特許第5940672号(P5940672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940672
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ソース依存の無線イヤフォンの等化
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20160616BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20160616BHJP
   H04R 3/04 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   H04R1/10 101Z
   H04R3/00 310
   H04R3/04
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-535848(P2014-535848)
(86)(22)【出願日】2012年10月11日
(65)【公表番号】特表2014-534700(P2014-534700A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012059643
(87)【国際公開番号】WO2013055849
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2014年5月9日
(31)【優先権主張番号】13/271,850
(32)【優先日】2011年10月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ピー・アヌンツィアート
【審査官】 冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−060209(JP,A)
【文献】 特表2008−537374(JP,A)
【文献】 特表平08−500222(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0029337(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 3/00
H04R 3/04
H04R 25/00
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信携帯電話伝送を無線で受信する第1の受信器と、
前記携帯電話伝送を音響エネルギーに変換する変換器と、
第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、またはその両方のオーディオ信号の振幅を測定する回路であって、前記第1の閾値周波数は、固定電話に由来する携帯電話伝送の典型的な周波数応答と携帯電話に由来する携帯電話伝送の典型的な周波数応答との間の差が第1の閾値を上回る高周波数帯域に含まれ、前記第2の閾値周波数は、前記差が第2の閾値を上回る低周波数帯域に含まれる、回路と、
前記第1の閾値周波数を上回る、前記第2の閾値周波数を下回る、またはその両方のオーディオ信号の振幅が、対応する閾値振幅を下回る場合、第1の等化パターンを前記着信携帯電話伝送に適用する回路と、
前記第1の閾値周波数を上回る、および前記第2の閾値周波数を下回る信号の振幅が、前記対応する閾値振幅を上回る場合、前記第1の等化パターンと異なる第2の等化パターンを前記着信携帯電話伝送に適用する回路と
を備えるヘッドフォン。
【請求項2】
前記第1の受信器がさらに、オーディオデバイスから非携帯電話オーディオ信号の着信伝送を無線で受信するためのものであり、前記ヘッドフォンが、前記第1の等化パターンおよび前記第2の等化パターンと異なる第3の等化パターンを適用する回路をさらに備える、請求項1に記載のヘッドフォン。
【請求項3】
無線通信ネットワークから着信伝送を無線で受信する第2の受信器
をさらに備える、請求項1に記載のヘッドフォン。
【請求項4】
前記第1の受信器がさらに、無線通信ネットワークから着信伝送を無線で受信するためのものである、請求項1に記載のヘッドフォン。
【請求項5】
物理伝送媒体を通じて着信伝送を受信する回路をさらに備える、請求項1記載のヘッドフォン。
【請求項6】
前記ヘッドフォンが、インイヤ式イヤフォンである、請求項1に記載のヘッドフォン。
【請求項7】
着信携帯電話伝送を無線で受信するステップと、
第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、またはその両方の、前記携帯電話伝送のオーディオ信号の振幅を測定するステップであって、前記第1の閾値周波数は、固定電話に由来する携帯電話伝送の典型的な周波数応答と携帯電話に由来する携帯電話伝送の典型的な周波数応答との間の差が第1の閾値を上回る高周波数帯域に含まれ、前記第2の閾値周波数は、前記差が第2の閾値を上回る低周波数帯域に含まれる、ステップと、
前記第1の閾値周波数を上回る、前記第2の閾値周波数を下回る、またはその両方の振幅が、閾値振幅を下回ることに応じて、第1の等化パターンを前記着信携帯電話伝送に適用するステップと、
前記第1の閾値周波数を上回る、および前記第2の閾値周波数を下回る振幅が、前記閾値振幅を上回ることに応じて、前記第1の等化パターンと異なる第2の等化パターンを前記着信携帯電話伝送に適用するステップと
を有する、ヘッドフォンを動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、無線オーディオデバイスとともに使用されるヘッドフォンについて説明する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドフォンは、着信伝送の起点が携帯電話、固定電話装置もしくはコンピュータなどの装置であるかを判定する。ヘッドフォンは、起点が固定電話装置またはコンピュータであるかどうか、あるいは起点が携帯電話であるかどうかに応じて、異なる等化パターンを適用する。ヘッドフォンは、閾値周波数(threshold frequency)を上回る、または下回る着信伝送の振幅を測定することができ、起点が固定電話装置もしくはコンピュータであるか否か、または起点が携帯電話であるか否かを判定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、ヘッドフォンは、携帯電話などの電子装置から着信携帯電話伝送(incoming cell phone transmission)を無線で受信する第1の受信器、携帯電話伝送を音響エネルギーに変換する変換器、携帯電話伝送の起点が携帯電話、固定電話装置、またはコンピュータであるかを判定する回路、携帯電話伝送の起点が携帯電話である場合、第1の等化パターンを、着信携帯電話伝送に適用する回路、および携帯電話伝送の起点が固定電話装置もしくはコンピュータである場合、第1の等化パターンと異なる第2の等化パターンを、着信携帯電話伝送に適用する回路を備える。携帯電話伝送の起点が携帯電話、固定電話装置、またはコンピュータであるかを判定する回路は、第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、またはその両方のオーディオ信号の振幅を測定する回路を備えてもよい。第2の等化パターンは、第1の等化パターンより大きく、閾値周波数を下回る周波数を増強してもよい。第2の等化パターンは、第1の等化パターンより大きく、閾値周波数を上回る周波数を増強(boost)してもよい。第1の受信器はさらに、オーディオデバイスから非携帯電話(non-cellphone)オーディオ信号の着信伝送(incoming transmission)を無線で受信するためのものであってもよく、ヘッドフォンは、第1の等化パターンおよび第2の等化パターンと異なる第3の等化パターンを適用する回路をさらに備えてもよい。ヘッドフォンは、無線通信ネットワークから着信伝送を無線で受信する第2の受信器をさらに備えてもよい。ヘッドフォンはさらに、無線通信ネットワークから着信伝送を無線で受信するためのものであってもよい。ヘッドフォンは、物理伝送媒体を通じて着信伝送を受信する回路をさらに備えてもよい。特許請求の範囲のヘッドフォンは、インイヤ式イヤフォンであってもよい。
【0004】
別の態様では、ヘッドフォンは、携帯電話などの電子装置から着信携帯電話伝送を無線で受信する第1の受信器、携帯電話伝送を音響エネルギーに変換する変換器、第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、またはその両方のオーディオ信号の振幅を測定する回路、第1の閾値周波数を上回る、または第2の閾値周波数を下回る、またはその両方のオーディオ信号の振幅が、対応する閾値振幅(threshold amplitude)を下回る場合、第1の等化パターンを、着信携帯電話伝送に適用する回路、および第1の閾値周波数を上回る、また第2の閾値周波数を下回る信号の振幅が、対応する閾値振幅を上回る場合、第1の等化パターンと異なる第2の等化パターンを、着信携帯電話伝送に適用する回路を備える。ヘッドフォンはさらに、オーディオデバイスから非携帯電話オーディオ信号の着信伝送を無線で受信するためのものであってもよく、ヘッドフォンは、第1の等化パターンおよび第2の等化パターンと異なる第3の等化パターンを適用する回路をさらに備えてもよい。ヘッドフォンは、無線通信ネットワークから着信伝送を無線で受信する第2の受信器をさらに備えてもよい。第1の受信器はさらに、無線通信ネットワークから着信伝送を無線で受信するためのものであってもよい。ヘッドフォンは、物理伝送媒体(physical transmission medium)を通じて着信伝送を受信する回路をさらに備えてもよい。ヘッドフォンは、インイヤ式イヤフォンであってもよい。
【0005】
別の態様では、ヘッドフォンを動作させる方法は、着信携帯電話伝送を無線で受信するステップと、携帯電話伝送の起点が携帯電話、固定電話装置またはコンピュータであるかを判定するステップと、着信携帯電話伝送の起点が携帯電話であることに応じて、第1の等化パターンを、着信携帯電話伝送に適用するステップと、着信携帯電話伝送の起点が固定電話装置またはコンピュータであることに応じて、第1の等化パターンと異なる第2の等化パターンを、着信携帯電話伝送に適用するステップとを含む。方法が、第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、あるいはその両方のオーディオ信号の振幅を測定するステップと、第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、またはその両方の振幅が閾値振幅を下回ることに応じて、着信携帯電話伝送の起点が携帯電話であると判定するステップと、第1の閾値周波数を上回る、または閾値周波数を下回る周波数成分が閾値振幅を上回ることに応じて、着信携帯電話伝送の起点が固定電話装置またはコンピュータであると判定するステップとを含んでもよい。
【0006】
別の態様では、ヘッドフォンを動作させる方法は、着信携帯電話伝送を無線で受信するステップと、第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、またはその両方の携帯電話伝送のオーディオ信号の振幅を測定するステップと、第1の閾値周波数を上回る、第2の閾値周波数を下回る、またはその両方の振幅が閾値振幅を下回ることに応じて、第1の等化パターンを着信携帯電話伝送に適用するステップと、第1の閾値周波数を上回る、および閾値周波数を下回る振幅が閾値振幅を上回ることに応じて、第1の等化パターンと異なる第2の等化パターンを着信携帯電話伝送に適用するステップとを含んでもよい。
【0007】
他の特徴、目的、および利点は、以下の図面とともに読むと、以下の発明を実施するための形態から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】無線オーディオデバイスおよびイヤフォンの図である。
図1B】無線オーディオデバイス、無線通信デバイス、および物理通信リンクの図である。
図2】ブロック図の形で示された、無線オーディオデバイスおよびイヤフォンの図である。
図3】無線オーディオデバイスおよび無線通信ネットワークの図である。
図4】2つのタイプの無線伝送の、周波数と信号振幅の関係を示すグラフである。
図5】携帯電話伝送の音声品質を改善するための過程のブロック図である。
図6図5のブロックのうちの1つの代替案を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面のいくつかの図の諸要素は、ブロック図に個別要素として図示され説明されることがあり、また「回路」と呼ばれることがあるが、別段の断りがない限り、これらの要素は、アナログ回路、デジタル回路、またはソフトウェア命令を実行する1つもしくは複数のマイクロプロセッサのうちの1つもしくはそれらの組合せとして実施することができる。ソフトウェア命令には、デジタル信号処理(DSP)命令が含まれうる。諸動作は、アナログ回路またはマイクロプロセッサによって実施することができ、このマイクロプロセッサは、数学的または論理的にアナログ動作と等価なものを実施するソフトウェアを実行する。同様に「論理回路」は、ANDゲートやORゲートなどの論理要素を指してもよく、またソフトウェア命令を実行するマイクロプロセッサを指してもよく、また同様に同等の機能を実行するアナログ回路を指してもよい。論理回路によって実行される動作は、デジタル回路要素によっても、ソフトウェア命令を実行するマイクロプロセッサによっても、またアナログ回路によっても実行することができる。別段の断りがない限り、信号線は、個別のアナログ信号線もしくはデジタル信号線として、オーディオ信号の別々の流れを処理する適切な信号処理を備えた単一の個別のデジタル信号線として、または無線通信システムの要素として実施されてもよい。処理の一部はブロック図で説明されることがある。各ブロックで実施される動作は、1つの要素によっても複数の要素によっても実施することができ、また時間的に分離されていてよい。あるブロックの動作を実施する諸要素は、物理的に分離されていてよい。別段の断りがない限り、オーディオ信号、映像信号、またはその両方は、デジタル形式またはアナログ形式のいずれかで符号化され伝送されてよく、また従来のデジタル/アナログ変換器またはアナログ/デジタル変換器が図に示されていないこともある。本明細書で使用される「ヘッドフォン」には、片耳または両耳にはめ込まれるイヤフォン、および2つのイヤフォンを有する機器が含まれる。当該イヤフォンは両耳に密着されるか周囲に取りつけられ、マイクロフォンを含んでも含まなくてもよい。
【0010】
図1Aは、無線オーディオデバイス10およびイヤフォン12を示す。無線オーディオデバイス10は、携帯電話としてだけでなく、無線でデータを通信することができるモバイルコンピュータとしても機能するように設計された「スマートな」携帯電話であってもよく、また、例えば、音楽、録音された本や音声による資料などの言語情報、またはビデオなどのマルチメディア情報を記憶し、再生することができる媒体記憶装置として機能するように設計されていてもよい。無線オーディオデバイス10およびイヤフォン12は、(アンテナ14で示されているように、例えばBluetooth(登録商標)無線通信プロトコルを使用して)無線で通信する。この通信は、無線オーディオデバイス10からイヤフォン12への一方向のものでも、また双方向のものでもよい。無線オーディオデバイス10は、非オーディオ機能を実行するコンポーネント、例えば、コンピュータ「アプリ(apps)」を実行するため、データを視覚的に表示してデータの操作を可能にするため、またはその両方もしくは一方のマイクロプロセッサ、を備えることができる。
【0011】
図1Bは、2つの無線デバイス10(例えば、携帯電話)、11(例えば、無線通信ネットワークまたはラジオ放送)、およびヘッドフォン13を示す。ヘッドフォン13はマイクロフォン15を含んでもよい。ヘッドフォンは、無線デバイス10、無線デバイス11と無線で通信することに加えて、(例えば、航空機上の通信システムにつながる)物理通信リンク17を通じても通信することができる。
【0012】
図2は、ブロック図の形式で、無線オーディオデバイス10およびイヤフォン12をさらなる詳細情報とともに示す。オーディオデバイス10は、内部記憶装置16、ブロック18で表されているように、オーディオ信号を無線で、例えばインターネットから受信するデータ受信器、およびブロック20によって表されているように、携帯電話伝送を受信する携帯電話受信器を含む。データ受信器および携帯電話受信器は、一部またはすべてのコンポーネントを共有することができる。例えば、図示していない、バッテリ充電装置、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、または取外し可能なアタッチメント向けの他のポートなどのための追加の端末があってもよい。
【0013】
図1Aの無線オーディオデバイス10は、図2においてスイッチ22によって表されている、内部記憶装置16、インターネットブロック18、または携帯電話ブロック20(もしくは別のオーディオ信号ソース)のうちの1つから信号を選択し、イヤフォン12への無線伝送を実現するための回路を備えることができる。このスイッチは、ユーザが操作可能な物理スイッチまたは仮想スイッチであってもよく、またハイアラーキー(hierarchy)に基づいて、または無線オーディオデバイス10においてマイクロプロセッサによって実行されるコンピュータプログラムによって、ソースを選択する論理回路であってもよい。
【0014】
同様に、図1Bの無線オーディオデバイス10は、図2においてスイッチ22によって表されている、内部記憶装置16、インターネットブロック18、または携帯電話ブロック20(もしくは別のオーディオ信号ソース)のうちの1つから信号を選択し、ヘッドフォン13への無線伝送を実現するための回路を備えることができる。このスイッチは、ユーザが操作可能な物理スイッチまたは仮想スイッチであってもよく、またハイアラーキーに基づいて、または無線オーディオデバイス10においてマイクロプロセッサによって実行されるコンピュータプログラムによって、ソースを選択する論理回路であってもよい。図1Bのヘッドフォンもまた、無線オーディオデバイス10、無線オーディオデバイス11、または物理通信リンク17のうちの1つから信号を選択し、再生するための回路(図示せず)を備えることができる。以下の記述は、図1Aの実装を対象とするが、同じ原理は、図1Bの実装を対象とすることができる。
【0015】
動作に際しては、選択されたソースからのオーディオ信号が、オーディオデバイス10からイヤフォン12まで、無線で伝送される。イヤフォン12は、オーディオ信号を音響エネルギーに変換し、音響エネルギーは、イヤフォンを通じてユーザの耳の中に放射される。
【0016】
オーディオデバイスは、オーディオデバイスからイヤフォンにオーディオ信号を通信することに加えて、オーディオ信号のソースを識別するデータを通信することもできる。イヤフォンは、ブロック23によって表されているようなオーディオ信号処理を、オーディオ信号に適用する。処理の一部は、オーディオ信号のタイプに固有であってもよい。例えば、処理は、等化(EQ)ブロック24、EQブロック26、およびEQブロック28によって表されているように、オーディオ信号のタイプに応じた様々な等化パターンを含むことができる。等化されたオーディオ信号は、次いで、増幅器30によって表されているように、増幅または減衰可能であり、また音響ドライバ32によって表されているように、音響エネルギーに変換可能である。
【0017】
図3は、オーディオデバイス10およびイヤフォン12を、携帯電話オーディオ信号(cell phone audio signal)を伝送するための、ネットワークの追加のコンポーネントとともに示す。携帯電話オーディオ信号は、携帯電話塔34で表された携帯電話ネットワークによってオーディオデバイス10に伝送される。携帯電話伝送の起点は、携帯電話36、「固定電話」装置(すなわち、例えば導電性ワイヤや光ファイバなどの物理通信リンク40によってネットワークに接続され、次いで携帯電話ネットワークに通信する、電話38などの装置)、または、物理通信リンク40により、もしくはアンテナ14によって示されるような無線により、ネットワークに接続可能でオーディオデータまたは視聴覚(audio-visual)データを通信するコンピュータ39(ラップトップ、ノートパッド、もしくはハンドヘルドコンピュータを含む)のいずれかであってよい。図3は、オーディオ信号の起点とイヤフォン12との間にある装置の必ずしもすべてではないがその一部を示す簡略図である。
【0018】
従来、イヤフォン12が利用可能なデータは、オーディオ信号のソースを携帯電話伝送として識別することができるが、起点が携帯電話である携帯電話伝送、または固定電話装置もしくはコンピュータとの間を区別しない。したがって、イヤフォンは、オーディオ信号の起点が携帯電話であるか、固定電話装置であるかにかかわらず、同じEQパターンを、着信携帯電話オーディオ信号に適用する。これは望ましくない結果をもたらす場合がある。図4に示すように、携帯電話を起点とする着信携帯電話伝送は、固定電話またはコンピュータを起点とする着信携帯電話伝送より、多様な周波数成分を有している場合がある。図4の曲線42は、携帯電話に由来する例示的な携帯電話伝送の周波数応答を表す。図4の曲線44は、固定電話装置に由来する例示的な携帯電話伝送の周波数応答を表す。曲線42は、約300Hzで始まる急傾斜の低周波減衰を有し、一方、曲線44は、300Hzから100Hzにかけて実質的に横ばいである。200Hzでは、低周波dB SPL/Vは、曲線42の場合、曲線44の場合よりも約10dB低い。したがって、携帯電話に由来する伝送に対する所望の周波数応答の達成に適切なEQパターンが、固定電話装置に由来する伝送に適用された場合、約300Hz未満の周波数への過度の増強がありえるので、低音域が過大になる場合があり、音声が「低音が出過ぎて(boomy)」または「濁って(muddy)」聞こえうる。固定電話に由来する伝送に適切なEQパターンが、携帯電話に由来する伝送に適用された場合、低音域が不十分になる場合があり、音声が「か細く(tiny)」または「金属的に(tinny)」聞こえうる。曲線42の高周波数成分は、曲線44の高周波数成分よりも低い場合がある。例えば、約1500Hzでは、曲線の高周波dB SPL/Vは、曲線44の場合、曲線42の場合よりも約5dB高く、この差は、2kHzでは8dBまで、3kHzでは12dBまで拡大する場合がある。携帯電話に由来する伝送に対する所望の周波数応答の達成に適切なEQパターンが、固定電話装置に由来する伝送に適用された場合、約1kHzを上回る周波数への過度の増強がありえる。固定電話装置に由来する伝送に適切なEQパターンが、携帯電話に由来する伝送に適用された場合、約1kHzを上回る周波数成分が不十分になる場合がある。1kHzから3kHzの周波数帯域は音声帯域にとって重要な部分なので、1kHzから3kHzの周波数帯域における過大または不適切な周波数成分は、音声の了解度に悪影響を与える恐れがある。
【0019】
図5は、イヤフォン12によって受信される携帯電話伝送の音声品質を改善するための方法を示す。図5のイヤフォンでは、様々な等化パターン124、126、128が、内部記憶装置(図2の16)、インターネット接続(例えば、図2の18)、または別の装置からそれぞれ受信されたオーディオ信号に適用される。無線で受信されたデータが携帯電話伝送の場合、ブロック50Aによって表されているように追加のステップが実行される。ブロック50Aでは、イヤフォンが、着信携帯電話伝送の起点が携帯電話であるか、それとも固定電話装置であるかを判定する。着信携帯電話伝送の起点が携帯電話である場合、オーディオ処理ブロック23は、携帯電話に由来する周波数応答に適切な等化パターンを適用する。着信携帯電話伝送の起点が固定電話装置である場合、オーディオ処理ブロック23は、固定電話装置に由来する周波数応答に適切な等化パターンを適用する。通常、携帯電話に由来する周波数応答向けの等化パターンであれば、低音域の領域(特に200Hz未満)において、固定電話装置の周波数応答向けの等化パターンよりも増強することになる。
【0020】
図5の動作は通常、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)によって実行される。
【0021】
ある場合には、着信携帯電話伝送の起点の指示が伝送自体に存在しないことがある。他の場合には、携帯電話に由来する着信携帯電話通話が、固定電話に由来する着信携帯電話通話に典型的である周波数成分を有している場合がある、または固定電話に由来する着信携帯電話通話が、携帯電話に由来する携帯電話通話に、より典型的である周波数成分を有している場合がある。着信携帯電話通話の周波数成分に影響を与える要素の中には、伝送路内の装置(例えば、マイクロフォンやルータ)の能力、インターネット接続の帯域、およびオーディオ信号を伝送路の中で処理するソフトウェアが含まれる。
【0022】
図6は、起点が識別されない、もしくは誤識別される、または着信携帯電話伝送が非典型的な周波数応答を有する(例えば、固定電話に由来する携帯電話伝送が、携帯電話に由来する携帯電話伝送に典型的である周波数成分を有する)場合に適切なEQパターンを適用する、図5のブロック50Aの動作の代替案を示す。ブロック50Bでは、例えば、200Hz未満や2kHz超などの、周波数閾値を上回る、または下回るオーディオ信号の振幅が決定される。アナログ信号の電圧を単に測定することにより、またはオーディオ信号のデジタル表示(digital representation)を解釈することにより、オーディオ信号の振幅を測定することができる。閾値を下回る、または上回る振幅が閾値量より小さい、例えば、-5dBV/Vまたは-5dB SPL/Vである場合、オーディオ処理ブロックは、携帯電話に由来する周波数応答に適切な等化パターンを適用する。閾値周波数を上回る、または下回る振幅が閾値量より大きい場合、オーディオ処理ブロック23は、固定電話装置に由来する周波数応答に適切な等化パターンを適用する。
【0023】
本明細書で開示された特定の装置および技法の様々な使用、ならびにその装置および技法からの展開は、本発明の概念から逸脱することなく、行うことができる。したがって、本発明は、本明細書で開示され、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定される、あらゆる新規の特徴および新規の特徴の組合せを包含するものとみなされるべきである。
【符号の説明】
【0024】
10 無線オーディオデバイス
11 無線オーディオデバイス
12 イヤフォン
13 ヘッドフォン
14 アンテナ
15 マイクロフォン
16 内部記憶装置
17 物理通信リンク
18 インターネットブロック
20 携帯電話ブロック
22 スイッチ
23 オーディオ処理ブロック
24 EQブロック
26 EQブロック
28 EQブロック
30 増幅器
32 音響ドライバ
34 携帯電話塔
36 携帯電話
38 電話
39 コンピュータ
40 物理通信リンク
図1A
図1B
図2
図3
図5
図6
図4