(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、例えばブラシに吐出された泡体を塗布するとき等に、当該ブラシが設けられた押下ヘッドをステムから離脱させ、泡体を塗布するための塗布部材として用いることから、泡体を円滑に塗布することが困難であり、操作性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、操作性を向上させることができる吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出器は、内容物が収容される容器本体の口部に、上方付勢状態で下方移動可能に立設されるステムを有する吐出機構と、前記ステムに装着された押下ヘッドと、を備え、該押下ヘッドには、一端開口部を通して前記ステム内に連通するとともに他端開口部が内容物を吐出する吐出口とされた流通路が形成された吐出器であって、前記押下ヘッドには、前記流通路に連通する連通口、および前記流通路を通して前記連通口から吐出される内容物を被塗布部に塗布するブラシが配設された塗布部材が、着脱可能に装着され、前記塗布部材を介して前記押下ヘッドを押し下げると、前記ステムが一体的に押し下げられ、前記塗布部材は、前記吐出口内に着脱可能に嵌合された嵌合筒部と、該嵌合筒部に内周縁が連結されるとともに表面に前記ブラシが配設された環状のブラシ板部と、
前記ブラシ板部の外周縁から下方に向けて延設される操作筒部と、を備え
、前記押下ヘッドには、前記操作筒部と同軸に配置され、前記操作筒部により径方向の外側から囲繞される囲繞筒部が備えられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、押下ヘッドに、前記塗布部材が着脱可能に装着されているので、押下ヘッドをステムに装着させたまま塗布部材を押下ヘッドから離脱させ、該塗布部材を用いて、例えばブラシに吐出された内容物を塗布したり、ブラシを洗浄したりすること等が可能になり、操作性を向上させることができる。
また押下ヘッドに、前記塗布部材が着脱可能に装着されているので、塗布部材を押下ヘッドから離脱させて当該吐出器を使用することで、吐出口から内容物を直接、例えば被塗布部や手などに吐出することも可能になり、塗布方法の多様化を図ることもできる。
【0008】
また、前記連通口内には、弾性変形可能な連通制御板が配設され、該連通制御板は、当該連通口から吐出される内容物により弾性変形させられて該連通口の開口面積を増大させるように構成されていてもよい。
【0009】
この場合、連通口から内容物が吐出されるときに、内容物により連通制御板が弾性変形させられて連通口の開口面積が増大し、その後、内容物の吐出が停止されると、連通制御板が復元変形して連通口の開口面積が元に戻る。
以上より、連通口から内容物が吐出されるときに、連通口の開口面積が増大するので、内容物を連通口から円滑に吐出することが可能になり、操作性を確保し易くすることができる。
また、内容物の吐出が停止されると、連通口の開口面積が元に戻るので、ブラシに吐出された内容物が連通口を逆流するのを抑制することができる。これにより、例えばブラシを被塗布部に押し当てて内容物を塗布するとき等にも、内容物が連通口を逆流し難くなり、内容物を被塗布部に円滑に塗布すること等が可能になり、更なる操作性の向上を図ることができる。
【0010】
また
、前記連通口は、前記ブラシ板部の表面から前記嵌合筒部の径方向の内側に向けて突設された邪魔板部により画成されていてもよい。
【0011】
この場合、連通口が、前記邪魔板部により画成されているので、ブラシに吐出された内容物が嵌合筒部内に逆流するのを邪魔板部により阻害することができる。これにより、例えばブラシを被塗布部に押し当てて内容物を塗布するとき等にも、内容物が嵌合筒部内に逆流し難くなり、内容物を被塗布部に円滑に塗布すること等が可能になり、更なる操作性の向上を図ることができる。
【0012】
また、前記押下ヘッドには、前記ステムに外装された装着筒部が備えられ、前記吐出機構は、前記ステムに連係して上下動する空気用ピストンおよび液用ピストンと、内部に前記空気用ピストンが上下摺動可能に配設された空気用シリンダと、内部に前記液用ピストンが上下摺動可能に配設された液用シリンダと、前記空気用シリンダから移送される空気と前記液用シリンダから移送される液体とを混合する気液混合室と、を備え、前記気液混合室で混合された気液混合体を発泡させて内容物を泡状にする発泡部材が設けられ、前記気液混合室は、前記ステム内に配設されるとともに、該ステムは、前記空気用シリンダ内に挿通され、前記空気用ピストンは、前記ステムに外装された内筒部と、前記空気用シリンダ内に嵌合された外筒部と、これらの内筒部と外筒部とを連結する連結部と、を備え、前記ステムの外周面側には、前記空気用シリンダの内部のうち、前記連結部よりも下方に画成される下室と、前記気液混合室と、を連通可能な連通路が形成され、該連通路は、前記ステムの外周面と、前記内筒部の内周面および前記装着筒部の内周面と、の間に設けられるとともに、前記装着筒部が、前記内筒部に気密に外嵌することにより、前記ステムの径方向の外側から閉塞されていてもよい。
【0013】
この場合、押下ヘッドの装着筒部が、空気用シリンダの内筒部に気密に外嵌することにより、連通路が、ステムの径方向の外側から閉塞されているので、例えば押下ヘッドとは別体に形成された筒状体などにより、連通路を、ステムの径方向の外側から閉塞する場合に比べて、当該吐出器の構造の簡素化を図ることができる。
また前述のように、例えばブラシに吐出された内容物を塗布したり、ブラシを洗浄したりするとき等に、押下ヘッドをステムに装着させたままにしておくことができるので、押下ヘッドの装着筒部が、空気用ピストンの内筒部に気密に外嵌された状態を保持することが可能になり、連通路の気密性を長期間にわたって維持し易くすることができる。すなわち、例えばブラシに吐出された内容物を塗布したり、ブラシを洗浄したりする度に、押下ヘッドの装着筒部を、空気用ピストンの内筒部から離脱させる場合、例えばこれらの装着筒部および内筒部が変形し易くなること等により、連通路の気密性を維持することが困難になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐出器によれば、ステムの構造の簡素化を図りつつ、ブラシの清潔性を保ち易くすることができるができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出器を備える吐出容器を説明する。
図1に示すように、吐出容器1は、液状の内容物が収容される容器本体2と、容器本体2に装着される吐出器10と、を備えている。吐出器10は、容器本体2の口部3に装着される装着キャップ11と、該装着キャップ11内に上方付勢状態で下方移動可能に挿通されたステム12を有するポンプ(吐出機構)13と、ステム12に外装された装着筒部14を有する押下ヘッド15と、を備えている。
【0017】
ここで容器本体2、装着キャップ11、ステム12および装着筒部14の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿った容器本体2の底部側を下側といい、下側の反対側を上側といい、軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
装着キャップ11は、容器本体2の口部3に螺着される下筒部16と、該下筒部16よりも小径な上筒部17と、が、連結段部18を介して連結された2段筒状をなしている。
上筒部17には、押下ヘッド15の下方への移動を規制する規制部材19が、着脱可能に装着されている。規制部材19は、当該吐出器10を上方から見た上面視においてC字状をなし、上筒部17に着脱可能に外嵌されており、該規制部材19には、径方向の外側に向けて把持部21が突設されている。
【0019】
ポンプ13は、前記ステム12と、ステム12に連係して上下動する空気用ピストン22および液用ピストン23と、内部に空気用ピストン22が上下摺動可能に配設された空気用シリンダ24と、内部に液用ピストン23が上下摺動可能に配設された液用シリンダ25と、空気用シリンダ24から移送される空気と液用シリンダ25から移送される内容物とを混合する気液混合室26と、を備えている。
なお空気用ピストン22、液用ピストン23、空気用シリンダ24および液用シリンダ25は、いずれも前記軸線Oと同軸の筒状に形成されている。
【0020】
空気用シリンダ24は、装着キャップ11の前記連結段部18の外周縁部と容器本体2の口部3の開口端部との間に上下方向に挟持される環状の取付け部27と、取付け部27の内周縁から下方に向けて延設された周壁部28と、周壁部28から径方向の内側に向けて突設された環状の底壁部29と、を備えている。底壁部29は、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、上方に向けて延在している。
【0021】
液用シリンダ25は、空気用シリンダ24と一体に形成されている。液用シリンダ25は、空気用シリンダ24の底壁部29の内周縁から下方に向けて延設された基筒部30と、基筒部30の下端から下方に向けて連設され、下方に向かうに従い漸次縮径するテーパ部31と、を備えている。また、液用シリンダ25における基筒部30とテーパ部31との連結部分の内周面には、上下方向に延在する縦リブ32が、周方向に間隔をあけて複数突設されている。さらにテーパ部31の下端には、前記軸線Oと同軸に配置された垂下筒33が、下方に向けて連設されている。
【0022】
液用ピストン23は、液用シリンダ25内に液密状態で上下摺動可能に嵌合する大径部34と、下端が大径部34に連結された小径部35と、を備えている。また液用ピストン23は、当該液用ピストン23における大径部34と小径部35との連結部分と、液用シリンダ25の前記縦リブ32と、の間に介装された付勢部材36により、上方に付勢されている。なお付勢部材36としては、例えばコイルスプリングや樹脂バネ等を採用することができる。
【0023】
ここで液用ピストン23、液用シリンダ25および付勢部材36内には、棒状の弁部材37が挿通されている。弁部材37の上端部には、液用ピストン23の上端部に形成された弁座部38に、該弁座部38の上方から着座する中空逆円錐状の上部弁体39が、該弁座部38に離反可能に形成されている。弁部材37の下端部には、液用シリンダ25のテーパ部31から上方に離反する下部弁体40が、該テーパ部31に着座可能に形成されている。また、下部弁体40の外周面には、液用シリンダ25の前記縦リブ32の間に配置されるガイド凸部41が突設されている。
【0024】
ステム12は、空気用シリンダ24内に挿通されており、ステム12の下端部は、液用ピストン23の小径部35に外嵌されている。またステム12には、径方向の外側に向けて突出する環状のフランジ部42と、径方向の内側に向けて突出する環状の台座部43が、下方からこの順に上下方向に間隔をあけて配置されている。そして、ステム12のうち、台座部43よりも上側に位置する上端部は、装着キャップ11の上筒部17内に配置されている。
気液混合室26は、ステム12内に配設されており、本実施形態では、ステム12の前記上端部内とされている。気液混合室26内には、台座部43に着座する球状の液吐出弁44が設けられており、該液吐出弁44は、台座部43に離反可能に形成されている。
【0025】
空気用ピストン22は、ステム12に外装された内筒部45と、空気用シリンダ24内に嵌合された外筒部46と、これらの内筒部45と外筒部46とを連結する連結部47と、を備えている。
連結部47は、内筒部45および外筒部46それぞれにおける上下方向の中央部同士を全周にわたって連結する環状に形成され、連結部47には、空気用シリンダ24の内部のうち、当該連結部47よりも上方に画成される上室48内と、当該連結部47よりも下方に画成される下室49内と、を連通する貫通孔50が形成されている。なお貫通孔50は1つ以上形成されていればよく、その形状、数は適宜選択することができる。
【0026】
内筒部45は、ステム12において前記フランジ部42よりも上側に位置し、かつ前記台座部43よりも下側に位置する摺動部分51に、上下摺動可能に外嵌されており、内筒部45の下端縁は、フランジ部42に離反可能に着座している。
また、内筒部45において連結部47との連結部分よりも下側に位置する部分には、弁筒部52が嵌合されている。弁筒部52の外周面には、前記貫通孔50を開閉する弾性変形可能な環状の外気導入弁53が突設されており、外気導入弁53の外周縁部は連結部47の下面に離反可能に密接している。
【0027】
ここで、ステム12の上端部には、気液混合室26で混合された気液混合体を発泡させて内容物を泡状にする発泡部材54が装着されている。発泡部材54は、装着キャップ11の上筒部17内に配置された筒状のケーシング55と、ケーシング55内に装着された2つの発泡エレメント56と、を備えている。
【0028】
ケーシング55は、拡径部57と縮径部58とが段部を介して連結されてなり、ケーシング55の縮径部58は、ステム12の上端部内に嵌合されている。そして、縮径部58の外周面および前記段部には、気液混合室26に連通するとともに径方向の外側に向けて開口する溝部60が形成されている。
発泡エレメント56は、拡径部57内に装着されており、これらの発泡エレメント56のうち、下側の発泡エレメント56は、筒体の下側開口面にメッシュ体が張設されてなり、上側の発泡エレメント56は、筒体の上側開口面にメッシュ体が張設されてなる。
【0029】
押下ヘッド15は、前記装着筒部14と、該装着筒部14の上端から径方向の外側に向けて突設された環状の頂壁部61と、頂壁部61の径方向の外周縁から下方に向けて突設され、装着筒部14を径方向の外側から囲繞する囲繞筒部62と、を備えている。これらの頂壁部61および囲繞筒部62は、前記軸線Oと同軸に配置されている。
囲繞筒部62の下端部内には、前記上筒部17の上端から径方向の外側に向けて環状に突出する突状部20に当接するリング状部63が嵌合されており、押下ヘッド15内への例えば内容物などの液体の浸入が規制されている。
【0030】
装着筒部14は、装着キャップ11の上筒部17内に挿通されるとともに、発泡部材54のケーシング55の前記拡径部57、およびステム12の上端部に外嵌されている。また装着筒部14の下端部は、装着筒部14において、該下端部よりも上側に位置しかつステム12の上端部に外嵌される外嵌部分64よりも内径が大きくなっている。そして、該下端部は、空気用ピストン22の内筒部45のうち、連結部47との連結部分よりも上側に位置する上端部に、上下摺動可能に外嵌している。さらに装着筒部14の下端縁と、連結部47と、の間には、上下方向の隙間があいている。
【0031】
また装着筒部14において、前記外嵌部分64よりも上側に位置する部分の内部は、下端開口部(一端開口部)を通してステム12内に連通するとともに上端開口部(他端開口部)が内容物を吐出する吐出口68とされた流通路59とされている。図示の例では、流通路59の下端開口部は、発泡部材54を通してステム12内に連通し、吐出口68は、下方から上方に向かうに従い漸次拡径している。
【0032】
ここで、ポンプ13のステム12の外周面側には、前記下室49と、前記気液混合室26と、を連通可能な連通路65が形成されている。連通路65は、ステム12の外周面と、空気用ピストン22の内筒部45の内周面および押下ヘッド15の装着筒部14の内周面と、の間に設けられるとともに、装着筒部14が、内筒部45に気密に外嵌することにより、径方向の外側から閉塞されている。
【0033】
なお本実施形態では、前記連通路65には、ステム12の前記摺動部分51の外周面に上下方向に延設され、下室49に連通可能な第1連通溝66と、装着筒部14の前記外嵌部分64の内周面に上下方向に延設され、第1連通溝66および前記溝部60に各別に開口する第2連通溝67と、が備えられている。第1連通溝66は、フランジ部42に空気用ピストン22の内筒部45が着座することで、下室49との連通が遮断されている。
【0034】
そして本実施形態では、押下ヘッド15には、流通路59に連通する連通口76、および流通路59を通して連通口76から吐出される内容物を被塗布部に塗布するブラシ69が配設された塗布部材70が、着脱可能に装着されている。
【0035】
塗布部材70は、前記吐出口68内に着脱可能に嵌合された嵌合筒部71と、該嵌合筒部71に内周縁が連結されるとともに上面(表面)にブラシ69が配設された環状のブラシ板部72と、ブラシ板部72の外周縁から下方に向けて延設されるとともに押下ヘッド15の囲繞筒部62を径方向の外側から囲繞する操作筒部73と、を備えている。これらの嵌合筒部71、ブラシ板部72および操作筒部73は、前記軸線Oと同軸に配置されている。
操作筒部73の下端は、押下ヘッド15の囲繞筒部62の下端と上下方向の位置がほぼ同等であるとともに、下方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けて延在している。
【0036】
連通口76は、ブラシ板部72の上面から径方向の内側に向けて突設された邪魔板部80により画成されている。邪魔板部80は、嵌合筒部71の上端開口部を上方から覆っている。邪魔板部80は、ブラシ板部72の内周縁から径方向内方斜め上方に向けて延設された傾斜板部74と、該傾斜板部74の径方向の内端部が連結された天板部75と、により構成されている。
【0037】
図2に示すように、傾斜板部74は、周方向に間隔をあけて複数(図示の例では4つ)配置されており、本実施形態では、複数の傾斜板部74は、互いに同形同大に、かつ互いに周方向に同等の間隔(図示の例では90度間隔)をあけて複数配置されている。また傾斜板部74は、径方向の外側から内側に向かうに従い漸次、周方向の大きさが小さくなっており、図示の例では、前記上面視において等脚台形状をなしている。
【0038】
天板部75は、前記上面視において角部が面取りされた正方形状(八角形状)をなしており、天板部75の前記角部に傾斜板部74の径方向の内端部が連結されている。また
図1に示すように、天板部75は、ブラシ板部72よりも上側に配置されており、天板部75の上下面は、前記軸線Oに直交している。
そして
図1および
図2に示すように、前記連通口76は、周方向に隣り合う傾斜板部74と、天板部75と、の間に、周方向に間隔をあけて複数画成されており、径方向外方斜め上方に向けて開口するとともに、嵌合筒部71内を通して前記流通路59に連通されている。
【0039】
図2および
図3に示すように、連通口76内には、弾性変形可能な連通制御板81が配設されている。連通制御板81は、当該連通口76から吐出される内容物により弾性変形させられて該連通口76の開口面積を増大させるように構成されている。連通制御板81は、連通口76の内周面から突設され、図示の例では、該内周面を構成する天板部75の外周縁部から径方向外方斜め下方に向けて突設され、連通口76の下端開口面に沿って延在している。そして前記上面視において、連通制御板81は、連通口76の下端開口面よりも小さくなっており、連通口76の内周面との間には隙間が設けられている。なお連通制御板81は、天板部75よりも薄肉に形成されている。
【0040】
ブラシ69は、前記上面視において、吐出口68を径方向の外側から囲繞するように、ブラシ板部72から外部に向けて多数延設されており、図示の例では、多数のブラシ69により、前記上面視において前記軸線Oと同軸の円状をなすブラシ層77が複数形成されている。また本実施形態では、前記天板部75にも、前記ブラシ層77が形成されている。なおブラシ69は、塗布部材70と一体に成形されていてもよく、別体に成形されていてもよい。
そして
図1に示すように、これら多数のブラシ69、および吐出口68は、塗布部材70の操作筒部73に着脱可能に外装された有頂筒状のオーバーキャップ78により覆われている。
【0041】
以上のように構成された吐出容器1では、使用前においては、規制部材19により押下ヘッド15の下方に向けた移動が規制されている。
そこで、当該吐出容器1の使用時には、装着キャップ11と規制部材19とを径方向に相対的に移動させ、装着キャップ11の上筒部17から規制部材19を径方向に離脱させる。また、オーバーキャップ78を塗布部材70から離脱させる。
【0042】
その後、例えば塗布部材70の操作筒部73を把持するなどして、
図4に示すように、塗布部材70を介して押下ヘッド15を押し下げると、ステム12および液用ピストン23が一体的に押し下げられる。このとき、空気用ピストン22の内筒部45がステム12の前記摺動部分51の外周面上を摺動するとともに、該内筒部45の上端部が押下ヘッド15の装着筒部14の内周面上を摺動することにより、空気用ピストン22の上下方向の位置が保持されることから、ステム12のフランジ部42と、空気用ピストン22の内筒部45の下端縁と、の間に、前記第1連通溝66と前記下室49とを連通する連通隙間79が設けられる。これにより、下室49と気液混合室26とが、該連通隙間79、連通路65および溝部60を通して連通される。
またこのとき、弁部材37も下方に移動させられ、弁部材37の下部弁体40が液用シリンダ25のテーパ部31に着座して、液用シリンダ25の下端開口部が閉塞される。
【0043】
そして、押下ヘッド15の装着筒部14の下端縁が、空気用シリンダ24の連結部47に当接するまで、押下ヘッド15を押し下げると、押下ヘッド15とともに空気用ピストン22が下方に移動し、空気用ピストン22の外筒部46が、空気用シリンダ24の周壁部28の内周面上を、下方に向けて摺動する。このとき、空気用ピストン22の弁筒部52の外気導入弁53は、連結部47の下面に密接されたままの状態であり、前記貫通孔50は閉塞されている。これにより、下室49内の空気が圧縮され、この空気が、前記連通隙間79、連通路65および溝部60を通して気液混合室26に移送される。
またこのとき、液用シリンダ25の下端開口部が閉塞された状態で、付勢部材36を圧縮変形させつつ、液用ピストン23を下方に移動させて、弁部材37の上部弁体39を液用ピストン23の弁座部38から離反させることにより、液用シリンダ25の内部とステム12の内部とが連通される。これにより、液用シリンダ25内の内容物が、弁座部38の内側および上部弁体39の外側を通過してステム12内の気液混合室26に移送される。
【0044】
以上のように、押下ヘッド15を押し下げることにより、気液混合室26に空気および内容物がそれぞれ移送され、これらは気液混合室26で合流して混合される。この気液混合体は、発泡部材54のケーシング55内に移送され、下側の発泡エレメント56のメッシュ体および上側の発泡エレメント56のメッシュ体を順次通過することで発泡させられて泡状の内容物(以下、泡体という)になり、流通路59および嵌合筒部71内を流通した後、連通口76からブラシ69に吐出される。なおこのとき、内容物により連通制御板81が弾性変形されられて連通口76の開口面積が増大し、その後、例えば塗布部材70の押し下げを停止すること等により内容物の吐出が停止されると、連通制御板81が復元変形して連通口76の開口面積が元に戻る。
【0045】
ここで、塗布部材70の押し下げを解除すると、付勢部材36の弾性復元力により液用ピストン23が上方に押し上げられる。これにより、液用ピストン23の弁座部38が弁部材37の上部弁体39に当接して弁座部38が閉じられ、気液混合室26への内容物の移送が停止される。
また、このように上昇する液用ピストン23とともに、ステム12、押下ヘッド15および塗布部材70が一体的に上昇し、ステム12のフランジ部42が空気用ピストン22の内筒部45の下端縁に当接することで、連通路65を通した下室49と気液混合室26との連通が遮断され、気液混合室26への空気の移送が停止される。なおその後、付勢部材36の弾性復元力により、空気用ピストン22が押し上げられることで、前記下室49内が負圧状態となり、空気用ピストン22の弁筒部52の外気導入弁53が下方に弾性変形させられて、前記貫通孔50が開放され、該貫通孔50および前記上室48を通して下室49内に外気が供給される。
【0046】
ここで、ブラシ69に吐出された泡体は、
図5に示すように、塗布部材70を押下ヘッド15から離脱させた後、ブラシ69により被塗布部に塗布される。なお塗布後に、塗布部材70を押下ヘッド15から離脱させた状態で、ブラシ69や連通口76を例えば水洗いなどにより洗浄してもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出器10によれば、押下ヘッド15に、前記塗布部材70が着脱可能に装着されているので、押下ヘッド15をステム12に装着させたまま塗布部材70を押下ヘッド15から離脱させ、該塗布部材70を用いて、例えばブラシ69に吐出された内容物を塗布したり、ブラシ69を洗浄したりすること等が可能になり、操作性を向上させることができる。
また押下ヘッド15に、前記塗布部材70が着脱可能に装着されているので、塗布部材70を押下ヘッド15から離脱させて当該吐出器10を使用することで、吐出口68から内容物を直接、例えば被塗布部や手などに吐出することも可能になり、塗布方法の多様化を図ることもできる。
【0048】
また、連通口76から内容物が吐出されるときに、連通口76の開口面積が増大するので、内容物を連通口76から円滑に吐出することが可能になり、操作性を確保し易くすることができる。
また、内容物の吐出が停止されると、連通口76の開口面積が元に戻るので、ブラシ69に吐出された内容物が連通口76を逆流するのを抑制することができる。これにより、例えばブラシ69を被塗布部に押し当てて内容物を塗布するとき等にも、内容物が連通口76を逆流し難くなり、内容物を被塗布部に円滑に塗布すること等が可能になり、更なる操作性の向上を図ることができる。
【0049】
また、連通口76が、前記邪魔板部80により画成されているので、ブラシ69に吐出された内容物が嵌合筒部71内に逆流するのを邪魔板部80により阻害することができる。これにより、例えばブラシ69を被塗布部に押し当てて内容物を塗布するとき等にも、内容物が嵌合筒部71内に逆流し難くなり、内容物を被塗布部に円滑に塗布すること等が可能になり、更なる操作性の向上を図ることができる。
【0050】
また、押下ヘッド15の装着筒部14が、空気用シリンダ24の内筒部45に気密に外嵌することにより、連通路65が、径方向の外側から閉塞されているので、例えば押下ヘッド15とは別体に形成された筒状体などにより、連通路65を径方向の外側から閉塞する場合に比べて、当該吐出器10の構造の簡素化を図ることができる。
【0051】
また前述のように、例えばブラシ69に吐出された泡体を塗布したり、ブラシ69を洗浄したりするとき等に、押下ヘッド15をステム12に装着させたままにしておくことができるので、押下ヘッド15の装着筒部14が、空気用ピストン22の内筒部45に気密に外嵌された状態を保持することが可能になり、連通路65の気密性を長期間にわたって維持し易くすることができる。すなわち、例えばブラシ69に吐出された泡体を塗布したり、ブラシ69を洗浄したりする度に、押下ヘッド15の装着筒部14を、空気用ピストン22の内筒部45から離脱させる場合、例えばこれらの装着筒部14および内筒部45が変形し易くなること等により、連通路65の気密性を維持することが困難になる。
【0052】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、オーバーキャップ78、規制部材19および上筒部17はなくてもよい。
【0053】
また前記実施形態では、邪魔板部80は、傾斜板部74および天板部75を有するものとしたが、これに限られず、例えば天板部75がなくてもよい。また、邪魔板部80はなくてもよい。
【0054】
また前記実施形態では、前記流通路59が、装着筒部14において、前記外嵌部分64よりも上側に位置する部分の内部とされているものとしたが、流通路は、一端開口部を通してステム内に連通するとともに他端開口部が内容物を吐出する吐出口とされた他の構成に適宜変更することが可能である。例えば、装着筒部から径方向の外側に向けてノズル筒部が突設され、これらの装着筒部の内部およびノズル筒部の内部により、流通路が構成されていてもよい。
【0055】
また前記実施形態では、吐出機構として、泡吐出用のポンプ機構を採用したが、これに限られるものではなく、押下ヘッドを押し下げてステムを下方に移動させ、吐出機構を作動させることにより、容器本体内の内容物を泡状にして吐出口から吐出する他の構成に適宜変更することができる。また、内容物を泡状にして吐出しなくてもよい。
すなわち、吐出機構として、エアゾール機構や、空気用シリンダを備えない液吐出用のポンプ機構などを採用することも可能である。また内容物として、例えば液体、粘性体(ゲル状体)などを採用し、それぞれを泡状にせずに吐出する構成を採用することも可能である。
【0056】
また前記実施形態では、発泡部材54は、ポンプ13のステム12に装着されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、発泡部材54が、押下ヘッド15の流通路59内に嵌合されていて、ステム12に装着されていなくてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。