(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940540
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ヤトロファ(JATROPHA)メチルエステル(JME)作製の副生成物を利用した、脂質抽出のための、油を含有するクロレラ・バリアビリス(CHLORELLAVARIABILIS)の作製のための統合プロセス
(51)【国際特許分類】
C12N 1/12 20060101AFI20160616BHJP
C12P 7/64 20060101ALI20160616BHJP
C12R 1/89 20060101ALN20160616BHJP
【FI】
C12N1/12 A
C12P7/64
C12P7/64
C12R1:89
【請求項の数】6
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2013-529771(P2013-529771)
(86)(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公表番号】特表2013-539972(P2013-539972A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】IN2011000655
(87)【国際公開番号】WO2012038978
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年8月25日
(31)【優先権主張番号】684/DEL/2010
(32)【優先日】2010年9月22日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】596020691
【氏名又は名称】カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ、プシュピト・クマー
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ、サンドヒャ・チャンドリカ・プラサド
(72)【発明者】
【氏名】ガンディー、マヘシュ・ラムニクラル
(72)【発明者】
【氏名】ウパディアイ、スメシュ・チャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ、サンジブ・クマー
(72)【発明者】
【氏名】パンチャ、イムラン
(72)【発明者】
【氏名】シュリバスタブ、アニュパマ・ビジャイクマー
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン、ディープティ
(72)【発明者】
【氏名】シェティア、ブーミ
(72)【発明者】
【氏名】マイティ、スバーナ
(72)【発明者】
【氏名】ザラ、クシュナデブシン・スクーデブシン
【審査官】
荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/042842(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/063032(WO,A1)
【文献】
飯山 賢治ら,J. Jpn. Inst. Energy,2008年,87(6),pp.438-447
【文献】
BLANC, G., et al.,The Plant Cell,2010年 9月17日,22,pp.2943-2955
【文献】
HOSHINA, R., et al.,Phycological Research,2010年,58,pp.188-201
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00− 1/12
C12P 7/00− 7/66
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヤトロファの種子全体からのヤトロファメチルエステル(JME)作製の副生成物を利用した、脂質抽出のための、油を含有するクロレラ・バリアビリスの作製のための統合プロセスであって、
i.ヤトロファの種子の4〜6%(w/w)の窒素を有する、ヤトロファメチルエステル(JME)作製の副生成物としての脱油されたかすを提供するステップと、
ii.ステップ(i)において提供された前記脱油されたかすを、熱酸性水溶液で加水分解し、続いてアルカリ性材料で5.5〜8.5の範囲内にpHを調整して、窒素に富んだヤトロファ油かす加水分解物(JOCH)を得るステップと、
iii.ヤトロファからメタノールにより得られる油のエステル交換反応、およびその後の残留メタノールの除去により得られる粗脂肪酸メチルエステルを洗浄することにより得られるJME生産物の副生成物を含む、メタノールが除去されたグリセロール層を含有する粗グリセロールを提供するステップと、
iv.ステップ(iii)において提供された、1〜5%(w/v)の前記メタノールが除去されたグリセロール層を含有する粗グリセロールを、ステップ(ii)において得られた、1〜10%(v/v)のヤトロファ油かす加水分解物に加えて、クロレラ・バリアビリスのための増殖兼作製培地を調製するステップと、
v.1〜10%(v/v)の前記クロレラ・バリアビリスの培養物を、ステップ(iv)において得られた増殖兼作製培地中に播種し、7.0〜8.0の範囲内のpHで、25〜40℃の範囲内の温度で、7〜15日間の範囲内の期間インキュベートして、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
vi.任意に、ステップ(v)の代わりの1〜10%(v/v)の前記クロレラ・バリアビリスの培養物を、ステップ(iv)において得られた増殖兼作製培地に播種し、屋外でのバイオマス作製中に、紫外線特異的色素を加えて、40℃〜50℃の範囲内の温度で、紫外線損傷から保護し、前記培養物の生存能を維持し、7.0〜8.0の範囲内のpHで、25〜40℃の範囲内の温度で、7〜15日間の範囲内の期間インキュベートして、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
vii.脂質抽出のために、ステップ(v)または(vi)において得られた前記バイオマスを日光で乾燥させるか、または前記湿ったバイオマスを直接使用するステップと、
viii.ステップ(vii)において得られたバイオマスから前記脂質を抽出するステップと
を含む統合プロセス。
【請求項2】
前記熱酸性水溶液が、H3PO4およびH2SO4からなる群から選択される酸の熱酸性水溶液である、請求項1に記載の統合プロセス。
【請求項3】
前記アルカリ性材料が、粗グリセロール層、水酸化カリウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の統合プロセス。
【請求項4】
使用する前記紫外線特異的色素が、2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)である、請求項1に記載の統合プロセス。
【請求項5】
既知の方法によって、メタノールが除去されたグリセロール層が、グリセロール層からエタノールを一掃することによって得られる、請求項1に記載の統合プロセス。
【請求項6】
ステップ(v)により得られる細胞の乾燥重量に対する脂質の収量が、20から35%の範囲内である、請求項1に記載の統合プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヤトロファの種子全体からのヤトロファメチルエステル(JME)作製の副生成物を利用した、脂質抽出のための、油を含有するクロレラ・バリアビリスの作製のための統合プロセスに関する。
【0002】
本発明は、さらに、ヤトロファメチルエステル(JME)副生成物からの、費用効果の高い形での、クロレラメチルエステル(CME)の調製のための統合プロセスに関する。
【0003】
本発明は、さらに、JMEの栄養素(C/N/P)に富んだ老廃物上での微細藻類(光合成独立栄養生物)の混合栄養増殖の代替方法に関する。
【背景技術】
【0004】
17種の緑藻植物、11種のケイ藻および5種のラン藻ならびに他の分類群を含めた、55種の微細藻類の種に関する、微細藻類の増殖速度、脂質含有量および脂質生産性についての、文献において入手可能な情報が記載されている、ジャーナル「Journal of Applied Phycology,2009,21:pp493−507」を参照してもよい。
【0005】
Tom Brutonによって作成された、Sustainable Energy Ireland;2009(www.sei.ie/algaereport)に関する報告を参照してもよい。非常に異種性の群であり、完全に調査されていない、少なくとも30,000の既知の微細藻類の種がある。膨大な数の既知の海洋および淡水の種から、一握りのみが、現在商業的に重要である。これらは、クロレラ、スピルリナおよびヘマトコッカスを含む。これらのうち、ドナリエラのみが、主に海洋種である。したがって、海洋生態系から微細藻類を調査および開拓することが必要である。
【0006】
バイオディーゼル製造プロセス後に放出されたグリセロール含有廃棄物からの、水素およびエタノールの生物学的作製が記載されている、Ito他によるジャーナル「J.Bioscience&Bioengineering,2005,100,pp260−265」を参照してもよい。生化学的活性は、廃棄物における高い塩含有量の存在のために、純粋なグリセロールの場合よりも非常に低いことが報告されている。
【0007】
連続的な光独立栄養および従属栄養増殖を促進することによる、油を作製する藻類の培養を含めた、藻類からのバイオ燃料の作製のための2段階のプロセスを記載している、「Production of biofuels using algaes」という名称の特許WO/2008/083352を参照してもよい。それらは、窒素固定ラン藻を同時に培養して、最初の段階において栄養素として窒素を提供し、その後、デンプンおよびセルロースの加水分解から得られた糖を加える。本出願の主題は、特に言及されていない。
【0008】
微細藻類、例えば、ディーゼルエンジンにおける燃焼に理想的な3〜10μmの範囲内の細胞サイズを有する、クロレラ種;電気の供給のための無修飾の定置ディーゼルエンジンとして使用される、バイオディーゼルのエマルション(エステル交換されたナタネ油)、界面活性剤およびクロレラ・ブルガリスの細胞(バイオマススラリー)からなる液体燃料が、記載されている、A.H.Scragg他によるジャーナル「Enzyme and Microbial Technology 2003,33,pp884−889」を参照してもよい。
【0009】
藻類の油の作製および有機炭素、例えば糖および有機酸が、炭素源として役立つ、従属栄養条件において培養される微細藻類の可能性を記載している、Chenによる総説(Trends Biotechnology 1996,14,421−426)を参照してもよい。
【0010】
光独立栄養的に増殖した細胞における14%のみと比較して、油としてその乾燥重量の55%も蓄積する、従属栄養的に培養されたクロレラ・プロトセコイデス(Chlorella protothecoides)(10g/lのグルコースおよび0.1g/lのグリシンを使用して)を記載している、Xiaoling Miao他による論文(Bioresource Technology 2006,97,pp841−846)を参照してもよい。この特許は、高価かつ食用の糖およびアミノ酸、例えばそれぞれグルコースおよびグリシンを利用する。
【0011】
多くのエネルギー投入量を伴う、溶解したCO
2および一定の撹拌とともに、リン、硫黄、窒素、カーボネート、多数の微量元素を含有する藻類混合栄養素における増殖および油の作製のための2段階反応器を記載している、「Photosynthetic oil production in a two−stage reactor」という名称の、Hazelbeck他による特許US0086937 A1を参照してもよい。
【0012】
5Lのバイオ発酵槽における3Lの培地における、55.2%の粗脂質含有量を有するトウモロコシ粉末の加水分解物を使用した、C.プロトテコイデスの従属栄養増殖を記載している、Han Xu他による論文(Journal of Biotechnology 2006;126,pp499−507)を参照してもよい。CPH供給を伴う、C.プロトテコイデスの高密度の従属栄養培養物が、5Lの撹拌タンクバイオ発酵槽において樹立された。バイオ発酵槽において培養された藻類細胞における脂質含有量は、46.1%であり、これは、三角フラスコにおいて(55.3%)よりも少し低かった。細胞増殖は、CPHの基質での144hの培養後、最大値(3.92gL−1)に達したが、一方で、最大値は、暗所における連続的な振とう(180rpm)および空気の流動下、28±1℃で、300mLの培地を含有する三角フラスコにおけるグルコースの基質では、3.74gL−1であった。それは、クロレラを培養するための有機炭素としてCPHを使用することが可能であったことを示した。
【0013】
クロレラ種の増殖動力学的性質および脂肪酸作製に及ぼす培地におけるグルコース、チオ硫酸ナトリウムおよびこれら2つの化合物の組合せの効果が、記載されている、Fu−Ying Feng他による論文「Process Biochemistry 2005;40;1315−1318」を参照してもよい。培地における両方の化合物の2つの異なる濃度(2.5mmolおよび5.0mmol)が、使用された。それらは、チオ硫酸ナトリウムと組み合わせたグルコースの適切な濃度は、クロレラ種細胞の脂質の蓄積を増強することができることを示唆している。
【0014】
Liang,Yanna他による論文「Biotechnology Letters 2009;7;1043−1049」を参照してもよく、これは、細胞の脂質含有量(38%)での独立栄養増殖を記載しており、脂質生産性は、アセテート、グルコース、またはグリセロールでの従属栄養増殖のそれらと比較して非常に低かった。最適な細胞増殖(2gl−1)および脂質生産性(54mg/l/day)は、1%(w/v)でグルコースを使用して達成されたが、一方、グルコースおよびグリセロールのより高い濃度は、抑制性であった。
【0015】
バイオマスおよび脂質生産性を評価するために、様々な培養様式において培養されたクロレラ種を記載している、Chih−Hung Hsieh他による論文「Bioresource Technology 2009,100(17),pp3921−3926」を参照してもよい。回分様式において、0.025〜0.200gL
−1の尿素を含有する培地において培養されたクロレラ種のバイオマス濃度および脂質含有量は、それぞれ、0.464〜2.027gL
−1および0.661〜0.326gg
−1であった。0.124gd
−1L
−1の最大脂質生産性は、0.100gL
−1の尿素を含有する培地において生じた。流加培養において、最も高い脂質含有量は、定常期段階中に、0.025gL
−1の尿素を供給することによって得られたが、脂質生産性は、著しく増加しなかった。しかしながら、半連続的なプロセスを、培養が、初期定常期を達成するたびに培養物を収穫し、0.025gL
−1で尿素を更新することによって行った。半連続的培養における0.139gd
−1L
−1の最大脂質生産性は、回分および流加培養におけるそれらと比較して、最も高かった。微細藻類、例えば、窒素およびリンの欠乏した条件下で、細胞内に脂質を蓄積するセネデスムス・オブリカス(Scenedesmus obliquus)を記載している、Mandal他による論文(Applied Microbiology Biotechnology 2009,84:281−291)を参照してもよい。脂質含有量は、N欠乏下で、乾燥細胞重量の最大43%まで著しく増加する。
【0016】
Demirbasによる論文「Energy Sources,Part A,31:163−168,2009」を参照してもよく、これは、それぞれ、29.4%の細胞乾燥重量および14.2%の細胞乾燥重量を含有する、クロレラ・プロトセコイデスおよびクラドフォラ・フラクタ(Cladophora fracta)の比較的な脂質プロファイリングを記載している。
【0017】
炭素源として、キクイモ塊茎(Helianthus tuberosus L)の加水分解物を利用した、4日スケール培養における44%cdwもの高さの脂質含有量、および約25%の炭素源から脂質への転換率で、インビボで脂質を蓄積した、クロレラ・プロトセコイデスを記載している、Cheng他による論文「Journal of chemical technology&Biotechnology 2009;84,5;pp777−781」を参照してもよい。脂質を抽出し、次いでエステル交換によってバイオディーゼルに転換した。セタン酸メチルエステル、リノール酸メチルエステルおよびオレイン酸メチルエステルは、作製されるバイオディーゼルの主要な構成要素であった。不飽和脂肪酸メチルエステルは、総バイオディーゼル含有量の82%を超える割合を構成した。
【0018】
産業および農業廃水において培養されたクロレラ・ブルガリスの脂質、脂肪酸組成物およびカロテノイド、結果は、脂質含有量が、著しい違いを提示しないことを示した、Bertoldi他による論文「Grasas Y Aceites 2006;57(3)pp270−274」を参照してもよい。クロレラ・ブルガリスの培養のための代替培地としての水耕法の排水の使用は、脂質、脂肪酸およびカロテノイド作製のための良い展望を生じる。
【0019】
Xiufeng Li他による論文「Biotechnology and Bioengineering 2007,98(4)pp764−771」を参照してもよく、これは、バイオリアクターにおけるスケールアップ発酵に焦点をおいた、従属栄養クロレラ・プロトセコイデスを記載している。基質供給および発酵プロセス調節を通して、C.プロトセコイデスの細胞密度は、それぞれ、5Lバイオリアクターにおいて15.5gL
−1、750Lバイオリアクターにおいて12.8gL
−1、および11,000Lバイオリアクターにおいて14.2gL
−1を達成した。従属栄養代謝に起因して、脂質含有量は、5L、750L、および11,000Lバイオリアクターからの試料において、それぞれ、細胞乾燥重量の46.1%、48.7%、および44.3%に達した。
【0020】
Wei他による論文「Journal of Industrial Microbiology Biotechnology DOI 10.1007/s10295−009−0624−x」を参照してもよく、これは、有機炭素源としてアミラーゼおよびグルコアミラーゼを伴う、2ステップの酵素プロセスによって製造されたキャッサバデンプン加水分解物すなわちCSHを使用した、クロレラ・プロトセコイデスの従属栄養増殖を記載しており、得られた最も高いバイオマスおよび最大総脂質収量は、15.8および4.19g/Lであり、有機炭素源としてグルコースを使用することと比較して、それぞれ、42.3および27.7%の増加を表す。
【0021】
バイオディーゼル副産物ストリームからの微細藻類のバイオマスの作製のための費用効果の高いプロセスは、開示されておらず、高価な共同栄養素(co−nutrient)および厄介な2ステッププロセスの使用をも伴うことが、従来技術から明らかとなろう。本発明は、ヤトロファの種子鞘(seed capsule)全体から出発する、メチルエステルプロセスのグリセロール副産物ストリームから生じる微細藻類のバイオマスから脂質を作製することのすべての基本的な制限を克服し、新規な、簡易化された費用効果の高いプロセスを発展させようと努める。最初にバイオマス生産性を増加させ、次いで、脂質含有量すなわち脂質生産性を改善するための流加プロセスを伴うことに加えて、プロセスにおけるいくつかの関連する改善、例えば問題のある廃棄物、特に油の機械的な排出中に生じるオイルスラッジおよびグリセロール蒸留プロセスの残留物(still bottom)の最善の利用も、本発明の部分を形成する。
【0022】
本発明の主要な目的は、種子全体からのヤトロファメチルエステル(JME)作製の副生成物を利用した、脂質抽出のための、油を含有するクロレラ・バリアビリスの作製のための統合プロセスを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、ヤトロファの乾燥果実全体から得られるヤトロファメチルエステル(JME)副生成物からの、クロレラ・バリアビリスの混合栄養増殖のための栄養培地の費用効果の高い調製のための統合プロセスを提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、脂肪酸メチルエステルを製造するための、ヤトロファメチルエステル副生成物における微細藻類(クロレラ種)の混合栄養増殖を通しての、脂質生産性の増強のための統合プロセスを提供することである。
【0025】
本発明の別の目的は、最小のエネルギー投入量およびほとんどゼロの排水放出で、微細藻類のバイオディーゼルを作製することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、費用効果の高い形で、油/脂質の微細藻類の増殖および作製のための増殖および作製培地における炭素および栄養源として、メタノールを一掃した後、粗グリセロールを利用することである。
【0027】
本発明の別の目的は、屋外での大量培養中に、紫外線特異的色素(紫外線吸収剤)を加えることによって、特にインドの夏(40℃〜50℃)において紫外線損傷からクロレラ・バリアビリスを保護し、培養物の生存能を維持することである。
【0028】
本発明の別の目的は、ヤトロファの種子から油を排出した後に得られるかす(cake)を、増殖培地におけるアミノ酸および他の栄養素の供給源として利用し、それによって複合培地、例えばZarrouk培地、M4N培地、ASNIII培地および別の糖を含有する増殖培地を不要にすることである。
【0029】
本発明の別の目的は、油かす中に存在することが明らかにされている有毒不純物、例えばホルボールエステルおよびクルシン(curcin)が、本発明のプロセスにおいて油の作製を妨害しないことを示すことである。
【0030】
本発明の別の目的は、脂肪酸の所望の品質を有する脂質の作製を実証することである。
【0031】
本発明の別の目的は、インド沿岸からの海洋クロレラ・バリアビリス単離株から、培養物を、アルカリ性の粗グリセロール層および脱油された(deoiled)ヤトロファのかす由来の加水分解物を含有する培地中に直接播種することによって、いかなる他の栄養素/微量栄養素の使用もなく、いかなる他の介入、例えば散布、pH調整、温度調節、撹拌、通気などもなく、細胞乾燥重量に対して20〜35%の収量が得られることを示すことである。
【0032】
本発明の別の目的は、最も単純かつ最も安価な形で、可能な限り最も短い時間で、かかる脂質作製を達成することである。
【発明の概要】
【0033】
したがって、本発明は、ヤトロファの乾燥果実全体からのヤトロファメチルエステル(JME)作製の副生成物を利用した、脂質抽出のための、油を含有するクロレラ・バリアビリスの作製のための統合プロセスを提供し、前記プロセスは、
i.既知の方法によって、ヤトロファの種子の4〜6%(w/w)の窒素を有する脱油されたかすを提供するステップと、
ii.ステップ(i)において提供された、脱油されたかすを、熱酸性水溶液で加水分解し、続いてアルカリ性材料で5.5〜8.5の範囲内でpHを調整して、窒素に富んだヤトロファ油かす加水分解物(JOCH)を得るステップと、
iii.既知の方法によって、海洋クロレラ・バリアビリスのための増殖兼作製培地として、メタノールが除去されたグリセロール層を含有する1〜5%(w/v)の粗グリセロール(GL7およびGL8)を提供するステップと、
iv.1〜10%(v/v)の海洋クロレラ・バリアビリスの種培養物を、ステップ(iii)において提供された増殖兼作製培地およびステップ(ii)において調製された1〜10%(v/v)のヤトロファ油かす加水分解物中に播種し、7.0〜8.0の範囲内のpHで、25〜40℃の範囲内の温度で、7〜15日間の範囲内の期間インキュベートして、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
v.任意に、1〜10%(v/v)の海洋クロレラ・バリアビリスの種培養物を、種培養物播種の第1日目に水道水とともに、最初の4〜10日間のインキュベーションでは海水のみまたは1:2で水道水で希釈した海水とともに播種し、その後第4〜第10日目後にGL7を加えて、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
vi.任意に、1〜10%(v/v)の海洋クロレラ・バリアビリスの種培養物を、種培養物播種の第1日目に水道水とともに、最初の4〜10日間のインキュベーションでは海水のみまたは1:2で水道水で希釈した海水とともに播種し、その後第4〜第10日目後にGL8を加えて、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
vii.脂質抽出のために、ステップ(iv〜vi)において得られたバイオマスを日光で乾燥させるか、または湿ったバイオマスを直接使用するステップと、
viii.既知の方法によって、ステップ(vii)において得られたバイオマスから脂質を抽出するステップと
を含む。
【0034】
本発明の態様において、使用する酸は、H
3PO
4/H
2SO
4から選択される。
【0035】
本発明のさらに別の態様において、アルカリ性材料は、粗グリセロール層、水酸化カリウムおよび水酸化マグネシウムから選択される。
【0036】
本発明のさらに別の態様において、屋外での大量中に、2,5−チオフェンジイルビス(thiophenediylbis)(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)紫外線特異的色素を加えて、特にインドの夏(40℃〜50℃)において紫外線損傷から保護し、培養物の生存能を維持する。
【0037】
本発明のさらに別の態様において、既知の方法によって、メタノールが除去されたグリセロール層が、グリセロール層からエタノールを一掃することによって得られる。
【0038】
本発明のさらに別の態様において、細胞乾燥重量に対する脂質の収量は、20から35%の範囲内であった。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】クロレラ・バリアビリスの安定化(settling)に及ぼすpHの効果およびクロレラのスケールアッププロセシングを表す図。本発明の統合された図式も、
図1において示す。
【
図2】クロレラ脂肪酸メチルエステルのGCMSを示す図。
【0040】
光合成の生化学的プロセスは、藻類に、その養分を構築するために必要な照射を捕捉するためのアンテナとしての葉緑素を通して、太陽エネルギーを化学エネルギーに転換するための能力を提供する。細胞増殖の間、この化学エネルギーは、合成反応、例えば糖の形成またはタンパク質合成のための窒素のアミノ酸中への固定を駆動するために使用される。過剰な化学エネルギーは、トリグリセリドとして脂肪および油の形で貯蔵される。したがって、細胞増殖およびトリグリセリド作製は、同じ化学エネルギーを求めて競合することを認めることができる。結果として、増殖および油作製の同時に起こる速度は、逆相関している。
【0041】
本発明は、ヤトロファの乾燥果実全体から得られるヤトロファメチルエステル(バイオディーゼル)副生成物からの、クロレラ・バリアビリスの混合栄養増殖のための栄養培地の費用効果の高い調製のための統合プロセスを提供し、前記プロセスは、
a.日光で乾燥された果実の殻を機械的に取り(deshell)、殻および種子を別々に回収するステップと、
b.既知の技法によって、油を種子から機械的に排出し;脱油されたかすは、従来技術[(Ghosh他 米国付与前公開(pre-grant publication)番号は、2006/0080891 A1である)(2009年9月7日付けの1838/DEL/2009)]において得られるステップと、
c.上記の(b)において生じた廃油の少量を、種子の殻のブリケッティングのための結合剤として利用するステップと、
d.上記の(b)において得られた脱油されたかすの一部を、酸で処置して、かすを加水分解し、窒素に富んだ加水分解物を得るステップと、
e.メタノールが除去されたグリセロール層のより大きい部分を、海洋クロレラ・バリアビリスのための脂質作製培地として、残りの残渣を、海洋細菌MTCC5345を通しての生分解性ポリマーすなわちポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の作製(2009年9月7日付けの出願された特許1838/DEL/2009においてのように)のために利用するステップと、
f.1〜10%(v/v)の海洋クロレラ・バリアビリスの種培養物を、ステップ(l)の1〜5%(w/v)の粗グリセロールおよびステップ(d)において調製された1〜10%(v/v)のヤトロファ油かす加水分解物を含有する増殖兼作製培地中に播種し、7.0〜8.0のpHで、25〜40℃の範囲内の温度で、(7〜15日間)の範囲内の期間インキュベートするステップと、
g.1〜10%(v/v)の海洋クロレラ種を、脂質作製のために、種培養物播種の第1日目には水道水、最初(4〜10日間)のインキュベーションでは海水のみおよび1:2で水道水で希釈した海水とともに、上記のヤトロファ油かす加水分解物に播種し、その後第4〜第10日目後にGL7を加えるステップと、
h.1〜10%(v/v)の海洋クロレラ種を、脂質作製のために、種培養物播種の第1日目には水道水、最初(4〜10日間)のインキュベーションでは海水のみおよび1:2で水道水で希釈した海水とともに上記のヤトロファ油かす加水分解物に播種し、その後第4〜第10日目後にGL8を加えるステップと、
i.脂質抽出およびバイオディーゼルの製造のために、バイオマスを日光で乾燥させるか、または湿ったバイオマスを直接使用するステップと
を含む。
【0042】
ステップ(d)において得られた加水分解物を、4〜6%(w/w)の窒素を有するヤトロファ油かすを、H
3PO
4/H
2SO
4の熱酸性水溶液で処置し、その後pHをアルカリ性材料、例えば粗グリセロール層、水酸化カリウムおよび水酸化マグネシウムで5.5〜8.5に調整することによって抽出し、従来技術の生物転換プロセスを遅延させる問題のある電解質の代わりに、緩衝作用を有し、加水分解物の栄養価に寄与する塩を得た。
【0043】
メタノールは、米国付与前公開番号が、2006年4月20日付けの2006/0080891 A1である、「An improved process for the preparation of fatty acid methyl ester(Biodiesel) from triglycerides oil through transesterification」という名称のGhosh他 米国特許において記載されているプロセスにおいて、グリセロール層から一掃され;成功したサイクルの後に残された残渣は、別の蒸留可能な溶媒/生成物の観点では価値を有さない固体および自由液体から主になり、栄養素の良い供給源とみなされる。
【0044】
ステップ(d〜i)の微細藻類の転換プロセスによる作製を、海洋クロレラ・バリアビリス単離株で行い、細胞乾燥重量に対する脂質収量は、(20〜35%)の範囲内にあった。
【0045】
上記のステップは、いろいろな微細藻類種に同等に適用してもよい。
【0046】
微細藻類を、Zarrouk培地において増殖させ、その後、1〜5%のグリセロールの残留物および他の必須栄養素を含有する作製培地中に播種し、内容物を、静置周囲条件下で、7〜15日間インキュベートさせておいた。
【0047】
微細藻類を、海水、水道水、1:2割合での海水および水道水、1〜5%(w/v)のGL8および他の必須栄養素において増殖させ、内容物を、静置および撹拌条件(100〜300rpm)下で、7〜15日間インキュベートさせておいた。
【0048】
微細藻類を、海水のみ、水道水のみ、および海水:水道水が1:2の組合せ、1〜5%(w/v)のグリセロールの残留物(GL7およびGL8別々に)および他の必須栄養素において増殖させ、内容物を、静置周囲条件下で、7〜15日間インキュベートさせておいた。
【0049】
微細藻類を、他の微量栄養素とともに、海水、水道水および海水:水道水が1:2、1〜10%(w/v)のJOCHにおいて、静置条件下で、7〜15日間増殖させた。
【0050】
微細藻類を、他の微量栄養素とともに、海水、水道水、および海水:水道水が1:2、1〜5%(w/v)のGL7において、静置条件下で、7〜15日間増殖させた。
【0051】
微細藻類を、他の微量栄養素とともに、海水、水道水および海水:水道水が1:2、1〜5%(w/v)のGL8において、静置条件下で、7〜15日間増殖させた。
【0052】
微細藻類を、他の必須栄養素とともに、海水、水道水および海水および水道水の1:2割合撹拌機における、ヤトロファの脱油されたかすの加水分解物(JOCH)1〜10%およびグリセロールの残留物1〜5%w/vの混合物とともに、海水、水道水、および海水:水道水が1:2において増殖させ、内容物を、静置周囲条件下で、7〜15日間インキュベートさせておいた。
【0053】
微細藻類を、最初は1〜10%(v/v)のヤトロファ油かす加水分解物(JOCH)とともに、その後、第4および第10日目後にGL7を加えて、海水、水道水および海水:水道水が1:2において、静置条件下で、15日間増殖させた。
【0054】
脂質を、既知の方法によって、抽出した。(参照Bligh,E.G. and Dyer,W.J.1959.A rapid method for total lipid extraction and purification.Can.J.Biochem.Physiol.37:911−917.)脂肪酸プロフィールは、バイオディーゼルを製造することにおける脂質の適用性を示している。
【0055】
本発明の目標は、ヤトロファメチルエステル副産物を利用した、微細藻類のバイオマスの作製のための統合プロセスを開発することである。脱油されたヤトロファのかすおよび粗グリセロール層に関して、その効果的な使用における可能な限りの単純化の最も高いレベルは何かに関する疑問が生じる。本発明において開示するように、グリセロール層における過剰なメタノールを、単純な手段によって除去することができる場合、集団の残りを、単純かつ費用効果の高い手段による、微細藻類における脂質の調製のために直接利用することができる。いったんメタノールを、従来技術(Ghosh他、米国付与前公開番号は、2006/0080891 A1である)(2009年9月7日付けの1838/DEL/2009)におけるように、一掃すると、グリセロール層は、本発明の過程で単離された海洋クロレラ培養物による、脂質の効率的および費用効果の高い作製のための栄養素の優れた供給源であることが実証される。熱リン酸/硫酸での反応抽出を通して得られたヤトロファの脱油されたかすから作製された加水分解物は、粗グリセロールの理想的な相補的なパートナーであることが示され、2つは同時に、周囲条件下での、海洋クロレラ培養物による脂質作製のために必要な栄養素を提供する。2つは、共に、互いにある程度中和するのにも役立ち(酸−塩基)、それによって、中和の費用を下げる。いくつかの追加の発明、例えば、標準的な2段階操作プロセスを単一ステップに合併すること、炭素および窒素に加えて、必須のリン酸緩衝液および必須元素を、加水分解物およびグリセロール層から得ることによって、すべての栄養素/微量栄養素を全体で不要にすることがある。分散した操作において、かかる植物が圃場の近傍に設定されることになり、収穫可能なバイオマスの回収後の上清を、微細藻類の大量培養(屋外で)における再利用に加えて、土壌滴下施肥法(soil fertigation)のために田畑中に直接放出することができるか、または葉面散布剤(foliar spray)として使用することさえできる。
【0056】
グリセロール回収後に残っている残留物は、海洋微細藻類の培養物による脂質作製のための同等に有効な栄養素および促進因子であり、作製の効率は、純粋なグリセロールの場合よりほぼ2倍高いことが、さらに実証される。したがって、問題のある廃棄物は、栄養素の理想的な供給源であることがわかる。
【0057】
まとめると、これらの発明のすべては、副産物ストリームの利益のある利用化で、ヤトロファ・クルカス(Jatropha curcas)の日光で乾燥された種子鞘全体からのメチルエステルの作製の改善された統合プロセスをもたらす。
【0058】
本発明において使用する株は、インドの西海岸(北緯20°41.341’〜東経70°53.734’に位置する)から単離された。
【0059】
クロレラ・バリアビリスである、本発明において使用する生物学的材料の寄託は、ブダペスト条約の規定に従って、ATCC、USAで行った。
【0060】
しかしながら、本日までに、本出願人は、それに関して寄託番号を得ることができなかった。株の寄託番号は、本出願人が、ATCC、USAからそれを得たらすぐに、供給することになる。
【0061】
本発明の目的で使用するクロレラ種は、すでに報告されたクロレラ株との98%の類似性を有する。本発明において使用する株クロレラ・バリアビリスを、ATCC参照番号50258(NC64A)ですでに入手可能であるクロレラ・バリアビリス株と互換的に使用することができることが観察された。
【0062】
(i)微細藻類の光独立栄養的な増殖下より有利である、混合栄養の形で、脂質を残留物から作製することを可能にする頑強な海洋微細藻類を単離し、それによって問題のある廃棄物を、脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル)を製造するための有用な原材料である脂質に転換すること。
【0063】
(ii)微細藻類のスクリーニングのプロセスを通して、細胞乾燥重量に対する脂質(20〜40%)の作製をもたらすプロセスにおける唯一の栄養素として、ヤトロファの脱油されたかすの加水分解物と一緒に、粗グリセロール層のより大きい体積を直接的に効率的に利用する、有力な単離株を同定すること。さらに、脂質作製の従来のプロセスにおいて別々に行われる増殖および作製のステップを、単一の操作に組み合わせ、それによってプロセスを単純化すること。また、30〜45℃を超える温度変化に対するプロセスの耐性を実証した後、温度調節の必要性を不要にすること。
【0064】
(iii)微細藻類のプロセスにおいて使用する脱油されたかすの加水分解物を調製することにおいて、リン酸を使用することおよびその後酸抽出物を、結果として生じる塩が、脂質生産性を妨げる代わりに、それを支持するように、アルカリ性のグリセロール層自体−および必要に応じて追加のKOH/Mg(OH)
2−で中和することが有利であることを認めること。
【0065】
(iv)微細藻類を、最初は1〜10%(v/v)のヤトロファ油かす加水分解物(JOCH)とともに、その後、第4および第10日目後にGL7を加えて、海水、水道水および海水:水道水が1:2において、静置条件下で、15日間増殖させる。
【0066】
(v)微細藻類の残りのバイオマス、これは、機械的な排出のプロセス中に必然的に生じ、処分の問題を引き起こすのだが、これの少量を、水飼料/家禽飼料/畜牛飼料において、または従来技術(Ghosh他、米国付与前公開番号は、2006/0080891 A1である)(2009年9月7日付けの1838/DEL/2009)においてのように、空の殻からより密度が高くより強いブリケットを作製するために利用すること。
【0067】
微細藻類を通してのヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣からの脂質
【表A】
【表B-1】
【表B-2】
【表B-3】
【表B-4】
【実施例】
【0068】
以下の例は、例示のために示し、したがって、本発明の範囲を制限すると解釈すべきではない。
【0069】
例1
クロレラ種が、最も効率的な藻類の1つであることを発見し、本発明において使用した。1リットルの蒸留水に溶解された、16.8グラムの重炭酸ナトリウム、0.5gのリン酸水素二カリウム、2.5グラムの硝酸ナトリウム、0.2gの硫酸マグネシウム、1.0グラムの塩化ナトリウム、0.01グラムの硫酸第一鉄、1.0gの硫酸カリウム、0.04グラムの塩化カルシウムおよび0.08gのEDTAを含む、200mlのZarrouk培地を、調製した。次いで、培地を、121℃で20分間オートクレーブした。培地に、20%のクロレラ培養物(540nmでOD1.4〜1.6)を、播種する。フラスコを、静置条件で、30℃で維持した。培養物の光学濃度を、3日間の一定間隔でモニターした。21日後、細胞を、遠心分離することによって収穫し、得られたペレットを60℃で炉乾燥して、0.13gおよび16.22%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有する、0.801gの細胞乾燥重量を得た。
【0070】
例2
クロレラ・バリアビリスを、静置条件で、光インキュベーション(light incubation)下で、200mlの海水において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉(60℃)において16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.347gであり、0.0506グラム、および14.58%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0071】
例3
クロレラ・バリアビリスを、静置条件で、暗所下で、海水において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、28℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.217gであり、0.0312g、および14.37%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0072】
例4
クロレラ・バリアビリスを、1%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、撹拌条件で、海水において増殖させ、12:12hの暗:明周期を有する白色蛍光管によって提供される60μEm
−2s
−1の光強度下でインキュベートさせた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水によって2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させた集団から、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。クロレラ種の乾燥されたバイオマス0.367gから、0.054gの脂質含有量、すなわち14.71%の細胞乾燥重量。
【0073】
例5
クロレラ・バリアビリスを、2%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、撹拌条件で、海水において増殖させ、12:12hの暗:明周期を有する白色蛍光管によって提供される60μEm
−2s
−1の光強度下でインキュベートさせた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、27℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水によって2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させた集団から、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。クロレラ種の乾燥されたバイオマス0.420gから、0.077gの脂質含有量、すなわち18.33%の細胞乾燥重量。
【0074】
例6
クロレラ・バリアビリスを、1%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、撹拌条件で、光インキュベーション下で、希釈した海水(水道水において1:2)において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、26℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.387gであり、0.087mg、および22.48%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0075】
例7
クロレラ・バリアビリスを、2%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、撹拌条件で、光インキュベーション下で、希釈した海水(水道水において1:2)において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.453gであり、0.097g、および21.41%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0076】
例8
クロレラ・バリアビリスを、1%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、静置条件で、光インキュベーション下で、海水において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.447gであり、0.085g、および19.01%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0077】
例9
クロレラ・バリアビリスを、2%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、静置条件で、光インキュベーション下で、海水において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において、60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.407gであり、0.074g、および18.18%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0078】
例10
クロレラ・バリアビリスを、1%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、静置条件で、光インキュベーション下で、希釈した海水(水道水において1:2)において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.463gであり、0.125g、および26.99%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0079】
例11
クロレラ・バリアビリスを、2%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、静置条件で、光インキュベーション下で、希釈した海水(水道水において1:2)において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.487gであり、0.163g、および33.47%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0080】
例12
クロレラ・バリアビリスを、1%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、静置条件で、暗所インキュベーション下で、希釈した海水(水道水において1:2)において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.398gであり、0.0863g、および21.68%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0081】
例13
クロレラ・バリアビリスを、2%のヤトロファバイオディーゼル廃棄物残渣(GL8/BWR3)とともに、静置条件で、暗所インキュベーション下で、希釈した海水(水道水において1:2)において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉において60℃で終夜乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、0.378mgであり、0.0839g、および22.19%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0082】
例14
使用済みのグリセロール層、GL7を、脂質の微細藻類の作製のための栄養源として利用した。GL7を、微細藻類クロレラにおける脂質の蓄積のために直接利用した。4〜6%(w/w)のNを有するヤトロファ油かすを、H
3PO
4/H
2SO
4の熱酸性水溶液で処置し、その後pHを、アルカリ性材料、例えば粗グリセロール層、水酸化カリウムおよび水酸化マグネシウムで適切に調節することによって、ヤトロファ油かす加水分解物(JOCH)を抽出して、緩衝作用を有し、また加水分解物の栄養価に寄与する塩を得た。単離された微細藻類クロレラ・バリアビリスを、GL−7およびJOCHを使用して、増殖および作製のための細胞内の脂質の蓄積のために使用した。
【0083】
例15
クロレラ・バリアビリスを、水道水とともに、1%のJOCH、2%のJOCH、5%のJOCHおよび10%のJOCHとともに増殖させて、光のある静置条件下で、クロレラ・バリアビリスの細胞を増殖させた。増殖速度を、最大21日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。21日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水によって2回洗浄し、炉(60℃)において16時間乾燥させた。脂質を、重さを量った乾燥させた集団から、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。1%のJOCHにおいて、最も高いバイオマスが得られたが、脂質含有量の%はより少ない。
【0084】
この例は、バイオマス作製のために1%のJOCHが有用であり、これは、バイオマス作製に使用することができるが、脂質の作製には使用できないことを教示している。脂質蓄積のために、バイオマスの増強後、脂質蓄積を達成することができる。
【表1】
【0085】
例16
クロレラ・バリアビリスを、水道水とともに、1%のGL7、2%のGL7、5%のGL7とともに増殖させて、光のある静置条件で、クロレラ・バリアビリスの細胞を増殖させた。増殖速度を、最大21日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。21日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水によって2回洗浄し、炉(60℃)において16時間乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。2%のGL7において、最も高いバイオマスが得られたが、脂質含有量の%はより少ない。
【表2】
【0086】
例17
クロレラ・バリアビリスを、水道水における2%のGL7とともに、2%、5%、10%のJOCHの組合せとともに増殖させて、光のある静置条件で、クロレラ・バリアビリスの細胞を増殖させた。増殖速度を、最大21日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。21日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水で2回洗浄し、炉(60℃)において16時間乾燥させた。脂質を、重さを量った乾燥させた集団から、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。2%のGL7および10%のJOCHにおいて、最も高いバイオマス3.1グラムが、22.58%(0.7グラム)の脂質含有量で得られた。
【表3】
【0087】
例18
クロレラ・バリアビリスを、200mlの培地におけるGL7およびJOCHの異なる濃度とともに、静置条件で、光インキュベーションで、海水において増殖させた。増殖速度を、最大21日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。1つのセットにおいて、JOCHを最初に加え(0日)、GL−7を増殖の10日後に加え、バイオマスおよび脂質組成変化を観察する。21日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水によって2回洗浄し、炉において16時間乾燥させた。脂質を、重さを量った乾燥させた集団から、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。クロレラのバイオマスおよび脂質含有量は、海水における1%のJOCH(0日)および第10日目に加えるGL7を含有する培地において最大であることがわかった。
【表4】
【0088】
例19
0.33%の濃度で使用する2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)クラスの色素を通しての、紫外線損傷からの、クロレラ・バリアビリスの保護を、紫外線光の供給源から10cmおよび50cmの距離で維持した50mlの培養物を、層流の紫外線ランプ(30W)下で12時間暴露することによって、研究室条件下で試験した。細胞損傷を、紫外線可視分光光度計(540nmでのOD)および紫外線蛍光試験(540nmでの励起)を通して、定量的に決定した;クロレラの乾燥細胞集団および脂質含有量に及ぼす紫外線の効果を試験し、以下の結果が明らかになった。
【表5】
【0089】
例20
0.33%の濃度で使用する2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)クラスの色素を通しての、紫外線損傷からの、クロレラ・バリアビリスの保護を、特にGujaratにおける、インドの夏条件のピーク期間中に、テラスでの屋外培養下で、以下の照射データ(表xy an)とともに試験した。100mlの培養物を2日間直射日光下に暴露した。総紫外線照射を、1日を通して、Eppley TUVR(図に示すように)を使用して、wm−
2において測定した。細胞損傷を、紫外線可視分光光度計(540nmでのOD)および紫外線蛍光試験(540nmでの励起)を通して、定量的に決定した。
【表6】
【0090】
屋外実験は、クロレラバイオマスおよび脂質に及ぼす紫外線照射の効果を示している。
【0091】
例21
クロレラ・バリアビリスを、200mlの培地とともに、バイオディーゼル副生成物(BWR6およびJOCH)の異なる濃度とともに、静置条件で、光インキュベーションで、海水において増殖させた。増殖速度を、最大18日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。JOCHを最初に加え(0日)、BWR−6を増殖の10日後に加え、バイオマスおよび脂質組成変化を観察する。18日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水によって2回洗浄し、炉において16時間乾燥させた。脂質を、重さを量った乾燥させた集団から、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。
【表7】
【0092】
例22
クロレラ・バリアビリスを、200mlの培地とともに、バイオディーゼル副生成物(BWR6およびJOCH)の異なる濃度とともに、静置条件で、光インキュベーションで、海水において増殖させた。増殖速度を、最大10日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。JOCHを最初に加え(0日)、BWR−6を増殖の04日後に加え、バイオマスおよび脂質組成変化を観察する。10日後;細胞集団を、11,000rpmで、30℃、10分間の遠心分離によって収穫し、細胞ペレットを蒸留水によって2回洗浄し、炉において16時間乾燥させた。脂質を、重さを量った乾燥させた集団から、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。
【表8】
【0093】
例23
クロレラ・バリアビリスを、540nmでの0.6ODの10%の接種物とともに、覆いのないプラスチックタンク(l×b×h 1.47m×0.74m.0.22m)における100リットルの培地において、希釈したZarrouk培地(水道水において1:2)において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、H
3PO
4を使用して、pH調整pH4.5によって安定させ、その後、脱水した細胞を日光で乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、100リットルにおいて401.21グラムであり、97.29グラムすなわち24.25%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0094】
例24
クロレラ・バリアビリスを、540nmでの0.6ODの10%の接種物とともに、覆いのないプラスチックタンク(l×b×h 1.47m×0.74m.0.22m)における100リットルの培地において、水道水における2%のBWR−3において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、H
3PO
4を使用して、pH調整pH4.5によって安定させ、その後、脱水した細胞を日光で乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、100リットルにおいて380.12グラムであり、90.53グラムすなわち23.81%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【0095】
例25
クロレラ・バリアビリスを、540nmでの0.6ODの10%の接種物とともに、覆いのないプラスチックタンク(l×b×h 1.47m×0.74m.0.22m)における100リットルの培地において、海水:水道水(1:2)における2%のBWR−3において増殖させた。増殖速度を、最大16日間分光光度的に(540nmでのOD)測定した。16日後;細胞集団を、H
3PO
4を使用して、pH調整pH4.5によって安定させ、その後、脱水した細胞を日光で乾燥させた。脂質を、乾燥させたバイオマスから、クロロホルム:メタノール(2:1)を使用して抽出し、溶媒の蒸発後、総脂質を得た。得られたバイオマスは、100リットルにおいて440.01グラムであり、150.61グラムすなわち34.23%の細胞乾燥重量の脂質含有量を有していた。
【表9】
【0096】
1.効率的かつ費用効果の高い形での、微細藻類の混合栄養増殖および脂質への転換のための、ヤトロファメチルエステルの同時ストリーム(co−stream)の利用。
【0097】
2.色素を加えることによる、紫外線損傷からの、クロレラ・バリアビリスの大量培養物の保護およびバイオマス生産性を維持すること。
【0098】
3.どちらもヤトロファバイオディーゼルのプロセス中に副生成物として得られた、最初に海水+水道水(1:2)におけるJOCHとともに、数日後、粗グリセロールとともに、微細藻類の培養物を増殖させる流加システムを有することによる、収量および全体的な脂質生産性における改善。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
ヤトロファの種子全体からのヤトロファメチルエステル(JME)作製の副生成物を利用した、脂質抽出のための、油を含有するクロレラ・バリアビリスの作製のための統合プロセスであって、
i.既知の方法によって、ヤトロファの種子の4〜6%(w/w)の窒素を有する、ヤトロファメチルエステル(JME)作製の副生成物としての脱油されたかすを提供するステップと、
ii.ステップ(i)において提供された前記脱油されたかすを、熱酸性水溶液で加水分解し、続いてアルカリ性材料で5.5〜8.5の範囲内にpHを調整して、窒素に富んだヤトロファ油かす加水分解物(JOCH)を得るステップと、
iii.既知の方法によって、メタノールが除去されたグリセロール層を含有する粗グリセロール(GL7およびGL8)を提供するステップと、
iv.ステップ(iii)において提供された、1〜5%(w/v)の前記メタノールが除去されたグリセロール層を含有する粗グリセロール(GL7およびGL8)を、ステップ(ii)において得られた、1〜10%(v/v)のヤトロファ油かす加水分解物に加えて、クロレラ・バリアビリスのための増殖兼作製培地を調製するステップと、
v.1〜10%(v/v)の前記クロレラ・バリアビリスの種培養物を、ステップ(iv)において得られた増殖兼作製培地中に播種し、7.0〜8.0の範囲内のpHで、25〜40℃の範囲内の温度で、7〜15日間の範囲内の期間インキュベートして、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
vi.または代わりに、1〜10%(v/v)の前記クロレラ・バリアビリスの種培養物を、種培養物播種の第1日目に水道水とともに、最初の4〜10日間のインキュベーションでは海水のみまたは1:2で水道水で希釈した海水とともに、播種し、その後第4〜第10日目後にGL7を加えて、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
vii.または代わりに、1〜10%(v/v)の前記クロレラ・バリアビリスの種培養物を、種培養物播種の第1日目に水道水とともに、最初の4〜10日間のインキュベーションでは海水のみまたは1:2で水道水で希釈した海水とともに播種し、その後第4〜第10日目後にGL8を加えて、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
viii.任意に、1〜10%(v/v)の前記クロレラ・バリアビリスの種培養物を、ステップ(iii)において得られた増殖兼作製培地中に播種し、屋外でのバイオマス作製中に、紫外線特異的色素を加えて、40℃〜50°の範囲内の温度で、紫外線損傷から保護し、前記培養物の生存能を維持し、7.0〜8.0の範囲内のpHで、25〜40℃の範囲内の温度で、7〜15日間の範囲内の期間インキュベートして、脂質を含有するバイオマスを得るステップと、
ix.脂質抽出のために、ステップ(iv〜vii)において得られた前記バイオマスを日光で乾燥させるか、または前記湿ったバイオマスを直接使用するステップと、
x.既知の方法によって、ステップ(viii)において得られたバイオマスから前記脂質を抽出するステップと
を含む統合プロセス。
[2]
使用する酸が、H3PO4およびH2SO4からなる群から選択される、[1]に記載の統合プロセス。
[3]
前記アルカリ性材料が、粗グリセロール層、水酸化カリウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択される、[1]に記載の統合プロセス。
[4]
使用する前記紫外線色素が、2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)である、[1]に記載の統合プロセス。
[5]
既知の方法によって、メタノールが除去されたグリセロール層が、グリセロール層からエタノールを一掃することによって得られる、[1]に記載の統合プロセス。
[6]
細胞乾燥重量に対する脂質の収量が、20から35%の範囲内である、[1]に記載の統合プロセス。