特許第5940649号(P5940649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5940649添加剤放出集成体、喫煙品用フィルター、喫煙品および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940649
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】添加剤放出集成体、喫煙品用フィルター、喫煙品および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20160616BHJP
   A24D 3/02 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   A24D3/04
   A24D3/02
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-509837(P2014-509837)
(86)(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公表番号】特表2014-513976(P2014-513976A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】GB2012051053
(87)【国際公開番号】WO2012156708
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2013年12月20日
(31)【優先権主張番号】1108038.9
(32)【優先日】2011年5月13日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、デビッド モリソン
(72)【発明者】
【氏名】シェーンメーカーズ、ウィルバート ポーラス ヨハンナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファレンデン、ポール バリー
(72)【発明者】
【氏名】シーモア、ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ナンドラ、チャランジット
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/115829(WO,A1)
【文献】 実開昭52−170899(JP,U)
【文献】 特開昭61−234771(JP,A)
【文献】 特開2002−335937(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/003899(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
A24D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のシート材と第2のシート材を含むウェブを含み、
前記第1および第2のシート材がその間で第1のシート材に連結された1つ以上の個別の量の添加剤を含み、
前記第1のシート材が1つ以上の凹部を有し、
前記1つ以上の凹部が前記添加剤を含み、
これらの個別の量の添加剤を選択的に放出できるように構成されている喫煙品用添加剤放出集成体。
【請求項2】
前記第1のシート材は、前記第2のシート材に貼り合わされることを特徴とする請求項1記載の集成体。
【請求項3】
前記添加剤が1つ以上の添加剤放出部材内に含まれ、
この添加剤放出部材は、第1および第2のシート材の間に固定されていることを特徴とする請求項1または2記載の集成体。
【請求項4】
前記第1および第2のシート材が、添加剤を含むための1つ以上の封止されたコンパートメントを形成していることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の集成体。
【請求項5】
記第2のシート材が実質的に平坦で、前記1つ以上の凹部を覆うことを特徴とする請求項4記載の集成体。
【請求項6】
前記添加剤が1つ以上のコンパートメント内で遊離または流動した状態にあることを特徴とする請求項4または5記載の集成体。
【請求項7】
さらに第3のシート材を含み、第1のシート材と第3のシート材がその間に1つ以上の個別の量の添加剤を含むことを特徴とする請求項1記載の集成体。
【請求項8】
前記第1および第3のシート材の間の添加剤が1つ以上の添加剤放出部材に含まれ、これら1つ以上の添加剤放出部材がこれら第1および第3のシート材の間に固定されていることを特徴とする請求項7記載の集成体。
【請求項9】
フィルター材と、
請求項1乃至8いずれか1項記載の添加剤放出集成体とを含む喫煙品用フィルター。
【請求項10】
さらにフィルターの外面を形成するカバー層を含み、
このカバー層が、前記添加剤放出集成体が見えるようにフィルターの少なくとも一部に亘って透明であることを特徴とする請求項9記載のフィルター。
【請求項11】
請求項1乃至8いずれか1項記載の添加剤放出集成体を含む喫煙品。
【請求項12】
少なくとも1つの量の添加剤を供する工程と、
第1のシート材および第2のシート材を供する工程と、
第1のシート材に1つ以上のポケットを形成する工程と、
前記少なくとも1つの量の添加剤を第1のシート材に連結する工程とを含む喫煙品用の添加剤放出集成体の製造方法であって、
前記第1および第2のシート材がその間で前記1つ以上のポケットに1つ以上の個別の量の添加剤を含み、
前記方法がさらに第1のシート材を第2のシート材に貼り合わせて添加剤の周囲にウェブを形成する工程を含み、
喫煙品用添加剤放出集成体がこれらの個別の量の添加剤を選択的に放出できるように構成されている方法。
【請求項13】
第1のシート材を複数の受け口を有する回転式コンベアーに供給する工程と、
前記添加剤を含む添加剤放出部材を第1のシート材が供給された受け口に挿入する工程と、
第2のシート材を前記添加剤放出部材が挿入された受け口に供給する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のポケット内の添加剤を固定し、ポケットを越えて延びたウェブを形成するために第1のシート材を第2のシート材に貼り付ける工程とをさらに含むことを特徴とする請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施態様は、添加剤放出集成体(assembly)、添加剤放出集成体を含む喫煙品用フィルター、添加剤放出集成体を含む喫煙品および添加剤放出集成体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙品およびフィルター部材内に消費者によって水またはメンソールなどの風味剤を気体流内に放出する添加剤放出部材を設けることが知られている。1つのよく知られている添加剤放出部材の形体として添加剤を含有する壊れやすいカプセルがある。フィルターの外側に圧力を加えることによって、ユーザーは、その中のカプセルを破壊し、カプセル内の風味剤を放出することができる。従って吸い込む気体流に風味を付与したいユーザーは、単にフィルターを押しつぶすだけで風味を付与することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
風味剤を有する単一の破壊可能なカプセルおよびその製造方法は、下記特許文献1から知られており、そこに詳しく説明されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一部の例では本発明の実施態様は、第1の態様として、喫煙品用添加剤放出集成体を提供し、これは第1のシート材を含むウェブと、第1のシート材に結合させた1つ以上の別々の量の添加剤とを含み、集成体は、これらの別々の量の添加剤を選択的に放出できるように構成されている。
【0005】
本発明の1つの実施態様では、さらに喫煙品用添加剤放出集成体が提供され、第1のシート材および第2のシート材からなるウェブを含み、第1および第2のシート材は、その間に添加剤を含有する1つ以上の添加剤放出部材を含み、添加剤放出部材は、第1および第2のシート材の間に固定され、第1のシート材は、第2のシート材に貼り合わされる。
【0006】
一部の例では本発明の1つの実施態様として、さらに別の喫煙品用添加剤放出集成体が提供され、これは第1のシート材と第2のシート材とを含むウェブを含み、第1のシート材および第2のシート材は、添加剤を保持するように構成された1つ以上のコンパートメントを形成する。
【0007】
一部の例では本発明の1つの実施態様として、第2の態様において、添加剤放出集成体を含む喫煙品用フィルターが提供され、この添加剤放出集成体は、第1のシート材を含むウェブと、第1のシート材に添付された1つ以上の別々の量の添加剤とを含み、該集成体は、これらの別々の量の添加剤を選択的に放出できるように構成されている。
【0008】
本発明の1つの実施態様においてさらに別の態様として、添加剤放出集成体を含む喫煙品が提供され、添加剤放出集成体は、第1のシート材を含むウェブと、第1のシート材に添付された1つ以上の別々の量の添加剤とを含み、該集成体は、これらの別々の量の添加剤を選択的に放出できるように構成されている。
【0009】
本発明の1つの実施態様では第3の態様として、喫煙品用添加剤放出集成体の製造方法が提供され、これは少なくとも1種の量の添加剤を供すること、第1のシート材を供すること、その少なくとも1種の量の添加剤を第1のシート材に結合させることを含む。
【0010】
本発明の1つの実施態様においてさらに別の態様として、喫煙品用添加剤放出集成体の製造方法が提供され、これは少なくとも1種の量の添加剤を受ける工程と、第1のシート材を受ける工程と、少なくとも1種の量の添加剤を第1のシート材に固定する工程とを含む。
【0011】
本発明の1つの実施態様においてさらに別の態様として、喫煙品用添加剤放出集成体の製造方法が提供され、これは、第1のシート材を受ける工程と、第1のシート材に1つ以上のポケットを形成する工程と、ポケットの少なくとも1つに添加剤を供する工程と、第2のシート材を受ける工程と、ポケット内に添加剤を保持し、ポケットを越えて延びたウェブを形成するために第1のシート材を第2のシート材に固定する工程とを含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様を添付の図面を参照し、あくまで例示を目的として以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による喫煙品の側面図である。
図2】本発明による喫煙品の一部切り欠いて示した斜視図である。
図3】本発明の第1実施態様による添加剤放出集成体の斜視図である。
図4】ある程度形成された本発明の第1実施態様による添加剤放出集成体の斜視図である。
図5】本発明の第1実施態様による喫煙品を形成するための装置を示す。
図6】ある程度形成された複数の本発明の第1実施態様によるフィルターの斜視図である。
図7】ある程度形成された複数の本発明の第1実施態様によるフィルターの側面図である。
図8】本発明の第2実施態様による添加剤放出集成体の斜視図である。
図9】製造中の本発明によるさらに別の実施態様の添加剤放出集成体および添加剤放出ユニットの製造装置の斜視図である。
図10】添加剤放出集成体のさらに別の実施態様の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中で使用する、「喫煙品」なる用語は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているかに関係なく紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロなどの喫煙可能な製品および発熱するが燃焼しない製品(即ち、熱を加えることによって、喫煙材を燃焼させずに喫煙材から風味が発せられる製品)なども含む。
【0015】
図1および2は、本発明の実施態様による喫煙品を示している。喫煙品10は、円筒状のタバコロッド11の形状のタバコからなる喫煙材源を含む。フィルター18がタバコロッド11に同軸に取り付けられている。フィルター18は、選択的に多孔性のシート材、例えばプラグラッパーなどの多孔性の紙に囲まれたフィルター材12を含む。
【0016】
フィルター18は、1つ以上の添加剤放出部材を含み、一部の例では複数の添加剤放出部材を含む。これら複数の添加剤放出部材は、フィルター材12内に位置する。添加剤放出部材は、壊れやすいカプセルであり、本発明の実施態様では単純にカプセルとして説明する。カプセルのあらゆる言及は、あらゆる種類の添加剤放出部材を意味するものとして理解されたい。他の態様において添加剤放出部材は、添加剤を放出するように構成されたあらゆる形状を有してもよい。
【0017】
添加剤放出部材15は、それぞれ液状の流体を含む。これとは別に流体は、実質的に流体として流れることが可能な粉である。添加剤放出部材は、ユーザーによる内方への圧力によって破裂または壊れ、流体を放出する。添加剤放出部材15内の流体は、風味剤、例えばメンソール溶液であってもよく、または水であってもよい。各添加剤放出部材15は、脆弱な外壁および流体で満たされた内方スペースを含む。外壁は、ゼラチンで作製される。これとは別に外壁は、適当な物理的および遮蔽特性を有するあらゆる殻材で作製される。
【0018】
流体は、添加剤放出部材の外壁を破裂させるために喫煙品のユーザーがフィルターの外側を押し込むことによって隣接するフィルター材内に放出すことができる。
【0019】
フィルター材12は、既に知られているセルロースアセテートトウなどの均質なフィルター材を含む。「均質な」なる用語は、フィルター全体において実質的に均一である、特にフィルター材を通して半径方向に均一であることを意味する。
【0020】
フィルター18は、カバー層16によって覆われている。カバー層は、フィルター材の周囲に巻かれたシート材であり、フィルター18の外装を形成する。カバー層16は、フィルター18をタバコロッド11に接続する紙材、例えばチッピング紙で形成される。
【0021】
選択的にカバー層16は、その領域の少なくとも部分的に透明である。カバー層の透明な領域によって、添加剤放出部材15を見ることができる。カバー層16は、透明な窓17を形成し、これを介して添加剤放出部材15を見ることができる。窓17は、カバー層16に貼り付けられた透明な材料を含む。フィルター材12は、フィルター材が添加剤放出部材15および窓17の間に位置しないように構成されている。窓17の周囲ではカバー層16は、不透明であり、および一部の例ではパターンが施されている、または着色されている。
【0022】
図2は、喫煙品10の斜視図であり、フィルター18の一部を切り欠いて示している。フィルターは、添加剤放出部材集成体20を含み、これはウェブ22内に1つ以上の添加剤放出部材15を含む。添加剤放出部材集成体20は、1つ以上の添加剤放出部材を含み、図示の例ではウェブ22によって連結された複数の添加剤放出部材15を含む。添加剤放出部材集成体20は添加剤放出集成体と言うのがより一般的である。添加剤放出部材15は、フィルター18の中央に位置する。フィルター18は、2〜4つの添加剤放出部材15を含み、例えば、4つの添加剤放出部材15を含む。添加剤放出部材集成体20は、ウェブ22がフィルター18の長手方向軸に平行に延びるようにフィルター材12内の長手方向に延びている。添加剤放出部材集成体20は、フィルター材12によって半径方向および長手方向に囲まれ、フィルター材は、多孔性ラッパー28およびカバー層16によって囲まれている。
【0023】
流体を含む初期の壊されていない状態の添加剤放出部材15は、第1の色を有し、これは窓17を介して見ることができる。添加剤放出部材からの流体は、放出され、フィルター材内に入ることができる。破裂させた添加剤放出部材は、第2の色になり、これは未破裂の添加剤放出部材の第1の色とは異なる。透明な窓17は、破裂したおよび未破裂の添加剤放出部材の数および位置をユーザーに視覚的に示す。
【0024】
図3は、添加剤放出部材集成体20を独立させて示している。添加剤放出部材15は、初期の状態にあり、この状態では添加剤放出部材15は、1つも破裂していない。添加剤放出部材15は、球体である。図示の添加剤放出部材集成体20は、喫煙品用フィルター1つ分用に構成されている。放出可能な流体は、複数の添加剤放出部材15に配分されており、これにより同じ量の流体を含む同等の単独の添加剤放出部材より各添加剤放出部材15の直径をより小さくすることができる。従って添加剤放出部材集成体20は、同等の単独の添加剤放出部材より小さい直径のフィルターに配置することができる、またはフィルター12は、同等の単独の添加剤放出部材より添加剤放出部材15の周囲の半径方向により深いフィルター材を含むことができる。さらに破裂させる添加剤放出部材集成体20の添加剤放出部材15の数を選択することができる。ユーザーは、選択した数の添加剤放出部材15だけを破裂させることによって添加剤の量を選択することができる。従って放出された添加剤は、連続的に増加させたり、選択したりすることができる。
【0025】
図4は、製造中の1つ以上のフィルター用の添加剤放出部材集成体20を示している。ウェブ22は、第1の層24および第2の層26を含んでいる。第1の層24は、添加剤放出部材15の第1の側の周囲で延びた長尺の薄層ストリップシート材である。第2の層26は、添加剤放出部材15の第2の側の周囲で延びた長尺の薄層ストリップシート材である。第1および第2の層24、26の一方または両方は、多孔性材で形成されており、これにより破裂させた添加剤放出部材15によって放出された流体は、第1および第2の層24、26の一方または両方の孔を通過することができる。第1および第2の層24、26は、紙またはセルロースアセテートで形成されている。第1および第2の層24、26は、流体を保持せず、流体を保持する添加剤放出部材15の一部を形成しない。第1および第2の層24、26は、長尺の鎖状に添加剤放出部材を固定する。
【0026】
添加剤放出部材15は、脆弱な外殻を含む。この殻は、添加剤放出部材15の例えば液体などの添加剤含有物を含む。殻は、典型的には圧縮によって壊されるまで流体を保持する。
【0027】
第1および第2の層24、26は、添加剤放出部材15に貼り付けられる前は結合されていない別個のシート材片である。第1および第2の層24、26は、互いに貼り合わされる。第1のシート材は、別の第2のシート材に貼り付けられ、ウェブを形成するシート材に添加剤を固定する。この例ではこれらのシート材は、貼り合わせによって接合される。この積層体は、例えば接着剤によって第2の層26の主要面に貼り付けられた第1の層24の主要面を含む。これとは別に第1および第2の層は、例えば加熱封止などのあらゆる好適な方法で組み合わされる。
【0028】
第1および第2の層24、26は、添加剤放出部材が第1および第2の層24、26によって形成されたポケット内の所定の位置に固定されるように添加剤放出部材の全周囲の周囲で互いに貼り合わされる。特に第1および第2の層24、26は、添加剤放出部材の両側で長手方向および各添加剤放出部材15の間で横方向に互いに固定される。第1および第2の層の接合により複数のコンパートメントが形成され、各コンパートメント内には複数の添加剤放出部材の内の1つが位置している。選択的に第1および第2の層24、26は、添加剤放出部材15にも貼り付けられ、さらに添加剤放出部材15を所定の位置に固定する。これとは別に第1および第2の層は、非孔性材(例えばプラスチックまたは例えばセルロースアセテートなどのポリマー材)で形成される。コンパートメントは添加剤放出部材を含み、添加剤を放出するために添加剤放出部材を壊すことに加えて、壊れて開口する。例えば層の材料および/またはこれら層の間の封止を破裂させて、添加剤を放出する。
【0029】
第1および第2の層24、26の材料は、実質的に非弾性である。一部の例では、ウェブの材料は、最初は添加剤放出部材を収容するために変形される。例えば、半球(または半球の一部)状の跡または凹みがウェブに形成される。この凹みは、添加剤放出部材を受けるように構成されている。一部の態様においてこれらの凹みは、これらに添加剤放出部材を配置する前に形成される。一部の例では凹みは、平面シート材を真空形成することによって形成される。従って凹みは、正確に位置決めされ、添加剤放出部材の位置もまた正確に決められるように添加剤放出部材を容易に凹み内に配置することができる。これとは別にウェブの材料は、添加剤放出部材の周囲で変形させない。それでも第1および第2のシート材の積層は、例えば添加剤または添加剤放出部材を正確に配置することによって集成体の製造を向上させる。
【0030】
一部の態様において、第1および第2の層24、26の一方または両方は、透明または半透明である。透明な第1または第2の層24、26は、透明な窓に面している。これとは別に第1および第2の層24、26の一方または両方は、不透明である。
【0031】
いずれの実施態様の接続ウェブも添加剤放出部材を取り扱い易くし、特に添加剤放出部材をフィルター内へ挿入しやすくする。接続ウェブにより単独のフィルター内に複数の添加剤放出部材を挿入しやすくなり、確実に添加剤放出部材同士の長手方向の間隔を一定にすることができる。加剤放出部材の周囲で2つの別個の層を互いに積層することは、添加剤放出部材集成体を作製するための効率的な方法を提供する。ウェブは、個別のコンパートメント内に個々の添加剤放出部材またはカプセル化された添加剤を挿入する代わりに添加剤を取り扱うまたは挿入するためにスプールから引き出される。ウェブは、単独のフィルターに挿入する前にいくつかのセクションに切断することができ、ウェブによって、少なくとも製造工程の一部において添加剤が取り扱いやすくする。
【0032】
図5は、本発明の第1の方法による添加剤放出部材集成体20の製造装置30を示している。装置30は、上述したような第1の層24の長尺のストリップを収容した第1ボビン34を含む。第1の層24は、テンションローラー39を介して回転式コンベアー38上に引き取られる。コンベアー38は、複数の受け口38aを含む外面を有する。第1の層24は、受け口38aに位置する。
【0033】
装置30は、複数の添加剤放出部材15を収容するホッパー35をさらに含む。ホッパー35は、個々の添加剤放出部材15をコンベアー38の各受け口38a内に分出するように構成されている。各添加剤放出部材15は、受け口38a内の第1の層24上に配置される。
【0034】
装置30は、上述したような第2の層26の長尺のストリップを収容した第2ボビン36をさらに含む。第2の層26は、テンションローラー37を介して回転式コンベアー38上に引き取られる。第2の層26は、受け口38a上を延び、従って受け口38a内の添加剤放出部材15および第1の層24に重ねられる。
【0035】
各受け口38aには、連続して第1の層24、添加剤放出部材15および第2の層26がこの順番で供される。例えばコンベアー38は、添加剤放出部材集成体の部材を正しい順番で受けるために静止した第1および第2ボビン34、36およびホッパー35に隣接して回転する(図示するように時計回りに)。第1および第2の層24、26および選択的に添加剤放出部材15には、1つ以上の接着剤アプリケーター(図示せず)によって接着剤が供給される。第1および第2の層24、26および選択的に添加剤放出部材15は、互いにコンベアー上で接着される。
【0036】
形成された添加剤放出部材集成体20は、ウェブ22を形成する連続した第1および第2の層24、26によって固定された複数の添加剤放出部材の集成体20としてコンベアー38から引き出される。フィルター用の各添加剤放出部材集成体20は、複数の添加剤放出部材15、例えば図示したように4つの添加剤放出部材15を含む。連続する添加剤放出部材集成体20の最後の添加剤放出部材15と最初の添加剤放出部材15の間の長手方向のスペースは、同じ添加剤放出部材集成体20の添加剤放出部材15の間の長手方向のスペースと同じか、またはそれより大きい。特にウェブ22は、添加剤放出部材集成体20の間に添加剤放出部材15のない延長された長さを有する。添加剤放出部材15のこの構成は、添加剤放出部材集成体用に第1の間隔で、特に連続した受け口38a内に添加剤放出部材15を分出するホッパー35によって提供される。1つの添加剤放出部材集成体用に添加剤放出部材15を分出した後、ホッパー35は、第1の間隔より大きい第2の間隔の後に次の添加剤放出部材を分出するように構成されている。例えば第2の間隔は、第1の間隔の2倍であり、これにより1つの受け口38aが添加剤放出部材集成体の間で空のままになる。
【0037】
回転式コンベアーおよび受け口によって、添加剤放出部材間に第1の間隔を正確に空けることができる。またコンベアーは、第1および第2の層および添加剤放出部材を組あわせて添加剤放出部材を接合する連続したウェブを供する。
【0038】
図6は、本発明による複数のフィルターロッドを一部切り欠いて示した図である。いずれかの実施態様の複数の接合された添加剤放出集成体20が、フィルター材を円筒状のロッドに形成する際に複数のフィルターを形成するためのフィルター材からなる長尺のロッドに位置する。
【0039】
フィルター材は、シート材であるラッパー28、例えばプラグラッパーで囲まれている。長尺のフィルター材ロッドは、切断手段、例えばナイフ(図示せず)で添加剤放出部材集成体の間でフィルターの長さに切断される。シート材ラッパー28は、ロッドが個々のフィルターに切断される前または後に上述したようなカバー層で包まれる。
【0040】
図7は、本発明によるフィルターを形成するための第1の方法を示している。複数の接合された添加剤放出部材集成体20がガーニチャー50内のフィルター材のトウ12内に導入される。添加剤放出部材集成体20がホッパー52からノズル54を介して、移動するフィルター材トウの流れの中央に分出される。ラッパー28がトウを囲み、ガーニチャーによってトウおよび添加剤放出部材15の周囲に包まれる。ガーニチャー50は、エンドレスガーニチャーテープを含み、これはトウおよび添加剤放出部材集成体が円筒状に包まれるようにプラグラッパーであるラッパー28を成形しながら、ガーニチャーを介してフィルター材トウおよび添加剤放出部材集成体20を引っ張る。添加剤放出部材集成体は、トウと共に移動させられる添加剤放出部材集成体20がホッパー52からの接合された添加剤放出部材集成体20を引っ張るようにウェブ22によって合体される。1つ以上の接着剤アプリケーター(図示せず)が円筒状にラッパー28を固定するためにラッパー28の隣接する長手方向縁部に接着剤を塗布する。この製造方法の詳細については下記特許文献2に説明されており、これを参照として本明細書に引用する。
【0041】
図8は、本発明の第2の態様による複数の添加剤集成体40を示している。集成体40は、種々の量の添加剤45を含む複数の個別のコンパートメントを含んでいる。シート材からなる第1および第2の層は、外殻を有する添加剤放出部材を有さず、添加剤を直接含有する。実際には添加剤45を含む外殻は、コンパートメント45を互いに接続するウェブと一体に形成されている。コンパートメントは、特に添加剤に対して不透過性の材料で形成され、添加剤の周囲で封止されることによってそれ自体が添加剤を保持するように構成されている。コンパートメントは、上述したようにウェブの長手方向に間隔をおいて配されている。各コンパートメント45は、凹部によって形成される。凹部は、添加剤を含むために半球状の殻(またはその一部)の形状である。添加剤は、流体であり、例えば風味剤または水である。
【0042】
ウェブは、薄層材からなる第1の層44を含む。第1の層44は、接続ウェブの少なくとも一部を形成し、添加剤を含有するための凹部を形成する。第1の層44は、コンパートメントを接続し、コンパートメント45と一体に形成され、特に、半球状の殻と一体に形成される。第1の層44は、含有される添加剤に対して非浸透性の材料からなる長尺のストリップの形状である。ウェブは、第2の層46をさらに含む。第2の層46は、含有される流体に対して非浸透性の材料からなる長尺のストリップの形状である。第2の層46は、ウェブの一部および添加剤を含む外殻を供する。
【0043】
第1および第2の層44、46は、別個の一枚のシート材であり、これらはコンパートメント(即ち一体に接続された添加剤放出部材)を形成するために貼り付けられる前は接合されていない。第1のシート材は、別の第2のシート材に貼り付けられ、ウェブを形成するこれらシート材に添加剤を組み込む。この例ではシート材は、貼り合わせによって接合される。第1および第2の層44、46は、互いに貼り合わされる。この貼り合わせは、コンパートメントの周囲で第1の層44の主要面を第2の層46の主要面に例えば接着剤で貼り付けることを含む。
【0044】
第1および第2の層44、46は、添加剤を含む部材が第1および第2の層44、46によって形成されたポケットとして縁部を形成するようにコンパートメントの周囲の全ての周りで互いに貼り合わされる。特に第1および第2の層44、46は、コンパートメントの両側で長手方向にそして各コンパートメントの間の横方向において互いに接合される。
【0045】
接続ウェブの第1および第2の層44、46は、それ自体が添加剤を保持する殻を形成し、流体または添加剤含有物を含有する。この実施態様においてはウェブ内に固定された個別の添加剤放出部材殻は存在しない。第1および第2の層44、46は、好ましくはセルロースアセテートで形成される。添加剤は、1つ以上のコンパートメント内で遊離または流動した状態であり、即ちコンパートメントを形成する第1および第2の層44、46だけでカプセル化されている。第1および第2の層は、あらゆる好適な非孔性材、例えばプラスチックまたはポリマー材、例えばセルロースアセテートまたは非孔性処理された紙で形成される。第1および第2の層は、コンパートメントの周囲であらゆる好適な手段、例えば接着剤、熱および/または圧力封止によって貼り合わされている。第1または第2の層またはその間の封止は、ユーザーによる外部からの圧力によって破裂するように構成されている。
【0046】
添加剤放出集成体40は、薄層である第1の層44に例えば半球形状の複数の凹部を形成することによって製造される。これとは別に凹部は、あらゆる形状であってもよく、例えば直方体または球体のあらゆる部分であってもよい。流体内容物は、コンパートメント45の一部を形成している各凹部内に分出される。第2の層46は、第1の層44にその凹部の開いた側の上から接合される。第2の層46は、コンパートメント45を完成させ、添加剤放出部材内の流体を封止する。好ましくは第2の層46は、第1の層にそれらが接触している全表面に亘って貼り合わせることによって貼り付けられる。一部の例では凹部は、平坦なシート材を真空形成することによって形成される。第2の層は実質的に平面である。
【0047】
図9は、図8を参照して説明した添加剤を放出するコンパートメント45に類似した添加剤を放出するコンパートメント55を形成するための装置50を示している。添加剤を放出するコンパートメント55は、平面において実質的に矩形である。コンパートメント55は、添加剤を含み、ウェブによって連結されており、コンパートメントおよびウェブは、両方とも2つの別個の材料片によって形成されている。コンパートメント55を含む添加剤放出集成体は、異なると説明しなければ集成体40と同じである。ここで説明する工程は、図8を参照して説明した半球状の添加剤コンパートメント45にも適用可能である。
【0048】
図9は、実質的に上述したようなシート材54からなる薄層である第1の層を示している。第1の層54は、形成ユニット51によって形成された凹部52を有する。形成ユニット51は、熱成形によって凹部52を形成する。凹部52には添加剤57が充填される。薄層であり平坦なシート材56からなる第2の層が第1の層54の上に配置され、凹部52を覆う。第2の層56は、第1の層54に貼り付けられ、積層体を形成する。好ましくは第2の層56は、第1および第2の層の間に熱封止を形成する封止ユニット53によって固着される。ある量の添加剤を含むコンパートメント55を有する連続した集成体は、それぞれ装置の出力部から引き出される。連続した集成体は、個別の集成体に切断される。
【0049】
さらなる実施態様において(図示せず)、添加剤放出部材集成体は、単独のシート材を含む。1つ以上の添加剤放出部材がこの単独のシート材に取り付けられる。好ましくは1つ以上の添加剤放出部材が接着剤によってシートに接着される。単独のシート材は、シート材からなる長尺の薄層ストリップであり、これはあらゆる種類の添加剤放出部材の第1の側または周囲にのみ延びている。シート材は、多孔性材で形成され、これにより添加剤放出部材を破裂させることによって放出される流体がこの多孔性層を通過することができる。これとは別にシート材は、添加剤に対して不透過性であってもよい。シート材は、紙またはセルロースアセテートで形成される。シート材は、流体を保持せず、流体を保持する添加剤放出部材の一部を形成しない。
【0050】
シート材は、実質的に平面であり、添加剤放出部材は、この単独のシート材の面に取り付けられる。これとは別にシート材は、これに形成された1つ以上の凹部を有する。選択的に添加剤放出部材は、凹部に固定される。特に1つの添加剤放出部材が各凹部に固定(接着)される。凹部は、実質的に半球状(またはその一部)であり、添加剤放出部材は、実質的に球体である。
【0051】
図10に示す本発明のさらなる実施態様において、添加剤放出部材集成体は、第1のシート材64、第2のシート材66および第3のシート材68を含む。1つ以上の第1添加剤放出部材15aが第1および第2のシート64、66の間に取り付けられ、1つ以上の第2添加剤放出部材15bが第1および第3のシート64、68の間に取り付けられる。シート材64、66、68は、多孔性材で形成され、これにより添加剤放出部材を破裂させることによって放出された流体がこの多孔性層を通過することができる。シートは、紙で形成されている。シート材は、添加剤を保持せず、添加剤を保持する添加剤放出部材の一部を形成しない。
【0052】
第1、第2および第3の層64、66、68は、別個の一枚のシート材であり、これらは添加剤放出部材を取り付ける前には接合されない。第1および第2の層は、互いに貼り合わされ、第1および第3の層は、互いに貼り合わされる。この貼り合わせは、例えば接着剤で第2の層の主要面に第1の層の主要面を貼り付けることを含み、もう一方の貼り合わせは、例えば接着剤で第3の層の主要面に第1の層の主要面を貼り付けることを含む。
【0053】
第1および第2の層64、66は、第1の添加剤放出部材が第1および第2の層64、66によって形成される第1ポケット67内で所定の位置に固定されるように第1の添加剤放出部材15aの全周の周囲で互いに貼り付けられる。さらに第1および第3の層64、68は、第2の添加剤放出部材15bが第1および第3の層64、68によって形成される第2ポケット69内で所定の位置に固定されるように第2の添加剤放出部材15bの全周の周囲で互いに貼り付けられる。特に第1および第2の層は、第1ポケット67の各側で長手方向にそして各第1ポケット67の間で横方向に互いに貼り付けられる。さらに、第1および第3の層は、第2ポケット69の各側で長手方向にそして各第2ポケット69の間で横方向に互いに貼り付けられる。
【0054】
第1および第2の層の接合および第1および第3の層の接合により、複数のコンパートメント67、69が形成され、それぞれの中に複数の添加剤放出部材の内の1つが配置される。選択的に第1、第2および第3の層の内1つ以上が添加剤放出部材に取り付けられ、さらに添加剤放出部材を所定の位置に固定する。ウェブの材料は、添加剤放出部材を収容するために変形によって成形される。
【0055】
第1の層および第2の層の間の第1添加剤放出部材は、第1の層および第3の層の間の第2の添加剤放出部材中の添加剤と同じまたは異なる添加剤を含む。
【0056】
第1、第2および第3の層は、添加剤放出部材を接続するものとして説明した。これとは別に第1、第2および第3の層が、図8および9の実施態様と同じように添加剤を直接含有する。例えば第1および第2の層がその間に添加剤を直接カプセル化するコンパートメント67を形成する。さらに第2および第3の層は、添加剤を直接カプセル化するコンパートメント69を形成する。第1の層は、平面であり、第2および第3層の両方に貼り付けられ、添加剤を含む凹部を閉じている。第2および第3の層は、凹部を形成し、これはこれらの層が平坦な第1の層に接着されると、コンパートメントを形成する。添加剤の代わりに添加剤を放出するコンパートメントを有するこの構造を図10に示す。コンパートメントを直接壊すと添加剤が放出される。
【0057】
さらなる実施態様(図示せず)において、添加剤放出部材集成体は、単独のシート材で形成されたウェブを含む。シート材は、実質的に円筒状または管状形状になるように巻き取られる。シート材の対向する長手方向縁部は、長手方向に延びたシールによって接合され、管形状を維持する。1つの例ではシールは、フィンシールである。フィンシールは、シート材の隣接し、対向する長手方向に延びた側部の内面が互いに接合されることによって形成される。1つ以上の添加剤放出部材が管状ウェブ内に位置する。選択的にその1つ以上の添加剤放出部材は、接着剤によってシートに接着されている。単独のシート材は、管状になるように巻かれる前はシート材からなる長尺の薄層ストリップである。シート材は、多孔性材で形成され、こりにより添加剤放出部材を破裂させることによって放出される流体がこの多孔性層を通過することができる。これとは別にシート材は、添加剤に対して不透過性であってもよい。シート材は、紙またはセルロースアセテートで形成される。
【0058】
フィルター18の直径は、4〜10mm範囲内にある。一部の例では添加剤放出部材の直径は、0.5〜4.5mmまたは2mm〜4mmの範囲内である。一部の例では添加剤放出部材は、1.5〜3mmの間の直径を有し、添加剤放出部材は、2.2〜2.6mmの間の直径を有する。例えば添加剤放出部材の直径は、約2.5mmである。これとは別に添加剤放出部材の直径は、特に以下に説明する実施態様のいくつかとの組あわせにおいて3mm未満、2mm未満または1mm未満である。添加剤を含むコンパートメントは、上述したように同じ寸法であってもよい。
【0059】
これらの範囲は、限定的なものではなく、当業者はより大きいまたは小さい直径のフィルターまたは添加剤放出部材も採用できることを理解するはずである。
【0060】
一部の態様においてフィルターは、2種類以上の風味剤を有するように形成される。例えば添加剤放出部材は、フィルター内の1つ以上の添加剤放出部材が第1の風味剤を含み、フィルター内の1つ以上の添加剤放出部材が異なる第2の風味剤を含むように形成される。
【0061】
添加剤放出部材を囲むフィルター18の一部の外側に圧力を加えることによって、ユーザーは、1つ以上の添加剤放出部材および/またはコンパートメントを破壊して、その中の添加剤を放出することができる。
【0062】
ウェブは、2枚の薄層シート材から形成されるものとして説明した。これとは別にウェブは、1つ以上の長さの糸またはリボンで形成される。添加剤放出部材は、糸またはリボンと共押し出しすることができる。従って添加剤放出部材は、これを延びる糸またはリボンと共押し出し法によって形成され、これにより糸またはリボンに取り付けられる。これとは別に添加剤放出部材は、ネット形状のウェブによって接続される。
【0063】
いずれの実施態様のウェブは、取り付けられた添加剤放出部材用に定められた配向に供することができる。特に添加剤放出部材は、ウェブによって配向された明確な軸を有する。例えば添加剤放出部材は、添加剤を特定の方向にのみ放出するように成形することができる。ウェブは、フィルター内で正しい向きに添加剤放出部材を確実に配置し、固定する。
【0064】
フィルター18を透明な窓17を有するカバー層を有するものとして説明した。これとは別にカバー層16は、透明な窓を有さず、外面全体に亘って不透明である。
【0065】
添加剤放出部材を球体として説明した。これとは別に添加剤放出部材は、あらゆる形状、例えば半球状または長尺の管の形状であってもよい。
【0066】
本明細書中で使用する「風味」および「風味剤」なる用語は、各国の規制が認可し所望の味または風味を作り出すために製品に使用してよい材料を意味する。
【0067】
一部の例では添加剤放出部材は、内部のキャビティーに添加剤流体(液体または粉)を含む外殻を有するカプセルである。各添加剤放出部材の外殻は、圧力を加えて全ての添加剤を放出するように脆弱なものである。
【0068】
一部の例ではフィルターは、添加剤の放出を促進するために添加剤放出部材を押しつけることができる反応面を含んでもよい。特に添加剤放出部材は、フィルターの外面に配置してもよい。半径方向に隣接するろ過材が添加剤放出部材を押しつけることができる反応面を供してもよい。好ましくはろ過材は、反応面を形成するために比較的硬くてもよく(例えば、可塑剤を多く含むことによって)、フィルトローナスケールの90%超の硬度を有してもよい。添加剤放出部材は、ろ過材内に配置してもよく、またはろ過材に隣接するキャビティーに配置してもよい。キャビティーは、ろ過材からなる長尺の内方ロッドによって形成してもよく、これは1つまたは2つろ過材の環状の外方セクションに囲まれる。フィルターの外面を形成するカバー層は、ろ過材からなる外方セクションの1つまたは両方に取り付けられ、キャビティーを形成する内方ロッドから離れている。内方ロッドは、任意に可塑剤を多く含むことによって環状の外方セクションより硬いことが好ましい。
【0069】
これとは別に各添加剤放出部材は、複数の個別の量の添加剤内容物を好ましくは複数の個別の加圧によって作動させて放出させてもよい。この種の添加剤放出部材は、弾性的にまたは塑性的に変形可能な外方シェルを含んでもよく、好ましくは所定の領域に形成されたスリットを介して添加剤を放出するように構成される。これとは別にこの種の添加剤放出部材は、添加剤が含まれるオープンセル構造を有する多孔性の吸収基材(例えば、オープンセル発泡体)を含んでもよい。この基材は、少なくとも部分的に弾性変形可能であってもよい。この基材は、添加剤を保持するために外方シェルによって囲まれ、脆弱、弾性変形可能、塑性変形可能または薄いコーティングであってもよい。この基材は、個別の添加剤放出部材を形成してもよく、または第1フィルターセクションに設けられた環の形体であってもよい。これとは別にこの種の添加剤放出部材は、個々のキャビティーに添加剤を含み、添加剤を放出するために塑性変形可能であるクローズセル構造(例えばクローズセル発泡体)を有する多孔性マトリックスを含んでもよい。
【0070】
添加剤放出部材およびコンパートメントは、手動で操作して添加剤を放出するものとして説明した。これとは別に可動部分を喫煙品の周囲で可動部分を移動させることによって少なくとも1つの添加剤放出部材から添加剤を放出するように構成してもよい。この移動は、フィルターの外面上をリングまたはC字形状のクリップによってスライドまたは回転させることであることが好ましい。フィルターは、この可動部分によって添加剤放出部材が押しつけられる反応面を供してもよい。添加剤放出部材は、円周方向、長手方向または螺旋状に延びた1つ以上の溝に位置してもよい。これとは別に可動部分は、2つの隣接する表面を形成するカバー層を含んでもよく、添加剤放出部材は、これら隣接する表面の間に位置し、これによりカバー層の隣接する表面の移動が添加剤を少なくとも1つの添加剤放出部材から放出させる。
【0071】
添加剤放出部材は、球体であるとして説明した。これとは別に添加剤放出部材は、フィルターの長手方向軸に対して平行に延びている長尺のものであってもよい。この長尺の添加剤放出部材は、好ましくは環状または楕円状の断面を有し、同じ直径の添加剤放出部材より多く添加剤を含む。この長尺の添加剤放出部材は、好ましくは3.5mm未満または3mm未満、または2mm〜3mmの最大横幅を有する。これとは別にまたは加えて、この長尺の添加剤放出部材は、喫煙品の半径方向断面領域の50%未満、そして選択的に40%未満または30%未満の半径方向断面領域を有する。このような添加剤放出部材は、小さい直径の喫煙品、例えば5mm〜6mm、または6mm〜7mmの直径を有する喫煙品に使用する場合に最適化される。
【0072】
添加剤放出部材は、喫煙品内でウェブに位置するものとして説明した。これとは別に複数の添加剤放出部材を外方壁または外方カプセルによって囲んでもよい。外方カプセルは、多孔性である、または圧縮によって添加剤を放出させるために破裂するまたは変形するように構成してもよい。外方カプセルは、それ自体をさらにカプセル化してもよい。一部の例では添加剤は、オープンセル基材またはクローズセル基材内の複数の個別のキャビティー内に含ませてもよい。オープンセル基材および選択的にクローズセル基材は、外方カプセルを有する。1つ以上の添加剤放出部材は、実質的にこれより大きい添加剤放出部材の外面に添付される。また複数の同じまたは異なる大きさの添加剤放出部材を併せて添付してもよい。これらの実施態様のいずれも単一の構造に関連づけられる複数の部材として考慮してもよい。
【0073】
添加剤放出部材から放出された添加剤は、換気空気および/またはタバコロッドからの気体流に同伴されるものとして説明した。これとは別に添加剤を含む気体流を選択的にフィルターから放出させる。フィルターは、選択手段、例えばフィルターのマウスピース端部で回転可能な可動エレメントを含む。少なくとも一部が第1および第2流路に対して可動である選択手段は、第1流路、第2流路をまたは任意に第1および第2流路の調整自在な割合を選択するように構成されている。第1流路は、環状の半径方向外方の流路に対応し、第2流路は、第1流路内の半径方向内方の流路に対応する。これとは別に第1および第2の半円筒状のフィルター部分が、それぞれ第1および第2流路を形成し、第1および第2フィルター部分が共に円筒状のフィルター部分を形成するように構成される。添加剤は、最初は選択的に放出される前に1つ以上の添加剤放出部材(即ちカプセル)内にカプセル化される。
【0074】
上述したように添加剤放出部材は、フィルターのフィルター材内に配置される。これとは別に添加剤放出部材は、タバコロッド内に位置する。また添加剤放出部材は、フィルター材に囲まれていない喫煙品の別のセクションに位置する。例えば添加剤放出部材は、タバコロッドとフィルターの間に位置する別のセクションに配置される。
【0075】
喫煙品の添加剤は、1つ以上の異なる種類のものである。特に添加剤放出部材またはこれとは別に含まれる添加剤は、それぞれ別の添加剤放出部材または別個に含まれる添加剤と同じまたは異なる種類の添加剤を含む。
【0076】
一部の例では添加剤は、吸着剤、例えば炭素である。炭素は活性チャコールの形体であってもよい。添加剤は放出されると、特定の煙成分のろ過効率を向上させる。選択的に炭素は、カプセルに囲まれた球体ビーズの形状のものである。外壁を破壊して周囲の外気に炭素を晒すと、そこで炭素が例えば吸着によって煙の特性を変性する。
【0077】
「放出」なる用語は、物理的放出およびカプセルから出ることに加えて、大気に添加剤を晒すことを含むことを意図している。「放出」なる用語は、添加剤が活性であり、喫煙品に作用することを表す。カプセル化されている間、添加剤は不活性であり、作用しない。
【0078】
添加剤放出部材は、ゼラチンから形成されるものとして説明したが、他の種類の添加剤放出部材を本発明のフィルターと組み合わせて使用してもよい。
【0079】
一部の例では添加剤放出部材は、従来からある共押し出し法を使用して500μm〜10mmの大きさの添加剤放出部材に製造される。共押し出し法において、2種類の流体が共に押し出され、添加剤放出部材が表面張力によって作られる。
【0080】
殻用の流体は、温かい液状のゼラチンであってもよく、この流体と液体含有物、例えばメンソールは、それぞれ加圧下で別々のタンクから2流体ノズル(two−fluid nozzle)内に送られる。殻用の流体および液体含有物の流れがノズルから流れ、これらの流体は、そこでキャリアー流体中に液滴を形成し、液滴は、殻用流体からなる外殻および液体含有物からなる内部芯を有する。冷却機構が殻用流体を冷却し、固化するために設けられている。これとは別に殻用の材料は、例えばアルギン酸塩、寒天、アラビアゴム、ラテックスまたはワックスである。
【0081】
これとは別に添加剤放出部材は、液体をカプセル化するためのあらゆる好適な方法によって形成される。例えば添加剤放出部材は、界面重合によって形成され、この方法は、0.2μm〜2、3ミリメートルの大きさの添加剤放出部材を作製する。殻は、ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタンまたは生分解性ポリマー、例えばタンパク質、多糖類またはオリゴ糖で作製することができる。
【0082】
これとは別に添加剤放出部材は、複合コアセルべーションによって形成され、これは10μm〜2、3ミリメートルの大きさのものを作製する。添加剤放出部材は、ゼラチンおよびアラビアゴムから作製される。
【0083】
これとは別に添加剤放出部材は、単体押し出し(single extrusion)によって形成され、200μm〜2、3ミリメートルの大きさのものが作製される。添加剤放出部材の殻は、アルギン酸塩、キトサン、カラギーナン、セルロース派生物またはワックスから作製される。
【0084】
これとは別に添加剤放出部材は、溶融押し出しによって形成され、300μm〜2、3ミリメートルの大きさのものが作製される。添加剤放出部材の殻は、例えばゼラチン、糖類、マルトデキストリン類、コーンシロップ、食品ポリマーまたは変性スターチから作製される。
【0085】
これとは別に添加剤放出部材は、溶融射出によって形成され、200μm〜2、3ミリメートルの粒径のものが作製される。添加剤放出部材の殻は、炭水化物材、例えばスクロース、グルコースシロップおよび変性スターチから作製される。
【0086】
これとは別に添加剤放出部材は、噴霧乾燥マイクロカプセル化法によって形成され、10μm〜2、3ミリメートルの粒径のものが作製される。添加剤放出部材の殻は、例えば多糖類(スターチ、アルギン酸塩、寒天、ペクチン、カラギーナン、ゴム)、タンパク質(ゼラチン、カゼイン)、脂肪および脂肪酸類、セルロース派生物、脂質類(ワックス、セラック、カルナバまたは蜜蝋)から作製される。
【0087】
添加剤放出部材またはフィルター用の材料は、適用され得る規制上の要件/許認可事項を順守し、またその対象である。本発明の実施形態は、風味、添加剤、放出、成分、および/またはそのようなものに関連する規制等の適用法令および/または規制法(これらは一例であってこれらに限定されない)を順守するように構成されている。例えば本発明は、本発明を実施する喫煙品がカプセルから煙変性剤を放出する前も、後も、適用規制法に準拠するように構成されている。
【0088】
いずれの実施態様において説明した全ての特徴は、いずれの他の実施態様のあらゆる他の特徴と組み合わせて使用することができる。
【0089】
本明細書で使用されているように、「風味料」および「風味剤」は、各国の規制が認可し所望の味または風味を作り出すために製品に使用してよい材料を意味する。これらには抽出物を含み例えば:カンゾウ、アジサイ、ホウノキ、カモミール、コロハ、クローブ、メントール、和種ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、イチヤクソウ、桜、ベリー、桃、リンゴ、ドランブイ(Dramboui)、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セルリー、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、桂皮、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピメント、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、または何らかの種のハッカ属のミント油)、風味向上剤、苦み受容体部位ブロッカー、受容体部位活性剤または促進剤、甘味料および/または甘味料代替え品、(例えば、スクラロース、カリウムアセサルフェーム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、サクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、またはマンニトール)、および他の添加物例えばクロロフィル、無機物、植物、または息清涼剤である。これらは模倣品、合成物または自然材料、またはその混合物でもよい。これらは、例えば油、液体または粉などのあらゆる好適な形体であってもよい。
【0090】
様々な事項に対処し本技術を向上させるために、本開示の全体は説明によって種々の実施形態を示した。これら実施形態の中で、特許請求の範囲に規定された本発明が実施され、優れた添加剤の封止が提供される。本開示の利点および特徴は実施形態の代表的実施例のものでしかなく、全てを包括するものでもこれらに限定されるものでもない。これらは単に理解を助け、特許請求の範囲に規定された特徴を教示するために提示される。当然のことながら、本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲によって規定された本開示に制限されるまたは特許請求の範囲の均等物に制限されると考えるのではなく、他の実施形態を利用しても改良しても本開示の概念の範囲から逸脱することはない。種々の実施形態が、本開示の要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段その他の種々の組み合せを備えても、またはそれらから構成されても、または基本的にそれらから構成されてもよい。さらに本開示には、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】国際出願公開第2007/010407号パンフレット
【特許文献2】国際出願公開第2010/03899号パンフレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10