(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940597
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 8/26 20090101AFI20160616BHJP
H04W 92/08 20090101ALI20160616BHJP
【FI】
H04W8/26
H04W92/08
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-141407(P2014-141407)
(22)【出願日】2014年7月9日
(65)【公開番号】特開2016-19173(P2016-19173A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】宮城 伸
(72)【発明者】
【氏名】石田 真明
(72)【発明者】
【氏名】大槻 健
【審査官】
▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0199330(US,A1)
【文献】
特開2012−010051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(特許査定時)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IMSI(International Mobile Subscriber Identity)が格納された着脱可能なICカードを備え、通信ネットワークを介して通信可能な通信端末装置であって、
前記ICカードは、
当該通信端末装置に設定されているMSISDN(Mobile Subscriber Integrated Services Digital Network Number)が記憶される第1の記憶領域と、
IMS(IP Multimedia Subsystem)の通信ネットワークサービスにおける識別情報であるIMPU(IMS Public User Identity)が記憶される第2の記憶領域と、
当該通信端末装置のアクティベーション開始時に、前記IMSIに対応するMSISDNを受信して前記第1の記憶領域に格納し、そのMSISDNの格納のイベントを検知したとき、前記第1の記憶領域に格納されたMSISDNに基づいて前記IMPUを生成して前記MSISDNに対応付けて前記第2の記憶領域に格納する手段と、を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
請求項1の通信端末装置において、
前記ICカードは、前記IMSIに基づいて、前記IMSの通信ネットワークサービスにおける他の識別情報であるIMPI(IMS Private User Identity)を生成して前記第2の記憶領域に格納することを特徴とする通信端末装置。
【請求項3】
請求項1の通信端末装置において、
前記ICカードは、前記IMSIに基づいてHRPD(High Rate Packet Data)の通信ネットワークサービスで用いられる識別情報であるUPP(User Profile Parameter)を生成して前記第2の記憶領域に格納することを特徴とする通信端末装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの通信端末装置において、
前記ICカードは前記識別情報の生成及び格納を行うアプレットが組み込まれていることを特徴とする通信端末装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの通信端末装置と、前記通信端末装置に格納される識別情報を管理するサーバとを備える通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介して通信可能な通信端末装置、及び、その通信端末装置を含む通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の通信端末装置として、通信ネットワークを介して通信する通信サービスを、複数種類の識別情報を用いて利用する通信端末装置が知られている。例えば、移動通信ネットワークを介してIMS(IP Multimedia Subsystem)通信サービスを利用可能な通信端末装置では、その通信端末装置内に設けられた汎用ICカード(以下「UICC」という。)に、3GPP移動通信ネットワーク上の第1の識別情報としてのMSISDN(Mobile Subscriber ISDN Number)とともに、IMSネットワーク上の第2の識別情報としてのIMPU(IMS Public User Identity)が格納される(非特許文献1、2参照)。MSISDNは、移動通信ネットワーク上の通話やSMS等の通信サービスで用いられる電話番号であり、IMPUは、IMSネットワーク上のVoLTE(Voice over LTE)(非特許文献3参照)等の通信サービスで用いられ、MSISDNに対応付けて生成される識別情報である。MSISDNやIMPU等の識別情報は、例えば、通信サービスの加入者に関する識別情報等の各種情報を管理するHSS(Home Subscriber Server)等のサーバに格納されるとともに前述のように通信端末装置内のUICCに格納される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の通信端末装置では、通信サービスを利用するための利用者や通信端末装置の新規登録時に、MSISDN(第1の識別情報)及びIMPU(第2の識別情報)の両方をUICCに新規格納する場合がある。この場合、無線通信を利用するOTA(Over-The-Air)によりサーバからMSISDNを受信してUICC内の所定記憶領域に格納する第1のトランザクションと、OTAによりサーバからIMPUを受信してUICC内の別の所定記憶領域に格納する第2のトランザクションとを実行していた。このように複数のOTAトランザクションを実行していたため、上記識別情報の新規登録時に、サーバにおける負荷が増大したりサーバと通信端末装置との間の通信ネットワークの負荷が増大したりするおそれがある。
【0004】
なお、上記新規登録時におけるサーバ及び通信ネットワークの負荷増大という課題は、MSISDN及びIMPUをUICCに新規格納する場合に限定されることなく、通信サービスを利用するための複数種類の識別情報を通信端末装置に新規格納する場合であれば同様に発生し得るものである。例えば、上記課題は、通信サービスを利用するための新規登録時に、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)とIMS通信ネットワークサービスで用いられるIMPI(IMS Private User Identity)とを新規格納する場合に同様に発生し得る。また、上記課題は、通信サービスを利用するための新規登録時に、IMSIとHRPD(High Rate Packet Data)の通信ネットワークサービスで用いられるUPP(User Profile Parameter)とを新規格納する場合にも同様に発生し得る。また、上記課題は、通信サービスを利用するための新規登録時に、第1の識別情報及び第2の識別情報の両方がUICCではなく通信端末装置の本体側の記憶装置に新規格納される場合や、第1の識別情報が通信端末装置の本体側の記憶装置に新規格納され第2の識別情報がUICCに新規格納される場合にも同様に発生し得る。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、通信サービスを利用するための識別情報の新規登録時におけるサーバ及び通信ネットワークの負荷増大を抑制することができる通信端末装置及びその通信端末装置を含む通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る通信端末装置は、通信ネットワークを介して通信可能な通信端末装置であって、当該通信端末装置又はその利用者の少なくとも一方を識別可能な複数種類の識別情報のうち一部の識別情報が記憶される第1の記憶手段と、前記複数種類の識別情報のうち前記一部の識別情報以外の他の識別情報が記憶される第2の記憶手段と、前記一部の識別情報を受信して前記第1の記憶手段に格納する手段と、前記第1の記憶領域に格納された前記一部の識別情報に基づいて前記他の識別情報を生成して前記第2の記憶手段に格納する手段と、を備える。
【0007】
前記通信端末装置において、ICカードを備え、前記第1の記憶手段及び第2の記憶手段はそれぞれ、前記ICカード内に設けられていてもよい。
また、前記通信端末装置において、前記ICカードに前記他の識別情報の生成及び格納を行うアプレットが組み込まれていてもよい。
また、前記通信端末装置において、前記一部の識別情報は、当該通信端末装置に設定されたMSISDNであり、前記他の識別情報は、IMSの通信ネットワークサービスで用いられるIMPUであってもよい。
また、前記通信端末装置において、前記一部の識別情報は、当該通信端末装置に設定されたIMSIであり、前記他の識別情報は、IMSの通信ネットワークサービスで用いられるIMPIであってもよい。
また、前記通信端末装置において、前記一部の識別情報は、当該通信端末装置に設定されたIMSIであり、前記他の識別情報は、HRPDの通信ネットワークサービスで用いられるUPPであってもよい。
【0008】
また、本発明の他の態様に係る通信システムは、前記通信端末装置と、前記通信端末装置に格納される識別情報を管理するサーバとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信サービスを利用するための識別情報の新規登録時におけるサーバ及び通信ネットワークの負荷増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る通信システムの一例を示す概略構成図。
【
図2】本実施形態の通信端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図・
【
図3】本実施形態の通信端末装置に装着されているUICCのファイル構造の一例を示すブロック図。
【
図4】本実施形態の通信端末装置のアクティベーションにおいてUICCに複数の識別情報(MSISDN及びIMPU)を新規登録するときの処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る通信システムの一例を示す概略構成図である。この通信システムでは、通信端末装置10を用いて通信サービスを利用するための複数の識別情報が所定のサーバやデータベースに登録されて管理される。例えば、移動体通信ネットワーク40での電話、メッセージ、メール、インターネットアクセス等の通信サービスを利用するための識別情報であるIMSI(International Mobile Subscriber Identity:加入者識別子)、MSISDN(Mobile Subscriber ISDN Number:電話番号)、IMEI(International Mobile Equipment Identifier:端末識別情報)等が、加入者情報データベースであるHLR(Home Location Register)20に登録されて管理される。また、移動体通信ネットワーク40上に構築されたIPネットワークであるIMS(IP Multimedia Subsystem)ネットワークにおけるVoLTE等の通信サービスを利用するための識別情報であるIMPU(IP Multimedia Public Identity)、IMPI(IP Multimedia Private Identity)等が、IMSの加入者情報管理サーバであるHSS(Home Subscriber Server)25に登録されて管理される。これらのHLR20及びHSS25は、移動体通信ネットワーク40を介して所定の通信プロトコルにより通信端末装置10と通信できるように構成されている。
【0012】
ここで、IMPUは、IMSネットワーク内でSIPメッセージ信号を宛先の通信端末装置(IMS端末)までルーティングするための一意に識別可能な識別子であり、例えばMSISDNに基づいて生成することができる(非特許文献2の第13章参照)。また、IMPIは、IMSの加入契約の識別やIMSへのアクセス時の認証のために使用される一意に識別可能な識別子であり、例えばIMSIに基づいて生成することができる(非特許文献2の第13章参照)。
【0013】
通信端末装置10は、移動体通信ネットワーク40の基地局41を介してHLR20及びHSS25と通信することができる。この通信端末装置10には、3G,4G,LTE(Long Term Evolution)等の移動体通信ネットワーク40での電話、メッセージ、メール、インターネットアクセス等の通信サービス(以下、「移動体通信サービス」という。)やIMSネットワークにおけるVoLTE等の通信サービス(以下、「IMS通信サービス」という。)を利用するためのソフトウェアであるアプリケーションプログラムが組み込まれている。また、通信端末装置10には、上記IMSI、MSISDN、IMEI、IMPU、IMPI等の複数の識別情報が格納される汎用統合ICカードであるUICC(Universal Integrated Circuit Card)を備えている。このUICCには、上記通信サービスで使用される各種データやカード内で所定の動作や処理を行うための個別プログラムであるアプレットも格納されている。なお、本実施形態の通信端末装置10は、利用者の作業によってUICCを着脱できるように構成されているが、利用者が容易に取り外せないようにUICCを内部に組み込むように構成してもよい。
【0014】
上記アプリケーションプログラム(以下、適宜「アプリケーション」と略す)やアプレットは、通信ネットワーク上のサーバから適宜ダウンロードして通信端末装置10内に登録することができ、それらの中から利用者が選択して実行することができる。アプリケーションプログラムやアプレットは、通信端末装置10に構築されたJAVA(登録商標)実行環境などのアプリケーション実行環境上で実行される。
【0015】
図2は、本実施形態の通信端末装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。この通信端末装置10は、主制御部110と無線通信部111とベースバンド処理部112と音入出力部113と表示部114と操作手段としての操作部115とを備える。また、通信端末装置10は、装置本体に対して着脱可能なUICC15が装着されている。UICC15は、移動体通信サービスで用いられるUSIM(Universal Subscriber Identity Module)としての機能とIMS通信サービスで用いられるISIM(IMS Subscriber Identity Module)としての機能とが組み込まれている。
【0016】
主制御部110は、MPU(Micro Processing Unit)、RAM、ROM等を備え、所定の基本OSやミドルウェア等のプログラムが実行されることにより、ベースバンド処理部112等の各部を制御したり、ソフトウェア構成上のネイティブプラットフォーム環境やアプリケーション実行環境を構築したりする。
【0017】
無線通信部111は、移動体通信ネットワーク40を介して通信するネットワーク通信手段として機能し、例えばシンセサイザ、周波数変換器,高周波増幅器などにより構成され、移動体通信ネットワーク40の基地局41との間で無線通信するための高周波信号処理を実行する。
【0018】
ベースバンド処理部112は、他の携帯電話機等の通信端末装置や各種サーバとの間で音声通信やデータ送受信の通信を行うためのデジタル処理を実行する。このベースバンド処理部112と上記無線通信部111との間はD/A変換器やA/D変換器を介して接続されている。
【0019】
音入出力部113は、マイク、スピーカ、音信号処理部等で構成されている。マイクから出力されるアナログの音声信号は、音信号処理部でデジタル信号に変換され、主制御部110やベースバンド処理部112等に送られる。スピーカは、音信号処理部でデジタル信号から変換されたアナログ信号が入力され、通話中の音声を出力したり、メールの着信音、電話の呼び出し音、音楽などを出力したりする。なお、スピーカは、通話中の音声を聞くための受話器用スピーカ(レシーバ)と、着信音や音楽などを出力する外部出力用スピーカとを別々に設けて構成してもいいし、これらの受話器用スピーカ及び外部出力用スピーカを兼用するように一つのスピーカで構成してもよい。
【0020】
表示部114は、LCD(液晶ディスプレイ)等で構成され、主制御部110からの指令に基づいて各種画像を表示する。操作部115は、表示部114に組み込まれたタッチパネルや、各種の操作キーやボタン、電源ON/OFF手段としての電源スイッチなどで構成されている。この操作部115は、利用者が、通信端末装置10の本体電源をON/OFFしたり、通話開始、終話、メニュー選択、画面切り換え等を指示したり、情報を入力したりするときに用いられる。
【0021】
また、通信端末装置10は、位置情報取得手段としてのGPS(Global Positioning System)部117、撮像手段としてのカメラ部118、センサー部119、電源供給手段としての電源供給部120、図示しない時計部等も備えている。
【0022】
GPS部117は、GPS受信モジュールやGPSアンテナ等で構成され、地球の周りに配置されている複数のGPS衛星から電波を受信し、その受信結果に基づいて通信端末装置10が位置する緯度、経度及び高度のデータを算出する。カメラ部118は、レンズや撮像デバイス等で構成され、人物や風景等を撮影する時に用いられる。撮像デバイスとしては、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOSカメラを用いることができる。センサー部119は、加速度センサー及び/又は地磁気センサー等で構成されている。加速度センサーは、1軸の加速度センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の加速度センサーであってもよい。また、地磁気センサーも、1軸の地磁気センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の地磁気センサーであってもよい。このセンサー部119の出力に基づいて、通信端末装置10の位置、向き、姿勢及び動きを示すデータを算出することができる。また、センサー部119の出力に基づいて、所定高度における基準位置から利用者の通信端末装置10が移動したときの加速度データや地磁気データの時間変化の情報である履歴情報から、通信端末装置10が位置している高度、角度等を示すデータを算出することができる。
【0023】
電源供給部120は、充電可能なバッテリー、バッテリーから各部に所定電圧の電力を供給する電力供給回路、バッテリーを充電する充電回路などを備えている。また、電源供給部120は、通信端末装置10における主要部すなわち音入出力部113、表示部114、操作部115の一部、GPS部117、カメラ部118及びセンサー部119への電力供給については、前述の利用者が操作可能な電源スイッチによりON/OFFできるように構成されている。なお、電源スイッチのOFF時に一部の機能を動作させるために、電源供給部120は、電源スイッチのOFF時においても無線通信部111、ベースバンド処理部112及びUICC15への電力供給を継続して行うように構成してもよい。
【0024】
時計部はクロック回路等で構成され、正確な日時を計数し、例えば各種の更新処理等のための時刻情報を生成する。
【0025】
図3は、本実施形態の通信端末装置10に装着されているUICC15の主要構成の一例を示すブロック図である。UICC15は、例えばICモジュールで構成され、CPUなどからなる制御部150と、ROMやRAMなどからなる記憶手段としての記憶部151と、通信端末装置本体と通信するためのI/Oインターフェース部152とを備えている。
【0026】
記憶部151は、主に制御部150が制御に用いる基本プログラム、アプレット、データ等が格納されたシステム領域151aと、第1の記憶手段としてのUSIM領域151bと、第2の記憶手段としてのISIM領域151cとを有している。USIM領域151bには、前述のIMSI、MSISDN及びIMEI等の複数の識別情報や電話・アドレスブック等の、移動体通信サービスのUSIM機能を実現するための各種情報やデータが記憶されている。また、ISIM領域151cには、前述のIMPU及びIMPI等の複数の識別情報や通信端末装置10が接続すべきSIP(Session Initiation Protocol)中継サーバであるP−CSCF(Proxy-Call Session Control Function)のアドレス等の、IMS通信サービスのISIM機能を実現するための情報やデータ等が記憶される。
【0027】
また、記憶部151のシステム領域151aには、UICC15での処理に用いられる比較的小さなサイズのプログラムであるアプレットも記憶されている。例えば、システム領域151aには、USIM領域151bに格納された識別情報であるMSISDNに基づいて他の識別情報であるIMPUを生成してISIM領域151cに格納する処理を行う識別情報自動生成アプレットが記憶されている。
【0028】
UICC15の制御部150は、上記識別情報自動生成アプレットが実行されるとともに、装置本体側の主制御部110と協働することにより、USIM領域151bに格納された識別情報であるMSISDNに基づいて他の識別情報であるIMPUを生成してISIM領域151cに格納する処理を行う手段として機能する。
【0029】
図4は、本実施形態の通信端末装置10のアクティベーションにおいてUICC15に複数の識別情報(MSISDN及びIMPU)を新規登録するときの処理の一例を示すフローチャートである。なお、
図4のアクティベーションを実行する前の状態において、UICC15のUSIM領域151bには、識別情報としてIMSI及びIMEIは格納されているが、MSISDNはまだ格納されていない。また、UICC15のISIM領域151bには、識別情報としてIMPI及びIMPUのいずれも格納されていない。
【0030】
図4において、まず、利用者が通信端末装置10を操作してアクティベーションを開始する(ステップS101)。次に、通信端末装置10は、所定のOTA(Over-The-Air)を伴うトランザクションを実行し、UICC15に格納されているIMSIに基づいてHLR20にアクセスし、IMSIに対応するMSISDN(電話番号)をダウンロードしてUICC15のUSIM領域151bに格納する(ステップS102)。
【0031】
次に、通信端末装置10のUICC15に格納されている識別情報自動生成アプレットにより、上記MSISDNの格納のイベントが検知されると、そのMSISDNに基づいて、予め設定されている所定の書式及び/又はアルゴリズムによりIMPUが生成される(ステップS103)。生成されたIMPUは、UICC15のISIM領域151cに格納される(ステップS104)。なお、前述のHSS25には、通信端末装置10での処理と同様に、上記MSISDNに基づいてIMPUが生成され、MSISDNに対応付けて登録される。
【0032】
以上、本実施形態によれば、通信端末装置10において、USIM領域151bへのMSISDNの格納のイベントが検知されると、そのMSISDNに基づいてIMPUが自動生成されてUICC15のISIM領域151cに格納される。従って、OTAを伴うトランザクションを実行してIMPUをHSS25等からダウンロードする処理が不要になる。よって、通信サービスを利用するためのMSISDN及びIMPUの新規登録時におけるHSS25や移動体通信ネットワーク40の負荷増大を抑制することができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、第1の識別情報としてのMSISDNと第2の識別情報としてのとしてのIMPUをUICC15に新規格納する場合について説明したが、これに限定されることなく、本発明は、通信サービスを利用するための複数種類の識別情報を通信端末装置に新規格納する場合であれば同様に適用することができる。
【0034】
例えば、本発明は、通信サービスを利用するための識別情報の新規登録時に第1の識別情報としてのIMSIと第2の識別情報としてのIMPIとを新規格納する場合に同様に適用することができる。この場合、通信端末装置10において、USIM領域151bへIMSIを格納するイベントが検知されると、そのIMSIに基づいてIMPIが自動生成されてUICC15のISIM領域151cに格納される。
【0035】
また、本発明は、通信サービスを利用するための識別情報の新規登録時に、第1の識別情報としてのIMSIとHRPD(High Rate Packet Data)の通信ネットワークサービスで用いられる第2の識別情報としてのUPP(User Profile Parameter)とを新規格納する場合にも同様に適用することができる。この場合、通信端末装置10において、USIM領域151bへIMSIを格納するイベントが検知されると、そのIMSIに基づいてHRPDのUPPが自動生成されてUICC15のISIM領域151cに格納される。
【0036】
また、本発明は、通信サービスを利用するためのMSISDN等の第1の識別情報及びIMPU等の第2の識別情報の新規登録時に、第1の識別情報及び第2の識別情報の両方がUICC15ではなく通信端末装置10の本体側の記憶装置に新規格納される場合や、第1の識別情報が通信端末装置10の本体側の記憶装置に新規格納され第2の識別情報がUICC15に新規格納される場合にも同様に発生し得る。
【0037】
また、上記第1の識別情報及び第2の識別情報はそれぞれ複数であってもよい。例えば、本発明は、通信サービスを利用するための識別情報の新規登録時に第1の識別情報としてのIMSI及びSISDNと第2の識別情報としてのIMPI及びIMPUとを新規格納する場合に同様に適用することができる。この場合、通信端末装置10において、USIM領域151bへIMSI及びSISDNを格納するイベントが検知されると、IMSIに基づいてIMPIが自動生成されるとともにMSISDNに基づいてIMPUが自動生成され、その自動生成されたIMPI及びIMPUがUICC15のISIM領域151cに格納される。
【符号の説明】
【0038】
10 通信端末装置
15 UICC
151b USIM領域
151c ISIM領域
20 HLR
25 HSS
40 移動体通信ネットワーク
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0039】
【非特許文献1】3GPP TS 23.228 V12.5.0 (2014-06),"Technical Specification Group Services and System Aspects; IP Multimedia Subsystem (IMS); Stage 2 (Release 12)".
【非特許文献2】3GPP TS 23.003 V12.2.0 (2014-03),"Technical Specification Group Core Network and Terminals; Numbering, addressing and identification(Release 12)".
【非特許文献3】GSMA PRD IR.92: "IMS Profile for Voice and SMS", Mar. 2011.