特許第5940666号(P5940666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940666
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】粉砕ミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/26 20060101AFI20160616BHJP
   B02C 13/13 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   B02C13/26 B
   B02C13/13
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-525963(P2014-525963)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2014-521512(P2014-521512A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】RU2011000740
(87)【国際公開番号】WO2013025120
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年9月1日
(31)【優先権主張番号】2011134354
(32)【優先日】2011年8月17日
(33)【優先権主張国】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】511154319
【氏名又は名称】オブスチェストヴォ ス オグラニチェンノイ オトヴェツトヴェンノスチュ “ツイン テクノロジー カンパニー”
【氏名又は名称原語表記】OBSHESTVO S OGRANICHENNOY OTVETSTVENNOSTYU ‘TWIN TECHNOLOGY COMPANY’
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135873
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100116528
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 俊男
(74)【代理人】
【識別番号】100122736
【弁理士】
【氏名又は名称】小國 泰弘
(74)【代理人】
【識別番号】100122747
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 洋子
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(72)【発明者】
【氏名】アレクセーエフ,アレクサンドル・レオンチェヴィッチ
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−190340(JP,U)
【文献】 特開昭61−042345(JP,A)
【文献】 米国特許第02875955(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 13/00 − 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース上に取り付けられた本体を含むミルであって、
本体のカバー上には粉砕される材料の供給孔、及び、ベース上に粉砕された材料の排出孔が配置され
前記本体内部の駆動軸上に取り付けられた円盤形状のロータと
を含み、
前記本体が、ロータの回転軸の直径に沿ったベース上の平面において、前記本体の内側面とロータが接触している粉砕ゾーンを含んで自由に方向/位置合わせでき、シフトされた位置で固定されることが可能であり、
前記ロータが、供給孔側に、材料を本体の内面の粉砕ゾーンにむけて分配するブレードを有し、排出に、分級器として動作する分級ブレードを有し、
前記排出孔には、材料の破砕の程度を制御するために調節可能なスライドシャッタを備える、
ミル。
【請求項2】
前記供給孔が、前記ロータの中央部に空気又は水を制御して供給する装置を具備する
請求項1に記載のミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止した本体のミルにおいて、天然かつ高湿度の、無機質、有機質、それらの混合と広範囲にわたる材料の湿式及び乾式の微細及び超微細に分離させて粉砕するための装置に関する。建築材料産業、粉末冶金、放射化学、化学、医療、セルロース、農業及び他の産業で用いられることができる。
【背景技術】
【0002】
鉱物及び有機材料の湿式及び乾式方法による微細及び超微細に粉砕するためのいくつかの装置が周知である。
【0003】
さらに、金属及び非金属材料の乾式及び湿式両方の方法により粉砕するためのミルが周知であり(RF特許第2029620号、МПКВ02С17/02、1995г)、その内部が水平面の回転エレメントとして実現される、2つの同心円状に配置された垂直シリンダと、内側シリンダの作用体及び駆動装置とを含み、ここで外側シリンダの内側キャビティが、水平なしきいによってチャンバに分割され、半径方向に可動なピストンとして形成された動作体が位置し、それらの間に不連続なシリンダ面を形成する。
【0004】
このミルは、構造体の、高い弾力性又は繊維性を有する材料を微細に分離させて粉砕する課題を解決しない。本設計は、製造及び操作のためには複雑であり、かなりの電力消費を必要とする。
【0005】
大量の個体を湿式及び乾式に粉砕するための遠心ミルが周知であり(RF特許第2411082号、МПКВ02С17/00、08062009г)、中央部に粉砕チャンバ及びスピニングロータを有する本体を含む。ロータの中央部には、第1のフィーダを介して、粉砕される材料が供給され、第2のフィーダを介して、粉砕体(ボール、シルペブ(cylpebs)、ぺブル等)が供給され、その硬さは、粉砕される材料の硬さよりも硬い。出発材料の粉砕工程は、ロータが回転するときに、動くボールによってそれをミリングすることによって行われる。
【0006】
このミルの不利点もまた、高い繊維性を有する有機材料を微細に分離させて粉砕できないことである。さらにこのミルにおいては、大量の粉砕された材料を均一な粒子サイズで得ることができず、粉砕体のシヤーは、粉砕された製品を汚染する可能性がある。
【0007】
セルロースを含む材料及び植物性材料の粉砕のための粉砕装置が周知であり(RF特許番号第2184612РФ、МПКВ02С15/08、14082001г)、湾曲した円筒形面であり、内部がライニングされた本体と、本体内部に位置するロータセパレータとを含む。本体の上側部分には上側入口ダクトが位置し、出口ダクトは下に位置する。ロータの上側部分には、拡散ブレードが位置し、底部分には、レーキブレードが位置する。上側粉砕ゾーンのロータセパレータは、周辺側壁部の周囲を回転する粉砕体を有する平らな円盤で構成され、底が平らな円盤との間の第2の粉砕ゾーンには、複数の放射状チャネルがあり、その周辺には、半径方向に垂直なプッシャプレートが設置され、半径方向に可動である放射状チャネルの内部には、シリンダ、円盤又はボールの形状の回転粉砕体が配置される。装置本体の外には、水ジャケットが具備される。材料の粉砕は、本体の湾曲した軸受面と接触する材料の上を転がる複数の粉砕体によって行われる。
【0008】
この装置は、セルロースを含む植物材料を微細に分離させて粉砕するためのみに設計され、製造及び修理が困難である。
【0009】
プロトタイプとして、材料を供給及び排出するためのを有する本体と、本体に搭載され、その側壁及びに対して間隙を有するロータとを含む微細粉砕ミルが選択される(RF特許番号第2012404号、МПКВ02С7/06、В02С13/22、15051994г)。ロータは、周囲にboulsと、それらの間にシリンダとを有する軸と相互接続された2つの円盤の形状で表される。材料の粉砕は、ロータと、本体の端壁とによって形成される高速粉砕チャンバ内で行われる。
【0010】
この設計は、超微細な製品を得ることを可能にするが、建築材料産業におけるカオリン、タルク、マイカ、グラファイトの粉砕用に設計されている。このミルを用いて、高繊維性、高湿度構造体の材料の超微細な粉砕物を得ることに加えて、湿式粉砕を行うことはできない。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、このような、幅広い範囲の材料を、所望の粉砕の程度(5−10ミクロン以内)まで粉砕することができるミルを提供することであり、天然かつ高湿度の有機的なセルロースを含む繊維性材料を含み、きわめて細かいサイズに分離させる乾式及び湿式両方の方法による。
【0012】
上述の結果は、対向して配置された供給及び排出各を有する本体と、本体内部の駆動軸に、その側面に対して間隙をもって取り付けられた粉砕エレメントを有する円盤形状のロータとを含むミルによって達成され、本発明によれば、本体は、ロータの回転軸の直径に沿った平面において自由に方向/位置合わせでき、シフトされた位置において固定することが可能であり、排出側からのロータには、分級器として動作するブレードを有し、供給孔は、ロータの中央部への空気又は水の供給を制御するための装置を具備する。
【0013】
ロータの回転軸に対する本体の自由な方向/位置合わせに関連する、請求項に係るミルの設計特性もまた、他の特性とともに、有機材料の繊維を粉砕する状態を作り出すことを可能にし、幅広い範囲の材料を、所定の程度の極度に細かいサイズ(5−10ミクロン以内)までミリングする粉砕の課題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】入口管(入口管は図示せず)からのミルの図である。
図2図1のA−Aに沿ったミルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ミル(図1、2)は、粉砕チャンバ本体1で構成され、これは締め付けねじ3(少なくとも3つ)を用いてミルベース2に取り付けられて、ロータ5の回転軸の直径に沿った平面における本体1の位置を固定する。ミルの中央部には、ロータ5が駆動シャフト4上に位置する。粉砕チャンバ1のカバー6には、供給孔7が位置し、ロータ5のシャフト4の中心軸に沿って位置する制御バルブ9を有する吸気ダクト8又は吸水ダクトと結合される。ロータ5は、供給孔側から放射状に位置する複数のブレード10(複数の粉砕エレメント)を有する。排出14側から、ロータ5は複数のブレード11を具備し、これは分級器として機能する。締め付けねじ3は、ミルベース2上のミル空間用本体1を制御し、これによってロータ5は、本体の内面とともに粉砕ゾーン12及び排出ゾーン13を形成する。排出ゾーン13では、ミルのベース部2に、調節可能なスライドシャッタ15を有する排出14が位置する。粉砕チャンバ1は、水冷チャンバ16を有する。
【0016】
本ミルは以下のように動作する。
【0017】
最大直径25mmの粒子サイズを有する出発材料には、粉砕チャンバ1の中央部に空気又は水が供給されて、ここで遠心力及び流体又は空気力学的な力による影響を受け、材料は、粉砕チャンバの本体1の内面に沿ったロータ5の各ブレード10によって分配される。材料は、ロータ5の各ブレード10によって生成された渦流に入り、粉砕ゾーン12内に押し込まれ、ここで摩擦力及び遠心力による材料の粉砕が行われ、この力はミルチャンバの本体1の面と接触しているロータ5が被粉砕材料上を直線的に転がる速度の元で、主として圧縮荷重にさらされることにより生成される。圧縮荷重による、各粒子内の被粉砕材料の粒子間の摩擦は、被破壊材料の粒子全体量における微小破壊の発生を促進し、これは被粉砕粒子の微小破壊の増大及び圧縮荷重による効果的な破壊につながるため、完成した被粉砕材料の分離性、及び物理−及び(機械)−化学的、並びに化学的な活性化を増大させる。ロータ5は、ねじ3を調節して硬く固定することによって、粉砕チャンバ1の壁の方に移動し、この粉砕ゾーン12の動きによって排出ゾーン13が作り出され、材料上に働くいくつもの変化する力が生じ、これによって高効率な披露荷重が付加的に作り出される。材料の粉砕は、圧縮と研磨の同時複合荷重時には高速モードで行われ、これによって材料の自己発生的な粉砕状態が作り出される。これらの荷重の破壊効果は、粉砕ゾーン12への応力フィールドと、排出ゾーン13内の自由フィールドと、材料上の機械的効果の局部的性質のプロセスが交互に反復性の時間的性質で繰り返される。渦流は、粉砕ゾーン12から排出ゾーン13内へ被粉砕材料を搬送し、ここで各分級ブレード11の手段を用いて、被粉砕材料の分級およびホッパ(図示せず)への搬送が行われ、並びに排出14内のスライドシャッタ15の調整が行われる。
【0018】
有機的な微細繊維材料、特にセルロースを粉砕する場合、繊維がボール状に巻かれ、それらが固まった後に破断し、粉砕ゾーンで繊維が断裂される。
【0019】
湿式粉砕では、チャネル8を通して水が供給され、流体力学的な方法で材料の粉砕が行われる。
【0020】
本ミルの利点は、天然及び高湿度の鉱物及び有機材料を、最大5〜10ミクロンのきわめて細かいサイズに分離された微細な粉末に粉砕することが可能になることである。また、物理−(機械)−化学的、化学的工程、材料の活性化を行うことで、それらの品質特性を向上させる。本ミルの設計は、摩擦による材料の粉砕方式及び本体の位置を調整することを可能にすることにより、ミルの寿命を延ばすことを可能にする。材料は、最低限の電力の消費で材料の破壊に寄与する摩擦によって粉砕される。粉砕の結果として、粉砕された固体の最大面が、工程の最適化により最低限の電力消費で得られる。
【0021】
特許請求の範囲で設計されたミルが製造され、実作業において試験され、効果に肯定的な結果が得られた。
図1
図2