(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940807
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】膨張材組成物およびコンクリート
(51)【国際特許分類】
C04B 22/06 20060101AFI20160616BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20160616BHJP
C04B 22/14 20060101ALI20160616BHJP
C04B 28/04 20060101ALI20160616BHJP
C04B 18/08 20060101ALI20160616BHJP
C04B 103/60 20060101ALN20160616BHJP
【FI】
C04B22/06 Z
C04B22/08 A
C04B22/14 B
C04B28/04
C04B18/08 Z
C04B103:60
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-283360(P2011-283360)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-133245(P2013-133245A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】501173461
【氏名又は名称】太平洋マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】長塩 靖祐
【審査官】
宮崎 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−035429(JP,A)
【文献】
特開2009−001449(JP,A)
【文献】
特開2011−020921(JP,A)
【文献】
特開2008−201592(JP,A)
【文献】
特開2002−293592(JP,A)
【文献】
米国特許第4921537(US,A)
【文献】
樋口隆行、他3名,”膨張剤を混和したセメントペーストの膨張挙動におよぼす膨張材混和時期の影響”,セメント・コンクリート論文集,(社)セメント協会,2001年 2月10日,No.54,p.105−109
【文献】
盛岡実、他3名,”膨張材の水和反応と材料設計”,セメント・コンクリート論文集,(社)セメント協会,2001年 2月10日,No.54,p.111−115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00〜28/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離生石灰およびエーライトを含有し、ブレーン法による比表面積が1500〜5000cm2/gのクリンカ粉砕物と、ブレーン法による比表面積が3000〜15000cm2/gの石膏を含有する膨張材組成物であって、
膨張材組成物中、遊離生石灰(c2)とエーライト(c1)の質量比(c2/c1)が1.28〜3.0であり、
膨張材組成物中、遊離生石灰の含有率が18〜45質量%、エーライトの含有率が10〜35質量%、石膏の含有率が20〜55質量%であることを特徴とする、
中庸熱ポルトランドセメントとフライアッシュとを含有し、次式(1)で求まるコンクリート中のフライアッシュの混和率が10〜40%であるコンクリート用膨張材組成物。
フライアッシュの混和率(%)=FA÷P×100 (1)
(FAはフライアッシュの単位量、Pはコンクリート中の結合材の総単位量)
【請求項2】
(A)中庸熱ポルトランドセメントと、
(B)フライアッシュと、
(C)遊離生石灰およびエーライトを含有し、ブレーン法による比表面積が1500〜5000cm2/gのクリンカ粉砕物と、ブレーン法による比表面積が3000〜15000cm2/gの石膏を含有してなる膨張材組成物と、
(D)骨材と
を含有するコンクリートであって、
前記膨張材組成物中、遊離生石灰(c2)とエーライト(c1)の質量比(c2/c1)が1.28〜3.0であり、
前記膨張材組成物中、遊離生石灰の含有率が18〜45質量%、エーライトの含有率が10〜35質量%、石膏の含有率が20〜55質量%であり、
次式(1)で求まるコンクリート中のフライアッシュの混和率が10〜40%であることを特徴とするコンクリート。
フライアッシュの混和率(%)=FA÷P×100 (1)
(FAはフライアッシュの単位量、Pはコンクリート中の結合材の総単位量)
【請求項3】
材齢2日の圧縮強度に対する膨張ひずみの比が4.0〜11.0×104N/mm2である請求項2記載のコンクリート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張材組成物及びコンクリートに関し、詳しくは、低温から高温において安定して「膨脹コンクリート設計施工指針」に規定されている土木学会基準の収縮補償用コンクリートの拘束膨脹率が得られる膨張材組成物及びこれを用いたコンクリートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンクリート構造物の耐久性を高めるために、コンクリートのひび割れを抑止する手段としてコンクリート用膨張材が注目されており、特にひび割れを低減するためには膨張材を使用することが有効である。近年では、土木分野に留まらず建築分野のコンクリート構造物においても乾燥収縮ひび割れの抑制を目的として膨張材を使用することが増加している。
【0003】
高層鉄筋コンクリート構造物の壁、大規模地下構造物などに用いられるコンクリートは、例えば耐震性の観点等から、耐久性の高いものが要求されている。これらコンクリート構造物の耐久性向上を図るためには、初期欠陥となるひび割れ防止が必要であるが、このひび割れは、特に面部材の大きいコンクリート構造物において発生しやすく、その発生には乾燥収縮や温度応力が主要因となることが多い。
【0004】
上記課題を解決するために、例えば、低発熱型セメントと低添加型膨張材、骨材を組み合わせて使用するコンクリート(例えば特許文献1参照)、低熱ポルトランドセメントとフライアッシュに、遊離生石灰およびエーライトを含有するクリンカ組成物と石膏を混合してなる膨張性組成物を配合してなる組成物の硬化体も知られている(特許文献2)。しかし、温度によりコンクリートの膨張率も大きく変わり、安定して土木学会基準の収縮補償用コンクリートの拘束膨脹率が得られないという問題があった。また、中庸熱ポルトランドセメントと膨張材に、骨材を組み合わせて、寒冷地や寒冷時に打ち込むためのコンクリートも知られている(例えば特許文献3参照)が、水結合材比と単位膨張材量の両者を制御する必要がある等など課題もある。
【0005】
更には、低温環境下では中庸熱ポルトランドセメントと膨張材を組み合せた場合、膨張材によるひび割れが発生し、強度低下(非特許文献1参照)するなど、中庸熱ポルトランドセメントと膨張材の併用は環境温度の影響を強く受けるため、その制御が難しいといった課題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−217514公報
【特許文献2】特開2009−35429号公報
【特許文献3】特開2011−20291公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】棚橋 達治、外1名「高性能膨張材を用いた各種コンクリートのひび割れ抵抗性」、第61回セメント技術大会講演要旨2007、社団法人セメント協会、2007年5月、p.222−223
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、環境温度が変化した場合においても、ひび割れの発生を抑制し、強度低下し難いコンクリートを提供すること、より詳しくは、環境温度が変化した場合においても、収縮補償用コンクリートとしての性能を有し、材齢7日におけるコンクリートの拘束膨張率:150〜250×10
-6が得られ、膨張性組成物を混和していないコンクリートの圧縮強度に対する圧縮強度比が材齢28日において高く強度低下し難いコンクリート提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は、環境温度が変化した場合においても強度の低下しない高強度コンクリートを開発すべく検討した結果、中庸熱ポルトランドセメントとフライアッシュを配合したコンクリートにおいて、遊離生石灰およびエーライトを含有するクリンカ粉砕物と石膏を含有する膨張材組成物として、当該遊離生石灰
(c2)とエーライト
(c1)との質量比
(c2/c1)を一定の範囲に調整した膨張材組成物を採用すれば、低温及び高温条件のいずれにおいても強度の低下がなく、ひび割れが抑制された高強度コンクリートが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供するものである。
[1]遊離生石灰およびエーライトを含有
し、ブレーン法による比表面積が1500〜5000cm2/gのクリンカ粉砕物と
、ブレーン法による比表面積が3000〜15000cm2/gの石膏を含有
する膨張材組成物であって、
膨張材組成物中
、遊離生石灰(c2)とエーライト(c1)の質量比(c2/c1)が1.28〜3.0で
あり、
膨張材組成物中、遊離生石灰の含有率が18〜45質量%、エーライトの含有率が10〜35質量%、石膏の含有率が20〜55質量%であることを特徴とする、
中庸
熱ポルトランドセメントとフライアッシュとを含有
し、次式(1)で求まるコンクリート中のフライアッシュの混和率が10〜40%であるコンクリート用膨張材組成物。
フライアッシュの混和率(%)=FA÷P×100 (1)
(FAはフライアッシュの単位量、Pはコンクリート中の結合材の総単位量)
[2](A)中庸熱ポルトランドセメントと、
(B)フライアッシュと、
(C)遊離生石灰およびエーライトを含有
し、ブレーン法による比表面積が1500〜5000cm2/gのクリンカ粉砕物と
、ブレーン法による比表面積が3000〜15000cm2/gの石膏を含有してなる膨張材組成物と、
(D)骨材と
を含有するコンクリートであって、
前記膨張材組成物中
、遊離生石灰(c2)とエーライト(c1)の質量比(c2/c1)が1.28〜3.0で
あり、
前記膨張材組成物中、遊離生石灰の含有率が18〜45質量%、エーライトの含有率が10〜35質量%、石膏の含有率が20〜55質量%であり、
次式(1)で求まるコンクリート中のフライアッシュの混和率が10〜40%であることを特徴とするコンクリート。
フライアッシュの混和率(%)=FA÷P×100 (1)
(FAはフライアッシュの単位量、Pはコンクリート中の結合材の総単位量)
〔3〕材齢2日の圧縮強度に対する膨張ひずみの比が4.0〜11.0×10
4N/mm
2である前記[2]のコンクリート。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、環境温度が変化した場合においても、ひび割れの発生を抑制し、強度低下し難いコンクリートが得られる。詳しくは、環境温度が変化した場合においても、収縮補償用コンクリートとしての性能を有し、材齢7日におけるコンクリートの拘束膨張率:150〜250×10
-6が得られ、膨張性組成物を混和していないコンクリートの圧縮強度に対する圧縮強度比が材齢28日において高く強度低下し難いコンクリートが得られる。本発明のコンクリートは、環境温度が10〜30℃の範囲であれば収縮補償用コンクリートとしての性能を有していることから収縮によるひび割れが発生し難く、このことから、高耐久性が重要視される高層ビル、大規模地下構造物、放射性廃棄物処理施設等の構造物のコンクリート部材に好適に用いることができ、本発明のコンクリートを用いたコンクリート構造物は高耐久性を備える構造物となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施例と共に具体的に説明する。なお、%は特に断らない限り質量%である。
【0013】
本発明の膨張材組成物は、(C)遊離生石灰およびエーライトを含有するクリンカ粉砕物と石膏を含有してなる膨張材組成物であって、当該膨張材組成物中の
遊離生石灰(c2)とエーライト(c1)の質量比(c2/c1)が
1.28〜3.0であることを特徴とする。
【0014】
クリンカ粉砕物は生石灰、消石灰又は炭酸カルシウムを主成分とする石灰原料及び珪石粉や珪藻土等の珪素原料をロータリーキルンや電気炉等の炉で焼成することで製造したクリンカを粉砕することで製造できる。クリンカの焼成原料にバンド頁岩やアルミナ等のアルミニウム原料或いはヘマタイトや針鉄鉱等の鉄原料を添加すると、焼成し易くなることから好ましい。また、膨張材組成物の品質性能を阻害しない範囲で、クリンカの焼成原料に不純物(MgO、Na
2O、K
2SO
4など)が含まれていても良い。クリンカの粉砕方法は、特に限定されない。ロッドミル、ボールミル、竪型ローラーミル、ジェットミル等の各種粉砕機を用いることができる。クリンカ粉砕物の粉末度は、好ましくはブレーン法による比表面積で1500〜5000cm
2/gが好ましい。粉末度が小さすぎると300μm以上の粗粉が混入し、硬化コンクリート表面の肌荒れやポップアウトが生じる可能性があり、また膨張性に有効な粗粒子が多くなるため、過大膨張も懸念される。一方、粉末度が大きすぎると10μm以下の微粉が多くなるため、膨張反応が促進され、十分な硬化体組織が形成される前に膨張発現し、過大膨張や強度低下を生じる。
【0015】
本発明の膨張材組成物は、上記クリンカ粉砕物と共に石膏を含有する。石膏は過膨張抑制作用を果たす。膨張材組成物中の石膏含有率は20〜55%が好ましく、25〜45%がより好ましく、25〜30%がさらに好ましい。石膏は何れの種類でも良いが、無水石膏が好ましく、II型無水石膏がより好ましい。また、使用する無水石膏の粉末度は3000cm
2/g以上のものが、所望の反応活性が得られるので好ましい。より好ましくは粉末度が6000cm
2/g以上の石膏が良い。粉末度の上限は特に制限されないが、粉末度を高めるコストが嵩む割にはその効果が鈍化することから概ね15000cm
2/g程度が適当である。石膏は、粉末にしたものとクリンカ粉砕物をミキサで混合しても良いし、石膏と上記クリンカを混合粉砕しても良い。
【0016】
また、本発明の膨張材組成物は、膨張材組成物中の
遊離生石灰(c2)とエーライト(c1)の質量比(c2/c1)が
1.28〜3.0である。膨張材組成物中の
遊離生石灰とエーライトの質量比(c2/c1)を
1.28〜3.0にすることにより、中庸熱ポルトランドセメントとフライアッシュを使用した場合に、安定的に膨張性能を発現するとともに、環境温度の影響を受けにくく
なる。より好ましい膨張材組成物中の
遊離生石灰とエーライトの質量比(c2/c1)は、1.3〜2.5である。また、膨張材組成物中のエーライトの含有率は、
遊離生石灰とエーライトの質量比(c2/c1)を上記範囲内にし易いことから、10〜35%が好ましく、13〜20%がより好ましい。同様に、膨張性組成物中の遊離生石灰の含有率は、
遊離生石灰とエーライトの質量比(c2/c1)を上記範囲内にし易いことから、18〜45%が好ましく、24〜35%がより好ましく、24〜33%がさらに好ましい。
【0017】
本発明の膨張材組成物は、中庸熱ポルトランドセメントとフライアッシュとを含有するコンクリートの膨張材として特に有用である。すなわち、本発明の膨張材組成物を用いれば、当該コンクリートにおいて、環境温度が変化しても、ひび割れの発生を抑制し、強度低下し難いものとなる。
【0018】
本発明のコンクリートにおける膨張材組成物の単位量は、単位量15〜25kg/m
3の範囲で使用することが好ましく、この範囲内であれば、使用温度が10〜30℃の範囲内であれば、収縮補償用コンクリートとしての膨張性能を有することができる。特に、膨張材組成物の単位量を18〜22kg/m
3、さらに20kg/m
3とすると、より安定的に膨張性能を発現できる。なお、膨張性組成物の単位量が少なすぎると膨張性能が不足する虞があり、単位量が多すぎると過膨張を生じる虞がある。
【0019】
本発明のコンクリートに用いる(A)セメントは、耐久性の観点より水和熱、自己収縮が普通ポルトランドセメント等に比べ小さい、化学抵抗性及び長期耐久性がある中庸熱ポルトランドセメントである。この中庸熱ポルトランドセメントは、規格(JIS R 5210)の「中庸熱ポルトランドセメント」に適合するものであればよい。本発明のコンクリート中における中庸熱ポルトランドセメントの量は、十分な圧縮強度を得る点、水和熱によるひび割れを防止する点から、単位セメント量で、210〜300kg/m
3が好ましい。
【0020】
本発明に使用する(B)フライアッシュは、中庸熱ポルトランドセメント及び膨張材組成物と組み合わせて使用することにより、膨張性能を助長する効果があり、かつポゾラン反応性により長期耐久性を向上する。コンクリート中の結合材の総単位量P、フライアッシュの単位量FAとしたときに、次式(1)で求まるコンクリート中のフライアッシュの混和率は10〜40%が好ましく、20〜30%がより好ましい。ここで、結合材はセメント、ポゾラン及び膨張性組成物とする。
【0021】
(数1)
フライアッシュの混和率(%)=FA÷P×100 (1)
【0022】
フライアッシュの混和率が少なすぎると、膨張性能が不足することが挙げられ、多すぎるとコンクリートのワーカビリティーを損ない、強度発現性が低下する、即ち初期強度が低いことがある。本発明に使用するフライアッシュは規格(JIS A 6201「コンクリート用フライアッシュ」)に適合するものであれば、特に限定されない。
【0023】
本発明に使用する(D)骨材としては、モルタル又はコンクリートに使用可能な骨材であればよく、例えば、川砂、川砂利、陸砂、陸砂利、砕砂、砕石、スラグ骨材、人工軽量骨材、再生骨材等が好ましい例として挙げられる。用いる骨材がJIS A 5005「コンクリート用砕石及び砕砂」,JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」の7.2骨材,JIS A 5002「構造用軽量コンクリート骨材」,JIS A 5011−1「コンクリート用スラグ骨材−第1部:高炉スラグ骨材」,JIS A 5011−2「コンクリート用スラグ骨材−第2部:フェロニッケルスラグ骨材」,JIS A 5011−3「コンクリート用スラグ骨材−第3部:銅スラグ骨材」,JIS A 5011−4「コンクリート用スラグ骨材−第4部:電気炉酸化スラグ骨材」,JIS A 5021「コンクリート用再生骨材H」,JIS A 5031「一般廃棄物、下水汚泥又はそれらの焼却灰を溶融固化したコンクリート用溶融スラグ骨材」の何れかに適合するものであることが好ましい。
骨材の単位量は、1500〜2000kg/m
3、さらに1600〜1800kg/m
3とするのが、発熱及び乾燥収縮の抑制並びにワーカビリティ確保のバランスの点で好ましい。
【0024】
さらに、本発明のコンクリートは、本発明の効果を実質失わない範囲で、例えばモルタルやコンクリートに使用できる他の成分(混和材料)を含有するものであっても良い。このような成分として、具体的には、繊維、減水剤(分散剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤等を含む。)、収縮低減剤、シリカフューム、スラグ、凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤、保水剤、防錆剤、空気連行剤、消泡剤、起泡剤、防水材、撥水剤、白華防止剤、顔料、セメント用ポリマー、発泡剤、水中不分離性混和剤などが例示される。
【0025】
本発明のコンクリートは、水を用いて混練する。水量は、140〜180kg/m
3とすることが、材料分離抵抗性を高め、乾燥収縮を抑制することから好ましい。混練には、コンクリートミキサを用いて混練することが好ましい。
【0026】
本発明のコンクリートにおいて、材齢2日の圧縮強度に対する膨張ひずみの比が4.0〜11.0×10
4N/mm
2とすることが好ましい。材齢2日の圧縮強度に対する膨張ひずみの比を4.0〜11.0×10
4N/mm
2とすることにより、材齢7日におけるコンクリートの拘束膨張率が150〜250×10
-6の範囲内に入り易い。材齢2日の圧縮強度に対する膨張ひずみの比が4.0×10
4N/mm
2未満では、過膨張となり易く、強度低下し易い。また、材齢2日の圧縮強度に対する膨張ひずみの比が11.0×10
4N/mm
2を超えると、膨張性能が不足し易い。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。
〔実施例1・比較例1〕
表1に示す使用材料を用い、表2の膨張性組成物を調製した。膨張性組成物のEX1〜EX7は、焼成温度1400℃で、焼結させたクリンカ組成物を粉末度2600cm
2/gに粉砕し、粉砕したクリンカ組成物に石膏をヘンシェルミキサーにて混合し、膨張性組成物を調製した。
【0028】
表3に示す使用材料を用い、環境温度20℃にて、コンクリートミキサを用いて練り混ぜてコンクリートを製造した。表4に製造したコンクリートの配合を示した。製造したコンクリートを用いて、規格(JIS A 6202「コンクリート用膨張材」付属書2)に示される拘束膨張及び収縮試験方法(A法)に準拠し、拘束膨張試験を実施した。また、規格(JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」)に準拠し、圧縮強度試験を実施した。この結果を表5に示した。
【0029】
表5に示すように、本発明品のコンクリートに当たる配合No.1〜4は、何れも材齢7日拘束膨張率が185〜239μ(1μは1×10
-6の意味。)の良好な膨張性能を発現し、収縮補償用コンクリートの材齢7日の拘束膨張率(150〜250μ)を満足することが確認された。また、圧縮強度においても初期材齢から長期材齢に渡って良好な強度性能が確認された、膨張性組成物を無添加の配合No.7のコンクリートに対する材齢28日における圧縮強度比も、90%以上と大変優れていた。尚、圧縮強度比は質量%ではない。
【0030】
比較例に当たる配合No.5のコンクリートは、収縮補償用コンクリートの材齢7日の拘束膨張率を超え、材齢7日のコンクリート拘束膨張率が300μ以上となり、圧縮強度の低下も認められ、膨張性組成物を無添加の配合No.7のコンクリートに対する材齢28日における圧縮強度比が90%未満(
84%)であった。
【0031】
比較例に当たる配合No.6のコンクリートは、材齢7日のコンクリート拘束膨張率が141μとなり、膨張性能の不足が認められ、収縮補償用コンクリートの材齢7日の拘束膨張率(150〜250μ)を満足できていなかった。また、配合No.7のコンクリートは、膨張性組成物は混和していないが材齢7日の拘束膨張率で28μ膨張していた。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
〔実施例2・比較例2〕
実施例1の本発明のコンクリート(配合No.1および3)と比較例に当たる配合No
.5及びNo.7のコンクリートにおいて、環境温度10℃および30℃として、表3に示す使用材料を用いて表4に示す示す配合により、コンクリートミキサを用いて練り混ぜてコンクリートを製造した。製造したコンクリートを用いて、規格(JIS A 6202「コンクリート用膨張材」付属書2)に示される拘束膨張及び収縮試験方法(A法)に準拠し、拘束膨張試験を実施した。また、規格(JIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」)に準拠し、圧縮強度試験を実施した。この結果を表6および表7に示した。
【0038】
本発明品のコンクリート(配合No.1および2)は、何れも材齢7日拘束膨張率が環境温度10℃において、203μおよび183μ、環境温度30℃において、179μおよび160μ、環境温度10℃および30℃においても良好な膨張性能を発現し、収縮補償用コンクリートの材齢7日の拘束膨張率(150〜250μ)を満足することが確認された。また、圧縮強度においても初期材齢から長期材齢(材齢28日)に渡って良好な強度性能が確認された。
【0039】
一方、比較例に当たる配合No.5は、のコンクリートは、環境温度10℃および30℃においても、何れも材齢7日拘束膨張率が250μを超えており、過膨張が認められ、収縮補償用コンクリートの材齢7日の拘束膨張率(150〜250μ)を満足できていない。
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】