特許第5940563号(P5940563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5940563被覆層を有する金属裏打ちの印刷ブランケット
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  • 特許5940563-被覆層を有する金属裏打ちの印刷ブランケット 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940563
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】被覆層を有する金属裏打ちの印刷ブランケット
(51)【国際特許分類】
   B41N 10/04 20060101AFI20160616BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   B41N10/04
   B32B15/08
【請求項の数】5
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-558329(P2013-558329)
(86)(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公表番号】特表2014-508061(P2014-508061A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】EP2012050764
(87)【国際公開番号】WO2012123146
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2014年9月1日
(31)【優先権主張番号】102011001317.2
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501158848
【氏名又は名称】コンテイテヒ・エラストマー−ベシヒトウンゲン・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】レーダー・デトレフ
(72)【発明者】
【氏名】フュルグラーフ・シュテファン
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−532723(JP,A)
【文献】 特開平03−133695(JP,A)
【文献】 特開2010−030289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41N 10/04
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 印刷層(4)と、
− 金属箔(10)と、
− 前記印刷層(4)の反対側にある前記金属箔(10)の表面に接着層(12)を介して結合される被覆層(14)とを備える金属裏打ちの印刷ブランケット(2)において、
前記被覆層(14)が不織布を含み、
前記接着層(12)が複数の領域で被覆層(14)に浸透し、前記被覆層(14)の厚さの50%〜90%に浸透することを特徴とする金属裏打ちの印刷ブランケット(2)。
【請求項2】
前記被覆層(14)が合成不織布であることを特徴とする、請求項に記載の金属裏打ちの印刷ブランケット(2)。
【請求項3】
前記接着層(12)がホットメルト接着剤として構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属裏打ちの印刷ブランケット(2)。
【請求項4】
金属裏打ちの印刷ブランケット(2)が、
− 印刷層(4)と、
− 金属箔(10)と、
− 前記印刷層(4)の反対側にある前記金属箔(10)の表面に接着層(12)を介して結合される被覆層(14)とを備える、金属裏打ちの印刷ブランケット(2)を製造するための方法において、
− 前記金属箔(10)が、前記印刷層(4)の反対側にある側面において前記接着層(12)で被覆されることと、
− 不織布から製造された被覆層(14)が前記接着層(12)に設けられ、前記被覆層(14)が前記接着層(12)の厚さの少なくとも2倍であることと、
− 前記接着層(12)が活性化され、前記接着層(12)が複数の領域で前記被覆層(14)に前記被覆層(14)の厚さの50%〜90%浸透して、前記被覆層(14)を前記金属箔(10)に結合することとを特徴とする方法。
【請求項5】
前記接着層(12)がホットメルト接着剤として構成されることを特徴とする、請求項に記載の金属裏打ちの印刷ブランケット(2)を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の層、すなわち、
− 印刷層と、
− 金属箔と、
− 印刷層の反対側にある金属箔の表面に接着層を介して結合される被覆層とを備える金属裏打ちの印刷ブランケットに関する。
さらに、本発明は、このタイプの金属裏打ちの印刷ブランケットを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の種類の印刷ブランケットは、例えば独国実用新案第21200800045U1号明細書から公知である。前記文献から公知の金属裏打ちの印刷ブランケットでは、被覆層は、ホットメルト接着剤によって金属箔に接着接合されるプラスチックフィルムを含む。印刷ブランケットは、公知の方法で金属箔の突出部によって印刷するための圧胴に固定される。印刷工程中、印刷ブランケットの印刷層は、洗浄目的のための洗浄剤によって洗浄される。ここで、洗浄剤が金属箔と圧胴との間に入ることがある。洗浄剤はその後、金属箔とプラスチックフィルムとの間に部分的に押圧され、後の印刷工程中の圧胴の回転の結果、印刷ブランケットの周縁方向に分配される。ひいては、ホットメルト接着剤が局所的に引き離され、プラスチックフィルムが前記領域の金属箔から引き離される可能性がある。これにより、印刷ブランケットの膨潤及び前記領域において印刷された画像の損傷がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、接着層の引き離しの危険性が低い金属裏打ち印刷を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、請求項1に記載の特徴に従って被覆層が不織布を含むことによって達成される。本発明の利点は、不織布としての被覆層の構造のため、液体洗浄剤を金属箔と圧胴との間に均一に分配することができることに見られる。ここで、不織布は開気孔であるので、洗浄剤は不織布によって吸収される。したがって、洗浄剤は接着層を引き離すことができない。さらに、金属箔からの被覆層の分離をもたらす金属箔と圧胴との間の局所的な圧力増加は、洗浄剤のため生じることができない。本発明のさらなる利点は、不織布の形態の被覆層が、低い曲げ剛性を有し、したがって、印刷ブランケットを圧胴に簡単に取り付けることができることに見られる。
【0005】
請求項2に記載の本発明の一展開形態によれば、接着層は複数の領域ので被覆層に浸透し、このことは、不織布としての被覆層の構造のため、容易に可能である。この展開形態の利点は、接着層による浸透の結果、被覆層が接着結合のため接着層にぴったりと結合されることに見られる。この結果、印刷ブランケットの金属箔に対する被覆層の取り付けが確実に特に長持ちするようになる。
【0006】
請求項3に記載の本発明の一展開形態によれば、接着層は、被覆層の厚さの50%〜90%に浸透する。この展開形態の利点は、この種類の浸透の場合、金属箔への被覆層の取り付けが特に確実に達成されることに見られる。本展開形態のさらなる利点は、不織布から製造された被覆層は、浸透領域に圧縮性をまったく又はほとんど有せず、このことは、前記領域における印刷ブランケットの安定性の増大をもたらすことに見られる。にもかかわらず、不織布から製造された被覆層は、不織布が接着層によって完全に浸透されないので、水分を吸収し続けることができる。
【0007】
被覆層の構造のために、任意の所望の不織布、例えば紙を選択することができる。しかし、請求項4に記載の本発明の一展開形態によれば、被覆層は好ましくは合成不織布である。この展開形態の利点は、合成の不織布が水分を吸収する間に膨潤しないか又はほんの僅かのみ膨潤し、したがって、水分を吸収する間に印刷ブランケットの厚さの変化が生じないことに見られる。本展開形態のさらなる利点は、合成不織布が長期にわたって高い耐久性を有することに見られる。
【0008】
本発明によれば、被覆層を金属箔に取り付けるために適切なすべての接着剤を接着層のために選択することができる。物理的接合及び化学的接合の両方の接着剤が、このために適切であり得る。しかし、請求項5に記載の本発明の一展開形態によれば、接着層は、ホットメルト接着剤として構成されることが好ましい。この展開形態の利点は、不織布から製造された被覆層は、ホットメルト接着剤を用いて特に簡単にかつ確実に金属箔に結合することができることに見られる。このことは、ホットメルト接着剤が金属の接着接合及びプラスチックの接着接合の両方のために特に適切であるので、特に、被覆層が合成不織布から構成される場合に当てはまる。最後に、本展開形態のさらなる利点は、ホットメルト接着剤が印刷ブランケットの製造中に圧力と熱によって軟化され、工程において被覆層の不織布内に特に十分に浸透することができることに見られる。接着接合の結合に加えて、したがって、接着層と被覆層との間のぴったりした結合がさらに生じる。
【0009】
別の独立請求項6に記載されているように、上記目的は、冒頭に述べた種類の金属裏打ちの印刷ブランケットを製造するための方法によっても達成される。この方法は、
− 金属箔が、印刷層の反対側にある側面において接着層で被覆されることと、
− 不織布から製造された被覆層が接着層に設けられ、被覆層が接着層の厚さの少なくとも2倍であることと、
− 接着層が活性化され、接着層が領域の被覆層に浸透して、被覆層を金属箔に結合することと
を特徴とする。
【0010】
被覆層は少なくとも接着層の2倍の厚さであるので、接着層は、金属裏打ちの印刷ブランケットの製造中に複数の領域でのみ被覆層に浸透する。領域における浸透は、第一に、被覆層が金属箔に確実に結合されることを保証する。第二に、被覆層の部分が接着層によって完全に浸透されないことによって、十分に大きい領域が水分を吸収するために被覆層に留まることを保証する。
【0011】
請求項7に記載の本発明の一展開形態によれば、ホットメルト接着剤は上述の方法で使用されることが好ましい。すでに上に言及した利点はこのようにして達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】印刷層4、織布層6、圧縮可能層8、金属箔10、接着層12及び被覆層14を有する金属裏打ちの印刷ブランケット2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の例示的な一実施形態及びさらなる利点について、金属裏打ちの印刷ブランケットの断面図を示す以下の図に関連して説明する。
【0014】
図は、印刷層4、織布層6、圧縮可能層8、金属箔10、接着層12及び被覆層14を有する金属裏打ちの印刷ブランケット2を示している。織布層6に加えて、印刷ブランケット2は、別の又は代わりの層を有することもできる。織布層6を省略することが同様に可能である。金属裏打ちの印刷ブランケット2のすべての層は、接着接合の結合を介して互いに結合される。金属箔10は、印刷ブランケットの両方の縁部において、他方の層4、6、8、12及び14を越えて突出し、その結果、自由な金属箔縁部が生成される。前記金属箔縁部の補助により、金属裏打ちの印刷ブランケット2が公知の方法で圧胴に固定される。金属裏打ちの印刷ブランケットの被覆層14は、不織布、好ましくは合成不織布を含む。フィルムの形態のホットメルト接着剤が接着層12に使用されることが好ましい。ホットメルト接着剤は、金属裏打ちの印刷ブランケットの製造中に加熱され、接着層12が熱及び圧力の作用下で被覆層14に結合される。ここで、ホットメルト接着剤が接着層12から被覆層14内に浸透し、その結果、被覆層14は、接着層12に隣接する領域14aで接着剤によって領域全体にわたって浸透される。浸透の厚さは、被覆層14の厚さの少なくとも50%、最大で90%であり、すなわち、領域14aは、接着剤によって浸透されない被覆層14の領域14bと少なくとも正確に同じ厚さであるか又はより厚い。被覆層14は、対応する浸透を保証するために、接着層12の少なくとも2倍の厚さであるように構成される。例えば、0.03mmの厚さを有するフィルムの形態の接着層及び0.15mmの厚さを有する被覆層を選択することができる。
【符号の説明】
【0015】
2 印刷ブランケット
4 印刷層
6 織布層
8 圧縮可能層
10 金属箔
12 接着層
14 被覆層
14a、14b 領域
図1