy)propionic acid-degrading soil bacterium. Appl. Microbiol. Biotechnol. 33:213-216.)。ジクロルプロップ分解に対する追加の複雑な要因は、ジクロルプロップの取り込み(Kohler, 1999)および初期酸化(Westendorf et al., 2003)の両方に関連する立体特異性(R対S)である。他の微生物におけるrdpAの異種発現またはこの遺伝子の植物への形質転換は、これまでに報告されていない。文献は主に、アキラルフェノキシ酢酸(例えば2,4−D)を主に分解する、tfdAの密接なホモログに焦点を当てていた。
【0008】
もともとはデルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)から単離された酵素をコードする、植物コドン最適化アリールオキシアルカノエート・ジオキシゲナーゼ遺伝子、AAD−1は、国際公開第2005/107437号において、除草剤抵抗性の形質としての使用に関して最初に記載され、これは本明細書に参照により組み込まれる。この形質は、2,4−Dおよびピリジルオキシアセテート除草剤に対する耐性をもたらす。AAD−1遺伝子を担持する形質転換されたトウモロコシの最初の報告は、米国特許仮出願第61/235248号中にあり、これは本明細書に参照により組み込まれる。
【0009】
植苗製品に関する組み換えDNA形質を開発し、市販する会社は、厳格な製品の総合安全管理(product stewardship)計画を策定し、実施し、厳守する。これらの安全管理計画は、形質遺伝子移入および種子生産活動を追跡するための、組み換え形質に関する有効な定量的および定性的タンパク質検出方法の使用ならびに形質に関する穀物収穫高のモニタリングを必要とする。これらの検出方法は、GLPおよび非GLP条件下の使用に対して十分に簡易であり、強固でなければならない。さらにこの方法は、畑の農業従事者、サイロにおける穀物取引業者および国境の税関職員により容易に用いられるように十分使いやすく、問題なくなければならない。したがって、強固で、高品質で使いやすいタンパク質検出方法および市販のキットが重要であり、組み換え植物形質製品の発売に必須である。
【0010】
当分野において免疫アッセイが周知であるが、実験室および現場環境の両方の植物組織のアレイにおいて特定のトランスジェニック産物の検出のために十分再現可能であり、感受性である、強固で有効なELISA(酵素結合免疫吸着測定法)法の開発は、簡単でも、日常的でもない。さらにより困難なことは、AAD−1トランスジェニック事象の産物を検出するための側方流動ストリップELISA法の開発に適切な相補的抗体対を見出すことである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のモノクローナル抗体を用いたアッセイ系を使用して作製した標準曲線を示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、モノクローナル抗体(mAb)のパネルおよび特許請求される抗体を産生するハイブリドーマ細胞系を提供する。ハイブリドーマは、ブダペスト条約の条項に従ってアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)に寄託された。請求項に記載のmAbは、驚いたことに、さまざまな植物および植物組織中の特定のAAD−1トランスジェニック事象遺伝子産物の検出に非常に適している。本発明は、本発明の特許請求される免疫グロブリンを使用する、定量的および定性的免疫アッセイをさらに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、AAD−1に反応性の抗体および特許請求されるmAbを産生するハイブリドーマを包含する。下記の表は、ハイブリドーマ系の名称およびそれらの対応するATCC寄託名称を記載する。
【表1】
【0014】
本発明はmAbを使用してAAD−1を単離または検出する方法であって、a)前記抗体を表面に固定化するステップ、b)前記固定化された抗体と、AAD−1を含有する混合物とを接触させるステップ、c)AAD−1と結合した前記固定化された抗体を、前記混合物から分離するステップ、およびd)抗体結合AAD−1を、前記固定化された抗体から取り外すことによりAAD−1を回収するステップを含む方法もまた含む。
本発明は特許請求される抗体を使用する、生体試料中のAAD−1の存在を同定する方法であって、a)前記抗体をアッセイ表面に固定化するステップ、b)前記アッセイ表面とAAD−1を含有するとされる液体とを接触させ、前記アッセイ表面を適切な溶液で洗浄するステップ、c)前記アッセイ表面を、リポーティング基で標識された抗AAD−1抗体と接触させ、前記アッセイ表面を適切な溶液で洗浄するステップ、d)前記リポーティング基の存在を検出するステップを含む方法もまた含む。
【0015】
本発明は、トランスジェニック植物、特にトウモロコシおよび綿花植物において発現されるAAD−1酵素の定量的決定の分析方法をさらに含む。AAD−1タンパク質は、トウモロコシ試料からPBST(0.05% Tween(登録商標)−20を含むリン酸緩衝生理食塩水)溶液により抽出される。抽出液を遠心分離にかけ、水性上清を回収し、希釈する。希釈された試料のアリコートを、酵素コンジュゲート抗AAD−1モノクローナル抗体とともに、抗AAD−1ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体によりコーティングされたプレートのウェルにおいて、サンドイッチELISAフォーマットにおいてインキュベートする。サンドイッチ対中の両方の抗体は、試料中のAAD−1タンパク質を捕捉する。インキュベーション期間の終わりに、未結合の試薬を、PBSTで洗浄することによってプレートから除去する。AAD−1の存在は、酵素コンジュゲートを酵素基質とともにインキュベートし、有色生成物を発生させることによって検出される。AAD−1は抗体サンドイッチ中に結合されるので、発色のレベルは試料中のAAD−1の濃度に比例する(すなわち、タンパク質濃度が低いほど発色が低い)。450nmにおける吸光度(または標識に依存して405nm)−参照波長(例えば650nm)における吸光度を、プレートリーダーを使用して測定する。較正曲線は、7種の標準濃度から二次回帰方程式を使用して推定される。このAAD−1 ELISAは、植物組織試料抽出液中のAAD−1の定量化に特異的であり、十分感受性である。さらに本発明の抗体は、公知のウエスタンブロッティング技術を使用してAAD−1の存在を確認するために使用できる。
【0016】
対象となるタンパク質に対するモノクローナル抗体の調製は、当分野において周知である。GalfreおよびMilstein, Methods in Enzymology, Vol. 73, Academic Press, New York(1981年); James W. Goding, Monoclonal Antibodies:Principles and Practice, Academic Press, Orlando, Florida(1986年); Current Protocols in Molecular Biolopy, F. M. Ausubelら編,Wiley Interscience, New York,(1987年)を参照されたい。所与の免疫原に反応性のmAbのスコアをつけることは日常であり得るが、それらを分類し、特定の用途に適切な非常に少ないmAbを見出すことおよびそれらを安定して分泌し、連続培養しやすいハイブリドーマを確保することは困難である。
【0017】
対象となるタンパク質に反応性の抗体を調製するために、タンパク質はまず濃縮されているか、または精製されていなければならない。相対的に粗製のタンパク質抗原調製物は、免疫化目的に使用できる。しかし、ハイブリドーマがモノクローナル抗体を求めて作製される、または特異血清の抗体力価をアッセイするために作製される場合、正確な決定のためには高度に精製されたタンパク質が必要とされる。
【0018】
AAD−1がひとたび単離されたら、AAD−1に特異的な抗体は、当分野において周知の既存の方法により産生され得る。数週間または数ヶ月間にわたる選択された宿主への繰り返し注入は、免疫反応を誘発し、有意な抗AAD−1血清力価をもたらし得る。好ましい宿主は哺乳動物種であり、さらにより好ましい種はウサギ、ヤギ、ヒツジおよびマウスである。このような免疫化された動物から採取された血液は、AAD−1に反応性の抗血清(ポリクローナル抗体)を得るための確立された方法によって処理されてよい。抗血清はその後、当分野において公知の技術に従ってAAD−1への吸着により親和性精製されてよい。親和性精製された抗血清は、当分野において公知の手順を使用して、抗血清内の免疫グロブリン分画を単離することによってさらに精製できる。得られた材料は、AAD−1に反応性の免疫グロブリンの異種集団であり得る。
【0019】
抗AAD−1mAbは、精製AAD−1を使用して容易に調製される。mAbを作製する方法は数十年間実践されており、当業者には周知である。アジュバント中のAAD−1の腹腔内または皮下への繰り返し注入は、大部分の動物、特にマウスにおいて免疫反応を誘発し得る。過免疫化されたBリンパ球は動物から取り出され、無限に培養可能な適切な融合パートナー細胞系と融合される。多数の哺乳動物細胞系がハイブリドーマの作製に適切な融合パートナーである。多数のこのような系は、ATCCおよび商業的供給業者から市販されている。
【0020】
ひとたび融合されたら、得られたハイブリドーマは選択的成長培地において、1から2週間培養される。2種の周知の選択系が、非融合骨髄腫細胞の除去または混合されたハイブリドーマ培養液由来の骨髄腫細胞間の融合に利用可能である。選択系の選択は、免疫化されるマウスの系統および使用される骨髄腫融合パートナーに依存する。Taggart and Samloff, Science 219, 1228(1982年)により記載されたAAT選択系を使用できるが、Littlefield, Science145, 709(1964)により記載されたHAT(ヒポキサンチン、アミノピリテン、チミジン)選択系は、上記のマウス細胞および融合パートナーとのその適合性により好ましい。
【0021】
使用済みの成長培地はその後、免疫特異性mAb分泌に関してスクリーニングされる。酵素結合免疫吸着測定法の手順は、本目的にもっとも適しているが、大容積のスクリーニングに適合させた放射免疫アッセイもまた許容可能である。無関係な、またはあまり望ましくない相当数の培養液を連続して削減するように設計された多重スクリーニングを実施して、本発明のわずかな割合のmAbを単離しなければならない。AAD−1に反応性のmAbを分泌する培養液は、市販のキットを使用してアイソタイプ化(isotyped)される。
【0022】
求められる抗AAD−1mAbを分泌するハイブリドーマ培養液は、数回サブクローン化し、単一クローン性および安定性を確立すべきである。真核性の、非接着性細胞培養液をサブクローニングする周知の方法としては、限界希釈法、軟寒天および蛍光標示式細胞分取技術が挙げられる。個々のサブクローニング後、得られた培養液は抗体分泌に関して再アッセイされなければならず、安定した抗体分泌培養液を確保するための再度のアイソタイプ化が確立されている。
【0023】
特許請求される抗AAD−1抗体は、抗体結合部位のいくつかが露出されたままで、AAD−1と結合できるように、表面に固定化できる。抗体を固定化するスキームの分類が、過去数十年にわたって開発されてきた。固定化は、抗体を所望の表面へ直接共有結合により、または抗体の表面への架橋により達成できる。
【0024】
Sepharose(登録商標)(GE Healthcare Bio-Sciences Corp.; Pistcataway, NJ)などの多糖類ベースのビーズへの抗体のCNBrおよびカルボジイミドカップリングは、本発明に一致する直接カップリングスキームの例示である。直接カップリングは、任意の特定の様式において一般に抗体に配向していないが、直接カップリングのいくつかの型は、固定化物質上の抗体に再現可能に配向させることができる。
【0025】
好ましいカップリングスキームは、抗体を、その抗原結合領域が露出されたままであるように配向させる。このようなスキームの1つは、抗体の重鎖上に見出される天然の炭化水素を利用する。まず炭化水素部分を対応するアルデヒドに酸化し、反応アルデヒドをさらにマトリックス表面の第1級アミノ基とさらに相互作用させることによって、抗体を有利な配向で連結できる。
【0026】
多くの架橋の型が可能であり、抗体を固定化物質に共有結合させる低分子有機リンカーを含む。このようなスペーサーアームは許容可能であり、ひとたび架橋が形成されたらタンパク質と相互作用しないことが好ましい。
【0027】
上記の考察は本発明の範囲の限定を意味するものでは決してない。抗体を固定化物質に連結する多数の周知のスキームは本発明に一致する。
【0028】
リポーティング基で標識された抗体が、さまざまな環境中の抗原の存在を同定するために使用できることは周知である。放射性同位元素で標識された抗体は数十年の間、さまざまな生体液中の抗原の存在を、非常に正確かつ高い感度で同定するための放射免疫アッセイに使用されている。より近年、酵素で標識された抗体が、一般のELISAにおいて放射標識された抗体に対する代替品として使用されている。
【0029】
本発明の抗体は、固定化物質、例えばポリスチレンのウェルまたは粒子に結合することができ、免疫アッセイに使用し、試験試料中にAAD−1が存在するかどうかを決定することができる。本発明のこの実施形態において、試料は、免疫親和性表面と接触され、インキュベートされる。洗浄ステップ後、免疫親和性表面に結合した任意のAAD−1が、表面と、リポーティング基で標識された本発明の別の抗体とを接触させることによって検出される。
【0030】
側方流動ストリップまたは免疫クロマトグラフィーストリップならびに特許請求される抗体およびアッセイ方法の使用は、本発明に一致する。側方流動アッセイは当分野において周知である。例えば米国特許第6,485,982号を参照されたい。この様式において、側方流動試験は、AAD−1単独または他の被験物質と同時に、定性的または半定量的な検出に使用できる。側方流動試験は、本明細書に記載のすべての試験フォーマットの使用にもっとも単純であり、植物材料が迅速に溶液に抽出され、側方流動ストリップにおいて試験される現場環境において特に有用である。この様式において、側方流動ストリップを液体試料内に配置する、または液体試料を側方流動ストリップに塗布し、所定の時間後に結果を読むことだけが必要とされる。すべての側方流動試験は、試験結果を検証するために使用される、手順制御ラインまたは試料制御ラインのいずれかを組み込まなければならない。2種のラインの出現は、したがって、陽性結果を示し、一方有効な陰性試験は制御ラインのみを生み出す。試験ラインのみが出現した場合、またはラインが出現しない場合、それは無効である。
【0031】
通常の側方流動試験ストリップは、4つの主要な要素からなる:試験試料を塗布する試料パッド; 有色粒子にコンジュゲートされた本発明の抗体を含有するコンジュゲートパッド(通常、コロイド状金粒子またはラテックス微小球);本発明のさまざまな抗体が捕捉ゾーンまたは試験ラインとして膜を超えるラインに固定化される反応膜、例えば疎水性ニトロセルロースまたはセルロースアセテート膜;および最後に毛管現象により反応膜を超える試料をくみ上げるために設計される廃液貯蔵器。
【0032】
側方流動ステリップの要素は、不活性な基材に正常に固定され、単純なディップスティックフォーマットに存在でき、または捕捉ゾーンおよび制御ゾーンを示す試料ポートおよび反応ウインドウを有するプラスチックケーシング内に存在することができる。アッセイ実施形態の別の様式において、AAD−1を含有することが疑われる試験試料を表面上で乾燥させ、固定化された試験試料を形成する。本発明の標識抗体は、その後固定化された試験試料に接触され、インキュベートされる。試料がAAD−1を含有する場合、標識抗体は固定化されたAAD−1と結合するものである。この方法は、本発明の非標識抗体を使用し、その後、すでにAAD−1に結合している本発明の抗体と結合する、標識された二次抗体を使用して実施することもできる。洗浄後、固定化された試験試料を測定し、任意のリポーティング基を検出することができる。
【0033】
リポーティング基は通常、酵素、例えば、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼまたはベータ−D−ガラクトシダーゼである。適切な基質は、酵素と反応した場合色彩変化を生じる。その際、色彩強度の測定を、分光光度計を使用して定量することができる。リポーティング基が放射性同位元素である場合、適切なガンマ線またはベータ線検出器を使用してリポーティング基を定量化することができる。リポーティング基の強度は、試験試料中のAAD−1の量に直接相関する。
【0034】
下記の実施例は、本発明の実施方法を記載する手助けになると思われ、特許請求される抗AAD−1抗体の特徴付けおよびアッセイを例示するものである。
【実施例1】
【0035】
免疫原の調製
AAD−1タンパク質を、安定剤を加えたPBST(0.05% Tween(登録商標)20、pH7.4を含むリン酸緩衝生理食塩水)ベースの緩衝液中のトランスジェニックトウモロコシから回収された、凍結乾燥された葉組織から抽出し、可溶性タンパク質を、遠心分離後の上清中に回収した。上清をろ過し、1M AmSOに調整し、可溶性タンパク質をPhenyl Sepharose(商標)HIC(疎水性相互作用ビーズ)(GE Healthcare)に結合させる。1時間のインキュベーション後、HICビーズをPBSTで洗浄し、結合タンパク質をMilli−Q(商標)水で溶出した。塩化ナトリウムを加えて電導度を上げ、HICにより精製されたタンパク質を、AAD−1特異的ポリクローナル抗体とコンジュゲートされている抗AAD−1免疫親和性カラムに添加した。ポリクローナル抗体は、国際公開第2005/107437号に記載の蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)において産生される組み換えAAD−1に対して産生された。未結合タンパク質をカラムから回収し、カラムを、あらかじめ冷却したPBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)で広範囲にわたって洗浄した。結合タンパク質を、3.5M NaSCN、50mM Tris(商標)、pH8.0 緩衝液で溶出した。微生物由来AAD−1およびトウモロコシ由来AAD−1を、SDS−PAGEおよびウエスタンブロッティングにより試験した。
【0036】
微生物由来AAD−1において、クマシー染色されたSDS−PAGEゲルで可視化された主要なタンパク質バンドは、およそ32kDaであった。対応する植物由来AAD−1タンパク質は、微生物由来タンパク質とサイズが同一であった。さらに、植物由来AAD−1試料は少量の不純物を含有し、これはAAD−1抗血清に対して非免疫反応性であった。同時精製されたタンパク質は、カラムマトリックスとの弱い相互作用によりカラムに保有されたと思われる。
【0037】
微生物由来AAD−1および植物由来試料は、抗AAD−1抗血清を使用するウエスタンブロッティングにおいて期待されるサイズの陽性シグナルを示した。AAD−1のウエスタンブロット分析において、免疫反応性タンパク質は、陰性コントロール(天然トウモロコシ)抽出液中には観察されず、代替サイズのタンパク質(凝集生成物または分解生成物)は、トランスジェニック植物由来の試料中にも見られなかった。
【実施例2】
【0038】
ハイブリドーマの調製
マウスを精製されたAAD−1により免疫化し、標準的融合技術を使用し、抗AAD−1モノクローナル抗体を発現するハイブリドーマのパネルを調製した。使用済みの組織培養培地の試料を、ハイブリドーマ培養液を含有する個々のウェルから無菌で取り出し、AAD−1の反応性を、下記の抗体捕捉ELISA法を使用してアッセイした。マイクロタイタ―ウェルを、1〜10μg/mLの精製AAD−1の溶液でコーティングした。ウェルを洗浄し、使用済みの組織培地の試料をウェルに配置し、インキュベートした。ウェルを洗浄し、ホースラッディシュペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウス抗血清を加え、インキュベートさせた。プレートを洗浄し、基質を加え、呈色反応を生じさせ、プレートをOD(光学密度)に関して読み取った。OD測定値が高いウェルを、元のハイブリドーマを含有する培養液のウェルにマッピングした。AAD−1抗体陽性培養液を抗体産生に関して連続的にスクリーニングし、培養液が拡大した場合の成長安定性および抗体産生を確実にした。数ラウンドの限界希釈クローニングを実施し、各培養液の真の単一クローン性を確立した。抗体陽性クローンについてのさらなるアッセイを実施し、植物材料の現場使用のための、現在特許請求される定量的検出方法に使用する個々の抗体の適切性を決定した。
【実施例3】
【0039】
アッセイの開発
アッセイ条件を、最適コーティング濃度、コーティング緩衝液の構成要素、コーティングフォーマットおよびpHならびに抗体−ビオチン比および濃度に関して評価した。最終アッセイフォーマットは、連続または同時サンドイッチフォーマットを使用した。HRP(ホースラッディシュペルオキシダーゼ)およびAP(アルカリホスファターゼ)両方の標識系を開発した。mAb 473H274.2#36を、両方の系に関して反応ウェル表面にコーティングし、乾燥させた。
【0040】
HRP系において、mAb 473F185.2#18をHRPにコンジュゲートさせた。AAD−1試料を反応ウェルに加え、室温において1時間インキュベートした。洗浄ステップ後、473F185.2#18−HRPコンジュゲートを反応ウェルに加え、30分間室温においてインキュベートした。反応ウェルをその後洗浄し、基質を加え、HRPと反応させた。AAD−1タンパク質の存在下で、HRPコンジュゲートは反応ウェルに結合し、次いでウェル中の基質と色彩変化を生じた。30分の基質インキュベーション期間の後、停止溶液を加え、反応ウェルを、96ウェルプレートリーダーにおいて、波長450nm〜650nmで読み取った。
【0041】
AP系において、473F185.2#18 mAbをビオチンにコンジュゲートした。試料およびビオチン化mAbを反応ウェルに加え、室温において1時間インキュベートした。洗浄ステップ後、ストレプトアビジン−APコンジュゲートを反応ウェルに加え、室温において30分間インキュベートした。反応ウェルをその後洗浄し、基質を加え、APと反応させた。AAD−1タンパク質の存在下で、APコンジュゲートは反応ウェルに結合し、次いでウェル中の基質と色彩変化を生じた。30分の基質インキュベーション期間の後で、反応を96ウェルプレートリーダーにおいて波長405nmで読み取り、その結果をプロットし、標準曲線を図1に示すように計算した。
【0042】
HRPベースのアッセイの試験の間、非特異的シグナルが、トウモロコシ組織試料に観察された。対照的に、AP系は、トウモロコシ組織を使用した場合、任意の有意な非特異的シグナルを明示しなかった。したがって、APベースのアッセイは、より好ましいフォーマットであるが、HPRベースのアッセイはそれでもなお、実行可能な系である。
【実施例4】
【0043】
アッセイの特徴
得られたAPフォーマットを、異なるロットの試薬で評価し、アッセイの感度および範囲を決定し、吸光度の変動性およびアッセイの正確性を確立した。これらの研究において、3人のオペレーターが、2つの標準曲線および単一ポイントの分析を行うことによって、2つのプレート/試薬のロットを試験した。アッセイの標準曲線の全体の吸光度は、0.1abs405から1.5abs405に及んだ。結果を、下記の表1に示す。
【表2】
【0044】
アッセイの有効な定量範囲は、1ng/mLから32ng/mLにおよび、平均のプレート間および分析者間%誤差およびパーセント変動係数(% CV)はそれぞれ3.40%および2.62%である(表2)。オペレーター、プレートのロット、コンジュゲートのロットまたは%CV決定の日付の重要な影響はなかった。プレートロット間の%誤差および正確性は、プレートロット内の結果と非常に類似していた(表3および4)。
【表3】

【表4】

【表5】
【実施例5】
【0045】
アッセイ特異性
実施例3の免疫アッセイを、無秩序な市販の形質のタンパク質に対して実施し、任意の許容できない交差反応性が存在するかどうかを決定した。タンパク質Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry34Ab1、Cry35Ab1およびPAT(ホスフィノトリシン・アセチルトランスフェラーゼ)を含有する試験試料を、反応ウェルにおいてインキュベートし、免疫アッセイを実施例3に従って実施した。同様に、Cry1F(DAS TC1507)、Cry34Ab1/35Ab1(DAS−59122−7)、Cry3Bb(MON 863)、Cry2Ab/Cry1A(MON 89034)、Cry3Bb/CP4(MON 88017)、GA21(GA21)、Cry1Ab(MON 810およびBt11)、Cry3A(MIR604)およびCP4(NK603)を発現する、トランスジェニックコーン種子に免疫アッセイを実施し、陽性シグナルは発生しなかった。このアッセイは、AAD−1タンパク質に対して高度に選択性であることが見出された。試験において非標的タンパク質に対して、交差反応性または干渉効果は測定されなかった。したがって、特許請求されるアッセイAAD−1マイクロタイタープレートELISAは、コーンの市販のトランスジェニック品種中に見出される、他の組み換えタンパク質に対して交差反応性を有さないと結論付けた。
【実施例6】
【0046】
AAD−1定量的ELISAプロトコル
1.一般要求事項
A.材料
ビーズ、1/8インチ クロム鋼、カタログ番号BS−0125−C、Small Parts Inc.,Miami Lakes、FLまたは同等物。
キャップ、2.0mLの円錐管用、カタログ番号02−681−361、Fisher Scientificまたは同等物。
マルチチャネルピペッター、12チャネル、10〜300μL
ピペットチップ、さまざまなサイズ
プレートカバーまたは同等物
試薬貯蔵容器、非滅菌
さまざまなサイズの単一チャネルピペッター、10μL〜1.0mL
管、ポリプロピレン、5mL、カタログ番号14−956−1D、Fisher Scientific
管、キャップ付き15mLのポリプロピレン遠心管、カタログ番号05−539−12、Fisher Scientific
管、2.0mLの円錐の微小遠心用、カタログ番号02−681−344、Fisher Scientificまたは同等物。
U底プレート、非結合96ウェル、BD Falcon カタログ番号35−3918または同等物
B.機器
はかり、分析的、Model AB54−S、Mettler Instrument Corporationまたは同等物
遠心分離機、2mLエッペンドルフ管が保持可能なもの、エッペンドルフ−5417Cまたは同等物
フリーザー、−20℃を維持可能なもの、Model 75F、U−Line Corporation、Milwaukee、WIまたは同等物
プレートリーダー、405〜650nmで読み取り可能なもの、Molecular Devicesカタログ番号0200−2018または同等物
冷蔵庫、2〜8℃を維持可能なもの。
ボルテックス、Genie−2 Model、カタログ番号12−812、Fisher Scientificまたは同等物
シェーカー/グラインダー、Model Geno/Grinder、カタログ番号2000−115、Certiprep、Metuchen、New Jerseyまたは同等物
洗浄機、96ウェルマイクロプレート、Model Elx405、Bio−Tek Instruments,Inc.または同等物
2.試薬および試薬の調製
A.抗体によりコーティングされた96ウェルマイクロタイタ―プレート;AAD−1抗体コンジュゲート(120mL);呈色試薬(120mL);停止溶液(120mL)。
B.PBST、pH7.4、カタログ番号P−3563、Sigma。2〜8℃において保存。
C.リン酸緩衝生理食塩水+0.05% Tween−20(PBST)、pH7.4。6ヶ月まで2〜8℃において保存。PBST粉末を使用して緩衝液を調製できる、カタログ番号P−3563、Sigma。
D.30%ウシ血清アルブミン(BSA)溶液、免疫血液学グレード(Serologicals Corporation,Inc.1−800−431−4505カタログ番号81−070または同等物。2〜8℃において保存。
E.AAD−1標準タンパク質。
F.アッセイ衝液:PBST+0.5% BSA(w/v)(PBST/BSA)。PBST粉末を使用して緩衝液を調製できる、カタログ番号P−3563、Sigma。
1mLの30% BSAを、容器中の30mLのPBSTに加えた。
ウェルを混合し、これを1日使用できる。実験後、残りを廃棄する。
G.洗浄緩衝液:PBST+0.05% Tween−20(w/v)。PBST粉末を使用して緩衝液を調製できる、カタログ番号P−3563、Sigma。
0.5mLのTween−20を、容器中の1LのPBSTに加える。
ウェルを混合し、室温において保存する。任意の目に見える混入が観察された場合、溶液を廃棄する。
H.AAD−1ストック溶液、1000ng/mL。
PBST/BSA中液体標準濃度に基づく1000ng/mLストック溶液を調製する。氷中に保ち、2時間以内に使用する。任意の目に見える混入が観察された場合、廃棄する。AAD−1ストックの残りを廃棄し、再使用のための再凍結はしない。
3.手順
A.アッセイの実施30分前に冷蔵庫から取り出すことによって、ELISA試薬を20〜25℃にする。
B.下記のように、5mLのポリスチレン管中にアッセイ緩衝液中AAD−1標準を調製する。次の希釈に移る前に数秒ボルテックスにかける。管を氷上に保存し、試料をプレートに加える直前に個々のアッセイ用の新しい標準を調製する。(注:ストック参照抗原を移す場合、分注後、ピペットチップを目的溶液中で一度すすがれたい)。
【表6】

C.試験試料の調製:
葉の試料に関して、4つの葉のパンチを作り、2mLのポリプロピレン管に配置する。2または3つの金属ビーズを各管に加える。その後0.80mLのアッセイ緩衝液を加える。すべての管にキャップをする。
試料を、Geno/Grinder自動シェーカー/グラインダーを使用して、ダイアルを350、トグルスイッチを1×設定値(およそ1500ストローク/分)、1サイクル5分にセットし、抽出する。代替の同等の粉砕または抽出方法も使用できる。
試料を、14,000(またはそれより早く)rpmにおいて5分間または分離される(上清に目に見える粒子がなくなる)まで遠心分離機にかける。上清を、別個の管に移すか、または分析用アリコートをとる。溶液を氷上に保ち、2時間以内にアッセイする。
D.AAD−1試料を、下記のようにELISAプレート(複数可)に加える。
ELISA標準希釈液を、非結合96ウェルU底マイクロタイタ―プレート(およそ130μl/ウェル)のカラム1〜3に移す。個々の被験プレートに関して、標準溶液を3連に流す。
必要に応じ試料の希釈液を調製し、希釈された試料を、標準較正溶液を含有する非結合96ウェルマイクロタイタ―プレート(130μL/ウェル)に移し、96ウェルアッセイテンプレートシートの位置を記録する。
E.あらかじめコーティングされたプレートに蓋をし、混合のためにおよそ5秒、ベンチトップまたはプレートシェーカーにおいて穏やかに回転させる。周囲温度において1時間(±5))インキュベートさせる。
F.あらかじめコーティングされたプレートを、個々のウェルをPBSTで満たすことによって3〜5回洗浄する。ペーパータオルの上で過剰の液体をたたいて落とす。プレートウォッシャーにより洗浄してもよい。
G.100μLのAAD−1抗体コンジュゲートを、抗体によりコーティングされた96ウェルマイクロタイタ―プレートの個々のウェルにピペットで加える。その後、100μLのELISA標準溶液およびU底マイクロタイタープレートからの試料を、あらかじめコーティングされたプレートに移し、あらかじめコーティングされたプレートに移された試料と同じ配向を保つ。列ごとにピペットチップを変える。
H.プレートに蓋をし、それをシェーカーに配置し、周囲温度で30分間(±5分)インキュベートする。
I.プレートを、個々のウェルを洗浄緩衝液で満たすことによって3〜5回洗浄する。ペーパータオルの上で過剰の液体をたたいて落とす。プレートウォッシャーにより洗浄してもよい。
J.100μLのTMB基質を、反応プレートの個々のウェルに加える。蓋をし、穏やかに混合する。周囲温度において、暗所で20±2分間インキュベートさせる。
K.100μLの停止溶液を個々のウェルに加え、反応を停止させる。プレートを穏やかに混合し、デュアル波長モジュール450nm〜650nmでMAXline Vmaxプレートリーダーを使用して吸光度を読み取る。
L.未加工のデータファイルをセーブし、4項に記載のようにデータ分析を実施する。
4.データ分析および計算
A.較正曲線:
参照標準由来の吸光度値を使用し、較正曲線を作製しなければならない。SOFTmax PRO(商標)ソフトウェアまたはMicrosoft Excelを使用して、必要な分析および計算を提供する。AAD−1 ELISAのための較正曲線を、標準およびそれらの続く吸光度(光学密度)の期待される濃度の二次回帰を使用して構築する。
B.この方程式を、下記の方程式に基づく標準曲線にもっともよい放物線に適合させる:
y=A+Bx+Cx
式中:
y=平均吸光度値(OD)
x=参照標準濃度
C.試験試料中のAAD−1の計算:
SOFTmax PRO(商標)またはMicrosoft Excelを使用して、個々の試験試料のAAD−1濃度を計算できる。予測濃度を、二次方程式における曲線の係数および光学密度(OD)測定値を使用して決定できる。回帰方程式は下記のように適合される:
【数1】

試験試料の決定されたAAD−1濃度(すなわち、単一希釈液の個別の再現)を、予測濃度×使用する希釈係数により得る。
5.分析バッチの受容基準
個々の分析バッチは、下記の有効な手順において受容基準を満たさなければならない。データがこれらの実施基準を満たせなかった場合、分析者は、結果を評価し、変動の潜在源を決定し、必要であれば分析を繰り返さなければならない。
【表7】

[1]
PTA−11251(473F185.2#18)、PTA−11252(473F225.2#7)、PTA−11253(473F274.2#36)、PTA−11254(473H46.2)およびPTA−11255(473H172.3)からなる群から選択される受託番号のもと、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)に寄託されたハイブリドーマにより産生され、アリールオキシアルカノエート・ジオキシゲナーゼ酵素(AAD−1)と特異的に結合するモノクローナル抗体。
[2]
受託番号PTA−11251(473F185.2#18)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、前記[1]に記載のモノクローナル抗体。
[3]
受託番号PTA−11252(473F225.2#7)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、前記[1]に記載のモノクローナル抗体。
[4]
受託番号PTA−11253(473F274.2#36)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、前記[1]に記載のモノクローナル抗体。
[5]
受託番号PTA−11254(473H46.2)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、前記[1]に記載のモノクローナル抗体。
[6]
受託番号PTA−11255(473H172.3)を有する前記ハイブリドーマにより産生される、前記[1]に記載のモノクローナル抗体。
[7]
前記[1]に記載のモノクローナル抗体を産生し、PTA−11251(473F185.2#18)、PTA−11252(473F225.2#7)、PTA−11253(473F274.2#36)、PTA−11254(473H46.2)およびPTA−11255(473H172.3)からなる群から選択される受託番号のもと、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)に寄託されたハイブリドーマ細胞系。
[8]
ATCC受託番号PTA−11251(473F185.2#18)のもと寄託された、前記[7]に記載のハイブリドーマ。
[9]
ATCC受託番号PTA−11252(473F225.2#7)のもと寄託された、前記[7]に記載のハイブリドーマ。
[10]
ATCC受託番号PTA−11253(473F274.2#36)のもと寄託された、前記[7]に記載のハイブリドーマ。
[11]
ATCC受託番号PTA−11254(473H46.2)のもと寄託された、前記[7]に記載のハイブリドーマ。
[12]
ATCC受託番号PTA−11255(473H172.3)のもと寄託された、前記[7]に記載のハイブリドーマ。
[13]
AAD−1酵素の存在を同定する方法であって、
a)前記[1]に記載の一次モノクローナル抗体をアッセイ表面に固定化し、その後前記アッセイ表面を洗浄するステップ、
b)前記アッセイ表面と、AAD−1を含有することが疑われる液体とを、結合に十分な期間接触させ、その後前記アッセイ表面を洗浄するステップ、
c)前記アッセイ表面と、リポーティング基にコンジュゲートされた前記[1]に記載の異なる二次抗体とを、前記コンジュゲートされた二次モノクローナル抗体との結合に十分な期間接触させ、その後前記アッセイ表面を洗浄するステップ、および
d)前記リポーティング基の存在または不在を検出するステップを含む方法。
[14]
AAD−1酵素の定量的決定のための方法であって、
a)AAD−1抗血清をアッセイ表面に固定化するステップ、
b)前記アッセイ表面と、AAD−1を含有することが疑われる液体とを、結合に十分な期間接触させ、その後前記アッセイ表面を洗浄するステップ、
c)前記アッセイ表面と、リポーティング基にコンジュゲートされた前記[1]に記載の異なる二次抗体とを、前記コンジュゲートされた二次モノクローナル抗体との結合に十分な期間接触させ、その後前記アッセイ表面を洗浄するステップ、および
d)前記リポーティング基の存在を、較正曲線との比較によって定量化するステップを含む方法。
[15]
前記コンジュゲートされたモノクローナル抗体が473F185.2#18(PTA−11251)である、前記[14]に記載の方法。
図1