【文献】
Nortel Networks,Consideration on UL RACH scheme for LTE,3GPP TSG-RAN WG1#44 R1-060653,2006年 2月
【文献】
Panasonic, NTT DoCoMo,Random access sequence comparison for E-UTRA,3GPP TSG-RAN WG1#46 R1-062174,2006年 8月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
まず、Zadoff-Chu系列について式を用いて示す。系列長NのZadoff-Chu系列は、Nが偶数の場合、式(3)によって表され、Nが奇数の場合、式(4)によって表される。
【数3】
【数4】
ただし、k=0,1,2,…,N−1、qは任意の整数、rは系列番号(Sequence index)である。なお、rはNとは互いに素の関係を有し、かつ、Nより小さい正の整数である。
【0016】
次に、GCL系列について式を用いて示す。系列長NのGCL系列は、Nが偶数の場合、式(5)によって表され、Nが奇数の場合、式(6)によって表される。
【数5】
【数6】
ただし、k=0,1,2,…,N−1、qは任意の整数、rはNとは互いに素の関係を有し、かつ、Nより小さい整数であり、b
i(k mod m)は、任意の複素数であり、i=0,1,…,m−1である。また、GCL系列間の相互相関を最小にする場合、b
i(k mod m)は振幅1の任意の複素数を用いる。
【0017】
GCL系列は、Zadoff-Chu系列にb
i(k mod m)を乗算した系列であり、受信側の相関演算はZadoff-Chu系列と同様であるため、以下、Zadoff-Chu系列を例に説明する。また、以下においては、RAバーストのプリアンブル系列として、系列長Nが奇数かつ素数のZadoff-Chu系列を用いる場合について説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。この図において、無線リソース管理部51は、複数のBS(#1〜#M)100−1〜100−Mに割り当てる無線リソースを管理し、系列割当部52及び通知部53を備える。
【0019】
系列割当部52は、配下のBSが管理するセルにZadoff-Chu系列の系列番号rを割り当て、割り当てた系列番号rを通知部53に出力する。通知部53は、系列割当部52から出力された系列番号rを示すインデックスをBS100−1〜100−Mに通知する。なお、系列割当部52及び通知部53の詳細については、後述する。
【0020】
BS100−1〜100−Mは、系列割当部52から通知されたインデックスを自セル内のUEに報知し、UEから送信されたプリアンブル系列を検出する。BS100−1〜100−Mは全て同一の機能を有することから、以下の説明では、BS100として一括して扱うものとする。
【0021】
図2は、
図1に示したBS100の構成を示すブロック図である。この図において、報知チャネル処理部101は、報知チャネル生成部102、符号化部103、変調部104を備えている。報知チャネル生成部102は、
図1に示した通知部53から通知されたインデックスを含めて、下り制御チャネルである報知チャネル(Broadcast channel)を生成する。生成された報知チャネルは符号化部103に出力される。
【0022】
符号化部103は、報知チャネル生成部102から出力された報知チャネルを符号化し、変調部104は、符号化された報知チャネルをBPSK、QPSKなどの変調方式によって変調する。変調された報知チャネルは多重部108に出力される。
【0023】
DLデータ送信処理部105は、符号化部106及び変調部107を備え、DL送信データの送信処理を行う。符号化部106は、DL送信データを符号化し、変調部107は、符号化されたDL送信データをBPSK、QPSKなどの変調方式によって変調し、変調したDL送信データを多重部108に出力する。
【0024】
多重部108は、変調部104から出力された報知チャネルと、変調部107から出力されたDL送信データとを時間多重、周波数多重、空間多重、または、符号多重を行い、多重信号を送信RF部109に出力する。
【0025】
送信RF部109は、多重部108から出力された多重信号にD/A変換、フィルタリング、アップコンバート等の所定の無線送信処理を施し、無線送信処理を施した信号をアンテナ110から送信する。
【0026】
受信RF部111は、アンテナ110を介して受信した信号にダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を施し、無線受信処理を施した信号を分離部112に出力する。
【0027】
分離部112は、受信RF部111から出力された信号をRAスロットとULデータスロットとに分離し、分離したRAスロットをプリアンブル系列検出部114に、ULデータスロットをULデータ受信処理部115の復調部116にそれぞれ出力する。
【0028】
プリアンブル系列テーブル記憶部113は、
図1に示した系列割当部52が割り当て可能なプリアンブル系列、この系列の番号及びこれらの組み合わせを示すインデックスを対応付けたプリアンブル系列テーブルを記憶し、
図1に示した通知部53から通知されたインデックスに対応するプリアンブル系列をテーブルから読み出し、該当するプリアンブル系列をプリアンブル系列検出部114に出力する。
【0029】
プリアンブル系列検出部114は、分離部112から出力されたRAスロットについて、プリアンブル系列テーブル記憶部113に記憶されたシグネチャを用いて相関処理等のプリアンブル波形検出処理を行い、プリアンブル系列がUEから送信されたか否かを検出する。検出結果(RAバースト検出情報)は図示せぬ上位層に出力される。
【0030】
ULデータ受信処理部115は、復調部116及び復号化部117を備え、ULデータの受信処理を行う。復調部116は、分離部112から出力されたULデータの伝送路応答歪補正を行い、変調方式に対応した硬判定又は軟判定による信号点判定を行い、復号化部117は、復調部116による信号点判定の結果について誤り訂正処理を行い、UL受信データを出力する。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態1に係るUE150の構成を示すブロック図である。この図において、受信RF部152は、
図1に示したBSから送信された信号をアンテナ151を介して受信し、受信した信号にダウンコンバート、A/D変換等の所定の無線受信処理を施し、無線受信処理を施した信号を分離部153に出力する。
【0032】
分離部153は、受信RF部152から出力された信号に含まれる報知チャネルとDLデータとをそれぞれ分離し、分離したDLデータをDLデータ受信処理部154の復調部155に、報知チャネルを報知チャネル受信処理部157の復調部158に出力する。
【0033】
DLデータ受信処理部154は、復調部155及び復号化部156を備え、DLデータの受信処理を行う。復調部155は、分離部153から出力されたDLデータの伝送路応答歪補正を行い、変調方式に対応した硬判定又は軟判定による信号点判定を行い、復号化部156は、復調部155による信号点判定結果について誤り訂正処理を行い、DL受信データを出力する。
【0034】
報知チャネル受信処理部157は、復調部158、復号化部159及び報知チャネル処理部160を備え、報知チャネルの受信処理を行う。復調部158は、分離部153から出力された報知チャネルの伝送路応答歪補正を行い、変調方式に対応した硬判定又は軟判定による信号点判定を行い、復号化部159は、復調部158による報知チャネルの信号点判定結果について誤り訂正処理を行う。誤り訂正処理された報知チャネルは報知チャネル処理部160に出力される。報知チャネル処理部160は、復号化部159から出力された報知チャネルに含まれるインデックスをプリアンブル系列テーブル記憶部161に、その他の報知チャネルは図示せぬ上位層に出力する。
【0035】
プリアンブル系列記憶部161は、
図2に示したBS100のプリアンブル系列テーブル記憶部113が有するプリアンブル系列テーブルを記憶する。すなわち、
図1に示した系列割当部52が割り当て可能なプリアンブル系列、この系列の番号及びこれらの組み合わせを示すインデックスを対応付けたプリアンブル系列テーブルを記憶する。そして、報知チャネル処理部160から出力されたインデックスに対応するプリアンブル系列をRAバースト生成部162に出力する。
【0036】
RAバースト生成部162は、図示せぬ上位層からRAバースト送信指示を取得すると、プリアンブル系列テーブル記憶部161から利用可能なプリアンブル系列の1つを選択し、選択したプリアンブル系列を含めてRAバーストを生成し、生成したRAバーストを多重部166に出力する。
【0037】
ULデータ送信処理部163は、符号化部164及び変調部165を備え、UL送信データの送信処理を行う。符号化部164は、UL送信データを符号化し、変調部165は、符号化されたUL送信データをBPSK、QPSKなどの変調方式によって変調し、変調したUL送信データを多重部166に出力する。
【0038】
多重部166は、RAバースト生成部162から出力されたRAバーストと、変調部165から出力されたUL送信データとを多重し、多重信号を送信RF部167に出力する。
【0039】
送信RF部167は、多重部166から出力された多重信号にD/A変換、フィルタリング、アップコンバート等の所定の無線送信処理を施し、無線送信処理を施した信号をアンテナ151から送信する。
【0040】
次に、
図1に示した系列割当部52の動作について
図4を用いて説明する。
図4において、ステップ(以下、「ST」と省略する)201では、カウンタa及び現在の系列割当数pを初期化(a=1、p=0)する。また、1セルへの割当数をKとする。
【0041】
ST202では、現在の系列割当数pが1セルへの割当数Kと一致するか否かを判定する。一致する場合には、現在の系列割当数pが1セルへの割当数Kに達したため系列割当処理を終了し、一致しない場合には、まだ系列割り当てを行う必要があるためST203に移行する。
【0042】
ST203では、1セルへの割当数Kから現在の系列割当数pを差し引いた値が1と一致するか否かを判定する。一致する場合には、ST207に移行し、一致しない場合には、ST204に移行する。
【0043】
ST204では、系列番号r=a及びr=N−aが割り当て済みであるか否かを判定し、いずれか一方でも割り当て済みである場合には、ST205に移行し、割り当て済みではない場合には、ST206に移行する。
【0044】
ST205では、ST204においてr=a、r=N−aのいずれか一方あるいは両方が既に割り当てられていると判定されたので、カウンタaをインクリメント(a=a+1に更新)し、ST204に戻る。
【0045】
ST206では、ST204において、いずれのセルに対しても割り当てられていないと判定された系列番号r=a及びr=N−aを割り当て、現在の系列割当数pをp=p+2に更新し、カウンタaをインクリメント(a=a+1に更新)してST202に戻る。
【0046】
ST207では、ST203において、カウンタaをa=1に初期化し、ST208では、系列番号r=aが割り当て済みであるか否かを判定する。割り当て済みである場合には、ST210に移行し、割り当て済みではない場合には、ST209に移行する。
【0047】
ST209では、ST208において割り当てられていないと判定された系列番号r=aを割り当て、系列割当処理を終了する。
【0048】
ST210では、ST208において割り当てられていると判定されたので、系列番号r=N−aが割り当て済みであるか否かを判定する。割り当て済みである場合には、ST211に移行し、割り当て済みではない場合には、ST212に移行する。
【0049】
ST211では、ST210において割り当てられていると判定されたので、カウンタaをインクリメント(a=a+1に更新)し、ST208に戻る。
【0050】
ST212では、ST210において割り当てられていないと判定された系列番号r=N−aを割り当て、系列割当処理を終了する。
【0051】
なお、ST208〜ST211では、割り当て系列数が奇数の場合に、ペアを組めない系列について割り当てる系列を系列番号の若い順に検索する手順を示しているが、割り当てられていない系列をランダムに選択して割り当てるようにしてもよい。
【0052】
このような系列割当処理を行うことにより、
図5に示すような系列割当を行うことができる。
図5Aは、各セル(ここでは、BS#1及びBS#2)にそれぞれ4系列(偶数)を割り当てた場合を示している。すなわち、BS#1には、系列番号r=1,2,N−1,N−2を割り当て、BS#2には、系列番号r=3,4,N−3,N−4を割り当てている。なお、割当数が2以上の場合、割り当てる各組(a
1、N−a
1)、(a
2、N−a
2)…のa
1,a
2、…は利用可能な系列から任意に選択してもよい。
【0053】
また、
図5Bは、各セルにそれぞれ3系列(奇数)を割り当てた場合を示している。すなわち、BS#1には、系列番号r=1,2,N−1を割り当て、BS#2には、系列番号r=3,N−3,N−2を割り当てている。割当数が奇数の場合にも、r=a、r=N−aを組み合わせて割り当て、ペアを組めない系列については所定の選択規則に基づいて選択して、割り当てる。
【0054】
続いて、通知部53のインデックス通知方法について説明する。系列割当部52が各セルに割り当てた系列番号は、
図6に示すようなテーブルに従って、インデックスが決定される。
図6では、インデックス1に系列番号r=1,N−1の組み合わせが対応付けられ、インデックス2に系列番号r=2,N−2の組み合わせが対応付けられている。インデックス3以降も同様に対応付けられている。なお、図中、floor(N/2)は、N/2を越えない整数を表す。
【0055】
このように決定されたインデックスは、BSから報知チャネルによってUEに報知される。UE側でも、
図6に示すテーブルと同じテーブルを備え、通知されたインデックスを用いて、利用可能な系列番号のペアを特定することができる。
【0056】
このように、系列番号r=a、r=N−aの組みに対して1つのインデックスを割り当てることで、通知に必要なシグナリングビット数を低減することができる。
【0057】
なお、系列番号1つ1つに対してインデックスを付与して通知するなど、別の通知方法であってもよい。
【0058】
また、1つのインデックスに対して割り当てる系列番号を4,8、・・・と増加させることで、通知に必要なシグナリングビット数をさらに低減することができる。
【0059】
次に、
図2に示したプリアンブル系列検出部114について説明する。
図7は、
図2に示したプリアンブル系列検出部114の内部構成を示す図である。ここでは、系列長N=11の場合を例示する。
【0060】
図7において、遅延器Dからの入力信号をr(k)=a
k+jb
k、系列番号r=aのZadoff-Chu系列の各係数をa
r=a*(k)=c
k+jd
kとすると、複素乗算部xは、系列r=a側の相関に対する演算結果をa
kc
k−b
kd
k+j(b
kc
k+a
kd
k)とする。一方、系列番号r=N−aのZadoff-Chu系列の各係数はa
r=N−a*(k)=(a
r=a*(k))
*=c
k−jd
kであり、系列r=N−a側の相関に対する演算結果は、a
kc
k+b
kd
k+j(b
kc
k−a
kd
k)となる。
【0061】
したがって、系列r=a側の相関値を得るために行った乗算演算結果のうち、a
kc
k、b
kd
k、b
kc
k、a
kd
kは、系列r=N−a側の相関値の算出に利用できるため、乗算演算量を低減することができ、回路規模(乗算器数)を削減することができる。
【0062】
なお、
図7からも分かるように、1つのZadoff-Chu系列は、偶対象の系列(系列の各要素がa
r(k)=a
r(N−1−k))の関係にあるため、相関器では、乗算演算の前にkとN−1−kの要素を加算した乗算処理を行うことにより、乗算回数(乗算器数)をさらに半分に削減することができる。
【0063】
このように本実施の形態によれば、1つのセルに複数の異なるZadoff-Chu系列を割り当てる場合、系列の各要素が複素共役の関係にある系列番号を組み合わせて割り当てることにより、系列の検出特性を劣化させることなく、受信側での相関回路の演算量及び回路規模を削減することができる。
【0064】
なお、本実施の形態では、系列長Nが素数(奇数)の場合について説明したが、系列長Nが非素数(奇数、偶数問わず)であってもよい。系列長Nが素数でない場合は、システム全体で利用可能な最適な自己相関特性をもつ系列番号rは、系列長Nに対して互いに素であることを満たす必要がある。
【0065】
系列長Nが偶数の場合、プリアンブル系列の割り当て規則をr=a→r=N−a→r=N/2−a→r=N/2+a(ただし、1≦a≦N/2−1とする。また、割り当て順序は任意でよい)とすることにより、1系列分の乗算演算量(乗算器数)で異なる4系列の相関演算を行うことができる。これは、系列r=aとr=N−aは互いに複素共役の関係であり、r=aとr=N/2−aは、実部と虚部の値を入れ替え、符号が異なる関係にあるため、乗算演算結果をそのまま利用することが可能となる。よって、1系列の乗算演算量及び乗算器数はおよそ1/4にすることができる。また、系列長Nが偶数の場合、系列割当通知方法として、
図8に示すように、r=(a、N−a、N/2−a、N/2+a)の4系列の組に対して、1つのインデックスを割り当てることにより、系列割当通知に要するビット数をさらに削減することができる。
【0066】
また、本実施の形態では、ランダムアクセスで利用するプリアンブル系列を例に説明したが、本発明はこれに限らず、既知信号として、1つのBSで複数のZadoff-Chu系列又はGCL系列を用いる場合にも適用することができる。このような既知信号としては、例えば、チャネル推定用参照信号、下り同期用パイロット信号(Synchronization channel)などが挙げられる。
【0067】
また、本実施の形態では、
図1に示すように、複数のBSに対して1つの系列割当部52が存在する集中管理型のシステム構成について説明したが、
図9に示すように、BS毎に系列割当部を備え、複数のBS間で互いに異なる系列番号rのZadoff-Chu系列を割り当てるように情報交換する分散管理型のシステム構成であってもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、複素共役と記載しているが、本発明はこれに限らず、実部と虚部の係数の振幅の絶対値が等しい関係であればよい。
【0069】
(実施の形態2)
実施の形態1では、プリアンブル系列の生成及び検出を時間領域において行う場合について説明したが、本発明の実施の形態2では、プリアンブル系列の生成及び検出を周波数領域において行う場合について説明する。
【0070】
本発明の実施の形態2に係るUEの構成は、実施の形態1における
図3に示した構成と同様であるため、
図3を援用して説明する。
【0071】
図10は、本発明の実施の形態2に係るRAバースト生成部162の構成を示すブロック図である。この図において、RAバースト生成部162は、ZC系列生成部171、IDFT部172及びCP付加部173を備えている。
【0072】
ZC系列生成部171は、Zadoff-Chu系列を周波数領域において生成し、生成したZadoff-Chu系列の各係数(シンボル)をIDFT部172の所定のサブキャリアに出力する。
【0073】
IDFT部172は、ZC系列生成部171から所定のサブキャリアに出力されたZadoff-Chu系列及び残りのサブキャリアにNULL(値:ゼロ)を含めた入力信号列に対して逆離散フーリエ変換(IDFT: Inverse Discrete Fourier Transform)を施し、時間領域信号をCP付加部173に出力する。
【0074】
CP付加部173は、IDFT部172から出力された時間領域信号に対してサイクリックプレフィックス(CP: Cyclic Prefix)を付加した時間領域信号を多重部166に出力する。ここで、CPは、IDFT部172から出力された時間領域信号の末尾から所定の長さの信号列を複製した系列を時間領域信号の先頭に付加した部分をさす。なお、CP付加部173は省略してもよい。
【0075】
次に、
図10に示したZC系列生成部171の周波数領域におけるZadoff-Chu系列の生成とIDFT部172のサブキャリアへの割り当て例について
図11を用いて説明する。
【0076】
まず、ZC系列生成部171において周波数領域にて生成されるZadoff-Chu系列について式を用いて示す。系列長NのZadoff-Chu系列は、Nが偶数の場合、式(7)によって表され、Nが奇数の場合、式(8)によって表される。
【0077】
ここでは、実施の形態1のZadoff-Chu系列と同一の式であるが、Zadoff-Chu系列を周波数領域で定義するため、実施の形態1の時間領域における定義と区別するため、記号を変えて再定義する。
【数7】
【数8】
ただし、n=0,1,2,…,N−1、qは任意の整数、uは系列番号(Sequence index)であり、Nとは互いに素の関係を有し、かつ、Nより小さい整数である。なお、式(7)、式(8)で表される周波数領域で生成されたZadoff-Chu系列は、フーリエ変換を行うことにより、時間領域で生成されたZadoff-Chu系列に変換することができる。すなわち、周波数領域で生成されたZadoff-Chu系列は、時間領域においてもZadoff-chu系列となる。
【0078】
ZC系列生成部171において、式(7)又は式(8)に基づいて生成されたZadoff-Chu系列の各係数C
u(n)は、
図11に示すように、IFFT部172のサブキャリアに対して、C
u(0)、C
u(1)、C
u(2)、・・・、C
u(N−1)の順に配置される。IFFT部172の残りのサブキャリアには、通常、NULL(入力信号なし、あるいは、値0)が設定される。
【0079】
本実施の形態に係る系列割当部52(
図1参照)の動作は、系列番号を示す記号がrからuに変わることを除き、実施の形態1の
図4と同一である。また、通知部53のインデックス通知方法についても、実施の形態1と同一であり、常に偶数個の系列を1つのセルに割り当てる場合は、系列u=aとu=N−aの組に対して1つのインデックスを与えることにより、系列割当通知時の所要ビット数を削減できる。
【0080】
なお、1つのインデックスに対して、割り当てる系列番号の組を4、8、・・・とすることで、系列割当通知時の所要ビット数をさらに削減する構成も可能である。
【0081】
本発明の実施の形態2に係るBSの構成は、実施の形態1における
図2に示した構成と同様であるため、
図2を援用して説明する。
【0082】
図12は、本発明の実施の形態2に係るプリアンブル系列検出部114の内部構成を示すブロック図である。この図において、プリアンブル系列検出部114は、DFT部181、複素乗算部182−1〜182−N−1、IDFT部183−1,183−2を備えている。ここでは、系列長N=11の場合を例示する。
【0083】
DFT部181は、分離部112から出力された受信信号に対して離散フーリエ変換(DFT: Discrete Fourier Transform)を施し、周波数領域信号を複素乗算部182−1〜182−N−1及びIDFT部183−1,183−2に出力する。
【0084】
なお、DFT処理及びIDFT処理をそれぞれFFT(Fast Fourier Transform)処理、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理に代えてもよい。
【0085】
ここで、DFT部181から出力される周波数領域信号をX(n)=Re{X(n)}+jIm{X(n)}とすると、系列番号u=aのZadoff-Chu系列の各係数をC
u=a*(n)=Re{C
u=a*(n)}+jIm{C
u=a*(n)}とすると、複素乗算部182−1〜182−N−1は、系列u=a側の相関に対する演算結果Y
u=a(n)は次式(9)のようになる。
【数9】
一方、系列番号u=N−aのZadoff-Chu系列の各係数は、C
u=N−a*(n)=(C
u=a*(n))
*=Re{C
u=a*(n)}−jIm{C
u=a*(n)}であり、系列u=N−a側の相関に対する演算結果Y
u=N−a(n)は次式(10)のようになる。
【数10】
【0086】
図13は、
図12に示した複素乗算部182−n(1≦n≦N−1)の内部構成を示すブロック図である。この図において、乗算部191−1は、Re{X(n)}とRe{C
u=a*(n)}とを乗算し、乗算結果を加算部192−1,192−3に出力する。
【0087】
また、乗算部191−2は、Im{X(n)}とIm{C
u=a*(n)}とを乗算し、乗算結果を加算部192−1,192−3に出力する。
【0088】
また、乗算部191−3は、Im{X(n)}とRe{C
u=a*(n)}とを乗算し、乗算結果を加算部192−2,192−4に出力する。
【0089】
さらに、乗算部191−4は、Re{X(n)}とIm{C
u=a*(n)}とを乗算し、乗算結果を加算部192−2,192−4に出力する。
【0090】
加算部192−1は、乗算部191−1,191−2から出力された乗算結果を加算し、加算結果Re{Y
u=a(n)}を出力する。また、加算部192−3は、乗算部191−1,192−2から出力された乗算結果を加算し、加算結果Re{Y
u=N−a(n)}を出力する。
【0091】
また、加算部192−2は、乗算部191−3,191−4から出力された乗算結果を加算し、加算結果Im{Y
u=a(n)}を出力する。また、加算部192−4は、乗算部191−3,192−4から出力された乗算結果を加算し、加算結果Im{Y
u=N−a(n)}を出力する。
【0092】
なお、
図13に示した複素乗算部182−nの内部構成は、実施の形態1における
図7に示した複素乗算部と同一の構成である。
【0093】
したがって、系列r=a側の相関値を得るために行った乗算演算結果は、Re{X(n)}・Re{C
u=a*(n)}、Im{X(n)}・Im{C
u=a*(n)}、Im{X(n)}・Re{C
u=a*(n)}、Re{X(n)}・Im{C
u=a*(n)}は、系列r=N−a側の相関値の算出に利用できるため、乗算演算量を低減することができ、回路規模(乗算器数)を削減することができる。
【0094】
なお、Nが奇数かつq=0の場合は、1つのZadoff-Chu系列は、偶対象の系列(系列の各要素がC
u(n)=C
u(N−1−k))の関係にあるため、相関器では、乗算演算の前にkとN−1−kの要素の加算処理を行うことにより、乗算回数(乗算器数)をさらに半分に削減することも可能である。
【0095】
このように実施の形態2によれば、1つのセルに複数の異なるZadoff-Chu系列を割り当てる場合、系列の各要素がC
u(n)の実部と虚部の係数の振幅の絶対値が等しい関係(又は複素共役の関係)にある系列番号を組み合わせて割り当てることにより、系列の検出特性を劣化させることなく、受信側での周波数領域における相関回路の演算量及び回路規模を削減することができる。
【0096】
なお、本実施の形態では、系列長Nが素数(奇数)の場合について説明したが、系列長Nが非素数(奇数、偶数問わず)であってもよい。ただし、系列長Nが偶数の場合、プリアンブル系列の割り当て規則をu=a→u=N−a→u=N/2−a→u=N/2+a(ただし、1≦a≦N/2−1とする。また、割り当て順序は任意でよい)とすることにより、1系列分の乗算演算量(乗算器数)で異なる4系列の相関演算を行うことができる。よって、1系列の乗算演算量及び乗算器数はおよそ1/4にすることができる。また、系列長Nが偶数の場合、系列割当通知方法として、
図8と同様に、u=(a、N−a、N/2−a、N/2+a)の4系列の組に対して、1つのインデックスを割り当てることにより、系列割当通知に要するビット数をさらに削減することができる。
【0097】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3では、プリアンブル系列を時間領域において生成し、プリアンブル系列の検出を周波数領域において行う場合について説明する。
【0098】
本発明の実施の形態3に係るUEの構成は、実施の形態1における
図3に示した構成と同様であるため、
図3を援用して説明する。
【0099】
図14は、本発明の実施の形態3に係るRAバースト生成部162の構成を示すブロック図である。
図14が
図10と異なる点は、N−point DFT部202を追加した点と、ZC系列生成部171をZC系列生成部201に変更した点である。
【0100】
ZC系列生成部201は、Zadoff-Chu系列を時間領域において生成し、生成したZadoff-Chu系列の各係数(シンボル)をN−point DFT部202に出力する。
【0101】
N−point DFT部202は、Zadoff-Chu系列の系列長Nと同じポイント数を有し、ZC系列生成部201から出力されたN点のZadoff-Chu系列を周波数成分に変換し、IDFT部172の所定のサブキャリアに出力する。
【0102】
なお、
図14は、DFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform-spread-Orthogonal Frequency Division Multiplexing)構成の例を示しており、N−point DFT部202、IDFT部172を用いずに、ZC系列生成部201からCP付加部173に出力するZadoff-Chu系列の時間領域信号を直接生成してもよい。
【0103】
なお、本実施の形態に係る系列割当部52(
図1参照)の動作は、組みで割り当てる系列番号r=a、r=N−aは実施の形態1と同一であるが、ZC系列生成部201において生成されるZadoff-Chu系列の式が異なる。
【0104】
具体的には、ZC系列生成部201において時間領域にて生成されるZadoff-Chu系列は、「r=aの系列とr=N−aをmだけ巡回シフトさせた系列」又は「r=aをmだけ巡回シフトさせた系列とr=N−aの系列」が組みとなるように割り当てられる。
【0105】
ここで、mは式(3)〜(6)のqの値により異なる。系列長Nが奇数の場合のmとqの関係を
図15に示す。例えば、q=0の場合はm=N−1(=−1)、q=1の場合はm=N−3(=−3)となる。
【0106】
系列長Nが素数かつq=0の場合、ZC系列生成部201において時間領域にて生成されるZadoff-Chu系列の定義は、r=aの系列とr=N−aをmだけ巡回シフトさせた系列とを組み合わせる場合、式(4)より次式(11)となる。
【数11】
ただし、modNは省略可能であるため、式(11)は次式(12)で表せる。
【数12】
同様に、r=aをmだけ巡回シフトさせた系列とr=N−aの系列とを組み合わせる場合、次式(13)となる。
【数13】
ただし、k=0,1,2,…,N−1、rは系列番号(Sequence index)である。また、rはNとは互いに素の関係を有し、かつ、Nより小さい整数である。
【0107】
続いて、本発明の実施の形態3に係る通知部53のインデックス通知方法について説明する。系列割当部52が各セルに割り当てた系列番号は、
図16に示すようなテーブルに従って、インデックスが決定される。
図16では、インデックス1に系列番号r=1,N−1及び初期シフト量mが対応付けられ、インデックス2に系列番号r=2,N−2及び初期シフト量mが対応付けられている。インデックス3以降も同様に対応付けられている。なお、図中、floor(N/2)は、N/2を越えない整数を表す。
【0108】
このように決定されたインデックスは、BSから報知チャネルによってUEに報知される。UE側でも、
図16に示すテーブルと同じテーブルを備え、通知されたインデックスを用いて、利用可能な系列番号のペアを特定することができる。
【0109】
このように実施の形態3によれば、1つのセルに複数の異なるZadoff-Chu系列を割り当てる場合、時間領域で定義するZadoff-Chu系列の各要素がC
r(k)の実部と虚部の係数の振幅の絶対値が等しい関係又は複素共役の関係にある系列番号を組み合わせて割り当て、さらに組みで割り当てる系列のいずれか一方または両方を所定の初期巡回シフト量を与えることにより、系列の検出特性を劣化させることなく、受信側での周波数領域における相関回路の演算量及び回路規模を削減することができる。
【0110】
なお、本実施の形態では、Zadoff-Chu系列を時間領域において定義し、プリアンブル検出を周波数領域で行う(周波数領域での相関演算)場合を例に説明したが、Zadoff-Chu系列を周波数領域において定義、プリアンブル検出を時間領域で行う(時間領域での相関演算)場合も実施の形態3と同様に、「u=aの系列とu=N−aを+aだけ巡回シフトさせた系列」又は「u=aを−aだけ巡回シフトさせた系列とu=N−aの系列」が組みとなるように割り当てることで、時間領域における2つのZadoff-Chu系列の各係数に対して、実部と虚部の係数の振幅の絶対値を等しい関係にすることができる。これにより、受信側での時間領域における相関回路の演算量及び回路規模を削減することができる。
【0111】
また、上記各実施の形態では、Zadoff-Chu系列を用いて説明したが、本発明はこれに限らず、GCL系列を用いてもよい。
【0112】
なお、上記各実施の形態では、系列割当部52及び通知部53が無線リソース管理部51あるいはBSに含まれる構成を例に説明したが、本発明はこれには限らず、系列割当部52及び通知部53を含み系列番号rを示すインデックスを通知可能な構成であれば、中継局(Relay Station)やUEなどの他の装置であってもよい。
【0113】
また、上記各実施の形態では、基地局(BS)及び端末局(UE)を例に説明したが、基地局は、アクセスポイント(AP:Access Point)、中継局(Relay station)、中継端末(Relay terminal)、NodeB, eNodeBなどと呼ばれることもある。また、端末局は、移動局(MS:Mobile station)、ステーション(Station)、UE(User Equipment)、終端局(TE:Termial end)、中継局、中継端末などと呼ばれることもある。
【0114】
上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアによって実現することも可能である。
【0115】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0116】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
【0117】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0118】
2006年9月29日出願の特願2006−269327及び2006年12月27日出願の特願2006−352897の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。