(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940602
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】発光ダイオードランプ
(51)【国際特許分類】
H01L 33/60 20100101AFI20160616BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20160616BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20160616BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20160616BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20160616BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20160616BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20160616BHJP
【FI】
H01L33/00 432
H01L33/00 L
F21S2/00 100
F21V7/00 510
F21V7/09 200
F21V7/04 300
F21Y101:02
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-151640(P2014-151640)
(22)【出願日】2014年7月25日
(65)【公開番号】特開2015-32830(P2015-32830A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】201310336515.4
(32)【優先日】2013年8月5日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506243208
【氏名又は名称】アドヴァンスト オプトエレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED OPTOELECTRONIC TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲ミン▼舜
(72)【発明者】
【氏名】蔡 明達
(72)【発明者】
【氏名】林 浩翔
【審査官】
村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/095905(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0128570(US,A1)
【文献】
特開2012−094320(JP,A)
【文献】
米国特許第06464373(US,B1)
【文献】
国際公開第2013/046294(WO,A1)
【文献】
特開2011−100709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
F21S 2/00−19/00
F21V 1/00−15/04,29/15,29/505
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、該基板に設置された複数の発光ダイオード素子及び反射体を備える発光ダイオードランプにおいて、前記反射体は、前記基板の中央部から斜め上方に且つ外側に向けて放射状に延伸する複数の一定の幅を有する縦長の平坦な反射シートを備え、前記基板における各反射シートの投影は、少なくとも1つの発光ダイオード素子を覆い、各前記反射シートには、該反射シートによって覆われる発光ダイオード素子に対応する穿孔が設けられ、隣接する2つの前記反射シートの間には、一定の間隔が形成され、前記反射シートによって覆われた発光ダイオード素子から出射された一部の光は、前記穿孔を介して直接的に上方に出射され、他の一部の光は、前記反射シートによって前記基板の周囲に向けて反射され、
前記反射体は、さらに円筒形のコネクタを備え、前記コネクタは、前記基板の中央部から上方に垂直に延伸して形成され、複数の前記反射シートは、前記コネクタの頂端から斜め上方に且つ外側に向けて放射状に延伸し、前記発光ダイオード素子は、前記コネクタを囲んで設置され且つ前記コネクタの外周面に当接され、前記穿孔は、各反射シートのコネクタに隣接する端部に設けられていることを特徴とする発光ダイオードランプ。
【請求項2】
各前記反射シートは、前記発光ダイオード素子と対向する側に位置する反射面を含み、前記反射面は、斜め上方に且つ外側に向けて延伸する平面であり、前記間隔のサイズは、前記反射シートの延在方向に沿って増加することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードランプ。
【請求項3】
前記コネクタと前記コネクタに囲まれた基板の表面とが、収容部を形成し、一部の発光ダイオード素子は、前記収容部内に設置されることを特徴とする請求項1または2に記載の発光ダイオードランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光装置に関し、特に発光ダイオードランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)は、高輝度、低電圧、低消費電力、長寿命である等の利点を有することから、新しいタイプの光源として、現在広く利用されている。
【0003】
従来の発光ダイオードランプは、一般的に、基板及び基板に設置された複数の発光ダイオードを備える。十分な光強度を得るために、これらの発光ダイオードは、一般的に、基板の表面に高密度にアレイ状に配置されている。しかし、従来の発光ダイオードの光出射範囲は、通常90度〜120度であり、また、発光ダイオードの光強度において、その中心の光強度は周囲の光強度より高いため不均一な分布を呈する。従って、発光ダイオードランプから出射された光は、出射角度が小さく且つ分布が不均一であるため、発光ダイオードランプの照明効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明は、照射範囲が大きく且つ光の分布が均一である発光ダイオードランプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る発光ダイオードランプは、基板、基板に設置された複数の発光ダイオード素子及び反射体を備える。前記反射体は、基板の中央部から斜め上方に且つ外側に向けて放射状に延伸する複数の平坦な反射シートを備え、前記基板における各反射シートの投影は、少なくとも1つの発光ダイオード素子を覆い、各前記反射シートには、該反射シートによって覆われた発光ダイオード素子に対応する穿孔が設けられ、前記反射シートによって覆われた発光ダイオード素子から出射された一部の光は、前記穿孔を介して直接的に上方に出射され、他の一部の光は、前記反射シートによって前記基板の周囲に向けて反射される。
【発明の効果】
【0006】
従来の技術と比べ、本発明の発光ダイオードランプは、発光ダイオード素子に対応する反射体を備え、反射体の各反射シートは、それぞれ対応する発光ダイオード素子を覆い、該発光ダイオード素子から出射された一部の光を基板の周囲に向けて反射する。これにより、発光ダイオードランプの照射範囲が効果的に増加される。また、発光ダイオード素子から出射された一部の光は、反射シートの穿孔を介して直接的に上方に出射されるので、発光ダイオードランプから出射される光の分布を更に均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る発光ダイオードランプの斜視図である。
【
図2】
図1に示した発光ダイオードランプの側面図である。
【
図3】従来の発光ダイオードランプの配光曲線図である。
【
図4】
図1に示した発光ダイオードランプの配光曲線図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係る発光ダイオードランプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図1及び
図2を参照すると、本発明の第一実施形態に係る発光ダイオードランプ100は、基板10と、基板10に設置された複数の発光ダイオード素子20及び反射体30と、を備える。基板10は、環状を呈するが、その形状は環状に限定されない。また、基板10は、上表面11及び該上表面11の反対側に位置する下表面12を備える。基板10の中央には、貫通孔13が設けられており、この貫通孔13は、基板10の上表面11及び下表面12を貫通して、他の固定構造(図示せず)と係合することにより発光ダイオードランプ100を固定させる。基板10の上表面11には、発光ダイオード素子20と電気的に接続するための回路線(図示せず)が設置されている。本実施形態において、基板10は、プリント回路基板である。他の実施形態において、基板10は、良好な放熱効果を有するセラミック基板やアルミニウム基板であっても良い。
【0010】
発光ダイオード素子20は、基板10の上表面11上に配置され且つ貫通孔13の周囲に位置する。本実施形態において、発光ダイオード素子20は、円形状に配置されている。他の実施形態において、発光ダイオード素子20の配置形状は、実際の光出射の要求に応じて調整(例えば、正方形や三角形)することができる。各発光ダイオード素子20は、それぞれ発光ダイオードパッケージであり、且つ発光ダイオードチップ(図示せず)、及び発光ダイオードチップを覆い、発光ダイオードチップから出射される光の色を変化させる蛍光体を含む封止層(図示せず)を備える。
【0011】
反射体30は、円筒形のコネクタ31及びコネクタ31から斜め上方に且つ外側に向けて延伸する複数の平坦な反射シート32を備える。本実施形態において、反射体30は、プラスチック材料からなり、射出成型法によって成型される。他の実施形態において、反射体30は、金属材料を圧縮成型することによって成型しても良い。
【0012】
本実施形態において、コネクタ31は、円筒状を呈するシートである。コネクタ31は、基板10の上表面11の中央部から上方に垂直に延伸する。他の実施形態において、コネクタ31は、基板10の上表面11から斜め上方に延伸しても良い。コネクタ31は、貫通孔13を囲み、発光ダイオード素子20は、コネクタ31を囲んで設置されているが、発光ダイオード素子20から出射される光の反射を増加させるために、発光ダイオード素子20を、コネクタ31の外周面に当接させるのが好ましい。
【0013】
複数の反射シート32は、コネクタ31の上端から斜め上方に且つ外側に延伸している。複数の反射シート32とコネクタ31とは、一体に成型される。複数の反射シート32は、コネクタ31の軸線O―O’に対して対称的に配置される。軸線O―O’は、基板10の貫通孔13の中心軸と一致する。この際、各反射シート32の自由端は、基板10の外周縁の真上に位置するのが好ましい。
【0014】
各反射シート32は、一定の幅を有する縦長の平坦なシートである。隣接する2つの反射シート32の間には、一定の間隔Lが形成され、間隔Lのサイズは、コネクタ31から反射シート32の延在方向に沿って徐々に増加する。反射シート32の数量は、発光ダイオード素子20の数量に等しい。各反射シート32は、それぞれ対応する発光ダイオード素子20を覆う。即ち、基板10における各反射シート32の投影は、対応する発光ダイオード素子20を覆う。反射シート32は、発光ダイオード素子20より大きな面積を有するため、各反射シート32の投影は、対応する発光ダイオード素子20を完全に覆う。
【0015】
各反射シート32は、発光ダイオード素子20と対向する側に位置する反射面321を含む。反射面321は、平面であり、発光ダイオード素子20から出射された一部の光を基板10の周囲に向けて反射させる。これにより、発光ダイオードランプ100の光の出射角度を増大させることができる。反射面321とコネクタ31の頂端に位置する平面との間には、角度θが形成される。角度θは、25度から45度の範囲である。即ち、反射面321と基板10に平行する平面との間の角度は、25度から45度の範囲である。
【0016】
各反射シート32のコネクタ31に隣接する端部には、反射シート32によって覆われた発光ダイオード素子20に対応する穿孔322が設けられている。即ち、各穿孔322は、対応する発光ダイオード素子20の真上に位置する。本実施形態において、穿孔322のサイズは、対応する発光ダイオード素子20のサイズと同じである。他の実施形態において、穿孔322のサイズは、対応する発光ダイオード素子20のサイズより小さくても良い。
【0017】
発光ダイオードランプ100が作動する場合、放射角の中心に近い発光ダイオード素子20から出射された一部の光は、穿孔322を介して直接的に上方に出射され、同時に、発光ダイオード素子20の放射角の中心からずれている一部の光は、隣接する2つの反射シート32との間の間隔Lを介して直接的に上方に出射され、発光ダイオード素子20から出射された他の一部の光は、コネクタ31の外周面及び反射シート32の反射面321によって基板10の周囲に向けて反射される。
【0018】
図3及び
図4を参照すると、
図3は、従来の発光ダイオードランプ(反射体なし)の配光曲線を示す図であり、
図4は、角度θが45度である本発明の発光ダイオードランプ100の配光曲線を示す図である。
図3及び
図4において、横軸は光の出射角度を示し、縦軸は正規化光強度を示す。従来の発光ダイオードランプの光強度分布と比べて、本発明の発光ダイオードランプ100の半値角(最高光強度の半分の光強度に対応する光の出射角度)は、120度から156度に変更されている。これにより、発光ダイオードランプ100の光の出射角度は大きくなり、従って、発光ダイオードランプ100の照射範囲が効果的に増加される。また、発光ダイオードランプ100の中央から出射される光の強度は、発光ダイオードランプ100の周囲から出射される光の強度に更に近づくので、発光ダイオードランプ100から出射される光の分布は更に均一になる。
【0019】
従来の技術と比べて、本発明の発光ダイオードランプ100は、発光ダイオード素子20に対応する反射体30を備え、反射体30の各反射シート32は、それぞれ対応する発光ダイオード素子20を覆い、該発光ダイオード素子20から出射された一部の光を基板10の周囲に向けて反射させる。これにより、発光ダイオードランプ100の光の照射範囲を効果的に増加できる。また、発光ダイオード素子20から出射された一部の光は、穿孔322を介して直接的に出射されるため、発光ダイオードランプ100の中央から出射される光の強度は、発光ダイオードランプ100の周囲から出射される光の強度に更に近づき、発光ダイオードランプ100から出射される光は、均一に分布される。
【0020】
他の実施形態において、反射面321とコネクタ31の頂端に位置する平面との角度θは、45度に限定されない。以下の表1は、角度θと発光ダイオードランプ100の半値角との関係を示す。角度θが小さくなるにつれて、発光ダイオードランプ100の半値角は増加する。発光ダイオードランプ100の光の出射角度と光強度とのバランスを確保するために、角度θは、25度から45度の範囲から選択するのが好ましい。
【0022】
また、反射シート32の数量は、発光ダイオード素子20の数量と等しくなくてもよい。他の実施形態において、基板10上に、環状に配置された複数グループの発光ダイオード素子20を配置してもよい。この際、各反射シート32は、それぞれ対応する複数の発光ダイオード素子20を覆う。また、反射体30は、コネクタ31を含まなくても良く、反射シート32は、基板10の上表面11に直接に設置される。
【0023】
図5を参照すると、本発明の第二実施形態に係る発光ダイオードランプ100において、コネクタ31に囲まれた基板10の上表面11上に、複数の発光ダイオード素子20が設置されている。コネクタ31と該コネクタ31に囲まれた基板10の上表面11とは、収容部311を形成する。収容部311に収容された発光ダイオード素子20は、基板10の貫通孔13を囲み且つコネクタ31の内表面に当接される。
【符号の説明】
【0024】
100 発光ダイオードランプ
10 基板
20 発光ダイオード素子
30 反射体
11 上表面
12 下表面
13 貫通孔
31 コネクタ
32 反射シート
311 収容部
321 反射面
322 穿孔
L 間隔
θ 角度